10 posts categorized "監督:フランソワ・オゾン"

September 15, 2006

「ぼくを葬る」

[劇場映画]★★★★☆

前作でオゾンさんどこへゆくの?と思ったが、今度はこっちだったのね…。
ある日突然宣告され決定しなければならない自己の死に様。

どうしても今回は劇場で観たかったのでG.W.に鑑賞した。
終了後、無言状態の劇場が映画のテーマの深さを物語っており新鮮だった。
前作の「ふたりの5つの分かれ路」で何かが起きた?オゾン節。
しかも「まぼろし」の“最愛の人の死”に続き、…今回は“自分の死”を描く。
この重いテーマをオゾンがどう描くのかはいへん興味深かった。
 
監督は気になっているフランスの若手監督フランソワ・オゾン
2005年フランスで制作されたぼくを葬(おく)る」。
原題は「LE TEMPS QUI RESTE」。
  
31歳の売れっ子ファッション・カメラマンのロマン(メルヴィル・プポー)は、
ある日撮影中に倒れてしまう。
医者にかかったところ、末期癌で余命が役3ケ月と宣告された。
まだ若いロマンに、医者は放射線や点滴での治療をすすめるのだが、
ロマンは治療を拒絶する。

同性愛者のロマンの恋人サシャ(クリスチャン・センゲワルト)に
冷たい言葉を浴びせ別れを決意し、
家族に告白しようとするが、どうしても言う事が出来ず、
父(ダニエル・デュヴァル)母(マリー・リヴィエール)には心配かけないよう
更に姉(ルイーズ=アン・ヒッポー)とは仲違い。
仕事を辞め、唯一祖母のローラ(ジャンヌ・モロー)にだけは病気の事を打ち明けた。
なぜなら…
“おばあちゃんは、僕に似ているから…”

そんな時、たまたまカフェで出会った
ウエイトレスのジャニィ(ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ)夫婦から
持ちかけられたのは“代理父”の依頼。
運命に怒り、周りに心配をかけないように己を孤独に追いやって、
どんどん弱ってゆくロマンに、姉からの手紙で転機が訪れる。
“子供”を意識している事に気付いたロマン。
幼い自分の記憶と幻に出会った時に何かが起きた。
自分と向き合い、今出来る事を遂行し、自分を葬る準備を始める…。
美しいと思ったシーンを切り取るカメラ。
ニコンの一眼レフからコンパクトカメラに変わってからの彼の撮る写真は、
きっと彼の宝物で天国へ持ってゆきたい写真に違いない…。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

ある日突然つきつけられる、限りなく近い将来に起きる人生の終焉。
その当事者は病と死への恐怖の中で、
残された人生で行うべき事を短時間で決定せねばならない。

全ての人は孤独に生まれ、孤独に逝く運命を持っている。
その間の限られた人生を如何に生きるか、そして死ぬのか…それが人生。
ロマンを通して自己の人生観が感情と共にえぐり出される気分になった。
リアルで普通な何という事の無いシーンに込められたロマンの想い。
ロマンを演じるメルヴィル・プポーの繊細に揺れ動く感情と
遠くを見つめるかのような美しい瞳、
そして衰えてゆく肉体の変化に、胸をしめつけられる。
祖母を演じるジャンヌ・モローの孫への言葉
“今夜お前と死にたい”。
唯一信頼している肉親の愛情がこもったその言葉には、
ロマンと共に目頭が熱くなった。
余談だが、子供時代のロマン役の少年(ウゴ・スーザン・トラベルシ)の
くりくり巻き毛と瞳がメルヴィル・プポーと似ていてこれにまたグッとくる。

偶然に出あった人に自分の生きた証を委ね、
愛した人から愛されていると知る事が出来たロマン。
突然訪れたつらく悲しい物語を描くのではなく、
何かに立ち向かい得る夢や希望を描くのでもなく、
人間の本能と事実を受容し、自分の死に様を決めた一人の男の心の動きを
極めて間近から繊細に優しく描いた作品だと思う。

少ない余命で何を残せるか…

イザベル・コヘット監督の「死ぬまでにしたい10のこと」も同じようなテーマだったが、
あちらは若い母親だったので、女としてしておきたい事、
旦那や子供達に残しておきたい事、
娘として両親にしておきたい事を綴っていた。
こちらは独身で同性愛者、人生の成功者であった若い男性。
心の動きはおのずと違ってくる。
前者では限界まで母性を与え、後者では母性を求めている気がした。

ちなみに、治る可能性が5%以下と言われ治療を拒否したロマン流の生き様。
後悔しないよう治療する方法をとり、癌と戦う決意をするという生き方。
“健康で死にたい”というロマンの祖母の生き方が最も望まれるものだろうが、
病気…特に癌などの病の場合は、本人の悔いの無いようにするのが一番だと思う。
特に早期発見の場合完治出来る可能性が高いので、もちろん治療すべきだろう。

こんな仕掛けや謎の無い、
フランソワ・オゾン作品は初めて!

