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December 28, 2004

「ロスト・イン・トランスレーション」

[DVD映画]★★★☆☆

彼女は、“人生のある一瞬のきらめき”を描きたいのかもしれない。
ソフィア・コッポラの映画監督作品「ヴァージン・スーサイズ」に続く
第2作目の「ロスト・イン・トランスレーション」。
またもや美しく懐かしい音楽と共に、
日本にやって来たアメリカ人男女の切ない一時が淡々と描かれる。
2003年製のアメリカ映画。

某ウィスキーのCM撮影のため、東京にやって来た
ハリウッド・スターのボブ(ビル・マーレー)は、言葉の壁のため、
どうも仕事上の意思の疏通が出来ずにストレスがたまっている。
カメラマンの夫の仕事に同行たシャーロット(スカーレット・ヨハンソン)は、
夫が多忙で放っておかれっぱなし…。
同じホテルに滞在していた二人は、ある日、ホテルのバーで出会った。
お互いに、充実しているはずなのにどこか虚しい日々を送っていた二人には、
いつしか淡い恋愛感情が生まれてゆくのだ…。

まったりとすすむストーリー。
高速から見えるビル群。
新宿。渋谷。中目黒。人の群れる街。人のいない街。
CMやスチール撮影の裏側。
あまりにもお粗末な通訳。偉そうな監督、へつらうスタッフ。
マシュー(藤井 隆)の異常なテンションのTV番組。
妙なアレンジもなく皮肉な位にストレートに描かれた日本。
どこかが、あやしくおかしな東京。

結婚25年にもなる妻子のいる男…忘れられたハリウッド・スター。
売れっ子カメラマンの夫と結婚2年の若い女。
必然的な贅沢な悩みなのだが、
どこか満たされず寂しく息苦しさを感じ、眠れない二人。
切ないが、旅するとよくある心情。
この二人が惹かれあうのは必然のように思われる。

ホテルから抜け出す二人は子供の様。
クラブ、カラオケ、若者達との交流。二人での食事。
最後まで、周囲の喧騒をよそに静かに寄り添う二人。
京都でシャーロットが見た和装の花嫁一行の鮮やかさ。
宝物のような時間を大切にしたいからこその純愛。
シャーロットを見るボブの目はいつも眩しそう。

相変わらずソフィア・コッポラ監督の音楽センスは素晴らしい。
ケヴィン・シールズ(マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン)、
AIR(エール)、ジーザス&ザ・メリーチェインなどを起用。
更には若者達と二人が歌う洋楽カラオケは
セックス・ピストルズの『ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン』
ザ・プリテンダーズの『恋のプラス・イン・ポケット』
ロキシー・ミュージック『モア・ザン・ディス』
ボブの歌う『モア・ザン・ディス』は聴けたものではないけれど…。

はっぴいえんど(松本隆、鈴木茂、大瀧詠一、細野晴臣が在籍していた)の名曲
『風をあつめて』で終わる所がニクイ。
この曲で日本人は、モヤモヤが全てが吹き飛ばされてしまうではないか。
ずるいなぁ。 
音楽と透明な映像にちょっとごまかされた気分にもなる、
不思議な世界だった。

ロスト・イン・トランスレーション
ビル・マーレイ

ロスト・イン・トランスレーション オリジナル・サウンドトラック
サントラ リチャード・ベッグス ケヴィン・シールズ 
セバスチャン・テリエ スクエアプッシャー デス・イン・ヴェガス


関連音楽(このアルバムに紹介した曲が入ってます)
風街ろまん 勝手にしやがれ!! Greatest Hits アヴァロン
 
 
■ 映画「ヴァージン・スーサイズ」のレビューはこちら
 

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