8 posts categorized "●戦争系"

September 01, 2007

「アトミック・カフェ」

[TV放映映画]★★★★☆

原水爆のPRフィルムや軍用フィルム
当時のニュース、アニメーションなどを
淡々とつなぎ合わせたドキュメンタリー作品。

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「アトミック・カフェ」
原題:THE ATOMIC CAFE

製作国:アメリカ(1982年)
監督:ケヴィン・ラファティ/ジェーン・ローダー/ピアース・ラファティ
製作:ケヴィン・ラファティ/ジェーン・ローダー/ピアース・ラファティ
音楽:リチャード・バス/デヴィッド・ダナウェイ/リチャード・ウルフ

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この時期よく深夜放映していて何度も観たけれど
いやはやその無知さと身勝手さといったら…
こういった映像は日本も含めどの国も同じだと思いますが
1940〜1950年代のプロパガンダ映画達には呆れるばかり…

冷戦という言葉すら、懐かしかったりする最近
核の恐怖がゼロになったわけでもなく
逆にテロという流れになっただけですから。
核兵器はまだ存在しているのだし
核について正しい知識を言及してもらいたかったですね。
それにしても真面目に作られたフィルムだけに痛烈。
ピカッと光ったらさっと隠れる
それだけで回避できるわけ無いでしょうに…。

B00069LUL8アトミック・カフェ
ケヴィン・ラファティ; ジェーン・ローダー; ピアース・ラファティ
竹書房 2004-12-17

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July 04, 2007

「麦の穂をゆらす風」

[DVD映画]★★★★☆

アイルランド独立戦争を通して描かれるのは
ある意味普遍的な戦争の情景であり普通の人々個々の感情。
だからこそ、人の心に語りかけるのかもしれない。

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「麦の穂をゆらす風」

製作国:イギリス/アイルランド/ドイツ/イタリア/スペイン(2006)
監督:ケン・ローチ
脚本:ポール・ラヴァーティ
音楽:ジョージ・フェントン

デミアン(キリアン・マーフィ)
テディ(ポードリック・ディレーニー)
ダン(リーアム・カニンガム)
シネード(オーラ・フィッツジェラルド)
ペギー(メアリー・オリオーダン)

「麦の穂をゆらす風」オフィシャル・サイト
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戦争、紛争、ゲリラ線…
1920年のアイルランド独立戦争をとおして見えてくるのは
現在も続いている人間の悲しい本能と愛情の深さと脆さ。
これらが庶民の目を通してストレートに描かれるので
どうしようもないもどかしさが心に響く。

アイルランドの片田舎の農家ではじまりそして終わるのだが、
その間に起きた悲惨な出来事の数々…
戦争だから…それだけで片付けてはいけない
重い悲しい何ともいえないもどかしさが胸をしめつける。
1919〜1921年のアイルランド独立戦争を
1920年のある日から、とある兄弟の目線で丹念に描いている。

アイルランドへの英国の侵略に対抗するゲリラ戦。
少しもの寂しいけれど美しい緑の中で銃を構えて訓練する
農民や少年などの若い一般庶民で結成されている
アイルランド義勇軍〜アイルランド共和軍(IRA)達の姿。
犠牲になりながらも彼らを支え家を守り、強く立ち向かう女性達。

一機関士であったダンと出会ったあの事件。
戦争から逃げて医者になるはずだったデミアンが
幼馴染みを裏切り者として処刑したり
元同胞と闘わねばならなくなった経緯は
運命にしても悲しすぎる。
皆で投獄された時、代表者である「テディ・オドノヴァンは誰か?」と
英国軍に問われた時、すかさず「自分だ」と答えたデミアンだったのに…
仲間を裏切る事…真面目なデミアンの苦悩。
兄テディとの意識のずれが、更に弟の運命を変える…

野山の広がるアイルランド南部の町、コークを舞台に
時代に翻弄された兄弟を中心に
淡々と身近なエピソードとしてアイルランド独立戦争が描かれる。
休戦、そして、念願のイギリス・アイルランド条約。
だが、この時の条約による北アイルランドの帰属問題により
その後の革命運動を二分し新たな闘いを生み
さらにその後何十年もの間IRAは
形を変えいくつもの派閥に分裂しながら
現在も組織は存在している…

