49 posts categorized "●ヒューマンドラマ系"

July 11, 2008

「JUNO/ジュノ」

[劇場映画]★★★★★

渋好みの16歳ジュノは大人だけどやっぱり多感なティーン女子♪
エレン・ペイジちゃんがもうハマり過ぎ!!!!!


思わず映画観に行ってしまいました!!!
だって主演のエレン・ペイジちゃんがお気に入りでして
アカデミー賞受賞前から気になっておりました。
もちろん1人で来ているおじ様達もおられましたが
それにしても…女性客の率の高い作品。
若いカップルの♂君は複雑な表情だったり(笑)
いや、女子にはグッとくる箇所満載です。
____________________

「JUNO/ジュノ」
原題:JUNO

製作国:アメリカ(2007)
監督:ジェイソン・ライトマン
製作:リアンヌ・ハルフォン/ジョン・マルコヴィッチ
   メイソン・ノヴィック/ラッセル・スミス
製作総指揮:ジョー・ドレイク/ネイサン・カヘイン/ダニエル・ダビッキ
脚本:ディアブロ・コディ
撮影:エリック・スティールバーグ
プロダクションデザイン:スティーヴ・サクラド
衣装デザイン:モニク・プリュドム
編集:デイナ・E・グローバーマン
音楽:マテオ・メッシーナ
音楽スーパーバイザー:ピーター・アフターマン /マーガレット・イェン

出演:
エレン・ペイジ(ジュノ)
マイケル・セラ(ポーリー)
ジェニファー・ガーナー(ヴァネッサ)
ジェイソン・ベイトマン(マーク)
オリヴィア・サールビー(リア)
J・K・シモンズ(マック:ジュノの父)
アリソン・ジャネイ(ブレン:ジュノの義理の母)
レイン・ウィルソン
アイリーン・ペッド
ダニエル・クラーク
ヴァレリー・ティアン
エミリー・パーキンス
____________________

興味本位で素敵なイスの上で
親友男子ポーリーとヤッた一発で
妊娠しちゃった16歳の高校生ジュノちゃん…
普段は大人顔負けなクールさ満点な?ジュノだが
さすがにこの事件には凹みまくる。
親友のリアに相談し堕ろそうと思ったけれど
それも出来なくなっちゃって
かと言って育てる事は出来ないし…と
理想のカップルへ養子へ出そうと決意。
さて…彼女はこの緊急事態をどう乗り切るのか???

何故か渋い趣味のティーンエイジャーの女子2人
往年のパンクLPジャケやギターがどっちゃり部屋にある
古めのスラッシャー映画マニアでもあったりするジュノ
中年のおやじ教師に夢中のリア
彼女らのコンビがイイんですよ。
精一杯背伸びして、クールにクールに突き進む
ちょっぴり風変わりなジュノだけど
さすがの事態に家族や里親予定の二人を巻き込み
想定外の問題にぶち当たりつつも
思うようにつきすすむ力強さも最高。
その母なる?強さと少女なる素直さにじ〜んときましたね。

ジュノの妊娠をめぐっての
周囲の人間関係も変化するのですが
中でもジュノの家族…
彼女の状況を受け入れ、彼女を信じて
最善を尽くそうと協力してくれる
お父さんとお義母さんが素晴らしい!!!
この二人だからの娘なのだなぁと思えるんです。
そして…皆が自分らしく…
自分に嘘をつかずに生きてゆこうと少し大きな心に成長する。
ジュノもポーリーも両親も子供が欲しいヤッピーカップルも…
皆が幸せでありますように…

とにかくとにかく予想以上に
もうエレン・ペイジちゃんがイイ!!!
「ハード・キャンディ」「リ・ジェネシス」で
童顔&おチビさんながら
少女のあどけない純な表情と脆さ
信じられないほど力強い大人顔負けの演技をする
彼女のファンになっちゃったけど
この作品は彼女の良さが最大限に活きている作品の一つだと思いますね。
ちょっと昔のジュリエット・ルイスに近いけれど
ベクトルの違う何かを感じる
これから先が楽しみな女優さんですっ!!!

B001DWDVGYJUNO/ジュノ <特別編>
エレン・ペイジ, マイケル・セラ, ジェニファー・ガーナー, ジェイソン・ベイトマン, ジェイソン・ライトマン
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 2008-11-07

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B0013EUA6QJUNO/ジュノ
キミヤ・ドーソン
Warner Music Japan =music= 2008-04-23

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  →「JUNO/ジュノ」オフィシャルサイト

■映画「ハード キャンディー」レビュー

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May 28, 2008

「終わりのない物語〜アビバの場合」

[DVD映画]★★★★☆

1人のアビバという少女を
何人ものキャラクターが全く違った俳優が演じる事によって
この極端なエピソードの羅列から
実は普遍的な物語…という事をゴリゴリと強要してくる
ものすごくパワフルな作品だ!!!

_______________

「終わりのない物語〜アビバの場合」
原題:PALINDROMES

製作国:アメリカ(2004)
監督:トッド・ソロンズ
製作:デリッック・ツェン/マイク・S・ライアン
脚本:トッド・ソロンズ
撮影:トム・リッチモンド
プロダクションデザイン: デイヴ・ドーンバーグ
衣装:ヴィクトリア・ファレル
音楽:ネイサン・ラーソン

出演:
エレン・バーキン(ジョイス・ヴィクター アビバの母)
スティーヴン・アドリー=ギアギス(ジョー/アール/ボブ)
リチャード・メイサー(スティーヴン・ヴィクター アビバの父)
ジェニファー・ジェイソン・リー(“マーク”アビバ)
デブラ・モンク(ママ・サンシャイン)
シャロン・ウィルキンス(“ママ・サンシャイン”アビバ)
マシュー・フェイバー(マーク・ウィーナー)
ウィル・デントン
ヒラリー・B・スミス
ダントン・ストーン
_______________

かなり前に観てレビュってなかったコレ。
細部にわたるこだわりといい…
可愛いテイストと毒満載。
記憶しておきたかったので、観て直ぐにメモっておいたのが下記。
自分用の覚書なのであしからず…

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ドーン・ウィーナーを偲んで
 ラビの葬式…

 ・ドーン 黒人の少女アビバ 死んだいとこのドーンのようになりたくないと懇願。
               妊娠しても子供は絶対殺さない。沢山欲しい。
               いつも誰かを愛することが出来ると…
 ・ジュダ ブルネットのアビバ 数年後 遊びに行ったウォレス家のジュダと初体験。
                数分で終了。
 ・ヘンリー 赤毛のアビバ 妊娠発覚!両親は激怒。
              でもアビバは子供が出来ご機嫌。
              親から産むなら出て行けと…ヘンリーという
              産まれなかった弟の話を聞かされ堕胎を強制されたが  
              そのため子供を産めない体になってしまう。
              おろした子供の名前をヘンリエッタと名付けるアビバ。             
 ・ヘンリーエッタ カーリーヘアのアビバ 家出し、ヒッチハイクで出会った男性
                     ボブと一夜を共にするが…
 ・ハックルベリー ショートボブでスレンダーなアビバ モーテルに置いてけぼりに…
                           田舎を放浪していて
                           森でボートに乗る。
 ・ママ・サンシャイン おデブな黒人のアビバ 森の中で眠る彼女にピーター・ポール
                       という少年と出会い、彼の居るという
                       サンシャイン・ホームに連れて行くと
                       優しく接してくれる。
                       経歴に嘘をついて迎え入れてもらうが
                       明るすぎる“事情”持ちの子供達と
                       クリスチャン達!
                       だがそこに現れたのは…あのボブ?
                       大人達の会話で衝撃的な事実が発覚!
 ・ボブ 黒髪のアビバ サンシャイン・ホームからこっそり抜け出しボブの所へ。
            フライシャー、あの医者の暗殺に参加する事に。
 ・マーク 金髪のアビバ 帰ってきたドーンのパーティが催される。
             葬式の…あのマーク!!!
 ・アビバ おデブのジュダと再会!
      今までのアビバがコロコロ変わって出てくる。
      もちろんラストは…!!!!最初のアビバちゃん!
      あの夢が本当だったら…不毛なんだけど、明るく終了。  

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

何か全てにわたって不愉快かつ悲惨な割には
あっけらかんと終わってしまったのが
かなり強烈に印象的。
どこぞやの田舎で街で…
有りそうで無さそうな物語。
ただ“子供が欲しかっただけなのに…”
興味の有る方限定で観て下さい。

おわらない物語~アビバの場合~
おわらない物語~アビバの場合~トッド・ソロンズ

アルバトロス 2005-12-02
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April 24, 2008

「コントロール」

[劇場映画]★★★★☆

数多くのミュージシャンの写真を撮ってきたフォトグラファー
アントン・コービンの映像作品は30年弱前に彼が出会ったバンド
ジョイ・デヴィジョンの亡きヴォーカル、イアン・カーティスの生涯を
1974年〜1980年まで描いた映画。
モノクロームのスクリーンに切り取られた完璧な構図の中に
悩めるバンド青年の姿が狂おしいまでに美しく映し出されていた。

_______________

「コントロール」
原題:CONTROL

製作国:イギリス/アメリカ/オーストラリア/日本(2007)
監督:アントン・コービン
製作:オライアン・ウィリアムズ/アントン・コービン/トッド・エッカート
原案:デボラ・カーティス『タッチング・フロム・ア・ディスタンス イアン・カーティスとジョイ・ディヴィジョン』(蒼氷社刊)
脚本:マット・グリーンハルシュ
撮影:マーティン・ルーエ
音楽監修:イアン・ニール
スペシャルサンクス:ニュー・オーダー

出演:
イアン・カーティス(サム・ライリー)
デボラ・カーティス(サマンサ・モートン)
アニーク・オノレ(アレクサンドラ・マリア・ラーラ)
フッキー(ジョー・アンダーソン)
バーナード・サムナー(ジェームズ・アンソニー・ピアソン)
ロブ・グレットン(トビー・ケベル)
トニー・ウィルソン(クレイグ・パーキンソン)
スティーヴン・モリス(ハリー・トレッダウェイ)
ケヴィン〈イアンの父〉(リチャード・ブレマー)
_______________

デビューアルバム1枚を残し1980年5月18日に23歳で自殺した
ジョイ・ディヴィジョンの亡きボーカル、
イアン・カーティスの学生時代から
結婚しバンドに入り自殺するまでを描いた作品。
監督が彼らとなじみの深いフォトグラファーのアントン・コービン。

ニュー・オーダーの前身バンドだと言う事と
度々カヴァーされている名曲達は知っていたが
イアン・カーティスについてはあまり知らなかった。
デヴィッド・ボウイやルー・リードのようになりたかった詩人のイアン。
無垢なデヴィーの笑顔に恋をし若くして結婚したイアン。
職業安定所の職員だった生真面目なイアン。

そんな彼がロックバンド、ワルシャワに参加し
ジョイ・ディヴィジョンとして本格的な活動を開始してから
ありがちなロック・スターの転落人生へとまっしぐら…
TV出演、アルバム制作、ツアの日々…
疲れからか癲癇の発作を起こし、以後持病となってしまう。
追っかけ記者との恋がきっかけで、妻や娘の存在がうっとおしくなってくるし
どんどん忙しくなり欧州、果てはアメリカツアーまで決定。
自分が思い描いていたヴィジョンとはどんどんかけ離れ
ステージでも癲癇の発作を起こし
加速してゆくバンドのサクセスストーリーの中で
自分の存在について自信が持てず、コントロール出来ず
家族と恋人の間で板挟みになり
ついにステージで歌えなくなってしまう…
それでも何とかやり直そうとするイアンだが
アメリカツアーを前に、命を断ってしまった…。
後に『ブルー・マンデー』という曲になる彼の最期。
ジョイ・ディヴィジョン時代の数少ないヒット曲の歌詞の意味が
コレを観る前と全く違って感じられた。

モノクロームなアントンの写真のようなシーンに
ニュー・ウェーヴ・ムーブメントの楽曲や
もちろんジョイ・ディヴィジョンのサウンドが流れ
頭をぐるぐる回って離れない。
とにかく主演のサム・ライリーの素晴らしい演技力
ライブ・パフォーマンスと常にどこか寂しげな表情が印象的だ。
パンフレットにも書いてあるが、特に似ているわけでもないのに
どんどんイアン・カーティスに見えてくるのだ。
劇中の彼らの演奏にも妙な迫力と狂気があり
グイと心の底をつかまれてしまう。

ミュージシャンにありがちな事だし
持病の癲癇の恐怖もあっただろうが
真面目すぎるゆえ、若さゆえ…
逃げ道を閉ざされてしまったのだろうか。
『LOVE WILL TEAR US APART』がとにかく心に沁みた…

〈東京では2008/3/25まで渋谷シネマライズにて上映中〉

B001B4LQ2Uコントロール デラックス版
サム・ライリー, サマンサ・モートン, アレクサンドラ・マリア・ララ, アントン・コービン
ジェネオン エンタテインメント 2008-09-10

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コントロール コレクターズBOX (初回限定生産)コントロール コレクターズBOX (初回限定生産)
サム・ライリー, サマンサ・モートン, アレクサンドラ・マリア・ララ, アントン・コービン

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コントロール
サントラ ニュー・オーダー デヴィッド・ボウイ

コントロール
スティル【コレクターズ・エディション】 アンノウン・プレジャーズ【コレクターズ・エディション】 クローサー【コレクターズ・エディション】 The Best of Joy Division シャドウプレイヤーズ - ファクトリー・レコードとマンチェスターのポスト・パンク 1978~81
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ジョイ・ディヴィジョンのシングル集
サブスタンス
ジョイ・ディヴィジョン
B00005LK2V

■ ミュージシャン系カテゴリー
■ 「ドニー・ダーコ」レビュー

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July 05, 2007

「明日の記憶」

[DVD映画]★★★☆☆

“若年性アルツハイマー”という病気の悲しい症状。
誰にでもあるちょっとした物忘れが
病気の兆候であったのが他人事とは思えない。
でも、極悪人が登場しないこの映画はとても暖かく
人とのつながりの大切さを教えてもくれた。

_______________

「明日の記憶」

制作国:日本(2005)
監督:堤幸彦
エグゼクティブプロデューサー:渡辺謙
原作:荻原浩『明日の記憶』(光文社刊)
脚本:砂本量・三浦有為子
音楽:大島ミチル

出演:
佐伯雅行(渡辺謙)
佐伯枝実子(樋口可南子)
伊東直也(坂口憲二)
佐伯梨恵(吹石一恵)
生野啓子(水川あさみ)
木崎茂之(木梨憲武)
吉田武宏(及川光博)
浜野喜美子(渡辺えり子)
河村篤志(香川照之)
菅原卯三郎(大滝秀治)

「明日の記憶」オフィシャルサイト

_______________

こういう失われる記憶系の作品を観ると
いつも気付くのが今の自分の幸福さと
周囲の人の存在の有難さ。

完成度の高さやリアルさはともかく、
渡辺謙さんの存在感はやっぱりすごい。
若年性アルツハイマーを
バリバリ働いている広告営業マンが
50を前にして突然この病に侵されてゆく様子を
美しく淡々と丁寧に描いている作品だった。

もの忘れ、めまいや、妄想、パニック状態など
当事者の身に起きた様子を映像的に何とか描こうと
本人の視野でのカメラワークが印象的だ。

樋口可南子演じる愛妻がとても良い妻で…
何て幸せな夫なのだろうと思った。
奥多摩での陶芸教室をとおして結ばれた
二人の恋愛ストーリーとして
美しくまとめあげているので
とにかく美しく切ない。

誰にでも経験した事があるようなささいな症状が
まさか自分の身にも…とつい考えさせられるのではないだろうか。
そして、自分に、近親者に…と思うと
日々生きる事の大切さ、人とのつながりの有難さ
をやはり感じざるを得ないのだ。
ちなみにこの映画には善人しか出て来ない。
だからかもしれないが、とてつもない優しさに包まれている。

こういった映画は
泣こうとして観る映画ではない…
“病気の存在を知る”ためにだ
と個人的にはそう思っている。

B000FPEMX6明日の記憶
渡辺謙 荻原浩 堤幸彦
東映 2006-10-21

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明日の記憶
荻原 浩
4334924468

明日の記憶 オリジナル・サウンドトラック
サントラ 大島ミチル 宮本文昭
B000EWBCEM

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July 04, 2007

「麦の穂をゆらす風」

[DVD映画]★★★★☆

アイルランド独立戦争を通して描かれるのは
ある意味普遍的な戦争の情景であり普通の人々個々の感情。
だからこそ、人の心に語りかけるのかもしれない。

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「麦の穂をゆらす風」

製作国:イギリス/アイルランド/ドイツ/イタリア/スペイン(2006)
監督:ケン・ローチ
脚本:ポール・ラヴァーティ
音楽:ジョージ・フェントン

デミアン(キリアン・マーフィ)
テディ(ポードリック・ディレーニー)
ダン(リーアム・カニンガム)
シネード(オーラ・フィッツジェラルド)
ペギー(メアリー・オリオーダン)

「麦の穂をゆらす風」オフィシャル・サイト
____________________________

戦争、紛争、ゲリラ線…
1920年のアイルランド独立戦争をとおして見えてくるのは
現在も続いている人間の悲しい本能と愛情の深さと脆さ。
これらが庶民の目を通してストレートに描かれるので
どうしようもないもどかしさが心に響く。

アイルランドの片田舎の農家ではじまりそして終わるのだが、
その間に起きた悲惨な出来事の数々…
戦争だから…それだけで片付けてはいけない
重い悲しい何ともいえないもどかしさが胸をしめつける。
1919〜1921年のアイルランド独立戦争を
1920年のある日から、とある兄弟の目線で丹念に描いている。

アイルランドへの英国の侵略に対抗するゲリラ戦。
少しもの寂しいけれど美しい緑の中で銃を構えて訓練する
農民や少年などの若い一般庶民で結成されている
アイルランド義勇軍〜アイルランド共和軍(IRA)達の姿。
犠牲になりながらも彼らを支え家を守り、強く立ち向かう女性達。

一機関士であったダンと出会ったあの事件。
戦争から逃げて医者になるはずだったデミアンが
幼馴染みを裏切り者として処刑したり
元同胞と闘わねばならなくなった経緯は
運命にしても悲しすぎる。
皆で投獄された時、代表者である「テディ・オドノヴァンは誰か?」と
英国軍に問われた時、すかさず「自分だ」と答えたデミアンだったのに…
仲間を裏切る事…真面目なデミアンの苦悩。
兄テディとの意識のずれが、更に弟の運命を変える…

野山の広がるアイルランド南部の町、コークを舞台に
時代に翻弄された兄弟を中心に
淡々と身近なエピソードとしてアイルランド独立戦争が描かれる。
休戦、そして、念願のイギリス・アイルランド条約。
だが、この時の条約による北アイルランドの帰属問題により
その後の革命運動を二分し新たな闘いを生み
さらにその後何十年もの間IRAは
形を変えいくつもの派閥に分裂しながら
現在も組織は存在している…

冒頭で村人達が可哀想なミホールのために歌った
映画のタイトルでもあるアイリッシュトラッドの曲
“THE WIND THAT SHAKES THE BARLEY”(麦の穂をゆらす風)
これを観終った後に再び歌詞を確認しつつ聴いてみると
自分の腕の中で恋人を失った、若い兵士の詩なのだ。
祖国のための闘い、恋人の死への恨みの闘い…
何ともいえない苦しみが、美しいメロディと共に流れ出る。

アイルランド人もイギリス人も他の国の人達も
個々では誰も闘いたいわけでも裏切りたいわけでもない。
そうしなければしょうがない状況
自分や家族や同胞が守れないから
命を落とした者に顔向けができないから
若い世代の未来が見えないから…なのだ。
この映画には戦争や人間の本質を問われている気がした。

世界中でくり返されている戦争や紛争
そして近年の数多くのテロ事件…
85年も前の事件だが、現在にまだまだ繋がっているのだ。
カンヌでパルムドール賞をとったの
井筒監督大絶賛(笑)もうなずける。
知っているようで知らなかったアイルランドの歴史。
ちなみに役者さん達は皆アイルランドにゆかりのある人達。
キリアン・マーフィーの変化してゆく切ない瞳がとても印象的であった。

B000NIVIPA麦の穂をゆらす風 プレミアム・エディション
キリアン・マーフィー ケン・ローチ ポードリック・ディレーニー
ジェネオン エンタテインメント 2007-04-25

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September 23, 2006

「電車男」

[DVD映画]★★☆☆☆

何だか憎めない初々しさがいい!
もう解説の必要もないオタク青年とお嬢様系美女の
ネット掲示板の書き込みに応援されて成就する?
実話をもとにした純愛ストーリー。

へ〜!なるほど!!
映画はこんな表現だったんだ〜。
と、思ったよりは面白かった映画版電車男
テレビ放映されていて、DVDで観ていたのを思い出した。
そういえば最近秋葉原に行っていないので、
ドラマや映画やドキュメント観てびっくり!
すっかり変わってしまったなぁ…
以前は外人とPCヲタばっかだったのになぁ…


アキバ系の彼女いない暦22年の22歳の男が
電車の中で酔っ払いにからまれる女性を助けたことから、
インターネットの掲示板でレスで応援されながら
出来過ぎた美女と結ばれるという、
心あたたまる逆タマ的純愛物語。
2005年公開の映画版。監督は村上正典

* * * * * * * * * * * * * * * *

「電車男」のドラマを先に観ていたので、
(ちなみに本は未読)
どうしてもあのキョーレツさと比べてしまうのだが、
突っ込み所が満載!!!!!

