10 posts categorized "漫画家:上村一夫"

July 01, 2005

「しなの川」上村一夫/岡崎英生

[コミック]★★★★★

全三巻での完全版としての復刊だったがついに完結。
昭和の絵師上村一夫が原作者の岡崎英生と組んだ作品「しなの川」。
通して描かれるのは雪絵という
美しく淫蕩な血を持つどこか孤独な女を通しての、
人間の本能であり煩悩であり諸行無常である。


雪の深い昭和初めの信濃川…
新潟から始まる美少女・高野雪絵の
一生を描いた大河ロマン…

第1巻では、富裕な商家の娘である雪絵と
奉行人・竜吉との甘くて切ない初恋が初々しい。
父親から強制された寄宿学校での教師・沖島との初めての大人の恋愛。
まだまだ恋愛に関して厳格だった時代に、自分の感情に忠実に生きる雪絵は、
周囲から白い目で見られるのだった…。
そして知った出生と母親の秘密。
彼女の初体験まででこの巻は終わる。

第2巻、ついに雪絵の悲しい青春が始まる。
出生時から背負う不幸な宿命、雪絵の母親から受け継いだ淫蕩な血。
彼女の愛は、関わる男を翻弄し狂わせ不幸へ追いやってしまうのだ。
戦争色が強くなった頃…雪絵は16才で一人の男の不幸な最後を見送った。
そして自分の血の宿命を辿るべく、伊豆から佐渡へと母親を求めて旅に出る。
愛した男との悲しい別れ。母親との再会。母親の死。実家の崩壊。
雪絵の家族は皆、この血に逆らえず墜ちてゆく…。
故郷を追われ、東京へと愛しい男を頼ってゆくが、
思いもかけない裏切りに合う。
雪絵は17才にして、人生に絶望するのだ。

第3巻、九死に一生を得た彼女であったが、
血の宿命からは逃れられず、おまけに病魔に蝕まれる。
命を救った医師・安西と結婚、妊娠、娘・小夜子を出産するも
画学生、秋山との不倫に耽る雪絵だった…。
世は増々戦争へと向かう中、妻の不倫を知りながらも、
女性より顕微鏡を覗く事に恍惚とする安西…。
そして母の行動を見ている幼い小夜子。
雪絵の子達もまた、血の宿命を背負い、数々の過ちを犯しながら、
次の子達へと人生を歩むのだろうか?

赤の他人と愛しあい、子が生まれる、家族というものの不思議。
自分は淫らな血族の途中経過だと言い切る雪絵35才。
「愛ですって!?ふんっ。」
人が本当に愛せるのは風景だけだ…
そう思った人生の終わりに、あんなに嫌われた故郷、
でも、懐かしいその風景の中に居たかったのか、
「再び見ることはあるのだろうか?」
そう思っていた信濃川を雪絵は再び見ていた。
美しく淋しい雪景色の中に走る大きな流れ。
そこで、まさかの衝撃的なあの人との再会があるとは!!!
雪絵はきっと救われたに違い無い。
生まれて、生きて、愛して、良かったと…。


全てを淫蕩な血のせいだとするのはズルいと思うが、
感情を抑えられず行動してしまう雪絵の人生は、
絶望を経験したからかもしれないが、悲しくも力強さを感じてしまう。
家族や恋人と共にいる時に感じる、なんとも言えぬ激しい孤独感、
奇跡とも思える出会いが、誰にもあるのだとも思った。
生まれてきた事には理由があるに違い無い。
そして、誰もが大きな流れの途中経過に過ぎないのだ…。

しなの川 (第1巻)
上村 一夫
4902800764

しなの川 (第2巻)
上村 一夫
4902800772

しなの川 (第3巻)
上村 一夫
4902800780


由美かおる主演の映画「しなの川」「同棲時代」、
この2作品収録のDVD-BOX。
由美かおる DVD-BOX
由美かおる 上村一夫 岡崎英生 野村芳太郎
B0001L7T98