冒頭で村人達が可哀想なミホールのために歌った
映画のタイトルでもあるアイリッシュトラッドの曲
“THE WIND THAT SHAKES THE BARLEY”(麦の穂をゆらす風)
これを観終った後に再び歌詞を確認しつつ聴いてみると
自分の腕の中で恋人を失った、若い兵士の詩なのだ。
祖国のための闘い、恋人の死への恨みの闘い…
何ともいえない苦しみが、美しいメロディと共に流れ出る。

アイルランド人もイギリス人も他の国の人達も
個々では誰も闘いたいわけでも裏切りたいわけでもない。
そうしなければしょうがない状況
自分や家族や同胞が守れないから
命を落とした者に顔向けができないから
若い世代の未来が見えないから…なのだ。
この映画には戦争や人間の本質を問われている気がした。

世界中でくり返されている戦争や紛争
そして近年の数多くのテロ事件…
85年も前の事件だが、現在にまだまだ繋がっているのだ。
カンヌでパルムドール賞をとったの
井筒監督大絶賛(笑)もうなずける。
知っているようで知らなかったアイルランドの歴史。
ちなみに役者さん達は皆アイルランドにゆかりのある人達。
キリアン・マーフィーの変化してゆく切ない瞳がとても印象的であった。

B000NIVIPA麦の穂をゆらす風 プレミアム・エディション
キリアン・マーフィー ケン・ローチ ポードリック・ディレーニー
ジェネオン エンタテインメント 2007-04-25

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July 03, 2007

「ジャーヘッド」

[DVD映画]★★★☆☆

介入戦争の虚しさを描いた異色の戦争映画。
若い兵士達の青春に大きな穴を開けたのは
湾岸戦争のとある1ページにすぎない。

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「ジャーヘッド」

制作国:アメリカ(2005)
監督:サム・メンデス
原作:アンソニー・スオフォード
   『ジャーヘッド アメリカ海兵隊員の告白』(アスペクト)
脚本:ウィリアム・D・ブロイルズ・Jr
撮影:ジャー・ディーキンス
音楽:トーマス・ニューマン

出演:
アンソニー・スオフォード(ジェイク・ギレンホール)
アレン・トロイ(ピーター・サースガード)
クリス・クルーガー(ルーカス・ブラック)
カジンスキー中佐(クリス・クーパー)
サイクス三等曹長(ジェイミー・フォックス)

「ジャーヘッド」オフィシャルサイト(英語)

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とにかく虚しい…そんな気分になるこの映画。
ワタシの大好きなジェイク・ギレンホール君主演の
異色の戦争…いや青春映画とも言えるかも。

見た目がジャーに似ているという、海兵隊のヘア。
そして頭の中が空っぽで虚しい…という意味も。

上官や仲間うちでのいじめ、
仲間を失うような厳しい訓練をし、
狙撃兵になったアンソニー。
だが、明日死ぬかも知れぬ彼らのする事といったら
自慰や馬鹿騒ぎばかり…
ごく普通の青年だった彼はいつしかシューティングにはまり
いつか人を撃ちたい、敵を殺したいと願うようになった。
だが湾岸戦争の前線に居た彼は
1発も銃を撃たずして無事に帰還。

敵ではなく味方に攻撃される。
目の前の敵を撃ってはいけないと命令される。
生と死の背中合わせなのに、馬鹿騒ぎの日々。
自分達は何のために闘っているのか?
何のために訓練してきたのか?
何のためにこの戦場に存在しているのか?
若い兵士のアイデンティティは崩れてゆく…
映画の中で『地獄の黙示録』の映像や音楽が多用されるのは
そう…ベトナム戦争の頃と何も変わっていないのだ。

彼らはそういった経験をしてまた元の生活に戻って行った。
でも、銃を握った感触は忘れず、心は戦地に置いたまま…

戦争はとても愚かで虚しい。
平和な生活に戻った若い兵士の心にもポカリと穴を開けてしまう。
ジェイクくんの大きな青い吸い込まれそうな瞳を観ていると
そう思えてならないそんな映画だった。
介入戦争やテロに巻き込まれたりと
徴兵制の無い日本だからこそ、色々考えてしまう。
とても虚しく…そして少し国家というものが怖くなる。

B000F6IL14ジャーヘッド プレミアム・エディション
ジェイク・ギレンホール サム・メンデス ジェイミー・フォックス
ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン 2006-07-28

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映画『ジャーヘッド』オリジナル・サウンドトラック
サントラ ボビー・マクファーリン
B000CSUWLM

