8 posts categorized "映画:ヨ−ロッパ(その他)"

July 15, 2007

「変態村」

[DVD映画]★★★☆☆

予告編がかなり不気味で気になっており鑑賞。
たしかシネマライズでの単館上映だったかな。
人里離れた森の奥の僻地の村の不気味さと
“加速する孤独な人間の狂気”
愛するひとを想い独り占めしたいという感情が
個人的な妄想だけでなくエスカレートしてゆく異様さが
ただただ痛々しく不気味。

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「変態村」
 原題:CALVAIRE

製作国:ベルギー/フランス/ルクセンブルグ(2004)

監督:ファブリス・ドゥ・ヴェルツ
脚本:ファブリス・ドゥ・ヴェルツ/ロマン・プロタ
音楽:ヴァンサン・カエイ

出演:
マルク・ステヴァンス(ローラン・リュカ)
バルテル(ジャッキー・ベロワイエ)
ロベール・オルトン(フィリップ・ナオン)
ほか

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タイトルにインパクトありますが
ちょっと内容とはズレていますな。
変態さんがわんさか登場するわけでもなく
孤独な狂気と純愛が描かれています。

地方を独りで旅するちょっと可愛いミュージシャン
(日本でいうほぼ演歌的な感じ)のマルクは
齢上のおばさま達にモテモテ。
南仏に向かうはずだったのに…車の故障で立ち往生。
とある村のはずれのペンションに泊めてもらうのだが
オーナーのバルテルの様子がどんどんおかしくなってくる…
そして、その村の住人の様子もあきらかに妙。
マルクはどんどんとんでもない状態へと追いつめられてゆく…
彼に未来はあるのだろうか???

最初はまったりと、どんどん加速する狂気とあっけないラストには
思わず『ええ…』(汗)
十字架へ張付けられてのお仕置きや
痛そうなシーンも多いけれど
それを上回る異常な愛情表現のほうが怖いですね。
バーでの村の男のダンスシーンがとにかく不気味。
不協和音のピアノで奏でられる音楽で
村の男達が踊るのはまるでゾンビか案山子のダンス。
目に焼き付いて離れません。

意外にも妙にクォリティが良い部分やこだわりもあったりで
ぐいぐい見せる所はあるけれど
ストーリー的にはいまひとつかな。
愛する女性を失った寂しさ
そして女性不在の村?から起因するのか
描かれているのは孤独な狂気。
村に入る前の町でも老婆や中年女性に迫られていた
親しみやすい中性的な魅力のある
美青年マルクは妙な色気と美声のせいで
こういった人を狂わせる才能を持っていたんでしょう。
僻地の村では、もはや女性として愛されていましたし…

それにしても救いの無い映画でした。
初の長編作との事で、盛り込み過ぎもある。
メイキングを見ると監督の暑苦しい思いが堪能できますね。
村人のドン的なロベールを演じるのは
これまた変態ものを演じるとピカイチのフィリップ・ナオン♪
リハする姿…やっぱり上手いわ…この人。
予告編のほうが本編よりは面白いタイプの作品。

ちなみに…
特典映像の短編『ワンダフル・ラヴ』がおすすめ。
こちらのほうが完成度高くて面白い。
20分という短時間ながら寂しい年増女の狂気を見事に描いています。
目新しさは特に無いけれど、とにかく主人公の女性の目がイッちゃってるし
ケーキ食べてても、肉買っていても、
牛タン料理してても、歩いていても怖い…
作品について楽しそうに熱〜く語るこの監督の
今後の作品にちょっと期待します。


B000H4W91M変態村
ローラン・リュカ ファブリス・ドゥ・ヴェルツ ジャッキー・ベロワイエ
キングレコード 2006-10-04

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July 04, 2007

「麦の穂をゆらす風」

[DVD映画]★★★★☆

アイルランド独立戦争を通して描かれるのは
ある意味普遍的な戦争の情景であり普通の人々個々の感情。
だからこそ、人の心に語りかけるのかもしれない。

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「麦の穂をゆらす風」

製作国:イギリス/アイルランド/ドイツ/イタリア/スペイン(2006)
監督:ケン・ローチ
脚本:ポール・ラヴァーティ
音楽:ジョージ・フェントン

デミアン(キリアン・マーフィ)
テディ(ポードリック・ディレーニー)
ダン(リーアム・カニンガム)
シネード(オーラ・フィッツジェラルド)
ペギー(メアリー・オリオーダン)

