32 posts categorized "映画:フランス"

August 03, 2008

「HOT FUZZ ホットファズ-俺たちスーパーポリスメン!-」

[劇場映画]★★★★★

HOT FUZZ=熱心な警官…
しょっぱなから小ネタが満載!
これでもかとばかりにたたみかけてくるラストへ向けて
ゆる〜いながらもテンポ良〜く加速する!!
下らなくエグイんだけどどこか優しい描き方で憎めない!!!

____________________

「HOT FUZZ ホットファズ-俺たちスーパーポリスメン!-」
製作国:イギリス/フランス(2007)

監督:エドガー・ライト
製作:ティム・ビーヴァン/エリック・フェルナー/ニラ・パーク
製作総指揮:ナターシャ・ワートン
脚本:エドガー・ライト/サイモン・ペッグ
撮影:ジェス・ホール
プロダクションデザイン: マーカス・ローランド
衣装デザイン: アニー・ハーディング
編集:クリス・ディケンズ
音楽:デヴィッド・アーノルド

出演:
サイモン・ペッグ(ニコラス・エンジェル)
ニック・フロスト(ダニー・バターマン)
ジム・ブロードベント(フランク・バターマン)
パディ・コンシダイン(アンディ・ウェインライト)
ティモシー・ダルトン(サイモン・スキナー)
ビル・ナイ
ビリー・ホワイトロー
エドワード・ウッドワード
ビル・ベイリー
デヴィッド・ブラッドリー
ケヴィン・エルドン
レイフ・スポール
カール・ジョンソン
オリヴィア・コールマン
ケン・クラナム
ピーター・ワイト
アン・リード
ジュリア・ディーキン
パトリシア・フランクリン
ポール・フリーマン
スチュアート・ウィルソン
アダム・バクストン
ロン・クック
マーティン・フリーマン
ルーシー・パンチ
デヴィッド・スレルフォール
ケイト・ブランシェット
ピーター・ジャクソン
____________________

優秀なのに上司や同僚に妬まれ地方左遷決定
恋人にもフラれて、失意のもとイギリスの田舎町
サンドフォードへやってきた。
この村はヴィレッジ・オブ・ザ・イヤーに選ばれる程の
平和な村らしいのだが…何か妙?
警察署長のダメ息子ダニーと組まされ
逃げた白鳥の追跡など、のほほんとした任務の日々…
しかし、ある日起きた事故。どうも犯罪のニオイがする…
熱血警官ニコラスの食指が動いてしまった!


いやぁ、最初から最後まで、
下らなさ満点、オマージュ満点で面白かった〜!!!
「ショーン・オブ・ザ・デッド」のエドガー・ライト監督
この監督やっぱり好きですよ♪
そういえば「グラインドハウス」のフェイク予告
「Don't」もイカしてましたし。
今作は「Don't」的なテンポの良さや
ポリス・アクションもののスピード感もあり
更に鑑賞しやすかったかも。
イギリス人監督らしいネタや音楽のチョイスも好きですね。

何がおかしいって…
熱血警官ニコラス・エンジェル役のサイモン・ペッグの表情!
ターミネーター的な表情と特に走る時の姿に注目♪
相方ダニー・バターマン警部補役のニック・フロストとの
コント的な会話はお見事!!
この凸凹コンビは健在ですな。
あと、怪しすぎるにこやかな笑顔の村人達も役者揃い。
ティモシー・ダルトン…怪し過ぎます…

ストーリー展開的に特に目新しいものがある作品では無いけれど
とにかくスピード感とゆるゆる感
凄まじい事件と平和ボケしたまったり感
都会で百戦錬磨の業績をあげた生真面目熱血優秀警官
なりゆきで警官をしているポリス映画マニアの無能な田舎警官
細部にわたる緊張と緩和、凸凹感がイイですね。
ラストまで一気にどんどん加速する悲惨な事態たるや!
でも観終わった後味は悪くないオチも好き。

誰にでもおすすめは出来ませんが
B級アングラ感あふれるおバカ映画好きな方はゼヒどうぞ♪

B001H7Q2VQホット・ファズ~俺たちスーパーポリスメン!~
サイモン・ペッグ, ニック・フロスト, ジム・ブロードベント, ティモシー・ダルトン, エドガー・ライト
ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン 2008-12-04

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Hot Fuzz
Original Soundtrack
B000N3SP9C

「HOT FUZZ ホットファズ-俺たちスーパーポリスメン!-」オフィシャルサイト

■映画「ショーン・オブ・ザ・デッド」
■映画「グラインドハウス U.S.A.バージョン」

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August 02, 2008

「屋敷女」

[劇場映画]★★★★☆

“この女凶暴につき”というコピーがぴったり。
とにかくベアトリス・ダル演じる謎の女が怖い怖い…
壊れゆく女を演じさせるとおフランスいち?
齢を重ね増々パワフルになったかも…
めずらしく妙にリアルなおフランスのユーロ・ホラー。
ちなみに主演のアリソン・パラディは
あのヴァネッサ・パラディの妹で何とコレがデビュー作!!!