ジャーヘッド-アメリカ海兵隊員の告白
アンソニー・スオフォード 中谷 和男
475720972X


「ドニー・ダーコ」でファンになったのですが
ずいぶんおっさんになってきたジェイクくん。
でもやっぱり気になる存在です。

■映画「ドニー・ダーコ」レビュー

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June 29, 2007

「トンマッコルへようこそ」

[DVD映画]★★★★☆

人間の愚かさと笑顔の力強さを教えてくれる韓国の戦争ファンタジー作品。
美しく印象的なシーンにジブリアニメの影響を色濃く感じる。

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「トンマッコルへようこそ」

製作:韓国(2005)
監督:パク・クァンヒョン
原作・脚本:チャン・ジン
音楽:久石譲

ピョ・ヒョンチョル(シン・ハギュン)
リ・スファ(チョン・ジェヨン)
ヨイル(カン・ヘジョン)
チャン・ヨンヒ(イム・ハリョン)
ムン・サンサン(ソ・ジェギョン)
スミス(スティーヴ・テシュラー)
ソ・テッキ(リュ・ドックァン)
村長(チョン・ジェジン)
キム先生(チョ・ドッキョン)
ドング(クォン・オミン)

→「トンマッコルへようこそ」オフィシャルサイト
トンマッコルはこんな村♪

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森や山や空や戦闘機、軍人と不思議な少女。
テーマといい、音楽といい、映像といい、
まるでジブリ映画を観ているようなファンタジー。
道ばたにいる人形とか千と千尋みたい。
音楽が久石さんだし…しょうがないけど
とにかくテーマ曲が耳に残るのはさすが。

朝鮮の南北戦争当時が舞台なので
ちょっととっつきにくいのと
下妻的ベタでマンガチックな合成やスローモーションは
好き嫌いがあると思うが
ワタシは結構好きなので楽しめた。
イノシシ事件はひっぱりまくる。

トンマッコル…無垢で子供のような
のほほんとした村人達がとにかく魅力的。
軍人達はこの村人にかかると
敵も味方もありゃしないし、国籍も関係ない。
本来の人間の生活、山麓での日常生活に戻ってゆく…

でもそこにも忍び寄る戦争の影。
闘いに巻き込まれて命を失う大勢の者達…
空から落ちてくる弾頭の雨…
戦争の悲惨さを辛辣に描いているのに
美しく良い話に思えるのが
この映画の不思議なところ。
人間の醜い部分と共に、人間の素晴らしさと強さを
猛烈に強調しているからかもしれない…
妙に心が洗われる物語であった。

髪に野の花をつけて笑うヨイルちゃんの顔は
忘れられないよ…。

B000J6HYPOトンマッコルへようこそ
シン・ハギュン パク・クァンヒョン チョン・ジェヨン
日活 2007-03-02

by G-Tools

「トンマッコルへようこそ」オリジナル・サウンドトラック
久石譲
B000HOJE38

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March 31, 2005

「ブラザーフッド」

[DVD映画]★★★★☆

正直、愕然とした。
強烈な戦場の地獄絵図。敵も見方もごちゃまぜの肉弾戦が目の前で繰り広げられる様。
プラトーン」とかあちら系の戦争映画に近い映像に仕上がっていた。
とにかく戦争の醜い実体、狂気、悲惨さ、が伝わってくる作品「ブラザーフッド」。

監督は「シュリ」のカン・ジェギュ
出演は「友へ/チング」のチャン・ドンゴン
日韓合作ドラマ「フレンズ」で深田恭子と共演したウォンビン
先日惜しくも亡くなった「バンジージャンプをする」のイ・ウンジュ
ラスト・プレゼント」のコン・ヒョンジン
オールド・ボーイ」のチェ・ミンシク、「火山高」の不良高校生キム・スロなど。
2004年、韓国本国でも大ヒットした。

1950年、ソウル。
家族想いの靴磨きジンテ(チャン・ドンゴン)と
高校生のジンソク(ウォンビン)兄弟は、そば屋を営む母親を支え、
ジンテの婚約者ヨンシン(イ・ウンジュ)とその弟妹と共に、
貧しいながらも平和に暮らしていた。