「麦の穂をゆらす風」オフィシャル・サイト
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戦争、紛争、ゲリラ線…
1920年のアイルランド独立戦争をとおして見えてくるのは
現在も続いている人間の悲しい本能と愛情の深さと脆さ。
これらが庶民の目を通してストレートに描かれるので
どうしようもないもどかしさが心に響く。

アイルランドの片田舎の農家ではじまりそして終わるのだが、
その間に起きた悲惨な出来事の数々…
戦争だから…それだけで片付けてはいけない
重い悲しい何ともいえないもどかしさが胸をしめつける。
1919〜1921年のアイルランド独立戦争を
1920年のある日から、とある兄弟の目線で丹念に描いている。

アイルランドへの英国の侵略に対抗するゲリラ戦。
少しもの寂しいけれど美しい緑の中で銃を構えて訓練する
農民や少年などの若い一般庶民で結成されている
アイルランド義勇軍〜アイルランド共和軍(IRA)達の姿。
犠牲になりながらも彼らを支え家を守り、強く立ち向かう女性達。

一機関士であったダンと出会ったあの事件。
戦争から逃げて医者になるはずだったデミアンが
幼馴染みを裏切り者として処刑したり
元同胞と闘わねばならなくなった経緯は
運命にしても悲しすぎる。
皆で投獄された時、代表者である「テディ・オドノヴァンは誰か?」と
英国軍に問われた時、すかさず「自分だ」と答えたデミアンだったのに…
仲間を裏切る事…真面目なデミアンの苦悩。
兄テディとの意識のずれが、更に弟の運命を変える…

野山の広がるアイルランド南部の町、コークを舞台に
時代に翻弄された兄弟を中心に
淡々と身近なエピソードとしてアイルランド独立戦争が描かれる。
休戦、そして、念願のイギリス・アイルランド条約。
だが、この時の条約による北アイルランドの帰属問題により
その後の革命運動を二分し新たな闘いを生み
さらにその後何十年もの間IRAは
形を変えいくつもの派閥に分裂しながら
現在も組織は存在している…

冒頭で村人達が可哀想なミホールのために歌った
映画のタイトルでもあるアイリッシュトラッドの曲
“THE WIND THAT SHAKES THE BARLEY”(麦の穂をゆらす風)
これを観終った後に再び歌詞を確認しつつ聴いてみると
自分の腕の中で恋人を失った、若い兵士の詩なのだ。
祖国のための闘い、恋人の死への恨みの闘い…
何ともいえない苦しみが、美しいメロディと共に流れ出る。

アイルランド人もイギリス人も他の国の人達も
個々では誰も闘いたいわけでも裏切りたいわけでもない。
そうしなければしょうがない状況
自分や家族や同胞が守れないから
命を落とした者に顔向けができないから
若い世代の未来が見えないから…なのだ。
この映画には戦争や人間の本質を問われている気がした。

世界中でくり返されている戦争や紛争
そして近年の数多くのテロ事件…
85年も前の事件だが、現在にまだまだ繋がっているのだ。
カンヌでパルムドール賞をとったの
井筒監督大絶賛(笑)もうなずける。
知っているようで知らなかったアイルランドの歴史。
ちなみに役者さん達は皆アイルランドにゆかりのある人達。
キリアン・マーフィーの変化してゆく切ない瞳がとても印象的であった。

B000NIVIPA麦の穂をゆらす風 プレミアム・エディション
キリアン・マーフィー ケン・ローチ ポードリック・ディレーニー
ジェネオン エンタテインメント 2007-04-25

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September 08, 2006

「ミート・オブ・ザ・デッド」

[DVD映画]★★★☆☆

絶賛はしませんが、意外と好きなんですよね〜コレ。
タイトルどおりのゾンビもの♪
しかも… どあたまから衝撃的。
だって…牛!牛なんですもん!!