現在「同棲時代」全巻で復刊中。
2005年秋に「淫花伝 阿部定」が全2巻、
関東平野 上村一夫でいずれも発売中。
 
上村一夫の作品
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June 09, 2005

「螢子」昭和抒情歌50選 上村一夫/久世光彦

[コミック]★★★★☆

まず、ずっしり重い上巻のボリュームに驚いた。
ちょっと値段が高価だったが納得。
見事に復刊され、嬉しい限り。
一青 窈氏のリスペクトも頷ける。

昭和の絵師上村一夫と名プロデューサー久世光彦による、
歌謡曲と劇画のコラボレーション作品。
艶かしく奔放なのに、どこか慎ましく、生きる、
ちょっと不幸な昭和の女、螢子(ほたるこ)の日常を
一話ずつ当時の抒情歌の歌詞と共に描かれた名作「螢子」昭和抒情歌50選
上巻30曲、下巻20曲と分れている読みごたえ十分な作品。

著名な作曲家、作詞家先生、ミュージシャン達の
昔、聞いた事のあるような、
懐かしい、またはちょっと埋もれかけた楽曲達。
子供の頃には理解出来ていなかった、
これら、昭和の抒情歌の奥深さ、
言葉の持つ美しさ、淋しさ、侘びしさ、恐ろしさ…
当時の女の悲しい生き様に“じん”とする。


待つ女、螢子(ほたるこ)のどこか不幸で、奔放で、
女という事を楽しむ姿勢。
母親との子宮の歴史。
そして、静かに狂う母を持つ、
幼いながら女の性を見過ぎてしまった
少女カオリとの奇妙な生活。
彼女達の日常が一話ずつ
懐かしい昭和の抒情歌、ある時には童謡一曲ずつとリンクされ、
とりとめもなく綴られてゆく…。

螢子と少女カオリの関係が、
次第に親密かつ深いつながりとなる。
母親と娘の神秘的な血縁。
父親や夫の身勝手でもある女性へ求めるロマンスと母性。
そして…見知らぬ男性の性。
崩壊する家庭。

螢子は新たな命と旅に出る。
カオリも自分自身の旅路を決意する。
ゾロメの人生、老若男女、人それぞれ。
涙を隠れて流す、激しく、強い女達。
自分の原点、昭和の時代。
歌詞の激しさと美しさ、そして浪漫。

荒木一郎藤竜也グレープ小椋桂沢田研二
井上忠夫絵夢五輪真弓美空ひばり浅川マキ
徳久広司大下八郎梓みちよ内藤やすこ研ナオコ
日吉ミミ井上順泉谷しげるみなみらんぼう
来生たかおさだまさし郷ひろみ井上陽水清水健太郎イルカ
吉田拓郎山口百恵山崎ハコ岩崎宏美アリス李成愛狩人
岸本加代子、美川憲一やしきたかじん水谷豊町田義人茶木みやこ
森田公一とトップギャラン

こんな歌があったんだ。
こんな歌をそういえば聴いていた。
あの時、あの頃、ラジオから流れる歌を
耳で聴いて覚えて歌った歌は
文字で書くと、こんなだったんだと、改めて驚く。
これらの抒情歌が、上村一夫と久世光彦の手にかかると、
昭和の女達の切なくドロドロとした、
とんでもないファンタジーへと生まれ変わる。

母娘の不思議な運命のつながりやトラウマを、
ひしと感じる今日この頃。
この作品に出会えて良かった。
 
 
螢子と少女カオリの不思議な関係。
圧巻の昭和の歌謡30曲分。
*CDではありません。コミック本です。
蛍子—昭和抒情歌50選 (上)
上村 一夫
483544177X

女同士の奇妙な関係と顔の無い男。
心にしみる昭和の歌謡20曲。
*CDではありません。コミック本です。
蛍子—昭和抒情歌50選 (下)
上村 一夫
4835441788

現在「しなの川」「同棲時代」と続々復刊中&予定です。
上村一夫の作品
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April 05, 2005

ダウンロードで読める上村一夫の作品

[ダウンロード・コミック]

続々追加されてます。ダウンロードして読むコミック!
但しMACは現在非対応だそう…。
古本でしか読めないものも、こんなモノで読めるようになるとは!!
凄い世の中になりました。


「狂人関係」

狂人関係 (1) 狂人関係 (2) 狂人関係 (3)