6月25日朝鮮戦争勃発。家族はソウルから避難していたのだが、
突然兄弟は18〜30歳の男子という事で、避難民ながら徴兵されてしまう。
体弱い弟ジンソクを大学で学ばせる事に母親と共に夢を託していた兄ジンテは、
手柄を立て太極勲章を授与され、特例により除隊を認められた親子がいる、
という上官の言葉を信じ、自分を犠牲にしてでも弟を守ると決意。
地雷の設置や奇襲など、危険な任務に率先して志願するようになる。
手柄をたて出世するにつれて“兵士=殺人マシーン”へと変わってゆく兄。
ジンソクはそんな兄の行動が理解出来ない。
そして戦争と数奇な運命は何度も彼等兄弟、そして家族を元の同僚を
醜い争いへと巻き込んでゆくのだ。
ただ弟を守りたい一心で戦う兄。
それを失望しつつも兄からの愛情を受けて悩む弟…。

だが“戦争”は戦場だけでなく、市街地、農村と
あらゆる所に暗いねじれた影を落とす。
兄弟を待つ家族ですら、知らず知らずのうちに騙され、利用され、
ひょんな事から“敵扱い”標的になってしまうのだ。
そして、極限状態では、敵や味方、思想や愛国心などは無意味なものとなる。
太極勲章をもらってもそれは同じ事。昨日の味方も明日は敵へと化す。
愛する者の死によって、命がけで信じていたがゆえに怒り復讐に燃えるのだ。
山村での虐殺。そしてゲリラ的な攻撃。戦場への慰問。
所々で「地獄の黙示録」を彷佛させるシーンがあった。何処も同じだ。
同じ言葉を話す人達との戦い、昨日は同志であった者、そして肉親…虚しい限り。

普通に家族と共に平和に暮らす。
それがある日一転し、国のために命を捧げる事を良しとされ、
敵とされる者を殺すことすら良しとされる“戦争”。
この作品ではその悲惨さが、戦場での生々しい痛みが、リアルに描かれている。
家族の待つに家に帰りたかったヨンマン(コン・ヒョンジン)。
どの兵士もそう思っているのに、
目の前の敵=人間を殺さねばその願いすらかなわない。
ジンソクは言う「これが全部、夢だったらいいのに…。
弟が生き残ってくれれば例えに憎まれてもいい、自分は鬼畜にでもなろうという、
兄の異常なまでの自己犠牲の愛情は弟には有難迷惑的でもあり、当然誤解も生じる。
これは家族を第一に考えた兄だからこその愛であろう。
学歴コンプレックスもあったのだろう、これまでも弟のために生きてきた兄。
だが、きっかけは何であれ
“英雄になった”自分に自信を持ち何かが狂い始めた事も確かだ。
元同僚の少年への対応だけは理解し難い部分があった。
だがその栄誉の勲章ですら、あっという間に覆る。
なんて虚しい栄光だろうか。

兄にもらった万年筆が兄弟を繋ぐ。
次に会う時に返してもらうよ…。」機会を作りたかったジンソク。
だが、次は…50年も後の事になるのだった。

ブラザーフッド・オフィシャルサイト
 ↓
http://www.brotherhood-movie.jp/

ブラザーフッド プレミアム・エディション
チャン・ドンゴン カン・ジェギュ ウォンビン イ・ウンジュ

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ブラザーフッド コレクターズBOX (完全予約限定生産)
チャン・ドンゴン カン・ジェギュ ウォンビン イ・ウンジュ

ブラザーフッド オリジナル・サウンドトラック(CCCD)
サントラ BoA

関連書籍
TJムック「ブラザーフッド オフィシャルBOOK」

『ブラザーフッド』シナリオ写真集
カン・ジェギュフィルム

「韓流スターの時代2」ブラザーフッド
~ウォンビン/チャンドンゴン



 

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September 30, 2004

「コールドマウンテン」

[DVD映画]★★★★★

『たった一度のキスで恋人を何年も待てるのか』

雑誌についていたプロモDVDを観て、こりゃどうかな〜と疑って
ミンゲラ監督ごめんなさい!
実際観て、これはありだと思ってしまった。妙なトコロで泣けた泣けた…。
チャールズ・フレイジャーの同名のベストセラー小説「コールドマウンテン」
(祖先の実話)を文芸ロマンの巨匠アンソニー・ミンゲラ監督が映像化。
2003年アメリカの作品「コールドマウンテン」

南北戦争末期の1864年。
南軍兵士としてヴァージニア州の戦場に出征したインマン(ジュード・ロウ)は、
一緒に戦場に向かった仲間も失い、瀕死の重傷を負い、病院に収容される。
回復を待つインマンの脳裏に浮かぶのは、故郷のコールドマウンテン…
出征前にただ一度だけキス交わした恋人エイダ(ニコール・キッドマン)。
看護婦に読んでもらったエイダの手紙と日々の戦闘=殺人に疑問を感じるインマンは
彼女に会うべく、脱走兵として死罪に問われるのを覚悟の上、
500キロにも及ぶ故郷、コールドマウンテンへをひたすら目指すのであった。