監督はコナー・マクマホン
BSEの変型種の牛に噛まれたら感染し、
人間がゾンビになってしまう!!
この妙にタイムリーかつ微妙ななネタで、
アイルランドの農村地帯と古城でくり広げられるのだが、
これがもう、つっこみと苦笑い無しでは鑑賞出来ない!!!
2004年にアイルランドで制作された、
アルバトロスさん発売の未公開作品(笑)ミート・オブ・ザ・デッド

衝撃的なオープニング以降は定石どおりのストーリー。
旅行中のヘレナ(マリアン・アラージョ)とそのダーリン、
マーティン(デヴィッド・ライアン)のバカップルが、
ゾンビの被害に逢い、愛しのダーリンと戦わねばならぬヘレナちゃん。
頼れる墓掘り男?デズモンド(デビッド・マラード)くんと出会ってからも、
これまたお決まりの展開とはいえ、

どんな○○やねん!

と思わずつっこみまくらずにはいられない、
戦う女ヘレナちゃんの攻撃!!!
身の回りにあるものは、
釘、パレットナイフ、掃除機、ハイヒール、小枝などなど
掴んだものは何でも使用、重点的に目を狙いゾンビと戦う
健気な?ヘレナちゃんのファイトが見物!!

途中で出会う生存者達。
生意気な子供のリサ(キャサリン・トゥーラン)
デズモンドの昔のコーチのカサル(エオイン・ウェレン)
その妻で感染者のフランシー(エイミー・レッドモンド)
彼らと農村と古城などののどかな中に潜み
うじゃうじゃと集まってくるゾンビ達のくり広げる地獄絵図。
政府が家畜を皆殺しにしたはずなのに、
闇にうごめく鳴声は…???。
さて、彼らは無事避難する事が出来るのか?
感染者のフランシーは一体どうなる??
 
* * * * * * * * * * * * * * * *

頭を破壊してゾンビを倒す。
自動車での脱出。
役に立たないラジオ放送。
いかれたオヤジ夫妻。
子供のゾンビ。
本当に城にろう城した末の救いの無い結末。
「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」に対する
オマージュが満載!

だが…ある意味衝撃的なのは、
この作品のゾンビちゃん…
夜眠るんです…

どんなゾンビやねん!

チープで浅〜い内容ながら、
ズンズン進むテンポの良さと
あるものを十分活用しようと頭脳フル回転したであろう
低予算ならではの頑張った感溢れるカメラワーク、
つまり、この映画とゾンビ映画に対する
並々ならぬ愛情につい引きつけられてしまう!

もう少し人間の心の醜さを描いていれば、
深みも出たのだろうがそんな事よりも、
「アイルランドを舞台に、オレのゾンビ映画を作りたいんだよ〜」
そんな言葉が聞こえてくるような、
そもそもC級以下狙いで勢いで見せたい感のある、
妙なパワーを感じる作品だった。

エンディングで“DEAD MEAT♪”と歌っているのは
デズモンド君?????

ミート・オブ・ザ・デッド
ブレンダン・マッカーシー マリアン・アラージョ エオイン・ウェレン
ミート・オブ・ザ・デッド ◆20%OFF!

「ミート・オブ・ザ・デッド」アルバトロスサイト

■映画「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」レビュー    
■映画「ゾンビ 米国劇場公開版」レビュー
■映画「ドーン・オブ・ザ・デッド」レビュー
■映画「ランド・オブ・ザ・デッド」レビュー
■映画「28日後」レビュー   
■映画「ショーン・オブ・ザ・デッド」レビュー    
 
■ ゾンビ系映画レビュー

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February 12, 2005

「幸せになるためのイタリア語講座」

[DVD映画]★★★★☆

なんて素敵な大人達の恋愛だろう!!
ロネ・シェルフィグというデンマークの女性監督による
ハートフルな人間ドラマ「幸せになるためのイタリア語講座」。
2001年ベルリン映画祭銀熊賞作品。

北欧、デンマークの小さな街に新任牧師がやってきた。
教会で紹介してもらったホテルのフロント係は
イタリア車に乗っていると言うと何故かイタリア語を使ってみたりする。
パン屋レストランでもイタリア語が使われたり…。
そう、この街では市役所主催で週に一度のイタリア語講座が行われているのだ。

