「闇の奥」
[書籍]★★★★☆
昨日のフランシス・フォード・コッポラの地獄の黙示録の原作である、
ジョーゼフ・コンラッド(1878-1922)の代表作
「闇の奥」HEART OF DARKNESS(岩波文庫)。
マーロウという船乗りの語りでこの物語は進む。
彼が、アフリカの奥地の植民地で経験し、出会ったある人物の物語。
アフリカの奥地の貿易会社の出張所でマーロウが聞いた、
最奥部の出張所の象牙を採る才能のあるの所長クルツの噂。
音信をたってしまった彼の救出に向かうことになった、
マーロウ達は真っ黒な森、病と死と闇に覆われた密林の川を、
クルツを目指してのぼるのだ。
進めば進む程、あらゆる事に天才肌のクルツの話を聞けば聞く程、
クルツという人物に魅せられてしまうマーロウ。
そして、クルツの世界とは…。
コンラッドはポーランド人でありながらイギリスへ帰化したイギリス作家である。
1878年21才の時にイギリス船に乗り込む事となり、
それから1894年まで16年間、東洋〜アフリカ〜オーストラリアまでの足跡を持つ
海上生活を送った後、作家としてデビュー。
アフリカ奥地のコンゴー川の上流まで行ってた時の経験見聞から1899年に書いた、
この「闇の奥」は彼の半自伝的作品のようだ。
100年以上も前の作品で、冒頭部分は少し入り込みにくいのだが、
読めば読む程、マーロウ同様、どんどんクルツという人物像に魅せられてしまうのだ。
訳者によるあとがきにもあるが、
コンラッド自身がそういった『暗示』する書き方をしているせいもあり、
ちりばめられた曖昧な『暗示』が合わさって、
最終的に重く現れる。
人間の内面の闇を描いたこのコンラッドも素晴らしいが、
この小説を題材に設定をベトナム戦争に置き換え「地獄の黙示録」として映画化した、
コッポラ監督の才能にも改めて驚いた。
植民地、暗い密林、川、病、クルツ=カーツ大佐、この強烈なイメージ。
忘れられない。

闇の奥
コンラッド, 中野 好夫
■ 映画「地獄の黙示録」のレビューはこちら










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