10 posts categorized "書籍"

March 05, 2005

「光の雨」小説

[書籍]★★★★☆

映画「光の雨」の原作である立松和平の長編小説「光の雨」。
連合赤軍による同志リンチ事件という事実を元に描かれたフィクション作品。
615頁の分厚い文庫だが、あっという間に読めてしまう。
自分もこの小説の主人公である若者のように『術にかけられた』気分であった。
こちらは同志リンチ事件の当事者で生き残り、すっかり老人になった玉井潔が、
アパートの隣の若者とその彼女…玉井曰く、二人の天使に
“あの事件”…自分達が夢見た『革命』とその終焉を語って聞かせ伝える物語である。

玉井潔は“あの事件”で死刑判決を受けた後釈放されたのだが、
世間から隠れ忘れられた質素な生活を送っていた。
そして常に“あの事件”で死んだ同志達の幻影や自分の罪の念に悩まさている。
病魔に犯されもはや死を待つ身で“あの事件”の記憶を持ってこの世に留まり、
“自然死”する事が同志達への贖罪のつもりだったのだが、
60年後の2030年、アパートの隣の予備校生の阿南満也に
その苦しみのうわ言を聞かれ、この若者に“あの事件”の同志達の記憶を伝えれば
自分がいなくなってもこの世に同志達の記憶が残るのではないか!!!と、
自らの記憶や時には死んだ同志達の記憶を憑依させて語り出すのだった。

隣の部屋の謎の死にかけた爺さんのとんでもない物語に、
どんどん『術にかけられた』ように引き込まれる阿南満也と同じクラスの高取美奈。
彼等と同じような年頃の若者達が60年前に夢見た『革命』とは?
自分達が殲滅戦の火蓋を切れば、あちこちから民衆もあとに続き立ち上がり、
権力による弾圧や貧富の差のない世の中になると信じていた彼等。
その権力へ対抗するために銃を神聖化して強奪し、山に篭もった若者達。
隔離された厳冬下の雪山での極限生活と訓練の中で、幻想は妄想へと変化してゆく。
同志の逃亡と粛清。そして、『総括』援助という名の死へ向かうリンチ。
14人の同志はどうして殺されねばならなかったのか。
そして、彼等は何故殺したのか?

追い詰められた彼等、机上の理論と現実とのあまりにものギャップ。
死をも恐れない『革命戦士』を作り上げる為に、
到底無理な個人の中の矛盾を理詰めで総括しようとした彼等の行動は、
閉鎖的な雪山の中で『革命』からどんどん外れてゆき、
自分を守るための『総括』となっていったのだ。

彼等の夢みた平等な世界、社会主義的な世界。
それが崩壊した現在になんとも虚しさがつのる。
彼らの犯した罪と共に生き続けた玉井は二人の若者への懺悔で救われたのだろうか?
若い現代の若者の中では何が起こったのだろうか?
現実においても、そういった幻想や妄想が国家レベルであったり、
コミュニティレベルであったり、実際に存在するだけに複雑な思いになる。
その先に何が起こるのか…。
温故知新、こういった事件を知ることは必要だと思う。

文庫本  
光の雨
立松 和平

ハード・カバー
光の雨
立松 和平

映画DVD
光の雨 特別版
萩原聖人 裕木奈江 山本太郎 大杉漣


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■ 映画「光の雨」のレビュー
 

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January 04, 2005

「楽しい古事記」 

[書籍]★★★★☆   

殺して歌って交って』…なんと古事記とはそんな書物だったのか!!
日本の神話や古代史をざっくり読むならコレ!
短編の奇才、古典の水先案内人である阿刀田 高楽しい古事記
学生時代、「古事記」の原書や訳書のさわりを読んだ…というか眺めたが、
なかなかこれを全て読破しようという気にならなかった。
ところがこんな、こ難しい古典も阿刀田氏に料理されると、
楽しい読み物であり手引書となる。
大和朝廷の都合の良いように編纂された「日本書紀」や「古事記」、
そういった部分も含め、
阿刀田氏独特の“脱線”エピソードも人気者の先生の講議を聞いているようで、
引用、解説も格別に上手でするっと入ってくる。

