32 posts categorized "映画:フランス"

August 03, 2008

「HOT FUZZ ホットファズ-俺たちスーパーポリスメン!-」

[劇場映画]★★★★★

HOT FUZZ=熱心な警官…
しょっぱなから小ネタが満載!
これでもかとばかりにたたみかけてくるラストへ向けて
ゆる〜いながらもテンポ良〜く加速する!!
下らなくエグイんだけどどこか優しい描き方で憎めない!!!

____________________

「HOT FUZZ ホットファズ-俺たちスーパーポリスメン!-」
製作国:イギリス/フランス(2007)

監督:エドガー・ライト
製作:ティム・ビーヴァン/エリック・フェルナー/ニラ・パーク
製作総指揮:ナターシャ・ワートン
脚本:エドガー・ライト/サイモン・ペッグ
撮影:ジェス・ホール
プロダクションデザイン: マーカス・ローランド
衣装デザイン: アニー・ハーディング
編集:クリス・ディケンズ
音楽:デヴィッド・アーノルド

出演:
サイモン・ペッグ(ニコラス・エンジェル)
ニック・フロスト(ダニー・バターマン)
ジム・ブロードベント(フランク・バターマン)
パディ・コンシダイン(アンディ・ウェインライト)
ティモシー・ダルトン(サイモン・スキナー)
ビル・ナイ
ビリー・ホワイトロー
エドワード・ウッドワード
ビル・ベイリー
デヴィッド・ブラッドリー
ケヴィン・エルドン
レイフ・スポール
カール・ジョンソン
オリヴィア・コールマン
ケン・クラナム
ピーター・ワイト
アン・リード
ジュリア・ディーキン
パトリシア・フランクリン
ポール・フリーマン
スチュアート・ウィルソン
アダム・バクストン
ロン・クック
マーティン・フリーマン
ルーシー・パンチ
デヴィッド・スレルフォール
ケイト・ブランシェット
ピーター・ジャクソン
____________________

優秀なのに上司や同僚に妬まれ地方左遷決定
恋人にもフラれて、失意のもとイギリスの田舎町
サンドフォードへやってきた。
この村はヴィレッジ・オブ・ザ・イヤーに選ばれる程の
平和な村らしいのだが…何か妙?
警察署長のダメ息子ダニーと組まされ
逃げた白鳥の追跡など、のほほんとした任務の日々…
しかし、ある日起きた事故。どうも犯罪のニオイがする…
熱血警官ニコラスの食指が動いてしまった!


いやぁ、最初から最後まで、
下らなさ満点、オマージュ満点で面白かった〜!!!
「ショーン・オブ・ザ・デッド」のエドガー・ライト監督
この監督やっぱり好きですよ♪
そういえば「グラインドハウス」のフェイク予告
「Don't」もイカしてましたし。
今作は「Don't」的なテンポの良さや
ポリス・アクションもののスピード感もあり
更に鑑賞しやすかったかも。
イギリス人監督らしいネタや音楽のチョイスも好きですね。

何がおかしいって…
熱血警官ニコラス・エンジェル役のサイモン・ペッグの表情!
ターミネーター的な表情と特に走る時の姿に注目♪
相方ダニー・バターマン警部補役のニック・フロストとの
コント的な会話はお見事!!
この凸凹コンビは健在ですな。
あと、怪しすぎるにこやかな笑顔の村人達も役者揃い。
ティモシー・ダルトン…怪し過ぎます…

ストーリー展開的に特に目新しいものがある作品では無いけれど
とにかくスピード感とゆるゆる感
凄まじい事件と平和ボケしたまったり感
都会で百戦錬磨の業績をあげた生真面目熱血優秀警官
なりゆきで警官をしているポリス映画マニアの無能な田舎警官
細部にわたる緊張と緩和、凸凹感がイイですね。
ラストまで一気にどんどん加速する悲惨な事態たるや!
でも観終わった後味は悪くないオチも好き。

誰にでもおすすめは出来ませんが
B級アングラ感あふれるおバカ映画好きな方はゼヒどうぞ♪

B001H7Q2VQホット・ファズ~俺たちスーパーポリスメン!~
サイモン・ペッグ, ニック・フロスト, ジム・ブロードベント, ティモシー・ダルトン, エドガー・ライト
ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン 2008-12-04

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Hot Fuzz
Original Soundtrack
B000N3SP9C

「HOT FUZZ ホットファズ-俺たちスーパーポリスメン!-」オフィシャルサイト

■映画「ショーン・オブ・ザ・デッド」
■映画「グラインドハウス U.S.A.バージョン」

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August 02, 2008

「屋敷女」

[劇場映画]★★★★☆

“この女凶暴につき”というコピーがぴったり。
とにかくベアトリス・ダル演じる謎の女が怖い怖い…
壊れゆく女を演じさせるとおフランスいち?
齢を重ね増々パワフルになったかも…
めずらしく妙にリアルなおフランスのユーロ・ホラー。
ちなみに主演のアリソン・パラディは
あのヴァネッサ・パラディの妹で何とコレがデビュー作!!!

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「屋敷女」
原題:A l'interieur

製作国:フランス(2007)
監督:ジュリアン・モーリー/アレクサンドル・バスティロ
製作:ヴェラーヌ・フレディアニ/フランク・リビエール
脚本:アレクサンドル・バスティロ
撮影:ローラン・バレ
音楽:フランソワ・ウード

出演:
ベアトリス・ダル(見知らぬ女)
アリソン・パラディ(サラ)
ナタリー・ルーセル (サラの母親ルイーズ)
フランソワーズ=レジス・マルシャソン
ニコラ・デュヴォシェル
リュドヴィック・ベルティロ
エマン・サイディ
エマニュエル・レンツィ(警官)

____________________

クリスマス・イブの夜
4ヵ月前に事故で夫を亡くしたフォト・ジャーナリストのサラは
明日いよいよ出産という臨月の妊婦。
母や現在の恋人のジャン=ピエールには一人で過ごすと言い
愛していた夫、お腹の子の父である亡きマチューを想い
愛猫と共に静かに過ごしていたのだが…
見知らぬ女が電話を貸してほしいとやってきた…


予告編がインパクト有りすぎたのと、
ベアトリス・ダルにそそられて、つい観てしまったのですが…(汗)
予想を上回るエグさに思わず痛くて直視出来なかった所も…
うへぇ、真っ赤なタイトルバックどおりに
狂暴ダルちゃん登場してからは、血の海!
まぁ、画面が暗くてくっきりはっきり見えなかったのが幸いかも。

ストーリー的にはある程度想像はついたものの、
もう後味の悪いこと悪いこと(笑)
ただでさえ少ないお客がますますシーン…としていましたね。
やっぱりダルちゃんは強烈に恐かった…

主人公の出産を明日にひかえた臨月の妊婦サラ(アリソン・パラディ)
にはもちろん人生最悪な夜だけど、
巻き込まれた人達もとにかく悲惨極まりない…
理由の解らぬ者に殺されるかもしれない恐怖とともに、
この女の強さたるや!
その一途な想いで、目的を果たすべく、
ターミネーターかゾンビの如く躊躇いもなく襲いますから…
そう、悪気が無いだけにタチが悪いタイプの犯罪者。
こいつと戦うのにはまず精神力で勝らねば無理!
破水しながら最後まで闘いぬいたサラは
生まれて来る子を守ろうとするその気力で様々な激痛に耐えつつ、
敵を追い詰めるまで至ったのかも。

しかしながら、救いのないこの映画で
何より印象深かったのが胎児の表情の描き方。
胎児も悲鳴を上げるんです…(泣)
登場する優しい男達をためらいもなく排除する女。
母になりたい女の念は想像を絶するパワーをも産む…

このような事は起きてはいけない、起こしてもいけない。
生まれて来る子供に罪は無いんですから
ちゃんと母の胸に抱かせてあげて下さい。
彼らの幸せのために…ね。

→「屋敷女」オフィシャルサイト

B001FLUIQO屋敷女 アンレイテッド版
ベアトリス・ダル, アリソン・パラディ, ナタリー・ルーセル, ジュリアン・モーリー
キングレコード 2009-01-07

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July 15, 2007

「変態村」

[DVD映画]★★★☆☆

予告編がかなり不気味で気になっており鑑賞。
たしかシネマライズでの単館上映だったかな。
人里離れた森の奥の僻地の村の不気味さと
“加速する孤独な人間の狂気”
愛するひとを想い独り占めしたいという感情が
個人的な妄想だけでなくエスカレートしてゆく異様さが
ただただ痛々しく不気味。

_________________

「変態村」
 原題:CALVAIRE

製作国:ベルギー/フランス/ルクセンブルグ(2004)

監督:ファブリス・ドゥ・ヴェルツ
脚本:ファブリス・ドゥ・ヴェルツ/ロマン・プロタ
音楽:ヴァンサン・カエイ

出演:
マルク・ステヴァンス(ローラン・リュカ)
バルテル(ジャッキー・ベロワイエ)
ロベール・オルトン(フィリップ・ナオン)
ほか

_________________

タイトルにインパクトありますが
ちょっと内容とはズレていますな。
変態さんがわんさか登場するわけでもなく
孤独な狂気と純愛が描かれています。

地方を独りで旅するちょっと可愛いミュージシャン
(日本でいうほぼ演歌的な感じ)のマルクは
齢上のおばさま達にモテモテ。
南仏に向かうはずだったのに…車の故障で立ち往生。
とある村のはずれのペンションに泊めてもらうのだが
オーナーのバルテルの様子がどんどんおかしくなってくる…
そして、その村の住人の様子もあきらかに妙。
マルクはどんどんとんでもない状態へと追いつめられてゆく…
彼に未来はあるのだろうか???

最初はまったりと、どんどん加速する狂気とあっけないラストには
思わず『ええ…』(汗)
十字架へ張付けられてのお仕置きや
痛そうなシーンも多いけれど
それを上回る異常な愛情表現のほうが怖いですね。
バーでの村の男のダンスシーンがとにかく不気味。
不協和音のピアノで奏でられる音楽で
村の男達が踊るのはまるでゾンビか案山子のダンス。
目に焼き付いて離れません。

意外にも妙にクォリティが良い部分やこだわりもあったりで
ぐいぐい見せる所はあるけれど
ストーリー的にはいまひとつかな。
愛する女性を失った寂しさ
そして女性不在の村?から起因するのか
描かれているのは孤独な狂気。
村に入る前の町でも老婆や中年女性に迫られていた
親しみやすい中性的な魅力のある
美青年マルクは妙な色気と美声のせいで
こういった人を狂わせる才能を持っていたんでしょう。
僻地の村では、もはや女性として愛されていましたし…

それにしても救いの無い映画でした。
初の長編作との事で、盛り込み過ぎもある。
メイキングを見ると監督の暑苦しい思いが堪能できますね。
村人のドン的なロベールを演じるのは
これまた変態ものを演じるとピカイチのフィリップ・ナオン♪
リハする姿…やっぱり上手いわ…この人。
予告編のほうが本編よりは面白いタイプの作品。

ちなみに…
特典映像の短編『ワンダフル・ラヴ』がおすすめ。
こちらのほうが完成度高くて面白い。
20分という短時間ながら寂しい年増女の狂気を見事に描いています。
目新しさは特に無いけれど、とにかく主人公の女性の目がイッちゃってるし
ケーキ食べてても、肉買っていても、
牛タン料理してても、歩いていても怖い…
作品について楽しそうに熱〜く語るこの監督の
今後の作品にちょっと期待します。


B000H4W91M変態村
ローラン・リュカ ファブリス・ドゥ・ヴェルツ ジャッキー・ベロワイエ
キングレコード 2006-10-04

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June 28, 2007

「王と鳥」

[DVD映画]★★★★☆

思い切りブラックなダンタジー・アニメなのだが
何故か悪を憎みきれない…
ジブリの巨匠達に影響を思い切り与えたこの作品は観るべし!

_________________________

「王と鳥」
原題:LE ROI ET L'OISEAU

製作国:フランス(1980)
監督:ポール・グリモー
原作・脚本:アンデルセン『羊飼い娘と煙突掃除人』
脚本・台詞:ジャック・プレヴェール
音楽:ヴォイチェフ・キラール/ジョセフ・コズマ

声の出演
王(パスカル・マゾッティ)
鳥(ジャン・マルタン)
警官長(レイモン・ビュシェール)
羊飼い娘(アニエス・ヴィアラ)
煙突掃除人(ルノー・マルクス)
助言者(ユベール・デシャン)
盲人(ロジェ・ブラン)
エレベーター係/スピーカーの声(フィリップ・デレーズ)
猛獣使い(アルベール・メディナ)
宮殿の市長(クロード・ピエプリュ)

「王と鳥」オフィシャル・サイト

_________________________

原作のアンデルセンの『羊飼い娘と煙突掃除人』を元に
独特の構図とアイロニーいっぱいの
階級社会や独裁制への批判がテーマになっている
ちょっとブラックなおフランスのファンタジー・アニメーション。

面白い罠や仕掛けだらけのお城や大きなロボット兵
極端にデフィルメされた構図など
宮崎駿監督の作品にかなり影響を与えているのは一目瞭然。
デジタルリマスターしているとはいえ
1980年という微妙な時代の作品だけど
今観て新しい…というか色あせていないのが素晴らしい。

どこかマヌケな鳥さんやその子供達。
更にマヌケな城の家臣達。
地下に生活する人々や動物達。
そして暴君すら、皆幸せになりたいし、音楽が大好き♪

恐怖政治の支配下…絶望の中にあった地下の住人も
鳥達が迷い込んで来た事によって
何かが動き変化し始めた。
彼らが見た事の無い空を飛ぶ鳥の知識の広さ、力強さ
そして自由な言動に突き動かされる。
それにしても、子供達への絶対的な愛といい
IQ高い鳥さんってば、凄いすぎ!強過ぎ!!

ラストのシーンがしんみりと印象的。
独りよがりでワガママな王と頭の良い鳥との対決は
下層社会対支配階級だったのね。
もっと羊飼いの女の子と煙突掃除の男の子
クローズアップされるのかと思ったら
意外とサラッと流されていたのが少し残念。
鳥さんに助けられっぱなしだし
王と鳥のキャラの濃さに負けていましたもん。

寓話的に考えてみると
王は独裁者、鳥は自由な国からの使者
絵画の中の少女と少年は夢見るだけのティーンエイジャー
地下の人々は支配されつつも本当に国を支えている国民達といった所かな。


〈特典映像〉

[1]太田光(爆笑問題)×高畑勲 劇場初日対談

   コレがかなりブラックで面白い!