インマンの帰りを待つ間に父を亡くしてしまった浮き世離れしたエイダは、
生活力も無く、明日の食べ物にも事欠くほどの窮地に追い詰められていた。
そんな荒れ果てた彼女の家にに近所のサリーが、
流れ者のルビー(レニー・ゼルウィガー)を送り込み、
この地で生き抜く術=労働を教え、
ルビーはまたエイダから文学や音楽や恋愛について学んでゆくのであった。
街は義勇軍によって若い男がいないのをいい事に、すさんでゆく一方。
脱走兵による処罰もどんどんエスカレート。
そこへひょっこり、フィドル弾きのルビーの父親がやって来て、
事体は思わぬ方向へ…

とにかくその壮大さに圧倒される。制作期間4年ほど。
ルーマニアの1800年代そのままの山村地帯に農場や街を作ったらしい。
戦闘シーンの木々もイメージどおりにするために植えたそう。
チャールストンには種をまきとうもろこし畑までも。
ミンゲラ監督らしいこだわりで、
あるシーンはルーマニア、次のつながったシーンは実はアメリカ。
部屋の中だけ駅の一室などなど、
監督の頭の中のシーンをあらゆる手法を駆使して撮影したようだ。
撮影前に音楽も準備したらしい。だからしっくりハマるのか。
冒頭から伏線がたくさんひかれているので、
1度目はひたすら物語にひたり、2度目はコメンタリーを聞きながら、
伏線を発見しつつ撮影ウラ話しを聞くのが楽しい。

ジュード・ロウの素直な演技、
『ザ・女優』ニコール・キッドマンにもってこいの演技、
レニー・ゼルウィガーの『職人芸』的演技もいい。
登場人物全てのキャラクターがいきている。
個人的には義勇軍のティーグやポジーのキレキャラが気になった。

さて、インマンとエイダの『純愛』の行方は???。
途中、幾度も危機や誘惑がありながらも
お互いの『鉄版写真』を眺め思いを馳せながら、
ひたすら歩き続けるインマンと、たくましく生活しながら待ち続けるエイダ。
監督曰く、現代からは想像も出来ない事だ。
ただし、この時代を考えると大いにあり得ると。
ええ〜?現代でも意外とありそうですよ。
逆に熱烈なキスだけだったから、相手を美化して思い焦がれたのでは?
と思ってしまったわけである。
戦争&文通&写真。これが彼等の『純愛』にとって曲者だった。
だからこそ、燃え上がり信じあえたのだ。
それにしても、脱走兵って相当いたんですね…。

コールドマウンテン
コールドマウンテン

コールドマウンテン コレクターズ・エディション

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September 20, 2004

「ジェイコブス・ラダー」

[DVD映画]★★★★★

サスペンス・スリラー?なのに、なぜか涙がこぼれてしまう。
「フラシュダンス」「ナイン・ハーフ」「危険な情事」
などのエイドリアン・ライン監督による1990年の作品
「ジェイコブス・ラダー」
ベトナム戦争がもたらした悲惨さをサスペンス+ホラー的に描いている。
エイドリアン・ラインの作品で最も好きかも。

これを昔大阪ミナミのこ汚い映画館で一人でふらっと視た。
たしか時間が空いてたまたまそれしか上映していないとか、そんな感じ。
平日の昼間でお客さんは自分と暇そうなおっさん数名だけ。
と、なんで10年も前の事をこんなに覚えているかというと、
ホントにドキドキするわ、ゾクゾクするわ、涙ボロボロだわで、大変だったのだ。

旧約聖書のヤコブの話を背景に、ベトナム帰りの男の奇妙な体験の物語。
ニューヨークの郵便局員であるティム・ロビンス演ずるジェイコブは、
悪夢と現実の間で翻弄されていく。
目覚める度に何かが違う。
疾走する地下鉄に乗る人々。
掛かりつけの医者が死亡したり生きていたり、車に轢き殺されそうになったり、
別れた妻となぜかまた暮らしていたと思えば郵便局の女性とベットの上だし、
終わったはずのベトナムの悪夢。
そして、事故で死んでしまった息子…。
薬物による幻覚なのか?
このあたりのエピソードは洋書にもなっている
「BANANA FISH」(著者:吉田秋生)というコミックを彷佛させる。
ベトナムの戦場のシーンや病院のシーンは
デビッド・リンチの絵画のようにグロテスク。
掛かりつけの整体医師を演じるダニー・アイエロの笑顔、
あの、マコーレー・カルキン坊やが演じる最愛の息子の笑顔、
(この映画のカルキン坊やは純粋にかわいい!!!)
………彼らの笑顔に救われる。

ラスト・シーンはな〜んだ、と思うのだが、
しばらく涙が止まらなかった…。だって…。
観た方はわかりますよねぇ???