円熟したというか、人生の折り返し地点にきたからか…
ほぼオゾンと同じ年代の自分にとっては見事に心に響いた。
これまで常に死と生と性、その源の水=海、そして女の強さと怖さ、男の弱さ…。
表現方法は違っても、常に根源にあるものは同じなのかも。
ちなみに今後“子供の死”をテーマにした作品の予定もあり3部作にしたいそう。
次回作は英語で撮っているという噂だが、こちらはどんな内容なのか楽しみだ。

本作のオゾンの定番のラストシーン。
いつもと違い、悲しい場面なのになぜか優しい安心感がある。
 

「ぼくを葬る」オフィシャルサイト

ぼくを葬るぼくを葬る
フランソワ・オゾン メルヴィル・プポー ジャンヌ・モロー

ふたりの5つの分かれ路 スイミング・プール 無修正版 8人の女たち デラックス版 まぼろし<初回限定パッケージ仕様>
焼け石に水 ホームドラマ クリミナル・ラヴァーズ 海を見る

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September 14, 2006

「ふたりの5つの分かれ路」

[DVD映画]★★★★☆

オゾン作品としてはもの足りないが、
何でも無い物語がちょっとしたミステリーになっている。
やっぱり女は強くて怖い…

違った意味で衝撃的?だったこの作品。
オゾン節が変化してきた???
監督は気になるフランスの若手監督フランソワ・オゾン
音楽はフィリップ・ロンピ
原題は「5X2」。2005年公開の作品ふたりの5つの分かれ路
 

冷めきった夫婦の離婚の場。
子供とともに、生きてゆく事にした自由で強い女。
誰かと寄り添ってゆかなければ生きてゆけない未練たっぷりの男。
ここに至るまでのこの夫婦の愛の経緯とは???

* * * * * * * * * * * * * * * *

“愛は変化し崩壊するものだ”

と定義し、その過程を見せつけるのがこの作品。
新しい手法では無いが時間軸を逆にし
ある1組のカップルの離婚から出会いまでを
“別れ”→“裏切り”→“出産”→“結婚”→“出会い”
の5つのエピソードを描く事により、
何でもない物語をうまく謎解きにしている。
レトロでメロウな音楽やイタリアンポップがとても印象的。

最初は乱暴で酷い男に思えた夫ジル(ステファン・フレイス)が、
どんどん哀れに思え、
最初は可哀想な妻に見えた妻マリオン(ヴァレリア・ブルーニ=テデスキ)が、
どんどん力強く奔放に思えてくる。
いや、そもそもがそうだったから
5つの分かれ路を経てこの結婚は崩壊したのだ…。
彼らの愛の絶頂は結婚式だった。
 
カップルになった男女の心の嫌な所と禁断の行為を
美しいビジュアルを駆使しつつ極めてリアルに描き出す。
オゾンお得意の、エロティックかつ暴力的な表現、
それとは逆の愛ゆえの美しく明るく優しい表現の対比の妙で
ドラマティックに見せるのはさすがだ。
心に残るのがマリオンの両親、
父ベルナール(ミシェル・ロンダール)と
母モニク(フランソワーズ・ファビアン)のダンスと
ジルの兄クリストフ(アントワーヌ・シャピー)と恋人とのダンス。
ジルの元カノのヴァレリー(ジェラルディン・ペラス)の山歩きのシーン。
この夫婦とは別の愛の形がそこに垣間見える。

そして、この映画にも出てくる『海』。
生命の源、そして帰ってゆく所。
それは愛も同じなのか?
打ち寄せ引く波。どこまでも広がる母なる海。
オゾンの海はまだまだ広がり続ける。

「ふたりの5つの分かれ路」オフィシャルサイト

ふたりの5つの分かれ路ふたりの5つの分かれ路
フランソワ・オゾン ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ ステファン・フレイス

ぼくを葬る スイミング・プール 無修正版 8人の女たち デラックス版 まぼろし<初回限定パッケージ仕様>
焼け石に水 ホームドラマ クリミナル・ラヴァーズ 海を見る

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『ふたりの5つの分かれ路』(原題:「5×2」)オリジナルサウンドトラック
フィリップ・ロンビ サントラ
B0009V1ETG

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February 06, 2005

フランソワ・オゾン監督

[映画監督]

1967年パリ生まれで、パリ第一大学映画コースで修士号を取得したという、
若くして才能あふれる男前!
フランソワ・オゾン監督について。

第一印象はダメだった。「8人の女たち」との相性の悪さがこの監督との出会い。
ところがどっこい!「まぼろし」からとにかくハマってしまう。
「まぼろし」のDVD映像特典にドキッとしたのだ。

Mes parents un jour d'ete
スパでの夫婦の日常風景
Les Doigts dans le ventre
過食性の女の子の物語
自分の殺した家族と写真を撮る男の子の物語

このセリフのない画面も粗い無声の短編映画に、目が釘付け。
謎の行動をする人物。当たり前の日常を送る人物。彼等に次に何が起こるのだろうか?
期待と不安をあおるそんな映像だった。
そこで、初期の短編作品を観てみる事に。
すると…現れたのは世にも不思議なオゾン・ワールド!!!

悪意や人の心の奥に潜んだ欲望を、美しい映像と音楽と共に
現実と妄想の生み出した虚構をしれっと折り込み、さらっと描くのが本当に上手い。

そして、度々使われるモチーフ。
水、海、血、街、覗、裸体、性癖、犯罪 …そして様々な愛。

彼が目にしたり覗いたりする、人間模様が興味深くてたまらないのだろう。
あえて人間の恥部や秘密を露出させて、面白がりつつそれを肯定する。
ブラックで変態チックで、どこか憎めず軽やかなタッチ。
“人の数だけある人間っぽさが好き”なのであろう。
色々な人々の“愛のかたち”を、
一見グロテスクであっても、悲愴であっても、バカバカしくても
それを受け入れ、映像として再現し、シーンを“カット”する。
彼の切り取る画面には、どこか人間くさい暖かみが感じられ、非常にニュートラルだ。

そして身近な人ほど理解出来ていないものだと、
不安な要素を現実とも虚構ともつかないようにうまくばら撒く。
確かに誰にでも、どんな想像もつかない出来事が起こるかわからない。
本人ですら気付いていない本性や衝動性を秘めているのかもしれないのだから…。
結果的に何が起こっても目をそらさずに、見つめるべきだ。
そうすればその先に、希望もあるかもしれないのだとも。
説明も少なく謎も放りっぱなしで、観た後に少し浮遊感のある作品も多い。
だからこそ、観る度違う見方が出来て楽しかったっりもする。

