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May 28, 2005

「コーヒー&シガレッツ」

[劇場映画]★★★★★

やっと観れた&お久しぶりっ!
ジム・ジャームッシュ監督が1986年から撮り始めたモノクロの短編作品、
コーヒー&シガレッツが18年後にやっと1本の映画として完成!!

そもそもはテレビ番組「サタデー・ナイト・ライブ」のために撮った
「コーヒー&シガレッツ〈『変な出会い』〉」。
これが、数々の映画祭でも上映される事となり、この長編への構想が出来たそう。
「コーヒー&シガレッツ2:メンフィス編〈『双子』〉」(1989)
「コーヒー&シガレッツ3:カリフォルニアのどこかで」(1992)
この2本も映画祭での評価を受け、
そのあと1993年に2本、とんで2003年に6本と
長い年月をかけて綴られた11編97分からなるオムニバス作品。
これだけ並ぶと圧巻だ!!

たしか最初の3作はジムのパートナーであるサラ・ドライバー
豚が飛ぶとき」の公開時に同時上映されていたと思う。
俳優はジム・ジャームッシュ御用達のロベルト・ベニーニスティーブ・ブシェミ
トム・ウェイツホワイト・ストライプスイギー・ポップ
GZARZAなどのミュージシャン、
ケイト・ブランシェットビル・マーレイらの大メジャーな俳優まで様々。
シネセゾン渋谷で4/2から公開されていたのだが、
レイトショーになってやっと観る事が出来た。
結構人も入っていて驚く。カフェとのコラボがイマっぽい。

コーヒーとタバコとちょっと微妙な距離のある人間達の会話。
これが独特のテンポと音楽に乗り、実に軽妙なリズムで淡々と進む。
ちょっとした間合や何気ないしぐさ、本人が演じる本人のエピソードなどが
観客をくすぐりまくる。

オープニングはノリノリのナンバー、リチャード・ベリーの『ルイ・ルイ』♪

『変な出会い』1986
(ロベルト・ベニーニ/スティーヴン・ライト)
とあるカフェで待ち合わせたテンションの違う居心地悪そうな二人。
変てこなオチと、ずらっと並んだコーヒーカップが印象的。

『双子』1989
(ジョイ・リー/サンキ・リー/スティーヴ・ブシェミ)
「ミステリー・トレイン」を彷佛させるプレスリーネタと、
双児の相反しながらシンクロした演技がさすが姉弟。

『カリフォルニアのどこかで』1992
(イギー・ポップ/トム・ウェイツ)
音楽性の違う二人の有難迷惑なひたすらズレまくった会話が絶妙。
何だかんだと禁煙を破って意気投合と思えば、ドラムのネタでまた離れ、
お互いジュークボックスに曲が入っているか確認している部分には爆笑。

『それは命取り』2003
(ジョー・リガーノ/ヴィニー・ヴェラ/ヴィニー・ヴェラ・Jr)
タバコは毒だと言いつつ、コーヒーを飲みまくる友人。
子供が食べている高価な『豆』が日本製…これはヘルシーという意味か?

『ルネ』1993
(ルネ・フレンチ/E・J・ロドリゲス)
砂糖の量にこだわり飲んでいる、謎の美女ルネと、
興味しんしんなボーイの会話が典型的なコメディ。
だが、ルネの読んでいる雑誌が超ハード!

『問題なし』1993
(アレックス・デスカス/イザック・ド・バンコレ)
意外と有りがちなのでは?
久し振りに会いたくなり電話で呼び出したものの特に話す事も無く順調。
それが本当か妙な気をまわす友人が空気を読めずに空回り。

『いとこ同士』2003
(ケイト・ブランシェット)
高級ホテルでの成功した女優と、そうではない、いとこの会話。
ちらほら毒を吐くいとこに、引きつりながらもさりげなくあしらい、
笑顔を絶やさないケイト!この両方、さすが女優の演技!!

『ジャック、メグにテスラコイルを見せる』2003
(メグ・ホワイト/ジャック・ホワイト)
ストライプスの二人が出演。
オタク青年が共鳴体の実験のためテスラコイルを自慢げに見せるが…
どうやら彼女のほうが上手のよう。

『いとこ同士?』2003
(アルフレッド・モリナ/スティーヴ・クーガン)
ただのファンなのか本当に親戚なのか、緻密な家系図を持って来た
初めて会う俳優同士の牽制しあい、利用しあう姿が絶妙。

『幻覚』2003
(GZA/RZA/ビル・マーレイ)
健康に気遣い紅茶を注文する、クラブで活躍するミュージシャン達と、
お忍びで?カフェで働くビル・マーレイの素頓狂な会話!!!