イザナギ・イザナミによる、“くにつくり”から始まり、
女帝、推古天皇までで終わる「古事記」の旅。
国内旅行、特に九州・山陰・関西への旅にのお供にも良いのでは。
阿刀田氏のように、
このあたりかな…、あのあたりかな…』と、
気ままに伝説の土地に思いを馳せるのも、なかなか感慨深いもの。
以前住んでいたあの土地がまさか?? などという身近な興奮も味わえたりも!

・国の始まり—イザナギ・イザナミによる建国
・岩戸の舞—アマテラス大御神、岩戸に隠れる
・神々の恋—八俣の大蛇退治と因幡の白兎
・領土問題—オオクニヌシの治世
・海幸彦山幸彦—兄弟の争い
・まぼろしの船出—神武天皇の東征
・辛酉にご用心—崇神・垂仁天皇の治世
・悲劇の人—ヤマトタケル伝説
・皇后は戦う—仲哀・応神天皇の治世
・煙立つ見ゆ—仁徳天皇の権勢
・殺して歌って交わって—雄略天皇の君臨
・女帝で終わる旅—返り咲いた顕宗・仁賢天皇

こんな目次を読んでお解りのとおり、
ひたすら古代の神々や人間が『殺して歌って交って
八百万の神が増えてゆき、もちろん人口も増えてゆくわけだ。
イザナギ・イザナミのエピソードによると、彼等によって
千人死んだら、千五百人生まれる』事になったのだが。
ギリシャの神々も同じように度々姿を変えては人間と交り子を成す。
こうなっては、誰が神の子であるか解らないのだが…元は同じか。
古代のこういった考え方は何処も似ているのかな…と少し思う。
寓話あり、旅行記あり、ドラマあり、もちろんエロスあり…
そんな、文字どおり「楽しい古事記」であった。


楽しい古事記
阿刀田 高

この一冊で読める!「日本の古典50冊」 ものがたり風土記 アラビアンナイトを楽しむために シェイクスピアを楽しむために 続ものがたり風土記

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December 06, 2004

「ナルニア国ものがたり」

[書籍]★★★★★

この懐かしく大好きなファンタジー「ナルニア国ものがたり」が
2006年春、ディズニーで、しかも実写で映画化???先週の話である。
そして、サブタイトルが『ライオンと魔女』というから、
ちゃんと1作1冊分で、全7作になると嬉しいのだが。

4人のきょうだいが疎開先のお屋敷のクローゼットを開けると…
そこは別の世界、ナルニアだった。
動物たちが話し、魔女やライオンのアスランが出て来るあの話。
時間の流れの違う別次元のナルニアへは彼等が行く度
意外なトコロに到着してまず、現状把握から始まるという、
児童書にしてドキドキ、ワクワク相当楽しんだ記憶がある。
基本的に“善悪の戦いなので、時には???な部分もあるが、
“国の栄衰”まで描いているのが奥深いところ。
挿し絵も綺麗だったので、実家の本棚をあさってみよう。
映画がどんな風に描かれるのかが楽しみだ。


ナルニア国ものがたり」は以下の7冊からなるファンタジー大作。

ライオンと魔女
地方の古い屋敷にやってきた4人きょうだいが、ある日大きな衣裳だんすに入ると、そこは雪の降りつもる別世界、ナルニア国だった。
ナルニア国ものがたりシリーズ第1作。

カスピアン王子のつのぶえ
魔法の力でナルニアへ呼び戻された4人きょうだい。暴君のもとで荒廃しきったナルニアで、4人は殺されかけた王子を助ける。
ナルニア国ものがたりシリーズ第2作。

朝びらき丸東の海へ
いとこの家に来ていたエドマンドとルーシィは、部屋の額の絵の中へ吸いこまれる。そこはナルニアの外海で、カスピアン王が航海に出るところだった。
ナルニア国ものがたりシリーズ第3作。

