5 posts categorized "監督:カサベテス・ファミリー"

February 13, 2006

「きみに読む物語」

[DVD映画]★★★☆☆

カサベテス母子の描き出す運命的な愛の形。
最後の最後にグッときた!
こんな風に逝けたらどんなに幸せだったろう…
奇跡を起こし続け、初恋を貫き通したありふれた男の物語!
こんなにも超正統派の純愛ラブストーリーを久しぶりに観た!!

監督は故ジョン・カサヴェテスとこの作品にも出演している
女優ジーナ・ローランズの息子ニック・カサヴェテス
原作は若手作家の ニコラス・スパークス
アルツハイマーという重いテーマを扱いながら、
赤い糸で結ばれた“運命的な永遠の愛”を
美しい映像と共に、より劇的に描き出している。
2005年公開のアメリカ作品「きみに読む物語」。
 
 
療養生活を送る老婦人アリー(ジーナ・ローランズ)の所へ
毎日のようにやってくる老人男性デューク(ジェームズ・ガーナー)。
彼はいつも同じ、ある物語を彼女に読み聞かせるのだ。
彼女に起こる奇跡を信じて…。

1940年6月6日。アメリカ南部の小さな町。
休暇で都会からやって来た17歳の金髪ではつらつとした令嬢
アリー・ハミルトン(レイチェル・マクアダムス)に、
地元の材木置場で働く、自信家だがごく田舎の普通の青年
ノア・カルフーン(ライアン・ゴズリング)は一目惚れ!
観覧車にぶら下がってデートの約束をとりつけたり、
道路に二人寝転んで運試しをしてみたり、
かなり強引なアタックを重ねて遂に二人は恋におちる…。
身分は違うが、いつでも一緒、離れられない二人。
1772年に建てられたウインザー農園をいつか買い取り改築し、
共に暮らそうと結ばれた二人だったが、
アリーの両親に交際を反対され、
彼女は夏の終りを待たずしてニューヨークの学校へ連れて行かれてしまう。
1年間365日毎日アリーに手紙を書いたノアだったが、
彼女からの連絡が一度も無いまま第2次世界大戦が始まるのだった。

この自分自身の物語を興味深く聞く老女アリー。
そして先を知りたいとノアにせがむのだ。
果たしてアリーの記憶は戻るのだろうか???
 

以下ネタバレ有り。この作品を楽しむため、
これから観る方はこの先を読まない事をお勧めします

 
* * * * * * * * * * * * * * * *
 
最初と最後、しばしば現れる水辺で戯れる“渡り鳥”白鳥の群れと、
若い二人、白髪の二人の姿。
ちょっと美し過ぎるが、後になる程グッとくる。

老人になった現在の二人と若い頃の二人のエピソードが
交互に語られて少しずつ彼らの過去が明らかになってゆく。
観ているこちらがこっ恥ずかしくなる位に愛しあう恋人達…そして別れ。
離れている間のあまりにも違う彼らの生活…
アリーは戦時中ボランティアで看護をしていた時に知り合った、
富豪の息子ロン(ジェームズ・マースデン)とごく自然にまた新たな恋をする。
ロンのスマートな言葉は最初から最後までなかなか“男前”だ。
一方ノアは戦場から戻り、本格的に失恋した事を知る。
だがアリーの事が忘れられないノアは
彼女との約束のあの農園を買い取り、古い屋敷を狂ったように改築した。
そして寂しさをまぎらわせるマーサ・ショー未亡人とのつきあい。
こんな横恋慕なんかがそれぞれあったが、
結局運命的に再び巡りあう彼らはお互いに
どうしても忘れらず惹かれあう一度しかない“初恋”の相手なのだった。

アルツハイマーで記憶障害を持ち、日々の出来事や家族すらも忘れてしまう
入院中の妻へ、心臓病を患っている夫が彼ら自身の物語を読み続ける。
つかの間でも彼女の記憶が戻る事を願い毎日読み聞かせる…。
子供達に『お母さんが私の家だ』と語るノア。
書き記された『これを読んでくれたらあなたの元へ』というアリーの言葉。
彼女の最期の言葉は『私達一緒に死ねるかしら?』だなんて…。
 
アリーの記憶が一瞬だけ戻った時のノアの喜びよう!
そして彼女が不安になるやいなや、それが去ってしまった時のノアの落胆ぶり。
二人と家族のアルバムをめくるノアの顔…。
ノアにこんなにも愛されたアリー、
アリーもそんなノアをこぼれてゆく記憶の奥で常に愛し続けていたのだ。
それを忘れないよう書き記した物語。
アリーはどんなに不安だった事か!しかもそれすらも忘れてしまう病。
だが、最期にまた奇跡は訪れた!!!

