22 posts categorized "●ラブ・ロマンス系"

July 07, 2007

「彼女を信じないでください」

[DVD映画]★★★☆☆

良いと思ってついた嘘が一人歩きしはじめ
どんどんどんどんドツボにハマってゆく
そんな彼女が可愛くて♪
そして田舎の家族パワー…恐るべし…!!!

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「彼女を信じないでください」

製作国:韓国(2004)
監督:ペ・ヒョンジュン
脚本:チェ・ヒデ/パク・ヨンソン
音楽:チョ・ヨンウク

出演:
チェ・ヒチョル(カン・ドンウォン)
チュ・ヨンジュ(キム・ハヌル)
ヒチョルのお父さん(ソン・ジェホ)
ヒチョルのおばあちゃん(キム・ジヨン)
ヒチョルの妹(イ・ヨンウン)
ヒチョルの恋人(ナム・サンミ)

「彼女を信じないでください」オフィシャルサイト

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元詐欺師で仮釈放の身の女、ヨンジュと
姉の結婚式に向かうために
たまたま電車に乗り合わせて
プロポーズに行く途中に指輪を無くした
田舎の薬剤師の青年ヒチョルの
ドタバタ人情ラブコメディ。

かなりベタでコミカルながら
思ったよりも爽やかで
さらっと観れる良い話であった。
百戦錬磨の詐欺師のはずの
ヨンジュのついた嘘が周囲の人に勝手に解釈されて
どんどんこじれてゆく所が面白い。
嘘をつく時の彼女の顔が可愛くて魅了的だ。

詐欺は高度に頭を使うゲームだと言い切る。
さすがに嘘のプロ。
人の心を自在にあやつり同情をかう手腕は天下一品。
家族も息子より彼女を信じてしまうのだが
それはそもそも彼女の心の中に(姉に対してもそうなのだが)
人に対する優しさや愛情、そして正義感があるからだ。

田舎のおせっかいながらも人や自然に優しく生きる人々に触れ
どんどん彼女の優しさが、溢れ出てくる。
もしかするとヨンジュの初めての恋???
吉本新喜劇ばりのベタさだが
何だか気持ちのよいラストシーンもグッド♪

B000BD3DT6彼女を信じないでください (通常版)
キム・ハヌル ペ・ヒョンジュン カン・ドンウォン
ハピネット・ピクチャーズ 2005-12-23

by G-Tools

彼女を信じないでください
サントラ デラ・リーズ キム・ハヌル
B0009EOZX0

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「私の頭の中の消しゴム」

[DVD映画]★★★☆☆

公開時の宣伝コピー『死より切ない別れがある。』
という言葉がとても印象的だった。
愛する人の記憶の中から自分の事が消えて行く悲しみ。
自分の記憶の中から愛する人の事が消えて行く悲しみと恐怖。
妻の病気の悲しい現実と、それを受け入れようと努力する
夫の献身的な愛情表現とやるせない感情がたまらない。

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「私の頭の中の消しゴム」

製作国:韓国(2004)
監督・脚本:イ・ジェハン

出演:
チョルス(チョン・ウソン)
スジン(ソン・イェジン)

「私の頭の中の消しゴム」オフィシャルサイト

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今更…ですが「明日の記憶」で観ていた事を思い出し
やっぱりレビュっておこうかと。

若年性アルツハイマーという言葉が一般に知られるようになり、
ストーリーの予想はついていたけれど、
病気によって消えてゆく彼女の記憶…
崩れてゆく日常をささえようとする二人の愛を
主にチョスルの目を通して
とにかく切なくドラマティックに美しく描いてゆく。

恋人時代、新婚時代の必要以上のアツアツぶりが、
お約束のように後で悲しさを誘う。
孤独で粗野だったチョスルがスジンと出会い、
唯一家族と思える存在になったのに、
妻のスジンが自分の事を忘れ
彼女の元恋人のヨンミンと勘違いして名前を呼ぶシーン。
スジンに“はじめまして”と挨拶するトコロなど、
チョルスの悲しみこらえ震える表情にはジーンときた。

作為的なシーンも多くて少々ベタで
特にラストのほうなどあざとい気もするが
これでもか、これでもか、とつきつけられる
悲しい現実と、それを受け入れようとする
チョルスの献身的な愛情表現とやるせなさ。
一瞬記憶が戻った時のスジンの切ない心遣い。
若すぎるスジンとチョルスにはあまりにも過酷。

彼ら夫婦のなれそめのトコロから、既に病気は進行していた。
この作品は“若年性アルツハイマー”を素材に描いた
とある夫婦の恋愛ドラマ。
画面のいたる所に暑苦しいほど愛が溢れているのが切ない。
“コンビニ”のシーンは…まるで天国。

今後自分が煩う可能性がゼロでは決して無いアルツハイマーという病。
少々健忘症気味のワタシにはちょっと怖いストーリーでもあったが
観ておいて良かったとも思う。
「明日の記憶」でも書いたのだが
こういった映画は“病気の存在を知る”事と
人とのつながりの大切さを教えてくれる。
特に身近な人への愛情は、病に伏した時に痛感するものだから…

B000E40TLW私の頭の中の消しゴム(字)
三木眞一郎 チャ・スンジェ 小林さやか
ジェネオン エンタテインメント 2006-03-10

by G-Tools

私の頭の中の消しゴム SPECIAL BOX (初回限定生産)
チョン・ウソン イ・ジェハン ソン・イェジン
B000AAER4U

私の頭の中の消しゴム
フレデリク・フランチシェク・ショパン パガニーニ
B000AU1JK0

私の頭の中の消しゴム
木村 元子
4094080481

私の頭の中の消しゴム
深田恭子/及川光博
B000R3ALU4

■映画「明日の記憶」レビュー

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September 23, 2006

「電車男」

[DVD映画]★★☆☆☆

何だか憎めない初々しさがいい!
もう解説の必要もないオタク青年とお嬢様系美女の
ネット掲示板の書き込みに応援されて成就する?
実話をもとにした純愛ストーリー。

へ〜!なるほど!!
映画はこんな表現だったんだ〜。
と、思ったよりは面白かった映画版電車男
テレビ放映されていて、DVDで観ていたのを思い出した。
そういえば最近秋葉原に行っていないので、
ドラマや映画やドキュメント観てびっくり!
すっかり変わってしまったなぁ…
以前は外人とPCヲタばっかだったのになぁ…


アキバ系の彼女いない暦22年の22歳の男が
電車の中で酔っ払いにからまれる女性を助けたことから、
インターネットの掲示板でレスで応援されながら
出来過ぎた美女と結ばれるという、
心あたたまる逆タマ的純愛物語。
2005年公開の映画版。監督は村上正典

* * * * * * * * * * * * * * * *

「電車男」のドラマを先に観ていたので、
(ちなみに本は未読)
どうしてもあのキョーレツさと比べてしまうのだが、
突っ込み所が満載!!!!!

「そんな男はおらんやろ〜!
 こんな女はおらんやろ〜!!
 アノ役者があんな役するんかいな!」

得意のネットで情報収集、
掲示板のみんなに協力してもらいつつ
逆にみんなが励まされてゆくのがいい!
明らかに出来過ぎだけれども、
何だか微笑ましくて確かに元気がもらえるな。

電車男を演じるのが山田孝之くん。
「あんなヲタはおらんやろ!」
普通にイイ男で普通にカップルじゃん…
いや、
エルメスを演じるのが中谷美紀さん。
「あんな美人でええ女はおらんやろ!」
美しく、上品、性格も良く、素直で、優しい、
しかもある意味新鮮な?電車男を常に肯定してくれ、
更にドロドロした男女関係も希薄、
究極の母性を持つ、無機質な理想の女性像…
なんだかふわふわつかみ所の無い感じの女性だ。
お?こりゃ、アニメのヒロインではないか!
なんだ、
「実は似合いのカップルじゃん!!!!!」
と勝手に納得してしまった。
しかも経験上、育ちのいいお嬢さまの中には
意外と強烈に天然の人物は存在するので、
あながち無い話では…とすら思えたり。
男も女もチャンスはある!勇気次第!!そんな物語に、
何やらほんわか楽しむ事ができた。
恋人なんてモノは本人達が良ければ全て良し!!!
ネットのお友達もいいもんだ…と。

唯一残念だったのは…
最初と最後のドラマとリンクしたサービスと
ベタすぎのオチ。アレはしょうがないのかなぁ…

 

B000BDG2JO電車男 スタンダード・エディション
金子ありさ 村上正典 山田孝之
東宝 2005-12-09

by G-Tools

 
伊東美咲・伊藤淳史コンビの強烈なドラマ版。
この二人よりお色気OL役の白石美帆のキャラが印象深い(笑)
ドラマ版ほうがアニオタワールドを描こうとしていて、ディープな感じ。
オープニングとドラマの中のアニメーションも近々土曜深夜枠にて
『月面兎兵器ミーナ』?とかいうタイトルで実際にアニメ化するそう。
GONZOがちゃんと作ってくれるのならゼヒ観てみよう!!!
だから『電車男』のドラマも番外編が放送されるのか。
電車男 DVD-BOX
中野独人 伊東美咲 伊藤淳史
B0009VRGFM

大ヒットした書籍版
電車男
中野 独人
4104715018

 
映画「電車男」オフィシャル・サイト

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September 12, 2006

「ナイロビの蜂」

[DVD映画]★★★★☆

蜂ってそういう事だったのだ…なかなか洒落た邦題だ。
アフリカ大陸でのエイズ問題の陰にある人権に関わる陰謀と夫婦愛。
サスペンスタッチで描かれているのでどんどん引き込まれた。

原題は「THE CONSTANT GARDENER」
残酷な現実と悲しい結末。
美しいアフリカの大地と人々と音楽、それと裏腹の極度の貧困。
強く深い夫婦愛。人間の命の尊さ。
これらがフラッシュバックが多用された映像となり、
サスペンスタッチで緊迫感をあおり、
心になだれのように流れ込んでくる期待以上の作品だった。

原作はジョン・ル・カレの同名ベスト・セラー「ナイロビの蜂」。
監督は「シティ・オブ・ゴッド」のフェルナンド・メイレレス
この作品でレイチェル・ワイズは2005年アカデミー助演女優賞を獲得した、
イギリス映画ナイロビの蜂
アルベルト・イグレシアスの紡ぎ出す民族的な音楽も非常に印象深い。

* * * * * * * * * * * * * * * *

エキゾチックな美しさのある奔放で激しい気性、生まれながらの革命娘であり
慈善活動をしているテッサ(レイチェル・ワイズ)、
常に平常心を忘れないジェントルマン、
庭いじりの好きな英国の外交官ジャスティン(レイフ・ファインズ)。
この夫婦は夫ジャスティンの転勤でナイロビへやってきたのだ。

「じゃ、二日後に」
 
彼らが軽く抱き合い別れ、次に出会ったのは…
なんと遠く離れた土地の死体置き場だった。
いわくの多い妻テッサの死を探るうちに明らかになったのは、
人間の尊厳に関わる恐ろしい事実。