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「屋敷女」
原題:A l'interieur

製作国:フランス(2007)
監督:ジュリアン・モーリー/アレクサンドル・バスティロ
製作:ヴェラーヌ・フレディアニ/フランク・リビエール
脚本:アレクサンドル・バスティロ
撮影:ローラン・バレ
音楽:フランソワ・ウード

出演:
ベアトリス・ダル(見知らぬ女)
アリソン・パラディ(サラ)
ナタリー・ルーセル (サラの母親ルイーズ)
フランソワーズ=レジス・マルシャソン
ニコラ・デュヴォシェル
リュドヴィック・ベルティロ
エマン・サイディ
エマニュエル・レンツィ(警官)

____________________

クリスマス・イブの夜
4ヵ月前に事故で夫を亡くしたフォト・ジャーナリストのサラは
明日いよいよ出産という臨月の妊婦。
母や現在の恋人のジャン=ピエールには一人で過ごすと言い
愛していた夫、お腹の子の父である亡きマチューを想い
愛猫と共に静かに過ごしていたのだが…
見知らぬ女が電話を貸してほしいとやってきた…


予告編がインパクト有りすぎたのと、
ベアトリス・ダルにそそられて、つい観てしまったのですが…(汗)
予想を上回るエグさに思わず痛くて直視出来なかった所も…
うへぇ、真っ赤なタイトルバックどおりに
狂暴ダルちゃん登場してからは、血の海!
まぁ、画面が暗くてくっきりはっきり見えなかったのが幸いかも。

ストーリー的にはある程度想像はついたものの、
もう後味の悪いこと悪いこと(笑)
ただでさえ少ないお客がますますシーン…としていましたね。
やっぱりダルちゃんは強烈に恐かった…

主人公の出産を明日にひかえた臨月の妊婦サラ(アリソン・パラディ)
にはもちろん人生最悪な夜だけど、
巻き込まれた人達もとにかく悲惨極まりない…
理由の解らぬ者に殺されるかもしれない恐怖とともに、
この女の強さたるや!
その一途な想いで、目的を果たすべく、
ターミネーターかゾンビの如く躊躇いもなく襲いますから…
そう、悪気が無いだけにタチが悪いタイプの犯罪者。
こいつと戦うのにはまず精神力で勝らねば無理!
破水しながら最後まで闘いぬいたサラは
生まれて来る子を守ろうとするその気力で様々な激痛に耐えつつ、
敵を追い詰めるまで至ったのかも。

しかしながら、救いのないこの映画で
何より印象深かったのが胎児の表情の描き方。
胎児も悲鳴を上げるんです…(泣)
登場する優しい男達をためらいもなく排除する女。
母になりたい女の念は想像を絶するパワーをも産む…

このような事は起きてはいけない、起こしてもいけない。
生まれて来る子供に罪は無いんですから
ちゃんと母の胸に抱かせてあげて下さい。
彼らの幸せのために…ね。

→「屋敷女」オフィシャルサイト

B001FLUIQO屋敷女 アンレイテッド版
ベアトリス・ダル, アリソン・パラディ, ナタリー・ルーセル, ジュリアン・モーリー
キングレコード 2009-01-07

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July 15, 2007

「変態村」

[DVD映画]★★★☆☆

予告編がかなり不気味で気になっており鑑賞。
たしかシネマライズでの単館上映だったかな。
人里離れた森の奥の僻地の村の不気味さと
“加速する孤独な人間の狂気”
愛するひとを想い独り占めしたいという感情が
個人的な妄想だけでなくエスカレートしてゆく異様さが
ただただ痛々しく不気味。

_________________

「変態村」
 原題:CALVAIRE

製作国:ベルギー/フランス/ルクセンブルグ(2004)

監督:ファブリス・ドゥ・ヴェルツ
脚本:ファブリス・ドゥ・ヴェルツ/ロマン・プロタ
音楽:ヴァンサン・カエイ

出演:
マルク・ステヴァンス(ローラン・リュカ)
バルテル(ジャッキー・ベロワイエ)
ロベール・オルトン(フィリップ・ナオン)
ほか

_________________

タイトルにインパクトありますが
ちょっと内容とはズレていますな。
変態さんがわんさか登場するわけでもなく
孤独な狂気と純愛が描かれています。

地方を独りで旅するちょっと可愛いミュージシャン
(日本でいうほぼ演歌的な感じ)のマルクは
齢上のおばさま達にモテモテ。
南仏に向かうはずだったのに…車の故障で立ち往生。
とある村のはずれのペンションに泊めてもらうのだが
オーナーのバルテルの様子がどんどんおかしくなってくる…
そして、その村の住人の様子もあきらかに妙。
マルクはどんどんとんでもない状態へと追いつめられてゆく…
彼に未来はあるのだろうか???

