2 posts categorized "映画:オーストラリア"

April 24, 2008

「コントロール」

[劇場映画]★★★★☆

数多くのミュージシャンの写真を撮ってきたフォトグラファー
アントン・コービンの映像作品は30年弱前に彼が出会ったバンド
ジョイ・デヴィジョンの亡きヴォーカル、イアン・カーティスの生涯を
1974年〜1980年まで描いた映画。
モノクロームのスクリーンに切り取られた完璧な構図の中に
悩めるバンド青年の姿が狂おしいまでに美しく映し出されていた。

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「コントロール」
原題:CONTROL

製作国:イギリス/アメリカ/オーストラリア/日本(2007)
監督:アントン・コービン
製作:オライアン・ウィリアムズ/アントン・コービン/トッド・エッカート
原案:デボラ・カーティス『タッチング・フロム・ア・ディスタンス イアン・カーティスとジョイ・ディヴィジョン』(蒼氷社刊)
脚本:マット・グリーンハルシュ
撮影:マーティン・ルーエ
音楽監修:イアン・ニール
スペシャルサンクス:ニュー・オーダー

出演:
イアン・カーティス(サム・ライリー)
デボラ・カーティス(サマンサ・モートン)
アニーク・オノレ(アレクサンドラ・マリア・ラーラ)
フッキー(ジョー・アンダーソン)
バーナード・サムナー(ジェームズ・アンソニー・ピアソン)
ロブ・グレットン(トビー・ケベル)
トニー・ウィルソン(クレイグ・パーキンソン)
スティーヴン・モリス(ハリー・トレッダウェイ)
ケヴィン〈イアンの父〉(リチャード・ブレマー)
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デビューアルバム1枚を残し1980年5月18日に23歳で自殺した
ジョイ・ディヴィジョンの亡きボーカル、
イアン・カーティスの学生時代から
結婚しバンドに入り自殺するまでを描いた作品。
監督が彼らとなじみの深いフォトグラファーのアントン・コービン。

ニュー・オーダーの前身バンドだと言う事と
度々カヴァーされている名曲達は知っていたが
イアン・カーティスについてはあまり知らなかった。
デヴィッド・ボウイやルー・リードのようになりたかった詩人のイアン。
無垢なデヴィーの笑顔に恋をし若くして結婚したイアン。
職業安定所の職員だった生真面目なイアン。

そんな彼がロックバンド、ワルシャワに参加し
ジョイ・ディヴィジョンとして本格的な活動を開始してから
ありがちなロック・スターの転落人生へとまっしぐら…
TV出演、アルバム制作、ツアの日々…
疲れからか癲癇の発作を起こし、以後持病となってしまう。
追っかけ記者との恋がきっかけで、妻や娘の存在がうっとおしくなってくるし
どんどん忙しくなり欧州、果てはアメリカツアーまで決定。
自分が思い描いていたヴィジョンとはどんどんかけ離れ
ステージでも癲癇の発作を起こし
加速してゆくバンドのサクセスストーリーの中で
自分の存在について自信が持てず、コントロール出来ず
家族と恋人の間で板挟みになり
ついにステージで歌えなくなってしまう…
それでも何とかやり直そうとするイアンだが
アメリカツアーを前に、命を断ってしまった…。
後に『ブルー・マンデー』という曲になる彼の最期。
ジョイ・ディヴィジョン時代の数少ないヒット曲の歌詞の意味が
コレを観る前と全く違って感じられた。

モノクロームなアントンの写真のようなシーンに
ニュー・ウェーヴ・ムーブメントの楽曲や
もちろんジョイ・ディヴィジョンのサウンドが流れ
頭をぐるぐる回って離れない。
とにかく主演のサム・ライリーの素晴らしい演技力
ライブ・パフォーマンスと常にどこか寂しげな表情が印象的だ。
パンフレットにも書いてあるが、特に似ているわけでもないのに
どんどんイアン・カーティスに見えてくるのだ。
劇中の彼らの演奏にも妙な迫力と狂気があり
グイと心の底をつかまれてしまう。

ミュージシャンにありがちな事だし
持病の癲癇の恐怖もあっただろうが
真面目すぎるゆえ、若さゆえ…
逃げ道を閉ざされてしまったのだろうか。
『LOVE WILL TEAR US APART』がとにかく心に沁みた…

