4 posts categorized "監督:小林政広"

September 10, 2006

「バッシング」

[劇場映画]★★★★☆

小林政広監督の真骨頂?エンターテイメント性はゼロ!
極力ドキュメントタッチで描かれた、
重いテーマだがなかなか見応えのある作品。


やっと観ることができた!
公開まで長い道のりだったバッシングだ。
小林政広監督が2005年のカンヌでコンペティションに出品、
レッドカーペット歩いたのだが、結果賞は取れなかったが
報道され話題になった問題作。
その後、日本ではなかなか公開が決まらず、
昨年の夏の第6回東京フィルメックスでグランプリを受賞し、
本年2006年6月やっと渋谷のイメージフォーラムでの劇場公開が開始され
その後各地で細々と公開されている。

非武装地帯へボランティア活動に行っていた有子(占部房子)は
誘拐され人質にされたのだが、日本政府のおかげで無事帰国。
だが、彼女ととその両親が、自己責任について有子を批判
周囲の人々から“バッシング”を受けるその経緯を
ドキュメントタッチで描いたちょっと重い作品。
もちろん小林作品、予算は、無い。
いつもの北海道ロケで、いつもの淡々とした撮り方だ。
だが、この作品のインパクトは…いつもと異なった。

小林フリークとして、これが話題になり評価されたというのは納得。
これまでの作品は感情移入出来ないというかさせないというか…
そういうシュールな世界を妙にリアルに描いていたのだが、
今回はネタがタイムリーでリアル(フィクションだが)。
主人公の有子やその父(田中隆三)、義母(大塚寧々)、
有子を解雇したホテルの社長(香川照之)など、
彼らを敬遠、中傷する人々は決して我々から遠くない存在だ。
いつ自分がその中の誰かになるかもしれない…そんな脅威、
観るものをいやがおうでもこの問題の中にひきずり混む勢いがあるのだ。

「この国じゃ、皆が怖い顔をしている。」
「皆が喜んでくれる、あの顔が見たい」

失敗だらけで居心地の悪い日本での生活から逃げ、
海外の非武装地帯でのボランティア活動に生き甲斐を感じ、
そこにしか自分の存在価値を見いだせない有子の行動は
余りにも安直で、必ずしも正しいとは言えない。
自分の人生を投げ打って苦しんでいる人々に手を差し伸べるのは
なかなか出来ない殊勝な行動だ。
しかも、行っているのは“人助け”なのだ。
彼女の人生だから、彼女が生きたいように生きれば良い。
ただ…彼女の動機は家族を追い込んでまでの大義なのだろうか?
自分の行ったことで周囲にどんな影響を与えるのか、
国の警告をふりきって、紛争地帯に行くという事は、
もはや一個人としてだけでなく、
誰もが母国を背負っているという事を自覚をしていない。
そんな彼女には理想論や大義名分では済まされない
個人的にも悲惨な結果が待っていたのだが…

だが、ここに描かれているのは
そんな彼女とその家族の受けた、
匿名での“バッシング”
権力をかざしての“バッシング”
直接手を下す“バッシング”
社会からの“バッシング”
人が人を追いつめる醜い行為だ。

決して全面的に褒める事は出来ない有子の行動だが、
凶悪犯罪を犯したわけではない。
どちらかといえば現地で凶悪犯罪にあった被害者である。
命を落としたらヒーローであった。
国の…国民の援助で帰ってきたらまるで犯罪者扱い。
この皮肉な結果で何を学ぶべきだろうか。

あらゆる登場人物の立場にたってみると
現代社会のあらゆる混沌とした矛盾が浮き彫りになり、
有子の痛々しさが際立ちまくる。
こんなに深く考えさせられた小林作品は初めてで
とても新鮮だった。
 