妻の死、怪しい交友関係、“スリー・ビー”の謎。
じわじわと明らかになる惨い真実と
妻のどこまでも真っすぐな正義感と愛情。
冷静沈着なジャスティンだったが、
どんどん妻の意思を継ぐかのように、
身の危険を顧みず謎に立ち向かってゆく。
観ている者は、それに呼応するように
アフリカの過酷な現実におののきながら、
どんどんこの物語のエピソードの洪水に溺れ、
その流れに吸い込まれる…。

こんな惨く悲しい出来事が許されて良いはずではない。
憤りと共に、無力で無関心だった自分が悲しくなる。
そして、ジャスティンの
 
「テッサが家だった」
 
この一言にじ〜んときてしまった。
ジャスティンに信頼され愛された正直すぎるテッサ。
そのテッサもジャスティンを信頼し自分流に愛を貫き、
夫もその愛を受け入れ、妻と同化するかのように突き進む。
なんて夫婦愛なのだろうか!
劇的な二人の出会いから、あまりにもあっけない別れ。
短い間だったが二人は幸せなのかもしれない。
お互い帰る家を見つけたのだから…。


ちなみにこれを観に行ったのはメンズデー!
実はおじ様達に囲まれて観る事となった!!
エンドロールが流れると鼻水をすする音が…
男の方もじ〜んとされたのかしら?
しかしながらこのメンズデーっつ〜のもいいですね〜!!!
最近お小遣いの少ないお父さん達や給料の少ないヤング達の強い味方かも。
どんどん映画館もコレを採用してあげて欲しいなぁ。


B000HEZ4BYナイロビの蜂
ジョン・ル・カレ ジェフリー・ケイン フェルナンド・メイレレス
日活 2006-11-10

by G-Tools

「ナイロビの蜂」オリジナル・サウンドトラック
サントラ ロンドン・セッション・オーケストラ アユブ・オガダ
B000EZ87TM
ナイロビの蜂 オリジナル・サウンドトラック【送料無料】

ナイロビの蜂〈上〉
ジョン ル・カレ John Le Carr´e 加賀山 卓朗
4087604500

ナイロビの蜂〈下〉
ジョン ル・カレ John Le Carr´e 加賀山 卓朗
4087604519


「ナイロビの蜂」オフィシャル・サイト

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April 07, 2006

「ティム・バートンのコープスブライド」

[DVD映画]★★★★☆

異常なまでにデフォルメされたキャラクターと
実に凝りまくたストップ・モーション・アニメーション!
「ナイトメア・ビフォー・クリスマス」でおなじみ、
ティムお得意のブッキーなキャラクターと
悪趣味かつ濃厚なティム・ワールド全開の「コープスブライド」!!

ヘンリー・セリックとの共同監督なので
あえて"ティム・バートンの"が入っているあたりが何とも…。
ロシアの民話を題材にした、死体の花嫁と何故か結婚する事になってしまった青年の
生者の世界と死者の世界の壁を越えたミュージカル仕立てのラブ・ストーリー♪
時間がかかる手法ゆえ、最終的に「チャーリーとチョコレート工場」と
同時進行で制作され、同じく2005年に公開されたイギリスの作品。
ご存知のとおり、主人公のビクターの声はジョニー・デップ。
 
物語の舞台は、封建的なビクトリア朝時代。
成金の親を持つビクター(声:ジョニー・デップ)と
落ちぶれ貴族の娘ビクトリア(声:エミリー・ワトソン)。
このお金と地位にしか興味の無い親達の決めた2人の政略結婚だったが、
当人同士は出会った時から魅かれあい、結婚を望むように…。
ところが結婚式の予行練習の日、
ダメダメくんのビクターの失態で、結婚自体が延期になってしまう。
しかも、怪しい謎の招待客がそこへ割り込んできて、
ビクトリアの両親はこの結婚に反対しはじめ、2人の挙式は前途多難に…。
それでも健気に結婚式の予行練習を、一人森の中でしていたビクターくん。
ところがそれが原因で森で亡くなった花嫁エイミー(声:ヘレナ・ボナム=カーター)と
ビクターは結婚の約束をしてしまうハメに…。
突然死者の世界に連れて行かれたビクターの運命は?
そして死体の花嫁=コープスブライドの過去とは???

* * * * * * * * * * * * * * * * * * 

とにかく濃厚な舞台といい、そこで演じるパペット達の表情が素晴らしい!
ピアノを弾いたり涙を流したり、自然な動きに驚いた!

形式を重んじる堅苦しい生者の世界より
束縛されるものがもはやない死者の世界のほうが
生き生きとして見えるのが面白い。

極端に醜い所をクローズアップしデフォルメされたおっさんやおばさんが
腹黒く歌う生者の世界はクラシカルなオペラ風♪
不気味だけれどキュートでカラフルな死者達!
人、動物、虫などがジャジーでファンキーな音楽と共に踊る歌う♪

婚約者である本当の花嫁は強欲で厳格な母親に育てられたが
特別美人ではないが素朴な美しさのある心の綺麗な人
結婚を夢見ていたのに悪い男に騙され殺され森の土の下で
素敵な男が現れるとずっと待っていたコープス・ブライドのエイミーちゃん。
本当の愛を見つけられて良かったね!!!

設定が奇抜なので感情移入しづらいが、
ちょっと不気味なおとぎ話的に十分楽しめる。
「ナイトメア〜」の大人版といった感じかな。
前回は亡霊犬だったが、今回は死体犬(骨犬)が、またキュート♪
強いて難を言えば、序盤まったり進むストーリーと、
最後にハッピー・エンドへとあれよあれよと進む展開。
ラブ・ストーリーとしては、少し残念かな。
とはいえ、キャラクター、背景のセットへの細部までのこだわり、
ひとコマひとコマへの愛情がたっぷりこめられた作品だった♪
 

[特典映像]
本編が70分ほどなのに、特典映像が45とたっぷり!
CGでは味わえないストップ・アニメの制作過程には感服!
あの自然な表情はハイテクなパペットだったなんて…ホント驚き!!
声の出演者ももちろん登場!
こちらは一見の価値あり!
超懐かしい〜トレイシー・ウルマンの姿も♪
まさかビクターの母親の声だとは!!!

「コープスブライド」オフィシャル・サイト

ティム・バートンのコープスブライド 特別版
ティム・バートン
B000C0YN6K

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February 13, 2006

「きみに読む物語」

[DVD映画]★★★☆☆

カサベテス母子の描き出す運命的な愛の形。
最後の最後にグッときた!
こんな風に逝けたらどんなに幸せだったろう…
奇跡を起こし続け、初恋を貫き通したありふれた男の物語!
こんなにも超正統派の純愛ラブストーリーを久しぶりに観た!!

監督は故ジョン・カサヴェテスとこの作品にも出演している
女優ジーナ・ローランズの息子ニック・カサヴェテス
原作は若手作家の ニコラス・スパークス
アルツハイマーという重いテーマを扱いながら、
赤い糸で結ばれた“運命的な永遠の愛”を
美しい映像と共に、より劇的に描き出している。
2005年公開のアメリカ作品「きみに読む物語」。
 
 
療養生活を送る老婦人アリー(ジーナ・ローランズ)の所へ
毎日のようにやってくる老人男性デューク(ジェームズ・ガーナー)。
彼はいつも同じ、ある物語を彼女に読み聞かせるのだ。
彼女に起こる奇跡を信じて…。

1940年6月6日。アメリカ南部の小さな町。
休暇で都会からやって来た17歳の金髪ではつらつとした令嬢
アリー・ハミルトン(レイチェル・マクアダムス)に、
地元の材木置場で働く、自信家だがごく田舎の普通の青年
ノア・カルフーン(ライアン・ゴズリング)は一目惚れ!
観覧車にぶら下がってデートの約束をとりつけたり、
道路に二人寝転んで運試しをしてみたり、
かなり強引なアタックを重ねて遂に二人は恋におちる…。
身分は違うが、いつでも一緒、離れられない二人。
1772年に建てられたウインザー農園をいつか買い取り改築し、
共に暮らそうと結ばれた二人だったが、
アリーの両親に交際を反対され、
彼女は夏の終りを待たずしてニューヨークの学校へ連れて行かれてしまう。
1年間365日毎日アリーに手紙を書いたノアだったが、
彼女からの連絡が一度も無いまま第2次世界大戦が始まるのだった。

この自分自身の物語を興味深く聞く老女アリー。
そして先を知りたいとノアにせがむのだ。
果たしてアリーの記憶は戻るのだろうか???
 

以下ネタバレ有り。この作品を楽しむため、
これから観る方はこの先を読まない事をお勧めします

 
* * * * * * * * * * * * * * * *
 
最初と最後、しばしば現れる水辺で戯れる“渡り鳥”白鳥の群れと、
若い二人、白髪の二人の姿。
ちょっと美し過ぎるが、後になる程グッとくる。

老人になった現在の二人と若い頃の二人のエピソードが
交互に語られて少しずつ彼らの過去が明らかになってゆく。
観ているこちらがこっ恥ずかしくなる位に愛しあう恋人達…そして別れ。
離れている間のあまりにも違う彼らの生活…
アリーは戦時中ボランティアで看護をしていた時に知り合った、
富豪の息子ロン(ジェームズ・マースデン)とごく自然にまた新たな恋をする。
ロンのスマートな言葉は最初から最後までなかなか“男前”だ。
一方ノアは戦場から戻り、本格的に失恋した事を知る。
だがアリーの事が忘れられないノアは
彼女との約束のあの農園を買い取り、古い屋敷を狂ったように改築した。
そして寂しさをまぎらわせるマーサ・ショー未亡人とのつきあい。
こんな横恋慕なんかがそれぞれあったが、
結局運命的に再び巡りあう彼らはお互いに
どうしても忘れらず惹かれあう一度しかない“初恋”の相手なのだった。

アルツハイマーで記憶障害を持ち、日々の出来事や家族すらも忘れてしまう
入院中の妻へ、心臓病を患っている夫が彼ら自身の物語を読み続ける。
つかの間でも彼女の記憶が戻る事を願い毎日読み聞かせる…。
子供達に『お母さんが私の家だ』と語るノア。
書き記された『これを読んでくれたらあなたの元へ』というアリーの言葉。
彼女の最期の言葉は『私達一緒に死ねるかしら?』だなんて…。
 
アリーの記憶が一瞬だけ戻った時のノアの喜びよう!
そして彼女が不安になるやいなや、それが去ってしまった時のノアの落胆ぶり。
二人と家族のアルバムをめくるノアの顔…。
ノアにこんなにも愛されたアリー、
アリーもそんなノアをこぼれてゆく記憶の奥で常に愛し続けていたのだ。
それを忘れないよう書き記した物語。
アリーはどんなに不安だった事か!しかもそれすらも忘れてしまう病。
だが、最期にまた奇跡は訪れた!!!