銀のいす
願いのことばを唱えて別世界に入った女生徒ジルは、行方不明のナルニアの王子をさがすことを命じられ、北へ北へと旅をかさねる。
ナルニア国ものがたりシリーズ第4作。

魔術師のおい
別世界へ送りこまれたディゴリーとポリーが、死滅した都チャーンで魔女をしばる呪文をやぶったため、2人のいくナルニア国に悪の種がもたらされてしまう。—ナルニア国誕生のドラマを語る。

馬と少年
漁師の養子シャスタは、奴隷に売られることを知り、ものいう馬ブレーとともにナルニアめざして逃げ出す。途中でナルニアの不意打ちを目論む強国カロールメンの計略を知り、先を急ぐが…。

さいごの戦い
カスピアン王から数世紀たったナルニア最後の王の頃,大猿ヨコシマが愚かなロバにライオンの皮をかぶせてアスランを名のらせ,それが見破られると,破滅の神をよびだしてしまう。


これは図書館で借りていたので『銀のいす』から読み始めたのに
すっかりハマってしまって一気に読破。
とても気に入ったので子供の頃これをたしかバザーで買ったと思う!
『ライオンと魔女』『銀のいす』『朝びらき丸東の海へ』がお気に入り。
文庫で十分楽しめる。

なんだかファンタジーブームというか、
技術がここへきて、やっとついてきたというか…。
この調子だと「ゲド戦記」も時間の問題か…。
なんだか意外とファンタジーオタクな自分に気付く。
決して読書家ではないが、子供の頃の図書館制覇が効いているみたい。
「ゲド戦記」についてはまた。



ライオンと魔女 ナルニア国ものがたり(1)

カスピアン王子のつのぶえ ナルニア国ものがたり (2) 朝びらき丸東の海へ ナルニア国ものがたり (3) 銀のいす ナルニア国ものがたり (4) 魔術師のおい 馬と少年

C.S. Lewis, C.S.ルイス, 瀬田 貞二
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「ナルニア国ものがたり」全7冊セット 美装ケース入り
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とはいえなんと!「ナルニア国ものがたり」は実は既に映像化されていた!。
BBC制作ドラマらしいので、期待は半々。
WOW WOWで放映されたらしいので、観た方も…。
もし、レンタルできたら借りてみよう。

ドラマ版DVD
ナルニア国ものがたり
リチャード・デンプシー C.S.ルイス ソフィー・クック ジョナサン・R・スコット


■映画「ナルニア国物語 第1章 ライオンと魔女」レビュー
■映画「ナルニア国物語 第2章 カスピアン王子の角笛」レビュー

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October 30, 2004

「ドニー・ダーコ」 D[di:]

[書籍]★★★★★

先日の映画「ドニー・ダーコ」のノベライズ版。
「ドニー・ダーコ」D[di:](ソニー・マガジンズ)
書いているのは、映画「ジョゼと虎と魚たち」
オープニングの絵も担当したD[di:]さん。
作家であり、イラストレーターであり、モデルであり、ミュージシャンでもある
かなりマルチなアーティスト。
小説とコミックをミックスしたノベル・コミックという手法での作品。
映画のガイドとしてもかなり楽しめる本である。

腕に書かれた28:06:42:12の文字と、
ドニーの1988年10月のカレンダー、人物相関図で始まるこの作品。
きっちりノベライズされており、
なんと、付録として映画の中に出て来る
『タイム・トラベルの哲学』ロバータ・スパロウ著
が図解付きで掲載されているのだ!!!
こんなことが書いてあったのね…。くらい重要な事が!
映画より、ちょっと過激な?ドニーの感情と思考が細かく描かれ、
不明だった部分もかなり明解になってくる…。

ご本人のコメントの
「いろいろなモチーフのチョイスの仕方にシンパシーを感じ、
 これは絶対私が描かなきゃ!って思った」
「前作『キぐるみ』アメリカ版と思って描いた」
というのは大変良く解る。
まさにキュートでパンクでちょっと病んだD[di:]さんワールド炸裂。