「そんな男はおらんやろ〜!
 こんな女はおらんやろ〜!!
 アノ役者があんな役するんかいな!」

得意のネットで情報収集、
掲示板のみんなに協力してもらいつつ
逆にみんなが励まされてゆくのがいい!
明らかに出来過ぎだけれども、
何だか微笑ましくて確かに元気がもらえるな。

電車男を演じるのが山田孝之くん。
「あんなヲタはおらんやろ!」
普通にイイ男で普通にカップルじゃん…
いや、
エルメスを演じるのが中谷美紀さん。
「あんな美人でええ女はおらんやろ!」
美しく、上品、性格も良く、素直で、優しい、
しかもある意味新鮮な?電車男を常に肯定してくれ、
更にドロドロした男女関係も希薄、
究極の母性を持つ、無機質な理想の女性像…
なんだかふわふわつかみ所の無い感じの女性だ。
お?こりゃ、アニメのヒロインではないか!
なんだ、
「実は似合いのカップルじゃん!!!!!」
と勝手に納得してしまった。
しかも経験上、育ちのいいお嬢さまの中には
意外と強烈に天然の人物は存在するので、
あながち無い話では…とすら思えたり。
男も女もチャンスはある!勇気次第!!そんな物語に、
何やらほんわか楽しむ事ができた。
恋人なんてモノは本人達が良ければ全て良し!!!
ネットのお友達もいいもんだ…と。

唯一残念だったのは…
最初と最後のドラマとリンクしたサービスと
ベタすぎのオチ。アレはしょうがないのかなぁ…

 

B000BDG2JO電車男 スタンダード・エディション
金子ありさ 村上正典 山田孝之
東宝 2005-12-09

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伊東美咲・伊藤淳史コンビの強烈なドラマ版。
この二人よりお色気OL役の白石美帆のキャラが印象深い(笑)
ドラマ版ほうがアニオタワールドを描こうとしていて、ディープな感じ。
オープニングとドラマの中のアニメーションも近々土曜深夜枠にて
『月面兎兵器ミーナ』?とかいうタイトルで実際にアニメ化するそう。
GONZOがちゃんと作ってくれるのならゼヒ観てみよう!!!
だから『電車男』のドラマも番外編が放送されるのか。
電車男 DVD-BOX
中野独人 伊東美咲 伊藤淳史
B0009VRGFM

大ヒットした書籍版
電車男
中野 独人
4104715018

 
映画「電車男」オフィシャル・サイト

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September 16, 2006

「ブロークン・フラワーズ」

[劇場映画]★★★★☆

最初から最後までジム・ジャームッシュ節全開!
可笑しくももの悲しい?とある初老の男の人生をふりかえる、
過去の女性を訪ねる旅とは…!

これもG.W.に劇場鑑賞したもの。
あまりにもゆるゆるのエチオピアン・ジャズが耳について離れないので、
速攻サントラを購入してしまった…♪
ホントにこの監督音楽のセンスがいい!!!
そしてビル・マーレイの軽妙な演技がこ映画にぴったり!
今回はかなり思わせぶりなストーリーなのに、
思わずにやにやしてしまう…そんな作品だ。
2005年カンヌ映画祭審査員特別大賞(グランプリ)受賞作した、
アメリカの鬼才ジム・ジャームッシュ監督のブロークン・フラワーズ
 

その昔はモテモテで、数年前にパソコンで成り上がって悠々自適な生活初老の男、
だが、なぜかちょっとヒッキー気味のドン(ビル・マーレイ)。
いっつも家でも外でもジャージ姿で無表情。
その日は同棲していた彼女は出て行ってしまったが、
特に引き止めるわけでもなく、ソファーでうたた寝する始末…。
そこへ一通のピンクの手紙が届いたのが、この物語の始まり。

『人生ってフシギないたずらをするものね。
 あなたと別れて20年が経ちました。
 息子はもうすぐ19歳になります。
 あなたの子です。
 別れたあと、妊娠に気づいたの。
 現実をうけいれ、ひとりで育てました。
 内気で秘密主義の子だけど、
 想像力は豊かです。
 彼は二日前、急に旅に出ました。
 きっと父親を探すつもりでしょう…。』

この手紙を見たお隣さんのウィンストン(ジェフリー・ライト)、
子だくさんで仕事を3つもこなし、しかもネットにはまりまくる、
どうやら推理小説好きな彼は盛り上がりまくり、
早速手紙の分析をはじめ、得意分野に興味津々…。
口ではイヤだと言いながらも、どうも手紙の内容が気になるドンの
そんな性格を知っていて、
勝手にドンの息子の母を探す一人旅を企画した。
そして彼の旅が始まった。

* * * * * * * * * * * * *

とにかく全編にわたって、
気まずさ満載、肩すかし満載、ナイスな音楽満載、
そしてキャスティングの絶妙さ!!!
このジム・ジャームッシュ節全開だ!

極めてコム・ジャームッシュらし〜い、ロード・ムービー。
あるきっかけで旅が始まり、ちょっとした夢とロマンを求めるも、
目にするのは求めたロマンとは違うしょっぱい現実の珍道中。
劇的な変化は無いのだが、沈殿した何かをちょっとかき回した事により
新たな何かは産まれ、そして少しいつもと少しだけ違った日常は続く…
そして冒頭の手紙の配送される所や「ドン・ファン」の映画に始まり、
あらゆる所でお得意の小ネタは満載!
ゆる〜いイカした音楽がまたとってもグ〜♪

女たらしでITで成功した金持ちなのに、なんだかとってもダメ男なドン。
20年前につき合った4人の女性の家と1人の墓を
着慣れないスーツを着込んでピンクの花束を持って訪ねでも、
どこでも古い恋人には、気まず〜い雰囲気。
めげずに手がかりののピンク色とタイプライターをチェックするのだが、
謎は解決される気配がない。
だが…どうしても気になるのは息子の存在。

登場する5人の女性それぞれのキャラが
それぞれの女優さんのこれまでのイメージと違っていて楽しめる!
・ピンクのスーツの出て行った恋人シェリー(ジュリー・デルピー
・ピンクのバスローブがお似合いの娘ロリータと二人暮らしのローラ(シャロン・ストーン
・ピンクの名刺を差し出す夫婦で不動産成金となったドーラ(フランセス・コンロイ
・ピンクのパンツでバリバリ動物と会話する?カルメン(ジェシカ・ラング
・ピンクのタイプライターが庭にあったライダースのペニー(ティルダ・スウィントン
まさかあの黒髪の女性が雪の女王だったなんて!!!
息子疑惑の青年はどこかで観たと思ったら
「ストーリー・テリング」に出ていたマーク・ウェバー
カルメンのアシスタントのちょっとセクシーなお姉ちゃんはクロエ・セヴィニー
そして何よりビル・マーレイ!!!!!
更に個人的にはジェフリー・ライトの図々しさもツボ。
彼らのすっとぼけた演技無くしてはカンヌで評価はされなかったであろう、
このキャステングの絶妙さたるや…ジム・ジャームッシュの手腕。

そして…感動的な結末は無い、あの肩すかし感。
よくも悪くも「ストレンジャー・ザン・パラダイス」のままというか…
ピンクへの徹底したこだわりや「ブロークン・フラワーズ」とは粋なタイトルもいい。
でも、人生の間に軽妙に優しさを吹き込んでくれて、
自分というものを見つめ直させてくれる、そんな作品だ。

ところで、「エリザベス・タウン」といい、
車の旅のプランニングやBGMを作るのって流行なのかな?
 

B000I8O8Y8ブロークンフラワーズ
ジム・ジャームッシュ ビル・マーレイ ジェフリー・ライト
レントラックジャパン 2006-11-24

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映画「ブロークン・フラワーズ」オリジナル・サウンドトラック
サントラ ザ・グリーンホーンズ・ウィズ・ホリー・ゴライトリー ムラトゥ・アスタトゥケ
B000EMH89U

 

B000I0RDOSジム・ジャームッシュ / アーリー・コレクションDVD-BOX (初回限定生産)
ジム・ジャームッシュ クリス・パーカー リーラ・ガスティル
キングレコード 2006-11-22

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待ってましたっ!ジム・ジャームッシュ監督の初期代表3作DVDがBOXで再発売! 「パーマネント・バケーション」「ストレンジャー・ザン・パラダイス」「ダウン・バイ・ロー」を収録。BOXには「ダウン・バイ・ロー特典ディスク」つき

ジム・ジャームッシュ作品集 DVD-BOX 1989-1999
ジム・ジャームッシュ 工藤夕貴 ジョー・ストラマー
B0007IMMTM

こちらは中期の4作品のDVD-BOX。
「ミステリートレイン」「ナイト・オン・ザ・プラネット」「デッドマン」「ゴースト・ドッグ」を収録。スリムケースでコンパクト。ポストカードセット付。

ジム・ジャームッシュ
4924609757
結構充実していて重宝している2000年発行の書籍。「パーマネント・バケーション」「ストレンジャー・ザン・パラダイス」
「ダウン・バイ・ロー」のシナリオも掲載されている。

ジム・ジャームッシュ
遠山 純生
4872951034

2006年5月に発売されたジム・ジャームッシュ本。
『パーマネント・バケーション』から『ブロークン・フラワーズ』まで、ジム・ジャームッシュ監督の作品紹介、監督のインタビュー&コメント、彼をとりまく人々のコメントが、濃厚かつコンパクトにまとめられている。
懐かし〜いあのシーン、このシーンなどの写真もふんだんで、本の厚さに対しては、意外と読み応え有!
 

「ブロークン・フラワーズ」オフィシャルサイト

■ 映画「コーヒー&シガレッツ」レビュー
■ ジム・ジャームッシュ監督の愛すべき作品達

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September 15, 2006

「ぼくを葬る」

[劇場映画]★★★★☆

前作でオゾンさんどこへゆくの?と思ったが、今度はこっちだったのね…。
ある日突然宣告され決定しなければならない自己の死に様。

どうしても今回は劇場で観たかったのでG.W.に鑑賞した。
終了後、無言状態の劇場が映画のテーマの深さを物語っており新鮮だった。
前作の「ふたりの5つの分かれ路」で何かが起きた?オゾン節。
しかも「まぼろし」の“最愛の人の死”に続き、…今回は“自分の死”を描く。
この重いテーマをオゾンがどう描くのかはいへん興味深かった。
 
監督は気になっているフランスの若手監督フランソワ・オゾン
2005年フランスで制作されたぼくを葬(おく)る」。
原題は「LE TEMPS QUI RESTE」。
  
31歳の売れっ子ファッション・カメラマンのロマン(メルヴィル・プポー)は、
ある日撮影中に倒れてしまう。
医者にかかったところ、末期癌で余命が役3ケ月と宣告された。
まだ若いロマンに、医者は放射線や点滴での治療をすすめるのだが、
ロマンは治療を拒絶する。

同性愛者のロマンの恋人サシャ(クリスチャン・センゲワルト)に
冷たい言葉を浴びせ別れを決意し、
家族に告白しようとするが、どうしても言う事が出来ず、
父(ダニエル・デュヴァル)母(マリー・リヴィエール)には心配かけないよう
更に姉(ルイーズ=アン・ヒッポー)とは仲違い。
仕事を辞め、唯一祖母のローラ(ジャンヌ・モロー)にだけは病気の事を打ち明けた。
なぜなら…
“おばあちゃんは、僕に似ているから…”

そんな時、たまたまカフェで出会った
ウエイトレスのジャニィ(ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ)夫婦から
持ちかけられたのは“代理父”の依頼。
運命に怒り、周りに心配をかけないように己を孤独に追いやって、
どんどん弱ってゆくロマンに、姉からの手紙で転機が訪れる。
“子供”を意識している事に気付いたロマン。
幼い自分の記憶と幻に出会った時に何かが起きた。
自分と向き合い、今出来る事を遂行し、自分を葬る準備を始める…。
美しいと思ったシーンを切り取るカメラ。
ニコンの一眼レフからコンパクトカメラに変わってからの彼の撮る写真は、
きっと彼の宝物で天国へ持ってゆきたい写真に違いない…。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

ある日突然つきつけられる、限りなく近い将来に起きる人生の終焉。
その当事者は病と死への恐怖の中で、
残された人生で行うべき事を短時間で決定せねばならない。

全ての人は孤独に生まれ、孤独に逝く運命を持っている。
その間の限られた人生を如何に生きるか、そして死ぬのか…それが人生。
ロマンを通して自己の人生観が感情と共にえぐり出される気分になった。
リアルで普通な何という事の無いシーンに込められたロマンの想い。
ロマンを演じるメルヴィル・プポーの繊細に揺れ動く感情と
遠くを見つめるかのような美しい瞳、
そして衰えてゆく肉体の変化に、胸をしめつけられる。
祖母を演じるジャンヌ・モローの孫への言葉
“今夜お前と死にたい”。
唯一信頼している肉親の愛情がこもったその言葉には、
ロマンと共に目頭が熱くなった。
余談だが、子供時代のロマン役の少年(ウゴ・スーザン・トラベルシ)の
くりくり巻き毛と瞳がメルヴィル・プポーと似ていてこれにまたグッとくる。

偶然に出あった人に自分の生きた証を委ね、
愛した人から愛されていると知る事が出来たロマン。
突然訪れたつらく悲しい物語を描くのではなく、
何かに立ち向かい得る夢や希望を描くのでもなく、
人間の本能と事実を受容し、自分の死に様を決めた一人の男の心の動きを
極めて間近から繊細に優しく描いた作品だと思う。

少ない余命で何を残せるか…

イザベル・コヘット監督の「死ぬまでにしたい10のこと」も同じようなテーマだったが、
あちらは若い母親だったので、女としてしておきたい事、
旦那や子供達に残しておきたい事、
娘として両親にしておきたい事を綴っていた。
こちらは独身で同性愛者、人生の成功者であった若い男性。
心の動きはおのずと違ってくる。
前者では限界まで母性を与え、後者では母性を求めている気がした。

ちなみに、治る可能性が5%以下と言われ治療を拒否したロマン流の生き様。
後悔しないよう治療する方法をとり、癌と戦う決意をするという生き方。
“健康で死にたい”というロマンの祖母の生き方が最も望まれるものだろうが、
病気…特に癌などの病の場合は、本人の悔いの無いようにするのが一番だと思う。
特に早期発見の場合完治出来る可能性が高いので、もちろん治療すべきだろう。

こんな仕掛けや謎の無い、
フランソワ・オゾン作品は初めて!

円熟したというか、人生の折り返し地点にきたからか…
ほぼオゾンと同じ年代の自分にとっては見事に心に響いた。
これまで常に死と生と性、その源の水=海、そして女の強さと怖さ、男の弱さ…。
表現方法は違っても、常に根源にあるものは同じなのかも。
ちなみに今後“子供の死”をテーマにした作品の予定もあり3部作にしたいそう。
次回作は英語で撮っているという噂だが、こちらはどんな内容なのか楽しみだ。

本作のオゾンの定番のラストシーン。
いつもと違い、悲しい場面なのになぜか優しい安心感がある。
 

「ぼくを葬る」オフィシャルサイト

ぼくを葬るぼくを葬る
フランソワ・オゾン メルヴィル・プポー ジャンヌ・モロー

ふたりの5つの分かれ路 スイミング・プール 無修正版 8人の女たち デラックス版 まぼろし<初回限定パッケージ仕様>
焼け石に水 ホームドラマ クリミナル・ラヴァーズ 海を見る

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September 14, 2006

「ふたりの5つの分かれ路」

[DVD映画]★★★★☆

オゾン作品としてはもの足りないが、
何でも無い物語がちょっとしたミステリーになっている。
やっぱり女は強くて怖い…

違った意味で衝撃的?だったこの作品。
オゾン節が変化してきた???
監督は気になるフランスの若手監督フランソワ・オゾン
音楽はフィリップ・ロンピ
原題は「5X2」。2005年公開の作品ふたりの5つの分かれ路
 

冷めきった夫婦の離婚の場。
子供とともに、生きてゆく事にした自由で強い女。
誰かと寄り添ってゆかなければ生きてゆけない未練たっぷりの男。
ここに至るまでのこの夫婦の愛の経緯とは???

* * * * * * * * * * * * * * * *

“愛は変化し崩壊するものだ”

と定義し、その過程を見せつけるのがこの作品。
新しい手法では無いが時間軸を逆にし
ある1組のカップルの離婚から出会いまでを
“別れ”→“裏切り”→“出産”→“結婚”→“出会い”
の5つのエピソードを描く事により、
何でもない物語をうまく謎解きにしている。
レトロでメロウな音楽やイタリアンポップがとても印象的。

最初は乱暴で酷い男に思えた夫ジル(ステファン・フレイス)が、
どんどん哀れに思え、
最初は可哀想な妻に見えた妻マリオン(ヴァレリア・ブルーニ=テデスキ)が、
どんどん力強く奔放に思えてくる。
いや、そもそもがそうだったから
5つの分かれ路を経てこの結婚は崩壊したのだ…。
彼らの愛の絶頂は結婚式だった。
 
カップルになった男女の心の嫌な所と禁断の行為を
美しいビジュアルを駆使しつつ極めてリアルに描き出す。
オゾンお得意の、エロティックかつ暴力的な表現、
それとは逆の愛ゆえの美しく明るく優しい表現の対比の妙で
ドラマティックに見せるのはさすがだ。
心に残るのがマリオンの両親、
父ベルナール(ミシェル・ロンダール)と
母モニク(フランソワーズ・ファビアン)のダンスと
ジルの兄クリストフ(アントワーヌ・シャピー)と恋人とのダンス。
ジルの元カノのヴァレリー(ジェラルディン・ペラス)の山歩きのシーン。
この夫婦とは別の愛の形がそこに垣間見える。

そして、この映画にも出てくる『海』。
生命の源、そして帰ってゆく所。
それは愛も同じなのか?
打ち寄せ引く波。どこまでも広がる母なる海。
オゾンの海はまだまだ広がり続ける。

「ふたりの5つの分かれ路」オフィシャルサイト

ふたりの5つの分かれ路ふたりの5つの分かれ路
フランソワ・オゾン ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ ステファン・フレイス

ぼくを葬る スイミング・プール 無修正版 8人の女たち デラックス版 まぼろし<初回限定パッケージ仕様>
焼け石に水 ホームドラマ クリミナル・ラヴァーズ 海を見る

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『ふたりの5つの分かれ路』(原題:「5×2」)オリジナルサウンドトラック
フィリップ・ロンビ サントラ
B0009V1ETG

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September 10, 2006

「バッシング」

[劇場映画]★★★★☆

小林政広監督の真骨頂?エンターテイメント性はゼロ!
極力ドキュメントタッチで描かれた、
重いテーマだがなかなか見応えのある作品。


やっと観ることができた!
公開まで長い道のりだったバッシングだ。
小林政広監督が2005年のカンヌでコンペティションに出品、
レッドカーペット歩いたのだが、結果賞は取れなかったが
報道され話題になった問題作。
その後、日本ではなかなか公開が決まらず、
昨年の夏の第6回東京フィルメックスでグランプリを受賞し、
本年2006年6月やっと渋谷のイメージフォーラムでの劇場公開が開始され
その後各地で細々と公開されている。

非武装地帯へボランティア活動に行っていた有子(占部房子)は
誘拐され人質にされたのだが、日本政府のおかげで無事帰国。
だが、彼女ととその両親が、自己責任について有子を批判
周囲の人々から“バッシング”を受けるその経緯を
ドキュメントタッチで描いたちょっと重い作品。
もちろん小林作品、予算は、無い。
いつもの北海道ロケで、いつもの淡々とした撮り方だ。
だが、この作品のインパクトは…いつもと異なった。

小林フリークとして、これが話題になり評価されたというのは納得。
これまでの作品は感情移入出来ないというかさせないというか…
そういうシュールな世界を妙にリアルに描いていたのだが、
今回はネタがタイムリーでリアル(フィクションだが)。
主人公の有子やその父(田中隆三)、義母(大塚寧々)、
有子を解雇したホテルの社長(香川照之)など、
彼らを敬遠、中傷する人々は決して我々から遠くない存在だ。
いつ自分がその中の誰かになるかもしれない…そんな脅威、
観るものをいやがおうでもこの問題の中にひきずり混む勢いがあるのだ。

「この国じゃ、皆が怖い顔をしている。」
「皆が喜んでくれる、あの顔が見たい」

失敗だらけで居心地の悪い日本での生活から逃げ、
海外の非武装地帯でのボランティア活動に生き甲斐を感じ、
そこにしか自分の存在価値を見いだせない有子の行動は
余りにも安直で、必ずしも正しいとは言えない。
自分の人生を投げ打って苦しんでいる人々に手を差し伸べるのは
なかなか出来ない殊勝な行動だ。
しかも、行っているのは“人助け”なのだ。
彼女の人生だから、彼女が生きたいように生きれば良い。
ただ…彼女の動機は家族を追い込んでまでの大義なのだろうか?
自分の行ったことで周囲にどんな影響を与えるのか、
国の警告をふりきって、紛争地帯に行くという事は、
もはや一個人としてだけでなく、
誰もが母国を背負っているという事を自覚をしていない。
そんな彼女には理想論や大義名分では済まされない
個人的にも悲惨な結果が待っていたのだが…

だが、ここに描かれているのは
そんな彼女とその家族の受けた、
匿名での“バッシング”
権力をかざしての“バッシング”
直接手を下す“バッシング”
社会からの“バッシング”
人が人を追いつめる醜い行為だ。

決して全面的に褒める事は出来ない有子の行動だが、
凶悪犯罪を犯したわけではない。
どちらかといえば現地で凶悪犯罪にあった被害者である。
命を落としたらヒーローであった。
国の…国民の援助で帰ってきたらまるで犯罪者扱い。
この皮肉な結果で何を学ぶべきだろうか。

あらゆる登場人物の立場にたってみると
現代社会のあらゆる混沌とした矛盾が浮き彫りになり、
有子の痛々しさが際立ちまくる。
こんなに深く考えさせられた小林作品は初めてで
とても新鮮だった。
 