ただありふれた普通の男ノアの、唯一誰にも負けない誇れる事。
『全身全霊をかたむけて愛する女性がいる。
 それは彼女が若くても年老いて病気になっても変わる事は無い…。』
初恋の相手と結ばれ老いるまで共に過ごす事が出来る…
つらい病があったにせよ、何て幸せな夫婦なのであろうか!
出来そうでなかなか出来ない愛の形だ。

前半のゆったりとした夢のような古き良き時代のエピソードや、
ここぞという時に訪れるちょっとした愛の奇跡など、
小説を上回る悪意の渦巻くこの時代に、もの足りなさを感じるかもしれないが、
この作品には病の過酷さ、リアリティを追求してはいけない。
あくまでも“あるありふれた夫婦”の一途な永遠の愛、
運命的な恋愛を描いたこの物語のページをめくりながら、
彼らに起きる奇跡を期待するようになる。
人々に一筋の希望を与える作品なのだと思った。
 
 
きみに読む物語 スタンダード・エディション
ライアン・ゴズリング ニコラス・スパークス ニック・カサヴェテス
B0009X59K4

きみに読む物語 プレミアム・エディション
ライアン・ゴズリング ニコラス・スパークス ニック・カサヴェテス
B0007D3NJ0

原作本
きみに読む物語
ニコラス スパークス Nicholas Sparks 雨沢 泰
4902088584

続編小説
きみに読む物語 ‐もうひとつの愛の奇跡‐
ニコラス・スパークス 雨沢 泰
4902088843


「きみに読む物語」オフィシャル・サイト

 
75歳を越えて増々円熟した演技が素晴しいジーナローランズの出演作品
■映画「フェイシズ」レビュー
■映画「こわれゆく女」レビュー
■映画「グロリア」レビュー
■映画「スケルトン・キー」レビュー

■監督:カサベテスファミリー・カテゴリー

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January 24, 2006

「ある日どこかで」

[DVD映画]★★★★★
 
B級ながら長年心に残る…タイム・トラベルもの。
美しい音楽と映像に包まれながらゆったり進むストーリー。
クリストファー・リーヴがジェーン・シーモアの
モノクロ写真に見入るシーンが忘れられない。

肖像写真の女優に恋をして70年近くの時空間をタイム・トラベルして
彼女に会いに行くというSFチックなラブ・ストーリー。
監督は「ジョーズ2」のジャノー・シュワーク、製作はスティーブン・ドイッチ、
原作・脚色はリチャード・マシスン、撮影はイシドア・マンコフスキー。
故クリストファー・リーヴの「スーパーマン」とは違った
ロマンチックな演技が素敵な1980年製作のアメリカの作品「ある日どこかで」。

1972年。
ミルフォード大学の学生リチャード(クリストファー・リーヴ)は
彼の書いた脚本が初演され大成功をおさめた、そのパーティで、
彼は見知らぬ老婦人に声をかけられ美しい金時計を渡された。
「私のところへ戻って来て」と言い残しその老婦人は去って行ったが、
その後8年間その事は忘れていた。
劇作家として見事に成功したリチャードだったが、
最近スランプ気味で、気晴らしのために旅に出る。
特にあては無く車を走らせ、懐しいミルフォードに辿り着き、
何となく、あのグランド・ホテルに宿をとった。
夕食までの間、暇つぶしにホテルの史料展示室を見物中に
ある1枚の美しい女性のポートレートに目が釘付けになってしまう…。
そう、彼はこの写真の女性に恋をしてしまったのだ。

5才からこのグランド・ホテルに居るという、
年老いたボーイのアーサー(ビル・アーウィン)に、
その女性がエリーズ・マッケナ(ジェーン・シーモア)という当時の人気女優で
このホテルに滞在し、当時公演を行った事を教えてもらった。
彼女の事が知りたくて町の図書館で彼女の資料を探し出し、
エリーズの秘書であったローラ(テレサ・ライト)を訪れたリチャードは、
8年前のあの老婦人がエリーズその人だったと確信する。
あの金時計はエリーズの宝物。「私のところへ戻って来て」という言葉。
だが、あの後間もなく彼女は亡くなっていたのだ…。

恋心と好奇心はリチャードを駆り立てた!
彼はエリーズに会いに行くために「タイム・トラベル」という本を書いた
超心理学の著者を訪ね、タイム・トラベルの方法・体験談を聞き出した。
リチャードはグランド・ホテルのあの部屋で、1972年と決別し、
服装・持ち物など当時のものを用意して、カセットテープに自分の声を吹き込み、
1912年に行こうと自分に暗示をかけ始めた…

* * * * * * * * * * * * * * * *

昔録画して伸びてしまったビデオテープを格安DVDで買いなおすシリーズの1本。
最初観た時は、んなアホな!と別に感動はしなかったものの、
どうもあの出会いのシーンが忘れられない。
ストーリーを忘れた頃に観たくなる…
歳を重ねるたび、イメージが変わり、
どんどんセツなくなってゆく…そんな不思議な作品だ。

本や雑誌のピンナップ、映画の中の主人公…
フィルムの中の人物から目が離せなくなった事は誰もが有るだろう。
それはその美しさかもしれないし、
何か訴えるような表情だったりするのかもしれないし、
ただ何か気になるだけかもしれないのだが、
この映画のあのシ−ンにはちゃんと恋に堕ちる理由があったのだ。
ホテルの窓から幻想的に差し込む光に浮かび上がるあの写真の人物は、
撮られた時も、まさに彼を見つめていたのだから…。

全てを捨てて彼女に行こうと必死に祈るリチャード!
やっとタイム・トラベルに成功する事が出来、
1912年、グランド・ホテルで遊ぶ子供のアーサーとの遭遇。
そして、夢にまで見たエリーズへの挨拶を練習するリチャード!!
エリーズのマネージャのロビンソン(クリストファー・プラマー)から邪魔され、
それでも運命に引き寄せられるように結ばれる二人。
だが、小さな失敗から過去から引き戻されてしまったリチャード!!!
抜け殻のようになってしまい衰弱しきった彼の悲愴な顔!
そもそも誰のものか不明だが、時を越えて二人を繋ぐ金時計。
人生を犠牲にする程の出逢い。
彼らの人生は最初から運命づけられていたのかもしれない…。

[特典映像]
この映画のB級ながら多くの人に支持される理由は
製作陣・役者陣のこだわりや愛情たっぷりつまっているからだった!!
製作者・出演者のインタビューもたっぷり。
痛々しい姿のクリストファー・リーヴの臨死体験にはセツなくなるが、
かなり盛り沢山で見る価値大!

ある日どこかで
クリストファー・リーヴ ジュノー・シュウォーク ジェーン・シーモア
B000B4NFEI

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January 22, 2006

「バタフライ・エフェクト」

[DVD映画]★★★★☆

記憶系の作品かと思ったらタイム・トラベルものだった!
少々荒っぽいけれど、全く先が読めないので最後まで楽しめる作品。
君は一体何処まで戻り続けるんだ!!!!!

愛する人のために過去を変えようとする、
ある特異体質の青年を描いたサスペンス・ドラマ。
脚本・監督はエリック・ブレス&J.マッキー・グラバーの二人。
緻密に仕組まれたストーリーはざっくりしているがなかなかのもの。
スピーディーで、アッと驚く展開と
過去に戻り続ける主人公の行動からは目が離せない!
2003年アメリカ制作の作品「バタフライ・エフェクト」。

以下がっちり、ネタバレ有り。
これから観る方はこの先を読まない事をお勧めします

* * * * * * * * * * * * * * * *

冒頭の緊迫感からして上手い!
次はどうなるのか…最初から最後までドキドキしどおしだった!!

誰かに追われながら必死でメモを書く男。

「もし誰かがこれを見つけたら、それはぼくの計画が失敗した証拠。
 その時ぼくは死んでいる。でももし最初に戻れたら…
 その時はきっと彼女を救えるだろう         エヴァン」

その13年前、エヴァン7歳。
ショッキングな出来事を体験すると?ポッカリとその間の記憶喪失を起こす事が発覚。
エヴァンが自身の知らない間に書いた残忍な絵を先生に指摘された
母アンンドレア(メローラ・ウォルターズ)が彼を心配して病院へ。
その時からエヴァンは治療として日記をつけ始めた。
友達のトミーとケイリー兄妹の家で遊んでいる時。
そして…精神病を患う父親に面会している時。
やはり部分的に記憶が無い…。

その6年後、エヴァン13歳。
成長した悪ガキのトミー、可愛いケイリー、おデブ君のレニーと
爆弾で火遊びをしていたつもりが、大事故になってしまった時。
映画「セブン」を観て映画館でケイリーにキスした事から
エヴァンの愛犬クロケットが悪戯されて死んでしまった時。
やはり肝心な部分の記憶が無い…。
この事故が元でエヴァンは遠くに引越す事になってしまう。
引越トラックの窓から愛しいケイリーへ見せたメモには
「君を迎えに来る」と書いてあった。

その7年後、エヴァン20歳(アシュトン・カッチャー)。
優秀な大学生で記憶の研究をしている彼は、ルームメイトと
7年間記憶喪失が無かったと祝っていた。
ガールフレンドと7歳からずっとつけていた懐かしい日記を読みはじめたところ、
ある部分を読んだ時、日記の文字が揺れはじめ…周りの景色が変化しはじめた。
そう、愛犬クロケットの事件の場面にタイムスリップしてしまったようだ。
そして自分の失った記憶が鮮明に甦りはじめた…というかまるでその場に居た???
スリップした時と同じように急激なショックにより
また現在に戻ってきたエヴァンの鼻からは大量の鼻血が…
だが、自分の失った記憶の一部の復活に興奮が隠せない!!!
そして幼なじみの彼らに会い、記憶の抜けた部分の話しを聞き出そうと、
久々に故郷に帰るのだが…
そこで目にしたのは…自分とは違った厳しい現実だった。
プラモデル作りをして自宅に引きこもるレニー(エルデン・ヘンソン)、
セクハラを受けているウェイトレスのケリー(エイミー・スマート)、
刑務所帰りで修理工としているトミー(ウィリアム・リー・スコット)の噂…。
エヴァンとの再会に喜ぶケリーに、
例の事件やおぼろげな記憶について聞き出そうとすると、
彼女は顔を曇らせ、怒って帰ってしまった。
そう、彼女は約束通りにエヴァンが自分を迎えに来てくれたと思ったのだ…
それに気づかず、自分の失った記憶に夢中なエヴァンに失望し
幼い頃からの小さな希望を失った彼女は、何と絶望のあまり自殺してしまう。
それをトミーの電話で知り、決して忘れたわけでは無い約束への後悔の念と
すぐそこまで怒ってやって来ているトミーに殺される…
と生命の危機に瀕したエヴァンは、
“彼女を救いたい”という一心で、過去を変えてみようと決心した。

そして7歳の時のトミーとケイリーの父親ジョージ(エリック・ストルツ)との
映画ごっこの場面にタイムスリップ!
幼い子供に酷い要求をするケイリーの父親を罵倒した結果、実験成功???
再び目覚めるとベッドの隣にはケイリーが…。何とラブラブ状態♪
エヴァン自身も大学で優秀な大学生のようで彼のクラブまであるようだ。
クラブあげてケイリーとのロマンチックな夜を演出している所に、
相変わらずの乱暴者のトミーが、エヴァンを殺すべく乱入!
恐怖と憎しみから逆にトミーを殺してしまう!!
そして極悪人揃いのアメリカの刑務所にてつら〜いムショの洗礼を受け、
こんなトコロでやってられるか!
と同じ房の信心深い青年を味方にするため、小学校で書いた絵の場面へ。
そこで…自分の手を傷付け、またムショにリターン。
すると例の鼻血と共にキリストのような傷跡が掌に…。
すっかり信じた青年と共謀し、この現実から逃れ新たな人生を目指すために
再び過去へとタイムスリップ!
エヴァンとケイリー、その家族や友人達は
次の人生で果たして幸福になれるのか???