妻を亡くしたばかりで生真面目な新任牧師
アンドレアス(アンダース・W・ベアテルセン)。
ホテルのフロント係で、お人好しでインポテンツに悩む独り者
ヨーゲン(ピーター・ガンツェラー)。
スタジアムのレストランで働く、元サッカー選手だった
ハル・フィン(ラース・コールンド)はイタリア語が堪能。
そのレストランのウエイトレスでイタリア娘の
ジュリア(サラ・インドリオ・イェンセン)はヨーゲンに片思い。
不器用過ぎるパン屋の店員
オリンピア(アネッテ・ストゥーベルベック)は、偏屈な父と二人暮らし。
アルコール依存症で入院中の母を持つ美容師
カーレン(アン・エレオノーラ・ヨーゲンセン)は苦労人だが意外な程情熱的な女。

小さな街で繰り広げられる、
ちょっと不幸で不器用な大人たちによる人間模様・恋愛模様。
さまざまなトラブルや悩みを持ち、決して幸せではなかった孤独な6人の男女。
イタリア語の初級講座に通う事で、同じ立場での人とのふれあいが始まり、
不幸な現実に傷つきながらも、数々の驚くような出来事や不思議な偶然で
バラバラだった彼等が少しずつ繋がり始める…。
“独りでいる事に慣れていた”彼等が出掛けた、講座のみんなで行くベニス旅行!
そこで見せるとびきりの笑顔を映画の最初では想像出来ただろうか?
そして、彼等と関わる人々もそれぞれの道を歩んで(色んな意味で)旅立つのだ。
マルチェロさんはお気の毒だったけど、
出来過ぎたエピソードも小さな街での出来事ゆえに結構面白い。

ドグマ95による規制
『撮影はロケのみ』『カメラは手持ち』『音楽は自然音や曲以外禁止』
『人工的な照明は禁止』『画像処理やフィルターの禁止』…etc
などが良い方向へ作用したと思える、ナチュラルな映像とリアルな親近感。
だからこそ、言葉以上に語る彼等の視線が印象的。
特にアンドレアス、ヨーゲンの優しい眼差し、
ハルとオリンピアの少しおどおどした瞳。
目の前のモノを真直ぐに見つめるカーレンと恋する女、目を伏せて頷くジュリア!!

少し新しい事を始めると、とても多くの出会いや出来事が起こるかも!
そんな可能性を教えてくれた心温まる、観た後元気になる作品。
Grazie mille !
(どうもありがとう:milleは1,000の意)

公式サイト

http://www.zaziefilms.com/italian/

幸せになるためのイタリア語講座 デラックス版
ロネ・シェルフィグ ヨーゲン・ヨハンソン
ピーター・ガンツェラー ラース・コンルード

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ドグマ95公式サイト
(英語のみ)↓
http://www.dogme95.dk/
 

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November 15, 2004

「ルナ・パパ」

[DVD映画]★★★★☆

なんじゃこりゃ?こんな映画、観た事無いかも!
とびきり変てこで、ラストシーンには文字どおりぶっ飛んだ!!
不思議で美しいコメディのようなファンタジー作品「ルナ・パパ」
監督はバフティヤル・フドイナザーロフ。
脚本・原作はイラークリ・ナザーロフ。音楽はダーレル・ナザーロフ。
ドイツ・オーストリア・日本制作、1999年の作品。

タジキスタンのとある小さな町に住む
少女・マムラカット(チュルパン・ハマートヴァ)は、
凛とした表情の美しい、踊りや歌や演じる事の好きな17才。
時々『爆発』する厳格な父(アト・ムハメドシャノフ)と
戦争の後遺症で精神を病み『悪魔を憎みんで毎日飛行機になる』
兄ナスレディン(モーリッツ・ブライプトロイ)
との3人暮らし。
兄の薬のために、生活は楽ではないが、仲のよい一家だった。

ある満月の夜、マムラカットは町を訪れた芝居一座の公演を見逃し、
森で舞台俳優と名乗る男に誘惑され妊娠してしまう。
もちろん激怒し『爆発』した父と兄と共に、
マムラカット自身も顔を知らず声だけしかわからない、
彼女のおなかの子供の父親を探し東奔西走するのだ…。

