18 posts categorized "コミック"

July 29, 2007

「夕凪の街/桜の国」こうの史代

[コミック]★★★★☆

ちょっと気がひけて発売当初は手が出せなかったコレ。
少し後になって読んでみたところ
想像と少し違って面食らった記憶があります。
先日公開で実写映画化されたようで
予告編を観ていたら読みたくなって
薄いコミック本なので再読してみました。
すこぶる感動したり、涙が出るわけではないですが、
絵柄の素直さと広島弁の優しく飄々とした言い回し、
それに反する厳しい現実が絶妙に描かれています。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

物語は大きく2部構成。

第1部は「夕凪の街」
終戦約10年後の広島。
父、姉、妹を原爆で亡くした23才の皆実は
病気がちな母親とバラックで二人暮らし。
皆実が会社で働き、母の裁縫で貧乏ながら何とか暮らしていた。
一見復興したように見えるが、まだ傷跡の癒えない街や人々…
そんな皆実にもついにいい人が現れたのだが
原爆はまだ殺人を止めずにいた…

第2部が「桜の国」
その1前編が、
それから約20数年後?の東京新井薬師。
皆実の弟、養子に出た旭の娘の七波が主人公。
小学生の七波は、息持ちの弟凪生と
病気がちな祖母フジと父の旭との4人暮らし。
野球好きの七波はお隣の女の子らしい東子ちゃんと仲良し。
一見普通の家族だが、母は原爆症で若くして亡くなっていたのだ…
その2後編が、
そして、更に約20年後の平成16年。
最近動がおかしい父を久しぶりに偶然再会した、
幼なじみの東子と追った事で、七波と弟の凪生にも、
終わらない原爆の傷がふりかかっている事を再認識する事となる。
そして、父と母のなれそめに想いをはせるのだ…

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

そう。遺伝子にも刻まれるという放射能の傷。
地獄絵図を体験した人はもちろん、その子孫にまで及び続けているのだ。
ソレが原因ではないかもしれないのに差別や偏見すらまだまだ存在している…

少し前に原爆についての失言で更迭された人がいたが、
現在も終わらぬ戦いを強いられている国民がいる事を胸に刻んで頂きたい。

忘れ去られた遠い過去に起きた事ではないし、核兵器はまだ存在しているのだから…
自分の身内に被爆した人がいたら、絶対あのような発言は無いはずだもの…。


皆実の最期の描き方は秀逸。
押し付けがましくなく、そんな事を思える作品でした。
映画は…劇場ではなくDVD化を待つ予定です。


4575297445夕凪の街桜の国
こうの 史代
双葉社 2004-10

by G-Tools

「夕凪の街 桜の国」オリジナル・サウンドトラック
サントラ
B000PIU02A

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December 07, 2005

「監督不行届」安野モヨコ

[コミック]★★★★☆

Wアンノの新婚生活がこれであらわに!!!
セレブなヲタ夫婦の私生活に大爆笑&苦笑…プププ。
安野モヨコファンより庵野秀明ファン必見ですわ…こりゃ。

ご両人のご結婚報道には驚いた。
あの、「新世紀エヴァンゲリオン」「キューティハニー」の庵野さんでしょ?
美人画報」の安野さんでしょ…大丈夫か??
フロ無しアパートにお住みになり、
常にジャージの上下にサンダル姿、
スナック菓子を食しで生きておられる庵野さん。
超ラブリーな漫画家の安野モヨコさん。
食事は大丈夫か?住居は大丈夫か??そもそも会話は成立しているのか???
と勝手に心配しておりました。

読んで納得♪
安野先生=ロンパースちゃん、庵野監督=カントクくん。
何だ…セレブなヲタ夫婦、ラブラブじゃん…。
ていうか、安野さんってそんな人だったんだ〜ムフフ…
と、これまた勝手にひと安心♪
庵野さんのヲタパワー、優しさパワーで、
多忙な安野さんも癒されてるのね。

二人でアニソン熱唱♪
新婚旅行が富士急ハイランド♪♪
映画「恋の門」での共演秘話?。
どんどん増えるヲタグッズ…?おっ??