 

一瞬自身も何が起きたのか戸惑ってしまう!
幼い頃のスッポリぬける記憶の状態。
揺れる文字から周りが変化し一気に過去へと戻り目にする衝撃的なシーン。
何度も目まぐるしく流れるエヴァンの記憶の渦。
そして猛烈なスピードで思わぬ方向へ再構築される新たな人生。
エヴァンの目を通して観客も彼の意志による些細な変化から
周囲もろとも大きく変化する彼の人生を何度も経験する事になる。

“バタフライ・エフェクト”とは
「ある場所で蝶が羽ばたくと、地球の反対側で竜巻が起こる」
=初期のごく小さな差違が、将来的に予測不能な大きな違いを生じる、
というカオス理論をテーマに、人間なら誰もが考える、
「あの時にこうしておけば!過去に戻ってやり直せたら!!」
こんな願いの結末を、これでもか、これでもか、とくり返し見せつける。

エヴァンは自分の失った記憶の時点限定で
自分の書いた日記や記録を“見る”事により過去へ戻れる能力を持っている。
逆に記憶の無いのは、未来の自分がそこ行動しているからでもあり…
この記憶を失った部分にのみ過去に戻れるというアイデアはなかなか面白い。
しかも、そこで新たに行った行為は極端に周囲にまで反映され、
全く違った世界が再構築されるのだ。
エヴァンがこれまでの全ての人生の記憶とを持っているのがミソ。
「失敗しても再チャレンジ!!」とばかり、
失った記憶を取り戻したい気持ちも手伝って、
その能力を駆使して何度も何度も過去を変えるハメになる。

エヴァンの父の言葉。
「この能力は他人の人格を変えてしまう、神のまねをしてはいけない。」
しかしエヴァンは、
愛するケイリーの命を救うため、
自分や家族の幸せを実現させるため、
鼻血を出しながら、脳を傷付けながら、何度も日記を見て過去に戻る。
だが、彼が過去に戻って、善かれと思って行った以前とは違った小さな事が、
周囲にとてつもない影響を及ぼし、それは必ずと言っていい程、
最初よりもより悪いほうへ、特に自分へと影響を及ぼしてゆく…。
まるで、幸せの量は一定なんだよ…と言わんばかりに、
人の人生までをも変えてしまう“過去を変える”という
神の領域に手を出してしまった彼に対する仕打ちなのか?。
結果的にケイリーと結ばれる幸せを犠牲にする事によって、
その他の幸福を手にしたのだろうか…。
あのラストシーンは運命的でもあり、
新たなる恋と人生の始まりを臭わせてもいて結構好き♪。


[特典映像]
別エンディングは必要無し。観なきゃ良かった。興醒め。
監督達も、これは無い!と思ったものは入れないで!!!
 
バタフライ・エフェクト プレミアム・エディション
アシュトン・カッチャー エリック・ブレス J・マッキー・グラバー
B000AM6R00


「バタフライ・エフェクト」オフィシャル・サイト
 

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January 12, 2006

「エターナル・サンシャイン」

[DVD映画]★★★★☆
 
記憶を消してしまいたいほどの恋って???
実に不思議なラブ・ストリー。
豪華なキャストながら、役者さん達が演技の新境地を見せていた。
特にジム・キャリーとケイト・ウィンスレットは、
これまでにないキャラクターでは???

ヒューマンネイチュア」のコンビで、
脚本チャーリー・カウフマン、監督ミシェル・ゴンドリー
記憶を消したカップルと、その記憶を描いた、
風変わりっだけれど、実に古典的で切ないラブ・ストーリー。
2004年制作のアメリカの作品「エターナル・サンシャイン」。

ヴァレンタインデーを前に、独り寂しく帰宅したジョエル(ジム・キャリー)。
最近喧嘩して別れてしまったクレメンタイン(ケイト・ウィンスレット)に
会いに職場の本屋に行ったのだが、彼女は自分の事をすっかり忘れて、
新しいボーイフレンドがいた事にショックを受けていた。
だが、実は彼女は特定の記憶を消す仕事を請け負うラクーナ社に
彼の記憶を消去する依頼をしていたのだった…。
ポストの中にそれを知らせる手紙を発見したジョエルは、
彼もクレメンタインの記憶を消す事を決意!
彼女との想い出の品々を集めてラクーナ社へ!!
一晩で彼女の記憶をリセットし、新たに出直すために…

以下がっちりネタバレ有り。
これから観る方はこの先を読まない事をお勧めします

* * * * * * * * * * * * * * * *

“○○はあなたの記憶を全て消し去りました。
 今後、○○の過去について絶対触れないようにお願いします。
                       ラクーナ社”

突然ポストにこんな手紙が入っていたら?
恋人や家族でなくても誰もがまず信じないであろう。
実際記憶を無くしていたら、どんなに悲しく寂しい思いをするだろう?
だからまだ彼女を愛しているのに、そんな現実に耐えられず、
ジョエル自身も記憶を消そうとするのだが、
その作業中に眠りながら夢の中で記憶を辿るうちに、
忘れたくない彼女との幸せで美しい数々のエピソードを思い出し、
ドクター・ハワード(トム・ウィルキンソン)に伝えていない、
古い記憶の中へ隠れようとする。
だが、どんなに「やめてくれ!」と叫んでも、あとのまつり。
しかも新しいボーイフレンドはラクーナ社のパトリック(イライジャ・ウッド)?
いてもたってもいられないジョエルなのだ!

しかもあんないい加減な作業で、
そんな簡単に都合良く“二日酔い程度”のリスクで
特定の記憶…忘れたい記憶だけを消す事が出来たら?
もしくは、忘れたくないのに忘れさせられてしまったら?
確かに便利そうだが、実は無意味だったりするのでは。
病気や事故なんかで記憶を失うのとはわけが違う。

この二人もやはり記憶を消しても振り出しに戻り、また同じ事をくり返す。
やっぱり出会うと惹かれ合ってしまう所がちょっと運命的。
だが、自分の無くした過去を知ったからこそ、
最後にやはり“イエス”と言えたのだと思う。
それにしても、まさか…あの人まで記憶を消していたなんて!!!。
こればっかりは気づかなかった!この人も同じ事をくり返しでいたし、
あの、ラクーナ医院で飼い犬を忘れようとしたご婦人も、
きっとまた犬を飼ってしまったような気がするなぁ。
自分の過去の行動にはある程度責任を持って、
つらい事でも受け入れ乗り越えるのが、学習であり人生の醍醐味。
愛情は深く心は広くなるというものだ。

ところでジム・キャリーってこんなに素敵だっけ?
生真面目な面白くない普通の男、いい人ジョエルを好演。
青だの赤だのグリーンだの髪の色がコロコロ変わる自由奔放なハデハデ姉さん、
気分次第でストレートに発言し行動するクレメンタインを演じる、
ケイト・ウィンスレットも若く見えてキュート。
不倫の受付嬢メアリー(キルステン・ダンスト)もこういう役にはぴったり。
個人的にはドクターがの右腕スタン(マーク・ラファロ)が渋くて素敵…。
イライジャ・ウッドが微妙なチョイ役というのも贅沢ですな。
 
実はこの作品、現実と回想と非現実が行ったり来たりして混乱しがちだが、
非現実なジョエルの記憶の中のシーンがとにかく楽しい!
キッチンシンクのお風呂や、室内での雨、突然消える人や物など
シュールかつコミカルな場面がくるくる展開して、非常に効果的で面白い。
この映像の洪水に流されながら、真相がどんどん見えてくるのだ。
二人の出会い〜幸福な絶頂期〜倦怠期〜別れ、
ジョエルの子供時代の記憶に逃げ込んだ彼らの体験などの、
数々の想い出をランダムにアルバムを繰るように目撃しながら、
成長してゆく愛の形の変化を登場人物と共に味わおう。
運命的な出会いや真実の愛を信じる事が出来るかも!

エターナル・サンシャイン DTSスペシャル・エディション
ジム・キャリー ミシェル・ゴンドリー ケイト・ウィンスレット
B0007TW7W8

エターナル・サンシャイン
サントラ ジョン・ブリオン E.L.O.
B0007G8CSE

「エターナル・サンシャイン」オフィシャルサイト

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May 14, 2005

「世界でいちばん不運で幸せな私」

[DVD映画]★★★★☆

邦題がちょっ妙だけれど、観終わるとなるほど。
アメリ」をちょっと彷佛させるキュートさとテンポと残酷さ。
ちょっと浮き世離れしたカップルのお伽話のような恋愛を描いた作品
世界でいちばん不運で幸せな私」。

監督は本作が長編映画のデビュー作となったヤン・サミュエル
イラストレーターから映画監督へと子供時代の夢をかなえたそう。
絵コンテやセットのイラストも自ら書いた超器用な才能の持ち主。
主演は監督としても才能を発揮する「ヴィドック」のギョーム・カネ
ビッグ・フィッシュ」「ロング・エンゲージメント」のマリオン・コティヤール
音楽はフランソワ・オゾンの作品でおなじみのフィリップ・ロンピ。
甘くセツなくどこか壮大なイメージのメロディ、
全編ふんだんに色んなバージョンで使われるシャンソンの名曲『バラ色の人生』が、
ロマンティックさをもりあげる。
2003年制作のフランス映画で、配給は…アルバトロスさん!!!
こりゃ、ただものではないファンタジックな物語なはずだ!