ちなみに、おっさん達は寝てはりました。(休憩かい?)
感動したのは自分だけかい…。
今でも、深夜テレビなどでたま〜に放映されていると、つい観ては泣いてます。
単細胞なもんで…。

ジェイコブス・ラダー
ジェイコブス・ラダー

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September 18, 2004

「地獄の黙示録 特別完全版」

[DVD映画]★★★★★

フランシス・フォード・コッポラが1996年に旅先のロンドンのホテルで
テレビ放映されていた地獄の黙示録を観て思いつき、
「地獄の黙示録」にコッポラが自らの手で49分の未公開映像を追加して
2000年に完成させた、202分のまさに長大作「地獄の黙示録 特別完全版」である。
原作は、コンラッド作「闇の奥」(岩波文庫)

ベトナム戦争中のサイゴン。
本国から戻ってきたウイラード大尉(マーティン・シーン)は特別任務を与えられる。
それは軍隊の命令を無視してジャングルの奥深へ逃れ、
『王国』を築いているというカーツ大佐(マーロン・ブランド)の抹殺。
彼には、捕虜の殺人容疑がかかっている。戦争なのになぜ殺人容疑?
いつしか大佐への興味、いや幻想を深めつつ
ウイラード大尉は巡視艇でメコン川をさかのぼりカーツ大佐の『王国』を探す…。
ベトナム戦争の凄まじい地獄絵図を目のあたりにしながら、
『王国』へ辿り着いた彼が遭遇するものは…。

この映画の音楽は印象的かつ効果的。
ドアーズ「ジ・エンド」でこの映画は始まる。
オープニングから、THE ENDだ。少しエキゾチックなナンバー。
サーフィンをするために、ベトコンの村を焼き払うギルモア中佐。
彼の部隊の出撃音楽はワーグナー「ワルキューレの騎行」
これを大音量で流して出撃するのだ…。かのヒトラーも愛したワーグナー。
その躍動感とスケールのある管弦楽曲が密林に響き渡る。
ジャングルのどまん中には仮設の特設ステージでCCR「スージーQ」が流れ、
雑誌「プレイボーイ」のグラビアクイーン達がストリッパーまがいのダンスをする。
それに興奮した兵士達により、コンサートは中断。
ローリングストーンズ「サティスファクション」を流しながら、
まったりとウイラードの乗った目的地不明の巡視艇は川をのぼり続け…
カーツ大佐に立ち向かう時にはまた…「ジ・エンド」

新たに加わったシーンは重要だ。
雨の中、荒んだキャンプ。救急ヘリの中には、あのプレイメイト達がいた。
あの慰問のあと、不時着したヘリの中で兵士を相手に酷い目にあっていたらしい。
狂気の中での、一時のふれあい…。
または、ジャングルの奥地にある小さな船着き場。
そこではフランス軍の兵士達が出迎えられ、
彼等の案内にしたがってまるで中世の荘園のようなフランス植民農園へ…。
そこの長老は言う。
『ここは我々の築いた土地だ。だからずっとここに留まるのだ。戦ってでも。
 しかし、アメリカ人は、幻想と実体のないもののためえに戦っている。』
その他、多くのシーンが追加され、ストーリーが深くスムーズになった。

先日亡くなったマーロン・ブランド演じるカーツ大佐。
大きく美しく気高く詩人で狂人。圧倒的な存在感。
デニス・ホッパーが(大好きだけど)小さく見える…。
ずっとカーツ大佐の幻想を求め続けていた。
ウイラード大尉=マーティン・シーンの眼差しも、同じく印象的。

戦争による狂気、恐怖、興奮…そして戦争の目的、疑問。
そんな事を考える作品であった。
今も、これとは別の『幻想』と戦っている兵士が中東などにいると思うと複雑な心境。
新たな戦争はまだ続いているのだ。

地獄の黙示録 特別完全版
地獄の黙示録 特別完全版
 
■ 小説『闇の奥』のレビューはこちら
 

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