もしかして…我家もまるで貧乏な一種のヲタ家庭???
日々増える大量の漫画本や特撮DVD本、その他の趣味の専門書達。
そして、これまた増え続けるDVDやCDやサブカル本達。
これらを本棚に並べて満悦『本は財産』。
 
*巻末に『オタク用語2万字解説』(GAINAX全面協力)
 →用語解説だけでなく、各エピソードに対するコメントや、訂正もある。
  悲しいくらいに個人的には用語解説が必要無かった。
*庵野監督インタビュー。
 →嫁に対する愛情たっぷりで微笑ましい♪
  ホントにちょっとスリムで普通にステキになってました〜。
  モヨコ先生の愛ですな〜うらやしいっ!
 
監督不行届
安野 モヨコ
4396763530

 
■映画「キューティーハニー」 レビュー
■映画「式日」 レビュー
 

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July 02, 2005

「カリフォルニア物語」吉田秋生

[コミック]★★★★★

夢のカリフォルニア…
そこで傷付きN.Y.へ来た青年ヒース。
N.Y.で生まれ貧しく過酷な環境で育ち、
カリフォルニアに憧れる少年イーヴ。

彼等のN.Y.での不思議な共同生活。
同じ建物で暮らす仲間達、友人、知人、恋人、そして…
かけがえのない家族、家族同然の人。
あまりにもセツない過酷な現実に愕然とした。
涙が止めどなく溢れてくる。


随分昔に1巻目を本屋でパラパラめくった。
そこには、現在の吉田秋生氏の絵とは違った、
やや少女漫画チックなキャラクタ−達が居た。
マラソン・ランナーで、カリフォルニア裕福な家庭で育った、
だが、どこか傷付き恐れを含むトゲトゲしさのあるヒース。
一方、N.Y.っ子で天真爛漫な美少年イーヴ。
どうも…それ以上読み進める気が無くなった記憶がある。

それから20年近く経た後…
ふと…また文庫本化されているのを見つけて読んでみた。
ああ!なんて事だろう!!
こんな名作を読んでいなかったなんて…!!!
ここには吉田秋生氏の原点とも思える、
多くのものが、ぎっしりつまっていたのだ。

第1巻はまだまだ導入部分。彼等の出合いと
N.Y.での新しい生活が語られているにすぎない。
ヒースが頼ってきた家主のインディアン、
ブッチとスゥエナ兄妹、元恋人のエレイン、同じ家の住人達。

第2巻からヒースの傷、イーヴの不幸な人生、
決して美しくない、様々な人間関係が生々しく描かれ始める。
父親との確執。出来過ぎた良い子の兄テリーと比較される事の苦悩。
憧れの女性、兄の妻スージー。
悪い仲間によるジャンキーへの転落、そして…再生。
この巻の変化が目覚ましい。
後半になると絵柄も内容も現在のタッチに急激に近づき
最初と最後で人物の顔やスタイルがかなり違う所が面白い。

第3巻。突然の兄の死でヒースは故郷へ帰る。
少しずつ変化していたカリフォルニア。
同性を想う肉体関係を含まぬ、深く無条件な愛情。
知らなかった母や家族…兄の本当の思い。
トラウマや青春の過ちからの復活。

第4巻でもはや吉田秋生ワールドは出来上がる。
異性同士の決して結ばれる事の無かった恋の結末はあまりにも残酷であった。
様々な愛の形、更に追い討ちをかける度重なる不幸な現実、
そして…それらを乗り越えた後に残る優しさと静けさ。
「BANANA FISH」を彷佛させるハード・ボイルド&ミステリーな展開にも驚いた。
頭の薄いちょっとおデブなチョビヒゲおやじ、市警のジェンキンズと、
すっとぼけた部下チャーリー、同性愛者のリロイやアレックスが大活躍!!!

