49 posts categorized "●ヒューマンドラマ系"

July 11, 2008

「JUNO/ジュノ」

[劇場映画]★★★★★

渋好みの16歳ジュノは大人だけどやっぱり多感なティーン女子♪
エレン・ペイジちゃんがもうハマり過ぎ!!!!!


思わず映画観に行ってしまいました!!!
だって主演のエレン・ペイジちゃんがお気に入りでして
アカデミー賞受賞前から気になっておりました。
もちろん1人で来ているおじ様達もおられましたが
それにしても…女性客の率の高い作品。
若いカップルの♂君は複雑な表情だったり(笑)
いや、女子にはグッとくる箇所満載です。
____________________

「JUNO/ジュノ」
原題:JUNO

製作国:アメリカ(2007)
監督:ジェイソン・ライトマン
製作:リアンヌ・ハルフォン/ジョン・マルコヴィッチ
   メイソン・ノヴィック/ラッセル・スミス
製作総指揮:ジョー・ドレイク/ネイサン・カヘイン/ダニエル・ダビッキ
脚本:ディアブロ・コディ
撮影:エリック・スティールバーグ
プロダクションデザイン:スティーヴ・サクラド
衣装デザイン:モニク・プリュドム
編集:デイナ・E・グローバーマン
音楽:マテオ・メッシーナ
音楽スーパーバイザー:ピーター・アフターマン /マーガレット・イェン

出演:
エレン・ペイジ(ジュノ)
マイケル・セラ(ポーリー)
ジェニファー・ガーナー(ヴァネッサ)
ジェイソン・ベイトマン(マーク)
オリヴィア・サールビー(リア)
J・K・シモンズ(マック:ジュノの父)
アリソン・ジャネイ(ブレン:ジュノの義理の母)
レイン・ウィルソン
アイリーン・ペッド
ダニエル・クラーク
ヴァレリー・ティアン
エミリー・パーキンス
____________________

興味本位で素敵なイスの上で
親友男子ポーリーとヤッた一発で
妊娠しちゃった16歳の高校生ジュノちゃん…
普段は大人顔負けなクールさ満点な?ジュノだが
さすがにこの事件には凹みまくる。
親友のリアに相談し堕ろそうと思ったけれど
それも出来なくなっちゃって
かと言って育てる事は出来ないし…と
理想のカップルへ養子へ出そうと決意。
さて…彼女はこの緊急事態をどう乗り切るのか???

何故か渋い趣味のティーンエイジャーの女子2人
往年のパンクLPジャケやギターがどっちゃり部屋にある
古めのスラッシャー映画マニアでもあったりするジュノ
中年のおやじ教師に夢中のリア
彼女らのコンビがイイんですよ。
精一杯背伸びして、クールにクールに突き進む
ちょっぴり風変わりなジュノだけど
さすがの事態に家族や里親予定の二人を巻き込み
想定外の問題にぶち当たりつつも
思うようにつきすすむ力強さも最高。
その母なる?強さと少女なる素直さにじ〜んときましたね。

ジュノの妊娠をめぐっての
周囲の人間関係も変化するのですが
中でもジュノの家族…
彼女の状況を受け入れ、彼女を信じて
最善を尽くそうと協力してくれる
お父さんとお義母さんが素晴らしい!!!
この二人だからの娘なのだなぁと思えるんです。
そして…皆が自分らしく…
自分に嘘をつかずに生きてゆこうと少し大きな心に成長する。
ジュノもポーリーも両親も子供が欲しいヤッピーカップルも…
皆が幸せでありますように…

とにかくとにかく予想以上に
もうエレン・ペイジちゃんがイイ!!!
「ハード・キャンディ」「リ・ジェネシス」で
童顔&おチビさんながら
少女のあどけない純な表情と脆さ
信じられないほど力強い大人顔負けの演技をする
彼女のファンになっちゃったけど
この作品は彼女の良さが最大限に活きている作品の一つだと思いますね。
ちょっと昔のジュリエット・ルイスに近いけれど
ベクトルの違う何かを感じる
これから先が楽しみな女優さんですっ!!!

B001DWDVGYJUNO/ジュノ <特別編>
エレン・ペイジ, マイケル・セラ, ジェニファー・ガーナー, ジェイソン・ベイトマン, ジェイソン・ライトマン
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 2008-11-07

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B0013EUA6QJUNO/ジュノ
キミヤ・ドーソン
Warner Music Japan =music= 2008-04-23

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  →「JUNO/ジュノ」オフィシャルサイト

■映画「ハード キャンディー」レビュー

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May 28, 2008

「終わりのない物語〜アビバの場合」

[DVD映画]★★★★☆

1人のアビバという少女を
何人ものキャラクターが全く違った俳優が演じる事によって
この極端なエピソードの羅列から
実は普遍的な物語…という事をゴリゴリと強要してくる
ものすごくパワフルな作品だ!!!