先日の「スイミング・プール」の解釈も、
3度観て、監督のつくり出した虚構に改めて気付くと共に
自分なりの「スイミング・プール」を作る事が出来たと思う。
また時間を置くと感じ方も変わるかもしれない…。

ルックスも良いが作る作品はヒネリが効き過ぎ!!!
そんなオゾンさんにハマりっぱなしなのである。

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フランソワ・オゾン フィルモグラフィー (公式サイトから)

 Une goutte de sang (10min / video)
 Peau contre peau (les risques inutiles) (8min / video) / documentaire)
 Le trou madame (10min / video) / documentaire)
 Deux plus un (9min / 16mm)
 Thomas reconstitue (1992) video), couleur, 10 mn
 Victor (1993) 35mm, couleur,14 mn
 Une Rose Entre Nous (1994) 35mm, couleur, 27 mn

「アクション・ヴェリテ」Action Verite (1994) 35mm, couleur, 4 mn
「小さな死」La Petite Mort (1995) 35mm, couleur, 26 mn
「サマー・ドレス」Une Robe d'ete (1996) 35mm, couleur, 15 mn
「ベッドタイム・ストーリーズ」Scenes de Lit (1997) 35mm, couleur, 26 mn
「海をみる」Regarde la mer (1997) 35mm, couleur, 52 mn
「X2000」X2000 (1998) 35mm, couleur, 6 mn
「ホームドラマ」Sitcom (1998) 35mm, couleur, 80 mn
「クリミナル・ラヴァーズ」Les Amants Criminels (1998 / 90min / 35mm)
「焼け石に水」Gouttes d'eau sur pierres brulantes (1999 / 90min / 35mm)
「まぼろし」Sous le sable >(2000 / 95mn / 35mm)
「8人の女たち」8 Femmes (2001 / 103mn / 35mm)
「スイミング・プール」Swimming Pool (2003 / 102mn / 35mm)
「5x2 - Cinq Fois Deux」5x2 - Cinq Fois Deux (2004 / 90mn)

※フランス語の欧文表記は表示出来ないため省略しています

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フランソワ・オゾンの作品とレビュー 一覧

海をみる
フレデリック・マンジュノ ルシア・サンチェス セバスチャン・シャルル
■ 映画「海をみる」「サマー・ドレス」「ベッドタイム・ストーリーズ」レビュー
クリミナル・ラヴァーズ
ナターシャ・レニエ ジェレミー・レニエ
■ 映画「クリミナル・ラヴァーズ」「アクション・ヴェリテ」レビュー
ホームドラマ
エヴリーヌ・ダンドリイ フランソワ・マルトゥレ
■ 映画「ホームドラマ」「小さな死」レビュー
焼け石に水
ベルナール・ジロドー アンナ・トムソン リュディヴィーヌ・サニエ
■ 映画「焼け石に水」「X2000」レビュー
まぼろし
シャーロット・ランプリング ブリュノ・クレメール
■ 映画「まぼろし」レビュー
8人の女たち デラックス版
カトリーヌ・ドヌーヴ
■ 映画「8人の女たち」レビュー
スイミング・プール 無修正版
シャーロット・ランプリング リュディヴィーヌ・サニエ
■ 映画「スイミング・プール」レビュー

■ フランソワ・オゾン監督の作品紹介はこちら
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DVD BOX
「海をみる」「クリミナル・ラヴァーズ」「ホームドラマ」「焼け石に水」
及び短編のオゾン監督の初期全9作品を収録。
フランソワ・オゾン DVD-BOX
フランソワ・オゾン


8人の女たち プレミアムBOX
8人の女たち プレミアムBOX

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フランソワ・オゾン公式サイト
フランス語・英語のみ

http://www.francois-ozon.com/

ヴィルジニー・ルドワイヤンとフランス映画のサイト
フランスの監督やヴィルジニー・ルドルワイヤンをはじめとする俳優陣のインタビューなども有り!
気になる「スイミング・プール」の意図が知りたい方はこちらへ!!

http://www.geocities.co.jp/Hollywood/4769/
 

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February 02, 2005

「8人の女たち」

[DVD映画]★★☆☆☆

ごめんなさいオゾンさん。やっぱりダメでした…。
実はオゾン作品で唯一相性の悪かった作品。
一番最初に観たのがこの作品だったので、もう一度チャレンジ。
これは、殺人事件が起きた大邸宅の中での
ミステリー風ミュージカル映画?「8人の女たち」。
監督・脚本は「まぼろし」「スイミング・プール」のフランソワ・オゾン
2002年ベルリン国際映画祭銀熊賞(最優秀芸術貢献賞)受賞作品。

1950年代のフランス。郊外の大邸宅にて。
ある雪の日、一室で主人が刺殺されているのが発見された。
容疑者は邸宅に集まった8人の女たち。
家族愛を吹聴する祖母のマミー(ダニエル・ダリュー)は欲深。
妻のギャビー(カトリーヌ・ドヌーヴ)はどうやら浮気を。
妹ピレット(ファニー・アルダン)はお金のトラブル。
ギャビーの妹オーギュスティーヌ(イザベル・ユペール)は欲求不満のオールドミス。
清楚な長女スゾン(ヴィルジニー・ルドワイヤン)は妊娠中。
勝ち気な次女カトリーヌ(リュディヴィーヌ・サニエ)は妙な行動を。
黒人の家政婦マダム・シャネル(フィルミーヌ・リシャール)はレズビアン。
もちろん、新人メイドのルイーズ(エマニュエル・ベアール)も…。
8人の醜態がどんどん明らかに!!!

