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November 14, 2004

「歩く、人」

[VIDEO映画]★★★☆☆

あっ!と思いレンタルで借りてきた。
ずいぶん前に三百人劇場で上映されていたのを、観そびれてしまっていた作品。
2001年制作の緒形拳主演のヒューマン・ドラマ「歩く、人」。

監督は「CLOSING TIME」「海賊版=BOOTLEG FILM」「殺し」小林政広
「海賊版=BOOTLEG FILM」が、とにかく強烈で印象的だった。
さて、今回はタイトルの「歩く、人」というだけあり、
とにかく主役の緒形拳が、とにかく『表情豊かにひたすら雪道を歩いている…』
そんな映画だった。

北海道、増毛(ましけ)で酒屋を営む本間信雄(緒形拳)は、
2年前に恋女房を亡くし、 家業を継いだ次男安夫(林泰文)と二人暮し。
折が合わない長男良一(香川照之)は家を出て恋人(大塚寧々)と同棲しバンド活動。
そんな信雄の密かな日課であり楽しみは、毎日片道8キロの鮭の孵化場まで歩き、
ほのかに恋心を寄せる職員の美知子(石井佐代子)と語り
鮭の稚魚たちを眺め彼女を背負ってあげること。
2日後の亡き恋女房の三回忌を機会に、
信雄は息子達、特に良一と向き合おうと家族3人を呼びよせる。
頑固おやじと性格の違う兄弟、そしてそれぞれの恋人達。
彼等の行方は…。

緒形拳の演技に風格を感じた。
他の俳優陣とは異質なまでの表現力。
ちょっとしたトコロにも繊細な芝居が施されており、
これが淡々とした映画に深いインパクトを与えているのだ。
なぜなら、
『表情豊かにひたすら雪道を歩いている…』
そんな映画だからだ。

恋する人に逢いに行くためにルンルン気分で長い道のりを『歩く』
うちひしがれて、トボトボと『歩く』
法事から家に向かうため、これはスタスタとただ『歩く』
ちょっとなげやりにズンズンと『歩く』
そして…コケる。

これまで『とある男に起こる非日常的な事件』
斬新な切り口で撮ってきた彼の作品とはちょっと違い、
自伝をベースにした『家族愛』『家族の絆』
真正面からゆるやかに描いた作品であった。
ただし相変わらず、極めて昔堅気な『不器用な男』が主人公である。
この、自分の息子にすら素直に話す事も出来ない初老の男が、
新たな恋にウキウキして、そしてその彼女に
「三回忌までは亡き妻への操を守る」なんて言っている姿!
可愛らしいではないですか。
そして、バックに流れるサン・サーンス「動物たちの謝肉祭」をベースにした音楽、
これがコミカルで、シ−ンによってニヤリ。
シークェンスごとの一言の筆文字は、緒形拳さんが考え書いたものだそう。
優しく味のある文字で、ちょっとこれにもニヤリ。

この監督の映画、雪国(というかこの増毛)でのロケばかりでどの話も銀世界…。
おそろしく低予算で作った映画ばかりだそうだが、
監督と脚本に魅せられて?常に豪華な俳優陣が出演している。
この作品の後「完全なる飼育 女理髪師の恋」が、
そしていよいよ「フリック」が来年公開。
ますます気になる、妙な魅力のある監督だ。

小林政広監督の作品詳細はこちら
モンキータウンプロダクション

http://members.aol.com/sarumachi/


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