 
元ミュージシャンの小林監督の歌う「バッシング」エンディング曲
寒かったころ
小林政広
B000FDF124

「バッシング」オフィシャルサイト

 
小林政広監督の初期3作品のDVDが2006/7/29発売された

クロージング・タイム ◆20%OFF! クロージング・タイム

海賊版=BOOTLEG FILM ◆20%OFF! 海賊版=BOOTLEG FILM

歩く、人 ◆20%OFF! 歩く、人

映画監督小林政広の日記 映画監督小林政広の日記
小林政広監督のブログ本。

神楽坂映画通り 神楽坂映画通り
小林監督の自伝本。

→「歩く、人」レビュー
→「KOROSHI 殺し」レビュー
→「フリック 完全版」レビュー

■小林政広監督の映画レビュー

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February 03, 2006

「欲望の法則」

[DVD映画]★★★★☆

嫉妬に狂うバンデラスのあんな顔やこんな顔に、もうびっくり!
愛と野望ゆえの悲劇を描いたアルモドバルの初期の作品。
数々のタブーに挑戦しながら様々な愛と欲望について描くアルモドバル節は
最初から結末まですでにがっちり詰まっている。

監督・脚本はスペインの奇才ペドロ・アルモドバル
カルメン・マウラが女性っぽすぎるけど(笑)性転換した人物を好演。
映画のラストで予告しているとおり、
昨年公開された「バッド・エデュケーション」の原点ともいえる、
1987年スペイン制作の映画「欲望の法則」。
 

売れっ子映画監督パブロ(エウセビオ・ポンセーラ)は新作も大盛況!
パブロの姉(兄)のティナ(カルメン・マウラ)は男嫌いで、
友人の娘アダ(マヌエラ・ベラスコ)を引き取り一緒に暮らしていた。
このティナを主役にした次の映画を現在パブロは企画し脚本を書き進めている。
内容は明かしていないがパブロの意欲は満々だ。

だが、パブロは美青年の恋人ファン(ミゲル・モリーナ)とは
愛しあいつつもいまひとつ馴れ合いすぎて冷めた状態。
ファンが休暇で帰郷し、しばらく距離を置くことになって
はじめて彼への愛へ気づくき、彼のスクーターにキスをしたり、
あげくの果てには自分宛の手紙をファンに送って、
それを返信してもらい読んでいる始末…。

そんな寂しいパブロの前に、少し前から気になっていた
好みの黒髪の美青年アントニオ(アントニオ・バンデラス)が現われた。
積極的な彼とフラフラと一夜を過ごしてしまったのだが…
パブロの崇拝者であり俳優にも興味のあったアントニオは
女性が主人公だという次回作を意欲的に書くパブロの姿、
せっせとファンに手紙を送るパブロの行動、
色々身の回りにも尽くそうとする自分に冷たいパブロの態度、
そんなパブロの愛するファンに嫉妬の念が強まるばかりだった…。

* * * * * * * * * * * * * * * *

冒頭の映画のシーンからゲイ・ワールドが炸裂!
こちらの方がドロドロした問題作だろう。
全ては愛と欲望によって行われる人間関係と悲劇を描く。
様々な愛と禁断のテーマ、鮮明な赤い色、印象的な劇中劇と音楽、
熱い視線と好奇心…そして母性。
濃厚なアルモドバル色も既に出来上がっている。

そもそも罪なのは監督パブロ。
距離を置く事に決めたけれど、恋しさが募るならすぐ追いかけようよ!
忘れられない恋人がいるにも関わらず、
寂しいからと自分に憧れる未経験な青年と一夜を過ごしてしまうから…
そりゃ、逆恨みされるだろうと気づこうよ!!
そしてそんな相手とは綺麗に別れようよ!!!
しかも兄弟の秘密を暴露するような映画は、
書きはじめる前にちゃんと断ろうよ!!!!!
恋は盲目といえど彼の甘い考えで、
悲劇の傷が大きくなってしまった…。

厳格な家庭で育ったおぼっちゃまのアントニオは、
面子を保ちつつも自分の思い通りにしなければ気が済まない。
パブロの元恋人で今も愛されているファンにどんどん嫉妬が加熱。
パブロと同じ柄のシャツを求めてしまうアントニオ。
ファンのように手紙が欲しいアントニオ。
どうしても彼らと同じ事がしたいのだ。
そんな幼稚さがあるアントニオのために
可哀想なファンはこの三角関係の犠牲となった。
そして自分の犯した罪を隠すため、
追い詰められたアントニオの稚拙な行動は、
最後の最後まで欲望に忠実なのである。

ティナとバブロの兄弟、そして母親よりもティナになついているアダ、
この3人の関係には絶対的な思いやりが溢れていていい。
過去に愛した二人の男性については、怨みよりも愛のほうが深いのか、
ティナは彼らに対する陰口は決して言わない。
余計な詮索をあまりしない弟パブロの事も、肉親として最も信頼し愛している。
過去の経験から男嫌いのティナは複雑な心境だろうが、アダに対しては
自分の理想の母親像を憎まれ口をたたきながらも嬉しそうに演じている。
だからアダも素敵な大人の女性?ティナに憧れており、彼女の事がお気に入り。
もちろんティナの弟のパブロの事も父親になって欲しいくらい大好き!
この3人は、はたから見ても普通の“家族”。
ところが、交通事故でパブロが記憶喪失になっている間に、
その“家族”に入り込んだ男がまさかのあの男!!!
しかも目的はパブロの愛を得るため。
それを知った時のパブロのショックは尋常では無かったであろう。
極限状態でのベッドでパブロとアントニオは何を考えていたのだろうか。
アントニオはきっとそうするしか無かったのだろうけれど…。

誰もが愛によって人生を狂わせてゆくのかもしれない。
それは良い方にも悪い方にもちょっとしたきっかけで急転回する。
欲望に身を任せすぎてもいけないし、押し殺しすぎてもいけない。
そのタイミングと人物を見極めないと悲劇が起きかねないのだ。

ラストに同じようなテーマの作品が制作される事が予告されている。
きっと監督は各キャラクターについてまだまだ描き足りなかったのではと思う。
幼児体験の影響や恋に堕ちる瞬間、そして犯罪に手を染めてしまう過程…。
「バッド・エデュケーション」ではこのあたりを含めて
見事にサスペンス・タッチで描かれていたので、観比べてみても面白いかも!

ペドロ・アルモドバル・セレクション DVD-BOX
ペドロ・アルモドバル
B0007KT1EE

現在単品では入手出来ない「欲望の法則」(1987年)と
「ライブ・フレッシュ」(1997年)の2本セット。
特典映像は無いがそれぞれにモノクロの解説ブック付。

■ 映画「バッド・エデュケーション」のレビュー
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January 26, 2006

「Shall we Dance?」

[DVD映画]★★★☆☆

オリジナルに忠実に作られているのにびっくり!
ハリウッド版は洗練されていて素敵すぎ!!

なんてステキなリチャード・ギア!
やはり社交ダンスはアチラの方が踊ると違うなぁ。
身体のバランスと文化の違いをあらためて感じてしまう。
監督はピーター・チェルソム
2004年に制作されたハリウッド版「Shall we Dance?
 

シカゴ遺言書作成専門の弁護士をしているジョン・クラー(リチャード・ギア)は、
デパートでバリバリ働く妻ビヴァリー(スーザン・サランドン)と2人の子供達共に、
平穏ながらもちょっと寂しく虚しい生活をしていた。
そんなある日、ジョンはいつもの通勤電車の中から見えるダンス教室の窓の美女
ポリーナ(ジェニファー・ロペス)の姿にドッキリ。
思わず電車から降りてダンス教室へ向かい成りゆきで通う事に…
だが、最初はポリーナ目当てだったのだが、
同じ日に入会した色男チック(ボビー・カナヴェイル)と
おデブなヴァーン(オマー・ミラー)と共に
どんどん“ボールルームダンス=社交ダンス”の楽しさに夢中になってゆく。
そしてここには強烈なラテンな二人、
明るくパワフルなママさんダンサーボビー(リサ・アン・ウォルター)と、
実はジョンの会社の同僚で常にダンスの事を考えており、
激しく踊りまくる熱い男リンク(スタンリー・トゥッチ)が居た。
優しいミス・ミッツィー(アニタ・ジレット)と、
どこか影のある孤独さを感じさせる実力派のポリーナは
彼らを“ボールルームダンス”のコンテストに出場させようと熱心に教え始めた。
さすがに最近帰りが遅くて挙動不審な夫ジョンが気になり出したビヴァリーは、
ディバイン探偵(リチャード・ジェンキンス)にジョンの浮気調査を依頼した…
さて、クラー夫妻の行方は…??
コンテストはどうなる?

* * * * * * * * * * * * * * * *

日本版、周防正行監督の「Shall We ダンス?」は
もう、生真面目すぎる役所広司さんのおかしさや、
渡辺えり子さんとと竹中直人さんの強烈なキャラクターにあてられて、
公開当時劇場で鼻血出すほど笑った記憶が…。
現代においてはもはや一般の人はまず踊った事が無い社交ダンス。
マイナーながらカルチャー・センターなどでは根強い人気はあったが、
社交ダンス教室に通うというのは、ちょっとマイナー嗜好というイメージがあった。
そこにスポットライトを当てて、これまた生真面目な普通のおっさんを通わせ、
社交ダンスに目覚めてハマりまくって大会へ!!!!!
この、ちょっとイケない感じが良かったんだけれど、
“ハイスクールの卒業式”で普通にペアでダンスを踊るアメリカさんでは、
マイナ−感がちょっと希薄なのでは?
それともすごくお堅いイメージなのだろうか??

だが極力日本版に忠実に制作した感が溢れていて、好感が持てた。
アメリカで電車で通勤という都市も少ないらしく、シカゴでロケになったそう。
日本版で渡辺えり子の役のボビーなんでキャラや声までソックリ!
ラテンな兄さんリンクのズラ振り回す濃いダンスも竹中直人を彷佛させた。

ジェニファー・ロペスは普通に綺麗だけど、
とにかくリチャード・ギアがキュートでダンディーで素敵すぎ。
妻の存在がハリウッド版では大きく描かれており、
仕事もディスプレーでバリバリやっている。
でも、夫の愛を求めているのは同じ。
職場にあんなバラの花持って、あんなステキな旦那が迎えに来たら!
日本ではサムいけど、リチャード・ギアならアリでしょう!!
人妻の胸の谷間にメロメロな探偵のオヤジも可愛かった。

ダンスにせよ、小さなエピソードにせよ、
向こうの人はスマートなのが綺麗すぎた。
ちょっとイケナイ感じのする日本版のほうが、
個人的にはグッときたな。

Shall we Dance ?(初回限定版)
リチャード・ギア 周防正行 ピーター・チェルソム
B00067HDVQ

「Shall we Dance?」オリジナル・サウンドトラック
サントラ ザ・プッシーキャット・ドールズ ゴタン・プロジェクト
B0007WZUNI

オリジナル日本版
Shall We ダンス? (初回限定版)
役所広司 周防正行 草刈民代
B0001JZHHG

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January 11, 2006

「バッド・エデュケーション」

[DVD映画]★★★★★

欲望と情熱と好奇心。ゲイの愛、絶対的な母性に対する憧れ。
監督の描く愛の形の根源がここに描かれているのかも…。

ペドロ・アルモドバル監督による
ゲイとゲイでは無い全ての人に捧げられたこの物語。
派手で大胆な色彩と美しい構図、描かれるのは生々しい人間の欲望と愛。
感想は賛否両論、男同士の絡みが苦手な方には勧められないが、
ちょっとしたサスペンス仕立てにより素直に楽しめた。
アルモドバル節は円熟しながらも健在だ。
2004年制作のスペインの作品「バッド・エデュケーション」。
原題は「LA MALA EDUCACION」。
 
1980年、マドリード。
映画の元ネタを収集している新進気鋭の映画監督エンリケの事務所に、
神学校寄宿舎時代の親友イグナシオと名乗る
役者志望の髭面の青年が売り込みにやってくる。
彼は自分の書いた映画の脚本を読んで欲しい、
そしてエンリケの映画に出演させてくれと言うのだが、
エンリケは少年時代と変わってしまった彼の風貌や、
イグナシオではなくアンヘルと呼んでくれという彼の言動に戸惑いつつも
ぐいぐいその脚本に惹きつけられていく。
何故ならそこに彼らの寄宿舎での少年時代の秘密が描かれていたのだ…。
初恋のイグナシオ、彼の脚本「訪れ」にも関心を抱いたエンリケは
この「訪れ」を映画化する事を決意した。
そして、制作が始まったのだが…
エンリケはイグナシオについての隠された真実を知ってしまう…。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * *

購入していたDVDをやっと観ました。
やはり…巨匠!大好きですっ!!
 
とにかく熱い視線!!
登場人物それぞれの熱っぽい視線がたまらない。
・突然現れた同級生だという美しい青年イグナシオ(ガエル・ガルシア・ベルナル)を
 好奇心と共になめまわすように見る映画監督エンリケ(フェレ・マルティネス)。
・その監督に対するこれまた熱っぽい青年イグナシオの情熱的な視線。
・天使の歌声の少年イグナシオ(ナチョ・ペレス)を
 涙を流さんばかりに見つめる若いマノロ神父(ダニエル・ヒメネス・カチョ)。
・その初恋?のイグナシオにちらちら目線を配る
 同級生の少年エンリケ(ラウル・ガルシア・フォルネイロ)。
・劇中で登場するサハラ(ガエル・ガルシア・ベルナル)の同僚
 ゲイの歌手パキート(ハビエル・カマラ)の男性を品定めする目。
・ベレングエル編集長(ルイス・オマール)のアンヘルを見つめる愛に狂える視線。
などなど…
男達の視線はなんと情熱的かつ欲望的なのだろう!!!
そしてその情熱と尽きる事の無い欲望は年月を経て数々の悲劇を生むのだ。
 
これらとは逆に遠巻きながら包み込むような女性達のあたたかい想いと眼差し。
絶対的な愛情をもって息子を信頼する、笑顔を絶やさないイグナシオの母と叔母。
目立たずさりげなく世話を焼く、若いメイクの女性(レオノール・ワトリング)。
彼女達が今回登場が少ないながら妙に印象的であった。
ここにはアルモドバル監督の母性に対する憧れや、
ある種のマザー・コンプレックスなどが表現されているのかも。

サハラを演じるガエル君の美しい女装、イグナシオとして見せる初々しい裸体…
反して、彼の中で渦まく欲望を見せる小悪魔的な表情の変化。
エンリケを演じる情熱家ながら繊細で冷静な部分も持つ、
フェレ・マルティネスの不思議な存在感。

エンリケの劇中映画「訪れ」のシーンを回想に使用し、
隠された真実をラストに向かってどんどん解明してゆく、
ちょっとしたミステリー的な展開もこの上なく上手い。
禁断の愛にふりまわされる様々な男達の欲情と欲望。
くり返し語られる新聞記事のネタ、ワニに食べられて死んだ女性の記事。
好奇心と欲望に勝てずに破滅に向かうと判っていながら
愛というものにふりまわされ続ける、そんな不器用な人間達が好きでたまらない監督。
鮮やかな色彩と共に、常に“様々な愛”について描き続ける
アルモドバル監督の情熱と好奇心の根源にふれた気がする、
生々しく美しいゲイ達の愛憎劇を描いた秀作だ。

[特典映像]
・ペドロ・アルモドバル音声コメンタリー
・削除シーン
・メイキング
・フェレ・マルチネス来日インタビュー
・オリジナル/日本版予告編
・ポスター・ギャラリー
・ジャンポール・ゴルチエ衣裳デザインギャラリー
 
バッド・エデュケーション
フェレ・マルチネス ペドロ・アルモドバル ガエル・ガルシア・ベルナル
B000BH4C42

オール・アバウト・アルモドバル BOX
フェレ・マルチネス ペドロ・アルモドバル ガエル・ガルシア・ベルナル
B000BHHYIS
特典映像が全てに付いているのでこれを購入。
「オール・アバウト・マイ・マザー」と「トーク・トゥ・ハー」そして
「バッド・エデュケーション」の3本入りのボックス。
3面デジパックのなかなかオシャレで豪華なパッケージ。
簡単な監督コメント・カード入り。 
 
バッド・エデュケーション ヴィレッジブックス
バッド・エデュケーション
ペドロ アルモドバル Pedro Almod´ovar 佐野 晶
4789725170

「バッド・エデュケーション」オリジナル・サウンドトラック
サントラ サラ・モンティエル ヴィヴァルディ・イプシ・カタルーニャ少年合唱団
B0007OE5F0

 
■ 映画「オール・アバウト・マイ・マザー」のレビュー
■ 映画「トーク・トゥ・ハー」のレビュー

■ ペドロ・アルモドバル監督の作品紹介はこちら
 

「バッド・エデュケーション」オフィシャル・サイト
 

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December 24, 2005

「姉のいた夏、いない夏」

[DVD映画]★★☆☆☆

えぇ…そっちの話しですか???
またもや予告編から想像もつかない展開で、正直ちょっとびっくりした。

監督・脚本はアダム・ブルックス。
原作はジェニファー・イーガンのベストセラー小説『インヴィジブル・サーカス』。
これは革命を夢見た亡き姉の軌跡を追い、
真実を知りその幻から卒業しようとする妹の旅の物語。
姉フェイス役のキャメロン・ディアスと
少女時代の妹フィービー役のカミーラ・ベルが
父親とかくれんぼをして遊ぶその笑顔がなぜか涙を誘う、
2000年アメリカで制作された作「姉のいた夏、いない夏」。
 
1976年。
高校を卒業したフィービー(ジョーダナ・ブリュースター)は、
母親ゲイル(ブライス・ダナー)と二人でサンフランシスコに住んでいた。
病気で亡くなった父親(パトリック・バーギン)の影響で
ヒッピー・ムーヴメントにのめり込んでいた
フェイス(キャメロン・ディアス)という姉がいたのだが、
7年前、同士であり恋人の青年ウルフ(クリストファー・エクルストン)と
ヨーロッパへ旅に出て、旅先で自殺してしまったのだ。
信頼していて仲の良かった姉の事が常に心にひっかかっており、
どうしても自殺したと信じられないフィービーは、
父親の残してくれたお金で、姉の旅の足跡を彼女からのハガキを頼りに追う事にした。

* * * * * * * * * * * * * * *

まず、パリに着いたフィービーはウルフを訪ね…それからベルリンへと向かう。
懸命に姉の幻を追いながら、どんどん情緒不安定になってゆくフィービーに、
今はフランス人の恋人クレール(イザベル・パスコ)と暮らしをしているウルフは、
これまで隠していた出来事を語り出した…。

天真爛漫で感化されやすいフィービーは、
エリック(モーリッツ・ブライプトロイ)率いる
ウルフ達とはまた別の過激派組織に参加していたというのだ。
フィービーはそこで人命に関わる事件に関与し、悲惨な結果となり、
ずっと自分を責め続けていたらしい…。
革命運動から距離を置きはじめたウルフの愛情は、彼女の心を救う事が出来なかった。
フィービーとウルフは二人でフェイスが亡くなったという、
ポルトガルのエスピシェル岬へ向かい、
真実と向き合おうと決意するのだ。
 
ある姉妹の歩んだ時代。1960〜70年代。
アメリカでも日本でも…いや、全世界で夢をみた若者がいた。
だが、それはまだまだ幻想だった…そんな時代。
画家になりたかったが仕事にしばられていた父親の死と、
政治的であり、刺激的であるヒッピー・ムーブメントの影響。
自由を求めるあまりにも純粋な精神を持つフィービーにとって、
それはとてつもなく魅力的でかつ重大であったのだろう。
ウルフはそんなフェイスについて行けなくなるが、
真直ぐに進み続ける危なっかしいフェイスが限り無く愛おしかった。
そんな中での悲劇とフェイスの遺言がウルフを長年苦しめていたのだ。
そこに現れたフェイスの妹、懐かしいフィービー。
明るく優しく魅力的だった憧れの女性の姉のフェイスになりたかったフィービー。
彼らの間の出来事は単なる欲情だけでなく、
フェイスへの想いに縛られた二人がそれを拭い去ろうとしている、
とてもドロドロとしたものに思えた。

そして“現場”に立った彼らは…フェイスの記憶を昇華したのであろうか。
フィービーに真実を語ったウルフ。
姉への幻想を追う事を終え、やっと自分に向き合ったフィービー。
無事帰った娘をそっけなく出迎える母ゲイル。
隠れたものが明らかになり、新しく何かが始まるととらえると素敵だが、
背後に何か悲しく虚しいものをどうしても感じてしまうのか、
なぜか妙な涙が滲んでくる作品だった。

姉のいた夏、いない夏
キャメロン・ディアス ジョーダナ・ブリュースター クリストファー・エクルストン
B00005S7B0

インヴィジブル・サーカス
ジェニファー イーガン Jennifer Egan 夏目 れい
4048973053

 
「姉のいた夏、いない夏」オフィシャルサイト

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December 09, 2005

「息子の部屋」

[DVD映画]★★★☆☆
 
タイトルと宣伝文句に騙されていた!
こんな控えめで奥深い映画だったなんて!!!