[2]ターニング・テーブル(ポール・グリモー短編アニメーション集)

   グリモー監督が過去の作品をキャラクターと一緒に紹介してくれる
   この約75分も必見♪

 ・こっくりさんの会(1931年)
 ・音符売り(1941年)
 ・大熊座号の乗客(1942年)
 ・かかし(1943年)
 ・避雷針泥棒(1945年)
 ・魔法のフルート(1946年)
 ・ダイアモンド(1970年)
 ・王様の道化(1988年)
 ・音楽狂の犬(1973年)
 ・小さな兵士(1947年)

[3]「王と鳥」劇場予告編 など

B000LPS3NK王と鳥 スタンダード版
ポール・グリモー ジャン・マルタン パスカル・マゾッティ
ブエナ ビスタ ホーム エンターテイメント 2007-04-04

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September 15, 2006

「ぼくを葬る」

[劇場映画]★★★★☆

前作でオゾンさんどこへゆくの?と思ったが、今度はこっちだったのね…。
ある日突然宣告され決定しなければならない自己の死に様。

どうしても今回は劇場で観たかったのでG.W.に鑑賞した。
終了後、無言状態の劇場が映画のテーマの深さを物語っており新鮮だった。
前作の「ふたりの5つの分かれ路」で何かが起きた?オゾン節。
しかも「まぼろし」の“最愛の人の死”に続き、…今回は“自分の死”を描く。
この重いテーマをオゾンがどう描くのかはいへん興味深かった。
 
監督は気になっているフランスの若手監督フランソワ・オゾン
2005年フランスで制作されたぼくを葬(おく)る」。
原題は「LE TEMPS QUI RESTE」。
  
31歳の売れっ子ファッション・カメラマンのロマン(メルヴィル・プポー)は、
ある日撮影中に倒れてしまう。
医者にかかったところ、末期癌で余命が役3ケ月と宣告された。
まだ若いロマンに、医者は放射線や点滴での治療をすすめるのだが、
ロマンは治療を拒絶する。

同性愛者のロマンの恋人サシャ(クリスチャン・センゲワルト)に
冷たい言葉を浴びせ別れを決意し、
家族に告白しようとするが、どうしても言う事が出来ず、
父(ダニエル・デュヴァル)母(マリー・リヴィエール)には心配かけないよう
更に姉(ルイーズ=アン・ヒッポー)とは仲違い。
仕事を辞め、唯一祖母のローラ(ジャンヌ・モロー)にだけは病気の事を打ち明けた。
なぜなら…
“おばあちゃんは、僕に似ているから…”

そんな時、たまたまカフェで出会った
ウエイトレスのジャニィ(ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ)夫婦から
持ちかけられたのは“代理父”の依頼。
運命に怒り、周りに心配をかけないように己を孤独に追いやって、
どんどん弱ってゆくロマンに、姉からの手紙で転機が訪れる。
“子供”を意識している事に気付いたロマン。
幼い自分の記憶と幻に出会った時に何かが起きた。
自分と向き合い、今出来る事を遂行し、自分を葬る準備を始める…。
美しいと思ったシーンを切り取るカメラ。
ニコンの一眼レフからコンパクトカメラに変わってからの彼の撮る写真は、
きっと彼の宝物で天国へ持ってゆきたい写真に違いない…。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

ある日突然つきつけられる、限りなく近い将来に起きる人生の終焉。
その当事者は病と死への恐怖の中で、
残された人生で行うべき事を短時間で決定せねばならない。

全ての人は孤独に生まれ、孤独に逝く運命を持っている。
その間の限られた人生を如何に生きるか、そして死ぬのか…それが人生。
ロマンを通して自己の人生観が感情と共にえぐり出される気分になった。
リアルで普通な何という事の無いシーンに込められたロマンの想い。
ロマンを演じるメルヴィル・プポーの繊細に揺れ動く感情と
遠くを見つめるかのような美しい瞳、
そして衰えてゆく肉体の変化に、胸をしめつけられる。
祖母を演じるジャンヌ・モローの孫への言葉
“今夜お前と死にたい”。
唯一信頼している肉親の愛情がこもったその言葉には、
ロマンと共に目頭が熱くなった。
余談だが、子供時代のロマン役の少年(ウゴ・スーザン・トラベルシ)の
くりくり巻き毛と瞳がメルヴィル・プポーと似ていてこれにまたグッとくる。

偶然に出あった人に自分の生きた証を委ね、
愛した人から愛されていると知る事が出来たロマン。
突然訪れたつらく悲しい物語を描くのではなく、
何かに立ち向かい得る夢や希望を描くのでもなく、
人間の本能と事実を受容し、自分の死に様を決めた一人の男の心の動きを
極めて間近から繊細に優しく描いた作品だと思う。

少ない余命で何を残せるか…

イザベル・コヘット監督の「死ぬまでにしたい10のこと」も同じようなテーマだったが、
あちらは若い母親だったので、女としてしておきたい事、
旦那や子供達に残しておきたい事、
娘として両親にしておきたい事を綴っていた。
こちらは独身で同性愛者、人生の成功者であった若い男性。
心の動きはおのずと違ってくる。
前者では限界まで母性を与え、後者では母性を求めている気がした。

ちなみに、治る可能性が5%以下と言われ治療を拒否したロマン流の生き様。
後悔しないよう治療する方法をとり、癌と戦う決意をするという生き方。
“健康で死にたい”というロマンの祖母の生き方が最も望まれるものだろうが、
病気…特に癌などの病の場合は、本人の悔いの無いようにするのが一番だと思う。
特に早期発見の場合完治出来る可能性が高いので、もちろん治療すべきだろう。

こんな仕掛けや謎の無い、
フランソワ・オゾン作品は初めて!

円熟したというか、人生の折り返し地点にきたからか…
ほぼオゾンと同じ年代の自分にとっては見事に心に響いた。
これまで常に死と生と性、その源の水=海、そして女の強さと怖さ、男の弱さ…。
表現方法は違っても、常に根源にあるものは同じなのかも。
ちなみに今後“子供の死”をテーマにした作品の予定もあり3部作にしたいそう。
次回作は英語で撮っているという噂だが、こちらはどんな内容なのか楽しみだ。

本作のオゾンの定番のラストシーン。
いつもと違い、悲しい場面なのになぜか優しい安心感がある。
 

「ぼくを葬る」オフィシャルサイト

ぼくを葬るぼくを葬る
フランソワ・オゾン メルヴィル・プポー ジャンヌ・モロー

ふたりの5つの分かれ路 スイミング・プール 無修正版 8人の女たち デラックス版 まぼろし<初回限定パッケージ仕様>
焼け石に水 ホームドラマ クリミナル・ラヴァーズ 海を見る

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September 14, 2006

「ふたりの5つの分かれ路」

[DVD映画]★★★★☆

オゾン作品としてはもの足りないが、
何でも無い物語がちょっとしたミステリーになっている。
やっぱり女は強くて怖い…

違った意味で衝撃的?だったこの作品。
オゾン節が変化してきた???
監督は気になるフランスの若手監督フランソワ・オゾン
音楽はフィリップ・ロンピ
原題は「5X2」。2005年公開の作品ふたりの5つの分かれ路
 

冷めきった夫婦の離婚の場。
子供とともに、生きてゆく事にした自由で強い女。
誰かと寄り添ってゆかなければ生きてゆけない未練たっぷりの男。
ここに至るまでのこの夫婦の愛の経緯とは???

* * * * * * * * * * * * * * * *

“愛は変化し崩壊するものだ”

と定義し、その過程を見せつけるのがこの作品。
新しい手法では無いが時間軸を逆にし
ある1組のカップルの離婚から出会いまでを
“別れ”→“裏切り”→“出産”→“結婚”→“出会い”
の5つのエピソードを描く事により、
何でもない物語をうまく謎解きにしている。
レトロでメロウな音楽やイタリアンポップがとても印象的。

最初は乱暴で酷い男に思えた夫ジル(ステファン・フレイス)が、
どんどん哀れに思え、
最初は可哀想な妻に見えた妻マリオン(ヴァレリア・ブルーニ=テデスキ)が、
どんどん力強く奔放に思えてくる。
いや、そもそもがそうだったから
5つの分かれ路を経てこの結婚は崩壊したのだ…。
彼らの愛の絶頂は結婚式だった。
 
カップルになった男女の心の嫌な所と禁断の行為を
美しいビジュアルを駆使しつつ極めてリアルに描き出す。
オゾンお得意の、エロティックかつ暴力的な表現、
それとは逆の愛ゆえの美しく明るく優しい表現の対比の妙で
ドラマティックに見せるのはさすがだ。
心に残るのがマリオンの両親、
父ベルナール(ミシェル・ロンダール)と
母モニク(フランソワーズ・ファビアン)のダンスと
ジルの兄クリストフ(アントワーヌ・シャピー)と恋人とのダンス。
ジルの元カノのヴァレリー(ジェラルディン・ペラス)の山歩きのシーン。
この夫婦とは別の愛の形がそこに垣間見える。

そして、この映画にも出てくる『海』。
生命の源、そして帰ってゆく所。
それは愛も同じなのか?
打ち寄せ引く波。どこまでも広がる母なる海。
オゾンの海はまだまだ広がり続ける。

「ふたりの5つの分かれ路」オフィシャルサイト

ふたりの5つの分かれ路ふたりの5つの分かれ路
フランソワ・オゾン ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ ステファン・フレイス

ぼくを葬る スイミング・プール 無修正版 8人の女たち デラックス版 まぼろし<初回限定パッケージ仕様>
焼け石に水 ホームドラマ クリミナル・ラヴァーズ 海を見る

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『ふたりの5つの分かれ路』(原題:「5×2」)オリジナルサウンドトラック
フィリップ・ロンビ サントラ
B0009V1ETG

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September 09, 2006

「皇帝ペンギン」

[DVD映画]★★★☆☆
 
この映像を撮影したスタッフにまず感謝したい!
皇帝ペンギンの不器用で不思議な生態を観る事が出来た!!

えっちらおっちら極寒の中を歩くペンギン達の行列、
カメの甲羅のように身を寄せあい冬の寒さをしのぐオスのペンギン達。
卵を受け渡しながら子供の命を守るペンギンの夫婦。
何十日も食べずに過ごし、何十日も旅をする彼らの姿。
その耐える力強さに感動した。
彼らはなんて不思議な生き物なんだろう!
子が巣立つと彼らだけで生活するというのも初めて知った。

監督はリュック・ジャケ
声の出演は、 ロマーヌ・ボーランジェ(母ペンギン)
シャルル・ベルリング(父ペンギン)、ジュール・シトリュク(子ペンギン)。
2005年公開のフランスのドキュメンタリー映画皇帝ペンギン
 
* * * * * * * * * * * * * * * *  

水中で食事をし、活き活きと泳ぐ姿。
対して陸上でのすさまじいまでに不器用な生活。
太陽の沈まぬ南極の夏の海辺。
太陽の昇らぬ厳しく長い夜南極の冬。
その中での子育て。
寒さに耐え、食いだめの出来るペンギンの強靱な体。
必ず相手が帰って来ると信じて待つつがい達と子供達。
自然の厳しさと不思議さには驚きっぱなしだ。

美しい映像と共に、ペンギン達を擬人化して語られるこの作品は、
賛否両論ありつつも、生命の儚さと共に生きる事の力強さ、家族の愛の力など
彼らの生態をとおして解りやすく教えてくれる。
人間の弱さ、そして器用さ、執念の強さをひしひしと感じた。
なぜならこの生態を撮影したスタッフのねばり強さたるや!

日本語吹き替え(石田ひかり、大沢たかお、神木隆之介)が評判良いようなので、
子供と楽しむ方はゼヒそちらで。
個人的には字幕版で十分楽しめた。

皇帝ペンギン -La Marche de l'empereur-皇帝ペンギン -La Marche de l'empereur-
リュック・ジャケ 岡田 好恵

皇帝ペンギン プレミアム・エディション 皇帝ペンギン ペンギンガイドブック ペンギン物語 ペンギン全種に会いに行く

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October 30, 2005

「子熊物語」

[DVD映画]★★★★☆

子熊の視点で映し出された映像が楽しくてドキドキ…。
人間も含む動物の表情が豊かで素晴しい!

