「ぼくは怖くない」
[DVD映画]★★★★☆
いい『穴』もの見つけました!さすがアルバトロスさん!!
いや〜むちゃくちゃ良かった!
「ぼくは怖くない」
監督ガブリエーレ・サルヴァトーレス。
原作はニコロ・アンマニーティによる同名小説
「ぼくは怖くない」(ハヤカワepi文庫)。
2003年のイタリア映画。
タオルミナ映画祭やドナテッロ賞などで数々の映画賞を受賞した作品。
音楽はエツィオ・ボッソ。
クラシカルでミニマルなサウンドがこの映画に深みと優しさと
何とも言えないセツない緊張感を与えている。
真っ暗な穴から始まる。そして、真っ黒なカラス。
一面の金色の麦畑を走る子供達。
これは、何も無い、一見のどかな南イタリアの小さな集落の物語。
カメラは子供達の目線でそれらを写し撮っている。シンプルな画のような世界。
妹マリアが落とした眼鏡を探す
優しい兄ミケーレ(ジュゼッペ・クリスティアーノ)は、
廃屋の近くでトタンに蓋をされた穴を見つける、もう好奇心満々!。
そして、穴の中に彼の黒い瞳に映ったものは…!!
なんと、鎖につながれたキズだらけでボロボロの少年だった。
麦畑を妹を連れて逃げ帰るミケーレ!!。
怖いのだが興味も深まり、誰にも言わない秘密にして、
『彼』フィリッポ(マッティーア・ディ・ピエッロ)の元を度々訪れ、
『子供の自分の可能な限りの範囲』で助けようとする。
それを表現するかのように、
大きな自然と小さな生き物達による対比があらゆる所に出てくる。
例えば、自転車で駆け抜ける子供達の足下にいるハリネズミ、
柵の上のクモ、麦を刈り取る重機の前のカマキリ、
麦畑に倒れるミケーレの瞼の上のアリ、大空に小さく飛ぶトンビ、
クモ、フクロウ、コウモリなど…。
そして、『彼』がなぜ、『穴』の中にいたのか、
ミケーレには思いもかけない両親そして、村人達の秘密があった。
彼等の関わる『ある事件』。
見るからにいたいけで幼い、過酷な現実から逃避している
ミケーレと同じ10才の『彼』。
どんどん親しくなる『彼』とますます怪しい『大人達』。
そして、余りにも無力な『子供』の自分。
ミケーレは葛藤しながら、あくまでも『子供の自分の可能な限りの範囲』で、
正義感をつらぬこうとする。
まだ彼は『純粋』そして、『裏切』や『信頼』を経験し成長しようとしていた。
怒ると怖いマンマ、母親アンナ(アイタナ・サンチェス=ギヨン)は、
純粋なミケーレを心から愛し、父親ビーノ(ディーノ・アップレーシャ)もまた、
乱暴な言動とは裏腹にやはり息子のミケーレを愛している。
でも、ボスのセルジョ(ディエゴ・アバンタントゥオーノ)には逆らえない。
彼等にとっても葛藤はあるのだ。
こうしてまっすぐな少年、ミケーレのとった行動とは!
『彼』の運命は、意外な結末を迎える事になる…
もう、出来過ぎだけれどホロリときます。
ラジオから流れるイタリアンポップス「甘いささやき(パローレ・パローレ)」♪
そしてプッチーニのオペラ「ラ・ボエム」♪も使用され、
ちょっとユルくてノスタルジックな南イタリアの田舎町の雰囲気が出ていて好き。
原題は“IO NON HO PAURA”(直訳のままです。)
それにしても“だるまさんがころんだ”とか“渦巻き蚊取り線香”が
イタリアにもあるのは知らなかった。
こりゃ、南イタリア行かないと!!!
ああ!ミケーレみたいな息子か兄が欲しい…。
The comments to this entry are closed.
Comments