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September 18, 2004

「地獄の黙示録 特別完全版」

[DVD映画]★★★★★

フランシス・フォード・コッポラが1996年に旅先のロンドンのホテルで
テレビ放映されていた地獄の黙示録を観て思いつき、
「地獄の黙示録」にコッポラが自らの手で49分の未公開映像を追加して
2000年に完成させた、202分のまさに長大作「地獄の黙示録 特別完全版」である。
原作は、コンラッド作「闇の奥」(岩波文庫)

ベトナム戦争中のサイゴン。
本国から戻ってきたウイラード大尉(マーティン・シーン)は特別任務を与えられる。
それは軍隊の命令を無視してジャングルの奥深へ逃れ、
『王国』を築いているというカーツ大佐(マーロン・ブランド)の抹殺。
彼には、捕虜の殺人容疑がかかっている。戦争なのになぜ殺人容疑?
いつしか大佐への興味、いや幻想を深めつつ
ウイラード大尉は巡視艇でメコン川をさかのぼりカーツ大佐の『王国』を探す…。
ベトナム戦争の凄まじい地獄絵図を目のあたりにしながら、
『王国』へ辿り着いた彼が遭遇するものは…。

この映画の音楽は印象的かつ効果的。
ドアーズ「ジ・エンド」でこの映画は始まる。
オープニングから、THE ENDだ。少しエキゾチックなナンバー。
サーフィンをするために、ベトコンの村を焼き払うギルモア中佐。
彼の部隊の出撃音楽はワーグナー「ワルキューレの騎行」
これを大音量で流して出撃するのだ…。かのヒトラーも愛したワーグナー。
その躍動感とスケールのある管弦楽曲が密林に響き渡る。
ジャングルのどまん中には仮設の特設ステージでCCR「スージーQ」が流れ、
雑誌「プレイボーイ」のグラビアクイーン達がストリッパーまがいのダンスをする。
それに興奮した兵士達により、コンサートは中断。
ローリングストーンズ「サティスファクション」を流しながら、
まったりとウイラードの乗った目的地不明の巡視艇は川をのぼり続け…
カーツ大佐に立ち向かう時にはまた…「ジ・エンド」

新たに加わったシーンは重要だ。
雨の中、荒んだキャンプ。救急ヘリの中には、あのプレイメイト達がいた。
あの慰問のあと、不時着したヘリの中で兵士を相手に酷い目にあっていたらしい。
狂気の中での、一時のふれあい…。
または、ジャングルの奥地にある小さな船着き場。
そこではフランス軍の兵士達が出迎えられ、
彼等の案内にしたがってまるで中世の荘園のようなフランス植民農園へ…。
そこの長老は言う。
『ここは我々の築いた土地だ。だからずっとここに留まるのだ。戦ってでも。
 しかし、アメリカ人は、幻想と実体のないもののためえに戦っている。』
その他、多くのシーンが追加され、ストーリーが深くスムーズになった。

先日亡くなったマーロン・ブランド演じるカーツ大佐。
大きく美しく気高く詩人で狂人。圧倒的な存在感。
デニス・ホッパーが(大好きだけど)小さく見える…。
ずっとカーツ大佐の幻想を求め続けていた。
ウイラード大尉=マーティン・シーンの眼差しも、同じく印象的。

戦争による狂気、恐怖、興奮…そして戦争の目的、疑問。
そんな事を考える作品であった。
今も、これとは別の『幻想』と戦っている兵士が中東などにいると思うと複雑な心境。
新たな戦争はまだ続いているのだ。

地獄の黙示録 特別完全版
地獄の黙示録 特別完全版
 
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