極めて人間的な人物像。妙にリアルでカラッとしたベッド・シーン。
絶対的な美貌や魅力を持つキャラクターの存在。
性別を超えた深い純愛を育む青春。
そして…冷酷な現実の中にもある一筋の光で、
人間の存在する意味を優しく肯定する。
一見クールなようで、非常にハートフルな、
この吉田秋生ワールドが初の長編で徐々に進化する様が、
驚きと共になかなか興味深い作品である。

尚、第4巻の巻末に収録されている、カリフォルニア物語〈番外編〉「夢の園」
こちら兄テリーから見た年の離れた、
幼い弟ヒースへの愛情が綴られている。
弟が兄を失うまで忘れていた、幼い日々…。
年齢差のある兄弟姉妹の関係とは…こんなものかもしれない。
彼等の行く末を知っているだけに、目頭が熱くなった。
 
 
カリフォルニア物語 (1)
吉田 秋生
4091910017

カリフォルニア物語 (2) カリフォルニア物語 (3) カリフォルニア物語 (4)

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July 01, 2005

「しなの川」上村一夫/岡崎英生

[コミック]★★★★★

全三巻での完全版としての復刊だったがついに完結。
昭和の絵師上村一夫が原作者の岡崎英生と組んだ作品「しなの川」。
通して描かれるのは雪絵という
美しく淫蕩な血を持つどこか孤独な女を通しての、
人間の本能であり煩悩であり諸行無常である。


雪の深い昭和初めの信濃川…
新潟から始まる美少女・高野雪絵の
一生を描いた大河ロマン…

第1巻では、富裕な商家の娘である雪絵と
奉行人・竜吉との甘くて切ない初恋が初々しい。
父親から強制された寄宿学校での教師・沖島との初めての大人の恋愛。
まだまだ恋愛に関して厳格だった時代に、自分の感情に忠実に生きる雪絵は、
周囲から白い目で見られるのだった…。
そして知った出生と母親の秘密。
彼女の初体験まででこの巻は終わる。

第2巻、ついに雪絵の悲しい青春が始まる。
出生時から背負う不幸な宿命、雪絵の母親から受け継いだ淫蕩な血。
彼女の愛は、関わる男を翻弄し狂わせ不幸へ追いやってしまうのだ。
戦争色が強くなった頃…雪絵は16才で一人の男の不幸な最後を見送った。
そして自分の血の宿命を辿るべく、伊豆から佐渡へと母親を求めて旅に出る。
愛した男との悲しい別れ。母親との再会。母親の死。実家の崩壊。
雪絵の家族は皆、この血に逆らえず墜ちてゆく…。
故郷を追われ、東京へと愛しい男を頼ってゆくが、
思いもかけない裏切りに合う。
雪絵は17才にして、人生に絶望するのだ。

第3巻、九死に一生を得た彼女であったが、
血の宿命からは逃れられず、おまけに病魔に蝕まれる。
命を救った医師・安西と結婚、妊娠、娘・小夜子を出産するも
画学生、秋山との不倫に耽る雪絵だった…。
世は増々戦争へと向かう中、妻の不倫を知りながらも、
女性より顕微鏡を覗く事に恍惚とする安西…。
そして母の行動を見ている幼い小夜子。
雪絵の子達もまた、血の宿命を背負い、数々の過ちを犯しながら、
次の子達へと人生を歩むのだろうか?

赤の他人と愛しあい、子が生まれる、家族というものの不思議。
自分は淫らな血族の途中経過だと言い切る雪絵35才。
「愛ですって!?ふんっ。」
人が本当に愛せるのは風景だけだ…
そう思った人生の終わりに、あんなに嫌われた故郷、
でも、懐かしいその風景の中に居たかったのか、
「再び見ることはあるのだろうか?」
そう思っていた信濃川を雪絵は再び見ていた。
美しく淋しい雪景色の中に走る大きな流れ。
そこで、まさかの衝撃的なあの人との再会があるとは!!!
雪絵はきっと救われたに違い無い。
生まれて、生きて、愛して、良かったと…。


全てを淫蕩な血のせいだとするのはズルいと思うが、
感情を抑えられず行動してしまう雪絵の人生は、
絶望を経験したからかもしれないが、悲しくも力強さを感じてしまう。
家族や恋人と共にいる時に感じる、なんとも言えぬ激しい孤独感、
奇跡とも思える出会いが、誰にもあるのだとも思った。
生まれてきた事には理由があるに違い無い。
そして、誰もが大きな流れの途中経過に過ぎないのだ…。