「修羅雪姫」

修羅雪姫 (1) 修羅雪姫 (2) 修羅雪姫 (3) 修羅雪姫 (4) 修羅雪姫 (5)


「同棲時代」

同棲時代 (1) 同棲時代 (2) 同棲時代 (3) 同棲時代 (4) 同棲時代 (5) 
同棲時代 (6) 同棲時代 (7) 同棲時代 (8) 同棲時代 (9) 同棲時代 (10)


「関東平野」

関東平野 (1) 関東平野 (2) 関東平野 (3) 関東平野 (4)

「バーボン警察」

バーボン警察 (1) バーボン警察 (2)

■上村一夫ダウンロード・コミック

上村一夫の作品
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(2005.4.5現在随時追加変更) 
 

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「狂人関係」

[コミック]★★★★★

昭和の絵師が、江戸の絵師やその周囲の人々を“粋”にそして“活き活き”と描く。
上村一夫の最高傑作のひとつである劇画「狂人関係」。
下町の町人達の生活、芸術、情熱、愛情、そして死と生(と性)が、
時には高尚に、基本的には庶民的に綴られてゆくのだ。
とにかく上村氏の浮世絵のような江戸のモチーフが美しい。

かの葛飾北斎を師と仰ぎつつ、春画ばかりを描く若い絵師、捨八。
北斎の娘で、自らも絵筆を持つ出戻り女のお栄は、
そんな飄々とした捨八を慕っている。
そんな捨八はある日出会った、不幸な境遇の情熱的な美女…
八百屋のお七に興味を持ち、彼女を女として育てようと心に決め、
お七との愛欲に共に溺れつつ、共に暮らし愛を深めてゆく…。

お栄は天才絵師の北斎や捨八に振り回されながらも
自分の気持ちを極力抑えて、ひっそり捨八を愛している。
だが、捨八はお七にゾッコン。自分には振り向いてくれない。
一方お七は、自分の情熱の赴くまま、
“火事”で欲情してしまう自分を抑えられず、
ついに一線を越え、獄門の刑を夢見るのだ。

正反対の性質を持つ女性、お栄とお七による捨八をめぐる静かな愛憎劇。
元から決して共感する事のない対照的な二人がそれぞれに魅力的だ。
主に身体で捨八を激しく愛する派手好きなお栄。
それとは逆に、密かに一途に献身的に心で愛する家庭的なお栄。
皮肉な事に、お七にとって捨八は運命的で重要なのだが、あくまでも通過点の男であった。
そして、捨八にとってもそれは同じだったのかもしれない。
お栄はとにかく捨八に、師匠の娘や、母としてでは無く、
純粋に“女”として愛して欲しかったのだ。
気持ちが通っていてもままならぬ事もある…。

江戸の絵師達、北斎、歌磨呂、安藤広重、版元の蔦屋重三郎、作家の滝沢馬琴
などの有名人のエピソードと共に、北斎と捨八のコミカルな軽妙さに騙されながら、
するすると自ら江戸の街へと入り混んでしまう。
才能があっても無くても思うように行かぬ、人生の生き地獄。
そんな中にも個々の人間が、自分の生きる意味を見出せた時の幸福感や
瞬く間であっても快楽や達成感は一瞬の極楽気分。
通して語られているのは諸行無常。
命の蝋燭が消えるまで、人は皆生きそして逝く。
死んでしまえば皆同じ…。

こんな江戸の人情絵図を絶妙な筆のタッチで描く上村氏の劇画。
どの女性も似たような顔だが、微妙な目つきで性格が解る。
彼の描く艶っぽい女性、そして女の情念を描くのがとにかく上手い。
そんな上村氏に魅せられるきっかけとなったのがこの作品。
何度読んでもやっぱり素晴らしい!!!

この春から「螢子〜昭和抒情歌50選」「しなの川」「同棲時代」と
上村一夫の作品が続々復刊されるそう。
この機会にゼヒ手に入れたい!!!