ワタシがダメだった理由が判明!
ストーリーや描いている事は初期の頃から変わっていない。
今思えばミステリーにオマージュを捧げた、
ホームドラマ」のレトロでゴージャスなミュージカル演劇映画といった感じか。

1の理由。
どうしても、あのミュージカル感が生理的にダメなのだ。
あの“突然歌って踊る”寒さに耐えられない。(←タモリさんと同じ)
歌い出した途端にもう…。
これはもう、好みなのでしょうが無いなあ。
焼け石に水」とか「サマー・ドレス」(「海をみる」に収録)の
下手な歌と下手な踊りは、アクセントや意味付け的にもツボだったのだが、
ど〜も、何度も何度もしつこく繰り広げられる、
あの“踊りと歌”はそれまでの流れをぶった切る。
あれは“歌う意味”が無いというか、あれにより興醒めしてしまうのだ。
ちなみにオペラなら不思議と大丈夫。
だって最初から最後まで基本的に歌で構成されているんだから…。

2の理由。
あえてやってはいるのだが、
古い演劇風の演出と俳優の演技が映画にするとくどい!!!

3の理由。
オゾン特有の観終わったあとの“浮遊感”。
これは明解に解決してしまうので、
『そりゃそうだろうな〜』と思って終了。
その後の余韻があまり無い。

ちなみにこの作品で面白かったのは、
やはり、ラストの予想のつかないどんでん返しと、
大女優を使って、あれだけの女の醜態を描いたオゾンさんのセンスと勇気!
それだけはあっぱれ!!!

「スイミング・プール」のインタビューで監督自身が語っているように、
やっぱりこの作品の製作は大変なストレスがたまったみたい。
だから「スイミング・プール」では逆の事をやりたかったそう。
たぶんその“ストレス”が微妙に感じられ、観ているほうも堅苦しかった。
オゾンさんには妙な浮遊感のある、変てこな作品を作って欲しいなあ〜。
一見普通に見えて、とんでも無い、想像もつかない結末の作品!!!
そんなオゾン節が好きだなあ!

「8人の女たち」公式サイトはこちら

http://www.gaga.ne.jp/8femmes/

 
8人の女たち デラックス版
カトリーヌ・ドヌーヴ

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8人の女たち プレミアムBOX
フランソワ・オゾン

オリジナル・サウンドトラック「8人の女たち」
サントラ リュディヴィーヌ・サニエ イザベル・ユペール ファニー・アルダン

8人の女たち
佐野 晶 Francois Ozon Robert Thomas Marina De Van


 
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January 22, 2005

「スイミング・プール」

[DVD映画]★★★★☆

なんじゃこりゃ? とラストでいつも驚かされる。
さらっと描かれているが、これぞオゾン節。
ランプリングとサニエの肉体美にメロメロの「スイミング・プール」。


最後の最後まで気が抜けない二人の対照的な女性を描いたミステリー?ドラマ。
フランス短編映画の若き巨匠フランソワ・オゾン監督の2003年の作品。
脚本はフランソワ・オゾン/エマニュエル・ベルンエイム。
女優陣は、「まぼろし」のシャーロット・ランプリングと
焼け石に水」「8人の女たち」のリュディヴィーヌ・サニエ。

ロンドンに年老いた父と住むイギリス人の売れっ子女流ミステリー作家の
サラ・モートン(シャーロット・ランプリング)は、
出版社の社長ジョンに勧められ、南仏のリュベロンにある、
プールつきの彼の別荘へ行き、そこで執筆を始めていた。
後で来るという約束だったジョン(チャールズ・ダンス)は来ずに、
彼の娘のジュリー(リュディヴィーヌ・サニエ)が突然やって来る。

きちんとした“お堅い”女流作家先生のイギリス人の中年女性サラ。
いつもヨーグルトやダイエットフードを食べている。ランチすら粗食。
眩しくはちきれそうな若さと奔放さのフランス娘のジュリー。
フォアグラを食べ、毎日違う男をつれこむ彼女。
見た目も性格も行動も正反対の二人は、最初はもちろん反発し合うのだが、
まだ、掃除も行われていない自宅の“プール”で裸体で泳ぐジュリーを見た時から、
ミステリー作家としての衝動がサラに沸き起こる。
ジュリーの連れ込む男達の世にも下品な身体と顔。
彼女の恋愛遍歴と行動に興味深々のサラの目は彼女を追い、探し、そして書く。
創作意欲をかき立てるジュリーの過去、謎と影。

二人の奇妙な共同生活は、ある夜彼女達の別荘を訪れた
サラもよく知るレストランのウエイター、ちょっぴり可哀想な
フランク(ジャン=マリー・ラムール)の失踪で急激な変化を見せる。
プールサイドの血痕。フランクのソックス…。
ジュリーの美しい身体にある傷。作家であった彼女の母親…。
不思議な二つの三角関係がここで絡み、
サラとジュリーの奇妙な共犯感で気持ちが共鳴し始める。
ジュリーを守るために自らの身体をさらけ出すサラ!
そして、相変わらず謎を残した結末。
女たちが手を振り合うシーンは印象的だ。

魅力的な二人の女優の対照的な美しい肉体美には思わずため息。
それを眺めている男性たちの足もと。
それをなめるように撮るカメラ。
「焼け石に水」のグラマーちゃんリュディヴィーヌ・サニエもより洗練され、
シャーロット・ランプリングの熟成された裸体美は圧巻。
愛の嵐」(1973)から32年!。
相変わらずスリムで女性らしい身体はリアルな年相応の美しさ。
これには年老いた娘?(ミレイユ・モセ)のいる、
すっかり枯れた管理人のマルセル(マルク・ファヨール)もメロメロ。