ただありふれた普通の男ノアの、唯一誰にも負けない誇れる事。
『全身全霊をかたむけて愛する女性がいる。
 それは彼女が若くても年老いて病気になっても変わる事は無い…。』
初恋の相手と結ばれ老いるまで共に過ごす事が出来る…
つらい病があったにせよ、何て幸せな夫婦なのであろうか!
出来そうでなかなか出来ない愛の形だ。

前半のゆったりとした夢のような古き良き時代のエピソードや、
ここぞという時に訪れるちょっとした愛の奇跡など、
小説を上回る悪意の渦巻くこの時代に、もの足りなさを感じるかもしれないが、
この作品には病の過酷さ、リアリティを追求してはいけない。
あくまでも“あるありふれた夫婦”の一途な永遠の愛、
運命的な恋愛を描いたこの物語のページをめくりながら、
彼らに起きる奇跡を期待するようになる。
人々に一筋の希望を与える作品なのだと思った。
 
 
きみに読む物語 スタンダード・エディション
ライアン・ゴズリング ニコラス・スパークス ニック・カサヴェテス
B0009X59K4

きみに読む物語 プレミアム・エディション
ライアン・ゴズリング ニコラス・スパークス ニック・カサヴェテス
B0007D3NJ0

原作本
きみに読む物語
ニコラス スパークス Nicholas Sparks 雨沢 泰
4902088584

続編小説
きみに読む物語 ‐もうひとつの愛の奇跡‐
ニコラス・スパークス 雨沢 泰
4902088843


「きみに読む物語」オフィシャル・サイト

 
75歳を越えて増々円熟した演技が素晴しいジーナローランズの出演作品
■映画「フェイシズ」レビュー
■映画「こわれゆく女」レビュー
■映画「グロリア」レビュー
■映画「スケルトン・キー」レビュー

■監督:カサベテスファミリー・カテゴリー

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November 05, 2004

「チャイニーズ・ブッキーを殺した男」

[DVD映画]★★★☆☆

コズモ役のベン・ギャザラがシブイ。
1978年のジョン・カサベテス監督の「チャイニーズ・ブッキーを殺した男」
ストリップ・クラブに夢を懸けた男の姿をリアルに描いた作品。

ロサンゼルスの裏通りにあるストリップ・クラブのオーナー、
コズモ(ベン・ギャザラ)は踊り子達も演技に口うるさい。
彼は、このストリップ・クラブを最高のものにしたいのだ。
ところが、ポーカーで大負けしたコズモはマフィアに借金を作ってしまう。
そして、借金を帳消しにする代わりに、
暗黒街のボス"チャイニーズ・ブッキー"を殺せと持ちかけられたのだ。
選択の余地が無いコズモはこの計画に参加するのだ。

コズモの追い詰められあせる感じ、緊迫感が生っぽく伝わる。
やはりカサベテスはこの辺りがたいへん上手い。
ストリップ・クラブで働く人々を細かく描いており、
(これがちょっとたるいのだが)
裏社会をリアルに表現している。

とはいえ、カサベテスの作品の中では、
非日常的な感じがするからか、
ちょっと客観的に観てしまう作品である。

チャイニーズ・ブッキーを殺した男 【TBD-1059】 =>20%OFF!《発売日:02/05/24》
チャイニーズ・ブッキーを殺した男

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November 03, 2004

「フェイシズ」

[DVD映画]★★★★★

顔、顔、顔。
魅力的な『表情』の氾濫するモノクロームの世界。

ジョン・カサベテスが、自宅を舞台にして撮り、編集も自宅ガレージで行った、
まさに、アンチ・ハリウッドのインディペンデント作品「フェイシズ」。1968年制作。
俳優業の収入を使い、ボランティアで参加したスタッフと制作したのだが、
オスカーで3部門にノミネートされ、ヴェネチア国際映画祭では
リチャード役のジョン・マーレイが男優賞を受賞。
登場人物たちの『表情』をカメラが追い、
36時間で崩壊していく夫婦を描いたヒューマン・ドラマである。

オープニングがかなりシニカル。
この『フェイシズ』の映画上映会のシーンから始まる。

ある日のリチャード(ジョン・マーレイ)はバー『負け犬』で、
高級娼婦ジェニー(ジーナ・ローランズ)と出会い、大いに盛り上がる。
そして、帰宅して何気ない夫婦の会話の後、
リチャードは突然妻のマリア(リン・カーリン)に「離婚しよう」と告げ、
そのまま家を出て行ってしまうのだ。
呆然とした妻のマリアはディスコで知り合った青年、
チェット(シーモア・カッセル)と一夜を過ごしてしまうのだが…