突然予期せず良い作品に出会いまた…観てしまった。
ロッキー山脈の大自然の中、
不安が一杯、でも好奇心も元気も一杯、
愛嬌たっぷり精一杯生きる、
ちょっと妄想癖のある子熊ちゃんが可愛らしい。

これは先日「トゥー・ブラザーズ」でも紹介した
フランスのジャン=ジャック・アノー監督により
1988年に製作された心温まる作品「子熊物語」。
撮影はとても大変そうだけれど
動物達の生き生きとした表情を撮るのが、
この監督は本当に上手。
 
ロッキー山脈のふもとの春。
草木や花が咲き乱れる丘で、死んでしまった母親のそばで眠る一匹の子熊。
生きてゆくための方法を何も知らない無防備な子熊は、
偶然森で出会った雄熊を親のように慕い、彼のまねをしながら後をついて行く。
だがその雄熊は、その巨体ゆえ人間の猟師達に目をつけられていた。
その銃弾を受け、山の奥へ逃げる雄熊をこっそり追いかけ、
その傷口を舐めてあげる子熊。
それまで子熊を追い払っていた雄熊もついに我が子のように子熊を舐めはじめた。
しつこく追ってくる猟師達から逃げながら、彼等の愛情と信頼関係は深まってゆく…。
そしてついに、人間達が猟犬を導入して追い詰めてきた時に、
雄熊は身をもって子熊を守るのだが、子熊は猟師達に捕らえられてしまった。
猟師のトム(チェッキー・カリョ)からミルクを与えられ、
次第に彼等との生活にも慣れてゆくのだが…。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

子熊の視点で映し出された映像が本当に楽しい。
クレイアニメだったりして、ファンタジックなのだが、
初めて見たカエルが夢に溢れ出て来たり、
きのこを食べてトリップしてしまったり!!!
ちょっと子供の頃の空想なんかを思い出してしまう、
なかなか想像力豊かで悪戯大好きな子熊ちゃんなのだ。
何でもかんでも雄熊の真似を一生懸命する姿!
おまけに熊達の表情豊かなつぶらな瞳!
驚いたり悲しんだり喜んだり安心したり…。
雄熊の威嚇する顔の恐ろしさはかなりのインパクトがあった。
あの顔で間近で吠えられたら…
猟師のトムさんも丸腰ではさすがにおののき祈るだろう。
ワタシも思わず一緒に祈ってしまった。

怯えて攻撃しない相手にとった雄熊の行動。
子熊ちゃんも、一難去ってまた一難…
自然界での掟。そしてお互いの知恵合戦。
生かす事の勇気と生きる事の難しさ。
猟師達の作る散弾銃の弾。
この子熊が、人間達が、そして私自身も
あらためて知る大自然の厳しさと愛情。
ハッピー・エンドにも救われる。
ちょっと心が洗われた作品。
 
子熊物語
チェッキー・カリョ ジャン=ジャック・アノー ジェラール・ブラッシュ
B0006NKDGM

子熊物語サウンドトラック
クロード・ベリ
B00005HLPT

 
■映画「トゥー・ブラザーズ」レビュー
 

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October 28, 2005

「トゥー・ブラザーズ」

[DVD映画]★★★★☆

愛すること。信じること。最後まで諦めないこと。
これらを、2匹のトラ兄弟の母から教えてもらい、
トラの深い愛情に驚いた。

監督・原作・脚本・製作は
子熊物語」「セブン・イヤーズ・イン・チベット」のジャン=ジャック・アノー
2004年の英・仏合作「トゥー・ブラザーズ」。
出演は「メメント」のガイ・ピアース、ジャン=クロード・ドレフュス。
予告編から気になっていたが、それを上回るステキな物語だった。
30頭ものトラを使い撮影されたそう…素晴しいシーンが満載。
トラの兄弟のじゃれあう姿に思わず涙がにじんでしまう。
 
冒頭のカンボジアの密林の中、草木のからまる石像のゴロゴロする、
寺院の遺跡で暮らしている4匹のトラの家族の姿。
彼等が水浴びをする川の中にも転がるレリーフの遺跡…。
子猫のような子トラの兄弟、立派で堂々とした愛情深い両親。
じゃれあい、救いあう子トラ達…。
この風景に見入ってしまった。

象牙より、めずらしいアジアの石仏がめずらしく高値で取り引きされた時代、
伝説のハンター、エイダン(ガイ・ピアース)は
違法承知でトラ達の住む寺院へやってきた。
人間達から子を守ろうとする親達。
まだ葉も生えない乳飲み子の子トラ達は、
一匹は父に守られきれずにエイダンの手、そしてサーカスへと売られてゆき
クマルと名付けられた。
もう一匹は母と供にジャングルへ逃亡したのだが、その後やはり捕らえられ、
行政長官ユージン(ジャン=クロード・ドレフュス)の家へひきとられ、
サンガと名付けられた。

子を奪われ、残された子と走り去るトラックを見つめ、
道にたたずむ母と子の姿が目に焼き付いている。
木登り中、そして炎の中、兄弟で見つめあう信頼の眼差しも忘れられない。
人間に捕らえらても、チャンスを見計らい決して諦めない母トラの力強さ。
子を乗せて走るトラックを追いかけ荷台にまで乗る。
穴に落ち銃で撃たれても、チヤンスを逃さない、野生に生きる母トラの粘り強さ。
この母の姿を子供達はずっと追い求め見てきたのだ。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
 
野生の本能に従ってしまう肉食動物のトラ。
人間達の身勝手な欲望に翻弄され、数奇な運命を送る事になるトラの兄弟。
まさかの運命のイタズラ…イベントのための兄弟対決。
アジアの密林の中で人間とトラが同等に見えた。
当然だが、人もトラも大自然の中では同じ食物連鎖の中に存在しているのだ。
それぞれ悩みや欲望を抱え、全ては生きてゆくために…。

人間達の小さな欲望や悩みがバカバカしく思えてくる。
石窟寺院の石仏の持ち出しを闇に許可する村の長。
人間を襲うトラを許せない村の知的な娘。
偉大な父の後を継いだ、ボンクラ息子、おとぼけ閣下のマヌケさ。
彼の財産に目がくらむフランス女性。
動物に芸を仕込まなければ、興業を行えないから、
お金のためには何でもするサーカス団。

ハンターのエイダンとクマルのちょっと複雑な友情。
エイダンがミルク替わりのハチミツドロップをずっと覚えていたクマル。
少年ラウル(フレディー・ハイモア)とサンガの絶対的な信頼。
行政官の息子ラウールと同じベッドで眠るサンガ。
「彼等は人間を襲わない」とサンガを信じたラウルの純粋な思い。
実際こんなに美しい物語になるかどうかは運のようなもの。
彼等(野生の動物)は、憎しみがあって人を殺めるわけではない。
生きるために、身を守るために、時にはじゃれて遊んでいて…。
野生動物との共生というのは難しい。
だからこそ、彼等の世界も守らねばならないのかも…。
この作品の結末には、少し救われた気分になった。

  
トゥー・ブラザーズ スタンダード・エディション
ガイ・ピアース ジャン=ジャック・アノー フレディー・ハイモア
B0006N2FL8

トゥー・ブラザーズ コレクターズ・エディション
ガイ・ピアース ジャン=ジャック・アノー フレディー・ハイモア
B00063IA12

ノベライズ
トゥー・ブラザーズ—きっと逢えると信じて
ジャン=ジャック アノー カリーヌ・ルー マティニョン
Jean‐Jacques Annaud
4566013618

 
「トゥー・ブラザーズ」オフィシャルサイト
 
■映画「子熊物語」レビュー
 

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October 15, 2005

「ベルヴィル・ランデブー」

[DVD映画]★★★★☆

独特のシニカルなストーリーとキャラクターのデフォルメには脱帽!
レトロなテーマソング♪が耳に心地よく残り、そんな映像にぴったりな
非常にフランス的なアニメーション作品。

圧倒されるおばあちゃんパワー!
アニメーションと言えど、「ありえね〜!!」の連続!!
キャラクターやマシンの強烈なデフォルメ、
そして物語の思いもつかない展開にびっくり。
予告編にすっかり騙されてしまった。

フランスのアニメーター、シルヴァン・ショメ監督による、
とことんシュールな、そしてシニカルな長編フレンチ・アニメーション。
シルヴァン・ショメによるノスタルジックな映像と、
ブノワ・シャレストのレトロな音楽とリズムが素敵にマッチした2002年の作品。
アカデミー賞長編アニメ部門にノミネートされ、NYやLAの批評家協会賞を受賞など
2003年の映画賞で話題になった「ベルヴィル・ランデブー」!

両親のいない寂しいシャンピオンとおばあちゃん。
何にも興味を示さない…そんな孫が気に入ったのは、
おばあちゃんのプレゼント、犬のブルーノと三輪車。
これに目をつけたおばあちゃん!
生活用品をマッサージやトレーニングや計量に見事に利用し、
厳しくサラブレッドのごとく鍛え上げ、自転車レーサーへと成長したシャンピオンは、
ついにあの有名な自転車レースの最高峰“ツール・ド・フランス”へ出場した!!!
ところが、レースの最中にシャンピオンは謎のマフィアに誘拐されてしまう。
愛する孫を救うために、おばあちゃんとブルーノはシャンピオンを追って、
巨大都市"ベルヴィル"へ辿りついた…。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

『ベルヴィルでスィングしてランデヴ〜♪』
オープニングはモノクロ画面で三つ子が歌う、テーマソング。
極端に会話が少ないかわりに、濃密でどこかもの悲しくも美しい風景と音楽が語る。
まるでヨーロッパの…東欧などの絵本を見ているようだ。
そして、いちいちかなり毒のあるシニカルさ。
決して美しくはない、これも極端にデフォルメされたキャラクタ−達!
筋肉質だがガリガリに痩せ、人間とは思えない鼻を持ち、目は落ち窪み顔色が悪く、
黙々と自転車をこぎ続けるシャンピオン。
一方、体育会系でホイッスルを吹きまくり、鋼の右足を持のしのし歩く、
三波伸介(←古いなぁ)似のおばあちゃん!
ブクブク太って巨大になる大食いの愛犬ブルーノ、そしてブルーノのシュールな夢!
個人的には“ツール・ド・フランス”のかけひきがもっと観たかったけれど、
爆死させて食べるカエル料理や、丸々した自由の女神?
シャンピオンの田舎の力強いおばあちゃんと、
音楽好きの都会に住む三つ子のおばあちゃん姉妹との
友情と底知れぬパワーに苦笑い。
ジャック・タチなんかへのオマージュも含め、
映画好き、漫画好き、音楽好きな感じに好感が持て、
もう、目が離せない、耳が離れない!!

『ベルヴィル・ランデヴ〜でスィング♪』
カラーになってまた三つ子が歌う、テーマソングとリズミカルな踊り!
STOMPもびっくりでっせ。
海を超えた架空の大都市"ベルヴィル"(←というかアメリカ?)。
ここでまさかのとんでもない裏社会を描いた、
ハード・ボイルドな展開になるとは驚いた。
いわゆる弱者を愛してしまうお国柄…
非常にフランス的な、地味ながらも心に残る力強い作品。
最初から最後までシャンピオンは色んな意味で可哀想、
四角いマフィアも含め、男の人はどこかおマヌケ。
う〜ん、年をとってもやっぱり女は強いのだ〜!!!

ちなみにエンドロール終了後も、こそっとオチありなので、
映画の基本、最後まで観るべし。


[映像特典]
・高畑勲とシルヴァン・ショメの対談(約40分)
・完成披露試写会 監督舞台挨拶(約10分)
・劇場予告編(オリジナル版、日本版、TVスポット)

ベルヴィル・ランデブー
シルヴァン・ショメ
B0009ETCD8

ベルヴィル・ランデブー / エディシオン・コレクトール (初回限定生産)
シルヴァン・ショメ
B0009ETCDI

ベルヴィル・ランデブー オリジナル・サウンドトラック(CCCD)
サントラ M Beatrice Bonifassi
B00069BOMS

  
 
「ベルヴィル・ランデブー」オフィシャルサイト
 

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May 14, 2005

「世界でいちばん不運で幸せな私」

[DVD映画]★★★★☆

邦題がちょっ妙だけれど、観終わるとなるほど。
アメリ」をちょっと彷佛させるキュートさとテンポと残酷さ。
ちょっと浮き世離れしたカップルのお伽話のような恋愛を描いた作品
世界でいちばん不運で幸せな私」。

監督は本作が長編映画のデビュー作となったヤン・サミュエル
イラストレーターから映画監督へと子供時代の夢をかなえたそう。
絵コンテやセットのイラストも自ら書いた超器用な才能の持ち主。
主演は監督としても才能を発揮する「ヴィドック」のギョーム・カネ
ビッグ・フィッシュ」「ロング・エンゲージメント」のマリオン・コティヤール
音楽はフランソワ・オゾンの作品でおなじみのフィリップ・ロンピ。
甘くセツなくどこか壮大なイメージのメロディ、
全編ふんだんに色んなバージョンで使われるシャンソンの名曲『バラ色の人生』が、
ロマンティックさをもりあげる。
2003年制作のフランス映画で、配給は…アルバトロスさん!!!
こりゃ、ただものではないファンタジックな物語なはずだ!

とても可愛いメリーゴーランドの缶。
これが最初から最後まで、二人をつなぎ一貫して登場。
冒頭で少年が語る。

「僕はゲームが好きだ。
 でも、絶対のってはいけないゲームがある。
 でないと、コンクリートで固められてしまうぞ!」

いじめられっ子のポーランド移民の少女ソフィー。
(8歳:ジョゼフィーヌ=ルバ・ジョリー
彼女を可哀想に思い、病気の母(エマニュエル・グリュンヴォルド)にもらった
宝物のメリーゴーランドの缶を譲ってあげた
ジュリアン(8歳:チボー・ヴェルアーゲ)の幼いゆえの一言。
「時々返して」
でも、ソフィーは言う。
「返して欲しければ“のる?のらない”のゲームをして」
この会話から全ては始まった。
このゲームは“相手の出した条件をクリアできるかできないか”を答え、
クリアできたらあのメリーゴーランドの缶を手元に置けるというもの。
だが、このゲームの鉄則は“必ずのること!”なのだ。
相性バッチリ、元々悪戯っこの二人のゲームは、どんどんエスカレートし、
そのまま成長するにつれて増々条件も悪趣味に。
幼い頃からの“ゲーム”にしばられ、素直に気持ちを口に出来ず、相手も信用出来ない
大人になったジュリアン(ギョーム・カネ)とソフィー(マリオン・コティヤール)。
お互いを見つめる優しくキラキラした瞳だけで十解りそうな事なのに。
ちょっと意地悪でひねくれた二人の気持ちはすれ違うばかり…。

幼い頃、不幸な境遇を笑い飛ばすために、二人で遊んだ“ゲーム”だったのだが、
奔放な悪戯娘のソフィーの“ゲーム”振り回され、父親(ジェラール・ワトキンス)
からは叱られてばかりで、何もかもうまくいかない。
もっと大人になろうと決意したジュリアン…。
自分の蒔いた種とはいえ、恋する女にとってひどい仕打ちを受けたソフィー。
ついに二人は別の道へ進み出す。
だが、ジュリアンの選んだ大人の世界は彼にとっては退屈でつまらないものだった。
どうしても忘れられない天真爛漫の幼馴染みソフィーと、あの“ゲーム”。
同じくソフィーも自分で決めたルールを守りながらも同じ気持ちでいたよう。
お互い愛しているのは、一人だけ。
ジュリアンの父や、妻クリステル(レティシア・ヴェネチア)
ソフィーの夫セルゲイ(ジル・ルルーシュ)にとっては
まともで誠実だけに災難ばかり!!
ちょっと周囲を巻き込み過ぎたが、彼等の求めていたのは
あまりにも遠回りな長い時間をかけた末に、危険を背中合わせに
やっと見つけた“二人だけの世界”。