■文庫本:「雲古譚」「西瓜」「水鉄砲」を収録した完全版。
狂人関係 (1)〜 (3)

狂人関係 (1)
上村 一夫


狂人関係 (2)
上村 一夫


狂人関係 (3)
上村 一夫

by G-Tools

■「狂人関係」がダウンロードで読めます! 

狂人関係 (1) 狂人関係 (2) 狂人関係 (3)
 
■上村一夫ダウンロード・コミック

上村一夫の作品
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January 09, 2005

「夢師アリス」

[コミック]★★★☆☆

恐ろしいのは人の黒い欲望と心の闇…。
嫌がおうでもそれを表に引きずり出して、見せつける美少女アリス。
その時、彼等は???

また、嬉しい劇画が発売された。
画:上村一夫、原作:岡崎英生によるコラボ作品「夢師アリス」である。
1974年5月8日号〜12月11日号「ヤングコミック」に連載され、
これが初の単行本化だそう。

表紙の黒髪での少女の黒い瞳が印象的。
この少女アリスが、「世にも奇妙な物語」のタモリさながら、
心に闇を持つ者の前に突然現れ、
ヘブライ語で“無限”を意味する「アレフ!」と叫べば、
彼等を明らかに悪意のある不思議の世界へと導くのである。
そこに待っているのは終焉、破滅、崩壊…
老若男女、いずれも美しくもうす汚く、悲しい人間の性から生まれたもの…。
どうして彼女は人間を…大人を“憎む”み“憎ませる”のだろうか?
謎の少女アリスの心の闇とは…

一気に読み進んでしまうのだが、
後に何ともいえない“イヤな気持ち”になってしまう。
これまた、自分の心の闇からか。
最も恐ろしいのは“純粋過ぎる心”なのかもしれない。
純粋さゆえに汚れる事を嫌うから…。

夢師アリス (上巻)

上村一夫, 岡崎英生

夢師アリス (下巻)

上村一夫, 岡崎英生

 
上村一夫の作品
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December 04, 2004

「悪魔のようなあいつ」

[コミック]★★★★☆

何とこんな話だったのか!!!
“三億円犯人の手記”といった形で進行する異色作品。

1975年6月〜9月にTBSで放送された沢田研二主演の同名ドラマ、
悪魔のようなあいつ」のコミック版が復刻された。
原作は作詞家でも有名な阿久 悠、画は「同棲時代」「修羅雪姫」などの上村 一夫
コミック版といっても、雑誌連載とドラマの進行がほぼ同時、
しかも三億円事件の時効が同年12月と当時は相当臨場感があったそうだ。
そう、1968年12月10日に起きた未解決事件、
“三億円事件”の犯人の物語なのだ。

3月10日(あと275日)
大雪のその日、元競輪選手の八村八郎(32才)、
現役刑事である白戸五十六(54才)と、
ちょいとワケありそうな連中がとあるスナック『日蝕』に集ってきた。
元バンドボーイの可門 良(27才)は、甘いマスクのいい男。
親友の元刑事の野々村修二(33才)の経営するこのスナックに居候して、
ギターの流しをやったり、金持ちマダムに自分の身体を売ったり?と、
地味に日陰ながらも奔放な日々を送っていた。
野々村にも八村にも逆らえない“何か理由がありそう”な良は、
この日、日夏恵い子(32才)に1晩10万円で買われる。
なんと彼女は遠い昔、子供の頃良が憧れたその人だったのだ。
この日から彼の計画は少しずつ狂い始める。

憧れの女神日夏恵い子〈ひなつ えいこ〉の出現に、
良は彼女を一億円出してでも手に入れるのでしばらく待てと言う。
足の不自由な妹泉(17才)にも、来年になったら西ドイツの大学病院で治療し、
健康な身体になれるようにすると約束。
決して羽振りが良い生活では無いのに、来年になると一体何が?