とても可愛いメリーゴーランドの缶。
これが最初から最後まで、二人をつなぎ一貫して登場。
冒頭で少年が語る。

「僕はゲームが好きだ。
 でも、絶対のってはいけないゲームがある。
 でないと、コンクリートで固められてしまうぞ!」

いじめられっ子のポーランド移民の少女ソフィー。
(8歳:ジョゼフィーヌ=ルバ・ジョリー
彼女を可哀想に思い、病気の母(エマニュエル・グリュンヴォルド)にもらった
宝物のメリーゴーランドの缶を譲ってあげた
ジュリアン(8歳:チボー・ヴェルアーゲ)の幼いゆえの一言。
「時々返して」
でも、ソフィーは言う。
「返して欲しければ“のる?のらない”のゲームをして」
この会話から全ては始まった。
このゲームは“相手の出した条件をクリアできるかできないか”を答え、
クリアできたらあのメリーゴーランドの缶を手元に置けるというもの。
だが、このゲームの鉄則は“必ずのること!”なのだ。
相性バッチリ、元々悪戯っこの二人のゲームは、どんどんエスカレートし、
そのまま成長するにつれて増々条件も悪趣味に。
幼い頃からの“ゲーム”にしばられ、素直に気持ちを口に出来ず、相手も信用出来ない
大人になったジュリアン(ギョーム・カネ)とソフィー(マリオン・コティヤール)。
お互いを見つめる優しくキラキラした瞳だけで十解りそうな事なのに。
ちょっと意地悪でひねくれた二人の気持ちはすれ違うばかり…。

幼い頃、不幸な境遇を笑い飛ばすために、二人で遊んだ“ゲーム”だったのだが、
奔放な悪戯娘のソフィーの“ゲーム”振り回され、父親(ジェラール・ワトキンス)
からは叱られてばかりで、何もかもうまくいかない。
もっと大人になろうと決意したジュリアン…。
自分の蒔いた種とはいえ、恋する女にとってひどい仕打ちを受けたソフィー。
ついに二人は別の道へ進み出す。
だが、ジュリアンの選んだ大人の世界は彼にとっては退屈でつまらないものだった。
どうしても忘れられない天真爛漫の幼馴染みソフィーと、あの“ゲーム”。
同じくソフィーも自分で決めたルールを守りながらも同じ気持ちでいたよう。
お互い愛しているのは、一人だけ。
ジュリアンの父や、妻クリステル(レティシア・ヴェネチア)
ソフィーの夫セルゲイ(ジル・ルルーシュ)にとっては
まともで誠実だけに災難ばかり!!
ちょっと周囲を巻き込み過ぎたが、彼等の求めていたのは
あまりにも遠回りな長い時間をかけた末に、危険を背中合わせに
やっと見つけた“二人だけの世界”。

彼等は子供の心を引きずりながら、体裁だけは大人になってしまった。
幼い頃の言葉は大人になっても変わらない。
「私達は一心同体」
「心は通じ合っている」
「二人は永遠に離れず一緒」

この物語は極端だが、幼馴染みと年月を経て恋をした経験者には同じような、
歯がゆくも痛い部分、馴れ合いだからこそ言えなかった事もあるのでは?
“ゲーム”では無いけれど、冗談や嘘なんてはぐらかしてみたり(ああ青春♪)。
この映画では、ある意味一般的で古典的、運命的で絶対的な愛をもし貫いたとしたら?
では無いかと思ったのですが…
オチでひょえ〜。ラストシーンで複雑な気分に。
個人的には絶対貫けません。楽なほうへ流されます〜っ。
ジュリアン役の二人の優しそうで悪戯っぽい笑顔にもうメロメロ。
暴君になられたらイヤですけど〜。

[特典映像]
・メイキング
・フィルモグラフィー/俳優・監督インタビュー
・幸せ度チェック

オフィシャルサイト
“恋のからまわり度チエック”ができます。
 ↓
http://www.albatros-film.com/movie/sekai/
 

世界でいちばん不運で幸せな私
ギョーム・カネ ヤン・サミュエル マリオン・コティヤール チボー・ヴェルアーゲ
B0006TPIJS

映画「世界でいちばん不運で幸せな私」オリジナル・サウンドトラック
サントラ
B0002J518K

世界でいちばん不運で幸せな私
ヤン サミュエル Yann Samuell 番 由美子
4840111405

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February 14, 2005

「かげろう」

[DVD映画]★★★☆☆

戦時下での深い森で、未亡人と謎の青年の静かに押し殺された激しい一瞬の恋。
これは戦争の虚しい残酷さと人間の悲しい性を描いた作品だと思った。
“65年前の戦争”も“戦争中の一瞬の情熱”も“人の心”も
ゆらゆらと、『かげろう』のようにゆれ動く。
フランスの巨匠アンドレ・テシネ監督による2003年の作品「かげろう」。
美しき諍い女」「8人の女たち」などのエマニュエル・ベアール
本作で脚光を浴びた新人ギャスパー・ウリエルの
緊張感のある演技が素晴らしい。

第2次世界大戦最中の1940年6月10日。
戦火を逃れてパリから南仏ヘ向かう人々の列をナチス・ドイツ空軍の機銃掃射が襲う。
13歳の息子フィリップ(グレゴワール・ルブランス・ランゲ)と
7歳の娘カティ(クレメンス・メイエ)を連れてその惨劇の中に居た
未亡人のオデール(エマニエル・ベアール)は、
間一髪で命は助かったのだが現場で呆然としていた。
そこへ突然現れた謎の青年(ギャスパー・ウリエル)が、親子を森へと避難させる。
イヴァンと名乗るその青年は、オデール達を更に安全な森の奥へと導く。
そこで見つけた空家となった他人の屋敷で、
オデール親子とイヴァンは暮らし始めるのだ…。

奇妙な共同生活。
息子のような17歳の孤独な青年イヴァンの、粗野な男と、時折見せる幼い顔。
「行動しないと生き残れないからだ」
と語る彼には人に言いたく無い過去があるらしい。
最初は息子のフィリップが慕い始め、幼い娘カティも王子様と彼がお気に入り。
最も警戒していたオデールも、彼の危なっかしい魅力に徐々に心が動いてゆくのだ。
憔悴し弱った女、強く正しい母親、成熟した魅惑的な女、時には可愛らしい面もある、
大きな目と小柄な顔にアンバランスな唇を持つオデールの様々な顔。
オデールとイヴァン、このアンバランスな二人は、
違法を共有している緊迫感の中で、お互い魅了されてゆく。
17才の男の子に
「あんただけだ。妻になってくれ」
なんて言われたら…!!!
つかの間の戦中とは思えない森での家族的な静かな生活と情熱的な恋。
だが、彼等は厳しい現実に引き戻されてしまうのだ。

全てを冷静に見つめるフィリップとカティの存在が印象的だった。
常に母親や妹の事を考えて父親のかわりを勤めようと頑張る兄フィリップは、
イヴァンを慕いながらも複雑な思春期を迎えようとする少年。
彼の兵士のために歌う歌声はまるで天使のよう。
幼いカティは冒頭で戦争について疑問に思う。
「急いで逃げるのは悪魔が追ってくるからね。
 なぜ悪魔は子供をさらうの? 悪い事をしてないのに…」
そして、イヴァンに自分の見た死体のまねをしてみせる。

オ−プニングから時折挿入される、揺れ動く戦争のモノクロフィルム。
『かげろう』のようなのは、あの森での暮らしやイヴァンの存在だったのだが、
もはや戦争の事実が『かげろう』になりつつある…。

「かげろう」オフィシャルサイト
 ↓
http://www.gaga.ne.jp/strayed/

かげろう
エマニュエル・ベアール

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December 24, 2004

「火の馬」

[VIDEO映画]★★★★★

なんて切なく哀しい純愛!カルパチアのロミオとジュリエット。
すばらしくも哀しい民族色豊かなラブ・ストーリー。
彼等は死の世界でしか結ばれないのか…?

ウクライナの文豪ミハイル・コチュビンスキーが1911年に発表した小説を
セルゲイ・パラジャーノフとイワン・チェンディが脚色、
セルゲイ・パラジャーノフが監督した彼の長編代1作目「火の馬」。
1964年ソ連の作品。
撮影はユーリー・イリエンコ、音楽はM・スコリクが担当。
パラジャーノフはこの作品の発表によって脚光を浴び、同時に投獄される事になる。


ウクライナの南、カルパチア山地。
幼い主人公イワンコ・ペトリュクの兄が
雪深く暗い森の中で死亡する所からこの物語は始まる。
貧しいペトリュク家ではこうして子供達を次々と亡くしているのだ。
ある日、教会でのペトリュクは、仲が悪い金持ちのグデニュクを批判する。
それを聞いたグデニュクは怒り、持ち出した斧がペトリュクの頭上に!!!!!
ペトリュクの目には真っ赤な馬が映る…。

この事件で父親を亡くしたイワンコ(イワン・ミコライチュク)は、
仇であるグデニュク家の娘、
マリチカ・グデニュク(ラリサ・カドチニコワ)と大の仲良しに。
幼いイワンコにとっての父の死の記憶は薄れ、
成長した二人は当然のように愛し合うように…。
だがイワンコは貧しい。しかも両家は相変わらず不仲。
マリチカと結婚するらめに出稼ぎに出る。
ところが運命は残酷で、イワンコが恋しいマリチカは毎晩見る約束した星を見上げ、
夜の森をさまよい、高い崖から足をすべらせて亡くなってしまう。

恋人を亡くした抜け殻同然のイワンコは
村人の計らいでパラグナという娘と結婚しても、マリチカを忘れることは出来ない。
妻とのキスを拒み、マリチカを失った川の水にはキスをする。
イワン愛される事の無い妻パラグナ、パラグナに言い寄る男ユーラ…。
窓からイワンを見つめるマリチカの幻、
森で呼ぶマリチカの幻、そして彼…

心に残った彼等の歌。
「日に二度だけ私を思い出して 私は日に七度も叫んでいる
 その度ごとに リンゴの白い花が散っていた
 あんなに子供のときから 二人は愛しあっていた…」


子供の頃にじゃれて遊ぶ所から始まった恋。
春のウクライナの山々や森は暖かく、反する冬の厳しい寒さ。
全編にちりばめられ溢れる音楽、詩歌、不思議な民族的な儀式。
生まれた時からの現世では報われない恋愛を
どこかこれらが暗示しているかのよう。
それにしても、怒るとすぐ斧を持ち出し、頭を打つ…という習慣が、
そもそも良くないのでは…と思った。
そうすれば“火の馬”を見る事もないのに…。

以前、パラジャーノフ祭で唯一見逃した作品がこれだった。
DVD化されていたが、現在入手が困難(昨年まではまだ見かけていただけに残念!)
レンタル・ビデオで発見したので今回観る事が出来た。
これを観ずしてパラジャーノフは語れなかった…と深く反省。
80年代に発表する投獄後の作品とは違い、登場人物に素直に感情移入出来た。
この素晴らしい後世に残すべき映像作品をゼヒ再発売して欲しい。
ラストシーンの窓からのぞく8人子供達が印象的。

…追記
ついに2008/8/2特典映像もたっぷりのリマスター版が発売されました!
イワンコがイワンと表記が改訂されていたのはともかくさすがに映像も音声も良いですね!!
映像特典のタルコフスキーとのつながりをそれぞれの作品を比較しつつ描いた
ドキュメンタリーがなかなか興味深いものでした。
[映像特典]
・ドキュメンタリー「タルコフスキーとパラジャーノフ〈孤島〉」39分
・パラジャーノフに捧げた短編「歌」8分
・パラジャーノフのコラージュ作品など収録したフォトギャラリー
・「火の馬」フォトギャラリー
・予告編集
・フィルモグラフィー
[封入特典]
・「火の馬」アートカード3枚