彼等は子供の心を引きずりながら、体裁だけは大人になってしまった。
幼い頃の言葉は大人になっても変わらない。
「私達は一心同体」
「心は通じ合っている」
「二人は永遠に離れず一緒」

この物語は極端だが、幼馴染みと年月を経て恋をした経験者には同じような、
歯がゆくも痛い部分、馴れ合いだからこそ言えなかった事もあるのでは?
“ゲーム”では無いけれど、冗談や嘘なんてはぐらかしてみたり(ああ青春♪)。
この映画では、ある意味一般的で古典的、運命的で絶対的な愛をもし貫いたとしたら?
では無いかと思ったのですが…
オチでひょえ〜。ラストシーンで複雑な気分に。
個人的には絶対貫けません。楽なほうへ流されます〜っ。
ジュリアン役の二人の優しそうで悪戯っぽい笑顔にもうメロメロ。
暴君になられたらイヤですけど〜。

[特典映像]
・メイキング
・フィルモグラフィー/俳優・監督インタビュー
・幸せ度チェック

オフィシャルサイト
“恋のからまわり度チエック”ができます。
 ↓
http://www.albatros-film.com/movie/sekai/
 

世界でいちばん不運で幸せな私
ギョーム・カネ ヤン・サミュエル マリオン・コティヤール チボー・ヴェルアーゲ
B0006TPIJS

映画「世界でいちばん不運で幸せな私」オリジナル・サウンドトラック
サントラ
B0002J518K

世界でいちばん不運で幸せな私
ヤン サミュエル Yann Samuell 番 由美子
4840111405

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February 14, 2005

「かげろう」

[DVD映画]★★★☆☆

戦時下での深い森で、未亡人と謎の青年の静かに押し殺された激しい一瞬の恋。
これは戦争の虚しい残酷さと人間の悲しい性を描いた作品だと思った。
“65年前の戦争”も“戦争中の一瞬の情熱”も“人の心”も
ゆらゆらと、『かげろう』のようにゆれ動く。
フランスの巨匠アンドレ・テシネ監督による2003年の作品「かげろう」。
美しき諍い女」「8人の女たち」などのエマニュエル・ベアール
本作で脚光を浴びた新人ギャスパー・ウリエルの
緊張感のある演技が素晴らしい。

第2次世界大戦最中の1940年6月10日。
戦火を逃れてパリから南仏ヘ向かう人々の列をナチス・ドイツ空軍の機銃掃射が襲う。
13歳の息子フィリップ(グレゴワール・ルブランス・ランゲ)と
7歳の娘カティ(クレメンス・メイエ)を連れてその惨劇の中に居た
未亡人のオデール(エマニエル・ベアール)は、
間一髪で命は助かったのだが現場で呆然としていた。
そこへ突然現れた謎の青年(ギャスパー・ウリエル)が、親子を森へと避難させる。
イヴァンと名乗るその青年は、オデール達を更に安全な森の奥へと導く。
そこで見つけた空家となった他人の屋敷で、
オデール親子とイヴァンは暮らし始めるのだ…。

奇妙な共同生活。
息子のような17歳の孤独な青年イヴァンの、粗野な男と、時折見せる幼い顔。
「行動しないと生き残れないからだ」
と語る彼には人に言いたく無い過去があるらしい。
最初は息子のフィリップが慕い始め、幼い娘カティも王子様と彼がお気に入り。
最も警戒していたオデールも、彼の危なっかしい魅力に徐々に心が動いてゆくのだ。
憔悴し弱った女、強く正しい母親、成熟した魅惑的な女、時には可愛らしい面もある、
大きな目と小柄な顔にアンバランスな唇を持つオデールの様々な顔。
オデールとイヴァン、このアンバランスな二人は、
違法を共有している緊迫感の中で、お互い魅了されてゆく。
17才の男の子に
「あんただけだ。妻になってくれ」
なんて言われたら…!!!
つかの間の戦中とは思えない森での家族的な静かな生活と情熱的な恋。
だが、彼等は厳しい現実に引き戻されてしまうのだ。

全てを冷静に見つめるフィリップとカティの存在が印象的だった。
常に母親や妹の事を考えて父親のかわりを勤めようと頑張る兄フィリップは、
イヴァンを慕いながらも複雑な思春期を迎えようとする少年。
彼の兵士のために歌う歌声はまるで天使のよう。
幼いカティは冒頭で戦争について疑問に思う。
「急いで逃げるのは悪魔が追ってくるからね。
 なぜ悪魔は子供をさらうの? 悪い事をしてないのに…」
そして、イヴァンに自分の見た死体のまねをしてみせる。

オ−プニングから時折挿入される、揺れ動く戦争のモノクロフィルム。
『かげろう』のようなのは、あの森での暮らしやイヴァンの存在だったのだが、
もはや戦争の事実が『かげろう』になりつつある…。

「かげろう」オフィシャルサイト
 ↓
http://www.gaga.ne.jp/strayed/

かげろう
エマニュエル・ベアール

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February 11, 2005

「女はみんな生きている」

[DVD映画]★★★★☆

のっけから緊迫感をあおる音楽とスピーディーな展開で、もう目が離せない!
こんな勢いのあるパワフルなフランス映画ははじめて!!
赤ちゃんに乾杯!」のコリーヌ・セローが監督・脚本・台詞を担当した
コメディ・ドラマ「女はみんな生きている」。
2001年の作品で原題は『Chaos(カオス)』

ディナーの約束に間に合わない!と夫ポール(ヴァンサン・ランドン)と共に
どたばた支度をする妻エレーヌ(カトリーヌ・フロ)。
車を飛ばす二人の前にあらわれた怪しげな男たちに追われる若い女!
それを無視するポールは車のドアを開けない。
女は男達につかまり、ポールの車のフロントガラスに頭を打ちつけられ血まみれに。
“彼女”を助けようとするエレーヌに、ポールは
「ティッシュを」と大怪我している彼女には見向きもせず、
血で汚れたフロントガラスを拭くのだ…。
そして、救急車も呼ばずに『洗車』へと向かう。
翌日も、母親が尋ねてきても居留守を使うポール。
家庭より、仕事と会社が第一の、そんな男だった。

エレーヌは怪我をした女が気になって仕方がない。
そして救急病院にいる瀕死の彼女を見つけ出して、
病院で泊まり込んで看病を始める。
すると例の怪しげな男達が現れた…。
エレーヌは“彼女”のそばにいたいと思い、語り始める。
「私はエレーヌ。他人だけど、あなたに生きて欲しいの。」

エレーヌが帰らないので、家庭は無茶苦茶。
ポールは「アイロンがかかってない!」とエレーヌの携帯にまで伝言を入れてくる。
独り息子ファブリス(オレリアン・ウィイリク)がこれまた女にだらしないドラ息子。
ファブリスのガールフレンドが何人も家におしかけてくる。
そこで、エレーヌは家を出て本格的に“彼女”を守り家を出る事に。
エレーヌの献身的な介護のおかげで奇跡的に回復した“彼女”は、
信じられないような身の上を話し始めた。
彼女はノエミ(ラシダ・ブラクニ)というかなりワケありの売春婦だった。

娘を売り飛ばすような家族を持ち、“組織”に利用されるノエミ。
田舎から出て来て息子に30分程息子とお茶するためにでも、
1ケ月間もホテルで待つポールの母親(リーヌ・ルノー)。
家庭や家族を全くかえりみないポールの妻、普通の主婦エレーヌ。

この映画はダメで酷い男達にしいたげられてきた女達が
その男達に頭脳戦で立ち向かい復讐する、その力強い姿を描く。
女達は自分の事よりも『他の誰か』の事なると強いのなんの!
一方ダメ男達は自分の事で手一杯。
「魚は食べたくない!」なんて、子供じゃないんだから…。
もちろん、全ての男女がこんな関係では無いが、
万国共通で、こんな差別意識があるのか…と少し驚いた。

頭の良いノエミのとんでもない過去とパワフルなエピソード。
そんな彼女に魅了されたエレーヌの家族達!!!
経験豊かすぎるノエミを女性陣は愛しみ影響され、男性陣は彼女のテクに骨抜きに。
ちょっとヤリ過ぎだけれども、
鮮やかな彼女達の手口は活き活きとしていて爽快感がある。
特にノエミ!そして、エレーヌのキレのある動きも探偵顔負け!
次から次へと何が起こるのか?とドキドキし通し。
ノエミの目覚めた顔!!!あの目は一生忘れないだろう!!!!

[映像特典]
メイキングとトレーラー。
この作品はデジタル・カメラで撮ったそう。
そんな世の中なんですね。

公式サイト
ドキドキする音楽も聴けます。

http://onna-minna.jp/

女はみんな生きている
カトリーヌ・フロ コリーヌ・セロー ヴァンサン・ランドン

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February 02, 2005

「8人の女たち」

[DVD映画]★★☆☆☆

ごめんなさいオゾンさん。やっぱりダメでした…。
実はオゾン作品で唯一相性の悪かった作品。
一番最初に観たのがこの作品だったので、もう一度チャレンジ。
これは、殺人事件が起きた大邸宅の中での
ミステリー風ミュージカル映画?「8人の女たち」。
監督・脚本は「まぼろし」「スイミング・プール」のフランソワ・オゾン
2002年ベルリン国際映画祭銀熊賞(最優秀芸術貢献賞)受賞作品。

1950年代のフランス。郊外の大邸宅にて。
ある雪の日、一室で主人が刺殺されているのが発見された。
容疑者は邸宅に集まった8人の女たち。
家族愛を吹聴する祖母のマミー(ダニエル・ダリュー)は欲深。
妻のギャビー(カトリーヌ・ドヌーヴ)はどうやら浮気を。
妹ピレット(ファニー・アルダン)はお金のトラブル。
ギャビーの妹オーギュスティーヌ(イザベル・ユペール)は欲求不満のオールドミス。
清楚な長女スゾン(ヴィルジニー・ルドワイヤン)は妊娠中。
勝ち気な次女カトリーヌ(リュディヴィーヌ・サニエ)は妙な行動を。
黒人の家政婦マダム・シャネル(フィルミーヌ・リシャール)はレズビアン。
もちろん、新人メイドのルイーズ(エマニュエル・ベアール)も…。
8人の醜態がどんどん明らかに!!!

ワタシがダメだった理由が判明!
ストーリーや描いている事は初期の頃から変わっていない。
今思えばミステリーにオマージュを捧げた、
ホームドラマ」のレトロでゴージャスなミュージカル演劇映画といった感じか。

1の理由。
どうしても、あのミュージカル感が生理的にダメなのだ。
あの“突然歌って踊る”寒さに耐えられない。(←タモリさんと同じ)
歌い出した途端にもう…。
これはもう、好みなのでしょうが無いなあ。
焼け石に水」とか「サマー・ドレス」(「海をみる」に収録)の
下手な歌と下手な踊りは、アクセントや意味付け的にもツボだったのだが、
ど〜も、何度も何度もしつこく繰り広げられる、
あの“踊りと歌”はそれまでの流れをぶった切る。
あれは“歌う意味”が無いというか、あれにより興醒めしてしまうのだ。
ちなみにオペラなら不思議と大丈夫。
だって最初から最後まで基本的に歌で構成されているんだから…。

2の理由。
あえてやってはいるのだが、
古い演劇風の演出と俳優の演技が映画にするとくどい!!!

3の理由。
オゾン特有の観終わったあとの“浮遊感”。
これは明解に解決してしまうので、
『そりゃそうだろうな〜』と思って終了。
その後の余韻があまり無い。

ちなみにこの作品で面白かったのは、
やはり、ラストの予想のつかないどんでん返しと、
大女優を使って、あれだけの女の醜態を描いたオゾンさんのセンスと勇気!
それだけはあっぱれ!!!

「スイミング・プール」のインタビューで監督自身が語っているように、
やっぱりこの作品の製作は大変なストレスがたまったみたい。
だから「スイミング・プール」では逆の事をやりたかったそう。
たぶんその“ストレス”が微妙に感じられ、観ているほうも堅苦しかった。
オゾンさんには妙な浮遊感のある、変てこな作品を作って欲しいなあ〜。
一見普通に見えて、とんでも無い、想像もつかない結末の作品!!!
そんなオゾン節が好きだなあ!