どうも合わなかった「8人の女たち」とは全く違った、
肩の力の抜けたオゾンぽい作品だと思う。
特典映像でオゾン監督が語っている“バカンス”的な作品。
最初のサラと最後のサラ。服装といい、表情といい、別人の様。
海ではなく、四角い水たまりのスイミングプール。
人の欲望を映し解放する、デヴィッド・ホックニーの作品のような
あのスイミングプールで彼女の目には何が見えたのだろうか…。
悪戯っ子のような、母親のようなサラの笑顔には充実感があった。
卑屈で内向的だった作家が別の世界への扉を開けたかのようにも見えた。
 
[映像特典]
・未公開シーン(4シーン:約15分)
・オゾン監督・ランプリング・レニエのインタビュー(約20分)
・オリジナル特報・オリジナル予告・日本版予告・日本版TVスポット

スイミング・プール 無修正版
シャーロット・ランプリング

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スイミング・プール
サントラ

スイミング・プール
フランソワ オゾン Francois Ozon 佐野 晶



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December 17, 2004

「ホームドラマ」

[DVD映画]★★★★☆

さて、気になって気になって仕方が無い!!
フランソワ・オゾン監督のかなり毒の効いたシュールな作品「ホームドラマ」。
少し「8人の女たち」を思わせる部分もありながら(どうもあの作品は苦手)、
とにかく下らなく毒々しいのにどこか可笑しくて、
断然こちらの作品のほうがハマれた!
カップリングは「小さな死」。
こちらはしょっぱなからかなりマイナス・オーラを出した
カメラマンの青年を追った意外にも微笑ましい短編。

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「ホームドラマ」[作品別評価]★★★★☆」

うひゃ〜!まさかあんな事になるなんて!想像出来なかった!!
また1本とられました。オゾンさん!!!
平凡なブルジョア家庭に一匹のネズミがやって来たことから、
どんどん崩壊してゆく様を描いたオゾン風のブラック・コメディ。

“短編のヒッチコック”フランソワ・オゾン監督の長編デビュー作。
1998年のフランス映画。
原題の「SITCOM」はシチュエーション・コメディの略だそう。
これは80分のかなりブラックなドタバタ“奇劇”。

いきなりである。
とある豪邸に父親ジャン(フランソワ・マルトゥレ)が帰宅し、
“ハッピー・バースディー”の歌声♪
と、突然銃声と悲鳴が!

そしてこれまたいきなり数カ月前にさかのぼる。
家政婦のマリア(ルシア・サンチェス)がやってきたその日、
ジャンが“ネズミ”を持ち帰ったその日の夜、マリアと
夫のアブドゥ(ジュール=エマニュエル・ヨウム・デイド)を招いての夕食会で、
直前までネズミと遊んでいた息子ニコラ(アドリアン・ド・ヴァン)が
突然「ボクはゲイだ」と宣言する。
それがこの家庭の崩壊の始まりだった。

ニコラをなだめるために彼の部屋に行ったアブドゥは
“ネズミ”に噛まれて、あろうことかニコラに身をもって体験させてしまう。
“ネズミ”と戯れていた娘ソフィ(マリナ・ド・ヴァン)は窓から身を投げ
命は助かったものの半身不随に。
“ネズミ”を触ったマリアに誘惑された
ソフィの恋人ダヴィッド(ステファーヌ・リドー)は、
それをネタにされ愛するソフィのプレイの下僕に。
絵に描いたような心配性な良き母エレーヌ(エヴリーヌ・ダンドリイ)は
“ネズミ”に触れてしまってから息子のためにと男女の関係を持つように。
それらを全て知っていて、それを受け入れると言う家族に
自分は“まとも”だからと一人無関心な父親ジャン。
そして…誰も居ない家でジャンは“ネズミ”と戯れた…。

とにかく予期せぬ事態と災難が次々と起こる。
彼等は名前すらつけてもらえないこの“ネズミ”に触れる事をきっかけに、
愛情の飢えに気付き、心の奥の真の欲望を実行してしまうのか?
それをわざとグロテスクに、でも軽妙にコミカルに描くオゾン。
“我家は、自分だけは平凡で平和”だと信じている人達へ向けての
これはかなり強烈な皮肉である。
そして、酷い物語なのに妙なおかしさ。
あの“ネズミ”は…悪魔なのか天使なのか、一体何なのか?
まさか電子レンジで………!!!!!

ちなみに「海を見る」のマリナ・ド・ヴァン、とアドリアン・ド・ヴァン、
彼等は実の姉弟。マリナは制作のほうも携わっている。
「サマードレス」のルシア・サンチェスも舞台出身の演技派で、
自分で映画も撮っているそう。
どうやらこの妙なテイストは、オゾンさんの周りの
強烈な個性と感性の俳優やスタッフの影響があるのかもしれない。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「小さな死」[作品別評価]★★★★☆

「ホームドラマ」に収録されている。
フランソワ・オゾン監督による1995年制作の26分間の短編作品である。

“生まれた時から自分は醜い。だから父親にも愛されず嫌われている。”

そう思っているゲイのカメラマンのポール(フランソワ・ドゥレーヴ)。
彼は“イク瞬間の男の顔”を撮るのが趣味で同じゲイの彼と同棲中。
突然美しい姉(カミーユ・ジャピィ)から
父親(マルシアル・ジャック)が危篤だと電話。
見舞いに行くのだが…父親からとんでもない言葉が!。
やはり醜い自分は愛されていないのだと嘆きつつも、
再び病室を訪れ父親の写真をこっそり撮るポール。
しかし、後に判明する事実で彼は救われるのだ…。
さすが親子だ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

人には、親しい人や恋人や家族にだからこそ、
口に出して言わない、隠された色んな感情や欲望があるのだ。
自分だけは、自分はきっとこうに違い無い、
あの人だけは、あの人だけには有り得ない、
などと決めつけてはいけない。
いつ、どんな想像もつかない出来事が起こるかわからないのだ。
本人ですら気付いていない本性があるのだから…。

この「小さな死」と「ホームドラマ」には
そんなメッセージが込められている。

そういった人間達が、人間模様が興味深くてたまらないのだろう。
だからあえて人間の恥部や秘密にしておきたい部分を露出させて、
面白がりつつもそれを肯定しているのだ。
これががオゾンの監督の魅力の一つなのではないだろうか。
わかってやっているトコロがこれまたニクイ!!!