最初はまったりと、どんどん加速する狂気とあっけないラストには
思わず『ええ…』(汗)
十字架へ張付けられてのお仕置きや
痛そうなシーンも多いけれど
それを上回る異常な愛情表現のほうが怖いですね。
バーでの村の男のダンスシーンがとにかく不気味。
不協和音のピアノで奏でられる音楽で
村の男達が踊るのはまるでゾンビか案山子のダンス。
目に焼き付いて離れません。

意外にも妙にクォリティが良い部分やこだわりもあったりで
ぐいぐい見せる所はあるけれど
ストーリー的にはいまひとつかな。
愛する女性を失った寂しさ
そして女性不在の村?から起因するのか
描かれているのは孤独な狂気。
村に入る前の町でも老婆や中年女性に迫られていた
親しみやすい中性的な魅力のある
美青年マルクは妙な色気と美声のせいで
こういった人を狂わせる才能を持っていたんでしょう。
僻地の村では、もはや女性として愛されていましたし…

それにしても救いの無い映画でした。
初の長編作との事で、盛り込み過ぎもある。
メイキングを見ると監督の暑苦しい思いが堪能できますね。
村人のドン的なロベールを演じるのは
これまた変態ものを演じるとピカイチのフィリップ・ナオン♪
リハする姿…やっぱり上手いわ…この人。
予告編のほうが本編よりは面白いタイプの作品。

ちなみに…
特典映像の短編『ワンダフル・ラヴ』がおすすめ。
こちらのほうが完成度高くて面白い。
20分という短時間ながら寂しい年増女の狂気を見事に描いています。
目新しさは特に無いけれど、とにかく主人公の女性の目がイッちゃってるし
ケーキ食べてても、肉買っていても、
牛タン料理してても、歩いていても怖い…
作品について楽しそうに熱〜く語るこの監督の
今後の作品にちょっと期待します。


B000H4W91M変態村
ローラン・リュカ ファブリス・ドゥ・ヴェルツ ジャッキー・ベロワイエ
キングレコード 2006-10-04

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June 28, 2007

「王と鳥」

[DVD映画]★★★★☆

思い切りブラックなダンタジー・アニメなのだが
何故か悪を憎みきれない…
ジブリの巨匠達に影響を思い切り与えたこの作品は観るべし!

_________________________

「王と鳥」
原題:LE ROI ET L'OISEAU

製作国:フランス(1980)
監督:ポール・グリモー
原作・脚本:アンデルセン『羊飼い娘と煙突掃除人』
脚本・台詞:ジャック・プレヴェール
音楽:ヴォイチェフ・キラール/ジョセフ・コズマ

声の出演
王(パスカル・マゾッティ)
鳥(ジャン・マルタン)
警官長(レイモン・ビュシェール)
羊飼い娘(アニエス・ヴィアラ)
煙突掃除人(ルノー・マルクス)
助言者(ユベール・デシャン)
盲人(ロジェ・ブラン)
エレベーター係/スピーカーの声(フィリップ・デレーズ)
猛獣使い(アルベール・メディナ)
宮殿の市長(クロード・ピエプリュ)

「王と鳥」オフィシャル・サイト

_________________________

原作のアンデルセンの『羊飼い娘と煙突掃除人』を元に
独特の構図とアイロニーいっぱいの
階級社会や独裁制への批判がテーマになっている
ちょっとブラックなおフランスのファンタジー・アニメーション。

面白い罠や仕掛けだらけのお城や大きなロボット兵
極端にデフィルメされた構図など
宮崎駿監督の作品にかなり影響を与えているのは一目瞭然。
デジタルリマスターしているとはいえ
1980年という微妙な時代の作品だけど
今観て新しい…というか色あせていないのが素晴らしい。

どこかマヌケな鳥さんやその子供達。
更にマヌケな城の家臣達。
地下に生活する人々や動物達。
そして暴君すら、皆幸せになりたいし、音楽が大好き♪

恐怖政治の支配下…絶望の中にあった地下の住人も
鳥達が迷い込んで来た事によって
何かが動き変化し始めた。
彼らが見た事の無い空を飛ぶ鳥の知識の広さ、力強さ
そして自由な言動に突き動かされる。
それにしても、子供達への絶対的な愛といい
IQ高い鳥さんってば、凄いすぎ!強過ぎ!!

ラストのシーンがしんみりと印象的。
独りよがりでワガママな王と頭の良い鳥との対決は
下層社会対支配階級だったのね。
もっと羊飼いの女の子と煙突掃除の男の子
クローズアップされるのかと思ったら
意外とサラッと流されていたのが少し残念。
鳥さんに助けられっぱなしだし
王と鳥のキャラの濃さに負けていましたもん。

寓話的に考えてみると
王は独裁者、鳥は自由な国からの使者
絵画の中の少女と少年は夢見るだけのティーンエイジャー
地下の人々は支配されつつも本当に国を支えている国民達といった所かな。


〈特典映像〉

[1]太田光(爆笑問題)×高畑勲 劇場初日対談

   コレがかなりブラックで面白い!