彼等の行く先々で『想像もつかない事件』が次々と起こる。
妊娠させた男はなかなか見つからず、
父と兄とのギャングまがいの劇団員探し。
お金がなくなり、売血しようとした献血車上での警察に追われながらの
マムラカットの新たな出会い。
村人達から売女扱いされいじめられ、家出した彼女は
献血車のヤサ男アリク(メラーブ・ミニッゼ)と再会し
電車から落ちた彼と恋にも落ち、
そのアリクがプロポーズしようとしたら感電、
牛は飛ぶわ、屋根も飛ぶわ、
次から次へと『本当に思いもしない事件』が突然起き、
物語もクルッと想像もしない方向へ。

しかも、悲惨な境遇なのに、
登場人物達の持つキャラクターと力強い行動が、
どこか可笑しく、一種の爽快感すらある。
マムラカットは夢見がちな少女ながらも、気持ちをバシバシ切り替える。
この映画のストーリーテラーの彼女のおなかの中の子供の軽妙なトーク、
妊娠に気付かず野菜の衣裳を着て踊る『収穫アンサンブル』の舞台上のマムラカット、
父の家族への深い愛情(亡くなった妻にも!)と大暴走、
妹思いの兄ナスレディンの、ちょっぴりマヌケな大活躍など
マムラカットとその家族の力強さと愛情は天下一品!
可哀想なアリクのダメっぷりとへっちゃらさも良かったなあ!!

この悲惨なる可笑しさと力強さはユーゴスラビアの映画のテイスト、
エミール・クストリッツァ監督の「アンダーグラウンド」「黒猫白猫」
と近いかも。
この「ルナ・パパ」、気になった方はゆるめの気分でゼヒご覧あれ。
こんなファンタジーもあるのだ!。

ルナ・パパ
ルナ・パパ
 

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October 31, 2004

「散歩する惑星」

[DVD映画]★★★☆☆

こののほほんとしたタイトルとは大違い!
いいのか?こんなにブラックで!!

カンヌ国際広告祭で8度のグランプリに輝くCF界の巨匠、
ロイ・アンダーソン監督による、実に構想20年、撮影4年の歳月をかけて製作した
ブラックユーモア溢れすぎのコメディ映画??「散歩する惑星」
2000年スウェーデン・仏の作品。

とある惑星のと『ある国』の物語。
サラリーマンは長年勤めた会社にリストラされ文字通り上司にしがみつきズルズル…。
マジシャンは胴体切りのマジックに失敗。観ているだけで痛い痛い!!
家具屋は保険金欲しさに自分の会社に火を放つが、保険金が手に入らず、
詩人だった長男は精神病…。

大きな不幸や小さな不幸まで、この国の人々はすべてが悪い方へと向かって行く。
見切りをつけた人達はみな大荷物で国外逃亡を図り、
空港のロビーは人で溢れ、道路は大渋滞…歩いたほうが早い始末。

この不況に目をつけた宗教がらみのインチキ商売人や、
それにもすがる人。
生きていてもしょうがないと、
自分の命を犠牲にする人々。他人の命を犠牲にする人々。
どんどん顔色の悪い、人形のような白塗り(特におやじ)が増えて行く…。

最初はこのブラックさにかなり笑えるのだが、
どんどん悲劇てきに虚しくなってくるのだ。
かなり、『ある国』にむけての政治批判を含んだトコロがある。
官僚達は自分の事しか考えない馬鹿ばかり。こんな国に未来はあるのか???
あながち絵空事ではないトコロも含めて、
喜劇的でもあり悲劇的である作品であった。

これをCGを一切使用しないローテク撮影技法で長年かかって撮影し、
2000年のカンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞した。
やはりローテクは、ここへ来て人の心をつかむのか?
ABBAのキーボード奏者だったベニー・アンダーソンが音楽を担当。