しなの川 (第1巻)
上村 一夫
4902800764

しなの川 (第2巻)
上村 一夫
4902800772

しなの川 (第3巻)
上村 一夫
4902800780


由美かおる主演の映画「しなの川」「同棲時代」、
この2作品収録のDVD-BOX。
由美かおる DVD-BOX
由美かおる 上村一夫 岡崎英生 野村芳太郎
B0001L7T98

現在「同棲時代」全巻で復刊中。
2005年秋に「淫花伝 阿部定」が全2巻、
関東平野 上村一夫でいずれも発売中。
 
上村一夫の作品
■ 上村一夫の作品紹介 1 はこちら
■ 上村一夫の作品紹介 2 はこちら

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June 11, 2005

「SEX」 上條淳士

[コミック]★★★☆☆

長い間待ちました!!!
というか、もはや期待していなかった…。
ついに上條淳士作「SEX」最終巻が先月発売された!
つまり完結!!!!!
こんなに喜ぶのには理由がある…。

30代の方々にはシャープのラジカセの広告でおなじみの
To-y」なんかが有名な漫画家先生の幻の迷作「SEX」。
旧版豪華本発売の1巻が1989年発売、2巻が1993年発売、
▼コレ
SEX 1 (1) SEX 2 (2)

そして…3巻目までが長すぎ!なんと12年!!
以前の氏の相方との権利の問題などで、
単行本化にこんなに長い年月が空いたそう。

そして、12年の間をおいて初めて目にする幻の3巻目、
今回は単行本でリーズナブルになり、
全て書き下ろしカバーで、毎月1冊7ケ月にわたって発売されたのだ。
それと共に所々に使われていた2色刷りが無くなりちょっと寂しい…
更に、時代背景も変わっている事やその他事情で、
ちょこちょこセリフや絵等も変更してあるらしい。

如何せん、間が空き過ぎて物語を忘れている!
しょうがないので実家に有る1・2巻も新たに買い直し、全巻ゲットを決意。
それにしても、上條淳士先生、
正直この数カ月“毎月発売”にヒヤヒヤしていた。
果たして無事に完結するのだろうか…またもやぱったり…なんて。
だってこれまで何度もすっぽかされてばっかりだったから…

大人の女のムード漂う、ハイヒールが好きな女子高生のカホ
カホと幼馴染みで、マユ無し金髪がトレードマークのナツ
ちょっとアブナイ謎の多い青年、色盲のユキ
の3人が基地のある街、沖縄、福生、横須賀を
彼等の青春と危険な裏社会をするりとくぐって、
幼い時代の夢や想いと、儚い現実と共に駆け抜ける…
夏から始まり、次の夏へ向かって終わる、
異常に老けた美しい高校生達と青年一人、
彼等に振り回される、裏社会で凄腕の大人達の物語。
上條氏お得意のミュージシャや俳優さん激似の登場人物達が発する、
ちょっとコミカルなセリフが楽しい。
どんなにクールなキャラクターでも、ついつい見せるおちゃめな一面にニヤッ。
そして何処かで見た基地の街のあの風景がそのまま、ここへ切り取られている。
金網フェンス、米軍ハウス、場末のバー、裏通りの街…
さらりとしたティーン・エイジャー達のハード・ボイルド。

通して読んで、腑に落ちないトコロも有りつつ、
何だちゃんと結末まで出来ていたのね!と、妙な所に感動。
上條先生、疑ってごめんなさい!!
きっとラストは出来て無いんじゃ…と思っていたけど、
このインパクトのあるタイトルに、ちゃんとオチていて満足。

ロッキン・オンにも掲載されていた“after SEX”
漫画家さん達、元スタッフによるトリビュート“another SEX”
幻のカラーイラスト集“super SEX”
なども収録されているので、お好きな方、お好きだった方は、
買い直して損はないかも。
個人的には、あ〜すっきりした。


Sex 1 (1)
上條 淳士
4091531814

Sex 2 (2) Sex 3 (3) Sex 4 (4) Sex 5 (5) Sex 6 (6) Sex 7 (7)


近年連載している「8(エイト)」でも
上條節健在!!

