「バッド・エデュケーション」
[DVD映画]★★★★★
欲望と情熱と好奇心。ゲイの愛、絶対的な母性に対する憧れ。
監督の描く愛の形の根源がここに描かれているのかも…。
ペドロ・アルモドバル監督による
ゲイとゲイでは無い全ての人に捧げられたこの物語。
派手で大胆な色彩と美しい構図、描かれるのは生々しい人間の欲望と愛。
感想は賛否両論、男同士の絡みが苦手な方には勧められないが、
ちょっとしたサスペンス仕立てにより素直に楽しめた。
アルモドバル節は円熟しながらも健在だ。
2004年制作のスペインの作品「バッド・エデュケーション」。
原題は「LA MALA EDUCACION」。
1980年、マドリード。
映画の元ネタを収集している新進気鋭の映画監督エンリケの事務所に、
神学校寄宿舎時代の親友イグナシオと名乗る
役者志望の髭面の青年が売り込みにやってくる。
彼は自分の書いた映画の脚本を読んで欲しい、
そしてエンリケの映画に出演させてくれと言うのだが、
エンリケは少年時代と変わってしまった彼の風貌や、
イグナシオではなくアンヘルと呼んでくれという彼の言動に戸惑いつつも
ぐいぐいその脚本に惹きつけられていく。
何故ならそこに彼らの寄宿舎での少年時代の秘密が描かれていたのだ…。
初恋のイグナシオ、彼の脚本「訪れ」にも関心を抱いたエンリケは
この「訪れ」を映画化する事を決意した。
そして、制作が始まったのだが…
エンリケはイグナシオについての隠された真実を知ってしまう…。
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購入していたDVDをやっと観ました。
やはり…巨匠!大好きですっ!!
とにかく熱い視線!!
登場人物それぞれの熱っぽい視線がたまらない。
・突然現れた同級生だという美しい青年イグナシオ(ガエル・ガルシア・ベルナル)を
好奇心と共になめまわすように見る映画監督エンリケ(フェレ・マルティネス)。
・その監督に対するこれまた熱っぽい青年イグナシオの情熱的な視線。
・天使の歌声の少年イグナシオ(ナチョ・ペレス)を
涙を流さんばかりに見つめる若いマノロ神父(ダニエル・ヒメネス・カチョ)。
・その初恋?のイグナシオにちらちら目線を配る
同級生の少年エンリケ(ラウル・ガルシア・フォルネイロ)。
・劇中で登場するサハラ(ガエル・ガルシア・ベルナル)の同僚
ゲイの歌手パキート(ハビエル・カマラ)の男性を品定めする目。
・ベレングエル編集長(ルイス・オマール)のアンヘルを見つめる愛に狂える視線。
などなど…
男達の視線はなんと情熱的かつ欲望的なのだろう!!!
そしてその情熱と尽きる事の無い欲望は年月を経て数々の悲劇を生むのだ。
これらとは逆に遠巻きながら包み込むような女性達のあたたかい想いと眼差し。
絶対的な愛情をもって息子を信頼する、笑顔を絶やさないイグナシオの母と叔母。
目立たずさりげなく世話を焼く、若いメイクの女性(レオノール・ワトリング)。
彼女達が今回登場が少ないながら妙に印象的であった。
ここにはアルモドバル監督の母性に対する憧れや、
ある種のマザー・コンプレックスなどが表現されているのかも。
サハラを演じるガエル君の美しい女装、イグナシオとして見せる初々しい裸体…
反して、彼の中で渦まく欲望を見せる小悪魔的な表情の変化。
エンリケを演じる情熱家ながら繊細で冷静な部分も持つ、
フェレ・マルティネスの不思議な存在感。
エンリケの劇中映画「訪れ」のシーンを回想に使用し、
隠された真実をラストに向かってどんどん解明してゆく、
ちょっとしたミステリー的な展開もこの上なく上手い。
禁断の愛にふりまわされる様々な男達の欲情と欲望。
くり返し語られる新聞記事のネタ、ワニに食べられて死んだ女性の記事。
好奇心と欲望に勝てずに破滅に向かうと判っていながら
愛というものにふりまわされ続ける、そんな不器用な人間達が好きでたまらない監督。
鮮やかな色彩と共に、常に“様々な愛”について描き続ける
アルモドバル監督の情熱と好奇心の根源にふれた気がする、
生々しく美しいゲイ達の愛憎劇を描いた秀作だ。
[特典映像]
・ペドロ・アルモドバル音声コメンタリー
・削除シーン
・メイキング
・フェレ・マルチネス来日インタビュー
・オリジナル/日本版予告編
・ポスター・ギャラリー
・ジャンポール・ゴルチエ衣裳デザインギャラリー
バッド・エデュケーション
フェレ・マルチネス ペドロ・アルモドバル ガエル・ガルシア・ベルナル 
オール・アバウト・アルモドバル BOX
フェレ・マルチネス ペドロ・アルモドバル ガエル・ガルシア・ベルナル ![]()
特典映像が全てに付いているのでこれを購入。
「オール・アバウト・マイ・マザー」と「トーク・トゥ・ハー」そして
「バッド・エデュケーション」の3本入りのボックス。
3面デジパックのなかなかオシャレで豪華なパッケージ。
簡単な監督コメント・カード入り。
バッド・エデュケーション ヴィレッジブックス
バッド・エデュケーション
ペドロ アルモドバル Pedro Almod´ovar 佐野 晶 ![]()
「バッド・エデュケーション」オリジナル・サウンドトラック
サントラ サラ・モンティエル ヴィヴァルディ・イプシ・カタルーニャ少年合唱団 ![]()
■ 映画「オール・アバウト・マイ・マザー」のレビュー
■ 映画「トーク・トゥ・ハー」のレビュー










Comments
トラバ&コメントまで頂き、感謝です。
ボクのペドロ・アルモドバル初体験は
『オール・アバウト・マイ・マザー』でした。
その後、『キカ』『アタメ~私をしばって』と連続で観て、
“赤”の使い方が特徴的な監督だなぁと‥‥
それでもって、『トーク・トゥ・ハー』を観て、
頭をハンマーでぶん殴られたような衝撃を受けましたよ。
今作を含めて、ボクが一連の彼の作品を観て思うのが、
そのストーリー展開というか、映像センスというか、
他人がマネしようと思っても、マネできない才能を感じちゃう。
ひとつだけ彼の不満をあげるとすれば、その名前の難しさ(笑)。
我ら日本人には舌を噛みそうで、なかなか覚えられないよ(笑)。
Posted by: きのこスパ | January 14, 2006 at 03:16 AM
きのこスパ さん
こちらこそ!ありがとうございます!!
自分流に楽しんで映画を観ておられるなぁ…と、
レビューをいつも楽しく読ませて頂いております♪
アルモドバル監督の赤!
スペインのお国柄なのか日本人にはとても出来ない色使いで
とても印象的ですよね。
ワタシは『神経衰弱ぎりぎりの女たち』と『バチ当たり修道院の最期』の
2本立てが初体験でして(←古いなぁ)、
「何じゃこりゃ!」とぶったまげました…(笑)。
思いもつかない展開にはいつも驚かされます。
『オール・アバウト・マイ・マザー』『トーク・トゥー・ハー』と
近年どんどん濃厚に円熟しながらも、
常に様々な愛の形を描き続けるアルモドバル監督の
情熱と好奇心に触れた気になる作品でした。
映画のネタ探すためにエンリケのような感じで、
新聞のキリヌキしてそうですもんね…(笑)
Posted by: garam | January 17, 2006 at 12:07 AM