ちなみに映像特典はメイキング、監督インタビュー、予告編など。
ま、フツーですね。

散歩する惑星 愛蔵版
散歩する惑星 愛蔵版

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September 21, 2004

「息子のまなざし」

[DVD映画]★★★☆☆

息子を殺された親の息子を殺した者への感情。
その感情の移行を描いた「息子のまなざし」

「ロゼッタ」「イゴールの約束」
ジャン=ピエール・ダルデンヌ/リュック・ダルデンヌ兄弟の監督による、
2002年カンヌ映画祭主演男優賞&エキュメニック賞を受賞した
オリヴィエ・グルメ主演を前提に作られた作品。
ロケは監督たちの故郷などを使い、相当思い入れがあったよう。
ベルギー・フランス2002年の作品。

オリヴィエ(オリヴィエ・グルメ)は職業訓練所で
大工仕事を教えている無口で仏頂面の中年教師。
そこへフランシス(モルガン・マリンヌ)という少年が、
少年院から出所して、この木工クラスを希望して入所してくる。
フランシスの書類を見て一瞬放心状態になったオリヴィエは
一旦木工のクラスは満席だと断るが、
その後、あきらかに挙動不信な行動に出はじめた。
事務室で書類に記入するフランシス、昼食をとるフランシスを密かに盗み見る。
街の中でまでフランシスのあとを尾行する。などなど…。
なのに、オリヴィエは木工クラスでフランシスを受け入れる事にする。
彼は一体なぜこの少年をつけまわすのか? そしてこの少年の犯した罪とは?

実はパッケージやレビューにネタバレでストーリーが書いてあり、
見ていてちょいとつまらなかった。知らないほうが面白かったと思う。
ホントにこのオリヴィエの行動は怪しい。
フランシスを殺さんばかりの食い入るような視線で見つめるその眼鏡の奥の目。
しかもカメラはほとんどを彼を背後から手持ちで撮っており、
オリヴィエ・グルメは背中と横顔で演技しているのだ。
まるで、ドキュメンタリーを見ているかの映像。

この二人の関係が少しずつ変化していくところがいい。
無口で孤独なフランシスがオリヴィエを信頼しはじめるトコロ。
思わずにんまりしたり、困惑したり、おいおいつっこみ入れたくなったり…。
でも、

あっけなく終わってしまった。

一瞬ドキッとしたが、ハッピーエンドのはず。
ワシは子の親では無いので、実際彼等のような立場になった時に
どんな行動に出るのかはわからないが、
少なくとも、オリヴィエの気持ちはひしひしと感じられた。
いや、オリヴィエの気持ちになろうとしていた。
「息子のまなざし」。
カメラのを通して息子が見ている???そんな感じはしなかった。
フランシスの中に、息子を見つけたのだと…。

息子のまなざし
息子のまなざし
 

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August 24, 2004

「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」

「僕はそれよりもましだ…。」
少年イングマル(アントン・グランセリウス)は母の病気が悪化したので、
ひとりぼっちで遠い村の親戚に預けられる。
そこで、どんなにつらいことがあっても
「よく考えてみれば、僕は運がよかった。」
「宇宙を飛んだあのライカ犬。
 スプートニクに積まれて宇宙へ送られた………僕はそれよりもまし。」
と夜空を見上げながらつぶやくのである。

『サイダー・ハウス・ルール』のラッセ・ハルストレム監督の
本国スエーデンで1985年に制作された作品「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」

誰でも子供の頃、大なり小なりの逆境を乗り越えるために、
無理矢理『理由』を見つけて自分自信を納得させたりしたのではないだろうか。
ワシは大人になった今でも、そういう癖がついてしまっている。
ヒトに言わせると『マイナス思考』らしいのだが、
本人的にはかなり『前向き』だったりする。

ちょっとイヤな事があったり、とんでもない逆境に立たされたりしても、
「あの時よりマシ」「もしかするともっと悪い状況になったかも」
なんて、一度絶望的観測をしてしまうと、
その後は『なんだ、大丈夫だ。この位』と楽観的になれる。
ゆえ、歳を重ね色々な経験をすることによって
どんどん精神的に強くなれた気がする。

この映画の少年イングマルは、この経験を経て成長し、
本当にいい出来事にもどんどん出会える。
今日はちょっと悲しい事があったけれど、
もっときっと良い出来事に出会えるはず…。

マイライフ・アズ・ア・ドッグ
マイライフ・アズ・ア・ドッグ
 

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