8(エイト)1
上條 淳士
4091867219

8(エイト) 2 (2)
上條 淳士
4091867227

8(エイト) 3 (3)
上條 淳士
4091867235

 
こんなところに上條淳士
哀川…ならぬ、吉川晃司さんのイラストは、なんと上條淳士氏!!!

TO-Y 2 (2) → KOJI KIKKAWA CONCERT TOUR 2002“SMASH THE PANDORA” The Gundogs
 

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June 09, 2005

「螢子」昭和抒情歌50選 上村一夫/久世光彦

[コミック]★★★★☆

まず、ずっしり重い上巻のボリュームに驚いた。
ちょっと値段が高価だったが納得。
見事に復刊され、嬉しい限り。
一青 窈氏のリスペクトも頷ける。

昭和の絵師上村一夫と名プロデューサー久世光彦による、
歌謡曲と劇画のコラボレーション作品。
艶かしく奔放なのに、どこか慎ましく、生きる、
ちょっと不幸な昭和の女、螢子(ほたるこ)の日常を
一話ずつ当時の抒情歌の歌詞と共に描かれた名作「螢子」昭和抒情歌50選
上巻30曲、下巻20曲と分れている読みごたえ十分な作品。

著名な作曲家、作詞家先生、ミュージシャン達の
昔、聞いた事のあるような、
懐かしい、またはちょっと埋もれかけた楽曲達。
子供の頃には理解出来ていなかった、
これら、昭和の抒情歌の奥深さ、
言葉の持つ美しさ、淋しさ、侘びしさ、恐ろしさ…
当時の女の悲しい生き様に“じん”とする。


待つ女、螢子(ほたるこ)のどこか不幸で、奔放で、
女という事を楽しむ姿勢。
母親との子宮の歴史。
そして、静かに狂う母を持つ、
幼いながら女の性を見過ぎてしまった
少女カオリとの奇妙な生活。
彼女達の日常が一話ずつ
懐かしい昭和の抒情歌、ある時には童謡一曲ずつとリンクされ、
とりとめもなく綴られてゆく…。

螢子と少女カオリの関係が、
次第に親密かつ深いつながりとなる。
母親と娘の神秘的な血縁。
父親や夫の身勝手でもある女性へ求めるロマンスと母性。
そして…見知らぬ男性の性。
崩壊する家庭。

螢子は新たな命と旅に出る。
カオリも自分自身の旅路を決意する。
ゾロメの人生、老若男女、人それぞれ。
涙を隠れて流す、激しく、強い女達。
自分の原点、昭和の時代。
歌詞の激しさと美しさ、そして浪漫。

荒木一郎藤竜也グレープ小椋桂沢田研二
井上忠夫絵夢五輪真弓美空ひばり浅川マキ
徳久広司大下八郎梓みちよ内藤やすこ研ナオコ
日吉ミミ井上順泉谷しげるみなみらんぼう
来生たかおさだまさし郷ひろみ井上陽水清水健太郎イルカ
吉田拓郎山口百恵山崎ハコ岩崎宏美アリス李成愛狩人
岸本加代子、美川憲一やしきたかじん水谷豊町田義人茶木みやこ
森田公一とトップギャラン

こんな歌があったんだ。
こんな歌をそういえば聴いていた。
あの時、あの頃、ラジオから流れる歌を
耳で聴いて覚えて歌った歌は
文字で書くと、こんなだったんだと、改めて驚く。
これらの抒情歌が、上村一夫と久世光彦の手にかかると、
昭和の女達の切なくドロドロとした、
とんでもないファンタジーへと生まれ変わる。

母娘の不思議な運命のつながりやトラウマを、
ひしと感じる今日この頃。
この作品に出会えて良かった。
 
 
螢子と少女カオリの不思議な関係。
圧巻の昭和の歌謡30曲分。
*CDではありません。コミック本です。
蛍子—昭和抒情歌50選 (上)
上村 一夫
483544177X