〈東京では2008/3/25まで渋谷シネマライズにて上映中〉

B001B4LQ2Uコントロール デラックス版
サム・ライリー, サマンサ・モートン, アレクサンドラ・マリア・ララ, アントン・コービン
ジェネオン エンタテインメント 2008-09-10

by G-Tools
コントロール コレクターズBOX (初回限定生産)コントロール コレクターズBOX (初回限定生産)
サム・ライリー, サマンサ・モートン, アレクサンドラ・マリア・ララ, アントン・コービン

by G-Tools

コントロール
サントラ ニュー・オーダー デヴィッド・ボウイ

コントロール
スティル【コレクターズ・エディション】 アンノウン・プレジャーズ【コレクターズ・エディション】 クローサー【コレクターズ・エディション】 The Best of Joy Division シャドウプレイヤーズ - ファクトリー・レコードとマンチェスターのポスト・パンク 1978~81
by G-Tools

ジョイ・ディヴィジョンのシングル集
サブスタンス
ジョイ・ディヴィジョン
B00005LK2V

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November 12, 2004

「裸足の1500マイル」 LABBIT-PROOF FENCE

[DVD映画]★★★★☆

強い。本当に強い姉妹と母子のきずなだった。
1500マイルを徒歩で帰るなんて!!!

母の待つ故郷まで歩き続けたアボリジニの少女たちを描いた
ドリス・ピルキングトン原作の実話の映画化「裸足の1500マイル」
監督・製作は「ボーン・コレクター」フィリップ・ノイス
製作総指揮は「BROTHER」のジェレミー・トーマス。
撮影は「花様年華」のクリストファー・ドイル。
音楽は英国のミュージシャン、ピーター・ガブリエル
ずらりと並べるとなんと豪華なスタッフ!
2002年オーストラリアの作品。

1931年のオーストラリアでは、先住民・アボリジニを白人社会に同化させる目的の
"隔離同化政策"が行われていた。
これは、白人との混血の子供は親と引き離し強制収容し
何代もかけて白人化しようという何ともエグイ政策だった。
これにより、14歳のモリー(エヴァーリン・サンピ)と
8歳の妹デイジー(ティアナ・サンズベリー)、
モリーの従妹である10歳のグレイシー(ローラ・モナガン)の3人の少女は、
アボリジニ保護局に拉致され、強制的に寄宿舎に収容されたのだ。
モリーはこの狂った施設から逃げ出し、母のもとへ帰ろうと決意。
脱走した3人は、1500マイルの道のりを歩き始める…。
彼女たちの家路への目印はオーストラリアを縦断する
“うさぎよけフェンス”だけだった…。

アボリジニ保護局の局長ネヴィル(ケネス・ブラナー)など、
施設の白人達の態度や言葉は、当時の白人の『おごり』そのもの。
人を見下して偽善者ぶるとことが本当にイヤな感じ。
(そしてケネス.ブラナーの演技が上手い!)
それに反して『家へ帰り母に会おう』とする少女モリーが強いのなんの!!。
原題LABBIT-PROOF FENCE =“うさぎよけフェンス”だけをたよりに
1500マイル=2400キロ(日本でいうと稚内〜那覇)を徒歩で帰るなんて!!!
そして、『必ず帰ってくるはず』“うさぎよけフェンス”で待つ母と祖母。
彼女たちのきずなの強さには参った。
アボリジニ追跡人のムードゥ(デイヴィッド・ガルピリル)の複雑な心境も
当時の彼の立場上、どうしようも無いであろう。

勉強不足で、こんな政策事体知らなかった。
島国日本でのほほんと過ごしていて、こういった知識にはうといと痛感。
原作者はこの映画の主人公モリーの娘ドリス・ピルキングトン。
ドリス自身も母モリーとともに、ムーア・リバー居留地に強制的に収容され、
『何度か』脱走した経験があり(脱走しても連れ戻されるのだ)、
その体験がこの映画になった。
そしてデイジー役、ティアナ・サンズベリーの白人との混血である母親と叔母は
この"盗まれた世代"の祖母達も同じ経験を持つそうだ。
彼女達はどういった気持ちでこの映画を観たのであろうか…。

この映画の洗練されつつプリミティブ感溢れる音楽は、
セネガルの歌手ユッスー・ンドゥールなどを世界的に有名にした
ワールドミュージックのレーベルreal worldの、ピータ・ガブリエルが担当。
さすがにこの手の音楽は得意分野。映画に深みを与えている。
ミュージック・チャプターが充実していたが、
やはり映画と共にあって良いサウンドな気がした。
特典にすっかりじいさんになったピータ・ガブリエルの映像あり!。

裸足の1500マイル
裸足の1500マイル

本はこちら

裸足の1500マイル
裸足の1500マイル
ドリス ピルキングトン, Doris Pilkington, 中江 昌彦

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