「8人の女たち」公式サイトはこちら

http://www.gaga.ne.jp/8femmes/

 
8人の女たち デラックス版
カトリーヌ・ドヌーヴ

by G-Tools

8人の女たち プレミアムBOX
フランソワ・オゾン

オリジナル・サウンドトラック「8人の女たち」
サントラ リュディヴィーヌ・サニエ イザベル・ユペール ファニー・アルダン

8人の女たち
佐野 晶 Francois Ozon Robert Thomas Marina De Van


 
■ 映画「海をみる」のレビュー
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■ 映画「ホームドラマ」のレビュー
■ 映画「焼け石に水」のレビュー
■ 映画「まぼろし」のレビュー
■ 映画「スイミングプール」のレビュー

フランソワ・オゾンの作品紹介とレビューの一覧
■ フランソワ・オゾン監督について・レビュ−の一覧はこちら
 
■ フランソワ・オゾン監督の作品紹介はこちら
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January 22, 2005

「スイミング・プール」

[DVD映画]★★★★☆

なんじゃこりゃ? とラストでいつも驚かされる。
さらっと描かれているが、これぞオゾン節。
ランプリングとサニエの肉体美にメロメロの「スイミング・プール」。


最後の最後まで気が抜けない二人の対照的な女性を描いたミステリー?ドラマ。
フランス短編映画の若き巨匠フランソワ・オゾン監督の2003年の作品。
脚本はフランソワ・オゾン/エマニュエル・ベルンエイム。
女優陣は、「まぼろし」のシャーロット・ランプリングと
焼け石に水」「8人の女たち」のリュディヴィーヌ・サニエ。

ロンドンに年老いた父と住むイギリス人の売れっ子女流ミステリー作家の
サラ・モートン(シャーロット・ランプリング)は、
出版社の社長ジョンに勧められ、南仏のリュベロンにある、
プールつきの彼の別荘へ行き、そこで執筆を始めていた。
後で来るという約束だったジョン(チャールズ・ダンス)は来ずに、
彼の娘のジュリー(リュディヴィーヌ・サニエ)が突然やって来る。

きちんとした“お堅い”女流作家先生のイギリス人の中年女性サラ。
いつもヨーグルトやダイエットフードを食べている。ランチすら粗食。
眩しくはちきれそうな若さと奔放さのフランス娘のジュリー。
フォアグラを食べ、毎日違う男をつれこむ彼女。
見た目も性格も行動も正反対の二人は、最初はもちろん反発し合うのだが、
まだ、掃除も行われていない自宅の“プール”で裸体で泳ぐジュリーを見た時から、
ミステリー作家としての衝動がサラに沸き起こる。
ジュリーの連れ込む男達の世にも下品な身体と顔。
彼女の恋愛遍歴と行動に興味深々のサラの目は彼女を追い、探し、そして書く。
創作意欲をかき立てるジュリーの過去、謎と影。

二人の奇妙な共同生活は、ある夜彼女達の別荘を訪れた
サラもよく知るレストランのウエイター、ちょっぴり可哀想な
フランク(ジャン=マリー・ラムール)の失踪で急激な変化を見せる。
プールサイドの血痕。フランクのソックス…。
ジュリーの美しい身体にある傷。作家であった彼女の母親…。
不思議な二つの三角関係がここで絡み、
サラとジュリーの奇妙な共犯感で気持ちが共鳴し始める。
ジュリーを守るために自らの身体をさらけ出すサラ!
そして、相変わらず謎を残した結末。
女たちが手を振り合うシーンは印象的だ。

魅力的な二人の女優の対照的な美しい肉体美には思わずため息。
それを眺めている男性たちの足もと。
それをなめるように撮るカメラ。
「焼け石に水」のグラマーちゃんリュディヴィーヌ・サニエもより洗練され、
シャーロット・ランプリングの熟成された裸体美は圧巻。
愛の嵐」(1973)から32年!。
相変わらずスリムで女性らしい身体はリアルな年相応の美しさ。
これには年老いた娘?(ミレイユ・モセ)のいる、
すっかり枯れた管理人のマルセル(マルク・ファヨール)もメロメロ。

どうも合わなかった「8人の女たち」とは全く違った、
肩の力の抜けたオゾンぽい作品だと思う。
特典映像でオゾン監督が語っている“バカンス”的な作品。
最初のサラと最後のサラ。服装といい、表情といい、別人の様。
海ではなく、四角い水たまりのスイミングプール。
人の欲望を映し解放する、デヴィッド・ホックニーの作品のような
あのスイミングプールで彼女の目には何が見えたのだろうか…。
悪戯っ子のような、母親のようなサラの笑顔には充実感があった。
卑屈で内向的だった作家が別の世界への扉を開けたかのようにも見えた。
 
[映像特典]
・未公開シーン(4シーン:約15分)
・オゾン監督・ランプリング・レニエのインタビュー(約20分)
・オリジナル特報・オリジナル予告・日本版予告・日本版TVスポット

スイミング・プール 無修正版
シャーロット・ランプリング

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スイミング・プール
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December 17, 2004

「ホームドラマ」

[DVD映画]★★★★☆

さて、気になって気になって仕方が無い!!
フランソワ・オゾン監督のかなり毒の効いたシュールな作品「ホームドラマ」。
少し「8人の女たち」を思わせる部分もありながら(どうもあの作品は苦手)、
とにかく下らなく毒々しいのにどこか可笑しくて、
断然こちらの作品のほうがハマれた!
カップリングは「小さな死」。
こちらはしょっぱなからかなりマイナス・オーラを出した
カメラマンの青年を追った意外にも微笑ましい短編。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ホームドラマ」[作品別評価]★★★★☆」

うひゃ〜!まさかあんな事になるなんて!想像出来なかった!!
また1本とられました。オゾンさん!!!
平凡なブルジョア家庭に一匹のネズミがやって来たことから、
どんどん崩壊してゆく様を描いたオゾン風のブラック・コメディ。

“短編のヒッチコック”フランソワ・オゾン監督の長編デビュー作。
1998年のフランス映画。
原題の「SITCOM」はシチュエーション・コメディの略だそう。
これは80分のかなりブラックなドタバタ“奇劇”。

いきなりである。
とある豪邸に父親ジャン(フランソワ・マルトゥレ)が帰宅し、
“ハッピー・バースディー”の歌声♪
と、突然銃声と悲鳴が!

そしてこれまたいきなり数カ月前にさかのぼる。
家政婦のマリア(ルシア・サンチェス)がやってきたその日、
ジャンが“ネズミ”を持ち帰ったその日の夜、マリアと
夫のアブドゥ(ジュール=エマニュエル・ヨウム・デイド)を招いての夕食会で、
直前までネズミと遊んでいた息子ニコラ(アドリアン・ド・ヴァン)が
突然「ボクはゲイだ」と宣言する。
それがこの家庭の崩壊の始まりだった。

ニコラをなだめるために彼の部屋に行ったアブドゥは
“ネズミ”に噛まれて、あろうことかニコラに身をもって体験させてしまう。
“ネズミ”と戯れていた娘ソフィ(マリナ・ド・ヴァン)は窓から身を投げ
命は助かったものの半身不随に。
“ネズミ”を触ったマリアに誘惑された
ソフィの恋人ダヴィッド(ステファーヌ・リドー)は、
それをネタにされ愛するソフィのプレイの下僕に。
絵に描いたような心配性な良き母エレーヌ(エヴリーヌ・ダンドリイ)は
“ネズミ”に触れてしまってから息子のためにと男女の関係を持つように。
それらを全て知っていて、それを受け入れると言う家族に
自分は“まとも”だからと一人無関心な父親ジャン。
そして…誰も居ない家でジャンは“ネズミ”と戯れた…。

とにかく予期せぬ事態と災難が次々と起こる。
彼等は名前すらつけてもらえないこの“ネズミ”に触れる事をきっかけに、
愛情の飢えに気付き、心の奥の真の欲望を実行してしまうのか?
それをわざとグロテスクに、でも軽妙にコミカルに描くオゾン。
“我家は、自分だけは平凡で平和”だと信じている人達へ向けての
これはかなり強烈な皮肉である。
そして、酷い物語なのに妙なおかしさ。
あの“ネズミ”は…悪魔なのか天使なのか、一体何なのか?
まさか電子レンジで………!!!!!

ちなみに「海を見る」のマリナ・ド・ヴァン、とアドリアン・ド・ヴァン、
彼等は実の姉弟。マリナは制作のほうも携わっている。
「サマードレス」のルシア・サンチェスも舞台出身の演技派で、
自分で映画も撮っているそう。
どうやらこの妙なテイストは、オゾンさんの周りの
強烈な個性と感性の俳優やスタッフの影響があるのかもしれない。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「小さな死」[作品別評価]★★★★☆

「ホームドラマ」に収録されている。
フランソワ・オゾン監督による1995年制作の26分間の短編作品である。

“生まれた時から自分は醜い。だから父親にも愛されず嫌われている。”

そう思っているゲイのカメラマンのポール(フランソワ・ドゥレーヴ)。
彼は“イク瞬間の男の顔”を撮るのが趣味で同じゲイの彼と同棲中。
突然美しい姉(カミーユ・ジャピィ)から
父親(マルシアル・ジャック)が危篤だと電話。
見舞いに行くのだが…父親からとんでもない言葉が!。
やはり醜い自分は愛されていないのだと嘆きつつも、
再び病室を訪れ父親の写真をこっそり撮るポール。
しかし、後に判明する事実で彼は救われるのだ…。
さすが親子だ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

人には、親しい人や恋人や家族にだからこそ、
口に出して言わない、隠された色んな感情や欲望があるのだ。
自分だけは、自分はきっとこうに違い無い、
あの人だけは、あの人だけには有り得ない、
などと決めつけてはいけない。
いつ、どんな想像もつかない出来事が起こるかわからないのだ。
本人ですら気付いていない本性があるのだから…。

この「小さな死」と「ホームドラマ」には
そんなメッセージが込められている。

そういった人間達が、人間模様が興味深くてたまらないのだろう。
だからあえて人間の恥部や秘密にしておきたい部分を露出させて、
面白がりつつもそれを肯定しているのだ。
これががオゾンの監督の魅力の一つなのではないだろうか。
わかってやっているトコロがこれまたニクイ!!!

ホームドラマ
フランソワ・オゾン
ホームドラマ
 
 
DVD BOX「海をみる」「クリミナル・ラヴァーズ」「ホームドラマ」「焼け石に水」
及び短編のオゾン監督の初期全9作品を収録。
フランソワ・オゾン DVD-BOX
フランソワ・オゾン


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December 14, 2004

「クリミナル・ラヴァーズ」

[DVD映画]★★★★☆

先日の「海をみる」に続き
フランソワ・オゾン監督の「クリミナル・ラヴァーズ」を。
このDVDには長篇「クリミナル・ラヴァーズ」と共に
短編「アクション、ヴェリテ」が収録されている。
この2作品には若さゆえの性への欲望、そしてタブーの領域へと切り込み、
それらを挑発しているようで、実はクギを刺している気がするのは気のせいだろうか?
世の中には、夢や妄想だけでは済まない、目を背けてはいけない事もあるのだと…。
そんな少し青く痛々しい香りのする2作品。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「クリミナル・ラヴァーズ」[作品別評価]★★★★☆

“ 犯罪よ急げ。俺が虚無へと落ちるために。”
この詩の一節が印象的だった。

殺人を犯した17歳のカップルの逃避行を森の中で起こる
ある種の寓話的な幻想世界を描いたサスペンス・ドラマ。
監督・脚本は今、個人的マイ・ブームのフランソワ・オゾン。
この作品は彼の95分の長篇第2作目。1999年のフランス映画。

リュック(ジェレミー・レニエ)とアリス(ナターシャ・レニエ)。
この17歳の若い高校生カップルは
同級生のサイード(サリム・ケシュシュ)を計画的に殺してしまう。
そして、二人は遺体を捨てるために車で森へ…。
遺体を埋めたものの、森で迷ってしまった二人。
船で一夜を明かした翌日、彼等は森の中で一軒の小屋を見つけ、
小屋の主人が留守の間に食料を盗もうとしていたところへ
熊のような男の主人(ミキ・マノイロヴィチ)がライフルを片手に戻って来た!
そうして、二人は地下室に閉じ込められる。
食事も与えられずに、掘り起こされたサイードの死体と共に…。

アリスの日記。アリスの嘘。アリスの欲望。アリスの衝動。
17歳で書かれたランボーの詩。
これまでの彼等の時間が、地下室に閉じ込められた日々とこれらが交錯し、
次第に事実が明らかになってゆくのだ。
少し先に大人になり“欲望に忠実に先を急ぐ”アリスと
殺人を犯したのだが、未だ純粋な少年の心を持つ“無垢な?童貞”リュック。
彼等の殺人に至る経緯。これではあんまりではないか!

アリスの日記を読む小屋の主人はリュックを地下室から出し、
首輪につなぎ、身の回りの“あらゆる”世話にこき使う。
そしてリュックにだけ食料…しとめたウサギを与えて言う。
「食え。よく食って太れ」
自分達を食べるのなら、アリスにも食事をというリュックに、
「女はカサカサした骨と皮だけのほうが好きだ。
 反対に男は丸々としているほうがいい」
と、この主人も相当怪人。
その主人に“飼いならされる”リュック。

片足の無いザイードの死体。
リュックを利用しようとするアリス。
絶望感と緊迫感は高まるばかり…。
まるで怖い童話の幻想を見ているかのような、森の中での非現実的な日々。
森に迷いこんだヘンゼルとグレーテルならぬ
人生の袋小路にまで迷いこんでしまったアリスとリュック。
だが、二人はサイードを殺したことにより、
どんどん墜ちている事だけは確かなのだ…。

脱出するチャンスが訪れた二人に、
自由で幸せな瞬間は長く続くはずもない。
犯した過ちは必ず自分に返ってくる。
所々に登場し、彼等を傍観する野生動物達とウサギ、そして白い鳥。
本能のままに生きる野生動物は狩られ、
純粋無垢なる鳥は空へと解放されたのだろうか?

この作品は青少年の犯罪の推進する作品ではない。
むしろそれを戒める寓話なのだ。
と、少し思った。

尚、俳優陣もなかなかの人選であった。
天使が見た夢」のナターシャ・レニエ
イゴールの約束」でデビューしたジェレミー・レニエ
アンダーグラウンド」主演のミキ・マノイロヴィチ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「アクション、ヴェリテ」[作品別評価]★★★★☆

フランソワ・オゾン監督による1994年のなんと4分の短編である。

二人の少年と二人の少女が
指名されて受けた命令を“実行する=アクション”か“正直に告白する=ベリテ”か
どちらかを選んで行わなければいけないという、ゲームで遊んでいる。
修学旅行や合宿などで子供の頃遊ぶようなあのような…。
男女関係に興味が出てくるお年頃。
ネタは、もちろん…“キスした?”だの“異性と寝た?”だのといった事。

単純なゲームゆえに次の“命令”は何か?彼等の幼い表情に
こちらもついドキドキしてしまう。
そして…
何となく4人の関係や性格を気付かせたところで、
このたあいのないゲームにすら、
きっちり衝撃的なオチをつけるあたりはさすが。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

クリミナル・ラヴァーズ
フランソワ・オゾン
クリミナル・ラヴァーズ
 
 
DVD BOX「海をみる」「クリミナル・ラヴァーズ」「ホームドラマ」「焼け石に水」
及び短編のオゾン監督の初期全9作品を収録。
フランソワ・オゾン DVD-BOX
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December 08, 2004

「海をみる」

[DVD映画]★★★★☆

おなかいっぱい、オゾンワールド!!
まぼろし」で、すっかりはまってしまったのだが、
先日の「焼け石に水」といい、この「海をみる」といい、
この監督の作品は一体何なのだろう? ワタシのツボをぐいぐい押しまくるのだ。
最近最も気になる存在の一人、フランソワ・オゾン監督の短編3作が
サスペンス・スリラーからブラックなコメディ?まで
バラエティ豊かに味わえる1本。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「海をみる」[作品別評価]★★★★★

なんてこったい!こんな結末だとは…(ちょっとそうかと思ったが)。
なんだかとっても物騒な物語。見知らぬ人に簡単に心を許してはいけない?!
"短編のヒッチコック"フランソワ・オゾン監督によるサスペンス・スリラー。
1997年の52分の短編作品。

海を臨む一軒家でサーシャ(サーシャ・ヘイルズ)は
まだ赤ん坊の娘シフラとふたりで出張中の夫の留守を守っている。
ある日突然、海から帰って来ると、見知らぬ女性…
バックパッカーの女、タチアナ(マリナ・ド・ヴァン)がやって来て、
庭にテントを張らせて欲しいと言う。
心淋しいサーシャはそれを許し、食事に誘ったり、風呂を使わせたり、
シフラの子守りをお願いしたりとどんどん親しくなるのだが…。

幸せな親子を見るタチアナの冷たい表情。
彼等の平和で幸せな姿が、きっと憎いに違い無い。
言動が怪しすぎるのだ。
サーシャに浮気をそそのかす、墓地に佇む、スーパーの肉を眺める、
彼女のノートの落書き、そして…サーシャ家の中でも。
ただ、サーシャはそれに気付かない。
幸福ボケしているからか、気付きたくなかったからなのか…
それがまた火に油を注いだのか?
そして、彼女は一体誰なのか??