[2]ターニング・テーブル(ポール・グリモー短編アニメーション集)

   グリモー監督が過去の作品をキャラクターと一緒に紹介してくれる
   この約75分も必見♪

 ・こっくりさんの会(1931年)
 ・音符売り(1941年)
 ・大熊座号の乗客(1942年)
 ・かかし(1943年)
 ・避雷針泥棒(1945年)
 ・魔法のフルート(1946年)
 ・ダイアモンド(1970年)
 ・王様の道化(1988年)
 ・音楽狂の犬(1973年)
 ・小さな兵士(1947年)

[3]「王と鳥」劇場予告編 など

B000LPS3NK王と鳥 スタンダード版
ポール・グリモー ジャン・マルタン パスカル・マゾッティ
ブエナ ビスタ ホーム エンターテイメント 2007-04-04

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September 15, 2006

「ぼくを葬る」

[劇場映画]★★★★☆

前作でオゾンさんどこへゆくの?と思ったが、今度はこっちだったのね…。
ある日突然宣告され決定しなければならない自己の死に様。

どうしても今回は劇場で観たかったのでG.W.に鑑賞した。
終了後、無言状態の劇場が映画のテーマの深さを物語っており新鮮だった。
前作の「ふたりの5つの分かれ路」で何かが起きた?オゾン節。
しかも「まぼろし」の“最愛の人の死”に続き、…今回は“自分の死”を描く。
この重いテーマをオゾンがどう描くのかはいへん興味深かった。
 
監督は気になっているフランスの若手監督フランソワ・オゾン
2005年フランスで制作されたぼくを葬(おく)る」。
原題は「LE TEMPS QUI RESTE」。
  
31歳の売れっ子ファッション・カメラマンのロマン(メルヴィル・プポー)は、
ある日撮影中に倒れてしまう。
医者にかかったところ、末期癌で余命が役3ケ月と宣告された。
まだ若いロマンに、医者は放射線や点滴での治療をすすめるのだが、
ロマンは治療を拒絶する。

同性愛者のロマンの恋人サシャ(クリスチャン・センゲワルト)に
冷たい言葉を浴びせ別れを決意し、
家族に告白しようとするが、どうしても言う事が出来ず、
父(ダニエル・デュヴァル)母(マリー・リヴィエール)には心配かけないよう
更に姉(ルイーズ=アン・ヒッポー)とは仲違い。
仕事を辞め、唯一祖母のローラ(ジャンヌ・モロー)にだけは病気の事を打ち明けた。
なぜなら…
“おばあちゃんは、僕に似ているから…”

そんな時、たまたまカフェで出会った
ウエイトレスのジャニィ(ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ)夫婦から
持ちかけられたのは“代理父”の依頼。
運命に怒り、周りに心配をかけないように己を孤独に追いやって、
どんどん弱ってゆくロマンに、姉からの手紙で転機が訪れる。
“子供”を意識している事に気付いたロマン。
幼い自分の記憶と幻に出会った時に何かが起きた。
自分と向き合い、今出来る事を遂行し、自分を葬る準備を始める…。
美しいと思ったシーンを切り取るカメラ。
ニコンの一眼レフからコンパクトカメラに変わってからの彼の撮る写真は、
きっと彼の宝物で天国へ持ってゆきたい写真に違いない…。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

ある日突然つきつけられる、限りなく近い将来に起きる人生の終焉。
その当事者は病と死への恐怖の中で、
残された人生で行うべき事を短時間で決定せねばならない。

全ての人は孤独に生まれ、孤独に逝く運命を持っている。
その間の限られた人生を如何に生きるか、そして死ぬのか…それが人生。
ロマンを通して自己の人生観が感情と共にえぐり出される気分になった。
リアルで普通な何という事の無いシーンに込められたロマンの想い。
ロマンを演じるメルヴィル・プポーの繊細に揺れ動く感情と
遠くを見つめるかのような美しい瞳、
そして衰えてゆく肉体の変化に、胸をしめつけられる。
祖母を演じるジャンヌ・モローの孫への言葉
“今夜お前と死にたい”。
唯一信頼している肉親の愛情がこもったその言葉には、
ロマンと共に目頭が熱くなった。
余談だが、子供時代のロマン役の少年(ウゴ・スーザン・トラベルシ)の
くりくり巻き毛と瞳がメルヴィル・プポーと似ていてこれにまたグッとくる。

偶然に出あった人に自分の生きた証を委ね、
愛した人から愛されていると知る事が出来たロマン。
突然訪れたつらく悲しい物語を描くのではなく、
何かに立ち向かい得る夢や希望を描くのでもなく、
人間の本能と事実を受容し、自分の死に様を決めた一人の男の心の動きを
極めて間近から繊細に優しく描いた作品だと思う。