女同士の奇妙な関係と顔の無い男。
心にしみる昭和の歌謡20曲。
*CDではありません。コミック本です。
蛍子—昭和抒情歌50選 (下)
上村 一夫
4835441788

現在「しなの川」「同棲時代」と続々復刊中&予定です。
上村一夫の作品
■ 上村一夫の作品紹介 1 はこちら
■ 上村一夫の作品紹介 2 はこちら

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May 26, 2005

「ラヴァーズ・キス」吉田秋生

[コミック]★★★★★

大好きだよ、のキス。
男女なんて関係無い、軽くふれあうだけの相手を愛しむキス。

久し振りに読んだ。
鎌倉のとある高校での、ある時期の出来事を
登場人物それぞれからの視線を通して交錯させ、オムニバス風に描いた短編集。
この一冊全てを読み終えると…
一つの『ある場所、ある時、ある出来事』を多面的に描いた作品となる。
そして、同じ出来事でもこんな風に色々な面を持ち、
人それぞれ、こんなにも感じ方が違い、
仲が良いほど、近しいほど、知らない事がたくさん有るのだと思い知る。
吉田秋生の作品の中でも完成度の高い作品「ラヴァーズ・キス」。

何故今になって映画化されたのが解った気がする。
随分前の作品だが、全く古臭く無い。
思春期の揺れ動く感情を切り取った、
ある種普遍的な物語でもあるのだ。


姉の恋人
姉の恋人を好きな男
姉の恋人を好きな男を好きな男
姉の恋人を好きな男を好きな男の親友=妹
姉の恋人を好きな男を好きな男の親友=妹の好きな人=姉の親友

川奈里伽子、藤井朋章、鷺沢高尾、緒方篤志、川奈依里子、尾崎美樹、

まるで言葉遊びのように複雑な人間関係。
誰にでも悩みはある。それを感じるか感じないかだけ。
隣の芝生は良く見える。他人の家族が良く見える。
告白出来ない恋もある。
告白出来ない事もある。
知った方が良い事もある。
知らない方が良い事もある。
知っていても知らないふりをする事も大切な事を知る。
そうすると世界は今までと違って見えてくる…。
こうして思春期の若者達は少し大人になってゆくのだ。

人との出会い。出会うタイミング。
『好き』になってしまったら、それはその時の感情だからしょうがない。
『好き』と思う気持ち。相手を愛しむ事。ドキドキする感情。理由なんて無い。
色々な『恋』。色々な形の『愛』。
とても美しくキラキラした幼い頃の『片思い』
そして…綺麗事だけでは済まされない少し歯車の狂った『愛憎劇』

しょーもない青春時代を送って、
いい大人になってしまったワタシにとっても、
忘れていた事を思い出させてくれた、
そして、少しだけ心が広くなったように思えた一冊。

4091911838ラヴァーズ・キス
吉田 秋生

櫻の園 白泉社文庫 吉祥天女 (2) 吉祥天女 (1) 夢みる頃をすぎても カリフォルニア物語 (2)

by G-Tools

DVD映画
LOVERS' KISS ラヴァーズ・キス
平山綾 吉田秋生 及川中 後藤法子
B00009PN6L

 
■映画「ラヴァーズ・キス」レビュー
 

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April 27, 2005

「オールド・ボーイ —ルーズ戦記」

[コミック]★★★☆☆

先日観た韓国映画「オールド・ボーイ」があまりにも強烈だったので、
原作である、土屋ガロン・作/嶺岸信明・画の
オールド・ボーイ —ルーズ戦記」を読んでみた。
読んでみるとやはり“日本の漫画”だなぁとひしひし思える作品。
映画の“熱くパワフル”で重厚なイメージに反して、
こちらは極めて日本的な“地味でクール”で陰湿な物語。

ごく普通の貧乏でサラリーマンだった五島慎一は
新宿を飲み歩き酔いつぶれたある日、
謎の監禁施設7.5階の1室に10年間軟禁された。
そして、ある日突然解放される。

なぜだ…?
 いったい誰がオレを こんなところに!!