衝撃的なラストを見ても、やはり謎は深まるばかり。
出張中の夫の浮気相手だったのか…。
それともこんな親子であれば誰でも良かったのか…。

この作品、52分と短編ながら
不思議な緊張感と少々グロい不愉快さと、映像美に溢れている。
まさにオゾンならでは。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「サマー・ドレス」[作品別評価]★★★★★

頭の中は「Bang Bang」が鳴りっぱなし!
ロカルノ映画祭グランプリを受賞したオゾン監督の出世作。
1996年の15分の短編。

若いホモ?の一人の少年と、
海岸で出会ったサマー・ドレスの若い女性との
ほぼまる1日の出来事を描いた物語。

ホモカップルの少年の片割れが「Bang Bang」に合わせて、
妙な踊りをするのがオゾン節。
あの、お兄ちゃんの妙なカマっぽさが忘れられない。
「Bang Bang」もキル・ビルでユマが歌っていたのと
印象違いすぎ! インパクトありすぎ!!

そして、逆ナンされる少年の、
ちょっとした普通の恋も、妙に爽やかで何だかほほえましい。
借りたドレスを返しに行く彼の顔。
さて、彼は“どちら”の人になるんだろうか?
とあるバカンスの一夏の経験で終わるだろうか??
15分間でここまで充実させるとは。恐るべし。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ベッドタイム・ストーリーズ」[作品別評価]★★★★★

やっぱりすごいぞ、オゾンさん!!
短編映画の若き巨匠…とは言い過ぎか???
フランソワ・オゾン監督による1997年の26分の短編
「ベッドタイム・ストーリーズ」。
この26分間に更に7話の物語が入っている。

『黒い穴』
『ミスター・クリーン』
『年上の女(ひと)』
『互い違い』
『理想の人』
『闇の中の愛』
『二人の童貞』

タイトルどおりにベッド・インする直前の7組のカップルの状況を、
主に会話や表情を通して“切り取った”超短編集。
もちろんカップルといっても多彩である。
娼婦と客、男と女、若い男とそうではない女、女と女、男と男etc…

何気ない会話にオゾン独特のブラックユーモアがあり、
タイトルからは想像出来ない展開となったり、
あまりにも下らないほどのストレートな展開になったり、
間に入るエレベーターの音といい、
人の心をこちょこちょくすぐる。
『ミスター・クリーン』にはニヤニヤしどおし。
こういうのにちょいと弱い!

ブラックで変態チックで、どこか憎めず軽やかなタッチ。
これがこの監督の作品の特徴の一つなのだが、
それはこの作品にもあるように、
“人の数だけある人間っぽさが好き”なのではと思ってしまった。
色々な人々の“愛のかたち”。
一見グロテスクであっても、悲愴であっても、バカバカしくても
それを受け入れ、映像として再現し、シーンを“カット”する。
彼の切り取る画面には、どこか人間くさい、暖かみが感じられる。
そこがツボだったのかも…と、
この短編群を観て思った。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1967年パリ生まれで、パリ第一大学映画コースで修士号を取得したという、
若くて(といっても中年だが)才能あふれる人だ。
スイミング・プール」もまだ観ていないので1月のDVD発売が楽しみ。
さらなる新作も「5x2 [Five Times Two] 」も楽しみ!
それにしても、海と水。彼のモチーフに多く登場するこのモチーフは、
彼にとって何なんだろうか???
またまたこれも気になるのであった…。

海をみる
フランソワ・オゾン 
海をみる
 
 
DVD BOX「海をみる」「クリミナル・ラヴァーズ」「ホームドラマ」「焼け石に水」
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November 26, 2004

「愛してる、愛してない・・・」

[DVD映画]★★☆☆☆

純愛行為とストーキング行為は極めて紙一重である。
現実と空想の境がなくなり、愛する男性の一家を不幸に陥れてしまう女性を、
視点を分けて描いたサスペンスストーリー。
監督は新進気鋭の若手レティシア・コロンバニ。
主人公は「アメリ」のオドレイ・トトゥがこれまた可愛く無気味に演じている。
共演は「トリコロール 赤の愛」のサミュエル・ビアン
「視線のエロス」のイザベル・カレ。
2002年フランスの作品「愛してる、愛してない…」。

美術学校に通う優秀な生徒アンジェリク(オドレイ・トトゥ)は、
心臓外科医のロイック(サミュエル・ビアン)が恋人。
ロイックには弁護士で妊娠中の妻ラシェル(イザベル・カレ)がいるが、
離婚は時間の問題だと思っている。
だって、彼はあの日、1本のバラをくれて、
パーティ会場のトイレで愛を語ってくれたのだから…。
だから毎日彼の診察室へバラを1本送るのだ。

アンジェリクはベビーシッター先の留守をまかされ、
ロイックの隣に住むことになった。
そして、妻と仲むつまじく寄り添うロイックを見て、ラシェルを憎み始める。
「どうして私達の邪魔をするの?あの女は?」
日に日に様子がおかしくなるアンジェリクを、
彼女に恋する若く美しい男友達のデイビッド(クレマン・シボニー)が心配するが、
アンジェリクの心は素敵なロイックへと一途に突き進むのだ。
「憎い邪魔ものは排除せねばならない」
そして、ついに事件は起きてしまった…。

この一連のストーリーを、今度は恋される側のロイックから描き直しているのが後半。
たしかにロイックは1本のバラをあげた。パーティ会場のトイレで5分間だけ話した。
だが、彼女に会ったのはその数回だけ。

純愛からストーキング、そして犯罪へと
自分を正当化し、行動をセーブ出来なくなるアンジェリク。
どんどんお仕置き?してゆく様は「シリアル・ママ」のようで恐ろしい。
しかも、本人には悪気が全くないだけに、始末に負えない。
デイビッドがいくら説得しても都合の良いようにしか解釈しない、
彼女はもはや妄想の住人なのだ。
アンジェリクの想いになかなか気付かないロイックの鈍さも
行動をエスカレートさせる原因となってはいるが、
ロイックとしてはごく普通に振舞っているだけなのである。

自分の行動を時々チェックしないと、
とんでもない人物に、とんでもない誤解を受けているかも…。
実際にこんな話、ありそうだから怖い。
誰にでも優しいモテモテくん、モテモテさんは注意しよう!

「アメリ」はフリーの変態同志の純愛だったので、
本人も周囲も結果的にハッピーになれたが、
このアンジェリクは周りを巻き込みどんどん不幸にしてしまう。
でも、彼女の心の中の世界では、まだあの妄想の中で幸せなのだ。
この自閉的な感情をオドレイ・トトゥはキュートで純粋なあの目で演じる。
もう、キャスティング出来過ぎ!
オープニングのラブリーさが、最後には怖い。

愛してる、愛してない・・・
愛してる、愛してない…

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November 08, 2004

「穴」 Le Trou

[DVD映画]★★★★★

その昔、小さな小劇場の暗闇でリバイバル上映を観た時のドキドキ感が忘れられない!
とにかく緊張感のたまらない作品「穴」

実際にあった脱獄事件をもとに書かれたジョゼ・ジョヴァンニの小説の映画化で、
脚本はべッケルと原作者ジョヴァンニ及びジャン・オーレルの共同執筆。
監督はフランスの巨匠ジャック・ベッケル。1960年彼の最後の作品。

パリ近郊にあるラ・サンテ刑務所の獄房に4人の男が入っていた。
ロラン(ジャン・ケロディ)、ジェオ(ミシェル・コンスタンタン)
マニュ(フィリップ・ルロワ)、ボスラン(レイモンド・ムーニエ)の4人である。
毎日ボール箱を組立てるだけの単調な日々の中で、
彼等は密かに脱走の計画を企てていたのだ。
そこへ、新しい囚人ガスパル(マーク・ミシェル)がやってきた。
この妻殺し未遂の若い男を信用して脱獄計画に参加させるか否か4人は悩む。
もしかするとスパイかもしれないのだ…。
結局ガスパルを加えて5人の男達は獄房の地下へと穴を掘り始めた…。
やがて穴は無事貫通するのだが…。

彼等のおそるべく手際の良さ!!これがまたリアルなのだ。
深夜役割分担を決めて看守の目をごまかし、
少しずつ掘り進めるのだが…
カーン、カーンと掘る『音』!
いくら地下だとはいえ、夜中にそんな『音』を出しては!
とこちらがヒヤヒヤする。

計算され尽くした演出と、あり得ないこの『音』!の音響効果によって
もちろんガスパルへの疑惑も絡み、ものすごい緊迫感を味わえる。
元囚人の原作者が演出しているので、そりゃリアルだわ…。
この作品、自宅でDVDやビデオで観る時は、
暗くしてほんの少しだけ音を大きくして観るのがオススメ。

穴 デジタルニューマスター版【TCD-1066】 =>20%OFF!《発売日:03/05/23》
穴 デジタルニューマスター版

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October 31, 2004

「散歩する惑星」

[DVD映画]★★★☆☆

こののほほんとしたタイトルとは大違い!
いいのか?こんなにブラックで!!

カンヌ国際広告祭で8度のグランプリに輝くCF界の巨匠、
ロイ・アンダーソン監督による、実に構想20年、撮影4年の歳月をかけて製作した
ブラックユーモア溢れすぎのコメディ映画??「散歩する惑星」
2000年スウェーデン・仏の作品。

とある惑星のと『ある国』の物語。
サラリーマンは長年勤めた会社にリストラされ文字通り上司にしがみつきズルズル…。
マジシャンは胴体切りのマジックに失敗。観ているだけで痛い痛い!!
家具屋は保険金欲しさに自分の会社に火を放つが、保険金が手に入らず、
詩人だった長男は精神病…。

大きな不幸や小さな不幸まで、この国の人々はすべてが悪い方へと向かって行く。
見切りをつけた人達はみな大荷物で国外逃亡を図り、
空港のロビーは人で溢れ、道路は大渋滞…歩いたほうが早い始末。

この不況に目をつけた宗教がらみのインチキ商売人や、
それにもすがる人。
生きていてもしょうがないと、
自分の命を犠牲にする人々。他人の命を犠牲にする人々。
どんどん顔色の悪い、人形のような白塗り(特におやじ)が増えて行く…。

最初はこのブラックさにかなり笑えるのだが、
どんどん悲劇てきに虚しくなってくるのだ。
かなり、『ある国』にむけての政治批判を含んだトコロがある。
官僚達は自分の事しか考えない馬鹿ばかり。こんな国に未来はあるのか???
あながち絵空事ではないトコロも含めて、
喜劇的でもあり悲劇的である作品であった。

これをCGを一切使用しないローテク撮影技法で長年かかって撮影し、
2000年のカンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞した。
やはりローテクは、ここへ来て人の心をつかむのか?
ABBAのキーボード奏者だったベニー・アンダーソンが音楽を担当。

ちなみに映像特典はメイキング、監督インタビュー、予告編など。
ま、フツーですね。

散歩する惑星 愛蔵版
散歩する惑星 愛蔵版

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September 27, 2004

「小さな中国のお針子」

[DVD映画]★★★☆☆

ラブストーリーというより、青春映画「小さな中国のお針子」
全編をヴァイオリンの優しい音色が包みこむ…。

配給がアルバトロス、つまりフランス映画。
監督であり原作者ダイ・シージェがフランス語で書いた半自叙伝
「バルザックと小さな中国のお針子」の映画化作品。制作年は2002年。

1971年文化大革命の嵐の中国。
知識階級に家に生まれたルオとマーは、反革命分子の子供として、
"再教育"のため目覚まし時計すら見た事もない人々の暮らす僻地の農村に送られ、
農作業や鉱山の仕事の日々を送る。
そこで2人は美しいお針子として評判の仕立て屋の孫娘に出会うのだ。
美しく聡明な『お針子』に二人は恋をし、西洋文学が禁止されている革命時代に、
バルザックユーゴートルストイなどの本を隠し持っていた、同じ"再教育"されている青年から盗み、
本の読めない『お針子』にそれらを読んで聞かせるのである。
自分の知らない世界を知った『お針子』の人生は
恋人ルオの語ったバルザックの小説によって大きく変わる事に…。
文学とは何か、知識とは何か、文化とは…と問いかけてくる。

純粋で濃いキャラクターの村の人々が魅力的。
『お針子』のおじいさんの仕立て屋の服も周りの山々の緑に映えて、美しい!
文学から影響を受けて折衷になった服も可愛らしい!!
仲良くミシンで動かすドリルで村長さんの歯を治療するのは大笑い。
(あんな歯の治療の仕方はいやだ)
そして、同じく『お針子』に恋心を抱きつつも、見守るだけのマーの愛情。
男女3人組によくあるパターン。
ああ!青春…。

そういえば男のセンチメンタルさが良く描かれていた。
遠い日のあの村や『お針子』への想いを馳せる現代の二人。

あの二人がこんなに想っていても、
本人は、彼等の事を忘れてしまっているかも…
女とはそういう生き物なんです。

小さな中国のお針子
小さな中国のお針子
 

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September 26, 2004

「アメリ」

[DVD映画]★★★★★

不器用な〈変態〉さんの純愛ストーリー「アメリ」
「デリカテッセン」「ロスト・チルドレン」「エイリアン4」
フランスの変態監督ジャン・ピエールジュネによる、2001年フランスの作品。
配給はもちろんアルバトロス♪。

公開初日は劇場へ、(あの、証明写真のボックスが劇場に!)
セルDVDは予約し購入(ヘヴィーユースしとります)
今さらだけれど、久々観たらやっぱり良いのでちょいと熱く語ってみようかと。

オープニングからして小ネタだらけ。
アメリ・プーランのおいたち、曲がった性格構築、
空想癖へのなれそめのオンパレード!!。
心臓病と誤診され、学校に行かず孤独だったアメリ(オドレイ・トトゥ)は、
どんどん自分の空想の世界を広げていく…。
空の雲はウサギやクマに。意識の戻らない隣人をも自由に寝起きさせ…。
どうも自分を騙した?人にさりげなく小さな復讐をするのも、子供の頃から。
そして、それは大人になってパリのカフェで働き始めてからも、
続いている…。

40年前にアメリの部屋に住んでいた子供へ宝箱を返し、
喜んでもらえたら自分の世界の外へ出る!と決意。
これに味をしめた彼女は、
人々に『ちょっとした幸せ』をこっそり与えて楽しむように。

そして、地下鉄の駅にある証明写真の下の失敗写真をコレクションする
収集癖のある夢想家ニノ(マチュー・カソヴィッツ)との衝撃の出会い。
これが、アメリの初恋?である!
曲がった性格の〈変態〉同志の恋愛が、
可愛らしく、おしゃれに、面白おかしく淡々と共感しあってゆく様子が
赤とグリーンを基調とした画面で素晴らしく繊細に描かれてゆく…。
彼等の曲がった恋愛の結末は???