少ない余命で何を残せるか…

イザベル・コヘット監督の「死ぬまでにしたい10のこと」も同じようなテーマだったが、
あちらは若い母親だったので、女としてしておきたい事、
旦那や子供達に残しておきたい事、
娘として両親にしておきたい事を綴っていた。
こちらは独身で同性愛者、人生の成功者であった若い男性。
心の動きはおのずと違ってくる。
前者では限界まで母性を与え、後者では母性を求めている気がした。

ちなみに、治る可能性が5%以下と言われ治療を拒否したロマン流の生き様。
後悔しないよう治療する方法をとり、癌と戦う決意をするという生き方。
“健康で死にたい”というロマンの祖母の生き方が最も望まれるものだろうが、
病気…特に癌などの病の場合は、本人の悔いの無いようにするのが一番だと思う。
特に早期発見の場合完治出来る可能性が高いので、もちろん治療すべきだろう。

こんな仕掛けや謎の無い、
フランソワ・オゾン作品は初めて!

円熟したというか、人生の折り返し地点にきたからか…
ほぼオゾンと同じ年代の自分にとっては見事に心に響いた。
これまで常に死と生と性、その源の水=海、そして女の強さと怖さ、男の弱さ…。
表現方法は違っても、常に根源にあるものは同じなのかも。
ちなみに今後“子供の死”をテーマにした作品の予定もあり3部作にしたいそう。
次回作は英語で撮っているという噂だが、こちらはどんな内容なのか楽しみだ。

本作のオゾンの定番のラストシーン。
いつもと違い、悲しい場面なのになぜか優しい安心感がある。
 

「ぼくを葬る」オフィシャルサイト

ぼくを葬るぼくを葬る
フランソワ・オゾン メルヴィル・プポー ジャンヌ・モロー

ふたりの5つの分かれ路 スイミング・プール 無修正版 8人の女たち デラックス版 まぼろし<初回限定パッケージ仕様>
焼け石に水 ホームドラマ クリミナル・ラヴァーズ 海を見る

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September 14, 2006

「ふたりの5つの分かれ路」

[DVD映画]★★★★☆

オゾン作品としてはもの足りないが、
何でも無い物語がちょっとしたミステリーになっている。
やっぱり女は強くて怖い…

違った意味で衝撃的?だったこの作品。
オゾン節が変化してきた???
監督は気になるフランスの若手監督フランソワ・オゾン
音楽はフィリップ・ロンピ
原題は「5X2」。2005年公開の作品ふたりの5つの分かれ路
 

冷めきった夫婦の離婚の場。
子供とともに、生きてゆく事にした自由で強い女。
誰かと寄り添ってゆかなければ生きてゆけない未練たっぷりの男。
ここに至るまでのこの夫婦の愛の経緯とは???

* * * * * * * * * * * * * * * *

“愛は変化し崩壊するものだ”

と定義し、その過程を見せつけるのがこの作品。
新しい手法では無いが時間軸を逆にし
ある1組のカップルの離婚から出会いまでを
“別れ”→“裏切り”→“出産”→“結婚”→“出会い”
の5つのエピソードを描く事により、
何でもない物語をうまく謎解きにしている。
レトロでメロウな音楽やイタリアンポップがとても印象的。

最初は乱暴で酷い男に思えた夫ジル(ステファン・フレイス)が、
どんどん哀れに思え、
最初は可哀想な妻に見えた妻マリオン(ヴァレリア・ブルーニ=テデスキ)が、
どんどん力強く奔放に思えてくる。
いや、そもそもがそうだったから
5つの分かれ路を経てこの結婚は崩壊したのだ…。
彼らの愛の絶頂は結婚式だった。
 
カップルになった男女の心の嫌な所と禁断の行為を
美しいビジュアルを駆使しつつ極めてリアルに描き出す。
オゾンお得意の、エロティックかつ暴力的な表現、
それとは逆の愛ゆえの美しく明るく優しい表現の対比の妙で
ドラマティックに見せるのはさすがだ。
心に残るのがマリオンの両親、
父ベルナール(ミシェル・ロンダール)と
母モニク(フランソワーズ・ファビアン)のダンスと
ジルの兄クリストフ(アントワーヌ・シャピー)と恋人とのダンス。
ジルの元カノのヴァレリー(ジェラルディン・ペラス)の山歩きのシーン。
この夫婦とは別の愛の形がそこに垣間見える。

そして、この映画にも出てくる『海』。
生命の源、そして帰ってゆく所。
それは愛も同じなのか?
打ち寄せ引く波。どこまでも広がる母なる海。
オゾンの海はまだまだ広がり続ける。

「ふたりの5つの分かれ路」オフィシャルサイト

ふたりの5つの分かれ路ふたりの5つの分かれ路
フランソワ・オゾン ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ ステファン・フレイス

ぼくを葬る スイミング・プール 無修正版 8人の女たち デラックス版 まぼろし<初回限定パッケージ仕様>
焼け石に水 ホームドラマ クリミナル・ラヴァーズ 海を見る

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『ふたりの5つの分かれ路』(原題:「5×2」)オリジナルサウンドトラック
フィリップ・ロンビ サントラ
B0009V1ETG

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September 09, 2006

「皇帝ペンギン」

[DVD映画]★★★☆☆
 
この映像を撮影したスタッフにまず感謝したい!
皇帝ペンギンの不器用で不思議な生態を観る事が出来た!!