 
元ミュージシャンの小林監督の歌う「バッシング」エンディング曲
寒かったころ
小林政広
B000FDF124

「バッシング」オフィシャルサイト

 
小林政広監督の初期3作品のDVDが2006/7/29発売された

クロージング・タイム ◆20%OFF! クロージング・タイム

海賊版=BOOTLEG FILM ◆20%OFF! 海賊版=BOOTLEG FILM

歩く、人 ◆20%OFF! 歩く、人

映画監督小林政広の日記 映画監督小林政広の日記
小林政広監督のブログ本。

神楽坂映画通り 神楽坂映画通り
小林監督の自伝本。

→「歩く、人」レビュー
→「KOROSHI 殺し」レビュー
→「フリック 完全版」レビュー

■小林政広監督の映画レビュー

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June 19, 2005

「KOROSHI 殺し」

[DVD映画]★★★★☆

風車の回る風の強い北国。
白くだだっ広い銀世界に、黒い人陰とポイントの赤。
雪景色の中に響く銃声。
暗転。
逃げる男。
2000年カンヌ映画祭監督週間で正式上映された
この「KOROSHI 殺し」は、極めてシンプルな、小林政広ワールドだ。

『とある不器用で平凡な男に、ある日突然起こる、非日常的な事件』
『モノクロームな北国の風景の中で淡々と繰り広げられる犯罪』

これぞ小林政広監督お得意の世界。
いくつもの作品に、ロケ地である北海道の殺風景な世界が広がり、
そこにポツンと自動車だったり、人物だったりが佇むシーンがやたら多い。
厳しい大自然の中で、人間なんてそれほど小さな存在なのかもしれない。
描かれる“事件”のなんと小さな事か…。
最初、前作「海賊版=BOOTLEG FILM」に、ちょっと似ているかな…とも思ったが、
もっと単純明解に洗練され、リアルな感じがした。
人の気配の無い…とはいえ、民家が並ぶ中での銃声。
フランスの脱獄映画ジャック・ベッケルの「」を彷佛させるような、
大きな音を伴う犯罪行為。
強引なシチュエーションに、思わずドキっとしてしまう。


除雪車が走る、雪深いある北国の町での物語。
3ヶ月程前、会社をリストラされたのだが、
妻和子(大塚寧々)に言い出せない男、浜崎(石橋凌)。
彼には海外留学をしている娘までいるのだが、
毎日会社に行くといってはパチンコへ…。
給料は退職金を給料に見せかけて秘密の口座から振り込んでいた。
そのお金も底をついたある日、
閉店したパチンコ店の駐車場で時間を潰す彼の自動車に
突然走って乗り込んできた一人の男、市原(緒形拳)。
浜崎の境遇を何故か知っているその男は、
何と“殺し屋”のスカウトマンだった。

報酬は一人500万! 支給される拳銃を使っての暗殺。
お金に困った浜崎は気が進まないが、断る事も出来ず、
ズルズルと男に指示されたままに、最初の“仕事”をクリアした。
ところが、不安と動揺と同時に、
久々のこの“労働”に妙に興奮してしまったのだ。
車の中で“仕事”の資料と拳銃を受け取る。
“仕事”を行い、雪の中を逃げる。
そしてその興奮の醒めぬまま妻を抱く。
このくり返し。
映画の“殺し屋”気分で“仕事”が楽しく、次々とこなす。

ところが、ある日の依頼が彼の運命を大きく変える事になった。
次のターゲットであり、依頼者は彼の知人!
同じくリストラされた元上司、上條(深水三章)だった。
これはお金に困った上條の自分のかけた保険金を狙った、
本人からの“殺害依頼”であったのだ…。

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近年日々大量に行われているリストラ。
家族を抱え、仕事第一に生きてきたサラリーマンの中年男には極めて厳しい。
まず、無事職に就ける事が大変で、再就職で以前の収入を超える事は難しく、
失業保険も、もらい続けるわけにはゆかぬ。
でも、家族を養わねばならない。ローンの返済もある。
家族にとっては生活レベルを急に下げる事は困難だし、
リストラにあった父親には威厳があるはずも無い。
実際会社という組織は、仕事が出来ない云々よりも、
とにかく人件費を減らしたい一心で、
愛社精神のある人、断れない人物、いわゆる“いい人”ほど、
リストラのターゲットになったりするものなのだが…
懸命に働いた挙げ句のリストラ、家族はその現状を知らず冷たいなものだ。
海外留学している娘は仕送りの追加をシレッと要求してくる始末。
自分と子供の生活が第一で、夫にはクールな妻達。