監督・主演はナンニ・モレッティ。
なんと2001年カンヌ映画祭パルムドール賞を受賞した
イタリアの作品「息子の部屋」。
予告編を観ていてかなり期待していただけに、ちょっとがっかりした記憶が。
実は昨年観た作品なのだが、約1年でも色々思う所があり、
再びチャレンジ&レビューを書く事にした。
実は、あとあとからじんわりくる、大変味わい深い作品だったのだ…。

事故で突然失った息子への哀しみと家族の崩壊を乗り越え、
家族の再生へ至るまでの過程…
それを淡々と過剰な表現を避け、極力リアルに描写した作品。
ごく普通の日常で“家族感”を前半でたっぷり描き、
突然家族が一人欠けるという哀しみを耐える父親と
残された家族の模様がリアルに後半で描かれる。
棺桶をやたらがっちり封をするトコロはぐっときた…。

* * * * * * * * * * * * * * *
 
精神科医ジョヴァンニ(ナンニ・モレッティ)の息子、
アンドレア(ジュゼッペ・サンフェリーチェ)が、
ある日突然、ダイビングで潜水中に事故死した。
ジョバンニはその日はアンドレアとジョギングの約束をしていたのに、
急患の往診を選んでしまったがために、息子を失ってしまったと
自分を責め続けついには、仕事もやめてしまうのだった。
平和だった家庭は徐々に崩壊しはじめる。
ジョヴァンニと妻パオラ(ラウラ・モランテ)の冷めてゆく関係…
娘イレーネ(ジャスミン・トリンカ)の失恋…
そんな所へ、息子がキャンプで1日だけ恋した?少女
アリアンナ(ソフィア・ヴィジリア)からの手紙が届き、
更に突然、彼女がボーイフレンドと二人で訪ねて来る。
アリアンナが持ってきた写真に映っている笑顔の息子と息子の部屋、
彼等を家族で送ってゆき…新しい生活への始まりへ…

果たして『これ』がきっかけでふっきれるのだろうか?
最初観た時には、そう思った。

だが…何かきっかけがないと人間は立ち直れない。
若くして亡くなった息子の貴重な経験の生き証人!!!
彼らの登場がこの家族に“救い”を生み出してくれたのだ。
彼の生きた人生、家族の知らない息子の幸せだった時間の存在に気づいた時、
家族はやっと自分達の人生を生きる事を思い出したのだ。
家族が不幸になってゆくのを写真の中で微笑むあの息子が喜ぶはずが無いと…。
 
どうやら『息子の部屋』“la stanza del figlio”というタイトルと、
特に日本公開時の
生きているときは、開けてはいけないドアでした。
というキャッチコピーが
この映画の内容と違ったイメージを感じさせてしまっていたようだ。
 
 
息子の部屋
ナンニ・モレッティ ラウラ・モランテ ジャスミン・トリンカ  
ニコラ・ピオバーニ
B0000D8RO5

息子の部屋 — オリジナル・サウンドトラック
サントラ
B00005S7CQ

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November 12, 2005

「ネバーランド」

[DVD映画]★★★☆☆

おしつけがましい感動作ではなく淡々と描くところが好感持てる。
だが、ジョニー・デップ無しでは語れないであろう…
そうジョニー・デップのための映画、そう言っても過言でない作品かも。
大人にならない少年“ピーター・パン”は
こんな不思議で現実的な悲しい現実から生まれたのか…

監督は、「チョコレート」のマーク・フォースター監督。
主役のバリはこういうキャラクターを演じさせれば右に出るものはいない、
ジョニー・デップのキャラクターがぴたりとハマり
同じくケイト・ウィンスレットのまろやかな母親像もしっくりきていた。
繊細なピーターを演じるフレディ・ハイモアはどこかで見たと思ったら、
トゥー・ブラザーズ」のあの少年!
2005年公開のイギリス/アメリカ作品「ネバーランド」。
 
 
1903年、ロンドン。劇作家のジェームズ・バリ(ジョニー・デップ)は、
ちょっとスランプ気味…。
新作「リトル・メアリー」の評判も散々で、
友人アーサー・コナン・ドイル(イアン・ハート)にも
興行主チャールズ・フローマン(ダスティン・ホフマン)にも呆れられた。

そんな時、いつも書き物をする公園で
美しい未亡人のシルヴィア・ルウェリン・デイヴィズ(ケイト・ウィンスレット)と
父を失った彼女の4人の息子たちに偶然出会う。
いつも弟達や母を気遣う、長男ジョージ(ニック・ラウド)
元気一杯!次男ジャック(ジョー・プロスペロ)
繊細な心を持つ、三男ピーター(フレディ・ハイモア
幼い四男マイケル(ルーク・スピル)
騎士ごっこをして遊ぶ兄弟すら受け入れる事が出来ないピーターだったが、
子供顔負けに想像の世界に入り込むバリの姿に少しずつ心が動きはじめる。
そしてその男共をいつも優しい笑顔で見守り一緒に楽しむシルヴィア!
バリの想像力はどんどん膨らむ一方だった。

だが、反して厳しい現実が彼らの日常にはあった。
バリがあまりに足しげくデイヴィズ家に通うために悪い噂となり、
彼の良き妻メアリー(ラダ・ミッチェル)との心のすれ違いは大きくなるばかり。
デイヴィズ家を支える、亡き夫の母デュ・モーリエ夫人(ジュリー・クリスティ)の
あまりにも厳しい独裁完璧主義も自由主義のシルヴィアとは合わず、
4人兄弟は育ち盛り、元気盛りで毎日大騒ぎ!。
そして…シルヴィアには持病があった………。

ある日、ピーターのトラウマに、自分の過去を思い起こし、
バリは自分がずっと心に描いていた想像の世界、
ネバーランドを戯曲にしようと思いたつのだ…。

* * * * * * * * * * * * * * * * * 

愛犬をくるくる回りながら踊るバリ。
真剣にインディアンごっこに興じるバリ。
子供達よりも子供のようなバリ。
楽しく希望いっぱいで、どんどんふくらむ空想の世界と、
直面するとあまりにも虚しく悲しい現実の世界、
この間を行ったり来たりして戯曲“ピーター・パン”を作った少年の心を持つ大人。
一方、
父を亡くしたピーターのトラウマは、立ち止まりつつも少しずつ溶けてゆき、
長男のジョージは子供ながらお兄ちゃんらしく大人の心を持つようになる…。
(個人的にピーターよりもジョージにやたら共感)

想像を創造する作業の苦しみと閃き。
運命的な出会いと愛。
信じる事。そうすれば生まれるもの。

特に感動を押し付ける感もなく淡々と描く、
日常と日常の中での空想の世界が不思議なセツなさを産む。
 
バリの妻の間のお互いの孤独感、身勝手な大人達の世界は、
夢見る永遠の少年バリには辛すぎたのかもしれない。
ついに公演された「ピーター・パン」の素晴しさ!
ベッドの上を飛び跳ね、窓から飛美出してゆく子供達とピーターパン。
犬も着ぐるみで登場するなんて!!
これは大人も子供も楽しめる前代未聞の戯曲の誕生だっただろう!!!
「ピーター・パン」を観て笑う子供、大人達、関係者、
演じる役者そして…作った作家とそのモデル達!!!!

どの窓からも続いているネバーランドへの扉。
悲しすぎるが信じる事が実際救いとなるのかもしれない。
 
 
ネバーランド
ジョニー・デップ マーク・フォースター ケイト・ウィンスレット
B00067HCY4

 
「ネバーランド」オフィシャルサイト
 

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October 31, 2005

「ターミナル」

[DVD映画]★★★★☆

せっかくはるばる来ておきながら…こんな事になるなんて!!!
思ったより登場人物のちょっとした意地悪さと優しさが心地よい
なかなか楽しい秀作「ターミナル」。
言葉の通じない異国への一人旅でのトラブル。
これを経験した人はツボも多いはず。
 

オープニングがベタな割には洒落ていて、
エンディングもサインとひっかけてあり、なかなかステキ。
細かい気配りはさすがである。
スティーヴン・スピルバーグ監督による2004年の作品。
この作品ではもはや、作り手、役者、音楽、効果などなど…。
全てにわたる職人技の凝縮されている。

ロシアの小国クラコウジアから空港に到着したおのぼり旅行者ビクター。
クーデターによって事実上祖国が消滅してしまい、パスポートが無効になり、
アメリカへの入国を目前で閉ざされてしまった…。
ある“目的”のために彼は、どこの国にも属さないすきまに落ちた人間として、
空港のターミナル内で生活をし始める。
無事祖国に平和が訪れて、アメリカへ入国出来るのを待ちながら…。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 

スピルバーグ監督の弱い立場の者に対する優しさが一杯、
強い立場の者に対するちょっとシニカルな部分を上手く利用した
非常にハリウッド的な善い作品。
強いて言うなら、あのラブ・ストーリーは微妙だったが、
(ポケベルでのコミュニケーションなんて懐かしすぎ…)
いかんせんアクの強いキャラクターに大笑い。

ビクター(トム・ハンクス)の情けない(体型も含めて)演技の上手さ!
インド人の掃除夫のとっつあんグプタ(クマール・パラーナ)の密かな娯楽と特技!。
ラテンなフード・サービスの兄ちゃんエンリケ(ディエゴ・ルナ)の恋。
おちゃめな荷物運搬のおっさんマルロイ(チー・マクブライド)。
入国係員の綺麗な姉さんトーレス(ゾーイ・サルダナ)、
若見え不倫スッチーのアメリア(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ
そしてターミナルの店員達…。

警戒し排他的だった彼等が、
ビクターの生真面目で器用な人柄に助けられ、
どんどん心を開いてゆき…山羊事件でいつしかヒーローに!
出世しか考えていない空港の警備局主任ディクソン(スタンリー・トゥッチ)、
意外と見る目のある警備員(バリー・シャバカ・ヘンリー)

誰もが考える困った時の小銭の稼ぎ方。意外と約に立つのが職人技!
何でも揃い、生活出来てしまう、
あらゆる国籍のあらゆる年齢のあらゆる人種が行き交う特異な場所、ターミナル。
人生の縮図というより人間の縮図であろうか。

ふだん多くのものに囲まれて生活をしているが、
長い旅に出掛けて気づくのは、
鞄ひとつで生活出来てしまう事への感動。
無ければ知恵をしぼれば何とか出来てしまったりする、ありがたい世の中。
そこで大切なのはやはり人とのつながり。
旅先での思いもかけない人々との出会い。
そこから発展する友情や愛情。
発展しない、通りすがりの、でも想い出に残るその時間と出来事。
「せっかくだから…」諦めずに努力してみる事。
その大切さを思い出した。
ビクターの小さな“目的”は大好き(笑)。
とっても気持ちは解ります♪

あのターミナルのセット作って撮影中店鋪が営業していた…なんて裏話も面白い。
中でも吉野屋が妙に印象的だった。日本人だな…。
 
 
ターミナル DTSスペシャル・エディション
トム・ハンクス スティーブン・スピルバーグ キャサリン・ゼタ=ジョーンズ
B0002U8NPM

 
「ターミナル」オフィシャルサイト
ターミナル内のバーチャルツアーも出来ます。
なかなか楽しいオフィシャルサイト。

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June 04, 2005

「ボーイズ・ドント・クライ」

[DVD映画]★★★★☆

とても一言では語る事が難しい作品で、
なかなかレビューを書くため再見することが出来なかった。
良きに、悪きに、観た後重い気分になるから…。

先日「ミリオンダラー・ベイビー」のオスカー受賞、
この作品「ボーイズ・ドント・クライ」で主役を演じた
ヒラリー・スワンクの海外でのインタビューを観て、
改めて再チャレンジしてみる気になった。
母親と二人で、女優を夢みて映画の街へ移り住み、
ビバリーヒルズ青春白書」で注目を受け、
この作品に出演してからの波瀾万丈の人生。
個性的なルックスで笑顔で語るヒラリーを観ていると力強さを感じた。

アメリカで実際に起きた殺人事件をもとに製作された、
公開当時はまだ聞き慣れなかった“性同一性障害”の主人公の
悲しい運命を描いた、1999年アメリカの作品。
監督は女流監督キンバリー・ピアース。これが彼女の初の劇場用長編映画。
主演のヒラリー・スワンクは第72回アカデミー賞やゴールデン・グローブ賞など
最優秀主演女優賞を受賞した。


1993年、ネブラスカ州リンカーン。
20歳になるブランドン・ティーナ(ヒラリー・スワンク)は、
従兄でゲイのロニー(マット・マクグラス)に手伝ってもらい、
完璧な男に見える格好をして、スケートホールへ向かう。
彼女はいわゆる同性愛者ではなく“性同一性障害”であった。

ロニーの警告をふりきって、恋する女の子とラブラブに…
だが、あとでブランドンが女とバレ、女の子の家族に怒鳴り込まれる。
落ち込みバーで飲んでいたブランドンは、
そこでヤケ酒を飲む女の子キャンディス(アリシア・ゴランソン)、
一見気のいいマッチョな男ジョン(ピーター・サースガード)、
彼の刑務所仲間(ブレンダン・セクストン3世)らと知り合い、
「パーティをしよう」と彼らの地元フォールズタウンへ向かう事に…。
そこでカラオケを歌う、彼らの仲間の女の子…金髪で青い目を持つ
ラナ(クロエ・セヴィニー)に一目惚れしてしまう。

ラナの家庭は、ラナの母親(ジャネッタ・アーネット)と、
その愛人で元詐欺師のジョン、そしてラナの3人で暮らしていた。
ブランドンは未婚の母キャンディスの家に居候し、積極的にラナにアプローチ。
ラナも不思議な魅力のある優しいブランドンに、どんどん惹かれてゆく。
二人がついに愛するようになった時、とある交通事故が発端で、
ブランドンがついていた嘘と、隠していた秘密がバレてしまった!!!
これが悲劇の幕開けになる。

女性としてでは無く、男性として女性を愛したい。
“性同一性障害”の女性ブランドンはそれが最も自然に感じ、望む事なのだ。
男として、人間として、ブランドンを愛したラナ。
ブランドンのカミング・アウト後もラナは言う。
「あなたにも同じように感じでもらいたい。どうやって愛し合えばよいの?」
医者に通いこの“性同一性障害”を知り、お金さえあれば男性に性転換したかった、
男性になりたくてたまらなかったブランドン。
その憧れた男性によって、あまりにも酷い仕打ちを受ける事になるのだ。

アメリカの排他的な田舎町。
従兄のロニーはブランドンに“フォールズ・シティの連中はオカマを殺す”と
警告していたが、それでも本能に忠実に生きようとしたブランドン。
彼?のついた嘘を信じてよそ者を受け入れていた優しい人々に真実が暴露された時、
他所者、嘘つき、異端者のブランドンは化け物として扱われたのだ。
特に男性達は女と解った途端に態度を急変。実に身勝手で劣悪な行動に出た。
対する女性達、特に若いラナとキャンディスは
戸惑いながらもブランドンを守ろうとする。
ラナの母親は一度信頼したからこそ、
娘を守る事だけにブランドンを嫌悪したのだろうか…。

ブランドンの素直すぎる行動は、手放しに誉める行動であったとは思えないし、
あまりにも不用心で、時期早々だったのかもしれない。
しかも、都会ではなくアメリカの閉鎖的な田舎町であった事も非運だった。
ただ、この事件により“性同一性障害”が世に知れ渡る事になったのも事実。
以後、この問題はマスコミでも大きく取り上げられ、
現在日本でも“性同一性障害”は広く認知されている。
“自分の持って生まれた性に違和感がある”
“異性に恋愛感情を抱けない”
“異性として同性を愛し、愛されたい”

そう思っている人は意外と少ない数では無いと思う。
ブランドンの無謀な行動は同じ思いに悩む人々に“自然に生きる道”を与え、
彼等を排除してきた社会に、その命をもって一石を投じたのだ。
とはいえ実際は、諸問題も多いそうだが…。

人は男性・女性、両方のホルモンを持っている。
近親者での“性同一性障害”が起こる可能性は勿論誰にでも有るわけで、
もし、自分がブランドン、もしくはラナ、ラナの母親であったなら…。
それを考えながら観て欲しい。
もし身内であれば、勿論とまどうだろうが…。

ガール・ハント意外でも、とにかく笑顔を作りまくるブランドン。
途中流れる、ザ・キュアーの「ボーイズ・ドント・クライ」。
ブランドンは泣かないように頑張る。
男の子は泣いちゃだめだと暴行を受けボロボロの顔でも笑顔をつくる。
エンディングで流れる「ブルーエスト・アイズ・イン・テキサス」
恋するラナの歌った曲。
彼女に出会え、彼女に愛され、ブランドンは幸福だったと思いたい。


オフィシャル・サイト
http://www.foxsearchlight.com/boysdontcry/


ボーイズ・ドント・クライ
ヒラリー・スワンク キンバリー・ピアース
クロエ・セヴィニー ピーター・サースガード
B0006TPEWE


もちろん「ブルーエスト・アイズ・イン・テキサス」も収録
ボーイズ・ドント・クライ
ニナ・パーソン&ネイサン・ラーソン ネイサン・ラーソン ニナ・パーソン ザ・ボビー・フラー・フォー
B00005GYCN


爽やかなのはこの「ボーイズ・ドント・クライ」1曲のみ。
あとは暗くてドロドロなUKロック。そこが好き♪
輸入盤
Boys Don't Cry
The Cure
B000002H5V

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April 01, 2005

「ホテル ビーナス」

[DVD映画]★★☆☆☆
 
何が良いってサイちゃんの表情!!
深夜のテレビ番組『チョナン・カン』が映画に。
この番組はずっと観ていたので、この映画には期待していた。
韓国語で日本映画を作り二つの国の架け渡しをしたい!!!
草なぎくんの強い願いが叶ったわけである。
監督がテレビバラエティ番組の演出家、タカハタ秀太氏。
全編が韓国語で作られた、2004年日本制作の作品「ホテル ビーナス」。

最果ての街の片隅にある“カフェビーナス”。
その奥にある“ホテル・ビーナス”には、
心に傷を負ったわけありの人々が住んでいた。
オーナーの女装の麗人?ビーナス市村正親)。
ウェイター兼室内係のチョナン草なぎ剛)。
1号室:アル中の元医者のドクター香川照之)とワイフ中谷美紀)。
3号室:ソーダ(チョ・ウンジ)は花屋になるのが夢。
4号室:ボウイ(イ・ジュンギ)は自称殺し屋。
ビーナスの背中を見せてくれ。
とある日やってきたガイパク・ジョンウ)と名乗る男と
無言の少女サイ(コ・ドヒ)をビーナスは受け入れた。
サイはチョナンの仕事…クリーニング・サービスを手伝いながら、
少しずつ心を開くようになる。
だが、どうもガイを憎んでいるようで、決して誰とも会話をしない。
ガイとサイの登場と共に少しずつ変化してゆく住人達。
一度は捨てた人生、隠れて暮らす人生だけれど、
再起へと向かってそれぞれの道を歩み始める…。

感動のヒューマン・ドラマなんだろうが、
まるでLOVE PSYCHEDELICOのプロモーションビデオを2時間以上観ている感じ…。
映画作品としてはかなり厳しい。映像的には綺麗でかっこいいのだが狙い過ぎかも。
タップの会話とコマ抜きの多様が不愉快だった。
青みがかかったモノクロと、無国籍感の妙なおしゃれ具合、
無理矢理感動できるように作った感じも鼻につく。

日韓両俳優さん達のキャラクターはそれぞれたっていて、面白かった。
彼の傷は微妙だが、ストーリー・テラーの役割をきっちり果たしていたチョナン。
性別すら超越している、大きな愛で皆を包み諭す、ビーナス。
壊れた夫婦のドクターとワイフ。
夢に振り回される女の子、ソーダ。
自分を責める孤独なボウイ。
何かを秘めた影のある男ガイ。
そして、無言の少女サイの眼差しが印象的。
圧倒的な無言の演技と存在感。

だが、誰にも感情移入は出来ない。
物語としての完成度が低いのと、心の動きを途切れさせる妙な演出が邪魔をする。
何より特別出演はいらんだろう。あれで全てが壊れてしまう。
テレビの2時間番組スペシャル企画がぴったりだと思うのだが…。
期待した分、ちょっと残念!!!