ホームドラマ
フランソワ・オゾン
ホームドラマ
 
 
DVD BOX「海をみる」「クリミナル・ラヴァーズ」「ホームドラマ」「焼け石に水」
及び短編のオゾン監督の初期全9作品を収録。
フランソワ・オゾン DVD-BOX
フランソワ・オゾン


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December 14, 2004

「クリミナル・ラヴァーズ」

[DVD映画]★★★★☆

先日の「海をみる」に続き
フランソワ・オゾン監督の「クリミナル・ラヴァーズ」を。
このDVDには長篇「クリミナル・ラヴァーズ」と共に
短編「アクション、ヴェリテ」が収録されている。
この2作品には若さゆえの性への欲望、そしてタブーの領域へと切り込み、
それらを挑発しているようで、実はクギを刺している気がするのは気のせいだろうか?
世の中には、夢や妄想だけでは済まない、目を背けてはいけない事もあるのだと…。
そんな少し青く痛々しい香りのする2作品。

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「クリミナル・ラヴァーズ」[作品別評価]★★★★☆

“ 犯罪よ急げ。俺が虚無へと落ちるために。”
この詩の一節が印象的だった。

殺人を犯した17歳のカップルの逃避行を森の中で起こる
ある種の寓話的な幻想世界を描いたサスペンス・ドラマ。
監督・脚本は今、個人的マイ・ブームのフランソワ・オゾン。
この作品は彼の95分の長篇第2作目。1999年のフランス映画。

リュック(ジェレミー・レニエ)とアリス(ナターシャ・レニエ)。
この17歳の若い高校生カップルは
同級生のサイード(サリム・ケシュシュ)を計画的に殺してしまう。
そして、二人は遺体を捨てるために車で森へ…。
遺体を埋めたものの、森で迷ってしまった二人。
船で一夜を明かした翌日、彼等は森の中で一軒の小屋を見つけ、
小屋の主人が留守の間に食料を盗もうとしていたところへ
熊のような男の主人(ミキ・マノイロヴィチ)がライフルを片手に戻って来た!
そうして、二人は地下室に閉じ込められる。
食事も与えられずに、掘り起こされたサイードの死体と共に…。

アリスの日記。アリスの嘘。アリスの欲望。アリスの衝動。
17歳で書かれたランボーの詩。
これまでの彼等の時間が、地下室に閉じ込められた日々とこれらが交錯し、
次第に事実が明らかになってゆくのだ。
少し先に大人になり“欲望に忠実に先を急ぐ”アリスと
殺人を犯したのだが、未だ純粋な少年の心を持つ“無垢な?童貞”リュック。
彼等の殺人に至る経緯。これではあんまりではないか!

アリスの日記を読む小屋の主人はリュックを地下室から出し、
首輪につなぎ、身の回りの“あらゆる”世話にこき使う。
そしてリュックにだけ食料…しとめたウサギを与えて言う。
「食え。よく食って太れ」
自分達を食べるのなら、アリスにも食事をというリュックに、
「女はカサカサした骨と皮だけのほうが好きだ。
 反対に男は丸々としているほうがいい」
と、この主人も相当怪人。
その主人に“飼いならされる”リュック。

片足の無いザイードの死体。
リュックを利用しようとするアリス。
絶望感と緊迫感は高まるばかり…。
まるで怖い童話の幻想を見ているかのような、森の中での非現実的な日々。
森に迷いこんだヘンゼルとグレーテルならぬ
人生の袋小路にまで迷いこんでしまったアリスとリュック。
だが、二人はサイードを殺したことにより、
どんどん墜ちている事だけは確かなのだ…。

脱出するチャンスが訪れた二人に、
自由で幸せな瞬間は長く続くはずもない。
犯した過ちは必ず自分に返ってくる。
所々に登場し、彼等を傍観する野生動物達とウサギ、そして白い鳥。
本能のままに生きる野生動物は狩られ、
純粋無垢なる鳥は空へと解放されたのだろうか?

この作品は青少年の犯罪の推進する作品ではない。
むしろそれを戒める寓話なのだ。
と、少し思った。

尚、俳優陣もなかなかの人選であった。
天使が見た夢」のナターシャ・レニエ
イゴールの約束」でデビューしたジェレミー・レニエ
アンダーグラウンド」主演のミキ・マノイロヴィチ

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「アクション、ヴェリテ」[作品別評価]★★★★☆

フランソワ・オゾン監督による1994年のなんと4分の短編である。

二人の少年と二人の少女が
指名されて受けた命令を“実行する=アクション”か“正直に告白する=ベリテ”か
どちらかを選んで行わなければいけないという、ゲームで遊んでいる。
修学旅行や合宿などで子供の頃遊ぶようなあのような…。
男女関係に興味が出てくるお年頃。
ネタは、もちろん…“キスした?”だの“異性と寝た?”だのといった事。

単純なゲームゆえに次の“命令”は何か?彼等の幼い表情に
こちらもついドキドキしてしまう。
そして…
何となく4人の関係や性格を気付かせたところで、
このたあいのないゲームにすら、
きっちり衝撃的なオチをつけるあたりはさすが。