こんな境遇のごく普通の中年男、平均的な日本人気質の浜崎は、
仕事のある充実感と、スリルのある殺しの快感にハマってしまった。
最初はとまどっていたが、仲介人の市原に
「次の“仕事”は無いですかね?」とねだるまでに。
だが、ある日の依頼は、同じ境遇だった元上司がターゲット。
となると、自分と重ねあわせざるを得ない。
しかも相手は“家族のために”自分の命を犠牲にしようとしているのに、
自分は“家族のために”彼を殺そうとしている…。
事前にそれとなく、上條の家族の様子を聞いてみたが、妻和子の冷たい言葉。
「上條さんの家族はリストラされてから大変だそう。
 もし、あなたがリストラされたら、
 首をくくる覚悟くらいしておいてちょうだい。」
人事でなく、悩める浜崎だった。
そして、元上司への“仕事”の実行の日。
タクシーの運転手である上條の車に乗り込むが、何だか全てがバレバレ。
だが、おかしなもので開き直った人間に「いつでも殺せ」と言われるより、
「殺さないで」と命を請う人間へ銃を向ける事が出来たのだ。
“仕事”だから………でも………こんな思いは、もう沢山。
やっと人間の心をとり戻した浜崎は、ある決意をした。
しかし、こんな人道に反した行いをした男には、もちろん天罰が下る。
人との出会いは一期一会。
それは肉親だろうと、他人だろうと同じなのだ。
冒頭とエンディングで語られる、
『たぶん人生というのは1台の乗り合いバスで、
 長い旅を続けてゆく事なんだろう 』

互いの人生と触れあい、分かち合いながら、それでも進む。


飄々と“仕事”の依頼をする謎の優秀な?スカウトマン、市原が
言葉数が極端に少なく、淡々と無気味に軽妙。
だが、人間臭い一面があるがゆえユーモアさえ感じられる。
そもそも自分が“悪魔のささやき”でそそのかしたくせに、
まっとうな意見を言って本意を確認してみたり、せなんだり…。
このある意味“悪魔”である市原、緒形拳の演技が上手過ぎ、嵌まり過ぎ。
意味有りげな言葉をポツリ、ポツリと、理論整然と彼にささやかれたら…
誰でもつい“仕事”を請けてしまいそうだ。
しかも、謎の言葉「母親に似てきた」とは、まさか???
石橋凌は、かっこ良過ぎるが、平凡なサラリーマンだった悩める男を好演。
小林作品常連である大塚寧々のごく普通の妻の冷淡さが怖い。
冗談めかした「 愛してないわ。」という言葉。

お父さん達! 家族に仕事する姿を見せておこう!
忙しくても家族の求めるサービスをしておこう!!
いつ何時、何が起こるかわからない昨今、
家族のため、自分のために…。

本編は短く86分だが、特典映像は54分とたっぷり。DVD用撮り下ろし満載!
[特典映像]
1.石橋凌と小林政広監督との対談映像(28分)
2.大塚寧々インタビュー映像(12分)
3.緒形拳インタビュー映像(13分)
4.オリジナル予告編(1分)
 

殺し デラックス版
石橋凌 大塚寧々 緒形拳 小林政広
B00006S25F

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[小林政広監督・フィルモグラフィー]

「CLOSING TIME」(1996)
「海賊版=BOOTLEG FILM」(1998)
「KOROSHI」(2000) 
「歩く、人」(2001) 
「女理髪師の恋」(2003) 
「フリック」(2004 ) 
「バッシング」(2005)

「フリック」オフィシャルサイト
モンキータウン・プロダクション
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■ 映画「歩く、人」レビュー
■ 映画「フリック」レビュー
 

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June 12, 2005

「フリック 完全版」

[DVD映画]★★★☆☆

また悩める作品を観てしまった…!!!
小林政広監督…どうしてくれます?