悲しむアメリが水になって溶けてしまうトコロ。
悩んで疲れて眠るアメリの事をベッドルームの犬と鳥の『絵』達が心配して、
「アメリは恋をしているのかな?」と
ライト・スタンドの豚が自らライトを消してあげるトコロが、とても好き。
意地悪なヤツにこっそり復讐する彼女も好き。
(でも、アメリのやっている事は、犯罪ですから、決してまねをしないように!!!)
オクテで引っ込み思案だったり、内気で独り遊びが上手だったりした方には
かなり共感できる作品。
アメリの「いたずら」で人々がちょっぴりだけ「幸せ」になるのがいいですね〜
 
アメリ
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アメリ【期間限定スペシャル版】
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この映画のヒットには音楽の素晴らしさも一因あり。
未だに色々なトコロで使われています。
ちょっとノスタルジックでセツなく優しいアメリのサントラ


アメリ
サントラ
______________________________________

アメリのキュートなノヴェライズ


アメリ
イポリト ベルナール Hipolito Bernard

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September 25, 2004

「奇人たちの晩餐会」

[DVD映画]★★★★★

こんな変態映画はもちろんアルバトロス配給♪
以前映画館で徒党を組んで観に出陣。そりゃもう小笑い有り、大いありの絶品。
劇場出る時も皆さん大満足の「奇人たちの晩餐会」!!

監督・脚本はフランシス・ヴェベール。1998年の作品。

毎週水曜日、出版社の社長ピエールと友人たちは
“奇人たちを集めた晩餐会”を開いている。
ルールは必ず1人『奇人』=『馬鹿』を連れて来ること。
誰もが認める奇人を連れて来た者がその会の勝者となる 。
彼らは、お互いの連れて来た人間の奇人ぶりを競い合って楽しんでいた。
今夜のピエールは自信があった。
「俺の見つけたヤツこそ、優勝だ!」
それは電車の中で友人が出会ったフランソワ・ピニョン!
…普段は大蔵省の会計係で趣味が「マッチ棒で建物のレプリカを創作すること」。
そんなピエールがきっくり腰で動けなくなり…。

とにかく、お調子者でやることなす事想像以上にマヌケなピニョン。
気がまわらない上、一生懸命やった事が最悪のトラブルに発展するものだから
全く始末におえない。
ピニョンを演じるジャック・ヴィルレの風貌と演技、
存在感が相乗効果で最高に面白い!。
そしてこの映画は、ただ『馬鹿を笑い者にする』だけの悪趣味な映画ではなく、
『馬鹿を笑っているヤツこそが馬鹿』だと描いているのだ。
元々は舞台劇だったらしく、セリフの妙も見どころ!

今回ストーリーを知っているにも関わらず、不覚にも笑ってしまった。
ピニョンも真っ青なお馬鹿さんでおっちょこちょい。
調子にのるとロクな事がないし、日々、間違い勘違いだらけ。
誤植も数知れず…気付いた時点では直しておりますので。
読んで頂いている皆さんスミマセン…。

奇人たちの晩餐会
奇人たちの晩餐会
 

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September 24, 2004

「キリクと魔女」

[DVD映画]★★★★☆

なんとアルバトロスつながり。
ミッシェル・オスロ監督のアニメ映画「キリクと魔女」
日本語吹替とフランス語(字幕)の両方で上映されのですが、
基本的にアフリカの『寓話』なので、日本語吹替は「これは道徳の教科書か??」
くらいセリフが堅く、重〜い気分になってしまう…。
フランス語(字幕)のほうが、耳にも優しく映画として楽しめました。

とあるアフリカの村から映画は始まる。女たちの働く場面から。

『キリク』とは母のおなかの中にいるときから話す。
「母さん、ぼくを生んで!」
しかし、母は冷静に答える。
「母さんのおなかの中で話す子は、自分ひとりで生まれるの」
母から出てきた小さな男の子は、へその緒を自分で切って言う。
「ぼくの名はキリクだ」
そして、すぐに立って歩き出す…。

彼の生まれた村は『魔女カラバ』の呪いによって泉が枯れ、
魔女退治に出かけた男たちは帰って来ない。
「どうして魔女カラバは意地悪なの?」
カラバがなぜ村を憎むのか不思議に思ったキリクは、その答えを聞くために、
"お山の賢者"に会いに行く大冒険の旅に出かけて行くのだ…。

「なぜ」「どうして?」
世の中の不可解な事を純粋に探究し、行動するキリク。
自分達が忘れてしまった基本的な事を思い出させてくれる。
一寸納得いかないオチはこのアニメ用にハッピーエンドにしたらしいのですが、
それが若干違和感となっているのかも。

絵面的に『好き・嫌い』がはっきり分かれる作品。
キャラクターも決して可愛らしくはない。
背景はアンリ・ルソーが影絵になったかのよう…。
これが妙にマッチしていて、ワタシ的には好きだなぁ。
ユッスー・ンドゥールの音楽も世界観にマッチしていて。

ミッシェル・オスロ監督の影絵のアニメが今年公開されるらしい。
これも楽しみ!!

キリクと魔女
キリクと魔女

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[書籍]★★★★☆

「キリクと魔女」の世界に魅せられた方におすすめ。
絵本はアンリ・ルソーの絵画を彷佛させる感じで、ホントに綺麗です。


〈原作本〉キリクと魔女
ミッシェル・オスロ 高畑 勲


〈絵本〉キリクと魔女
ミッシェル・オスロ 高畑 勲

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[CD]★★★★☆

サントラEPとイメージソング。
どちらも聴き心地が良く、優しい曲です。

ピータ・ガブリエルのアルバムにも参加したり、
世界的に超有名なセネガルの歌手ユッスー・ンドゥールの曲。
キリクの世界にぴったり。


キリクと魔女 サントラEP
ユッスー・ンドゥール

劇場でも流れていました。
映画のコメントをたのまれた大貫妙子さんがこの映画を気に入って作られた曲。
これも映画に合いすぎ!


裸のキリク〜「キリクと魔女」イメージソング〜
大貫妙子 高野寛&大貫妙子

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September 21, 2004

「息子のまなざし」

[DVD映画]★★★☆☆

息子を殺された親の息子を殺した者への感情。
その感情の移行を描いた「息子のまなざし」

「ロゼッタ」「イゴールの約束」
ジャン=ピエール・ダルデンヌ/リュック・ダルデンヌ兄弟の監督による、
2002年カンヌ映画祭主演男優賞&エキュメニック賞を受賞した
オリヴィエ・グルメ主演を前提に作られた作品。
ロケは監督たちの故郷などを使い、相当思い入れがあったよう。
ベルギー・フランス2002年の作品。

オリヴィエ(オリヴィエ・グルメ)は職業訓練所で
大工仕事を教えている無口で仏頂面の中年教師。
そこへフランシス(モルガン・マリンヌ)という少年が、
少年院から出所して、この木工クラスを希望して入所してくる。
フランシスの書類を見て一瞬放心状態になったオリヴィエは
一旦木工のクラスは満席だと断るが、
その後、あきらかに挙動不信な行動に出はじめた。
事務室で書類に記入するフランシス、昼食をとるフランシスを密かに盗み見る。
街の中でまでフランシスのあとを尾行する。などなど…。
なのに、オリヴィエは木工クラスでフランシスを受け入れる事にする。
彼は一体なぜこの少年をつけまわすのか? そしてこの少年の犯した罪とは?

実はパッケージやレビューにネタバレでストーリーが書いてあり、
見ていてちょいとつまらなかった。知らないほうが面白かったと思う。
ホントにこのオリヴィエの行動は怪しい。
フランシスを殺さんばかりの食い入るような視線で見つめるその眼鏡の奥の目。
しかもカメラはほとんどを彼を背後から手持ちで撮っており、
オリヴィエ・グルメは背中と横顔で演技しているのだ。
まるで、ドキュメンタリーを見ているかの映像。

この二人の関係が少しずつ変化していくところがいい。
無口で孤独なフランシスがオリヴィエを信頼しはじめるトコロ。
思わずにんまりしたり、困惑したり、おいおいつっこみ入れたくなったり…。
でも、

あっけなく終わってしまった。

一瞬ドキッとしたが、ハッピーエンドのはず。
ワシは子の親では無いので、実際彼等のような立場になった時に
どんな行動に出るのかはわからないが、
少なくとも、オリヴィエの気持ちはひしひしと感じられた。
いや、オリヴィエの気持ちになろうとしていた。
「息子のまなざし」。
カメラのを通して息子が見ている???そんな感じはしなかった。
フランシスの中に、息子を見つけたのだと…。

息子のまなざし
息子のまなざし
 

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September 16, 2004

「焼け石に水」

[DVD映画]★★★★☆

なんとも悲しくもあっけらかんとした耽美を超えた残酷な作品。
昨日の「まぼろし」のフランソワ・オゾン監督が
ファスビンダーの戯曲を映画化した「焼け石に水」
2000年制作のフランス映画。

美しい町並みから始まる。
カラフルでメルヘンチックなドイツの街並…。
ドアを開けて入って来るのは、中年紳士レオポルド(ベルナール・ジロドー)と
美しく若い男フランツ(マリック・ジディ)。
部屋の中はおしゃれなインテリアの並ぶモダンな部屋。
ソファーに『並んで』腰を降ろす二人。
もう、このあたりでわかるように、
この美青年フランツはレオおやじにうまくハメられて、
ついに禁断の道へと入ってしまうのだ。

フランツ君には若くプロポーションがなんともエロティックな
婚約者のアンナ(ルドヴィーヌ・サニエ)という彼女♀がいるのだが、
おやじの魅力にすっかりメロメロなフランツ君、
アンナに愛情を抱きながら口では「出て行く」と言いながらも、
ずるずると彼のアパートメントから出て行く事が出来ない。
「愛している」からどうしても離れられないのだ。
そのうちに、レオの元『彼女』(アンナ・トムソン)まで現れ………
なんと!とんでもない結末に!!。
どんどん暴君に溺れて傷付く、素直な少年がなんとも初々しく、美しく、痛々しい。
欲望に忠実すぎるおやじ「ボクをパパと呼びなさい」みたいな、
こういう男って意外と男にも女にもモテモテだったりするのだ。
アメとムチを使い分けるから…。
(自分的には苦手なタイプ。どちらかというと「まぼろし」の夫ジャンタイプ好き)

物語は4幕に分かれる。もともと、戯曲だったのが良くわかる構成。
意外とグロテスクな内容をあっけらかんと、ちょっと可笑しくしつこく描くトコロも
妙ちきりんなダンスシーンも、違和感ありつつ、くすっと笑える。
それにしても、アンナさんそれはないだろうよ〜!!!
美しいフランツ君が不憫でならない。
オゾン監督のセンス、悪くない。というか好き???
「8人の女たち」思いきり寝てしまったのに…徐々にハマリ気味。
ビデオしかレンタルショップに無かったので
DVDの特典映像の短編がゼヒ見たい!

焼け石に水
焼け石に水
 
 
DVD BOX「海をみる」「クリミナル・ラヴァーズ」「ホームドラマ」「焼け石に水」
及び短編のオゾン監督の初期全9作品を収録。
フランソワ・オゾン DVD-BOX
フランソワ・オゾン


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September 15, 2004

「まぼろし」

[DVD映画]★★★★★

こんなに泣いてしまった映画は初めてかも!!
最初から最後まで、切ない切ない…。ティッシュケースの1/3は無くなっ。
これは、フランソワ・オゾン監督がたまたま出会った、
「フランス南西部のランド海岸での夫の失踪事件」
のエピソードを膨らませて作られたという、2001年フランスの作品「まぼろし」

結婚して25年になる夫婦。
妻マリー(シャーロット・ランプリング)と夫ジャン(ブリュノ・クレメール)。
毎年ランド地方の別荘でヴァカンスを過ごしている。
今年も同じようにバカンスを楽しみに来た。

大きな体で無口で優しい夫、ジャン。少し淋しそうな表情が印象的。
会話は無いが、わかりあえている夫婦。
何気ない日常のシーンにマリーの幸福感が溢れている。
浜辺でマリーの背中に優しくオイルを塗るジャン。
そして、海へ泳ぎに行き—————
うたた寝したマリーが目覚めても、ジャンは戻って来なかった…。

失踪した夫ジャン、もしかすると水死したかもしれないとどこかで諦め一見冷静に、
マリーはひとりパリへと戻り、有人に紹介されたヴァンサンを愛人としながらも、
夫の幻影と共に生活をする。
マリーを優しく抱き締めるジャンのまぼろし?には優しさが溢れている。
今でも彼の大きな愛情に包まれた彼女に、ジャンを忘れることなど出来るだろうか?
愛人ヴァンサンに言う。「あなたでは軽すぎる…」と。

夫の異変に気付けなかったマリー。
初めてそこで、冒頭のジャンの行動が思い起こされる。
自分もマリーと同じようにジャンの異変には気付いていなかったのだ。
誰も居ない夫の書斎。大きなジャケットのかかった夫の椅子。
母と子の絆、妻と夫の絆。つらい現実。そしてと再起。

傍にいるべき人物が突然いなくなった時の感じ。
嘘だと思いたくて、実際そこにまだ居る気がしてしまう。幻となって見えてしまう。
でも居ない。ポッカリと虚しい空間を埋めるようと、心は揺れ動く…。
細かいエピソード、心理描写に…ホロリ。

シャーロット・ランプリングの年齢を越えた美しさ!
若作りではなく本当に可愛く魅力的。
映画デビューはなんと「ナック」(1965年)ですよ〜!
ブリュノ・クレメールの年を重ねた大きな存在感が好き。
シャーロットとブリュノは「蘭の肉体」以来25年ぶりの共演だそう。
ゆえにか本物の夫婦のように呼吸もぴったり。

いや〜オゾン監督「8人の女たち」
ではそんなに…でしたが、
この「まぼろし」で、やられました。

特典映像もいきおいで鑑賞。
さすが!オゾン監督!!