渋谷の公園でスーツケースに詰められ解放された彼は
10年間テレビで観て得た知識を活かし、鍛えた体を試すべく、
“逆オヤジ狩り”なんかをしてみる。
10年ぶりに入った居酒屋で働いていた純粋な少女エリ。
行きずりの彼女の部屋で一夜を共にする事に…
そして彼女に自分の経験した事を語るのだ。

一体誰が 何の目的で…

彼はその謎を知るべく、自身でその敵を追い始めた。
まずは彼が幽閉されていた場所を、
与えられていた中華料理の味を求めて探し出す。
だが判明したのは…1泊30万円、途方も無い金額での自分の軟禁依頼。
敵はかなりの財力を持つヤツだ。
そして、元同僚の店のある、新宿ゴールデン街をねじろに追跡をするのだが、
逆に五島の身近に迫り来る敵は『命をかけたゲーム』を提案してきた。

キミが思い出してくれれば勝者はキミ
 わたしが告白せざるを得な場合はキミは敗者だ

仮名・ヤマシタ、仮名・堂島
元同僚、元彼女
女教師、同級生
女流作家、女奇術師
雇われた謎の女達、雇われた謎の男達
太陽と月の関係
10代の記憶

キミさえ存在しなければ…
 10代の頃
 わたしはそればかり考え続けていた…

五島は思う。これは戦争だ。

価値観の異なる者たちが
 それでも互いに執着して相手を滅ぼそうとするルーズな戦争…
 この社会はそんなくだらないことにしか人間に生甲斐を感じさせないほど
 退廃の極みに達してしまったのかもしれない

平成のバブル景気とその崩壊を経験した日本。
遠い昔、記憶から消えていた人間からの、思いもかけぬ復讐。
それを思い出さなければゲームで負ける=すなわち死。
敵の企てた細密な仕掛けの中で踊らされ、だが自力で立ち向かう五島。
そして彼の周りに集まる協力者達…。
人に好かれる事で妬まれる。
地味で普通な生活を送ることすら憎まれる。
特別な理由が無くても、憎まれていなくても“誰でも良かった”と殺される。
自ら“仮想敵”を作り、憎む事に生甲斐を求めている人間。
物語の中だけにしてもらいたいが、現実とは掛け離れていて欲しいのだが、
意外とゴロゴロしているのかもしれない。
東京が舞台というのもあり、昨今起る事件などからも、
妙なリアルさと後味の悪さが残る作品だった。

「オールドボーイ」コミック 土屋ガロン・作/嶺岸信明・画

ちなみに映画「オールド・ボーイ」はこれを原作にしながらも、
非常に素晴しい脚色を施されて全く別の物語として生まれ変わっている。
国民性の違いをうまく反映し、万国共通の人間的な心理操作、
熱くみなぎるパワーとコミカルさ、そして全く別の“理由”と衝撃を加えた
見事な映像作品だと改めて思う。


オールドボーイ—ルーズ戦記 (1)
土屋 ガロン


オールドボーイ—ルーズ戦記 (2) オールドボーイ—ルーズ戦記 (3) オールドボーイ—ルーズ戦記 (4) オールドボーイ—ルーズ戦記 (5) オールドボーイ—ルーズ戦記 (6) オールドボーイ—ルーズ戦記 (7) オールドボーイ—ルーズ戦記 (8)
by G-Tools


オールド・ボーイ プレミアム・エディション
チェ・ミンシク パク・チャヌク ユ・ジテ カン・ヘジョン

■映画「オールド・ボーイ」レビュー
 

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April 05, 2005

ダウンロードで読める上村一夫の作品

[ダウンロード・コミック]

続々追加されてます。ダウンロードして読むコミック!
但しMACは現在非対応だそう…。
古本でしか読めないものも、こんなモノで読めるようになるとは!!
凄い世の中になりました。


「狂人関係」

狂人関係 (1) 狂人関係 (2) 狂人関係 (3)

「修羅雪姫」

修羅雪姫 (1) 修羅雪姫 (2) 修羅雪姫 (3) 修羅雪姫 (4) 修羅雪姫 (5)


「同棲時代」

同棲時代 (1) 同棲時代 (2) 同棲時代 (3) 同棲時代 (4) 同棲時代 (5) 
同棲時代 (6) 同棲時代 (7) 同棲時代 (8) 同棲時代 (9) 同棲時代 (10)