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クリミナル・ラヴァーズ
フランソワ・オゾン
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DVD BOX「海をみる」「クリミナル・ラヴァーズ」「ホームドラマ」「焼け石に水」
及び短編のオゾン監督の初期全9作品を収録。
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December 08, 2004

「海をみる」

[DVD映画]★★★★☆

おなかいっぱい、オゾンワールド!!
まぼろし」で、すっかりはまってしまったのだが、
先日の「焼け石に水」といい、この「海をみる」といい、
この監督の作品は一体何なのだろう? ワタシのツボをぐいぐい押しまくるのだ。
最近最も気になる存在の一人、フランソワ・オゾン監督の短編3作が
サスペンス・スリラーからブラックなコメディ?まで
バラエティ豊かに味わえる1本。

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「海をみる」[作品別評価]★★★★★

なんてこったい!こんな結末だとは…(ちょっとそうかと思ったが)。
なんだかとっても物騒な物語。見知らぬ人に簡単に心を許してはいけない?!
"短編のヒッチコック"フランソワ・オゾン監督によるサスペンス・スリラー。
1997年の52分の短編作品。

海を臨む一軒家でサーシャ(サーシャ・ヘイルズ)は
まだ赤ん坊の娘シフラとふたりで出張中の夫の留守を守っている。
ある日突然、海から帰って来ると、見知らぬ女性…
バックパッカーの女、タチアナ(マリナ・ド・ヴァン)がやって来て、
庭にテントを張らせて欲しいと言う。
心淋しいサーシャはそれを許し、食事に誘ったり、風呂を使わせたり、
シフラの子守りをお願いしたりとどんどん親しくなるのだが…。

幸せな親子を見るタチアナの冷たい表情。
彼等の平和で幸せな姿が、きっと憎いに違い無い。
言動が怪しすぎるのだ。
サーシャに浮気をそそのかす、墓地に佇む、スーパーの肉を眺める、
彼女のノートの落書き、そして…サーシャ家の中でも。
ただ、サーシャはそれに気付かない。
幸福ボケしているからか、気付きたくなかったからなのか…
それがまた火に油を注いだのか?
そして、彼女は一体誰なのか??

衝撃的なラストを見ても、やはり謎は深まるばかり。
出張中の夫の浮気相手だったのか…。
それともこんな親子であれば誰でも良かったのか…。

この作品、52分と短編ながら
不思議な緊張感と少々グロい不愉快さと、映像美に溢れている。
まさにオゾンならでは。

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「サマー・ドレス」[作品別評価]★★★★★

頭の中は「Bang Bang」が鳴りっぱなし!
ロカルノ映画祭グランプリを受賞したオゾン監督の出世作。
1996年の15分の短編。

若いホモ?の一人の少年と、
海岸で出会ったサマー・ドレスの若い女性との
ほぼまる1日の出来事を描いた物語。

ホモカップルの少年の片割れが「Bang Bang」に合わせて、
妙な踊りをするのがオゾン節。
あの、お兄ちゃんの妙なカマっぽさが忘れられない。
「Bang Bang」もキル・ビルでユマが歌っていたのと
印象違いすぎ! インパクトありすぎ!!

そして、逆ナンされる少年の、
ちょっとした普通の恋も、妙に爽やかで何だかほほえましい。
借りたドレスを返しに行く彼の顔。
さて、彼は“どちら”の人になるんだろうか?
とあるバカンスの一夏の経験で終わるだろうか??
15分間でここまで充実させるとは。恐るべし。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ベッドタイム・ストーリーズ」[作品別評価]★★★★★

やっぱりすごいぞ、オゾンさん!!
短編映画の若き巨匠…とは言い過ぎか???
フランソワ・オゾン監督による1997年の26分の短編
「ベッドタイム・ストーリーズ」。
この26分間に更に7話の物語が入っている。

『黒い穴』
『ミスター・クリーン』
『年上の女(ひと)』
『互い違い』
『理想の人』
『闇の中の愛』
『二人の童貞』

タイトルどおりにベッド・インする直前の7組のカップルの状況を、
主に会話や表情を通して“切り取った”超短編集。
もちろんカップルといっても多彩である。
娼婦と客、男と女、若い男とそうではない女、女と女、男と男etc…

何気ない会話にオゾン独特のブラックユーモアがあり、
タイトルからは想像出来ない展開となったり、
あまりにも下らないほどのストレートな展開になったり、
間に入るエレベーターの音といい、
人の心をこちょこちょくすぐる。
『ミスター・クリーン』にはニヤニヤしどおし。
こういうのにちょいと弱い!

ブラックで変態チックで、どこか憎めず軽やかなタッチ。
これがこの監督の作品の特徴の一つなのだが、
それはこの作品にもあるように、
“人の数だけある人間っぽさが好き”なのではと思ってしまった。
色々な人々の“愛のかたち”。
一見グロテスクであっても、悲愴であっても、バカバカしくても
それを受け入れ、映像として再現し、シーンを“カット”する。
彼の切り取る画面には、どこか人間くさい、暖かみが感じられる。
そこがツボだったのかも…と、
この短編群を観て思った。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1967年パリ生まれで、パリ第一大学映画コースで修士号を取得したという、
若くて(といっても中年だが)才能あふれる人だ。
スイミング・プール」もまだ観ていないので1月のDVD発売が楽しみ。
さらなる新作も「5x2 [Five Times Two] 」も楽しみ!
それにしても、海と水。彼のモチーフに多く登場するこのモチーフは、
彼にとって何なんだろうか???
またまたこれも気になるのであった…。