[その他の出演]
 ピート・伊武雅刀・金子りずむ・松尾貴史・勝村政信・田中要次・つんく・香取慎吾


「ホテル ビーナス」サイト
 ↓
 http://hotelvenus.net/
 

ホテル ビーナス
草ナギ剛 タカハタ秀太 中谷美紀 パク・ジョンウ

by G-Tools

映画「ホテル ビーナス」オリジナル・サウンドトラック
サントラ 加羽沢美濃 LOVE PSYCHEDELICO ブロッサム・ディアリー


 

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February 13, 2005

「涙女」

[DVD映画]★★★☆☆

“泣く”のではなく“哭く”現代にこんな風習がある事にびっくり!
フライヤーをもらってからずっと観たかった作品だったが、
まさかこんな物語だとは思わなかった!!
」「男男女女」(日本未公開)とインディペンデントでの作品で
国際映画祭での受賞やノミネートを経験する、
中国の監督リュウ・ビンジェンによる2003年の作品「涙女」。
カナダ・フランス・韓国の合作とクレジットされている。
やはり本国では検閲によってなかなか公開出来ないようだ。

グイ(リャオ・チン)は働かず麻雀で負けてばかりのダメ夫ゲンと
田舎から出て来て北京に住み、彼女の稼ぎで何とか食いつなぐ日々を送っていた。
ある日、3つの不幸がグイを襲う。
・借りていた子供の親が子を捨ててトンズラ。
・ゲンがケンカで麻雀仲間にケガを負わせ監獄行き。
・そのケガの治療代9千元の負担をする事に。

「なんて私は不幸な女!」とバリバリの嘘泣きで治療代を要求する夫婦を追い返す、
その声を聞いた葬儀屋を営むグイの元彼氏のヨーミン(ウェイ・シンクン)は、
グイの元劇団員だった経歴とこの“哭き”の能力を活かして、
中国の葬儀で大声をあげて高らかに歌い泣き踊り場を盛り上げる
プロの“哭き女”で稼げるかも…ともちかける。
手探り状態で始めた“人の不幸で成り立つ”この商売、
グイは徐々に売れっ子になり、超多忙な日々。
お金も入り、問題も徐々に解決するかと思われたが、
ヨーミンから思いもよらぬ連絡が…。

見事な嘘泣きからこの“哭き女”を始めたグイ。
スマートすぎる体とちょっとキツめの顔を持つ美人だが、
どうも孤独な方向へ向かう運命に翻弄される。
感情が入っていないとギャラを減らされ、キレたりしながらも懸命に“哭く”。
自分の優しい感情を普段は押し殺し、
パワフルに他人の葬儀に奔走し続けるグイ。
最後に見せる、彼女の本当の涙。
この“泣き”のためにある映画であった。

不思議な地方の風習と現代文明のマッチが面白い。
殺伐とした風景の中の、グイの華やかな色・柄の衣裳。
原色使いの派手な花環や“はりぼて”の作り物を持ち、お祭りのように練り歩く葬列。
麻雀卓を囲んでの葬列、なんと…お犬様まで!
色々な家族のそれぞれの葬儀の中で“哭く”決して上手いとはいえないグイの歌、
そして…やはりラストシーンの“泣き”!!!
これが強烈に目と耳に焼き付くのであった。

「涙女」オフィシャルサイト

http://www.miraclevoice.co.jp/namida/

涙女
リュウ・ビンジェン ダン・イエ リャオ・チン ウェイ・シンクン


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February 12, 2005

「幸せになるためのイタリア語講座」

[DVD映画]★★★★☆

なんて素敵な大人達の恋愛だろう!!
ロネ・シェルフィグというデンマークの女性監督による
ハートフルな人間ドラマ「幸せになるためのイタリア語講座」。
2001年ベルリン映画祭銀熊賞作品。

北欧、デンマークの小さな街に新任牧師がやってきた。
教会で紹介してもらったホテルのフロント係は
イタリア車に乗っていると言うと何故かイタリア語を使ってみたりする。
パン屋レストランでもイタリア語が使われたり…。
そう、この街では市役所主催で週に一度のイタリア語講座が行われているのだ。

妻を亡くしたばかりで生真面目な新任牧師
アンドレアス(アンダース・W・ベアテルセン)。
ホテルのフロント係で、お人好しでインポテンツに悩む独り者
ヨーゲン(ピーター・ガンツェラー)。
スタジアムのレストランで働く、元サッカー選手だった
ハル・フィン(ラース・コールンド)はイタリア語が堪能。
そのレストランのウエイトレスでイタリア娘の
ジュリア(サラ・インドリオ・イェンセン)はヨーゲンに片思い。
不器用過ぎるパン屋の店員
オリンピア(アネッテ・ストゥーベルベック)は、偏屈な父と二人暮らし。
アルコール依存症で入院中の母を持つ美容師
カーレン(アン・エレオノーラ・ヨーゲンセン)は苦労人だが意外な程情熱的な女。

小さな街で繰り広げられる、
ちょっと不幸で不器用な大人たちによる人間模様・恋愛模様。
さまざまなトラブルや悩みを持ち、決して幸せではなかった孤独な6人の男女。
イタリア語の初級講座に通う事で、同じ立場での人とのふれあいが始まり、
不幸な現実に傷つきながらも、数々の驚くような出来事や不思議な偶然で
バラバラだった彼等が少しずつ繋がり始める…。
“独りでいる事に慣れていた”彼等が出掛けた、講座のみんなで行くベニス旅行!
そこで見せるとびきりの笑顔を映画の最初では想像出来ただろうか?
そして、彼等と関わる人々もそれぞれの道を歩んで(色んな意味で)旅立つのだ。
マルチェロさんはお気の毒だったけど、
出来過ぎたエピソードも小さな街での出来事ゆえに結構面白い。

ドグマ95による規制
『撮影はロケのみ』『カメラは手持ち』『音楽は自然音や曲以外禁止』
『人工的な照明は禁止』『画像処理やフィルターの禁止』…etc
などが良い方向へ作用したと思える、ナチュラルな映像とリアルな親近感。
だからこそ、言葉以上に語る彼等の視線が印象的。
特にアンドレアス、ヨーゲンの優しい眼差し、
ハルとオリンピアの少しおどおどした瞳。
目の前のモノを真直ぐに見つめるカーレンと恋する女、目を伏せて頷くジュリア!!

少し新しい事を始めると、とても多くの出会いや出来事が起こるかも!
そんな可能性を教えてくれた心温まる、観た後元気になる作品。
Grazie mille !
(どうもありがとう:milleは1,000の意)

公式サイト

http://www.zaziefilms.com/italian/

幸せになるためのイタリア語講座 デラックス版
ロネ・シェルフィグ ヨーゲン・ヨハンソン
ピーター・ガンツェラー ラース・コンルード

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ドグマ95公式サイト
(英語のみ)↓
http://www.dogme95.dk/
 

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February 11, 2005

「女はみんな生きている」

[DVD映画]★★★★☆

のっけから緊迫感をあおる音楽とスピーディーな展開で、もう目が離せない!
こんな勢いのあるパワフルなフランス映画ははじめて!!
赤ちゃんに乾杯!」のコリーヌ・セローが監督・脚本・台詞を担当した
コメディ・ドラマ「女はみんな生きている」。
2001年の作品で原題は『Chaos(カオス)』

ディナーの約束に間に合わない!と夫ポール(ヴァンサン・ランドン)と共に
どたばた支度をする妻エレーヌ(カトリーヌ・フロ)。
車を飛ばす二人の前にあらわれた怪しげな男たちに追われる若い女!
それを無視するポールは車のドアを開けない。
女は男達につかまり、ポールの車のフロントガラスに頭を打ちつけられ血まみれに。
“彼女”を助けようとするエレーヌに、ポールは
「ティッシュを」と大怪我している彼女には見向きもせず、
血で汚れたフロントガラスを拭くのだ…。
そして、救急車も呼ばずに『洗車』へと向かう。
翌日も、母親が尋ねてきても居留守を使うポール。
家庭より、仕事と会社が第一の、そんな男だった。

エレーヌは怪我をした女が気になって仕方がない。
そして救急病院にいる瀕死の彼女を見つけ出して、
病院で泊まり込んで看病を始める。
すると例の怪しげな男達が現れた…。
エレーヌは“彼女”のそばにいたいと思い、語り始める。
「私はエレーヌ。他人だけど、あなたに生きて欲しいの。」

エレーヌが帰らないので、家庭は無茶苦茶。
ポールは「アイロンがかかってない!」とエレーヌの携帯にまで伝言を入れてくる。
独り息子ファブリス(オレリアン・ウィイリク)がこれまた女にだらしないドラ息子。
ファブリスのガールフレンドが何人も家におしかけてくる。
そこで、エレーヌは家を出て本格的に“彼女”を守り家を出る事に。
エレーヌの献身的な介護のおかげで奇跡的に回復した“彼女”は、
信じられないような身の上を話し始めた。
彼女はノエミ(ラシダ・ブラクニ)というかなりワケありの売春婦だった。

娘を売り飛ばすような家族を持ち、“組織”に利用されるノエミ。
田舎から出て来て息子に30分程息子とお茶するためにでも、
1ケ月間もホテルで待つポールの母親(リーヌ・ルノー)。
家庭や家族を全くかえりみないポールの妻、普通の主婦エレーヌ。

この映画はダメで酷い男達にしいたげられてきた女達が
その男達に頭脳戦で立ち向かい復讐する、その力強い姿を描く。
女達は自分の事よりも『他の誰か』の事なると強いのなんの!
一方ダメ男達は自分の事で手一杯。
「魚は食べたくない!」なんて、子供じゃないんだから…。
もちろん、全ての男女がこんな関係では無いが、
万国共通で、こんな差別意識があるのか…と少し驚いた。

頭の良いノエミのとんでもない過去とパワフルなエピソード。
そんな彼女に魅了されたエレーヌの家族達!!!
経験豊かすぎるノエミを女性陣は愛しみ影響され、男性陣は彼女のテクに骨抜きに。
ちょっとヤリ過ぎだけれども、
鮮やかな彼女達の手口は活き活きとしていて爽快感がある。
特にノエミ!そして、エレーヌのキレのある動きも探偵顔負け!
次から次へと何が起こるのか?とドキドキし通し。
ノエミの目覚めた顔!!!あの目は一生忘れないだろう!!!!

[映像特典]
メイキングとトレーラー。
この作品はデジタル・カメラで撮ったそう。
そんな世の中なんですね。

公式サイト
ドキドキする音楽も聴けます。

http://onna-minna.jp/

女はみんな生きている
カトリーヌ・フロ コリーヌ・セロー ヴァンサン・ランドン

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February 07, 2005

「トーク・トゥ・ハー」

[DVD映画]★★★★★

男達の一方的な報われぬ愛と目を閉じた無言の女達の愛。

スペインの奇才「神経衰弱ぎりぎりの女たち
オール・アバウト・マイ・マザー」などのペドロ・アルモドバル監督・脚本による、
二人の昏睡状態の女性とそれぞれを愛する二人の男性を描くヒューマン・ドラマ。
あらゆる要素を含むアルモドバル監督の真骨頂ともいえる「トーク・トゥ・ハー」。
あまりにも美しく繊細な映像と音楽と絶望的な設定に圧倒されながら、
登場人物の織り成す人間模様に心が動かされずにいられない。
2002年度アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞した作品。

不思議なダンスの舞台。
盲目の女とそれを助ける男。そして壁に当たっては嘆く同じく盲目の老女…。
そして、この舞台を観ている二人の男。
一人は淡々と周りを観察し、もう一人は感激して泣いている。
この象徴的な場面がこの先にある物語を暗示する。

病室のベッドで植物状態にある少女アリシア(レオノール・ワトリング)は、
この4年間、看護士のベニグノ(ハビエル・カマラ)の妄信的な看護を受けていた。
その完璧なまでの甲斐甲斐しさ。
母親の看護で身に着けたという技術。
爪をとぎ、髪を整え、化粧をし、マッサージし、着替えをさせ、体を洗う…。
その作業をアリシアを愛しく見つめながらも淡々こなす。
そして、今日あった事などを一心に彼女に語り続けるのだ。

一方、劇場で泣いていた男マルコ(ダリオ・グランディネッティ)が恋している
女闘牛士リディア(ロサリオ・フローレス)も、
競技中の事故によって昏睡状態で入院する事になる。
絶望に困惑していたマルコは、ベニグノとの出会いによって、
リディアの看護をするようになり、二人に友情が生まれていく…。

この作品の主人公達は孤独だ。
人間の孤独感が生み出すもの…それは愛情であり、友情であり、同情であり、
そして…
ベニグノの献身的な看護には、ある種の異常さがあった。
彼は言う「人生の中で最も充実した4年間だった」
窓から見ていた憧れの少女とずっと一緒に過ごしている4年間。
一方的な愛だから喧嘩もしない。だから仲が良いのだと…。
マルコは言う「僕はその正反対だ」
そして、マルコは愛しいリディアが昏睡状態になる前にすら、
恋人だと思っていた、彼女の心は彼へは向いていなかった事実を知る。

ベニグノの愛ゆえの行動。
サイレント・フィルム「縮みゆく恋人」に触発されて行った行為。
それによってアリシアは目覚めたのかもしれないが、決して許さる行為では無い。
それが理解出来ないベニグノはもはや狂気の世界の住人に近い。
あくまでも一方的な愛。愛される事を知らないベニグノ。
もう少し相手の立場になれたなら、
実際に愛しあう事が出来たかもしれないのに…。

一見人間は何を考えているか、他人には全く解らない。
正しい、間違いの尺度も人それぞれ。
心に“闇”のある人間は得てしてそれを表に出さない。
心に“病み”のある人間は、自覚が無いがゆえに、
それが優しさや生真面目さにも見える。
心が止まった植物状態の人間でも、生きているのだから何かを感じてはいるはず。
彼等は何がきっかけで目覚めるか解らないし、
そのまま目覚めないのかもしれない。
看護する者の期待と不安、そして焦り…。

夢見るおしゃべりなベニグノのこんなにも深い愛情
         —————でもそれは犯罪と背中合わせ。
現実的で無口なマルコの愛は広い不器用な愛情
         —————報われないけれど未来のある愛。

この映画はまた舞台で終わる。
今度は男達の手によって運ばれる歌う女…。
ラスト・カットでベニグノの愛は意外にも報われたと知る事になる。
内向的でストーカーまがいのマザ・コン男の余りにもセツない恋愛の結末だけれど、
意外と彼にとっては最悪では無かったのかもしれない。
彼がいなければアリシアの未来も無かったのだ。
そして、泣く男マルコにもほんの少しの希望を残した…。
内向的な変態さんの純愛をここまで美しく深く描いた監督はあっぱれ!

とにかくアルモドバル監督のこだわりが細部にまで効いていた。
ドイツの振付家ピナ・バウシュの『カフェ・ミュラー』の舞台
サイレント・フィルム、看護師の手際の良い仕事、昏睡状態の人間の表現 etc……。
あらゆる要素やモチーフは必然性があるがゆえ存在し、
巨大なタペストリーに細密に描かれた絵のように完成されている、そんな作品。
変態アルモドバル監督の完成度の極めて高い傑作に拍手!!!

 

映像特典の監督・キャストのインタビューや
封入特典のムック本はなかなか参考に。
前知識無しで一度目、特典を観て二度目、観る目が変わって楽しめる。

[DVD映像特典]
 本編ディスク
 ●予告編集
 ●フォトギャラリー
 ●スタッフ&キャスト解説
 特典ディスク
 ●メイキング
 ●ペドロ・アルモドバル監督インタビュー
 ●インタビュー (スタッフ&キャスト)
 ●レオノール・ワトリング、来日インタビュー

[封入特典]
 ●豪華ムック本「オール・アバウト“トーク・トゥ・ハー”」

トーク・トゥ・ハー リミテッド・エディション
レオノール・ワトリング ペドロ・アルモドバル ハビエル・カマラ

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トーク・トゥ・ハー スタンダード・エディション
レオノール・ワトリング ペドロ・アルモドバル ハビエル・カマラ

トーク・トゥ・ハー
ペドロ アルモドバル Pedro Almod´ovar 百瀬 しのぶ

トーク・トゥ・ハー オリジナルサウンドトラック
サントラ

トーク・トゥ・ハー
〜イマジネイション コンパイルド・バイ・ペドロ・アルモドバル

映画主題歌
シャーリー・ホーン ジミー・スコット ゴールドフラップ

 
■ 映画「オール・アバウト・マイ・マザー」のレビュー
■ ペドロ・アルモドバル監督の作品紹介はこちら
■ピナ・バウシュ ヴッパタール舞踊団 来日20周年記念講演
「カフェ・ミュラー」「春の祭典」のレビュー

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December 28, 2004

「ロスト・イン・トランスレーション」

[DVD映画]★★★☆☆

彼女は、“人生のある一瞬のきらめき”を描きたいのかもしれない。
ソフィア・コッポラの映画監督作品「ヴァージン・スーサイズ」に続く
第2作目の「ロスト・イン・トランスレーション」。
またもや美しく懐かしい音楽と共に、
日本にやって来たアメリカ人男女の切ない一時が淡々と描かれる。
2003年製のアメリカ映画。

某ウィスキーのCM撮影のため、東京にやって来た
ハリウッド・スターのボブ(ビル・マーレー)は、言葉の壁のため、
どうも仕事上の意思の疏通が出来ずにストレスがたまっている。
カメラマンの夫の仕事に同行たシャーロット(スカーレット・ヨハンソン)は、
夫が多忙で放っておかれっぱなし…。
同じホテルに滞在していた二人は、ある日、ホテルのバーで出会った。
お互いに、充実しているはずなのにどこか虚しい日々を送っていた二人には、
いつしか淡い恋愛感情が生まれてゆくのだ…。

まったりとすすむストーリー。
高速から見えるビル群。
新宿。渋谷。中目黒。人の群れる街。人のいない街。
CMやスチール撮影の裏側。
あまりにもお粗末な通訳。偉そうな監督、へつらうスタッフ。
マシュー(藤井 隆)の異常なテンションのTV番組。
妙なアレンジもなく皮肉な位にストレートに描かれた日本。
どこかが、あやしくおかしな東京。

結婚25年にもなる妻子のいる男…忘れられたハリウッド・スター。
売れっ子カメラマンの夫と結婚2年の若い女。
必然的な贅沢な悩みなのだが、
どこか満たされず寂しく息苦しさを感じ、眠れない二人。
切ないが、旅するとよくある心情。
この二人が惹かれあうのは必然のように思われる。

ホテルから抜け出す二人は子供の様。
クラブ、カラオケ、若者達との交流。二人での食事。
最後まで、周囲の喧騒をよそに静かに寄り添う二人。
京都でシャーロットが見た和装の花嫁一行の鮮やかさ。
宝物のような時間を大切にしたいからこその純愛。
シャーロットを見るボブの目はいつも眩しそう。

相変わらずソフィア・コッポラ監督の音楽センスは素晴らしい。
ケヴィン・シールズ(マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン)、
AIR(エール)、ジーザス&ザ・メリーチェインなどを起用。
更には若者達と二人が歌う洋楽カラオケは
セックス・ピストルズの『ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン』
ザ・プリテンダーズの『恋のプラス・イン・ポケット』
ロキシー・ミュージック『モア・ザン・ディス』
ボブの歌う『モア・ザン・ディス』は聴けたものではないけれど…。

はっぴいえんど(松本隆、鈴木茂、大瀧詠一、細野晴臣が在籍していた)の名曲
『風をあつめて』で終わる所がニクイ。
この曲で日本人は、モヤモヤが全てが吹き飛ばされてしまうではないか。
ずるいなぁ。 
音楽と透明な映像にちょっとごまかされた気分にもなる、
不思議な世界だった。

ロスト・イン・トランスレーション
ビル・マーレイ

ロスト・イン・トランスレーション オリジナル・サウンドトラック
サントラ リチャード・ベッグス ケヴィン・シールズ 
セバスチャン・テリエ スクエアプッシャー デス・イン・ヴェガス


関連音楽(このアルバムに紹介した曲が入ってます)
風街ろまん 勝手にしやがれ!! Greatest Hits アヴァロン
 
 
■ 映画「ヴァージン・スーサイズ」のレビューはこちら
 

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December 17, 2004

「ホームドラマ」

[DVD映画]★★★★☆

さて、気になって気になって仕方が無い!!
フランソワ・オゾン監督のかなり毒の効いたシュールな作品「ホームドラマ」。
少し「8人の女たち」を思わせる部分もありながら(どうもあの作品は苦手)、
とにかく下らなく毒々しいのにどこか可笑しくて、
断然こちらの作品のほうがハマれた!
カップリングは「小さな死」。
こちらはしょっぱなからかなりマイナス・オーラを出した
カメラマンの青年を追った意外にも微笑ましい短編。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ホームドラマ」[作品別評価]★★★★☆」

うひゃ〜!まさかあんな事になるなんて!想像出来なかった!!
また1本とられました。オゾンさん!!!
平凡なブルジョア家庭に一匹のネズミがやって来たことから、
どんどん崩壊してゆく様を描いたオゾン風のブラック・コメディ。

“短編のヒッチコック”フランソワ・オゾン監督の長編デビュー作。
1998年のフランス映画。
原題の「SITCOM」はシチュエーション・コメディの略だそう。
これは80分のかなりブラックなドタバタ“奇劇”。

いきなりである。
とある豪邸に父親ジャン(フランソワ・マルトゥレ)が帰宅し、
“ハッピー・バースディー”の歌声♪
と、突然銃声と悲鳴が!

そしてこれまたいきなり数カ月前にさかのぼる。
家政婦のマリア(ルシア・サンチェス)がやってきたその日、
ジャンが“ネズミ”を持ち帰ったその日の夜、マリアと
夫のアブドゥ(ジュール=エマニュエル・ヨウム・デイド)を招いての夕食会で、
直前までネズミと遊んでいた息子ニコラ(アドリアン・ド・ヴァン)が
突然「ボクはゲイだ」と宣言する。
それがこの家庭の崩壊の始まりだった。

ニコラをなだめるために彼の部屋に行ったアブドゥは
“ネズミ”に噛まれて、あろうことかニコラに身をもって体験させてしまう。
“ネズミ”と戯れていた娘ソフィ(マリナ・ド・ヴァン)は窓から身を投げ
命は助かったものの半身不随に。
“ネズミ”を触ったマリアに誘惑された
ソフィの恋人ダヴィッド(ステファーヌ・リドー)は、
それをネタにされ愛するソフィのプレイの下僕に。
絵に描いたような心配性な良き母エレーヌ(エヴリーヌ・ダンドリイ)は
“ネズミ”に触れてしまってから息子のためにと男女の関係を持つように。
それらを全て知っていて、それを受け入れると言う家族に
自分は“まとも”だからと一人無関心な父親ジャン。
そして…誰も居ない家でジャンは“ネズミ”と戯れた…。

とにかく予期せぬ事態と災難が次々と起こる。
彼等は名前すらつけてもらえないこの“ネズミ”に触れる事をきっかけに、
愛情の飢えに気付き、心の奥の真の欲望を実行してしまうのか?
それをわざとグロテスクに、でも軽妙にコミカルに描くオゾン。
“我家は、自分だけは平凡で平和”だと信じている人達へ向けての
これはかなり強烈な皮肉である。
そして、酷い物語なのに妙なおかしさ。
あの“ネズミ”は…悪魔なのか天使なのか、一体何なのか?
まさか電子レンジで………!!!!!