4月1日(あと253日)
この日から良の手記になる。
『 俺はしゃべる。しゃべろうと思う。俺の名は可門 良。二十七歳。』
彼にとっては“時効”までの1日は、時間の消化に過ぎないという。
これまでの経緯と日々のエピソードがシンクロしつつ語られる。
一話ごとに“その日まで”がカウントダウンされ、
良の理想は奇しくも違った方向へと彼の知らない所で進み始めた。
“三億円事件”の犯人を良に定め、業務を逸脱した行動で彼を執拗に追う白戸刑事、
同性愛?的なある種の友情でつながる野々村、
典型的なダメ男で良を脅迫し続ける八村、
兄を異常なまでに慕う妹、その看護婦山川静枝の下心、
純粋奔放なノノ、そして…憧れの、良の女神である恵い子…。
皆が、それぞれの欲望に、はかない夢に、
良と関わる事によって墜ちて行く…
究極のナルシストである良は、それでも幸せなのかもしれない。
そして、“三億円”は一体何処に???

何度も歌詞が登場する、『時の過ぎゆくままに』のメロディが頭から離れない。
沢田研二のあの懐かしい名曲だ。
幼い頃の記憶にうっすらと残るこのドラマ。
結末がドラマとコミックで違うようなので、こちらもゼヒ見てみたい。

悪魔のようなあいつ (上)
悪魔のようなあいつ (上)
阿久 悠, 上村 一夫

悪魔のようなあいつ (下)
悪魔のようなあいつ (下)
阿久 悠, 上村 一夫



悪魔のようなあいつ DVDセット1
沢田研二 藤竜也 若山富三郎 荒木一郎 篠ひろ子 阿久悠


悪魔のようなあいつ DVDセット2
沢田研二 藤竜也 若山富三郎 荒木一郎 篠ひろ子 阿久悠


沢田研二主演の映画
■ 映画「太陽を盗んだ男」のレビューはこちら

上村一夫の作品
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October 11, 2004

「修羅雪姫」原作コミック

[コミック]★★★★★

先日の映画「修羅雪姫」の原作。
作:小池一雄、画:上村一夫の劇画である。
まるで映画を観ているような気分になる作品「修羅雪姫」

明治の東京。
当時千円(当時伊藤博文の月収が約2千円)の報酬で
復讐の…殺しや調査の依頼を受ける美女がいた。
彼女の名は鹿島雪。ひとよんで「修羅雪姫」。
番傘に刀を仕込み、あらゆる手段で依頼を達成する。
彼女の出生には、悲しい出来事があった。

明治初年、とある村で悪辣な方法で金儲けを企てる一味に
夫と子供を殺され自分は二日二晩犯された小夜は、
一味の一人〈正景徳市〉を殺した罪で、終身刑に。
獄中で生まれてきた子・雪にその怨念を託して死ぬ。
雪は『修羅の子』として幼い頃より特訓を受けながら厳しく育てられ、
または自ら技を学びながら、
ある時はツボふり、またある時は絵の上手い田舎娘、
女スリ、小間使い、女中、尼僧、看護婦、生命保険の支店長などと姿を変えて、
母小夜の代わりに生き、方々に逃げた憎い仇
〈塚本儀四郎〉〈北浜おこの〉〈竹村伴蔵〉を探しながら、
着々と復讐を果たしていくのだ…。

クールなのだが時には人情味も見せる雪。
どうも、男衆もだがも女衆にもホレられるらしく、
そんなチャンスも逃さずにあの手この手で復讐を果たす。
『因果応報』このために生まれてきた、生まれながらの『修羅の子』。
彼女に休まる日は来ないのだろうか…。

明治の裏社会を描いており、
かなり大人なエピソードが多い本作。
決してお子さま向けではありません。
が、小池一雄さんと上村一夫さんの絶妙なコラボレーションが、
最も成功した作品かと。
最高です。

修羅雪姫 (上巻) 修羅雪姫 (上巻) 小池 一夫, 上村 一夫

修羅雪姫 (下巻) 修羅雪姫 (下巻) 小池 一夫, 上村 一夫
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お得なペーパーバックはこちら

修羅雪姫 第1巻 修羅怨念編 (1)
修羅雪姫 第1巻 修羅怨念編 (1)
小池 一夫, 上村 一夫

修羅雪姫 第2巻 因果応報編 (2)
修羅雪姫 第2巻 因果応報編 (2)
小池 一夫, 上村 一夫
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修羅雪姫 (1) 修羅雪姫 (2) 修羅雪姫 (3) 修羅雪姫 (4) 修羅雪姫 (5)

修羅雪姫(1)〜(5)

 
上村一夫の作品
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October 09, 2004

「修羅雪姫 怨み恋歌」

[DVD映画]★★★★☆

昨日の小池一雄、上村一夫原作の劇画「修羅雪姫」の映画化作品、
「修羅雪姫」の続編となる作品。
監督は同じく藤田敏八、制作年は1974年。
原田芳雄、吉行和子、南原宏治、岸田森、伊丹十三などの、
これまた濃ゆい個性派俳優陣に負けない、梶芽衣子の存在感!!!