彼女の書くキャタクターは映画の“銀色ウサギ男”よりも
かなりキュートでデスな感じ。
基本的に鉛筆のドローイングなので、イメージはかなり違う。
この手のゆるさが自分的にはかなり好きなので、
これを読んで、またもう一度本編を観なおすハメに…。

『何度も観たくなる作品にしたかった』リチャード・ケリー監督の思惑に、
まんまとハマってしまったのであった…。

ドニー・ダーコ
ノベル・コミック「ドニー・ダーコ」
D[di:](ソニー・マガジンズ)

■ 映画「ドニー・ダーコ」のレビューはこちら
■ D[di:]さんのその他の作品のレビューはこちら
 
 

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September 19, 2004

「闇の奥」

[書籍]★★★★☆

昨日のフランシス・フォード・コッポラの地獄の黙示録の原作である、
ジョーゼフ・コンラッド(1878-1922)の代表作
「闇の奥」HEART OF DARKNESS(岩波文庫)。

マーロウという船乗りの語りでこの物語は進む。
彼が、アフリカの奥地の植民地で経験し、出会ったある人物の物語。
アフリカの奥地の貿易会社の出張所でマーロウが聞いた、
最奥部の出張所の象牙を採る才能のあるの所長クルツの噂。
音信をたってしまった彼の救出に向かうことになった、
マーロウ達は真っ黒な森、病と死と闇に覆われた密林の川を、
クルツを目指してのぼるのだ。

進めば進む程、あらゆる事に天才肌のクルツの話を聞けば聞く程、
クルツという人物に魅せられてしまうマーロウ。
そして、クルツの世界とは…。

コンラッドはポーランド人でありながらイギリスへ帰化したイギリス作家である。
1878年21才の時にイギリス船に乗り込む事となり、
それから1894年まで16年間、東洋〜アフリカ〜オーストラリアまでの足跡を持つ
海上生活を送った後、作家としてデビュー。

アフリカ奥地のコンゴー川の上流まで行ってた時の経験見聞から1899年に書いた、
この「闇の奥」は彼の半自伝的作品のようだ。
100年以上も前の作品で、冒頭部分は少し入り込みにくいのだが、
読めば読む程、マーロウ同様、どんどんクルツという人物像に魅せられてしまうのだ。
訳者によるあとがきにもあるが、
コンラッド自身がそういった『暗示』する書き方をしているせいもあり、
ちりばめられた曖昧な『暗示』が合わさって、
最終的に重く現れる。

人間の内面の闇を描いたこのコンラッドも素晴らしいが、
この小説を題材に設定をベトナム戦争に置き換え「地獄の黙示録」として映画化した、
コッポラ監督の才能にも改めて驚いた。
植民地、暗い密林、川、病、クルツ=カーツ大佐、この強烈なイメージ。
忘れられない。

闇の奥
闇の奥
コンラッド, 中野 好夫
 
■ 映画「地獄の黙示録」のレビューはこちら

 

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September 12, 2004

「ジョゼと虎と魚たち」

[書籍]★★★★☆

田辺聖子の短編小説集である「ジョゼと虎と魚たち」(角川文庫)。

表題作の「ジョゼと虎と魚たち」は、
犬童一心監督により妻夫木聡と池脇千鶴主演で2003年に映画化された。
原作を読んで、『よく、ここまで世界を膨らませたな…』と
犬童一心監督の才能にあらためて驚いた。

もちろん、原作も素晴らしくよく出来た短編。
足が悪くて車椅子がないと動けない。
だから、ほとんど外出した事が無く、色が白くて、華奢で足も細い、
その、市松人形のような気位の高い自分をジョゼと呼ぶクミと、
ジョゼの『管理人』として彼女にひかれて同棲中の恒夫の関係を描いた
ちょっとセツない26ページの短い物語。