_______________

「終わりのない物語〜アビバの場合」
原題:PALINDROMES

製作国:アメリカ(2004)
監督:トッド・ソロンズ
製作:デリッック・ツェン/マイク・S・ライアン
脚本:トッド・ソロンズ
撮影:トム・リッチモンド
プロダクションデザイン: デイヴ・ドーンバーグ
衣装:ヴィクトリア・ファレル
音楽:ネイサン・ラーソン

出演:
エレン・バーキン(ジョイス・ヴィクター アビバの母)
スティーヴン・アドリー=ギアギス(ジョー/アール/ボブ)
リチャード・メイサー(スティーヴン・ヴィクター アビバの父)
ジェニファー・ジェイソン・リー(“マーク”アビバ)
デブラ・モンク(ママ・サンシャイン)
シャロン・ウィルキンス(“ママ・サンシャイン”アビバ)
マシュー・フェイバー(マーク・ウィーナー)
ウィル・デントン
ヒラリー・B・スミス
ダントン・ストーン
_______________

かなり前に観てレビュってなかったコレ。
細部にわたるこだわりといい…
可愛いテイストと毒満載。
記憶しておきたかったので、観て直ぐにメモっておいたのが下記。
自分用の覚書なのであしからず…

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ドーン・ウィーナーを偲んで
 ラビの葬式…

 ・ドーン 黒人の少女アビバ 死んだいとこのドーンのようになりたくないと懇願。
               妊娠しても子供は絶対殺さない。沢山欲しい。
               いつも誰かを愛することが出来ると…
 ・ジュダ ブルネットのアビバ 数年後 遊びに行ったウォレス家のジュダと初体験。
                数分で終了。
 ・ヘンリー 赤毛のアビバ 妊娠発覚!両親は激怒。
              でもアビバは子供が出来ご機嫌。
              親から産むなら出て行けと…ヘンリーという
              産まれなかった弟の話を聞かされ堕胎を強制されたが  
              そのため子供を産めない体になってしまう。
              おろした子供の名前をヘンリエッタと名付けるアビバ。             
 ・ヘンリーエッタ カーリーヘアのアビバ 家出し、ヒッチハイクで出会った男性
                     ボブと一夜を共にするが…
 ・ハックルベリー ショートボブでスレンダーなアビバ モーテルに置いてけぼりに…
                           田舎を放浪していて
                           森でボートに乗る。
 ・ママ・サンシャイン おデブな黒人のアビバ 森の中で眠る彼女にピーター・ポール
                       という少年と出会い、彼の居るという
                       サンシャイン・ホームに連れて行くと
                       優しく接してくれる。
                       経歴に嘘をついて迎え入れてもらうが
                       明るすぎる“事情”持ちの子供達と
                       クリスチャン達!
                       だがそこに現れたのは…あのボブ?
                       大人達の会話で衝撃的な事実が発覚!
 ・ボブ 黒髪のアビバ サンシャイン・ホームからこっそり抜け出しボブの所へ。
            フライシャー、あの医者の暗殺に参加する事に。
 ・マーク 金髪のアビバ 帰ってきたドーンのパーティが催される。
             葬式の…あのマーク!!!
 ・アビバ おデブのジュダと再会!
      今までのアビバがコロコロ変わって出てくる。
      もちろんラストは…!!!!最初のアビバちゃん!
      あの夢が本当だったら…不毛なんだけど、明るく終了。  

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

何か全てにわたって不愉快かつ悲惨な割には
あっけらかんと終わってしまったのが
かなり強烈に印象的。
どこぞやの田舎で街で…
有りそうで無さそうな物語。
ただ“子供が欲しかっただけなのに…”
興味の有る方限定で観て下さい。

おわらない物語~アビバの場合~
おわらない物語~アビバの場合~トッド・ソロンズ

アルバトロス 2005-12-02
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April 24, 2008

「コントロール」

[劇場映画]★★★★☆

数多くのミュージシャンの写真を撮ってきたフォトグラファー
アントン・コービンの映像作品は30年弱前に彼が出会ったバンド
ジョイ・デヴィジョンの亡きヴォーカル、イアン・カーティスの生涯を
1974年〜1980年まで描いた映画。
モノクロームのスクリーンに切り取られた完璧な構図の中に
悩めるバンド青年の姿が狂おしいまでに美しく映し出されていた。

_______________

「コントロール」
原題:CONTROL

製作国:イギリス/アメリカ/オーストラリア/日本(2007)
監督:アントン・コービン
製作:オライアン・ウィリアムズ/アントン・コービン/トッド・エッカート
原案:デボラ・カーティス『タッチング・フロム・ア・ディスタンス イアン・カーティスとジョイ・ディヴィジョン』(蒼氷社刊)
脚本:マット・グリーンハルシュ
撮影:マーティン・ルーエ
音楽監修:イアン・ニール
スペシャルサンクス:ニュー・オーダー

出演:
イアン・カーティス(サム・ライリー)
デボラ・カーティス(サマンサ・モートン)
アニーク・オノレ(アレクサンドラ・マリア・ラーラ)
フッキー(ジョー・アンダーソン)
バーナード・サムナー(ジェームズ・アンソニー・ピアソン)
ロブ・グレットン(トビー・ケベル)
トニー・ウィルソン(クレイグ・パーキンソン)
スティーヴン・モリス(ハリー・トレッダウェイ)
ケヴィン〈イアンの父〉(リチャード・ブレマー)
_______________

デビューアルバム1枚を残し1980年5月18日に23歳で自殺した
ジョイ・ディヴィジョンの亡きボーカル、
イアン・カーティスの学生時代から
結婚しバンドに入り自殺するまでを描いた作品。
監督が彼らとなじみの深いフォトグラファーのアントン・コービン。

ニュー・オーダーの前身バンドだと言う事と
度々カヴァーされている名曲達は知っていたが
イアン・カーティスについてはあまり知らなかった。
デヴィッド・ボウイやルー・リードのようになりたかった詩人のイアン。
無垢なデヴィーの笑顔に恋をし若くして結婚したイアン。
職業安定所の職員だった生真面目なイアン。