「関東平野」

関東平野 (1) 関東平野 (2) 関東平野 (3) 関東平野 (4)

「バーボン警察」

バーボン警察 (1) バーボン警察 (2)

■上村一夫ダウンロード・コミック

上村一夫の作品
■ 上村一夫の作品紹介1はこちら
■ 上村一夫の作品紹介2はこちら

(2005.4.5現在随時追加変更) 
 

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「狂人関係」

[コミック]★★★★★

昭和の絵師が、江戸の絵師やその周囲の人々を“粋”にそして“活き活き”と描く。
上村一夫の最高傑作のひとつである劇画「狂人関係」。
下町の町人達の生活、芸術、情熱、愛情、そして死と生(と性)が、
時には高尚に、基本的には庶民的に綴られてゆくのだ。
とにかく上村氏の浮世絵のような江戸のモチーフが美しい。

かの葛飾北斎を師と仰ぎつつ、春画ばかりを描く若い絵師、捨八。
北斎の娘で、自らも絵筆を持つ出戻り女のお栄は、
そんな飄々とした捨八を慕っている。
そんな捨八はある日出会った、不幸な境遇の情熱的な美女…
八百屋のお七に興味を持ち、彼女を女として育てようと心に決め、
お七との愛欲に共に溺れつつ、共に暮らし愛を深めてゆく…。

お栄は天才絵師の北斎や捨八に振り回されながらも
自分の気持ちを極力抑えて、ひっそり捨八を愛している。
だが、捨八はお七にゾッコン。自分には振り向いてくれない。
一方お七は、自分の情熱の赴くまま、
“火事”で欲情してしまう自分を抑えられず、
ついに一線を越え、獄門の刑を夢見るのだ。

正反対の性質を持つ女性、お栄とお七による捨八をめぐる静かな愛憎劇。
元から決して共感する事のない対照的な二人がそれぞれに魅力的だ。
主に身体で捨八を激しく愛する派手好きなお栄。
それとは逆に、密かに一途に献身的に心で愛する家庭的なお栄。
皮肉な事に、お七にとって捨八は運命的で重要なのだが、あくまでも通過点の男であった。
そして、捨八にとってもそれは同じだったのかもしれない。
お栄はとにかく捨八に、師匠の娘や、母としてでは無く、
純粋に“女”として愛して欲しかったのだ。
気持ちが通っていてもままならぬ事もある…。

江戸の絵師達、北斎、歌磨呂、安藤広重、版元の蔦屋重三郎、作家の滝沢馬琴
などの有名人のエピソードと共に、北斎と捨八のコミカルな軽妙さに騙されながら、
するすると自ら江戸の街へと入り混んでしまう。
才能があっても無くても思うように行かぬ、人生の生き地獄。
そんな中にも個々の人間が、自分の生きる意味を見出せた時の幸福感や
瞬く間であっても快楽や達成感は一瞬の極楽気分。
通して語られているのは諸行無常。
命の蝋燭が消えるまで、人は皆生きそして逝く。
死んでしまえば皆同じ…。

こんな江戸の人情絵図を絶妙な筆のタッチで描く上村氏の劇画。
どの女性も似たような顔だが、微妙な目つきで性格が解る。
彼の描く艶っぽい女性、そして女の情念を描くのがとにかく上手い。
そんな上村氏に魅せられるきっかけとなったのがこの作品。
何度読んでもやっぱり素晴らしい!!!

この春から「螢子〜昭和抒情歌50選」「しなの川」「同棲時代」と
上村一夫の作品が続々復刊されるそう。
この機会にゼヒ手に入れたい!!!

■文庫本:「雲古譚」「西瓜」「水鉄砲」を収録した完全版。
狂人関係 (1)〜 (3)

狂人関係 (1)
上村 一夫


狂人関係 (2)
上村 一夫


狂人関係 (3)
上村 一夫

by G-Tools

■「狂人関係」がダウンロードで読めます! 

狂人関係 (1) 狂人関係 (2) 狂人関係 (3)
 
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