「クリミナル・ラヴァーズ」
[DVD映画]★★★★☆
先日の「海をみる」に続き
フランソワ・オゾン監督の「クリミナル・ラヴァーズ」を。
このDVDには長篇「クリミナル・ラヴァーズ」と共に
短編「アクション、ヴェリテ」が収録されている。
この2作品には若さゆえの性への欲望、そしてタブーの領域へと切り込み、
それらを挑発しているようで、実はクギを刺している気がするのは気のせいだろうか?
世の中には、夢や妄想だけでは済まない、目を背けてはいけない事もあるのだと…。
そんな少し青く痛々しい香りのする2作品。
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「クリミナル・ラヴァーズ」[作品別評価]★★★★☆
“ 犯罪よ急げ。俺が虚無へと落ちるために。”
この詩の一節が印象的だった。
殺人を犯した17歳のカップルの逃避行を森の中で起こる
ある種の寓話的な幻想世界を描いたサスペンス・ドラマ。
監督・脚本は今、個人的マイ・ブームのフランソワ・オゾン。
この作品は彼の95分の長篇第2作目。1999年のフランス映画。
リュック(ジェレミー・レニエ)とアリス(ナターシャ・レニエ)。
この17歳の若い高校生カップルは
同級生のサイード(サリム・ケシュシュ)を計画的に殺してしまう。
そして、二人は遺体を捨てるために車で森へ…。
遺体を埋めたものの、森で迷ってしまった二人。
船で一夜を明かした翌日、彼等は森の中で一軒の小屋を見つけ、
小屋の主人が留守の間に食料を盗もうとしていたところへ
熊のような男の主人(ミキ・マノイロヴィチ)がライフルを片手に戻って来た!
そうして、二人は地下室に閉じ込められる。
食事も与えられずに、掘り起こされたサイードの死体と共に…。
アリスの日記。アリスの嘘。アリスの欲望。アリスの衝動。
17歳で書かれたランボーの詩。
これまでの彼等の時間が、地下室に閉じ込められた日々とこれらが交錯し、
次第に事実が明らかになってゆくのだ。
少し先に大人になり“欲望に忠実に先を急ぐ”アリスと
殺人を犯したのだが、未だ純粋な少年の心を持つ“無垢な?童貞”リュック。
彼等の殺人に至る経緯。これではあんまりではないか!
アリスの日記を読む小屋の主人はリュックを地下室から出し、
首輪につなぎ、身の回りの“あらゆる”世話にこき使う。
そしてリュックにだけ食料…しとめたウサギを与えて言う。
「食え。よく食って太れ」
自分達を食べるのなら、アリスにも食事をというリュックに、
「女はカサカサした骨と皮だけのほうが好きだ。
反対に男は丸々としているほうがいい」
と、この主人も相当怪人。
その主人に“飼いならされる”リュック。
片足の無いザイードの死体。
リュックを利用しようとするアリス。
絶望感と緊迫感は高まるばかり…。
まるで怖い童話の幻想を見ているかのような、森の中での非現実的な日々。
森に迷いこんだヘンゼルとグレーテルならぬ
人生の袋小路にまで迷いこんでしまったアリスとリュック。
だが、二人はサイードを殺したことにより、
どんどん墜ちている事だけは確かなのだ…。
脱出するチャンスが訪れた二人に、
自由で幸せな瞬間は長く続くはずもない。
犯した過ちは必ず自分に返ってくる。
所々に登場し、彼等を傍観する野生動物達とウサギ、そして白い鳥。
本能のままに生きる野生動物は狩られ、
純粋無垢なる鳥は空へと解放されたのだろうか?
この作品は青少年の犯罪の推進する作品ではない。
むしろそれを戒める寓話なのだ。
と、少し思った。
尚、俳優陣もなかなかの人選であった。
「天使が見た夢」のナターシャ・レニエ
「イゴールの約束」でデビューしたジェレミー・レニエ
「アンダーグラウンド」主演のミキ・マノイロヴィチ
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「アクション、ヴェリテ」[作品別評価]★★★★☆
フランソワ・オゾン監督による1994年のなんと4分の短編である。
二人の少年と二人の少女が
指名されて受けた命令を“実行する=アクション”か“正直に告白する=ベリテ”か
どちらかを選んで行わなければいけないという、ゲームで遊んでいる。
修学旅行や合宿などで子供の頃遊ぶようなあのような…。
男女関係に興味が出てくるお年頃。
ネタは、もちろん…“キスした?”だの“異性と寝た?”だのといった事。
単純なゲームゆえに次の“命令”は何か?彼等の幼い表情に
こちらもついドキドキしてしまう。
そして…
何となく4人の関係や性格を気付かせたところで、
このたあいのないゲームにすら、
きっちり衝撃的なオチをつけるあたりはさすが。
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クリミナル・ラヴァーズ
フランソワ・オゾン

DVD BOX「海をみる」「クリミナル・ラヴァーズ」「ホームドラマ」「焼け石に水」
及び短編のオゾン監督の初期全9作品を収録。
フランソワ・オゾン DVD-BOX
フランソワ・オゾン
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Comments
「クリミナル・ラヴァーズ」なんとも
愚かでやるせない話だけど
確かにあれで青年の犯罪があおられるということは
ないでしょうね。
むなしさが充分つたわりましたもの。
ひどい話だけど、いやな感じはなかった映画でした。
Posted by: ぽん | December 26, 2004 at 10:36 AM
不思議な作品でした。
人間の恐ろしさ、愚かさを“本当は怖い”童話のモチーフを使い描いているのが効果的だったのか、
いやな感じはしなかったですね。
色々深読みもできるラストでした。
Posted by: garam | December 27, 2004 at 06:08 AM