今年のカンヌ映画際でちょっと話題になった、
日本人監督としては初の3年連続カンヌ国際映画祭出品を成し遂げ、
今回新作の「バッシング」をコンペティション部門へ出品、
赤絨毯を歩いたが惜しくも受賞を逃した、あの小林政広監督の前作品だ。
今年のあたまに地味に公開していた不思議なサスペンス「フリック」。
案の定、やはり観そびれてしまっていた。
早くもDVDになっていたので、レンタルしようと探したが…やはり無い。
貧乏を売りにしている、監督の製作に貢献すべく?DVDを購入。
昨年「歩く、人」で、少し紹介したこの監督の奇妙な世界に、
またもや翻弄される事になってしまった。
香川照之の奥深い演技、大塚寧々の多彩ぶり、
そして、この春急逝した小林監督の音楽の師匠、高田渡のインパクトある怪演と
エンディングで弾き語る『ブラザー軒』が素晴しい!

最愛の妻(葉月螢)を殺害され、酒におぼれて自宅ひきこもっていた刑事、
村田(香川照之)をある日、同僚の滑川(田辺誠一)が訪れた。
円山町のラブ・ホテルでバラバラにされ殺された女子大生、
楠田美知子(安藤希)の身元確認のため、
彼女の兄(村上連)を東京に連れてくるという任務を説得され、
共に苫小牧に向かう事になった。
被害者美知子の自宅に着いた村田は、足の不自由な兄の様子が気になり、
越権行為知りつつも刑事の血が騒ぐ。
滑川の警察学校時代の先輩であり地元の市警である佐伯(田中隆三)と
及川(松田賢二)による歓迎会。
翌朝、湖のほとりで発見された被害者の兄の死体を自殺と決め込む地元市警。
彼等に不信感を覚えた村田は単独で捜査を開始した。

被害者美知子がよく来ていたというバー。
そこの雇われ店長の美しく謎めいた女性、伸子(大塚寧々)。
謎のヤクザ(本多菊次朗)に襲われる。
下宿の大将(高田渡)との妙な会話。
美知子の友人でアルバイトとしてバーで働く愛(安藤希・ニ役)の衝撃的な証言。
事件が解明出来るかと思えば、一瞬にして覆されるこの町の人間の言葉。
村田は夢と妄想と現実が交錯し、誰も信じられなくなってゆく。
そんな中で妻の事件の記憶すら曖昧に思えてくるのだった。
だが、刑事の本能が村田をつき動かす。
犯人は誰だ?真実とは??

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冒頭の衝撃的なチェーンソーの音!
逃げまどう女の子の悲鳴!!
そこから、極めてゆる〜く、長〜い第I章が始まる。
バラバラにされた何千ピースものパズルを、
少〜しづつ、ゆっくりと記憶と勘と忍耐力を頼りに
真実に向かって1ピースずつ組み合わせてゆく感じ。
人物を小さく映すひきの画面、無言の会話の無い長回し、
のんびり淡々と、しかも謎が増えてゆく…これで約1.5時間!!!
だが、無口で無表情でぶっきらぼうな村田の
「生まれてから一度も映画を観た事がない」
「生まれてから一度もパンを食べた事がない」
「生まれてから一度も刑事になろうとしか考えた事が無い」
この言葉がとても印象的だった。

第II章、から少しずつテンポが加速し急展開!!!
やはり全てのささいな出来事や言葉にすら緻密に謎が隠されていたのだ。
妄想シーンの前後から浮かびあがる、あまりにも悲しい真実。
そしてまたそれとは違った新たな真実が次々と目の前で展開され、
妄想と現実、どれが本当の真実なのか解らなくなって来る。
リピートされる妻を殺された現場のシーン。
開いた窓から流れる風で鳴る風鈴。
村田の涙を指で拭いてあげる滑川の真意とは…。

そして、エピローグ。
やはり、どど〜んとどんでん返し。
さっきのは何?あの電話は??あの男はあれは誰だ???
やはり、これが真実だったのか????
生きているのか死んでいるのか…
ただ、村田は悲しるぎる現実の後に、
幸福を見つけた…これだけは真実に違い無い。