そんな彼がロックバンド、ワルシャワに参加し
ジョイ・ディヴィジョンとして本格的な活動を開始してから
ありがちなロック・スターの転落人生へとまっしぐら…
TV出演、アルバム制作、ツアの日々…
疲れからか癲癇の発作を起こし、以後持病となってしまう。
追っかけ記者との恋がきっかけで、妻や娘の存在がうっとおしくなってくるし
どんどん忙しくなり欧州、果てはアメリカツアーまで決定。
自分が思い描いていたヴィジョンとはどんどんかけ離れ
ステージでも癲癇の発作を起こし
加速してゆくバンドのサクセスストーリーの中で
自分の存在について自信が持てず、コントロール出来ず
家族と恋人の間で板挟みになり
ついにステージで歌えなくなってしまう…
それでも何とかやり直そうとするイアンだが
アメリカツアーを前に、命を断ってしまった…。
後に『ブルー・マンデー』という曲になる彼の最期。
ジョイ・ディヴィジョン時代の数少ないヒット曲の歌詞の意味が
コレを観る前と全く違って感じられた。

モノクロームなアントンの写真のようなシーンに
ニュー・ウェーヴ・ムーブメントの楽曲や
もちろんジョイ・ディヴィジョンのサウンドが流れ
頭をぐるぐる回って離れない。
とにかく主演のサム・ライリーの素晴らしい演技力
ライブ・パフォーマンスと常にどこか寂しげな表情が印象的だ。
パンフレットにも書いてあるが、特に似ているわけでもないのに
どんどんイアン・カーティスに見えてくるのだ。
劇中の彼らの演奏にも妙な迫力と狂気があり
グイと心の底をつかまれてしまう。

ミュージシャンにありがちな事だし
持病の癲癇の恐怖もあっただろうが
真面目すぎるゆえ、若さゆえ…
逃げ道を閉ざされてしまったのだろうか。
『LOVE WILL TEAR US APART』がとにかく心に沁みた…

〈東京では2008/3/25まで渋谷シネマライズにて上映中〉

B001B4LQ2Uコントロール デラックス版
サム・ライリー, サマンサ・モートン, アレクサンドラ・マリア・ララ, アントン・コービン
ジェネオン エンタテインメント 2008-09-10

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コントロール コレクターズBOX (初回限定生産)コントロール コレクターズBOX (初回限定生産)
サム・ライリー, サマンサ・モートン, アレクサンドラ・マリア・ララ, アントン・コービン

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コントロール
サントラ ニュー・オーダー デヴィッド・ボウイ

コントロール
スティル【コレクターズ・エディション】 アンノウン・プレジャーズ【コレクターズ・エディション】 クローサー【コレクターズ・エディション】 The Best of Joy Division シャドウプレイヤーズ - ファクトリー・レコードとマンチェスターのポスト・パンク 1978~81
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ジョイ・ディヴィジョンのシングル集
サブスタンス
ジョイ・ディヴィジョン
B00005LK2V

■ ミュージシャン系カテゴリー
■ 「ドニー・ダーコ」レビュー

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July 05, 2007

「明日の記憶」

[DVD映画]★★★☆☆

“若年性アルツハイマー”という病気の悲しい症状。
誰にでもあるちょっとした物忘れが
病気の兆候であったのが他人事とは思えない。
でも、極悪人が登場しないこの映画はとても暖かく
人とのつながりの大切さを教えてもくれた。

_______________

「明日の記憶」

制作国:日本(2005)
監督:堤幸彦
エグゼクティブプロデューサー:渡辺謙
原作:荻原浩『明日の記憶』(光文社刊)
脚本:砂本量・三浦有為子
音楽:大島ミチル

出演:
佐伯雅行(渡辺謙)
佐伯枝実子(樋口可南子)
伊東直也(坂口憲二)
佐伯梨恵(吹石一恵)
生野啓子(水川あさみ)
木崎茂之(木梨憲武)
吉田武宏(及川光博)
浜野喜美子(渡辺えり子)
河村篤志(香川照之)
菅原卯三郎(大滝秀治)

「明日の記憶」オフィシャルサイト

_______________

こういう失われる記憶系の作品を観ると
いつも気付くのが今の自分の幸福さと
周囲の人の存在の有難さ。

完成度の高さやリアルさはともかく、
渡辺謙さんの存在感はやっぱりすごい。
若年性アルツハイマーを
バリバリ働いている広告営業マンが
50を前にして突然この病に侵されてゆく様子を
美しく淡々と丁寧に描いている作品だった。

もの忘れ、めまいや、妄想、パニック状態など
当事者の身に起きた様子を映像的に何とか描こうと
本人の視野でのカメラワークが印象的だ。

樋口可南子演じる愛妻がとても良い妻で…
何て幸せな夫なのだろうと思った。
奥多摩での陶芸教室をとおして結ばれた
二人の恋愛ストーリーとして
美しくまとめあげているので
とにかく美しく切ない。

誰にでも経験した事があるようなささいな症状が
まさか自分の身にも…とつい考えさせられるのではないだろうか。
そして、自分に、近親者に…と思うと
日々生きる事の大切さ、人とのつながりの有難さ
をやはり感じざるを得ないのだ。
ちなみにこの映画には善人しか出て来ない。
だからかもしれないが、とてつもない優しさに包まれている。

こういった映画は
泣こうとして観る映画ではない…
“病気の存在を知る”ためにだ
と個人的にはそう思っている。

B000FPEMX6明日の記憶
渡辺謙 荻原浩 堤幸彦
東映 2006-10-21

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明日の記憶
荻原 浩
4334924468

明日の記憶 オリジナル・サウンドトラック
サントラ 大島ミチル 宮本文昭
B000EWBCEM

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July 04, 2007

「麦の穂をゆらす風」

[DVD映画]★★★★☆

アイルランド独立戦争を通して描かれるのは
ある意味普遍的な戦争の情景であり普通の人々個々の感情。
だからこそ、人の心に語りかけるのかもしれない。

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「麦の穂をゆらす風」

製作国:イギリス/アイルランド/ドイツ/イタリア/スペイン(2006)
監督:ケン・ローチ
脚本:ポール・ラヴァーティ
音楽:ジョージ・フェントン

デミアン(キリアン・マーフィ)
テディ(ポードリック・ディレーニー)
ダン(リーアム・カニンガム)
シネード(オーラ・フィッツジェラルド)
ペギー(メアリー・オリオーダン)