日露戦争後の日本。
無実の罪で殺された両親の仇をうった鹿島 雪(梶芽衣子)は
死刑を待つ身で獄中にいた。
ところが絞首刑執行の日、とある人物によって助けられ、
それとひきかえに、秘密文書とその持ち主の命を狙う刺客となることに…。
そして政治的動乱にどんどん巻き込まれてゆく雪の先には、
またもや鮮血の花が咲くのである…。

この「修羅雪姫 怨み恋歌」は前作の“劇画の映画化”とは違い、
独立した物語となっている。
『怨み恋歌』というタイトルにもあるように、
修羅の子雪がなんと助けられた街医者(原田芳雄)に恋をする。
この『怨み恋歌』では雪の人間的な一面、
正義感による依頼者への裏切りや愛する男への愛などが描かれている。
もう彼女は親の仇に生きる修羅の子からは解放されたのだ。
とはいえ、凄腕の刺客である雪が放っておかれるはずは無い。
やはり親ではないが、依頼者の怨みを晴らさねばならないのだ…。

貧民窟の街医者(原田芳雄)と徳永乱水(伊丹十三)はもちろん。
特高警察長官菊井(岸田森)、蜍(南原宏治)この二人の怪演がものすごい…。
ひたすら痛い目にあう丸山警部(山本麟一)、
初々しく美しい吉行和子の大胆な格闘シーンも含め、
とにかく登場人物が皆怪しく光るの作品なのだ。
そして、雪…梶芽衣子さん!

前作よりもたちまわりも上達し、
ちょっとけだるいかんじの梶芽衣子さんが粋。
特典のインタビューで『最も忙しく、とにかく疲れていた時期』と語っておられた。
その力の抜けた感じがまたソソるわけであった…。
ちなみにこのインダビューは、女優へのきっかけなど
貴重なエピソードが満載。
インタビューが終わって、一瞬『素』に戻る顔にドキッ。
そういえば先日始まった「大奥」にも梶さん出演されていますね。
日本髪と着物。やっぱり現在もお似合い…。

この他DVD特典にはもちろん原作者の小池さんのインタビュー、
上村さんの原作画集、及び内封に上村さんの原画ポストカードなども有り。
満足の逸品!!

修羅雪姫 怨み恋歌
修羅雪姫 怨み恋歌
 
上村一夫の作品
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October 07, 2004

「修羅雪姫」

[DVD映画]★★★★☆

小池一雄、上村一夫原作の同名劇画「修羅雪姫」の映画化。
怨念を背負って生まれた娘、お雪が仇を討つまでを描いた娯楽アクション。
監督は藤田敏八、制作年は1973年。梶芽衣子さん、さそりで大活躍の頃の作品。
タランティーノ監督がこれをベースに「キル・ビル」を作った事は、
あまりにも有名な「修羅雪姫」

明治初年、とある村で悪辣な方法で金儲けを企てる一味に夫と子供を殺され、
自分は二日二晩犯された小夜は、
獄中で生まれてきた子・雪にその怨念を託して死ぬ。
その赤ん坊、雪は『修羅の子』として厳しく育てられ、母小夜の代わりに生き、
紺の蛇の目傘に仕込んだ白刃で復讐を果たしていくのだ…。

原作に極力忠実に描こうとしたからか、若干説明的。
(仇のひとり“おこの”が劇画と似ていてちょっと笑える。)
とはいえ、あの劇画の世界をよくここまで表現出来たと思う。
雪の子供の頃の修行のシーンなど、まさかこのシーンがあるとは…といったほど。
そして、何より梶さんの初々しい殺陣の立ちまわり、和服の着こなしも見ドコロ。
黒沢年男、大門正明、西村晃、岡田英次、赤座美代子といった俳優さんも、
若い若い…!!!