B001A35TDY火の馬 プレミアム・エディション デジタル・リマスター版
イワン・ミコライチュク, ラリサ・カドーニチコワ, タチアナ・ベスタエワ, スペルタク・バガシヴィリ, セルゲイ・パラジャーノフ
コロムビアミュージックエンタテインメント
2008-08-02

by G-Tools

火の馬
イワン・ミコライチュク セルゲイ・パラジャーノフ


書籍
セルゲイ・パラジャーノフ
パトリック カザルス Patrick Cazals 永田 靖 永田 共子

■ 映画「ざくろの色 〜サヤト=ノヴァ〜」のレビューはこちら
■ 映画「スラム砦の伝説」のレビューはこちら
■ 映画「アシク・ケリブ」のレビューはこちら
 

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December 20, 2004

「アシク・ケリブ」

[DVD映画]★★★★☆

パラジャーノフの映像絵巻、これにて完結。

以前、「ざくろの色」という作品で熱く語ってしまったが、
それに続くセルゲイ・パラジャーノフ監督の遺作となった作品が
この1988年にグルジアで作られた「アシク・ケリブ」。
彼は親友のタルコフスキーにこの作品を捧げた。
原作はミハイル・レールモントフ、脚本はギーヤ・バドリッゼ、
撮影はアルベルト・ヤブリヤン、音楽をジャヴァンシル・クリエフが担当。

貧乏だが心の美しい吟遊詩人、アシク・ケリブ(ユーリー・ムゴヤン)と
金持ち領主の娘マグリ・メヘル(ヴェロニカ・メトニッゼ)は
もう、まさにラブラブ状態の恋仲である。
美しい花弁を捧げて求婚すれど、マグルの父は貧乏吟遊詩人との結婚を許さない。
そこで詩人は立派な男として戻って来ることを誓い、1000日間の旅に出る。
出掛けてすぐ、マグリへのもう一人の求婚者にハメられ、
アシク・ケリブは死んだと彼の母やマグルに伝えらた。
母はショックのあまり光を失い、
マグルはそれでも約束の1000日まで喪に服すと誓う。

この地方では『結婚式で吟遊詩人が歌う』事とされているらしく、
そして御礼が振舞われるのだ。
アシク・ケリブは神の導き?によって、あちらこちらの結婚式で歌い、
わらしべ長者のごとくどんどんゴージャスに変身してゆく。
もちろん、『ただの結婚式』ではない。
盲目のカップルだったり、戦争好きの王様だったり…、
色々な経験を重ね、優しいだけだったアシク・ケリブは、
外見だけでなく、内面も変貌してゆく…
そんな所へ、明日マグリが結婚するとの情報が。
さて、アシク・ケリブは!!!!!


随所に観られるグルジアのイコンや建造物、民族衣裳など、目をみはるばかり。
それとは対照的な広大な大地…。
パラジャーノフの絵画的な美しい作風はそのままで、
これにはちゃんと“吟遊詩人と富豪の娘の恋物語”というストーリーがあり、
ファンタジーとしても成立している。
美しく、もの悲しく、時にはコミカルでおかしく、そして何よりも愛に満ちた
パラジャーノフの作品の中で最も鑑賞しやすい作品だと思う。
マグルの父など、ほとんど京劇のようなメイクで喜劇役者ような演技である。
以前も書いたがこの監督は15年もの投獄の末、1990年に亡くなった。
彼が作った長篇は
火の馬」「ざくろの色」「スラム砦の伝説」「アシク・ケリブ
の4本のみなのだ(短編作品もまとめてDVD化して欲しいトコロ)。
かなり充実した「アシク・ケリブ」だけに、
この後の作品が無いのが本当に惜しまれる。

[映像特典]
・貴重なセルゲイ・パラジャーノフのドキュメントフィルムが約24分も収録。
・原作者:ミハイル・レールモントフのドキュメントフィルム。
・トレーラー「スラム砦の伝説」「ヴェリー地区のメロディ」
・スタッフ・キャストのフィルモグラフィ
・フォトアルバム
・ムガール音楽「吟遊詩人の歌」

と、なかなか豪華!!!
パラジャーノフが自分の作品や政治権力について語っている!
とにかく熱いオヤジだった。
DVD化を待っていて本当に良かった!
「スラム砦の伝説」も今回同時発売と嬉しい限り…。
こちらのレビューはしばし、お待ちを。


アシク・ケリブ(デジタル完全復元盤)
アシク・ケリブ(デジタル完全復元盤)

書籍

セルゲイ・パラジャーノフ
パトリック カザルス Patrick Cazals 永田 靖 永田 共子

■ 映画「火の馬」のレビューはこちら
■ 映画「ざくろの色 〜サヤト=ノヴァ〜」のレビューはこちら
■ 映画「スラム砦の伝説」のレビューはこちら
 

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November 06, 2004

「愛のコリーダ 完全ノーカット版」

[DVD映画]★★★★☆

昭和11年に起きた“阿部定事件"を題材にしたある意味究極のラブストーリー。
1976年制作でセックス表現が日本では十分に撮影出来ず、
脚本・監督の大島渚が、フランスのアナトール・ドーマンの協力を得て、
撮影は日本で行ない、フランスで編集し完成された。
1976年カンヌ国際映画祭で芸術作品として熱狂的な賛辞を受けながら、
過激な性愛描写から日本国内では大幅カットされた問題作。
これは2000年にやっと完全ノーカット版で
「愛のコリーダ2000」として公開された作品、「愛のコリーダ 完全ノーカット版」。
当時映画館へ観に行ったが、完全にのまれてしまい、言葉も出ずだった…。

昭和11年2月1日、東京中野の料亭「吉田屋」に
阿部定〈あべ さだ〉(松田英子)という
妙な色気のある女中が住み込みでやってきた。
定は吉田屋の主人吉蔵(藤竜也)に一目惚れしてしまい、
吉蔵も、水商売の歳月を重ねてきた定の小粋な色気に魅了され…
二人は夜更けの応接間や、早朝の離れ座敷などで密会を重ねていのだった。
ついにこの事が吉蔵の妻に知れてしまい、二人は駆け落ち。
最初は火遊びのつもりだった吉蔵も定の情熱に引きずられ、
果てしない愛欲の日々に浸り込んでゆき…

愛をひとりじめにするべく、
男性器を切り取るという猟奇的な"阿部定事件"を題材にしただけあり、
これはそりゃ当時の日本では大変な問題にもなると。
とにかく定役の松田英子の眼。
不思議な魅惑的な眼とタトゥ?が印象的。
フライヤーやパッケージにもなった包丁を口にくわえている図は怖いのなんの…。
ただ、背後にある『とにかく攻撃的で情熱的な愛』『普通に愛しても実らぬ愛』
『どこか悲しく死の影があるエロティシズム』そして…『究極の独占愛』
重い気分になると共に、
愛とは何か、性欲とは何か、夫婦とは何か、男とは?、女とは??????
と問われている気分にもなった。

愛のためには何でもやる、阿部定のような女には決してなれないが、
その背後にある若くして苦労を重ねた彼女の悲しい過去も
この事件の原因であったのかもと後になって思う。
それにしても痛くて重い映画だった。

愛のコリーダ 完全ノーカット版
愛のコリーダ 完全ノーカット版

淫花伝1 「阿部定」下巻 上村一夫完全版シリーズ
上村 一夫 戸川 昌子 岡崎 英生
4902800802

淫花伝1 「阿部定」上巻 上村一夫完全版シリーズ
上村 一夫 戸川 昌子 岡崎 英生
4902800799

コミックで「阿部定」の一生が読めます。
上村一夫の描く定は、ちょっと可愛らしいすっとぼけた所もある美女。

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September 30, 2004

「コールドマウンテン」

[DVD映画]★★★★★

『たった一度のキスで恋人を何年も待てるのか』

雑誌についていたプロモDVDを観て、こりゃどうかな〜と疑って
ミンゲラ監督ごめんなさい!
実際観て、これはありだと思ってしまった。妙なトコロで泣けた泣けた…。
チャールズ・フレイジャーの同名のベストセラー小説「コールドマウンテン」
(祖先の実話)を文芸ロマンの巨匠アンソニー・ミンゲラ監督が映像化。
2003年アメリカの作品「コールドマウンテン」

南北戦争末期の1864年。
南軍兵士としてヴァージニア州の戦場に出征したインマン(ジュード・ロウ)は、
一緒に戦場に向かった仲間も失い、瀕死の重傷を負い、病院に収容される。
回復を待つインマンの脳裏に浮かぶのは、故郷のコールドマウンテン…
出征前にただ一度だけキス交わした恋人エイダ(ニコール・キッドマン)。
看護婦に読んでもらったエイダの手紙と日々の戦闘=殺人に疑問を感じるインマンは
彼女に会うべく、脱走兵として死罪に問われるのを覚悟の上、
500キロにも及ぶ故郷、コールドマウンテンへをひたすら目指すのであった。

インマンの帰りを待つ間に父を亡くしてしまった浮き世離れしたエイダは、
生活力も無く、明日の食べ物にも事欠くほどの窮地に追い詰められていた。
そんな荒れ果てた彼女の家にに近所のサリーが、
流れ者のルビー(レニー・ゼルウィガー)を送り込み、
この地で生き抜く術=労働を教え、
ルビーはまたエイダから文学や音楽や恋愛について学んでゆくのであった。
街は義勇軍によって若い男がいないのをいい事に、すさんでゆく一方。
脱走兵による処罰もどんどんエスカレート。
そこへひょっこり、フィドル弾きのルビーの父親がやって来て、
事体は思わぬ方向へ…

とにかくその壮大さに圧倒される。制作期間4年ほど。
ルーマニアの1800年代そのままの山村地帯に農場や街を作ったらしい。
戦闘シーンの木々もイメージどおりにするために植えたそう。
チャールストンには種をまきとうもろこし畑までも。
ミンゲラ監督らしいこだわりで、
あるシーンはルーマニア、次のつながったシーンは実はアメリカ。
部屋の中だけ駅の一室などなど、
監督の頭の中のシーンをあらゆる手法を駆使して撮影したようだ。
撮影前に音楽も準備したらしい。だからしっくりハマるのか。
冒頭から伏線がたくさんひかれているので、
1度目はひたすら物語にひたり、2度目はコメンタリーを聞きながら、
伏線を発見しつつ撮影ウラ話しを聞くのが楽しい。

ジュード・ロウの素直な演技、
『ザ・女優』ニコール・キッドマンにもってこいの演技、
レニー・ゼルウィガーの『職人芸』的演技もいい。
登場人物全てのキャラクターがいきている。
個人的には義勇軍のティーグやポジーのキレキャラが気になった。