「麦の穂をゆらす風」オフィシャル・サイト
____________________________

戦争、紛争、ゲリラ線…
1920年のアイルランド独立戦争をとおして見えてくるのは
現在も続いている人間の悲しい本能と愛情の深さと脆さ。
これらが庶民の目を通してストレートに描かれるので
どうしようもないもどかしさが心に響く。

アイルランドの片田舎の農家ではじまりそして終わるのだが、
その間に起きた悲惨な出来事の数々…
戦争だから…それだけで片付けてはいけない
重い悲しい何ともいえないもどかしさが胸をしめつける。
1919〜1921年のアイルランド独立戦争を
1920年のある日から、とある兄弟の目線で丹念に描いている。

アイルランドへの英国の侵略に対抗するゲリラ戦。
少しもの寂しいけれど美しい緑の中で銃を構えて訓練する
農民や少年などの若い一般庶民で結成されている
アイルランド義勇軍〜アイルランド共和軍(IRA)達の姿。
犠牲になりながらも彼らを支え家を守り、強く立ち向かう女性達。

一機関士であったダンと出会ったあの事件。
戦争から逃げて医者になるはずだったデミアンが
幼馴染みを裏切り者として処刑したり
元同胞と闘わねばならなくなった経緯は
運命にしても悲しすぎる。
皆で投獄された時、代表者である「テディ・オドノヴァンは誰か?」と
英国軍に問われた時、すかさず「自分だ」と答えたデミアンだったのに…
仲間を裏切る事…真面目なデミアンの苦悩。
兄テディとの意識のずれが、更に弟の運命を変える…

野山の広がるアイルランド南部の町、コークを舞台に
時代に翻弄された兄弟を中心に
淡々と身近なエピソードとしてアイルランド独立戦争が描かれる。
休戦、そして、念願のイギリス・アイルランド条約。
だが、この時の条約による北アイルランドの帰属問題により
その後の革命運動を二分し新たな闘いを生み
さらにその後何十年もの間IRAは
形を変えいくつもの派閥に分裂しながら
現在も組織は存在している…

冒頭で村人達が可哀想なミホールのために歌った
映画のタイトルでもあるアイリッシュトラッドの曲
“THE WIND THAT SHAKES THE BARLEY”(麦の穂をゆらす風)
これを観終った後に再び歌詞を確認しつつ聴いてみると
自分の腕の中で恋人を失った、若い兵士の詩なのだ。
祖国のための闘い、恋人の死への恨みの闘い…
何ともいえない苦しみが、美しいメロディと共に流れ出る。

アイルランド人もイギリス人も他の国の人達も
個々では誰も闘いたいわけでも裏切りたいわけでもない。
そうしなければしょうがない状況
自分や家族や同胞が守れないから
命を落とした者に顔向けができないから
若い世代の未来が見えないから…なのだ。
この映画には戦争や人間の本質を問われている気がした。

世界中でくり返されている戦争や紛争
そして近年の数多くのテロ事件…
85年も前の事件だが、現在にまだまだ繋がっているのだ。
カンヌでパルムドール賞をとったの
井筒監督大絶賛(笑)もうなずける。
知っているようで知らなかったアイルランドの歴史。
ちなみに役者さん達は皆アイルランドにゆかりのある人達。
キリアン・マーフィーの変化してゆく切ない瞳がとても印象的であった。

B000NIVIPA麦の穂をゆらす風 プレミアム・エディション
キリアン・マーフィー ケン・ローチ ポードリック・ディレーニー
ジェネオン エンタテインメント 2007-04-25

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September 23, 2006

「電車男」

[DVD映画]★★☆☆☆

何だか憎めない初々しさがいい!
もう解説の必要もないオタク青年とお嬢様系美女の
ネット掲示板の書き込みに応援されて成就する?
実話をもとにした純愛ストーリー。

へ〜!なるほど!!
映画はこんな表現だったんだ〜。
と、思ったよりは面白かった映画版電車男
テレビ放映されていて、DVDで観ていたのを思い出した。
そういえば最近秋葉原に行っていないので、
ドラマや映画やドキュメント観てびっくり!
すっかり変わってしまったなぁ…
以前は外人とPCヲタばっかだったのになぁ…


アキバ系の彼女いない暦22年の22歳の男が
電車の中で酔っ払いにからまれる女性を助けたことから、
インターネットの掲示板でレスで応援されながら
出来過ぎた美女と結ばれるという、
心あたたまる逆タマ的純愛物語。
2005年公開の映画版。監督は村上正典

* * * * * * * * * * * * * * * *

「電車男」のドラマを先に観ていたので、
(ちなみに本は未読)
どうしてもあのキョーレツさと比べてしまうのだが、
突っ込み所が満載!!!!!