酔っぱらい騒ぐ笑顔。
言葉遊びで大笑いする底抜けの笑顔。
機嫌をそこねて怒る男の顔。
恋した人との幸せな顔。
妻の作り笑顔。夫の作り笑顔。
妻の困った顔。夫のふっきれた無表情な顔。
どうして良いか解らぬ妻の顔。
自暴自棄の顔。
己を知る泣き顔。
若く興味本意の顔。
思いつめた顔。

次々と起こる出来事によってこれらの顔が生まれる。
時に激しく、時に静かに、そのメリハリたるや!!!
125分と長い作品なのだが、ドキュメントタッチな登場人物の世界に
どんどん引き込まれる。
ちょっと若いジーナ・ローランズがキュートに美しく魅力的。
ジョン・マーレイのしおれた?色気と言葉遊びも楽しい。
お金をかけなくてもこんな素晴らしい作品が生まれる、
カサベテスの才能と人徳を見せつけられた気がした傑作!

フェイシズ 【TBD-1057】 =>20%OFF!《発売日:02/05/24》
フェイシズ

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September 07, 2004

「こわれゆく女」 

[DVD映画]★★★★★

以前映画館で観て、もう感涙!
こちらも1975年アメリカの監督ジョン・カサベテスの傑作!!
その感動の記憶から、もう一度見てみようと近所のレンタル屋さんで探してみたが…。
『無い???』
「数年前まで取り扱っていたんですが〜」との事。
『なんて事だ!』
こんな名作をキらないでもらいたい…。
しょうがないので、DVD購入。ま、何回も観ると思えば、リーズナブル。

感情表現が異常に豊かで情緒不安定な妻・メイベル(ジーナ・ローランズ)を、
深い愛情で家庭をささえる土木作業の現場監督・ニック(ピーター・フォーク)。
メイベルの感情表現がエスカレートするのだが、
友人に忠告されるたびに「妻は狂っていない」と答えるニック…。

メイベルは狂っていないと思う。「狂っている」と思わせたのは周りの人々。
子供達は一番それを良く解っている。夫はそう信じながらも、不安になりついに施設へ…。
こんなにも夫に愛され、こんなにも子供に愛されたメイベル。そしてメイベルが戻ってきた!!。
やはり、涙が…。子供達に…ううっ!!
「心の病気」は周囲の影響が大だなぁ。

それにしてもジーナ・ローランズが素晴らしい!ど迫力!!
ピーター・フォークも素晴らしい演技なんだけれど、
ついつい『刑事コロンボ』が思い浮かぶ……。
例の居もしない「うちのかみさんがね〜」なんて。

こわれゆく女 【TBD-1058】 =>20%OFF!《発売日:02/05/24》
こわれゆく女

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September 06, 2004

「グロリア」

[DVD映画]★★★★★

ジーナ・ローランズが最高にかっこいい!
1980年のジョン・カサベテスのあまりにも有名な作品「グロリア」

1998年にもシャロン・ストーン主演で完全リメイクされ、
(シャロンさんも頑張ってましたが、ジーナさんの強烈さには完敗かと)
「レオン」もこの作品から生まれた…。
ワシの最も大好きな作品の一つ。

ギャングに襲撃されようとしている一家。
そこへたまたま母親の友人だったグロリアが立ち寄り
その家族の6歳の息子フィルを連れ出し助ける事になる…。
元ボスが愛人だったギャングからもフィルの誘拐犯として警察からも追われる二人。
子供とは縁の無かったグロリアに徐々に愛情が生まれ、
フィルのためにギャングと対決する事に…。

ギスギスしていたグロリアとフィルの関係が、
どんどん変わっていくのが好き。
何気ないフィルの一言や態度に対するグロリアの表情が、
やわらかくなってゆく…。
ただし、ギャングと対する時は別だ。
『先手必勝』で拳銃をぶっ放す。
度々、風呂に入るのはそんな彼女ゆえか…。
なぜか東洋チックな部屋の内装と着物ガウンが印象的。

フィルの大人びた顔と小さな体のアンバランスさも
この映画の魅力的な要素。
口では生意気言っていても、まだまだ子供。
ラストシーンの目を擦ってかけてゆくシーンは、
何度観てもいいものです。

グロリア
グロリア
 
■監督:カサベテス・ファミリー カテゴリー

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