ちなみに「海を見る」のマリナ・ド・ヴァン、とアドリアン・ド・ヴァン、
彼等は実の姉弟。マリナは制作のほうも携わっている。
「サマードレス」のルシア・サンチェスも舞台出身の演技派で、
自分で映画も撮っているそう。
どうやらこの妙なテイストは、オゾンさんの周りの
強烈な個性と感性の俳優やスタッフの影響があるのかもしれない。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「小さな死」[作品別評価]★★★★☆

「ホームドラマ」に収録されている。
フランソワ・オゾン監督による1995年制作の26分間の短編作品である。

“生まれた時から自分は醜い。だから父親にも愛されず嫌われている。”

そう思っているゲイのカメラマンのポール(フランソワ・ドゥレーヴ)。
彼は“イク瞬間の男の顔”を撮るのが趣味で同じゲイの彼と同棲中。
突然美しい姉(カミーユ・ジャピィ)から
父親(マルシアル・ジャック)が危篤だと電話。
見舞いに行くのだが…父親からとんでもない言葉が!。
やはり醜い自分は愛されていないのだと嘆きつつも、
再び病室を訪れ父親の写真をこっそり撮るポール。
しかし、後に判明する事実で彼は救われるのだ…。
さすが親子だ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

人には、親しい人や恋人や家族にだからこそ、
口に出して言わない、隠された色んな感情や欲望があるのだ。
自分だけは、自分はきっとこうに違い無い、
あの人だけは、あの人だけには有り得ない、
などと決めつけてはいけない。
いつ、どんな想像もつかない出来事が起こるかわからないのだ。
本人ですら気付いていない本性があるのだから…。

この「小さな死」と「ホームドラマ」には
そんなメッセージが込められている。

そういった人間達が、人間模様が興味深くてたまらないのだろう。
だからあえて人間の恥部や秘密にしておきたい部分を露出させて、
面白がりつつもそれを肯定しているのだ。
これががオゾンの監督の魅力の一つなのではないだろうか。
わかってやっているトコロがこれまたニクイ!!!

ホームドラマ
フランソワ・オゾン
ホームドラマ
 
 
DVD BOX「海をみる」「クリミナル・ラヴァーズ」「ホームドラマ」「焼け石に水」
及び短編のオゾン監督の初期全9作品を収録。
フランソワ・オゾン DVD-BOX
フランソワ・オゾン


■ 映画「海をみる」のレビュー
■ 映画「クリミナル・ラヴァーズ」のレビュー
■ 映画「焼け石に水」のレビュー
■ 映画「まぼろし」のレビュー
■ 映画「8人の女たち」のレビュー
■ 映画「スイミングプール」のレビュー

フランソワ・オゾンの作品紹介とレビューの一覧
■ フランソワ・オゾン監督について・レビュ−の一覧はこちら
 
■ フランソワ・オゾン監督の作品紹介はこちら
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November 24, 2004

「グッバイ、レーニン!」

[DVD映画]★★★☆☆

社会主義万歳!そんな母親に東ドイツが無くなったなんて言えない!!

監督はドイツの監督ヴォルフガング・ベッカー
プロデューサーはXフィルム「ラン・ローラ・ラン」のシュテン・アルント。
音楽は「アメリ」のフランスの音楽家ヤン・ティルセン
ベルリン映画祭特別賞、ドイツ映画賞銀賞受賞した、
2003年ドイツの作品「グッバイ、レーニン!」。

1989年、統一前夜の東ドイツ。
アレックス(ダニエル・ブリュール)は、姉アリアーネ(マリア・シモン)と
母クリスチィアーネ(カトリーン・ザース)とベルリンで暮らしていた。
母は西ドイツへ行ったきり帰って来ない父親のかわりに?
東ドイツの『社会主義教育』に愛情を注いでいる。
ある日反社会主義デモに参加したアレックスは警察に捕らえられてしまい、
それを目撃した母はショックで心臓発作を起こし、倒れ昏睡状態に…。
母が意識を失っている間にベルリンの壁は崩壊し、
東西ドイツには劇的な変化が起きた。
そして…西ドイツ資本が入ってきて久しくなった8カ月後、
母は長い眠りから目覚めたのだ!。

ショックを与えると死んでしまう!!!
『社会主義教育』のために生きていた母がショックを受けぬよう、
彼女の愛する東ドイツはそのままだと信じさせるために、走り回るアレックス。
母の看護をしていた、看護士のララ(チュルパン・ハマートヴァ)との恋。
そして…父親失踪の真実とは。

子供の頃に父親がいなくなった時、母が崩壊した姿をみていたアレックス。
その後の異常なまでの『社会主義教育』に情熱を注ぐ母親の姿。
アレックスのこれまた異常な母親への愛情は(母親ゆずりか)徹底しており、
単なるマザコンを超越した爽快感がある。
その小細工たるや!
食料品の詰め替えやラベルの貼り替え、母の友人知人の協力依頼、
そして、なんと自分の職場の相棒とテレビ番組まで作ってしまうのだ。
若い彼自身はやはり社会情勢の変化が楽しいようで、悲愴感があまり無い。
ひたすら母親にショックを与えないようにと
母親用の旧体制の世界を作るべく奮闘する様がこっけいである。
彼の恋するララ役のチュルパン・ハマートヴァは「ルナ・パパ」のあの少女。
ストレートな演技と笑顔とが相変わらずキュート。

東西ドイツの統一で劇的に変わった東ベルリン。
ベルリンの壁の崩壊のニュースはそんな前になるのか…。
あのニュース映像は当時かなり衝撃的であった。
その後の東西の経済落差の問題もあったが、現在はどのようになっているだろうか?

これは1989〜1990年その激動のベルリンでの、ある家族の物語。
母クリスチィアーネは幸せだったんだろうか?
息子、そして娘にあれだけ愛されたのだから、
彼等に優しく騙されてきっと幸せだったに違いない。
もし何かに気付いていたとしても、
たとえば、レーニン像が空を飛んでいたとしても…。


「グッバイ、レーニン!」オフィシャルサイト
見やすく楽しいサイト!『東ドイツのトリビア』で遊んでみて下さい。

http://www.gaga.ne.jp/lenin/


グッバイ、レーニン!
グッバイ、レーニン!
 

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November 22, 2004

「死ぬまでにしたい10のこと」

[DVD映画]★★★★★

悲しくは無いのに、涙が止まらない映画だった。
若くして死を宣告された若い女性が、残りの人生を悔いなく生きるために
リストを作って一つずつクリアしてゆくというヒューマン・ドラマ。
監督・脚本は「あなたに言えなかったこと」のイザベル・コヘット
製作総指揮はスペインの変態監督ペドロ・アルモドバル
2002年スペイン=カナダの作品「死ぬまでにしたい10のこと」。

23歳のアン(サラ・ポーリー)は、夫のドン(スコット・スピードマン)と、
二人の幼い娘と共に清掃の仕事をしながらトレーラーハウスで暮らしている。
ある日、突然の腹痛に倒れたアンは、癌で余命2〜3ヵ月と宣告された!
アンはドンと母(デボラ・ハリー)には貧血だと癌とは言わない。
彼女は、真夜中のカフェで『死ぬまでにしたいこと10項目』のリストを作り、
それを翌日から実行してゆく…。

若いアンならではのリストの内容。
誰がそれを責められようか。
家族には誰にも真実を伝えることなく、
ショックが少ないように自分が存在しなくなったあとの生活の
レールを少しずつしいてゆくアン。
家族と思い出を作るためにビーチへ。
刑務所にいる父(アルフレッド・モリーナ)と会い、
子供達に新しい母親を探し、
カセットテープに家族へのメッセージを吹き込む彼女。
それとは別に、
コーヒーショップにいた男リー(マーク・ラファロ)との横恋慕を望むアン。
“夫と別の男と寝てみる”のは、リーには悪いけれど、
唯一の彼女の不安心の逃げ道だったのではないか。

隣に引っ越してきた同じ名前のアン(レオノール・ワトリング)というのは
ちょっと出来すぎだが、自分にこんな行動が出来るとは思わない。
愛する家族を託す…少し安心かもしれないが、あまりにも寂しい決断だ。
“My Life Without Me”という原題が心に染みる。

癌という病気はこんな綺麗事で済まないと思う。
だが、彼女と同じように他人には知らせず若くして逝ってしまっう知人もいた。
毎年癌検査を必要としている身としては他人事と思えず涙が止まらない…。

毎日何気なく生かせてもらっているが、
たまには生や健康の有り難さを感じることが大事だと、
改めて教えてくれる映画であり、
日々、精一杯、大切に生きようと思った。

死ぬまでにしたい10のこと
死ぬまでにしたい10のこと
 
 
原作本


「原作」死ぬまでにしたい10のこと
 —初めて人生を愛することを知った女性の感動の物語

ナンシー キンケイド Nanci Kincaid 和田 まゆ子
 
ヴィレッジブック


死ぬまでにしたい10のこと
斎藤 薫 しまお まほ 酒井 順子 角田 光代 八塩 圭子 室井 佑月
 

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November 21, 2004

「ヴァージン・スーサイズ」

[DVD映画]★★★★☆

少女達の思春期特有の無垢なる輝きと危うさが、
ノスタルジックに描かれた青春ドラマ「ヴァージン・スーサイズ」
原作はジェフリー・ユージェニデスの「The Virgin Suicides」
(邦題「ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹」)。
巨匠フランシス・F・コッポラ監督の愛娘ソフィア・コッポラ
初監督、映画化した1999年の作品。

1970年代のとあるアメリカ郊外の町。
少年達の回想で始まる。
最初はセシリア(ハンナ・ハル)だった。
聖母マリアの写真を胸に抱きながらの自殺未遂。
わずか13歳の少女が下した決断に大人たちは困惑。
一命をとりとめた彼女に
「人生の辛さもまだ知らない年なのに」と医師が言うと、
本人曰く
「先生は13歳の女の子になったことはないでしょ。」
数学教師で父(ジェームズ・ウッズ)、
敬虔なクリスチャンの母(キャスリーン・ターナー)、
この厳格な家庭リスボン家の輝く5人姉妹、
ラックス(キルスティン・ダンスト)、ボニー、メアリー、テレーズ、セシリア。
少年達は皆、輝く彼女たちに憧れていたのだった…。 

空にヘビトンボが飛びかう美しい6月のある日、
リスボン家で催されたパーティの日、
ついに末娘のセシリアが自殺に成功してしまう…。
新学期に入り、四女のラックスが遊び人のトリップ(ジョシュ・ハートネット)と
過ちを犯し、リズボン夫妻は娘の不始末に激怒。
姉妹たちを文字どおり家に閉じ込めた。
学校にも通わせず、外界から隔離された少女たちと
何とかコンタクトしようとする少年達。
だが、そんな彼らの想いも伝わらず、姉妹たちは自らの命を…。
それから20年以上が過ぎ、少年達だけが大人になった。

最初に観た時は彼女達の行動が不可解であると共に、
監禁される恐怖もあって痛々しくて、悲しくなった。
4人力をあわせて家を出てしまえなかったのか?。
どうして?なぜ?
少年達にどうして合図をしたのか??

だが、次に観た時はこれはあくまでも、
元少年達のノスタルジックな回想なのだと思った。
姉妹達はセシリアの死に、閉鎖された空間=自分達の家で
同調せざるを得なかったのではないか。
セシリアの大切にしていたニレの木を取り囲んで守る姉妹達だもの。
すっかりオヤジになった少年達の心の中に、未だに眩しく少女のまま輝く5人姉妹…。
彼女達を神聖化して今も時々ふと想うオヤジ達。
そんな物語かも、と思った。
少年達の青春の1コマは、こんな悲しい出来事すら
遠い日の美化された記憶となるのか…。

もう一度時間をおいて、また観てみようと思う。
 

ヴァージン・スーサイズ
ヴァージン・スーサイズ


 
そして!
フランスのデュオAIR(エール)のサントラが、素晴らしくよく出来ていた。
懐かしい70年代のヒット曲と共に本編で優しく甘くメロウな感じで流れる。
サントラだけでも聴きごたえ有り。

コッポラファミリーの音楽センスってホントに良い!。
最近自分でレビューを書いていて、
コッポラファミリーものには必ず音楽にふれている事に気付いた次第であった。


ヴァージン・スーサイズ
エール


ヴァージン・スーサイズ
サントラ トッド・ラングレン スローン エール 10cc ハート

 
■ 映画「ロスト・イン・トランスレーション」のレビューはこちら
 

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November 16, 2004

「友だちのうちはどこ?」

[DVD映画]★★★★★

こういう、まっすぐな子供でありたかった。
間違って隣の席の子のノートを持ち帰った少年が住所を知らないその子の家へ
一人でノートを返しにゆく…というなんとも純朴なストーリー。
脚本、編集、監督はアッバス・キアロスタミの名作「友だちのうちはどこ?」
素人起用で有名なキアロスタミは、この作品でもとある村の兄弟を起用。
1987年イランの作品。

イラン北部のコケール村の小学校。
先生(ホダバフシュ・デファイ)がみんなの宿題を見ていた。
モハマッド・ネマツァデェ(アハマッド・アハマッドプール:弟)は
宿題を紙に書いてきたので「今度同じことをしたら、退学だ」と叱られている。
人事だと思っていた隣の席のアハマッド(ババク・アハマッドプール:兄)が
家に帰ってみると…なんとモハマッドのノートが入れ替り入っていたのだ!。
「早く返さないと大変!」
とアハマッドは母(イラン・オリタ)に何度も説明するのだがとりあってくれない。
しょうがないのでこっそり家を抜け出して、
友だちの住む隣のポシュテ村まで向かうのだ。
遠い道のりをやっと村に着くが、誰も友だちの家を知らない。
色んな人々に聞いては走り、聞いてはまた走り…
どんどん暗くなって行く中、友だちの家をひたすら探すアハマッド…

道に迷いどんどん暗くなってゆく中をトボトボ歩いた経験をした人は
心ぼそいこんな気分を思い出すのではないか。
ここかと思えば違う、やっと見つけたと思ったら違う、今度こそと思っても…
でも「友だちが退学なったら困る」とひたすら家を探す。
ああ、なんて純粋なんだろう!
そして、この行動力!!
自分がもし、この少年だったら
「友だちには悪いけれど、明日返そう」と諦めると思う。
なんたってこの映画の大人達は、昨今の日本の親とは違い厳しいのだ。
しかし、彼はいてもたってもいられない…そんな少年。
そしてこの経験はそんな彼をきっと少し大きくしたであろう。
アハマッドの不安で悲しげなだが、まっすぐで大きな瞳が忘れられない。

友だちのうちはどこ?
友だちのうちはどこ?

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November 14, 2004

「歩く、人」

[VIDEO映画]★★★☆☆

あっ!と思いレンタルで借りてきた。
ずいぶん前に三百人劇場で上映されていたのを、観そびれてしまっていた作品。
2001年制作の緒形拳主演のヒューマン・ドラマ「歩く、人」。

監督は「CLOSING TIME」「海賊版=BOOTLEG FILM」「殺し」小林政広
「海賊版=BOOTLEG FILM」が、とにかく強烈で印象的だった。
さて、今回はタイトルの「歩く、人」というだけあり、
とにかく主役の緒形拳が、とにかく『表情豊かにひたすら雪道を歩いている…』
そんな映画だった。

北海道、増毛(ましけ)で酒屋を営む本間信雄(緒形拳)は、
2年前に恋女房を亡くし、 家業を継いだ次男安夫(林泰文)と二人暮し。
折が合わない長男良一(香川照之)は家を出て恋人(大塚寧々)と同棲しバンド活動。
そんな信雄の密かな日課であり楽しみは、毎日片道8キロの鮭の孵化場まで歩き、
ほのかに恋心を寄せる職員の美知子(石井佐代子)と語り
鮭の稚魚たちを眺め彼女を背負ってあげること。
2日後の亡き恋女房の三回忌を機会に、
信雄は息子達、特に良一と向き合おうと家族3人を呼びよせる。
頑固おやじと性格の違う兄弟、そしてそれぞれの恋人達。
彼等の行方は…。

緒形拳の演技に風格を感じた。
他の俳優陣とは異質なまでの表現力。
ちょっとしたトコロにも繊細な芝居が施されており、
これが淡々とした映画に深いインパクトを与えているのだ。
なぜなら、
『表情豊かにひたすら雪道を歩いている…』
そんな映画だからだ。

恋する人に逢いに行くためにルンルン気分で長い道のりを『歩く』
うちひしがれて、トボトボと『歩く』
法事から家に向かうため、これはスタスタとただ『歩く』
ちょっとなげやりにズンズンと『歩く』
そして…コケる。

これまで『とある男に起こる非日常的な事件』
斬新な切り口で撮ってきた彼の作品とはちょっと違い、
自伝をベースにした『家族愛』『家族の絆』
真正面からゆるやかに描いた作品であった。
ただし相変わらず、極めて昔堅気な『不器用な男』が主人公である。
この、自分の息子にすら素直に話す事も出来ない初老の男が、
新たな恋にウキウキして、そしてその彼女に
「三回忌までは亡き妻への操を守る」なんて言っている姿!
可愛らしいではないですか。
そして、バックに流れるサン・サーンス「動物たちの謝肉祭」をベースにした音楽、
これがコミカルで、シ−ンによってニヤリ。
シークェンスごとの一言の筆文字は、緒形拳さんが考え書いたものだそう。
優しく味のある文字で、ちょっとこれにもニヤリ。

この監督の映画、雪国(というかこの増毛)でのロケばかりでどの話も銀世界…。
おそろしく低予算で作った映画ばかりだそうだが、
監督と脚本に魅せられて?常に豪華な俳優陣が出演している。
この作品の後「完全なる飼育 女理髪師の恋」が、
そしていよいよ「フリック」が来年公開。
ますます気になる、妙な魅力のある監督だ。

小林政広監督の作品詳細はこちら
モンキータウンプロダクション

http://members.aol.com/sarumachi/


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November 12, 2004

「裸足の1500マイル」 LABBIT-PROOF FENCE

[DVD映画]★★★★☆

強い。本当に強い姉妹と母子のきずなだった。
1500マイルを徒歩で帰るなんて!!!

母の待つ故郷まで歩き続けたアボリジニの少女たちを描いた
ドリス・ピルキングトン原作の実話の映画化「裸足の1500マイル」
監督・製作は「ボーン・コレクター」フィリップ・ノイス
製作総指揮は「BROTHER」のジェレミー・トーマス。
撮影は「花様年華」のクリストファー・ドイル。
音楽は英国のミュージシャン、ピーター・ガブリエル
ずらりと並べるとなんと豪華なスタッフ!
2002年オーストラリアの作品。

1931年のオーストラリアでは、先住民・アボリジニを白人社会に同化させる目的の
"隔離同化政策"が行われていた。
これは、白人との混血の子供は親と引き離し強制収容し
何代もかけて白人化しようという何ともエグイ政策だった。
これにより、14歳のモリー(エヴァーリン・サンピ)と
8歳の妹デイジー(ティアナ・サンズベリー)、
モリーの従妹である10歳のグレイシー(ローラ・モナガン)の3人の少女は、
アボリジニ保護局に拉致され、強制的に寄宿舎に収容されたのだ。
モリーはこの狂った施設から逃げ出し、母のもとへ帰ろうと決意。
脱走した3人は、1500マイルの道のりを歩き始める…。
彼女たちの家路への目印はオーストラリアを縦断する
“うさぎよけフェンス”だけだった…。

アボリジニ保護局の局長ネヴィル(ケネス・ブラナー)など、
施設の白人達の態度や言葉は、当時の白人の『おごり』そのもの。
人を見下して偽善者ぶるとことが本当にイヤな感じ。
(そしてケネス.ブラナーの演技が上手い!)
それに反して『家へ帰り母に会おう』とする少女モリーが強いのなんの!!。
原題LABBIT-PROOF FENCE =“うさぎよけフェンス”だけをたよりに
1500マイル=2400キロ(日本でいうと稚内〜那覇)を徒歩で帰るなんて!!!
そして、『必ず帰ってくるはず』“うさぎよけフェンス”で待つ母と祖母。
彼女たちのきずなの強さには参った。
アボリジニ追跡人のムードゥ(デイヴィッド・ガルピリル)の複雑な心境も
当時の彼の立場上、どうしようも無いであろう。

勉強不足で、こんな政策事体知らなかった。
島国日本でのほほんと過ごしていて、こういった知識にはうといと痛感。
原作者はこの映画の主人公モリーの娘ドリス・ピルキングトン。
ドリス自身も母モリーとともに、ムーア・リバー居留地に強制的に収容され、
『何度か』脱走した経験があり(脱走しても連れ戻されるのだ)、
その体験がこの映画になった。
そしてデイジー役、ティアナ・サンズベリーの白人との混血である母親と叔母は
この"盗まれた世代"の祖母達も同じ経験を持つそうだ。
彼女達はどういった気持ちでこの映画を観たのであろうか…。

この映画の洗練されつつプリミティブ感溢れる音楽は、
セネガルの歌手ユッスー・ンドゥールなどを世界的に有名にした
ワールドミュージックのレーベルreal worldの、ピータ・ガブリエルが担当。
さすがにこの手の音楽は得意分野。映画に深みを与えている。
ミュージック・チャプターが充実していたが、
やはり映画と共にあって良いサウンドな気がした。
特典にすっかりじいさんになったピータ・ガブリエルの映像あり!。

裸足の1500マイル
裸足の1500マイル

本はこちら

裸足の1500マイル
裸足の1500マイル
ドリス ピルキングトン, Doris Pilkington, 中江 昌彦

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November 05, 2004

「チャイニーズ・ブッキーを殺した男」

[DVD映画]★★★☆☆

コズモ役のベン・ギャザラがシブイ。
1978年のジョン・カサベテス監督の「チャイニーズ・ブッキーを殺した男」
ストリップ・クラブに夢を懸けた男の姿をリアルに描いた作品。

ロサンゼルスの裏通りにあるストリップ・クラブのオーナー、
コズモ(ベン・ギャザラ)は踊り子達も演技に口うるさい。
彼は、このストリップ・クラブを最高のものにしたいのだ。
ところが、ポーカーで大負けしたコズモはマフィアに借金を作ってしまう。
そして、借金を帳消しにする代わりに、
暗黒街のボス"チャイニーズ・ブッキー"を殺せと持ちかけられたのだ。
選択の余地が無いコズモはこの計画に参加するのだ。

コズモの追い詰められあせる感じ、緊迫感が生っぽく伝わる。
やはりカサベテスはこの辺りがたいへん上手い。
ストリップ・クラブで働く人々を細かく描いており、
(これがちょっとたるいのだが)
裏社会をリアルに表現している。

とはいえ、カサベテスの作品の中では、
非日常的な感じがするからか、
ちょっと客観的に観てしまう作品である。

チャイニーズ・ブッキーを殺した男 【TBD-1059】 =>20%OFF!《発売日:02/05/24》
チャイニーズ・ブッキーを殺した男

■監督:カサベテスファミリー・カテゴリー

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November 03, 2004

「フェイシズ」

[DVD映画]★★★★★

顔、顔、顔。
魅力的な『表情』の氾濫するモノクロームの世界。

ジョン・カサベテスが、自宅を舞台にして撮り、編集も自宅ガレージで行った、
まさに、アンチ・ハリウッドのインディペンデント作品「フェイシズ」。1968年制作。
俳優業の収入を使い、ボランティアで参加したスタッフと制作したのだが、
オスカーで3部門にノミネートされ、ヴェネチア国際映画祭では
リチャード役のジョン・マーレイが男優賞を受賞。
登場人物たちの『表情』をカメラが追い、
36時間で崩壊していく夫婦を描いたヒューマン・ドラマである。

オープニングがかなりシニカル。
この『フェイシズ』の映画上映会のシーンから始まる。

ある日のリチャード(ジョン・マーレイ)はバー『負け犬』で、
高級娼婦ジェニー(ジーナ・ローランズ)と出会い、大いに盛り上がる。
そして、帰宅して何気ない夫婦の会話の後、
リチャードは突然妻のマリア(リン・カーリン)に「離婚しよう」と告げ、
そのまま家を出て行ってしまうのだ。
呆然とした妻のマリアはディスコで知り合った青年、
チェット(シーモア・カッセル)と一夜を過ごしてしまうのだが…

酔っぱらい騒ぐ笑顔。
言葉遊びで大笑いする底抜けの笑顔。
機嫌をそこねて怒る男の顔。
恋した人との幸せな顔。
妻の作り笑顔。夫の作り笑顔。
妻の困った顔。夫のふっきれた無表情な顔。
どうして良いか解らぬ妻の顔。
自暴自棄の顔。
己を知る泣き顔。
若く興味本意の顔。
思いつめた顔。

次々と起こる出来事によってこれらの顔が生まれる。
時に激しく、時に静かに、そのメリハリたるや!!!
125分と長い作品なのだが、ドキュメントタッチな登場人物の世界に
どんどん引き込まれる。
ちょっと若いジーナ・ローランズがキュートに美しく魅力的。
ジョン・マーレイのしおれた?色気と言葉遊びも楽しい。
お金をかけなくてもこんな素晴らしい作品が生まれる、
カサベテスの才能と人徳を見せつけられた気がした傑作!