「そんな男はおらんやろ〜!
 こんな女はおらんやろ〜!!
 アノ役者があんな役するんかいな!」

得意のネットで情報収集、
掲示板のみんなに協力してもらいつつ
逆にみんなが励まされてゆくのがいい!
明らかに出来過ぎだけれども、
何だか微笑ましくて確かに元気がもらえるな。

電車男を演じるのが山田孝之くん。
「あんなヲタはおらんやろ!」
普通にイイ男で普通にカップルじゃん…
いや、
エルメスを演じるのが中谷美紀さん。
「あんな美人でええ女はおらんやろ!」
美しく、上品、性格も良く、素直で、優しい、
しかもある意味新鮮な?電車男を常に肯定してくれ、
更にドロドロした男女関係も希薄、
究極の母性を持つ、無機質な理想の女性像…
なんだかふわふわつかみ所の無い感じの女性だ。
お?こりゃ、アニメのヒロインではないか!
なんだ、
「実は似合いのカップルじゃん!!!!!」
と勝手に納得してしまった。
しかも経験上、育ちのいいお嬢さまの中には
意外と強烈に天然の人物は存在するので、
あながち無い話では…とすら思えたり。
男も女もチャンスはある!勇気次第!!そんな物語に、
何やらほんわか楽しむ事ができた。
恋人なんてモノは本人達が良ければ全て良し!!!
ネットのお友達もいいもんだ…と。

唯一残念だったのは…
最初と最後のドラマとリンクしたサービスと
ベタすぎのオチ。アレはしょうがないのかなぁ…

 

B000BDG2JO電車男 スタンダード・エディション
金子ありさ 村上正典 山田孝之
東宝 2005-12-09

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伊東美咲・伊藤淳史コンビの強烈なドラマ版。
この二人よりお色気OL役の白石美帆のキャラが印象深い(笑)
ドラマ版ほうがアニオタワールドを描こうとしていて、ディープな感じ。
オープニングとドラマの中のアニメーションも近々土曜深夜枠にて
『月面兎兵器ミーナ』?とかいうタイトルで実際にアニメ化するそう。
GONZOがちゃんと作ってくれるのならゼヒ観てみよう!!!
だから『電車男』のドラマも番外編が放送されるのか。
電車男 DVD-BOX
中野独人 伊東美咲 伊藤淳史
B0009VRGFM

大ヒットした書籍版
電車男
中野 独人
4104715018

 
映画「電車男」オフィシャル・サイト

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September 16, 2006

「ブロークン・フラワーズ」

[劇場映画]★★★★☆

最初から最後までジム・ジャームッシュ節全開!
可笑しくももの悲しい?とある初老の男の人生をふりかえる、
過去の女性を訪ねる旅とは…!

これもG.W.に劇場鑑賞したもの。
あまりにもゆるゆるのエチオピアン・ジャズが耳について離れないので、
速攻サントラを購入してしまった…♪
ホントにこの監督音楽のセンスがいい!!!
そしてビル・マーレイの軽妙な演技がこ映画にぴったり!
今回はかなり思わせぶりなストーリーなのに、
思わずにやにやしてしまう…そんな作品だ。
2005年カンヌ映画祭審査員特別大賞(グランプリ)受賞作した、
アメリカの鬼才ジム・ジャームッシュ監督のブロークン・フラワーズ
 

その昔はモテモテで、数年前にパソコンで成り上がって悠々自適な生活初老の男、
だが、なぜかちょっとヒッキー気味のドン(ビル・マーレイ)。
いっつも家でも外でもジャージ姿で無表情。
その日は同棲していた彼女は出て行ってしまったが、
特に引き止めるわけでもなく、ソファーでうたた寝する始末…。
そこへ一通のピンクの手紙が届いたのが、この物語の始まり。

『人生ってフシギないたずらをするものね。
 あなたと別れて20年が経ちました。
 息子はもうすぐ19歳になります。
 あなたの子です。
 別れたあと、妊娠に気づいたの。
 現実をうけいれ、ひとりで育てました。
 内気で秘密主義の子だけど、
 想像力は豊かです。
 彼は二日前、急に旅に出ました。
 きっと父親を探すつもりでしょう…。』

この手紙を見たお隣さんのウィンストン(ジェフリー・ライト)、
子だくさんで仕事を3つもこなし、しかもネットにはまりまくる、
どうやら推理小説好きな彼は盛り上がりまくり、
早速手紙の分析をはじめ、得意分野に興味津々…。
口ではイヤだと言いながらも、どうも手紙の内容が気になるドンの
そんな性格を知っていて、
勝手にドンの息子の母を探す一人旅を企画した。
そして彼の旅が始まった。

* * * * * * * * * * * * *

とにかく全編にわたって、
気まずさ満載、肩すかし満載、ナイスな音楽満載、
そしてキャスティングの絶妙さ!!!
このジム・ジャームッシュ節全開だ!

極めてコム・ジャームッシュらし〜い、ロード・ムービー。
あるきっかけで旅が始まり、ちょっとした夢とロマンを求めるも、
目にするのは求めたロマンとは違うしょっぱい現実の珍道中。
劇的な変化は無いのだが、沈殿した何かをちょっとかき回した事により
新たな何かは産まれ、そして少しいつもと少しだけ違った日常は続く…
そして冒頭の手紙の配送される所や「ドン・ファン」の映画に始まり、
あらゆる所でお得意の小ネタは満載!
ゆる〜いイカした音楽がまたとってもグ〜♪

女たらしでITで成功した金持ちなのに、なんだかとってもダメ男なドン。
20年前につき合った4人の女性の家と1人の墓を
着慣れないスーツを着込んでピンクの花束を持って訪ねでも、
どこでも古い恋人には、気まず〜い雰囲気。
めげずに手がかりののピンク色とタイプライターをチェックするのだが、
謎は解決される気配がない。
だが…どうしても気になるのは息子の存在。