とはいえ、すっきりとまだ謎を解明出来ずにいる自分に苛立ちながら、
この長い道のりをまた(ちょっと早送りしつつ)観返す事になるんだろうな…。
これぞ緻密なサスペンス映画の醍醐味。

フリック 完全版
香川照之 小林政広 田辺誠一 大塚寧々
B0007MCJFA

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[小林政広監督・フィルモグラフィー]

「CLOSING TIME」(1996)
「海賊版=BOOTLEG FILM」(1998)
「KOROSHI」(2000) 
「歩く、人」(2001) 
「女理髪師の恋」(2003) 
「フリック」(2004 ) 
「バッシング」(2005)

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■ 映画「歩く、人」レビュー
■ 映画「KOROSHI 殺し」レビュー
 

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November 14, 2004

「歩く、人」

[VIDEO映画]★★★☆☆

あっ!と思いレンタルで借りてきた。
ずいぶん前に三百人劇場で上映されていたのを、観そびれてしまっていた作品。
2001年制作の緒形拳主演のヒューマン・ドラマ「歩く、人」。

監督は「CLOSING TIME」「海賊版=BOOTLEG FILM」「殺し」小林政広
「海賊版=BOOTLEG FILM」が、とにかく強烈で印象的だった。
さて、今回はタイトルの「歩く、人」というだけあり、
とにかく主役の緒形拳が、とにかく『表情豊かにひたすら雪道を歩いている…』
そんな映画だった。

北海道、増毛(ましけ)で酒屋を営む本間信雄(緒形拳)は、
2年前に恋女房を亡くし、 家業を継いだ次男安夫(林泰文)と二人暮し。
折が合わない長男良一(香川照之)は家を出て恋人(大塚寧々)と同棲しバンド活動。
そんな信雄の密かな日課であり楽しみは、毎日片道8キロの鮭の孵化場まで歩き、
ほのかに恋心を寄せる職員の美知子(石井佐代子)と語り
鮭の稚魚たちを眺め彼女を背負ってあげること。
2日後の亡き恋女房の三回忌を機会に、
信雄は息子達、特に良一と向き合おうと家族3人を呼びよせる。
頑固おやじと性格の違う兄弟、そしてそれぞれの恋人達。
彼等の行方は…。

緒形拳の演技に風格を感じた。
他の俳優陣とは異質なまでの表現力。
ちょっとしたトコロにも繊細な芝居が施されており、
これが淡々とした映画に深いインパクトを与えているのだ。
なぜなら、
『表情豊かにひたすら雪道を歩いている…』
そんな映画だからだ。

恋する人に逢いに行くためにルンルン気分で長い道のりを『歩く』
うちひしがれて、トボトボと『歩く』
法事から家に向かうため、これはスタスタとただ『歩く』
ちょっとなげやりにズンズンと『歩く』
そして…コケる。

これまで『とある男に起こる非日常的な事件』
斬新な切り口で撮ってきた彼の作品とはちょっと違い、
自伝をベースにした『家族愛』『家族の絆』
真正面からゆるやかに描いた作品であった。
ただし相変わらず、極めて昔堅気な『不器用な男』が主人公である。
この、自分の息子にすら素直に話す事も出来ない初老の男が、
新たな恋にウキウキして、そしてその彼女に
「三回忌までは亡き妻への操を守る」なんて言っている姿!
可愛らしいではないですか。
そして、バックに流れるサン・サーンス「動物たちの謝肉祭」をベースにした音楽、
これがコミカルで、シ−ンによってニヤリ。
シークェンスごとの一言の筆文字は、緒形拳さんが考え書いたものだそう。
優しく味のある文字で、ちょっとこれにもニヤリ。

この監督の映画、雪国(というかこの増毛)でのロケばかりでどの話も銀世界…。
おそろしく低予算で作った映画ばかりだそうだが、
監督と脚本に魅せられて?常に豪華な俳優陣が出演している。
この作品の後「完全なる飼育 女理髪師の恋」が、
そしていよいよ「フリック」が来年公開。
ますます気になる、妙な魅力のある監督だ。

小林政広監督の作品詳細はこちら
モンキータウンプロダクション

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