さて、インマンとエイダの『純愛』の行方は???。
途中、幾度も危機や誘惑がありながらも
お互いの『鉄版写真』を眺め思いを馳せながら、
ひたすら歩き続けるインマンと、たくましく生活しながら待ち続けるエイダ。
監督曰く、現代からは想像も出来ない事だ。
ただし、この時代を考えると大いにあり得ると。
ええ〜?現代でも意外とありそうですよ。
逆に熱烈なキスだけだったから、相手を美化して思い焦がれたのでは?
と思ってしまったわけである。
戦争&文通&写真。これが彼等の『純愛』にとって曲者だった。
だからこそ、燃え上がり信じあえたのだ。
それにしても、脱走兵って相当いたんですね…。

コールドマウンテン
コールドマウンテン

コールドマウンテン コレクターズ・エディション

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September 26, 2004

「アメリ」

[DVD映画]★★★★★

不器用な〈変態〉さんの純愛ストーリー「アメリ」
「デリカテッセン」「ロスト・チルドレン」「エイリアン4」
フランスの変態監督ジャン・ピエールジュネによる、2001年フランスの作品。
配給はもちろんアルバトロス♪。

公開初日は劇場へ、(あの、証明写真のボックスが劇場に!)
セルDVDは予約し購入(ヘヴィーユースしとります)
今さらだけれど、久々観たらやっぱり良いのでちょいと熱く語ってみようかと。

オープニングからして小ネタだらけ。
アメリ・プーランのおいたち、曲がった性格構築、
空想癖へのなれそめのオンパレード!!。
心臓病と誤診され、学校に行かず孤独だったアメリ(オドレイ・トトゥ)は、
どんどん自分の空想の世界を広げていく…。
空の雲はウサギやクマに。意識の戻らない隣人をも自由に寝起きさせ…。
どうも自分を騙した?人にさりげなく小さな復讐をするのも、子供の頃から。
そして、それは大人になってパリのカフェで働き始めてからも、
続いている…。

40年前にアメリの部屋に住んでいた子供へ宝箱を返し、
喜んでもらえたら自分の世界の外へ出る!と決意。
これに味をしめた彼女は、
人々に『ちょっとした幸せ』をこっそり与えて楽しむように。

そして、地下鉄の駅にある証明写真の下の失敗写真をコレクションする
収集癖のある夢想家ニノ(マチュー・カソヴィッツ)との衝撃の出会い。
これが、アメリの初恋?である!
曲がった性格の〈変態〉同志の恋愛が、
可愛らしく、おしゃれに、面白おかしく淡々と共感しあってゆく様子が
赤とグリーンを基調とした画面で素晴らしく繊細に描かれてゆく…。
彼等の曲がった恋愛の結末は???

悲しむアメリが水になって溶けてしまうトコロ。
悩んで疲れて眠るアメリの事をベッドルームの犬と鳥の『絵』達が心配して、
「アメリは恋をしているのかな?」と
ライト・スタンドの豚が自らライトを消してあげるトコロが、とても好き。
意地悪なヤツにこっそり復讐する彼女も好き。
(でも、アメリのやっている事は、犯罪ですから、決してまねをしないように!!!)
オクテで引っ込み思案だったり、内気で独り遊びが上手だったりした方には
かなり共感できる作品。
アメリの「いたずら」で人々がちょっぴりだけ「幸せ」になるのがいいですね〜
 
アメリ
アメリ
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この映画のヒットには音楽の素晴らしさも一因あり。
未だに色々なトコロで使われています。
ちょっとノスタルジックでセツなく優しいアメリのサントラ


アメリ
サントラ
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アメリのキュートなノヴェライズ


アメリ
イポリト ベルナール Hipolito Bernard

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September 14, 2004

「イングリッシュ・ペイシェント」

[DVD映画]★★★★☆

イングリッシュ・ペイシェント(イギリス人の患者)という
タイトルからは想像出来ない、深く悲しい砂漠の恋の物語。
原作はマイケル・オンダーチェのブッカー賞受賞作品っである
「イギリス人の患者」(新潮文庫)。
監督、はいよいよ9/15にDVDが発売される「コールド・マウンテン」
「リプリー」などのアンソニー・ミンゲラ
「イングリッシュ・ペイシェント」は作品賞をはじめ
アカデミー9部門を独占した傑作。1996年アメリカの作品。

オープニングの濃いオレンジ色の画面に筆が走る。
黒い筆で描かれていているのは、プリミティブ(原始的)な人物…模様??
優しいタッチで少しずつ筆はなでては描いてゆく…。
そして同じ色合いのコントラストの砂漠に小型機が飛ぶ…。
乗っているのは男女。女性はピクリともしない。
男性は悲しげだがどこか満足げに見える。
それを地上から狙う軍人達…。撃墜。墜落。炎上。うめき声。

第2次世界大戦中のサハラ砂漠で撃墜されたその小型機から救出されたのは、
全身に大火傷を負った男。記憶を失ったその男は、
イングリッシュ・ペイシェント(イギリス人の患者)として移送され、
廃墟と化した修道院で、彼氏を地雷で失った従軍看護婦
ハナ(ジュリエット・ビノシュ)の手厚い看護を受けるのだ。
男の名前はアルマシー(レイフ・ファインズ)。
彼が肌身離さず持っているヘロドトスの本に挟まれた写真や手紙によって
男は少しずつ記憶を取り戻す。
それは彼にとっての永遠の愛。
でも友人の妻であるキャサリン(クリスティン・スコット=トーマス)との
熱く、激しく、悲しい過去であった。

全編がガブリエル・ヤーレの音楽に包まれる。
人はどうして愛してはいけない人と愛しあってしまうのか。
それで、多くの人が不幸になろうとも…。
火傷で顔が崩れ体もボロボロになってしまったアルマシー。
それでも、彼はどこか満足そうだ。

オープニングの絵は、サハラの洞窟の壁画の模写。
おそらくはキャサリンの絵筆なのだろうか…。
愛してしまった秘密の恋人へむけての…。
でも、彼女のように恋人アルマシーの帰りを待ちながら、
暗闇で寒さでこごえて独りで死んで行くのは、あまりにも寂しすぎる。
同じ罪のアルマシーは彼女の思い出に包まれて最後を遂げる。
彼等は最後まで恋人を想いながら死んでゆくのだ。

これにアルマシーを見守るハナの新しい恋や
かつての仲間カラヴァッジョ(ウイリアム・デフォー)の
エピソードがうまく絡んで物語の全貌は明らかになる。
回想という方法をとりながら、素晴らしく完成された映画になっているのがニクイ。
孤独なアルマシーが人妻に恋してしまってこの悲恋は始まったのだが、
彼にとっては満足な一生だったに違いない。
自分がそんな恋愛を出来るタイプではないのだが、何となくそう感じてしまう。
少なくとも彼等はこの人生を後悔はしていないはず…。

イングリッシュ・ペイシェント
イングリッシュ・ペイシェント
 

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September 13, 2004

「ことの終わり」

[DVD映画]★★☆☆☆

この手の愛と無縁なタイプゆえ、理解出来なかった…。
まだまだですな〜。
そんな大人の?ドラマ「ことの終わり」
原作は,グレアム・グリーン「情事の終り」(新潮文庫)で、
かつてデボラ・カーで映画化されている。
監督は「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」などのニール・ジョーダン。
1999年の米英作品。

1946年、ロンドン。作家のモーリス・ベンドリックス(レイフ・ファインズ)は
2年ぶりに隣人ヘンリー・マイルズ(スティーヴン・レイ)と雨の公演で出会う。
ヘンリーは妻のサラ(ジュリアン・ムーア)がだれかと浮気していると疑っていた。
だが、2年前の第二次大戦の間、モーリスとサラは密かに愛を交わしていた過去があったのだ。
新たな浮気相手とは誰か?嫉妬心の芽生えたモーリスは探偵に調査を依頼する。
探偵事務所の調査員親子からは彼女の日記と共に
「自宅で男と一緒にいた」「ある家から2時間も出てこなかった」などという情報が入る…。
そして、その男とは…。

1944年6月にロンドンが空襲を受けた日にモーリスの部屋で密会していた二人。
爆風で吹き飛ばされたのだが、『奇跡的』に助かったモーリス。
その時に「愛は終わらない。たとえ2度と会うことがなくても。」と、
謎の言葉を残してサラは彼の前から去ったのだった。
モーリスが気絶していた間の出来事でことの真相が明らかになる。

ジュリアン・ムーアのなんともいえない色っぽさ。
冷静さと激しい情熱の両方のオーラがある。子供っぽい表情から年増の魅力まで。
ただし、これがいたって生真面目なのだ。だからややこしい。
これに、男達は翻弄されるんですな。
そして『不倫の愛』から『神の奇跡』へとテーマが移ってゆく…。
なんとなく違和感を覚えるんですな〜。ここで。
時代背景もあるのだが、不倫をしておきながら神の許しを乞う人妻、
そして、『奇跡』。納得出来ない部分は多い。
ただし、レイフ・ファインズ演じるモーリスには感情移入できる。
だってまさか、誰もそんな事とは思わないしょう!!!
ねえ、モーリスさん!

ことの終わり
ことの終わり
 

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August 22, 2004

「美女と野獣」

[DVD映画]★★★★☆

これもジャン・コクトーの映画監督作品。原作はルプランス・ド・ ボーモン婦人。
ディズニーさんのアニメも良かったが、これは全く違った幻想的な美しさがある。
1946年フランスの作品で、戦後日本で公開されたフランス映画封切り第1作目!!
そんな時代の「美女と野獣」…。

船が沈んで破産した商家の美しい末娘ベルは父を思い、家のために働く。
意地悪な姉二人は未だに贅沢放題で働きもしない。
優しい兄もダメ男で借金を作るわ、使用人たちまでダメダメ…。
その兄の友の色男アヴナンに求婚されるが、父のそばにいてあげたいゆえに断るベル。
なんとか残った船の荷で乗り切ろうと港へむかった父親だったが
荷物は全て無くなっていた。失意のもと、家路を急ぐ父親は不思議な城へ迷い込む…。

誰もいないその城の中を進むと、
壁から生えた手が持つ燭台に、次々と明かりがつき、
その手は行くべき方向を指差してくれ、
テーブルから手が生えて、彼に給仕をしてくれる。
あちこちにいる胸像や銅像たちは眠りこんだ彼を見守る。
まるで生きているかのように…。
朝になり、獣の声で目覚めた父親は城の中でバラを見つける。
ベルにお土産に一輪のバラをたのまれていた父親は、思わず一輪折ってしまう。
そのバラは『野獣』が一番大切にしていたものだったのだ。
それを『醜い野獣の顔をした生き物』に見つかってしまい、
野獣は1輪のバラのかわりに娘を1人差し出すように迫る。
さもなければ、父親自身が命を失うと。

帰ってきた父のためにベルが城へ行くことに。
白馬マニフェックに乗って『野獣』の待つ城へ…
父が通ったあの回廊、壁から生えた手が持つ燭台、そして美しく揺れるカーテン…。
彼女の部屋へと導かれたベルに、彼女の家具達は話しかける。
どうやら彼女は歓迎されているらしい。