えっちらおっちら極寒の中を歩くペンギン達の行列、
カメの甲羅のように身を寄せあい冬の寒さをしのぐオスのペンギン達。
卵を受け渡しながら子供の命を守るペンギンの夫婦。
何十日も食べずに過ごし、何十日も旅をする彼らの姿。
その耐える力強さに感動した。
彼らはなんて不思議な生き物なんだろう!
子が巣立つと彼らだけで生活するというのも初めて知った。

監督はリュック・ジャケ
声の出演は、 ロマーヌ・ボーランジェ(母ペンギン)
シャルル・ベルリング(父ペンギン)、ジュール・シトリュク(子ペンギン)。
2005年公開のフランスのドキュメンタリー映画皇帝ペンギン
 
* * * * * * * * * * * * * * * *  

水中で食事をし、活き活きと泳ぐ姿。
対して陸上でのすさまじいまでに不器用な生活。
太陽の沈まぬ南極の夏の海辺。
太陽の昇らぬ厳しく長い夜南極の冬。
その中での子育て。
寒さに耐え、食いだめの出来るペンギンの強靱な体。
必ず相手が帰って来ると信じて待つつがい達と子供達。
自然の厳しさと不思議さには驚きっぱなしだ。

美しい映像と共に、ペンギン達を擬人化して語られるこの作品は、
賛否両論ありつつも、生命の儚さと共に生きる事の力強さ、家族の愛の力など
彼らの生態をとおして解りやすく教えてくれる。
人間の弱さ、そして器用さ、執念の強さをひしひしと感じた。
なぜならこの生態を撮影したスタッフのねばり強さたるや!

日本語吹き替え(石田ひかり、大沢たかお、神木隆之介)が評判良いようなので、
子供と楽しむ方はゼヒそちらで。
個人的には字幕版で十分楽しめた。

皇帝ペンギン -La Marche de l'empereur-皇帝ペンギン -La Marche de l'empereur-
リュック・ジャケ 岡田 好恵

皇帝ペンギン プレミアム・エディション 皇帝ペンギン ペンギンガイドブック ペンギン物語 ペンギン全種に会いに行く

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October 30, 2005

「子熊物語」

[DVD映画]★★★★☆

子熊の視点で映し出された映像が楽しくてドキドキ…。
人間も含む動物の表情が豊かで素晴しい!

突然予期せず良い作品に出会いまた…観てしまった。
ロッキー山脈の大自然の中、
不安が一杯、でも好奇心も元気も一杯、
愛嬌たっぷり精一杯生きる、
ちょっと妄想癖のある子熊ちゃんが可愛らしい。

これは先日「トゥー・ブラザーズ」でも紹介した
フランスのジャン=ジャック・アノー監督により
1988年に製作された心温まる作品「子熊物語」。
撮影はとても大変そうだけれど
動物達の生き生きとした表情を撮るのが、
この監督は本当に上手。
 
ロッキー山脈のふもとの春。
草木や花が咲き乱れる丘で、死んでしまった母親のそばで眠る一匹の子熊。
生きてゆくための方法を何も知らない無防備な子熊は、
偶然森で出会った雄熊を親のように慕い、彼のまねをしながら後をついて行く。
だがその雄熊は、その巨体ゆえ人間の猟師達に目をつけられていた。
その銃弾を受け、山の奥へ逃げる雄熊をこっそり追いかけ、
その傷口を舐めてあげる子熊。
それまで子熊を追い払っていた雄熊もついに我が子のように子熊を舐めはじめた。
しつこく追ってくる猟師達から逃げながら、彼等の愛情と信頼関係は深まってゆく…。
そしてついに、人間達が猟犬を導入して追い詰めてきた時に、
雄熊は身をもって子熊を守るのだが、子熊は猟師達に捕らえられてしまった。
猟師のトム(チェッキー・カリョ)からミルクを与えられ、
次第に彼等との生活にも慣れてゆくのだが…。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

子熊の視点で映し出された映像が本当に楽しい。
クレイアニメだったりして、ファンタジックなのだが、
初めて見たカエルが夢に溢れ出て来たり、
きのこを食べてトリップしてしまったり!!!
ちょっと子供の頃の空想なんかを思い出してしまう、
なかなか想像力豊かで悪戯大好きな子熊ちゃんなのだ。
何でもかんでも雄熊の真似を一生懸命する姿!
おまけに熊達の表情豊かなつぶらな瞳!
驚いたり悲しんだり喜んだり安心したり…。
雄熊の威嚇する顔の恐ろしさはかなりのインパクトがあった。
あの顔で間近で吠えられたら…
猟師のトムさんも丸腰ではさすがにおののき祈るだろう。
ワタシも思わず一緒に祈ってしまった。