登場する5人の女性それぞれのキャラが
それぞれの女優さんのこれまでのイメージと違っていて楽しめる!
・ピンクのスーツの出て行った恋人シェリー(ジュリー・デルピー
・ピンクのバスローブがお似合いの娘ロリータと二人暮らしのローラ(シャロン・ストーン
・ピンクの名刺を差し出す夫婦で不動産成金となったドーラ(フランセス・コンロイ
・ピンクのパンツでバリバリ動物と会話する?カルメン(ジェシカ・ラング
・ピンクのタイプライターが庭にあったライダースのペニー(ティルダ・スウィントン
まさかあの黒髪の女性が雪の女王だったなんて!!!
息子疑惑の青年はどこかで観たと思ったら
「ストーリー・テリング」に出ていたマーク・ウェバー
カルメンのアシスタントのちょっとセクシーなお姉ちゃんはクロエ・セヴィニー
そして何よりビル・マーレイ!!!!!
更に個人的にはジェフリー・ライトの図々しさもツボ。
彼らのすっとぼけた演技無くしてはカンヌで評価はされなかったであろう、
このキャステングの絶妙さたるや…ジム・ジャームッシュの手腕。

そして…感動的な結末は無い、あの肩すかし感。
よくも悪くも「ストレンジャー・ザン・パラダイス」のままというか…
ピンクへの徹底したこだわりや「ブロークン・フラワーズ」とは粋なタイトルもいい。
でも、人生の間に軽妙に優しさを吹き込んでくれて、
自分というものを見つめ直させてくれる、そんな作品だ。

ところで、「エリザベス・タウン」といい、
車の旅のプランニングやBGMを作るのって流行なのかな?
 

B000I8O8Y8ブロークンフラワーズ
ジム・ジャームッシュ ビル・マーレイ ジェフリー・ライト
レントラックジャパン 2006-11-24

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映画「ブロークン・フラワーズ」オリジナル・サウンドトラック
サントラ ザ・グリーンホーンズ・ウィズ・ホリー・ゴライトリー ムラトゥ・アスタトゥケ
B000EMH89U

 

B000I0RDOSジム・ジャームッシュ / アーリー・コレクションDVD-BOX (初回限定生産)
ジム・ジャームッシュ クリス・パーカー リーラ・ガスティル
キングレコード 2006-11-22

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待ってましたっ!ジム・ジャームッシュ監督の初期代表3作DVDがBOXで再発売! 「パーマネント・バケーション」「ストレンジャー・ザン・パラダイス」「ダウン・バイ・ロー」を収録。BOXには「ダウン・バイ・ロー特典ディスク」つき

ジム・ジャームッシュ作品集 DVD-BOX 1989-1999
ジム・ジャームッシュ 工藤夕貴 ジョー・ストラマー
B0007IMMTM

こちらは中期の4作品のDVD-BOX。
「ミステリートレイン」「ナイト・オン・ザ・プラネット」「デッドマン」「ゴースト・ドッグ」を収録。スリムケースでコンパクト。ポストカードセット付。

ジム・ジャームッシュ
4924609757
結構充実していて重宝している2000年発行の書籍。「パーマネント・バケーション」「ストレンジャー・ザン・パラダイス」
「ダウン・バイ・ロー」のシナリオも掲載されている。

ジム・ジャームッシュ
遠山 純生
4872951034

2006年5月に発売されたジム・ジャームッシュ本。
『パーマネント・バケーション』から『ブロークン・フラワーズ』まで、ジム・ジャームッシュ監督の作品紹介、監督のインタビュー&コメント、彼をとりまく人々のコメントが、濃厚かつコンパクトにまとめられている。
懐かし〜いあのシーン、このシーンなどの写真もふんだんで、本の厚さに対しては、意外と読み応え有!
 

「ブロークン・フラワーズ」オフィシャルサイト

■ 映画「コーヒー&シガレッツ」レビュー
■ ジム・ジャームッシュ監督の愛すべき作品達

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September 15, 2006

「ぼくを葬る」

[劇場映画]★★★★☆

前作でオゾンさんどこへゆくの?と思ったが、今度はこっちだったのね…。
ある日突然宣告され決定しなければならない自己の死に様。

どうしても今回は劇場で観たかったのでG.W.に鑑賞した。
終了後、無言状態の劇場が映画のテーマの深さを物語っており新鮮だった。
前作の「ふたりの5つの分かれ路」で何かが起きた?オゾン節。
しかも「まぼろし」の“最愛の人の死”に続き、…今回は“自分の死”を描く。
この重いテーマをオゾンがどう描くのかはいへん興味深かった。
 
監督は気になっているフランスの若手監督フランソワ・オゾン
2005年フランスで制作されたぼくを葬(おく)る」。
原題は「LE TEMPS QUI RESTE」。
  
31歳の売れっ子ファッション・カメラマンのロマン(メルヴィル・プポー)は、
ある日撮影中に倒れてしまう。
医者にかかったところ、末期癌で余命が役3ケ月と宣告された。
まだ若いロマンに、医者は放射線や点滴での治療をすすめるのだが、
ロマンは治療を拒絶する。

同性愛者のロマンの恋人サシャ(クリスチャン・センゲワルト)に
冷たい言葉を浴びせ別れを決意し、
家族に告白しようとするが、どうしても言う事が出来ず、
父(ダニエル・デュヴァル)母(マリー・リヴィエール)には心配かけないよう
更に姉(ルイーズ=アン・ヒッポー)とは仲違い。
仕事を辞め、唯一祖母のローラ(ジャンヌ・モロー)にだけは病気の事を打ち明けた。
なぜなら…
“おばあちゃんは、僕に似ているから…”

そんな時、たまたまカフェで出会った
ウエイトレスのジャニィ(ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ)夫婦から
持ちかけられたのは“代理父”の依頼。
運命に怒り、周りに心配をかけないように己を孤独に追いやって、
どんどん弱ってゆくロマンに、姉からの手紙で転機が訪れる。
“子供”を意識している事に気付いたロマン。
幼い自分の記憶と幻に出会った時に何かが起きた。
自分と向き合い、今出来る事を遂行し、自分を葬る準備を始める…。
美しいと思ったシーンを切り取るカメラ。
ニコンの一眼レフからコンパクトカメラに変わってからの彼の撮る写真は、
きっと彼の宝物で天国へ持ってゆきたい写真に違いない…。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