■フランソワ・オゾン監督コメンタリー
■シャーロット・ランプリング&ブリュノ・クレメール インタビュー映像収録
■フランソワ・オゾン監督の未発表短編作品(各約12分)
 “Mes parents un jour d'ete”
・スパでの夫婦の日常を撮っている
 “Les Doigts dans le ventre”
・過食性の女の子のハナシ
・殺した家族写真を撮る男の子のハナシ

コメンタリーも短編作品もかなり見応えあり。

まぼろし<初回限定パッケージ仕様>
まぼろし<初回限定パッケージ仕様>
 
 
DVD BOX「海をみる」「クリミナル・ラヴァーズ」「ホームドラマ」「焼け石に水」
及び短編のオゾン監督の初期全9作品を収録。
フランソワ・オゾン DVD-BOX
フランソワ・オゾン


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September 10, 2004

「アレックス」

[DVD映画]★★☆☆☆

赤い色が印象的。不愉快になる映画。フランスの変態監督ギャスパー・ノエの作品。
成人映画(R-18)指定となった問題作「アレックス」
本当に不愉快になるので、基本的にはおススメ出来ません。
が、同監督の「カノン」「カルネ」より心に痛かった。

これは「メメント」と同じく時系列がシークェンスごとに逆になっていて、
恋人をレイプされた男の復讐劇を時間軸を逆にして描いている作品。

ゆえに非常に不快なシーンから始まるのである。
どうも犯罪者くさい男性が二人裸で怪しい一室に。
そして、これまた不愉快な内容の会話をしている。
カメラワークも不安定でぐるぐる回り、音響もグワングワンと…気分が悪くなる。
そのホテルでどうやらよろしくない事件が起こったらしい。
サイレンが聞こえる…。

次は血相を変えた男が二人。一方の恋人アレックスがレイプされたと、
犯人を血眼で探している。
そして、あの最初のシーンのあるクラブへ突入!。
そこで、怒りを爆発させてしまうもう片方の男!!。

と、どんどん時間が遡ってゆくわけである。
観るほうは『悲惨な結果』がわかっているだけに、
どんどん『幸せだった時間』へと戻ってゆくのがつらくなる。
最後の数分感では絵面(えづら)的に救われる気がするが、実は絶望するのだ。

出演は「マレーナ」のモニカ・ベルッチと実生活のパートナー、
ヴァンサン・カッセル、
冒頭に出てくる不快なおやじは「カルネ」のあの父親フィリップ・ナオン…。

ワシの観たDVDには本編ディスクに「メメント」のような
『時間軸に沿って再生できる機能』と『ギャスパー・ノエ監督の音声コメンタリー』がついていた。
この二つ、特にギャスパー・ノエ監督のコメンタリーが面白い!。
とんでもなく不愉快で悲惨なこの映画を、
緻密な計算のもと即興と特殊効果を交えて撮影し、
意外なところにかなりCGを駆使して、相当こだわって作っている事がわかる。
更に登場人物の感情の動きなどを淡々と、フランクに相当細かくコメントしており、
この監督の才能と繊細さには負けた。

モニカ・ベルッチの美しさ、こういう女の人の美しさは、
罪といえば罪ですなぁ…。

アレックス
アレックス
 

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August 31, 2004

「ぼくの好きな先生」Etre et avoir

[DVD映画]★★★★☆

こんな先生、こんな学校が存在するのだ!!
監督はニコラ・フィリベール。2002年フランスのドキュメンタリー作品。
「Etre et avoir ぼくの好きな先生」

雪と牛のシーンからこの映画は始まる。
フランスのある山間にある、村にたった一つだけある小学校。
ここでは幼稚園から小学生までの子供たちが1つの教室で学んでいる。
先生はロペス先生1人だけ。この道35年のベテラン先生。
この小学校でも20年も教えている。
温厚で辛抱強く、叱るときも淡々とささやくように話し納得させる。
子供の頃から先生になりたくて、教師となった今も毎日が楽しいという。
教える時もちゃんと子供達一人一人に意見を聞きながら、すすめる。
生徒たちはそんなロペス先生が大好きなのだ。

冬からから季節は移り行きそして春から夏へそして秋。
村の景色はどの季節も絵画のように美しい。
そして、牛の群れ。
子供達の自然な姿をカメラは追い続ける。
ここでは年長が年少の面倒をみて、子供達も家の仕事を手伝うのが当たり前。
牛の世話や農耕機の操作だってお手のもの。
ちょっとしたいたずらやケンカももちろんある。

季節がまた冬が訪れそして春、
ついにロペス先生が教師生活を終える時が訪れた…。

実在するこの学校を5ケ月かかってフィリベール監督は探したそうだ。
やっと見つけたこの学校や村、
先生、生徒、出来事を、そのまま記録していく…。
特典映像で監督曰く、エピソードのいくつかは先生に提案してみたものだと。
どれがそのエピソードはわからない程、自然にストーリーは進行してゆく。
子供達の活き活きとした表情が本当に魅力的で、どの子も可愛い!!。

常にマンモス校(10クラス以上、1クラス40人位)に通っていたので
全く経験が無いゆえ、ちょいと羨ましい。
こんな先生、こんな学校だったら、人生変わったかも…。
『人との関係』『人との共存』『人への思いやり』について
ふと考えさせられた。
あ〜自分はやっぱり教育者に向いていないなぁ…。

後日談として、このロペス先生、
授業にもコピーライトがあるとして訴訟していたのですが、敗訴だったよう。
色々あったんでしょうが…こういう問題は複雑ですね。
映画事体は、素晴らしかったのですから…。

Etre et avoir ぼくの好きな先生
Etre et avoir ぼくの好きな先生
 

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August 22, 2004

「美女と野獣」

[DVD映画]★★★★☆

これもジャン・コクトーの映画監督作品。原作はルプランス・ド・ ボーモン婦人。
ディズニーさんのアニメも良かったが、これは全く違った幻想的な美しさがある。
1946年フランスの作品で、戦後日本で公開されたフランス映画封切り第1作目!!
そんな時代の「美女と野獣」…。

船が沈んで破産した商家の美しい末娘ベルは父を思い、家のために働く。
意地悪な姉二人は未だに贅沢放題で働きもしない。
優しい兄もダメ男で借金を作るわ、使用人たちまでダメダメ…。
その兄の友の色男アヴナンに求婚されるが、父のそばにいてあげたいゆえに断るベル。
なんとか残った船の荷で乗り切ろうと港へむかった父親だったが
荷物は全て無くなっていた。失意のもと、家路を急ぐ父親は不思議な城へ迷い込む…。

誰もいないその城の中を進むと、
壁から生えた手が持つ燭台に、次々と明かりがつき、
その手は行くべき方向を指差してくれ、
テーブルから手が生えて、彼に給仕をしてくれる。
あちこちにいる胸像や銅像たちは眠りこんだ彼を見守る。
まるで生きているかのように…。
朝になり、獣の声で目覚めた父親は城の中でバラを見つける。
ベルにお土産に一輪のバラをたのまれていた父親は、思わず一輪折ってしまう。
そのバラは『野獣』が一番大切にしていたものだったのだ。
それを『醜い野獣の顔をした生き物』に見つかってしまい、
野獣は1輪のバラのかわりに娘を1人差し出すように迫る。
さもなければ、父親自身が命を失うと。

帰ってきた父のためにベルが城へ行くことに。
白馬マニフェックに乗って『野獣』の待つ城へ…
父が通ったあの回廊、壁から生えた手が持つ燭台、そして美しく揺れるカーテン…。
彼女の部屋へと導かれたベルに、彼女の家具達は話しかける。
どうやら彼女は歓迎されているらしい。

そして、醜い野獣は美しいベルに言う。
醜い姿をベルには見せない。毎日7時に夕食の時に表れて、質問をするだけだと。
「私の妻になってくれないか?」
最初は顔を見て気絶するくらい恐れていたベルだったが、
そのうち、親切な『野獣』に心が動き出す…

とにかく城の中の不思議で幻想的なシーンが美しい!!
特に、スローモーションの使い方が上手くて、これからどうなるのかドキドキ…。
手や像たちの表情はなるほど、まるで魔法をかけられた召し使い達のよう。
各所に出てくる『布』の使い方もステキ。

尚、主演のジャン・マレーが、「色男のアヴナン」「野獣」=「王子」の三役?
を演じてます。愛情ありすぎ…!!
最後の「王子」はぷっと笑ってしまえる程濃い顔の「王子」!
『野獣』の顔もどこかファニーでなんとなく笑えるユルさが好きですね〜。
ラストシーンのオチには、つっこみ入れたくなりますが
『おとぎばなし』として、この映画は楽しんだほうが良いかと。
「コクトー詩集」を読むとコクトーさんの自愛具合が理解出来ます…。

美女と野獣
美女と野獣
 

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August 21, 2004

「オルフェ」

[VIDEO映画]★★★★☆

詩人であり画家、そして監督でもある芸術家、ジャン・コクトーの「オルフェ」
1949年フランスのモノクロ作品。

また、オルフェかと思わないで下さい。
先日の「黒いオルフェ」と同じ『オルフェウス』神話を題材にしたものですが、
全く違った解釈。(ワシ的には不思議な昼メロとでもしておこう)
これは時代も古いし、コクトーさんだし、ちょいとユルくてワシは大好き!
映画の冒頭でコメントがあるようにこれは「伝説は時代と関係ない」題材なのである。

最近はちょっとダメ気味の詩人で有名人の伊達男、オルフェ(ジャン・マーレー)は
『詩人のカフェ』で黒づくめの美しい女(マリア・カザレス)と出会う。
店内でのちょっとした乱闘がはじまり、
彼女の連れで詩人セジュスト(エデュアール・デルミット)は
店の前で不審なオートバイにひかれて死ぬ。
そして彼女は死んだセジェストとオルフェを黒い車にのせ、
セジェストをひいたオートバイと共に
郊外の道をひたすら走らせるのだ…。

車の中でラジオが流れ続ける。
断片的な、詩のような…。
「沈黙は後退する…くり返す…沈黙は後退する…。
 コップ1杯の水が世界を明るくする…
 くり返す…コップ1杯の水が世界を明るくする…」
オルフェはそれが気になって仕方がない。

町はずれの家に着いたところで、彼女は『死神』だとオルフェに言う。
そして、死んだセジュストを下僕としてあやつり、鏡の中に姿を消してしまう。
どうやら『死神』は鏡を通してあの世とこの世の中間を行き来しているらしい。
この光景を目にしたオルフェは『死神』に心を奪われてしまうのだ。

オルフェの家では妊婦の妻ユリディス(マリー・デア)が、
気が狂わんばかりに待っていた。
女と一緒に消息不明だったので、警察や友人と共にずっと捜索していたのだ。
そこへ、オルフェが『死神』の運転手=ウルトビーズ(フランソワ・ペリエ)と共に
あの、黒い車でひょっこりと帰って来る。
しかし、彼の心は『死神』とあの意味不明なラジオの放送に釘付け。
それは、ユリディスが死に直面していても同じだったのだ…。

さすがにユリディスの死体を見てショック受け、
「妻に会いたい」とつぶやくオルフェ。
そんな彼にウルトビーズが尋ねる。
「会いたいのは『死神』?それとも奥さん??」
オルフェは答える
「両方だ」(←ええっ???)
ともかく、『死神』の運転手とオルフェは
ユリディスを取りかえしに行きつつ、『死神』に会いにも行く事になる…。

冥界との出入り口は鏡。
『死神』の手下は黒いオートバイに乗った冥界の警察??
『死神』は詩人好きのオルフェに恋をしてしまった美女。
という設定。
オルフェもどうやら『死神』に恋。でも妻も大切(←おいおい…)
この映画でのユリディスの立場の無さといったら…。(←セジュストの立場も…)
『死神』はオルフェを独り占めしたいがゆえにユリディスを死に追いやったのか?
そしてウルトビーズは不幸な人妻ユリディスに恋…。(←涙)
なんか昼メロみたい…でも忠実なウルトビーズには大変好感持てます。
そして、冥界の審判で、
『ユリディスは生き返るが、オルフェは決してその姿を見てはいけない事が条件』
と言われる。おっ!やっと「オルフェウス」神話っぽくなったと思いきや!!
なんと、冥界から帰った後も『一緒に生活しながら、見てはいけない』という判決。
なんじゃそりゃあ…!!

更に、ラストのいきなりの意外な展開はあっけにとられることうけあい…。

この映画の見所はモノクロ時代の特殊効果。
鏡に入ってゆくシーン、冥界での不思議な動き、フィルムの逆回転など、
知恵をこらして工夫して作ったのがわかるのだが、さすがジャン・コクトー!
ビミョーなタイミングでセンスよく仕上げてます。
あと、ジャン・マーレーの濃すぎる顔と存在感。
彼への愛情たっぷりです♪
ところで、俳優の渡辺裕之さんってジャン・マーレー似だと思うんですが、
ワタシだけ???

オルフェ
オルフェ
 

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