怯えて攻撃しない相手にとった雄熊の行動。
子熊ちゃんも、一難去ってまた一難…
自然界での掟。そしてお互いの知恵合戦。
生かす事の勇気と生きる事の難しさ。
猟師達の作る散弾銃の弾。
この子熊が、人間達が、そして私自身も
あらためて知る大自然の厳しさと愛情。
ハッピー・エンドにも救われる。
ちょっと心が洗われた作品。
 
子熊物語
チェッキー・カリョ ジャン=ジャック・アノー ジェラール・ブラッシュ
B0006NKDGM

子熊物語サウンドトラック
クロード・ベリ
B00005HLPT

 
■映画「トゥー・ブラザーズ」レビュー
 

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October 28, 2005

「トゥー・ブラザーズ」

[DVD映画]★★★★☆

愛すること。信じること。最後まで諦めないこと。
これらを、2匹のトラ兄弟の母から教えてもらい、
トラの深い愛情に驚いた。

監督・原作・脚本・製作は
子熊物語」「セブン・イヤーズ・イン・チベット」のジャン=ジャック・アノー
2004年の英・仏合作「トゥー・ブラザーズ」。
出演は「メメント」のガイ・ピアース、ジャン=クロード・ドレフュス。
予告編から気になっていたが、それを上回るステキな物語だった。
30頭ものトラを使い撮影されたそう…素晴しいシーンが満載。
トラの兄弟のじゃれあう姿に思わず涙がにじんでしまう。
 
冒頭のカンボジアの密林の中、草木のからまる石像のゴロゴロする、
寺院の遺跡で暮らしている4匹のトラの家族の姿。
彼等が水浴びをする川の中にも転がるレリーフの遺跡…。
子猫のような子トラの兄弟、立派で堂々とした愛情深い両親。
じゃれあい、救いあう子トラ達…。
この風景に見入ってしまった。

象牙より、めずらしいアジアの石仏がめずらしく高値で取り引きされた時代、
伝説のハンター、エイダン(ガイ・ピアース)は
違法承知でトラ達の住む寺院へやってきた。
人間達から子を守ろうとする親達。
まだ葉も生えない乳飲み子の子トラ達は、
一匹は父に守られきれずにエイダンの手、そしてサーカスへと売られてゆき
クマルと名付けられた。
もう一匹は母と供にジャングルへ逃亡したのだが、その後やはり捕らえられ、
行政長官ユージン(ジャン=クロード・ドレフュス)の家へひきとられ、
サンガと名付けられた。

子を奪われ、残された子と走り去るトラックを見つめ、
道にたたずむ母と子の姿が目に焼き付いている。
木登り中、そして炎の中、兄弟で見つめあう信頼の眼差しも忘れられない。
人間に捕らえらても、チャンスを見計らい決して諦めない母トラの力強さ。
子を乗せて走るトラックを追いかけ荷台にまで乗る。
穴に落ち銃で撃たれても、チヤンスを逃さない、野生に生きる母トラの粘り強さ。
この母の姿を子供達はずっと追い求め見てきたのだ。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
 
野生の本能に従ってしまう肉食動物のトラ。
人間達の身勝手な欲望に翻弄され、数奇な運命を送る事になるトラの兄弟。
まさかの運命のイタズラ…イベントのための兄弟対決。
アジアの密林の中で人間とトラが同等に見えた。
当然だが、人もトラも大自然の中では同じ食物連鎖の中に存在しているのだ。
それぞれ悩みや欲望を抱え、全ては生きてゆくために…。

人間達の小さな欲望や悩みがバカバカしく思えてくる。
石窟寺院の石仏の持ち出しを闇に許可する村の長。
人間を襲うトラを許せない村の知的な娘。
偉大な父の後を継いだ、ボンクラ息子、おとぼけ閣下のマヌケさ。
彼の財産に目がくらむフランス女性。
動物に芸を仕込まなければ、興業を行えないから、
お金のためには何でもするサーカス団。

ハンターのエイダンとクマルのちょっと複雑な友情。
エイダンがミルク替わりのハチミツドロップをずっと覚えていたクマル。
少年ラウル(フレディー・ハイモア)とサンガの絶対的な信頼。
行政官の息子ラウールと同じベッドで眠るサンガ。
「彼等は人間を襲わない」とサンガを信じたラウルの純粋な思い。
実際こんなに美しい物語になるかどうかは運のようなもの。
彼等(野生の動物)は、憎しみがあって人を殺めるわけではない。
生きるために、身を守るために、時にはじゃれて遊んでいて…。
野生動物との共生というのは難しい。
だからこそ、彼等の世界も守らねばならないのかも…。
この作品の結末には、少し救われた気分になった。

  
トゥー・ブラザーズ スタンダード・エディション
ガイ・ピアース ジャン=ジャック・アノー フレディー・ハイモア
B0006N2FL8

トゥー・ブラザーズ コレクターズ・エディション
ガイ・ピアース ジャン=ジャック・アノー フレディー・ハイモア
B00063IA12

ノベライズ
トゥー・ブラザーズ—きっと逢えると信じて
ジャン=ジャック アノー カリーヌ・ルー マティニョン
Jean‐Jacques Annaud
4566013618