フェイシズ 【TBD-1057】 =>20%OFF!《発売日:02/05/24》
フェイシズ

■監督:カサベテスファミリー・カテゴリー

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November 01, 2004

「マスク」

[DVD映画]★★★★☆

何度観てもさりげなく心が痛みラストシーンでほろりとくる映画「マスク」
同名のコメディではなく、頭蓋骨形成異常という2200万人に1人という奇病のため、
顔が肥大化し生命の危険にも晒される実在のロッキー・デニス少年の生涯を基に
アンナ・ハミルトン=フェランが脚本化した1984年アメリカの作品。
監督は数奇な経歴を持つピーター・ボグダノヴィッチ。
ボーカリストであり女優でもあるシェールが少年の母親を演じる。

15歳の少年ロッキー・デニス(エリック・ストルツ)は
精神面では普通の少年と変わらないが、頭蓋骨形成異常、俗にライオン病と呼ばれる
カルシウム分泌の異常が原因の病気で、
顔はマスクでもかぶっているかのように普通の人の2倍もある顔であった。
母のラスティ(シェール)は自由人のバイカー。
ロッキーの仲間はアウトサイダーであるバイカーたちとその家族。
だから彼の夢は親友のベン(ローレンス・モノソン)と
オートバイでヨーロッパ大陸を走ること。

学校の成績はいつもトップクラス。
明るく陽気なロッキーはバイカー達の人気者。
彼が嫌な目にあってもアウトローなバイカー達が助けてくれる。
過激な母親ラスティも独特の愛情でロッキーを愛し守る。
参加した盲人キャンプで、
盲目の美少女ダイアナ(ローラ・ダーン)と出会って恋をしたり、
病気が無ければ本当に普通の少年なのだが…、
時折襲う激しい頭痛。そして肥大していく頭と顔。
これに彼は犯されてゆく…

ヨーロッパの地図を広げ印をつけて夢を馳せるロッキーとベン…。
彼等の姿が印象的だ。

テレビの深夜枠でよく放映されており、
ついつい観ていて心を洗われる。
なんとDVDになっていたので改めて観ても、
偏見や病気を乗り越え、人生を楽しもうとした、ロッキー。
その彼を当たり前に守る、
どうみても世間的に『ワル』な母や周囲の仲間達が心に残る。
映画の中の登場人物達には偽善心は無く、
大切な『仲間』として、『家族』としてロッキーを愛する。
偏見や憐れみを持っているのは、実は自分なのだと気付くのだ。

マスク
マスク

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October 25, 2004

「CQ」

[DVD映画]★★★★★

恐るべし!コッポラファミリー!
やはり息子もタダモノでは無かった…
実はフランスのソフト・ロックなンド“メロウ”mellowが、
このサントラ『ドラゴンフライ-CQサウンドトラック』
を担当しているので、借りてみた。
勿論、音楽は60〜70年代のゆる〜い感じで、なんともハマっていたのだが、
なんと、映画事体も面白かったのだ…!

ちなみにこのジャケットの『ドラゴン・フライ』役はスーパ・モデル。
最近のモデルさんって、演技もお上手。

巨匠、フランシス・コッポラの息子(ソフィア・コッポラの兄ですな)
ローマン・コッポラの初監督映画作品。
彼は上記のメロウやダフト・パンクなどのミュージック・ビデオや
CMのディレクターとしてはすでに活躍している。
期待も十分のデビュー作となるわけだが、
なんとも『映画とは』と思わせる作品を作ってしまった。
2001年のアメリカ映画「CQ 」

舞台は1969年のパリ。
アメリカ人の青年・ポール(ジェレミー・デイヴィス)は
アンドレイ(ジェラール・ドパルデュー)が監督する、
2001年を舞台にしたSEXYなSFスパイ映画「ドラゴンフライ」の編集を担当。
実生活では自らの日常を追った自主映画の制作に熱中し恋人との仲が危うい日々。
そんな中「ドラゴンフライ」の制作はエンディングを巡り監督と
プロデューサーのエンゾ(ジャンカルロ・ジャンニーニ)が対立し、
監督は降板させられてしまう。
一度監督もろとも解雇されたのだが、次に担当した若い監督もケガで断念。
急遽、白羽の矢が立ったのは編集をしていたポール。
彼は主役女優の女子大生ヴァレンタイン(アンジェラ・リンドヴァル)に惹かれつつ、
映画の中のドラゴンフライ=女スパイに恋をして、
プロデューサーの納得のいくエンディングに悩むハメになってしまうのだ!
さて映画「ドラゴンフライ」とポールの恋の行方は???

といったあらすじなのだが、
まるで「バーバレラ」のような60年代の超チープなB級映画「ドラゴンフライ」、
の『制作現場のウラ事情』と
ポールのリアルな日常を追った自主映画「69/70」
の『恋愛がらみの事情』が、
実に微妙に絡み合うのだ。
観ている方は3つの映画を観ている事になる。
新人監督のポールくんのダメっぷり、悩みっぷりがイイ。
コッポラ監督が影響をうけた1969年にとにかくこだわり、
当時の撮影技術を駆使して、CGを使わず完成させたとコメントしていた。
だから、妙にリアルなレトロ&ポップな仕上がりになっている。

音楽も古いビンテージのものを使い、
こだわりまくって作ったらしい。
メロウのアルバムはこれが2作目なのだが、3作目でこれが見事に影響され、
彼等の音の幅も広がっていた。

ちなみにソフィア・コッポラも某役柄で出演したり、
コッポラファミリーあげてのバックアップは羨ましい。
そりゃ、センスも磨かれるものだわ…。

映像特典として劇中映画の「ドラゴンフライ」が、
2人の監督のバージョンが収録されていたり、
この辺りのエピソードは特典に十分過ぎる程入っているので、ご覧あれ。
メロウのお姿も拝めたし、(←結局それか)
全く期待していなかっただけに、お腹いっぱい。

CQ (ゴージャス・エディション)
CQ (ゴージャス・エディション)

サントラはこちら

ドラゴンフライ-CQサウンドトラック
ドラゴンフライ-CQサウンドトラック
 

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October 24, 2004

「シモーヌ」

[DVD映画]★★★☆☆

もしも、CGで作った女優、完璧な容姿、完璧な演技をする〈ヴァクトレス〉が
現実になったら??という、非常に興味深い内容。
「ガタカ」「トゥルーマン・ショー」のアンドリュー・ニコル監督が
製作・脚本を手掛けた2002年アメリカの作品「シモーヌ」

最近落ち目の映画監督タランスキー(アル・パチーノ)は、
今回もわがままな女優に振り回されて製作中止に追い込まれ、
制作スタジオとの契約も打ち切られる…そんな時、
眼帯の男、片目を癌に犯されたプログラマーのハンクが現れて
『希望通りの女優を作るコンピューター・ソフト』を売り込みに来た。
その時は相手にしていなかったタランスキーだが、結局ハンクのシステムを使い、
CG女優の『シモーヌ』(レイチェル・ロバーツ)を作り出し、
無事「サンライズ・サンセット」という映画をリーズナブルに完成させたのだった。

そして、その映画はシモーヌの美しさで大ヒットとなり、
続く「永遠の彼方」という作品も大ヒット!!そしてオスカーを手にした。
これで監督の名誉挽回…と思ったが、人々の興味は『シモーヌ』へ。
実在しない『シモーヌ』は、もちろん人前に出る事は出来ない。
ゆえ、タランスキーが必死で『シモーヌ』秘密を奔走しながら守ろうとするが、
それは余計に人々の興味を増すばかり…
『シモーヌ』人気の暴走が始まった!!。

いや〜、結構面白かった!テーマの割には浅〜い、ゆる〜いタッチである。
タランスキーの元ヨメのプロデューサー(キャサリン・キーナー)のバカ加減と
途中で『家族の絆』にテーマが変わったところがちょっと寒かったが、
思ったより楽しかったぞ♪
映画を降りるわがまま女優ニコル(ウィノナ・ライダー)の役者っぷりも良かったし、
何といってもすっかりじ〜さんになったアルパチ!
すっとぼけてて、いいです。

アメリカ人のセレブに対するカルト的な関心、執着、固執、アメリカンドリーム。
この狂気じみたトコロが面白かった。
『シモーヌ』が嫌われるような映画を作っても逆効果。
そうあの「ソドムの市」的な映画であったとしても、悪ぶった姿であったとしても、
もはや人々はタランスキーの言葉より、『シモーヌ』の幻想の言葉を信じるのだ。

アンドリュー・ニコル監督自身が
「すべてを監督自身の手で自由に作れたら…。完璧な自分の作品を作れたとしたら。
 出演者までも…」
なんて、この映画で思いきり遊んでみたのでないかと思われた。
『シモーヌ』役のレイチェル・ロバーツ、セレブの見本のような彼女は
監督の奥さんになったんですね〜。

さて、この映画のテーマ。CG俳優ばかりになる可能性はあるのか?
ワタシ的にはNOかな。
『映画』は演技の決定を下す、監督以下、人間のスタッフがあって完成される。
動きの元サンプリング素材を演じるのは人間の俳優なのだ。
人間らしいシーンに人は心を動かされるもの…。

この映画でタランスキーが『シモーヌ』を人間らしく見せるテクニックとして、
ホクロを足すトコロがなんとまあリアル。
そして、ニコルの顔を見て「いいね〜そのシワ。シモーヌにも…」に思わずププッ…。

シモーヌ デラックス版
シモーヌ デラックス版

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September 23, 2004

「ぼくは怖くない」

[DVD映画]★★★★☆

いい『穴』もの見つけました!さすがアルバトロスさん!!
いや〜むちゃくちゃ良かった!
「ぼくは怖くない」

監督ガブリエーレ・サルヴァトーレス。
原作はニコロ・アンマニーティによる同名小説
「ぼくは怖くない」(ハヤカワepi文庫)
2003年のイタリア映画。
タオルミナ映画祭やドナテッロ賞などで数々の映画賞を受賞した作品。
音楽はエツィオ・ボッソ。
クラシカルでミニマルなサウンドがこの映画に深みと優しさと
何とも言えないセツない緊張感を与えている。

真っ暗な穴から始まる。そして、真っ黒なカラス。
一面の金色の麦畑を走る子供達。
これは、何も無い、一見のどかな南イタリアの小さな集落の物語。
カメラは子供達の目線でそれらを写し撮っている。シンプルな画のような世界。
妹マリアが落とした眼鏡を探す
優しい兄ミケーレ(ジュゼッペ・クリスティアーノ)は、
廃屋の近くでトタンに蓋をされた穴を見つける、もう好奇心満々!。
そして、穴の中に彼の黒い瞳に映ったものは…!!
なんと、鎖につながれたキズだらけでボロボロの少年だった。

麦畑を妹を連れて逃げ帰るミケーレ!!。
怖いのだが興味も深まり、誰にも言わない秘密にして、
『彼』フィリッポ(マッティーア・ディ・ピエッロ)の元を度々訪れ、
『子供の自分の可能な限りの範囲』で助けようとする。
それを表現するかのように、
大きな自然と小さな生き物達による対比があらゆる所に出てくる。
例えば、自転車で駆け抜ける子供達の足下にいるハリネズミ、
柵の上のクモ、麦を刈り取る重機の前のカマキリ、
麦畑に倒れるミケーレの瞼の上のアリ、大空に小さく飛ぶトンビ、
クモ、フクロウ、コウモリなど…。

そして、『彼』がなぜ、『穴』の中にいたのか、
ミケーレには思いもかけない両親そして、村人達の秘密があった。
彼等の関わる『ある事件』。
見るからにいたいけで幼い、過酷な現実から逃避している
ミケーレと同じ10才の『彼』。
どんどん親しくなる『彼』とますます怪しい『大人達』。
そして、余りにも無力な『子供』の自分。
ミケーレは葛藤しながら、あくまでも『子供の自分の可能な限りの範囲』で、
正義感をつらぬこうとする。
まだ彼は『純粋』そして、『裏切』や『信頼』を経験し成長しようとしていた。

怒ると怖いマンマ、母親アンナ(アイタナ・サンチェス=ギヨン)は、
純粋なミケーレを心から愛し、父親ビーノ(ディーノ・アップレーシャ)もまた、
乱暴な言動とは裏腹にやはり息子のミケーレを愛している。
でも、ボスのセルジョ(ディエゴ・アバンタントゥオーノ)には逆らえない。
彼等にとっても葛藤はあるのだ。

こうしてまっすぐな少年、ミケーレのとった行動とは!
『彼』の運命は、意外な結末を迎える事になる…
もう、出来過ぎだけれどホロリときます。

ラジオから流れるイタリアンポップス「甘いささやき(パローレ・パローレ)」♪
そしてプッチーニのオペラ「ラ・ボエム」♪も使用され、
ちょっとユルくてノスタルジックな南イタリアの田舎町の雰囲気が出ていて好き。

原題は“IO NON HO PAURA”(直訳のままです。)
それにしても“だるまさんがころんだ”とか“渦巻き蚊取り線香”が
イタリアにもあるのは知らなかった。
こりゃ、南イタリア行かないと!!!
ああ!ミケーレみたいな息子か兄が欲しい…。

ぼくは怖くない
ぼくは怖くない
 

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September 22, 2004

「夏休みのレモネード」

[DVD映画]★★★★☆

思ったよりも深くて素直な映画「夏休みのレモネード」
監督はート・ジョーンズ、2001年アメリカの作品。
マット・デイモンベン・アフレックが新人発掘のために企画した
第1回プロジェクト・グリーンライト(脚本コンテスト)グランプリ受賞。

1976年のシカゴ。アイルランド系カトリックの大家族で育つ8歳の少年
ピート・オマリー(アディ・スタイン)は、いつもシスターにしかられていて、
「地獄へ行ってしまうよ」と言われてしまう。
そして、ピートの天国行きへの『探究』が始まった。
ユダヤ教のラビ(ケヴィン・ポラック)やカトリックの司祭に相談しながら…。
例えばユダヤ教徒に“天国行きのレモネード”を無料で振舞い、
彼等をキリスト教徒に改宗させようと実行たり、
ピートの8才半なりに考えた「いい事」をして天国へゆこうする。

丁度そんな夏休みにラビ(ケヴィン・ポラック)の息子であるユダヤ教徒の少年
ダニー(マイク・ワインバーグ)と友達になるが、実は彼は白血病に冒されていた。
『ダニーをキリスト教徒に改宗させ、キリスト教の天国へ
 自分はいい事をしたので天国へ行ける』と子供ならではの知恵で考えた。
そのために自分達で『天国へ行く』10種競技のようなテストを作り、
ピートは「テストをクリアすれば、天国への金メダル(聖体)をあげる。」と約束する。
ダニーはピートに「僕が死んでも家族に悲しんで欲しくない」と語った。

キリスト教徒とユダヤ教徒の家族、このあたりの宗教の問題は
日本人にはなじみが少ないが、幼い彼等の純粋な行動によって
それぞれ、祈る事は同じなんだと気付くのだ。

ピートの父ジョー(アイダン・クイン)とラビのジャコブセンの二人が、
息子達によって壁を超えていくのが微笑ましい。
『感動のヒューマン・ドラマ』という押し付けがましさは無く、
子供や親の素直な気持ちを淡々と描いている所に好感が持てた。
子供達の真直ぐな笑顔は本当に素晴らしい。

夏休みのレモネード
夏休みのレモネード
 

本はこちら。ソニーマガジンズから出ています。

「夏休みのレモネード ヴィレッジブックス」
 

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September 21, 2004

「息子のまなざし」

[DVD映画]★★★☆☆

息子を殺された親の息子を殺した者への感情。
その感情の移行を描いた「息子のまなざし」

「ロゼッタ」「イゴールの約束」
ジャン=ピエール・ダルデンヌ/リュック・ダルデンヌ兄弟の監督による、
2002年カンヌ映画祭主演男優賞&エキュメニック賞を受賞した
オリヴィエ・グルメ主演を前提に作られた作品。
ロケは監督たちの故郷などを使い、相当思い入れがあったよう。
ベルギー・フランス2002年の作品。

オリヴィエ(オリヴィエ・グルメ)は職業訓練所で
大工仕事を教えている無口で仏頂面の中年教師。
そこへフランシス(モルガン・マリンヌ)という少年が、
少年院から出所して、この木工クラスを希望して入所してくる。
フランシスの書類を見て一瞬放心状態になったオリヴィエは
一旦木工のクラスは満席だと断るが、
その後、あきらかに挙動不信な行動に出はじめた。
事務室で書類に記入するフランシス、昼食をとるフランシスを密かに盗み見る。
街の中でまでフランシスのあとを尾行する。などなど…。
なのに、オリヴィエは木工クラスでフランシスを受け入れる事にする。
彼は一体なぜこの少年をつけまわすのか? そしてこの少年の犯した罪とは?

実はパッケージやレビューにネタバレでストーリーが書いてあり、
見ていてちょいとつまらなかった。知らないほうが面白かったと思う。
ホントにこのオリヴィエの行動は怪しい。
フランシスを殺さんばかりの食い入るような視線で見つめるその眼鏡の奥の目。
しかもカメラはほとんどを彼を背後から手持ちで撮っており、
オリヴィエ・グルメは背中と横顔で演技しているのだ。
まるで、ドキュメンタリーを見ているかの映像。

この二人の関係が少しずつ変化していくところがいい。
無口で孤独なフランシスがオリヴィエを信頼しはじめるトコロ。
思わずにんまりしたり、困惑したり、おいおいつっこみ入れたくなったり…。
でも、

あっけなく終わってしまった。

一瞬ドキッとしたが、ハッピーエンドのはず。
ワシは子の親では無いので、実際彼等のような立場になった時に
どんな行動に出るのかはわからないが、
少なくとも、オリヴィエの気持ちはひしひしと感じられた。
いや、オリヴィエの気持ちになろうとしていた。
「息子のまなざし」。
カメラのを通して息子が見ている???そんな感じはしなかった。
フランシスの中に、息子を見つけたのだと…。

息子のまなざし
息子のまなざし
 

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September 16, 2004

「焼け石に水」

[DVD映画]★★★★☆

なんとも悲しくもあっけらかんとした耽美を超えた残酷な作品。
昨日の「まぼろし」のフランソワ・オゾン監督が
ファスビンダーの戯曲を映画化した「焼け石に水」
2000年制作のフランス映画。

美しい町並みから始まる。
カラフルでメルヘンチックなドイツの街並…。
ドアを開けて入って来るのは、中年紳士レオポルド(ベルナール・ジロドー)と
美しく若い男フランツ(マリック・ジディ)。
部屋の中はおしゃれなインテリアの並ぶモダンな部屋。
ソファーに『並んで』腰を降ろす二人。
もう、このあたりでわかるように、
この美青年フランツはレオおやじにうまくハメられて、
ついに禁断の道へと入ってしまうのだ。

フランツ君には若くプロポーションがなんともエロティックな
婚約者のアンナ(ルドヴィーヌ・サニエ)という彼女♀がいるのだが、
おやじの魅力にすっかりメロメロなフランツ君、
アンナに愛情を抱きながら口では「出て行く」と言いながらも、
ずるずると彼のアパートメントから出て行く事が出来ない。
「愛している」からどうしても離れられないのだ。
そのうちに、レオの元『彼女』(アンナ・トムソン)まで現れ………
なんと!とんでもない結末に!!。
どんどん暴君に溺れて傷付く、素直な少年がなんとも初々しく、美しく、痛々しい。
欲望に忠実すぎるおやじ「ボクをパパと呼びなさい」みたいな、
こういう男って意外と男にも女にもモテモテだったりするのだ。
アメとムチを使い分けるから…。
(自分的には苦手なタイプ。どちらかというと「まぼろし」の夫ジャンタイプ好き)

物語は4幕に分かれる。もともと、戯曲だったのが良くわかる構成。
意外とグロテスクな内容をあっけらかんと、ちょっと可笑しくしつこく描くトコロも
妙ちきりんなダンスシーンも、違和感ありつつ、くすっと笑える。
それにしても、アンナさんそれはないだろうよ〜!!!
美しいフランツ君が不憫でならない。
オゾン監督のセンス、悪くない。というか好き???
「8人の女たち」思いきり寝てしまったのに…徐々にハマリ気味。
ビデオしかレンタルショップに無かったので
DVDの特典映像の短編がゼヒ見たい!