DVDになって特典がまた嬉しい。
最近の梶さんのロングなインタビュー!!と小池監督のインタビュー。
そして、上村一夫のイラストも入ってます。
見応えありでした。
梶さん…歳を重ねても美しくかっこよい…。
あのように歳をとりたいものです…!!!

修羅雪姫
修羅雪姫

ちなみに、彼女の主演の作品はほとんど主題歌を歌っているそう。
『修羅の花』
は「キル・ビル」にも使われていましたね。
カップリングは『怨み節』

修羅の花
修羅の花

原作本がダウンロードで読めます♪

修羅雪姫 (1) 修羅雪姫 (2) 修羅雪姫 (3) 修羅雪姫 (4) 修羅雪姫 (5)

上村一夫の作品
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August 16, 2004

「子年のお岩」

[コミック]★★★★★

『嗤(わら)う伊右衛門』を観ていて思い出した劇画が「子年のお岩」。
イラストレーターであり劇画家であった、上村一夫(1940〜1986没)の傑作!。
こちらも上村一夫氏が解釈。ただのエロ漫画ではありません。

「上村一夫珠玉作品集 (1) 」子年のお岩 ( 著者: 上村一夫 | 出版社: 愛育社 )

享和二年夏の始め、四ッ谷左門町の坂上から始まる、
父親を殺してしまった元武士の丹波伊右衛門と、
彼に言い寄られ結婚する事になってしまった田宮岩との
これは『純愛物語』。
貧しいながらも愛しあって暮らし始めた彼等の隣に
御薬園奉行の伊藤喜兵衛というじいさんと顔半分を隠した娘、綾が引っ越してくる。
彼等の庭には九頭蘭という美しいが毒をもつ花が…。
この綾の顔には醜い痣があった。
伊右衛門に恋してしまった綾のために、喜兵衛は風邪薬と称し、
岩に九頭蘭の毒薬を与えてさらに醜い姿にしてしまう。
そうすれば伊右衛門の心は綾へ向かうと考えたのだ。
更に、金銭と媚薬で伊右衛門を綾へとしばりつけ、家に返さない喜兵衛親子…。

そうとは知らぬ岩は、九頭蘭の毒薬のために病に伏してしまう。
一人、帰らぬ伊右衛門を待ちながら…。
家にやってきた父親の死の目撃者である按摩に身体を奪われそうになり、
そこで初めて自分が騙されていた事を知る。
そして、按摩との格闘の末、岩は死んでしまう。
ずるりとむけた顔の右側の皮、どんどん抜けてしまう髪にも気付かず…。

顔半分がむけただれ、髪が抜け落ちたものすごい顔を、
三途の川をのぞき、これを見てしまった岩。
または綾に化身して哀しみに満ちた表情で言う言葉、
「恨みますぞえ、伊右衛門さま…」
これはにはゾゾゾッ…。

ただし、心の底では愛しあっていた二人。
恨みは果たされ、永遠の愛にて幕を閉じる。

上村一夫の作品との出会いは、とある仕事。
書き下ろしのその画の和服の女性は細い切れ長の眼持ち、
憂いに満ちた表情でこちらを見ていた。
ドキッとした事を覚えている。
そして、「同棲時代」などのあの作者だと知りすっかりファンに…。
特にどっぷりとハマッてしまったのが、「狂人関係」と「修羅雪姫」。
彼の江戸ものはとにかく良い。
まさに『昭和の絵師』!!!
浮世絵から抜け出たような背景や動物。切れ長の眼の艶っぽい女性。
人間くさくて粋な男衆。そして『愛と恨しみの情』。
一度ハマると抜けられません。

この「上村一夫珠玉作品集 (1) 」には短編「神泉隠亡谷心中」が収録されています。

彼の美女画集はこちら。
この上村一夫珠玉作品集の表紙のイラストも収録されています。

上村一夫 美女画集
上村一夫 美女画集
上村 一夫
 
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