 
「トゥー・ブラザーズ」オフィシャルサイト
 
■映画「子熊物語」レビュー
 

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October 15, 2005

「ベルヴィル・ランデブー」

[DVD映画]★★★★☆

独特のシニカルなストーリーとキャラクターのデフォルメには脱帽!
レトロなテーマソング♪が耳に心地よく残り、そんな映像にぴったりな
非常にフランス的なアニメーション作品。

圧倒されるおばあちゃんパワー!
アニメーションと言えど、「ありえね〜!!」の連続!!
キャラクターやマシンの強烈なデフォルメ、
そして物語の思いもつかない展開にびっくり。
予告編にすっかり騙されてしまった。

フランスのアニメーター、シルヴァン・ショメ監督による、
とことんシュールな、そしてシニカルな長編フレンチ・アニメーション。
シルヴァン・ショメによるノスタルジックな映像と、
ブノワ・シャレストのレトロな音楽とリズムが素敵にマッチした2002年の作品。
アカデミー賞長編アニメ部門にノミネートされ、NYやLAの批評家協会賞を受賞など
2003年の映画賞で話題になった「ベルヴィル・ランデブー」!

両親のいない寂しいシャンピオンとおばあちゃん。
何にも興味を示さない…そんな孫が気に入ったのは、
おばあちゃんのプレゼント、犬のブルーノと三輪車。
これに目をつけたおばあちゃん!
生活用品をマッサージやトレーニングや計量に見事に利用し、
厳しくサラブレッドのごとく鍛え上げ、自転車レーサーへと成長したシャンピオンは、
ついにあの有名な自転車レースの最高峰“ツール・ド・フランス”へ出場した!!!
ところが、レースの最中にシャンピオンは謎のマフィアに誘拐されてしまう。
愛する孫を救うために、おばあちゃんとブルーノはシャンピオンを追って、
巨大都市"ベルヴィル"へ辿りついた…。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

『ベルヴィルでスィングしてランデヴ〜♪』
オープニングはモノクロ画面で三つ子が歌う、テーマソング。
極端に会話が少ないかわりに、濃密でどこかもの悲しくも美しい風景と音楽が語る。
まるでヨーロッパの…東欧などの絵本を見ているようだ。
そして、いちいちかなり毒のあるシニカルさ。
決して美しくはない、これも極端にデフォルメされたキャラクタ−達!
筋肉質だがガリガリに痩せ、人間とは思えない鼻を持ち、目は落ち窪み顔色が悪く、
黙々と自転車をこぎ続けるシャンピオン。
一方、体育会系でホイッスルを吹きまくり、鋼の右足を持のしのし歩く、
三波伸介(←古いなぁ)似のおばあちゃん!
ブクブク太って巨大になる大食いの愛犬ブルーノ、そしてブルーノのシュールな夢!
個人的には“ツール・ド・フランス”のかけひきがもっと観たかったけれど、
爆死させて食べるカエル料理や、丸々した自由の女神?
シャンピオンの田舎の力強いおばあちゃんと、
音楽好きの都会に住む三つ子のおばあちゃん姉妹との
友情と底知れぬパワーに苦笑い。
ジャック・タチなんかへのオマージュも含め、
映画好き、漫画好き、音楽好きな感じに好感が持て、
もう、目が離せない、耳が離れない!!

『ベルヴィル・ランデヴ〜でスィング♪』
カラーになってまた三つ子が歌う、テーマソングとリズミカルな踊り!
STOMPもびっくりでっせ。
海を超えた架空の大都市"ベルヴィル"(←というかアメリカ?)。
ここでまさかのとんでもない裏社会を描いた、
ハード・ボイルドな展開になるとは驚いた。
いわゆる弱者を愛してしまうお国柄…
非常にフランス的な、地味ながらも心に残る力強い作品。
最初から最後までシャンピオンは色んな意味で可哀想、
四角いマフィアも含め、男の人はどこかおマヌケ。
う〜ん、年をとってもやっぱり女は強いのだ〜!!!

ちなみにエンドロール終了後も、こそっとオチありなので、
映画の基本、最後まで観るべし。


[映像特典]
・高畑勲とシルヴァン・ショメの対談(約40分)
・完成披露試写会 監督舞台挨拶(約10分)
・劇場予告編(オリジナル版、日本版、TVスポット)

ベルヴィル・ランデブー
シルヴァン・ショメ
B0009ETCD8

ベルヴィル・ランデブー / エディシオン・コレクトール (初回限定生産)
シルヴァン・ショメ
B0009ETCDI

ベルヴィル・ランデブー オリジナル・サウンドトラック(CCCD)
サントラ M Beatrice Bonifassi
B00069BOMS

  
 
「ベルヴィル・ランデブー」オフィシャルサイト
 

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