「フェイシズ」
[DVD映画]★★★★★
顔、顔、顔。
魅力的な『表情』の氾濫するモノクロームの世界。
ジョン・カサベテスが、自宅を舞台にして撮り、編集も自宅ガレージで行った、
まさに、アンチ・ハリウッドのインディペンデント作品「フェイシズ」。1968年制作。
俳優業の収入を使い、ボランティアで参加したスタッフと制作したのだが、
オスカーで3部門にノミネートされ、ヴェネチア国際映画祭では
リチャード役のジョン・マーレイが男優賞を受賞。
登場人物たちの『表情』をカメラが追い、
36時間で崩壊していく夫婦を描いたヒューマン・ドラマである。
オープニングがかなりシニカル。
この『フェイシズ』の映画上映会のシーンから始まる。
ある日のリチャード(ジョン・マーレイ)はバー『負け犬』で、
高級娼婦ジェニー(ジーナ・ローランズ)と出会い、大いに盛り上がる。
そして、帰宅して何気ない夫婦の会話の後、
リチャードは突然妻のマリア(リン・カーリン)に「離婚しよう」と告げ、
そのまま家を出て行ってしまうのだ。
呆然とした妻のマリアはディスコで知り合った青年、
チェット(シーモア・カッセル)と一夜を過ごしてしまうのだが…
酔っぱらい騒ぐ笑顔。
言葉遊びで大笑いする底抜けの笑顔。
機嫌をそこねて怒る男の顔。
恋した人との幸せな顔。
妻の作り笑顔。夫の作り笑顔。
妻の困った顔。夫のふっきれた無表情な顔。
どうして良いか解らぬ妻の顔。
自暴自棄の顔。
己を知る泣き顔。
若く興味本意の顔。
思いつめた顔。
次々と起こる出来事によってこれらの顔が生まれる。
時に激しく、時に静かに、そのメリハリたるや!!!
125分と長い作品なのだが、ドキュメントタッチな登場人物の世界に
どんどん引き込まれる。
ちょっと若いジーナ・ローランズがキュートに美しく魅力的。
ジョン・マーレイのしおれた?色気と言葉遊びも楽しい。
お金をかけなくてもこんな素晴らしい作品が生まれる、
カサベテスの才能と人徳を見せつけられた気がした傑作!











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