そして、醜い野獣は美しいベルに言う。
醜い姿をベルには見せない。毎日7時に夕食の時に表れて、質問をするだけだと。
「私の妻になってくれないか?」
最初は顔を見て気絶するくらい恐れていたベルだったが、
そのうち、親切な『野獣』に心が動き出す…

とにかく城の中の不思議で幻想的なシーンが美しい!!
特に、スローモーションの使い方が上手くて、これからどうなるのかドキドキ…。
手や像たちの表情はなるほど、まるで魔法をかけられた召し使い達のよう。
各所に出てくる『布』の使い方もステキ。

尚、主演のジャン・マレーが、「色男のアヴナン」「野獣」=「王子」の三役?
を演じてます。愛情ありすぎ…!!
最後の「王子」はぷっと笑ってしまえる程濃い顔の「王子」!
『野獣』の顔もどこかファニーでなんとなく笑えるユルさが好きですね〜。
ラストシーンのオチには、つっこみ入れたくなりますが
『おとぎばなし』として、この映画は楽しんだほうが良いかと。
「コクトー詩集」を読むとコクトーさんの自愛具合が理解出来ます…。

美女と野獣
美女と野獣
 

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August 21, 2004

「オルフェ」

[VIDEO映画]★★★★☆

詩人であり画家、そして監督でもある芸術家、ジャン・コクトーの「オルフェ」
1949年フランスのモノクロ作品。

また、オルフェかと思わないで下さい。
先日の「黒いオルフェ」と同じ『オルフェウス』神話を題材にしたものですが、
全く違った解釈。(ワシ的には不思議な昼メロとでもしておこう)
これは時代も古いし、コクトーさんだし、ちょいとユルくてワシは大好き!
映画の冒頭でコメントがあるようにこれは「伝説は時代と関係ない」題材なのである。

最近はちょっとダメ気味の詩人で有名人の伊達男、オルフェ(ジャン・マーレー)は
『詩人のカフェ』で黒づくめの美しい女(マリア・カザレス)と出会う。
店内でのちょっとした乱闘がはじまり、
彼女の連れで詩人セジュスト(エデュアール・デルミット)は
店の前で不審なオートバイにひかれて死ぬ。
そして彼女は死んだセジェストとオルフェを黒い車にのせ、
セジェストをひいたオートバイと共に
郊外の道をひたすら走らせるのだ…。

車の中でラジオが流れ続ける。
断片的な、詩のような…。
「沈黙は後退する…くり返す…沈黙は後退する…。
 コップ1杯の水が世界を明るくする…
 くり返す…コップ1杯の水が世界を明るくする…」
オルフェはそれが気になって仕方がない。

町はずれの家に着いたところで、彼女は『死神』だとオルフェに言う。
そして、死んだセジュストを下僕としてあやつり、鏡の中に姿を消してしまう。
どうやら『死神』は鏡を通してあの世とこの世の中間を行き来しているらしい。
この光景を目にしたオルフェは『死神』に心を奪われてしまうのだ。

オルフェの家では妊婦の妻ユリディス(マリー・デア)が、
気が狂わんばかりに待っていた。
女と一緒に消息不明だったので、警察や友人と共にずっと捜索していたのだ。
そこへ、オルフェが『死神』の運転手=ウルトビーズ(フランソワ・ペリエ)と共に
あの、黒い車でひょっこりと帰って来る。
しかし、彼の心は『死神』とあの意味不明なラジオの放送に釘付け。
それは、ユリディスが死に直面していても同じだったのだ…。

さすがにユリディスの死体を見てショック受け、
「妻に会いたい」とつぶやくオルフェ。
そんな彼にウルトビーズが尋ねる。
「会いたいのは『死神』?それとも奥さん??」
オルフェは答える
「両方だ」(←ええっ???)
ともかく、『死神』の運転手とオルフェは
ユリディスを取りかえしに行きつつ、『死神』に会いにも行く事になる…。

冥界との出入り口は鏡。
『死神』の手下は黒いオートバイに乗った冥界の警察??
『死神』は詩人好きのオルフェに恋をしてしまった美女。
という設定。
オルフェもどうやら『死神』に恋。でも妻も大切(←おいおい…)
この映画でのユリディスの立場の無さといったら…。(←セジュストの立場も…)
『死神』はオルフェを独り占めしたいがゆえにユリディスを死に追いやったのか?
そしてウルトビーズは不幸な人妻ユリディスに恋…。(←涙)
なんか昼メロみたい…でも忠実なウルトビーズには大変好感持てます。
そして、冥界の審判で、
『ユリディスは生き返るが、オルフェは決してその姿を見てはいけない事が条件』
と言われる。おっ!やっと「オルフェウス」神話っぽくなったと思いきや!!
なんと、冥界から帰った後も『一緒に生活しながら、見てはいけない』という判決。
なんじゃそりゃあ…!!

更に、ラストのいきなりの意外な展開はあっけにとられることうけあい…。

この映画の見所はモノクロ時代の特殊効果。
鏡に入ってゆくシーン、冥界での不思議な動き、フィルムの逆回転など、
知恵をこらして工夫して作ったのがわかるのだが、さすがジャン・コクトー!
ビミョーなタイミングでセンスよく仕上げてます。
あと、ジャン・マーレーの濃すぎる顔と存在感。
彼への愛情たっぷりです♪
ところで、俳優の渡辺裕之さんってジャン・マーレー似だと思うんですが、
ワタシだけ???

オルフェ
オルフェ
 

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August 20, 2004

「黒いオルフェ」

[DVD映画]★★★★☆

最近リメイクされたらしい「黒いオルフェ」のオリジナル版。
しかも、ワタシが観たのはフランス語だったが、
検索してみるとポルトガル語バージョンが出ているらしい。
監督はマルセル・カミュ。1959年仏・ブラジル合作。
これから夏にかけてよく耳にするアントニオ・カルロス・ジョビン、ルイス・ボンファ
による主題歌、挿入歌が心に染みる…。

カーニバルの準備で騒がしいリオの街で、
市電の運転手でギターと歌の名手、オルフェと
田舎から出てきたばかりの美しい少女ユーリディスは出会い、
運命に導かれるがごとく恋に落ちてしまう。
だが、カーニバルの当日、オルフェの婚約者ミラがユーリディスに嫉妬し、
彼女を傷つけてしまい、ユーリディスは独りカーニバルの街をさまようことに…
そんな彼女には謎の"死の仮面"の男の影がつきまとっていたのであった…。

ギリシャ神話のオルフェ伝説を、リオのカーニバルを舞台にして
生と死、悲恋と永遠の愛を描いた傑作である。

褐色の肌に栄える鮮やかな色彩の衣裳とカーニバルの激しいサンバのリズム、
そして、静かにオルフェのつま弾くギターの音色、ボサノバの調べが印象的。
カーニバルの動と少し入った路地の静けさ、
明と暗、動と静、こういった対比や"死の仮面"の男の影によって、
生と死は背中合わせ、身近にいるものだと知るのである。
そして、悲恋は永遠の愛となる…。

市電の車庫が出て来たり、病院や警察が霊界に見立てられていたり、
設定が斬新でちょっとユルくてワシはけっこう楽しめた。
俳優さんはほとんどが現地オーディションの素人さんたち。
彼等の笑顔は最高!!。

ちなみにこの映画を知ったのは、
阿刀田高著「ギリシア神話を知っていますか」(新潮文庫)
で、紹介されていたから。
この本かなり優しく面白くギリシャ神話をかみくだいているので、
『ギリシャ神話』入門者にはおススメ。
上級者にはちょいと物足りないかも…。

黒いオルフェ(ポルトガル語版)
黒いオルフェ(ポルトガル語版)
 

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August 13, 2004

「ジョゼと虎と魚たち」

[DVD映画]★★★★★

妻夫木聡と池脇千鶴主演の2003年の話題作映画「ジョゼと虎と魚たち」がDVDに。
監督は犬童一心。
原作は田辺聖子の同名小説「ジョゼと虎と魚たち」
エンディングのくるりの曲「ハイウェイ」がじんとしみる。

オープニングは恒夫(妻夫木聡)が語るジョゼ(池脇千鶴)との冬の旅の回想シーン。
そして、色彩は明るいが、どこか痛々しい大阪の街のイメージ画…。
あ、D[di:]さんの絵だ。思わず、ワシはフリ〜ズ。そして、流れ出て来る関西弁!
ずっぽりと、はまってしまった…。

恒夫のバイト先の雀荘でウワサになっていた老女(新屋英子)。
バイト帰りの彼が出会ったまさにその老女の乳母車の中にいた、包丁を振り回す少女。
これが、くみ子=ジョゼだった。
そして彼女と老女の家で朝食を御馳走になり、
この老女のように話す足の不自由な少女にどんどんひかれてゆく…。

この恒夫の若いゆえの好奇心、正直さゆえの残酷さ、
そして優しさゆえのダメっぷりがいい。
一人で歩けないので押し入れの中で、本を読む生活。
外界、特に同年代との交流が少なく、どこか大人びた(というより老人くさい?)
自分をジョゼと名乗る少女。
弱さを押し殺し、いつも強がって大人ぶっている姿がたくましくも痛々しい。
そんなジョゼを愛しはじめる恒夫だったが、
ハンサムで優しい彼はあっちへフラフラ、こっちへフラフラ…。
そんな恒夫をなぜか解っていながら、愛しはじめるのだ。
好きな男と寝る時の幸せな顔。

とことん素直にさらけ出してしまう男と、とことん素直になれない女の恋愛。

そして、二人は旅に出た。
オープニングのあの、旅に…。

曲がった学生時代を過ごしたワタシとは、かなり縁遠い話であったが、
ジョゼの気持ちはよくわかる。誰にも素直になれなかった頃。
押し入れの中で寝ていた頃。本ばかり読んでいた頃…。そして強い…。セツない…。

池脇千鶴の演技はすごい!少女から大人まで、こんなに顔が変わるのか!!
妻夫木くんはあくまでも自然体…。よくもこんなに普通〜な演技が出来るものだ。
そして「青い春」の時も良かったが、
ちょいと出て来る新井浩文があまりにもハマリすぎで笑える。
「いてもうたるぞぉ〜ボケッ」なんだか憎めないこの言葉。
上野樹里演じる妻夫木くんの彼女は、ワシが最も苦手とするタイプ。
あ〜あんな女いたな〜なんて…。可愛らしくて真直ぐで、
必要以上に親切な…やな女!
新屋英子さんの怪演っぷり!優しいおばあ…いいなあ。あんなおばあ!


ジョゼと虎と魚たち 特別版 (初回限定生産2枚組)
ジョゼと虎と魚たち 特別版 (初回限定生産2枚組)
犬童一心

ジョゼと虎と魚たち
ジョゼと虎と魚たち 通常版
犬童一心


ジョゼと虎と魚たち(Oirginal Sound Track)
サントラ くるり 岸田繁

■ 小説『ジョゼと虎と魚たち』のレビューはこちら
■ D[di:]さんの作品のレビューはこちら
 

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