焼け石に水
焼け石に水
 
 
DVD BOX「海をみる」「クリミナル・ラヴァーズ」「ホームドラマ」「焼け石に水」
及び短編のオゾン監督の初期全9作品を収録。
フランソワ・オゾン DVD-BOX
フランソワ・オゾン


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September 15, 2004

「まぼろし」

[DVD映画]★★★★★

こんなに泣いてしまった映画は初めてかも!!
最初から最後まで、切ない切ない…。ティッシュケースの1/3は無くなっ。
これは、フランソワ・オゾン監督がたまたま出会った、
「フランス南西部のランド海岸での夫の失踪事件」
のエピソードを膨らませて作られたという、2001年フランスの作品「まぼろし」

結婚して25年になる夫婦。
妻マリー(シャーロット・ランプリング)と夫ジャン(ブリュノ・クレメール)。
毎年ランド地方の別荘でヴァカンスを過ごしている。
今年も同じようにバカンスを楽しみに来た。

大きな体で無口で優しい夫、ジャン。少し淋しそうな表情が印象的。
会話は無いが、わかりあえている夫婦。
何気ない日常のシーンにマリーの幸福感が溢れている。
浜辺でマリーの背中に優しくオイルを塗るジャン。
そして、海へ泳ぎに行き—————
うたた寝したマリーが目覚めても、ジャンは戻って来なかった…。

失踪した夫ジャン、もしかすると水死したかもしれないとどこかで諦め一見冷静に、
マリーはひとりパリへと戻り、有人に紹介されたヴァンサンを愛人としながらも、
夫の幻影と共に生活をする。
マリーを優しく抱き締めるジャンのまぼろし?には優しさが溢れている。
今でも彼の大きな愛情に包まれた彼女に、ジャンを忘れることなど出来るだろうか?
愛人ヴァンサンに言う。「あなたでは軽すぎる…」と。

夫の異変に気付けなかったマリー。
初めてそこで、冒頭のジャンの行動が思い起こされる。
自分もマリーと同じようにジャンの異変には気付いていなかったのだ。
誰も居ない夫の書斎。大きなジャケットのかかった夫の椅子。
母と子の絆、妻と夫の絆。つらい現実。そしてと再起。

傍にいるべき人物が突然いなくなった時の感じ。
嘘だと思いたくて、実際そこにまだ居る気がしてしまう。幻となって見えてしまう。
でも居ない。ポッカリと虚しい空間を埋めるようと、心は揺れ動く…。
細かいエピソード、心理描写に…ホロリ。

シャーロット・ランプリングの年齢を越えた美しさ!
若作りではなく本当に可愛く魅力的。
映画デビューはなんと「ナック」(1965年)ですよ〜!
ブリュノ・クレメールの年を重ねた大きな存在感が好き。
シャーロットとブリュノは「蘭の肉体」以来25年ぶりの共演だそう。
ゆえにか本物の夫婦のように呼吸もぴったり。

いや〜オゾン監督「8人の女たち」
ではそんなに…でしたが、
この「まぼろし」で、やられました。

特典映像もいきおいで鑑賞。
さすが!オゾン監督!!

■フランソワ・オゾン監督コメンタリー
■シャーロット・ランプリング&ブリュノ・クレメール インタビュー映像収録
■フランソワ・オゾン監督の未発表短編作品(各約12分)
 “Mes parents un jour d'ete”
・スパでの夫婦の日常を撮っている
 “Les Doigts dans le ventre”
・過食性の女の子のハナシ
・殺した家族写真を撮る男の子のハナシ

コメンタリーも短編作品もかなり見応えあり。

まぼろし<初回限定パッケージ仕様>
まぼろし<初回限定パッケージ仕様>
 
 
DVD BOX「海をみる」「クリミナル・ラヴァーズ」「ホームドラマ」「焼け石に水」
及び短編のオゾン監督の初期全9作品を収録。
フランソワ・オゾン DVD-BOX
フランソワ・オゾン


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September 07, 2004

「こわれゆく女」 

[DVD映画]★★★★★

以前映画館で観て、もう感涙!
こちらも1975年アメリカの監督ジョン・カサベテスの傑作!!
その感動の記憶から、もう一度見てみようと近所のレンタル屋さんで探してみたが…。
『無い???』
「数年前まで取り扱っていたんですが〜」との事。
『なんて事だ!』
こんな名作をキらないでもらいたい…。
しょうがないので、DVD購入。ま、何回も観ると思えば、リーズナブル。

感情表現が異常に豊かで情緒不安定な妻・メイベル(ジーナ・ローランズ)を、
深い愛情で家庭をささえる土木作業の現場監督・ニック(ピーター・フォーク)。
メイベルの感情表現がエスカレートするのだが、
友人に忠告されるたびに「妻は狂っていない」と答えるニック…。

メイベルは狂っていないと思う。「狂っている」と思わせたのは周りの人々。
子供達は一番それを良く解っている。夫はそう信じながらも、不安になりついに施設へ…。
こんなにも夫に愛され、こんなにも子供に愛されたメイベル。そしてメイベルが戻ってきた!!。
やはり、涙が…。子供達に…ううっ!!
「心の病気」は周囲の影響が大だなぁ。

それにしてもジーナ・ローランズが素晴らしい!ど迫力!!
ピーター・フォークも素晴らしい演技なんだけれど、
ついつい『刑事コロンボ』が思い浮かぶ……。
例の居もしない「うちのかみさんがね〜」なんて。

こわれゆく女 【TBD-1058】 =>20%OFF!《発売日:02/05/24》
こわれゆく女

■監督:カサベテス・ファミリー カテゴリー

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September 06, 2004

「グロリア」

[DVD映画]★★★★★

ジーナ・ローランズが最高にかっこいい!
1980年のジョン・カサベテスのあまりにも有名な作品「グロリア」

1998年にもシャロン・ストーン主演で完全リメイクされ、
(シャロンさんも頑張ってましたが、ジーナさんの強烈さには完敗かと)
「レオン」もこの作品から生まれた…。
ワシの最も大好きな作品の一つ。

ギャングに襲撃されようとしている一家。
そこへたまたま母親の友人だったグロリアが立ち寄り
その家族の6歳の息子フィルを連れ出し助ける事になる…。
元ボスが愛人だったギャングからもフィルの誘拐犯として警察からも追われる二人。
子供とは縁の無かったグロリアに徐々に愛情が生まれ、
フィルのためにギャングと対決する事に…。

ギスギスしていたグロリアとフィルの関係が、
どんどん変わっていくのが好き。
何気ないフィルの一言や態度に対するグロリアの表情が、
やわらかくなってゆく…。
ただし、ギャングと対する時は別だ。
『先手必勝』で拳銃をぶっ放す。
度々、風呂に入るのはそんな彼女ゆえか…。
なぜか東洋チックな部屋の内装と着物ガウンが印象的。

フィルの大人びた顔と小さな体のアンバランスさも
この映画の魅力的な要素。
口では生意気言っていても、まだまだ子供。
ラストシーンの目を擦ってかけてゆくシーンは、
何度観てもいいものです。

グロリア
グロリア
 
■監督:カサベテス・ファミリー カテゴリー

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August 31, 2004

「ぼくの好きな先生」Etre et avoir

[DVD映画]★★★★☆

こんな先生、こんな学校が存在するのだ!!
監督はニコラ・フィリベール。2002年フランスのドキュメンタリー作品。
「Etre et avoir ぼくの好きな先生」

雪と牛のシーンからこの映画は始まる。
フランスのある山間にある、村にたった一つだけある小学校。
ここでは幼稚園から小学生までの子供たちが1つの教室で学んでいる。
先生はロペス先生1人だけ。この道35年のベテラン先生。
この小学校でも20年も教えている。
温厚で辛抱強く、叱るときも淡々とささやくように話し納得させる。
子供の頃から先生になりたくて、教師となった今も毎日が楽しいという。
教える時もちゃんと子供達一人一人に意見を聞きながら、すすめる。
生徒たちはそんなロペス先生が大好きなのだ。

冬からから季節は移り行きそして春から夏へそして秋。
村の景色はどの季節も絵画のように美しい。
そして、牛の群れ。
子供達の自然な姿をカメラは追い続ける。
ここでは年長が年少の面倒をみて、子供達も家の仕事を手伝うのが当たり前。
牛の世話や農耕機の操作だってお手のもの。
ちょっとしたいたずらやケンカももちろんある。

季節がまた冬が訪れそして春、
ついにロペス先生が教師生活を終える時が訪れた…。

実在するこの学校を5ケ月かかってフィリベール監督は探したそうだ。
やっと見つけたこの学校や村、
先生、生徒、出来事を、そのまま記録していく…。
特典映像で監督曰く、エピソードのいくつかは先生に提案してみたものだと。
どれがそのエピソードはわからない程、自然にストーリーは進行してゆく。
子供達の活き活きとした表情が本当に魅力的で、どの子も可愛い!!。

常にマンモス校(10クラス以上、1クラス40人位)に通っていたので
全く経験が無いゆえ、ちょいと羨ましい。
こんな先生、こんな学校だったら、人生変わったかも…。
『人との関係』『人との共存』『人への思いやり』について
ふと考えさせられた。
あ〜自分はやっぱり教育者に向いていないなぁ…。

後日談として、このロペス先生、
授業にもコピーライトがあるとして訴訟していたのですが、敗訴だったよう。
色々あったんでしょうが…こういう問題は複雑ですね。
映画事体は、素晴らしかったのですから…。

Etre et avoir ぼくの好きな先生
Etre et avoir ぼくの好きな先生
 

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August 28, 2004

「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」

[DVD映画]★★★★☆

『アングリーインチ』ってそ〜いう事ですか!!
前から評判も良かったが、期待以上に楽しんだ!
「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」
オフ・ブロードウェイでロングラン・ヒットした、ミュージカルの映画化。
舞台同様、監督・脚本・主演はジョン・キャメロン・ミッチェル。
製作はキラーフィルムズ(『ボーイズ・ドント・クライ』/『ベルベット・ゴールドマイン』など。)の2001年アメリカの作品。

東ドイツで男として生まれ、性転換手術
(大失敗!股間には“怒りの1インチ=アングリー・インチ”が残ってしまった。)
をして女として結婚し、米国軍人と渡米そして別離。
今では地道にレストランまわり?のバンドのロック・シンガー。
ドラッグ・クイーンばりの風貌のヘドウィグ。

彼の母から聞かされた話は、
『人間はもともと背中合わせにくっついた“片割れ”がいたのだが、
 それを神によって2つに引き裂かれた。
 その“片割れ”に出会った時に抱く感情が〈愛〉』というもの。
(インドの神様がその傷口を縫い合わせてその閉じた傷がヘソというのが笑える!)
そんな自分の過去や思想、感情などを曲にこめ歌い続けるヘドウィグだが、
どこにいっても観客の反応は今ひとつ。
盛り上がっているのは、マネージャーと少数の客のみ。
彼には追いかけている、過去に愛し、共に夢を共有した“片割れ”?トミーがいた。
トミーは現在全米ナンバー1のロック・ミュージシャン。
なんとテレビから流れる彼の歌う曲はヘドウィグと同じ曲???
実は彼の歌う曲はヘドウィグの作った曲だったのだ…。

ヘドウィグの現在の夫イツハク(ヒゲヅラ・ロン毛の風貌だが性転換したい女?)への
愛情と、トミーへの絶対的な愛情、憎いけど愛しい!!このあたりが見所。
ワシ的にはイツハクが魅力的…。可愛かった!。
ヘドウィグを愛しても彼は“片割れ”トミーを追いかけている。
イツハクはず〜っと憧れの「RENT」Tシャツ着て…、彼(彼女?)も
“片割れ”と“本当の自分”を探しているのだ…。

映画の中でヘドウィグの描いているとされている
イラストとアニメーション(実際は映像作家の作品)が美しくかつ効果的。
バンド演奏のスクリーンや回想シーンで登場して、
この映画を説明的にならないように上手くおとしこんでいる。

ミュージカルはどちらかというと苦手なのだが、
名作の多い『ミュージカル映画』は意外と好きみたい。
これは、ホントよく出来てました。意外と深く、噛めば噛む程味が出ます。

このDVDのメニューがいい感じなんですが、ちょいとごっちゃりしてわかりにくい!
最近こういうの多いなあ。特典映像見せたくないのかな…。と思ってしまう。
ちょこっと工夫してナビゲ−ション良くして欲しいですね〜。

余談ですが、トミーのビジュアルは「クロウ」みたいだな〜と思っていたら、
スタイリングの人が同じ!かなりデスなかんじでお気に入り。

ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ
ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ
 

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August 27, 2004

「オール・アバウト・マイ・マザー」

[DVD映画]★★★★★

何度観てもなぜか涙がこぼれる映画。
「オール・アバウト・マイ・マザー」

スペインの変態巨匠ペドロ・アルモドバル
監督によるヒューマン・ストーリー。
1999年の作品。音楽は「愛よりも非情」のアルベルト・イグレシア。

17年前に別れた夫に関して息子から問われた
移植コーディネーターの母マヌエラ(セシリア・ロス)は、
長い間隠していた夫の秘密を話そうと覚悟を決めた矢先、
最愛の息子エステバンを事故で失ってしまう。
息子との約束を果たすため?元夫に息子の事を伝えるために、
バルセロナへ向かうマヌエラ。
その夫とは乳房のある父親であった…。

偉大なる母の『愛』、性別を越えた『愛』、奔放な『愛』の結果は厳しい現実…。

まっすぐで美しく夢を持つ青年エステバン、
『欲望という名の電車』を演じるマヌエラ、
(この映画では)異常に可愛い妊娠した修道女役のぺネロぺ・クルス。
乳房のある夫…。
その他、ひとクセもふたクセもある登場人物はアルモドバル監督ならでは。
人によっては不愉快なエピソードも多いが、
マヌエラの『愛情』の深さ、強さに何度も感動してしまうのだ…。

ペドロ・アルモドバルの作品の中では、かなりお気に入りの1本。

オール・アバウト・マイ・マザー
オール・アバウト・マイ・マザー
 
 
■ 映画「トーク・トゥ・ハー」のレビュー
 
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August 24, 2004

「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」

「僕はそれよりもましだ…。」
少年イングマル(アントン・グランセリウス)は母の病気が悪化したので、
ひとりぼっちで遠い村の親戚に預けられる。
そこで、どんなにつらいことがあっても
「よく考えてみれば、僕は運がよかった。」
「宇宙を飛んだあのライカ犬。
 スプートニクに積まれて宇宙へ送られた………僕はそれよりもまし。」
と夜空を見上げながらつぶやくのである。

『サイダー・ハウス・ルール』のラッセ・ハルストレム監督の
本国スエーデンで1985年に制作された作品「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」

誰でも子供の頃、大なり小なりの逆境を乗り越えるために、
無理矢理『理由』を見つけて自分自信を納得させたりしたのではないだろうか。
ワシは大人になった今でも、そういう癖がついてしまっている。
ヒトに言わせると『マイナス思考』らしいのだが、
本人的にはかなり『前向き』だったりする。

ちょっとイヤな事があったり、とんでもない逆境に立たされたりしても、
「あの時よりマシ」「もしかするともっと悪い状況になったかも」
なんて、一度絶望的観測をしてしまうと、
その後は『なんだ、大丈夫だ。この位』と楽観的になれる。
ゆえ、歳を重ね色々な経験をすることによって
どんどん精神的に強くなれた気がする。

この映画の少年イングマルは、この経験を経て成長し、
本当にいい出来事にもどんどん出会える。
今日はちょっと悲しい事があったけれど、
もっときっと良い出来事に出会えるはず…。

マイライフ・アズ・ア・ドッグ
マイライフ・アズ・ア・ドッグ
 

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August 23, 2004

「ほえる犬は噛まない」

[DVD映画]★★★★☆

『団地』で飼ってはいけないはずの、犬を閉じ込めたり投げたり
あげくの果てにその犬を…!…ああ!
動物愛護協会からっ苦情がガンガンきそうなエピソードが満載。
イヌ…特に室内犬の好きは観ない方が良いかもです…。
監督はポン・ジュノ。2000年韓国の作品。「ほえる犬は噛まない」

『団地』での小犬失踪事件を題材に、そこで暮らす、
働く個性的な人々の姿をユーモラスに描いている。
『団地』が舞台なだけに、登場人物が非常に小市民的で、共感できます。
音楽が非常に効果的でかっこいい+画ヅラも緊迫感があり、
役者さん達の個性が光る逸品でした。
天然ボケ事務職の女の子を演じたペ・ドゥナがいい顔します。

黄色いパーカー、黄色いレインコート、黄色って
何か意味があるんでしょうか??
エンディングは「フランダースの犬」の曲!
DVDのメニューは凝っててかわいいんですが、
ちょいと使いづらイーン!(←観た方はおわかりですよね♪)

ほえる犬は噛まない【THD-12671】 =>20%OFF!《発売日:04/05/02》
ほえる犬は噛まない

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August 13, 2004

「ジョゼと虎と魚たち」

[DVD映画]★★★★★

妻夫木聡と池脇千鶴主演の2003年の話題作映画「ジョゼと虎と魚たち」がDVDに。
監督は犬童一心。
原作は田辺聖子の同名小説「ジョゼと虎と魚たち」
エンディングのくるりの曲「ハイウェイ」がじんとしみる。

オープニングは恒夫(妻夫木聡)が語るジョゼ(池脇千鶴)との冬の旅の回想シーン。
そして、色彩は明るいが、どこか痛々しい大阪の街のイメージ画…。
あ、D[di:]さんの絵だ。思わず、ワシはフリ〜ズ。そして、流れ出て来る関西弁!
ずっぽりと、はまってしまった…。

恒夫のバイト先の雀荘でウワサになっていた老女(新屋英子)。
バイト帰りの彼が出会ったまさにその老女の乳母車の中にいた、包丁を振り回す少女。
これが、くみ子=ジョゼだった。
そして彼女と老女の家で朝食を御馳走になり、
この老女のように話す足の不自由な少女にどんどんひかれてゆく…。

この恒夫の若いゆえの好奇心、正直さゆえの残酷さ、
そして優しさゆえのダメっぷりがいい。
一人で歩けないので押し入れの中で、本を読む生活。
外界、特に同年代との交流が少なく、どこか大人びた(というより老人くさい?)
自分をジョゼと名乗る少女。
弱さを押し殺し、いつも強がって大人ぶっている姿がたくましくも痛々しい。
そんなジョゼを愛しはじめる恒夫だったが、
ハンサムで優しい彼はあっちへフラフラ、こっちへフラフラ…。
そんな恒夫をなぜか解っていながら、愛しはじめるのだ。
好きな男と寝る時の幸せな顔。

とことん素直にさらけ出してしまう男と、とことん素直になれない女の恋愛。

そして、二人は旅に出た。
オープニングのあの、旅に…。

曲がった学生時代を過ごしたワタシとは、かなり縁遠い話であったが、
ジョゼの気持ちはよくわかる。誰にも素直になれなかった頃。
押し入れの中で寝ていた頃。本ばかり読んでいた頃…。そして強い…。セツない…。

池脇千鶴の演技はすごい!少女から大人まで、こんなに顔が変わるのか!!
妻夫木くんはあくまでも自然体…。よくもこんなに普通〜な演技が出来るものだ。
そして「青い春」の時も良かったが、
ちょいと出て来る新井浩文があまりにもハマリすぎで笑える。
「いてもうたるぞぉ〜ボケッ」なんだか憎めないこの言葉。
上野樹里演じる妻夫木くんの彼女は、ワシが最も苦手とするタイプ。
あ〜あんな女いたな〜なんて…。可愛らしくて真直ぐで、
必要以上に親切な…やな女!
新屋英子さんの怪演っぷり!優しいおばあ…いいなあ。あんなおばあ!


ジョゼと虎と魚たち 特別版 (初回限定生産2枚組)
ジョゼと虎と魚たち 特別版 (初回限定生産2枚組)
犬童一心

ジョゼと虎と魚たち
ジョゼと虎と魚たち 通常版
犬童一心


ジョゼと虎と魚たち(Oirginal Sound Track)
サントラ くるり 岸田繁

■ 小説『ジョゼと虎と魚たち』のレビューはこちら
■ D[di:]さんの作品のレビューはこちら
 

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