その他、

「お茶が熱くて飲めません」
「うすうす知ってた」
「恋の棺」
「それだけのこと」
「荷物造りはもうすませて」
「いけどられて」
「男たちはマフィンが嫌い」
「雪の降るまで」

の計8篇を収録。
タイトルを見ただけで、ちょっとドキドキする。

田辺聖子は昔、子供の頃読んだ時は
どうも『女臭くて理解出来ないトコロがあり』あまり好きでは無かったのだが、
歳を重ねた今、読んでみると何とも女心の細かい感情を
素直にシンプルに淡々と描く作家なのか!と驚いた。
この短編集では登場人物像…主に働く女性達、男性達の人物描写が素晴らしい。
大阪弁で綴られているこの関西女達の物語。
知ってちょっと得した気分。
これから少しずつ読んで行こうと思う。
 

ジョゼと虎と魚たち
田辺 聖子


ジョゼと虎と魚たち 私的生活 人生の甘美なしたたり ジョゼと虎と魚たち(Oirginal Sound Track) 苦味(ビター)を少々—399のアフォリズム

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■ 映画「ジョゼと虎と魚たち」のレビューはこちら
 
 

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August 29, 2004

「私のギリシア神話」

[書籍]★★★☆☆

さて、ついにアテネオリンピックも最終日。
舞台になるギリシャ神話を名画と共に楽しめる1冊である。
阿刀田高著「私のギリシア神話」(集英社文庫)(2002年)
は前にも紹介した
阿刀田高著「ギリシア神話を知っていますか」(新潮文庫)(1981年)
の別バージョンといったところか。
こちらも『ギリシャ神話』入門編としてはかなり面白く楽しめる文庫本。
『プロメテウス』『大神ゼウス』『アフロディテ』『ヘレネ』『ハデス』『アポロン』
『ペルセウス』『アリアドネ』『メディア』『オイディプス』『イピゲネイア』
『シシュポス』『ミダス』『ピュグマリオン』『ナルキッソス』『オリオン』
のエピソードが書かれており、名画や美術品を挿し絵に楽しめる。
ビジュアル的にもわかりやすいか。
さらりと眺める感覚で読めるので、これも入門者へのおススメ本。
名画、例えばボッティチェリの『ビーナスの誕生』やベラスケス、ティツィアーノ
など巨匠の名画が使用され、もちろん全てカラー!。

私のギリシャ神話
私のギリシャ神話
阿刀田 高

私のギリシャ神話
私のギリシャ神話
阿刀田 高
 

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August 20, 2004

「ギリシア神話を知っていますか」

[書籍]★★★★★

「黒いオルフェ」は『オルフェ』のくだりで、多用している。
阿刀田高著「ギリシア神話を知っていますか」(新潮文庫)
『ギリシャ神話』入門編としてはかなり面白く楽しめる文庫本。
『トロイの木馬』などのエピソードはもちろん、『オイディプス』など、
オイディプス・コンプレックスなどを使って説明している。
にわか知識ならこれでもアリと思われます。

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August 19, 2004

「ペット・セマタリー](上)(下)

[書籍]★★★★★

スティーブン・キングの原作小説「ペット・セマタリー」(上)(下)
がまた良かった。
あんなに幸せだったのに、明るい未来があったのに…。
どうしてこうなってしまうのだろうか…。
小説なのにラモーンズの音楽が聴こえてくる♪
そんなパンクな感じさえも…
ガラガラとそれは崩れていくのだ…。
涙がにじんでくる。
ビジュアル化されていない分、色々想像してしまい、
実は映画よりも怖くて哀しい作品。

蒸し暑い今日この頃、
少しの間、ゾゾっと涙してみて下さい。

ペット・セマタリー〈上〉
ペット・セマタリー〈上〉
スティーヴン キング, Stephen King, 深町 眞理子

ペット・セマタリー〈下〉
ペット・セマタリー〈下〉
スティーヴン キング, Stephen King, 深町 眞理子
 
 
■ 映画「ペットセメタリー」のレビューはこちら
 

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August 14, 2004

D[di:]さん

[コミック・書籍]★★★★★

映画「ジョゼと虎と魚たち」のイメージ画を描いたイラストレーターであり、
作家であり、モデルであり、ミュージシャンでもある多才な美女、
D[di:](ディー)さんの作品について少しコメントを。