ある日突然つきつけられる、限りなく近い将来に起きる人生の終焉。
その当事者は病と死への恐怖の中で、
残された人生で行うべき事を短時間で決定せねばならない。

全ての人は孤独に生まれ、孤独に逝く運命を持っている。
その間の限られた人生を如何に生きるか、そして死ぬのか…それが人生。
ロマンを通して自己の人生観が感情と共にえぐり出される気分になった。
リアルで普通な何という事の無いシーンに込められたロマンの想い。
ロマンを演じるメルヴィル・プポーの繊細に揺れ動く感情と
遠くを見つめるかのような美しい瞳、
そして衰えてゆく肉体の変化に、胸をしめつけられる。
祖母を演じるジャンヌ・モローの孫への言葉
“今夜お前と死にたい”。
唯一信頼している肉親の愛情がこもったその言葉には、
ロマンと共に目頭が熱くなった。
余談だが、子供時代のロマン役の少年(ウゴ・スーザン・トラベルシ)の
くりくり巻き毛と瞳がメルヴィル・プポーと似ていてこれにまたグッとくる。

偶然に出あった人に自分の生きた証を委ね、
愛した人から愛されていると知る事が出来たロマン。
突然訪れたつらく悲しい物語を描くのではなく、
何かに立ち向かい得る夢や希望を描くのでもなく、
人間の本能と事実を受容し、自分の死に様を決めた一人の男の心の動きを
極めて間近から繊細に優しく描いた作品だと思う。

少ない余命で何を残せるか…

イザベル・コヘット監督の「死ぬまでにしたい10のこと」も同じようなテーマだったが、
あちらは若い母親だったので、女としてしておきたい事、
旦那や子供達に残しておきたい事、
娘として両親にしておきたい事を綴っていた。
こちらは独身で同性愛者、人生の成功者であった若い男性。
心の動きはおのずと違ってくる。
前者では限界まで母性を与え、後者では母性を求めている気がした。

ちなみに、治る可能性が5%以下と言われ治療を拒否したロマン流の生き様。
後悔しないよう治療する方法をとり、癌と戦う決意をするという生き方。
“健康で死にたい”というロマンの祖母の生き方が最も望まれるものだろうが、
病気…特に癌などの病の場合は、本人の悔いの無いようにするのが一番だと思う。
特に早期発見の場合完治出来る可能性が高いので、もちろん治療すべきだろう。

こんな仕掛けや謎の無い、
フランソワ・オゾン作品は初めて!

円熟したというか、人生の折り返し地点にきたからか…
ほぼオゾンと同じ年代の自分にとっては見事に心に響いた。
これまで常に死と生と性、その源の水=海、そして女の強さと怖さ、男の弱さ…。
表現方法は違っても、常に根源にあるものは同じなのかも。
ちなみに今後“子供の死”をテーマにした作品の予定もあり3部作にしたいそう。
次回作は英語で撮っているという噂だが、こちらはどんな内容なのか楽しみだ。

本作のオゾンの定番のラストシーン。
いつもと違い、悲しい場面なのになぜか優しい安心感がある。
 

「ぼくを葬る」オフィシャルサイト

ぼくを葬るぼくを葬る
フランソワ・オゾン メルヴィル・プポー ジャンヌ・モロー

ふたりの5つの分かれ路 スイミング・プール 無修正版 8人の女たち デラックス版 まぼろし<初回限定パッケージ仕様>
焼け石に水 ホームドラマ クリミナル・ラヴァーズ 海を見る

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September 14, 2006

「ふたりの5つの分かれ路」

[DVD映画]★★★★☆

オゾン作品としてはもの足りないが、
何でも無い物語がちょっとしたミステリーになっている。
やっぱり女は強くて怖い…

違った意味で衝撃的?だったこの作品。
オゾン節が変化してきた???
監督は気になるフランスの若手監督フランソワ・オゾン
音楽はフィリップ・ロンピ
原題は「5X2」。2005年公開の作品ふたりの5つの分かれ路
 

冷めきった夫婦の離婚の場。
子供とともに、生きてゆく事にした自由で強い女。
誰かと寄り添ってゆかなければ生きてゆけない未練たっぷりの男。
ここに至るまでのこの夫婦の愛の経緯とは???

* * * * * * * * * * * * * * * *

“愛は変化し崩壊するものだ”

と定義し、その過程を見せつけるのがこの作品。
新しい手法では無いが時間軸を逆にし
ある1組のカップルの離婚から出会いまでを
“別れ”→“裏切り”→“出産”→“結婚”→“出会い”
の5つのエピソードを描く事により、
何でもない物語をうまく謎解きにしている。
レトロでメロウな音楽やイタリアンポップがとても印象的。

最初は乱暴で酷い男に思えた夫ジル(ステファン・フレイス)が、
どんどん哀れに思え、
最初は可哀想な妻に見えた妻マリオン(ヴァレリア・ブルーニ=テデスキ)が、
どんどん力強く奔放に思えてくる。
いや、そもそもがそうだったから
5つの分かれ路を経てこの結婚は崩壊したのだ…。
彼らの愛の絶頂は結婚式だった。
 