海をみる
フランソワ・オゾン 
海をみる
 
 
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September 16, 2004

「焼け石に水」

[DVD映画]★★★★☆

なんとも悲しくもあっけらかんとした耽美を超えた残酷な作品。
昨日の「まぼろし」のフランソワ・オゾン監督が
ファスビンダーの戯曲を映画化した「焼け石に水」
2000年制作のフランス映画。

美しい町並みから始まる。
カラフルでメルヘンチックなドイツの街並…。
ドアを開けて入って来るのは、中年紳士レオポルド(ベルナール・ジロドー)と
美しく若い男フランツ(マリック・ジディ)。
部屋の中はおしゃれなインテリアの並ぶモダンな部屋。
ソファーに『並んで』腰を降ろす二人。
もう、このあたりでわかるように、
この美青年フランツはレオおやじにうまくハメられて、
ついに禁断の道へと入ってしまうのだ。

フランツ君には若くプロポーションがなんともエロティックな
婚約者のアンナ(ルドヴィーヌ・サニエ)という彼女♀がいるのだが、
おやじの魅力にすっかりメロメロなフランツ君、
アンナに愛情を抱きながら口では「出て行く」と言いながらも、
ずるずると彼のアパートメントから出て行く事が出来ない。
「愛している」からどうしても離れられないのだ。
そのうちに、レオの元『彼女』(アンナ・トムソン)まで現れ………
なんと!とんでもない結末に!!。
どんどん暴君に溺れて傷付く、素直な少年がなんとも初々しく、美しく、痛々しい。
欲望に忠実すぎるおやじ「ボクをパパと呼びなさい」みたいな、
こういう男って意外と男にも女にもモテモテだったりするのだ。
アメとムチを使い分けるから…。
(自分的には苦手なタイプ。どちらかというと「まぼろし」の夫ジャンタイプ好き)

物語は4幕に分かれる。もともと、戯曲だったのが良くわかる構成。
意外とグロテスクな内容をあっけらかんと、ちょっと可笑しくしつこく描くトコロも
妙ちきりんなダンスシーンも、違和感ありつつ、くすっと笑える。
それにしても、アンナさんそれはないだろうよ〜!!!
美しいフランツ君が不憫でならない。
オゾン監督のセンス、悪くない。というか好き???
「8人の女たち」思いきり寝てしまったのに…徐々にハマリ気味。
ビデオしかレンタルショップに無かったので
DVDの特典映像の短編がゼヒ見たい!

焼け石に水
焼け石に水
 
 
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September 15, 2004

「まぼろし」

[DVD映画]★★★★★

こんなに泣いてしまった映画は初めてかも!!
最初から最後まで、切ない切ない…。ティッシュケースの1/3は無くなっ。
これは、フランソワ・オゾン監督がたまたま出会った、
「フランス南西部のランド海岸での夫の失踪事件」
のエピソードを膨らませて作られたという、2001年フランスの作品「まぼろし」

結婚して25年になる夫婦。
妻マリー(シャーロット・ランプリング)と夫ジャン(ブリュノ・クレメール)。
毎年ランド地方の別荘でヴァカンスを過ごしている。
今年も同じようにバカンスを楽しみに来た。

大きな体で無口で優しい夫、ジャン。少し淋しそうな表情が印象的。
会話は無いが、わかりあえている夫婦。
何気ない日常のシーンにマリーの幸福感が溢れている。
浜辺でマリーの背中に優しくオイルを塗るジャン。
そして、海へ泳ぎに行き—————
うたた寝したマリーが目覚めても、ジャンは戻って来なかった…。

失踪した夫ジャン、もしかすると水死したかもしれないとどこかで諦め一見冷静に、
マリーはひとりパリへと戻り、有人に紹介されたヴァンサンを愛人としながらも、
夫の幻影と共に生活をする。
マリーを優しく抱き締めるジャンのまぼろし?には優しさが溢れている。
今でも彼の大きな愛情に包まれた彼女に、ジャンを忘れることなど出来るだろうか?
愛人ヴァンサンに言う。「あなたでは軽すぎる…」と。

夫の異変に気付けなかったマリー。
初めてそこで、冒頭のジャンの行動が思い起こされる。
自分もマリーと同じようにジャンの異変には気付いていなかったのだ。
誰も居ない夫の書斎。大きなジャケットのかかった夫の椅子。
母と子の絆、妻と夫の絆。つらい現実。そしてと再起。

傍にいるべき人物が突然いなくなった時の感じ。
嘘だと思いたくて、実際そこにまだ居る気がしてしまう。幻となって見えてしまう。
でも居ない。ポッカリと虚しい空間を埋めるようと、心は揺れ動く…。
細かいエピソード、心理描写に…ホロリ。

シャーロット・ランプリングの年齢を越えた美しさ!
若作りではなく本当に可愛く魅力的。
映画デビューはなんと「ナック」(1965年)ですよ〜!
ブリュノ・クレメールの年を重ねた大きな存在感が好き。
シャーロットとブリュノは「蘭の肉体」以来25年ぶりの共演だそう。
ゆえにか本物の夫婦のように呼吸もぴったり。

いや〜オゾン監督「8人の女たち」
ではそんなに…でしたが、
この「まぼろし」で、やられました。

特典映像もいきおいで鑑賞。
さすが!オゾン監督!!

■フランソワ・オゾン監督コメンタリー
■シャーロット・ランプリング&ブリュノ・クレメール インタビュー映像収録
■フランソワ・オゾン監督の未発表短編作品(各約12分)
 “Mes parents un jour d'ete”
・スパでの夫婦の日常を撮っている
 “Les Doigts dans le ventre”
・過食性の女の子のハナシ
・殺した家族写真を撮る男の子のハナシ

コメンタリーも短編作品もかなり見応えあり。

まぼろし<初回限定パッケージ仕様>
まぼろし<初回限定パッケージ仕様>
 
 
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