白いかけら

彼女の絵は優しい色調で繊細。
それはテンペラ画であっても鉛筆画であっても、デジタル画であっても同じ。
それらは可愛らしくて痛々しい。常にどこかに悲しみや死の影をただよわせている。
でも、痛々しい彼等はただただ不幸ではない。
どう考えても悲惨な状況でも、どこか達観しており淡々と美しいのだ。
Dさんの作品はそんな不思議な魅力がある。
だから「ジョゼと虎と魚たち」に起用されたのもうなづけた。
ジョゼ…痛々しくて、達観していて、強がるジョゼ…。

Dさん、彼女自身、本当に可愛いく美しい人である。
満面の笑みの中に、大きな黒い瞳の中に、ちょっぴりのぞく
どこか敵意のある悪魔的な部分。
それは作品と同じ香りがする。ちょっと退廃的で攻撃的なパンクな女の子。
これまでの人生でどれだけの傷を負い、悩んだのであろうか。
こんなに才能に溢れ美しい人だからか…。
では、ワタシのお気に入りの3冊を。
 
 

ファンタスティック・サイレント
ファンタスティック・サイレント(2000/05発行)

読み終えると、くすんと涙が出た。
Dさんのデビュ−作の絵本。
帯のコメントはなんと宮崎駿氏。
彼女の学生時代に描いたテンペラ画のコミック・タッチの絵本。
その可愛らしい繊細緻密な画風とキャラクター達がおりなす愛情と死の物語。
 
 

キぐるみ—BRAND‐NEW NOVEL COMIC!!
キぐるみ—BRAND‐NEW NOVEL COMIC!!(2002/01発行)

Brandーnew novel comic!!
(マンガと小説を合体させた手法の作品)

これは地方都市特有の狂気を描いた作品だと思った。
一見夢のような街、全てがかわいくなくてはいけない『着ぐるみの町』。
ここで、かわいくないものは『着ぐるみ』を着なければいけないのだ。
そこから抜け出した少年トシが都会で遭遇した出来事とは…。
そして、帰ってきたトシが見た街とは…。
「みんなどこかでイタい思いをしている」現代を描いた秀作!
 
 

エンジェル・ミートパイ
エンジェル・ミートパイ(2003/02発行)

心に傷を負った子供達の物語…なんとも痛々しい物語たち。
7才の誕生日に天使の肉のパイを食べ、
人の顔が紙袋にしか見えなくなってしまった女の子の物語、
怒りのあまり頭が燃え続ける兄と「お菓子の家」を探している少女の物語、など。
本当に心が痛むストーリー。もはや可愛いキャラクターではない。
やせこけ、心にも体にも傷を負った少年・少女や大人になった彼等は美しくはかない。

コミックHに連載されていた「エンジェル・ミートパイ」を中心に、
「ヘーゼル×グレーテル 」「SEW-UP」「私の名前は駄利亜」
「生ゴミのこどもたち」「シロップ」を収録。
更に彼女の歌う「エンジェル・ミートパイ」のCD付。
(このあと、ミュージシャンとしてもデビュー。)
好き嫌いが大きく別れる作風になってはきたけど、
どんどん大きく進化して、才能を吐き出し続けて欲しいアーティスト。
彼女が次に何にチャレンジするのか?楽しみ!!! 


尚、こちらは映画「ドニーダーコ」のノベライズ作品。

ドニー・ダーコ
ドニー・ダーコ (2002/08発行)

 
■ ノベル・コミック「ドニー・ダーコ」のレビューはこちら
■ 映画「ドニー・ダーコ」のレビューはこちら
■ 映画「ジョゼと虎と魚たち」のレビューはこちら
 
 

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