カップルになった男女の心の嫌な所と禁断の行為を
美しいビジュアルを駆使しつつ極めてリアルに描き出す。
オゾンお得意の、エロティックかつ暴力的な表現、
それとは逆の愛ゆえの美しく明るく優しい表現の対比の妙で
ドラマティックに見せるのはさすがだ。
心に残るのがマリオンの両親、
父ベルナール(ミシェル・ロンダール)と
母モニク(フランソワーズ・ファビアン)のダンスと
ジルの兄クリストフ(アントワーヌ・シャピー)と恋人とのダンス。
ジルの元カノのヴァレリー(ジェラルディン・ペラス)の山歩きのシーン。
この夫婦とは別の愛の形がそこに垣間見える。

そして、この映画にも出てくる『海』。
生命の源、そして帰ってゆく所。
それは愛も同じなのか?
打ち寄せ引く波。どこまでも広がる母なる海。
オゾンの海はまだまだ広がり続ける。

「ふたりの5つの分かれ路」オフィシャルサイト

ふたりの5つの分かれ路ふたりの5つの分かれ路
フランソワ・オゾン ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ ステファン・フレイス

ぼくを葬る スイミング・プール 無修正版 8人の女たち デラックス版 まぼろし<初回限定パッケージ仕様>
焼け石に水 ホームドラマ クリミナル・ラヴァーズ 海を見る

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『ふたりの5つの分かれ路』(原題:「5×2」)オリジナルサウンドトラック
フィリップ・ロンビ サントラ
B0009V1ETG

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September 10, 2006

「バッシング」

[劇場映画]★★★★☆

小林政広監督の真骨頂?エンターテイメント性はゼロ!
極力ドキュメントタッチで描かれた、
重いテーマだがなかなか見応えのある作品。


やっと観ることができた!
公開まで長い道のりだったバッシングだ。
小林政広監督が2005年のカンヌでコンペティションに出品、
レッドカーペット歩いたのだが、結果賞は取れなかったが
報道され話題になった問題作。
その後、日本ではなかなか公開が決まらず、
昨年の夏の第6回東京フィルメックスでグランプリを受賞し、
本年2006年6月やっと渋谷のイメージフォーラムでの劇場公開が開始され
その後各地で細々と公開されている。

非武装地帯へボランティア活動に行っていた有子(占部房子)は
誘拐され人質にされたのだが、日本政府のおかげで無事帰国。
だが、彼女ととその両親が、自己責任について有子を批判
周囲の人々から“バッシング”を受けるその経緯を
ドキュメントタッチで描いたちょっと重い作品。
もちろん小林作品、予算は、無い。
いつもの北海道ロケで、いつもの淡々とした撮り方だ。
だが、この作品のインパクトは…いつもと異なった。

小林フリークとして、これが話題になり評価されたというのは納得。
これまでの作品は感情移入出来ないというかさせないというか…
そういうシュールな世界を妙にリアルに描いていたのだが、
今回はネタがタイムリーでリアル(フィクションだが)。
主人公の有子やその父(田中隆三)、義母(大塚寧々)、
有子を解雇したホテルの社長(香川照之)など、
彼らを敬遠、中傷する人々は決して我々から遠くない存在だ。
いつ自分がその中の誰かになるかもしれない…そんな脅威、
観るものをいやがおうでもこの問題の中にひきずり混む勢いがあるのだ。

「この国じゃ、皆が怖い顔をしている。」
「皆が喜んでくれる、あの顔が見たい」

失敗だらけで居心地の悪い日本での生活から逃げ、
海外の非武装地帯でのボランティア活動に生き甲斐を感じ、
そこにしか自分の存在価値を見いだせない有子の行動は
余りにも安直で、必ずしも正しいとは言えない。
自分の人生を投げ打って苦しんでいる人々に手を差し伸べるのは
なかなか出来ない殊勝な行動だ。
しかも、行っているのは“人助け”なのだ。
彼女の人生だから、彼女が生きたいように生きれば良い。
ただ…彼女の動機は家族を追い込んでまでの大義なのだろうか?
自分の行ったことで周囲にどんな影響を与えるのか、
国の警告をふりきって、紛争地帯に行くという事は、
もはや一個人としてだけでなく、
誰もが母国を背負っているという事を自覚をしていない。
そんな彼女には理想論や大義名分では済まされない
個人的にも悲惨な結果が待っていたのだが…

だが、ここに描かれているのは
そんな彼女とその家族の受けた、
匿名での“バッシング”
権力をかざしての“バッシング”
直接手を下す“バッシング”
社会からの“バッシング”
人が人を追いつめる醜い行為だ。

決して全面的に褒める事は出来ない有子の行動だが、
凶悪犯罪を犯したわけではない。
どちらかといえば現地で凶悪犯罪にあった被害者である。
命を落としたらヒーローであった。
国の…国民の援助で帰ってきたらまるで犯罪者扱い。
この皮肉な結果で何を学ぶべきだろうか。

あらゆる登場人物の立場にたってみると
現代社会のあらゆる混沌とした矛盾が浮き彫りになり、
有子の痛々しさが際立ちまくる。
こんなに深く考えさせられた小林作品は初めてで
とても新鮮だった。
 
 
元ミュージシャンの小林監督の歌う「バッシング」エンディング曲
寒かったころ
小林政広
B000FDF124

「バッシング」オフィシャルサイト

 
小林政広監督の初期3作品のDVDが2006/7/29発売された

クロージング・タイム ◆20%OFF! クロージング・タイム

海賊版=BOOTLEG FILM ◆20%OFF! 海賊版=BOOTLEG FILM

歩く、人 ◆20%OFF! 歩く、人

映画監督小林政広の日記 映画監督小林政広の日記
小林政広監督のブログ本。

神楽坂映画通り 神楽坂映画通り
小林監督の自伝本。

→「歩く、人」レビュー
→「KOROSHI 殺し」レビュー
→「フリック 完全版」レビュー

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