『シャンパン』2003
(ビル・ライス/テイラー・ミード)
仕事の合間に人生に紙コップでのコーヒーをシャンパンに見立てて乾杯!
切なくもユーモラスな素敵なご老俳優達。

そして…エンディングはイギー・ポップの『ルイ・ルイ』♪
こちらはイギーちゃんらしいハードな音。

エンドロールのジョー・ストラマーへのクレジットが泣ける。
ちなみに各シークェンスごとに流れる音楽もファンク、スカを中心に、
もちろんザ・ストゥージズやトム・ウェイツのナンバーも含め、
ムーディーなメロディまで主張し過ぎず程よく流れ、
モノクロ画面のスクリーンにしっくりくる。

全編とりとめもないバラバラの会話と音楽なのだが、
“タバコとコーヒーは最高のコンビ”“カフェインは体に悪い”
“地球はひとつの共鳴体”“コーヒーとタバコが昼食?”
などと、
それとなく、各エピソードを上手くつなげている辺り、
さすがジム・ジャームッシュ!!!
カフェでコーヒーを飲みながら、タバコの煙くゆらし、
知っている人、知らない人と語り合い過ごすひととき。
微妙な間柄の登場人物達の、ちょっと気まずい時間達。
こういうちょっとしたシチュエーションをユーモアに描くのがとにかく上手い!
11本の“気まずさ”を大いに楽しんだ。

ちなみに各地で公開され(て)いるようなので、
気になる方はゼヒお早めに!!
 
 
2005/9/9発売決定!
国内版DVD 
コーヒー & シガレッツ
(初回限定生産スペシャル・パッケージ版)

B0009YGWOU

国内版サントラ
コーヒー&シガレッツ
サントラ
B0007OE3Q6

 
輸入版ビデオ
Coffee & Cigarettes / (B&W Slip)
COFFEE & CIGARETTES / (B&W SLIP)
B0002I83YU

輸入版サントラ
Coffee and Cigarettes
Original Soundtrack
B0001XAO7U

 
 

最近発売されたジム・ジャームッシュの作品集DVD-BOX(限定生産)
ジム・ジャームッシュ作品集 DVD-BOX 1989-1999
工藤夕貴 ジム・ジャームッシュ ジョー・ストラマー
B0007IMMTM

*「ミステリー・トレイン」「ナイト・オン・ザ・プラネット
 「デッドマン」「ゴースト・ドッグ」1989-1999制作の4本が収録。
 スリムでおしゃれなケース入り。ポストカード付。

ちなみに、これ以前の作品
パーマネント・バケーション
ストレンジャー・ザン・パラダイス
ダウン・バイ・ロー」のDVDは現在入手が難しい。
 何度も観過ぎてビデオが伸びたので、この機会にゼヒDVD、再発売を望む!

結構充実していて重宝している2000年発行の書籍。
ジム・ジャームッシュ
4924609757
*「パーマネント・バケーション」「ストレンジャー・ザン・パラダイス」
 「ダウン・バイ・ロー」のシナリオも掲載されている。
 

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December 08, 2004

「海をみる」

[DVD映画]★★★★☆

おなかいっぱい、オゾンワールド!!
まぼろし」で、すっかりはまってしまったのだが、
先日の「焼け石に水」といい、この「海をみる」といい、
この監督の作品は一体何なのだろう? ワタシのツボをぐいぐい押しまくるのだ。
最近最も気になる存在の一人、フランソワ・オゾン監督の短編3作が
サスペンス・スリラーからブラックなコメディ?まで
バラエティ豊かに味わえる1本。

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「海をみる」[作品別評価]★★★★★

なんてこったい!こんな結末だとは…(ちょっとそうかと思ったが)。
なんだかとっても物騒な物語。見知らぬ人に簡単に心を許してはいけない?!
"短編のヒッチコック"フランソワ・オゾン監督によるサスペンス・スリラー。
1997年の52分の短編作品。

海を臨む一軒家でサーシャ(サーシャ・ヘイルズ)は
まだ赤ん坊の娘シフラとふたりで出張中の夫の留守を守っている。
ある日突然、海から帰って来ると、見知らぬ女性…
バックパッカーの女、タチアナ(マリナ・ド・ヴァン)がやって来て、
庭にテントを張らせて欲しいと言う。
心淋しいサーシャはそれを許し、食事に誘ったり、風呂を使わせたり、
シフラの子守りをお願いしたりとどんどん親しくなるのだが…。

幸せな親子を見るタチアナの冷たい表情。
彼等の平和で幸せな姿が、きっと憎いに違い無い。
言動が怪しすぎるのだ。
サーシャに浮気をそそのかす、墓地に佇む、スーパーの肉を眺める、
彼女のノートの落書き、そして…サーシャ家の中でも。
ただ、サーシャはそれに気付かない。
幸福ボケしているからか、気付きたくなかったからなのか…
それがまた火に油を注いだのか?
そして、彼女は一体誰なのか??

衝撃的なラストを見ても、やはり謎は深まるばかり。
出張中の夫の浮気相手だったのか…。
それともこんな親子であれば誰でも良かったのか…。

この作品、52分と短編ながら
不思議な緊張感と少々グロい不愉快さと、映像美に溢れている。
まさにオゾンならでは。

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「サマー・ドレス」[作品別評価]★★★★★

頭の中は「Bang Bang」が鳴りっぱなし!
ロカルノ映画祭グランプリを受賞したオゾン監督の出世作。
1996年の15分の短編。

若いホモ?の一人の少年と、
海岸で出会ったサマー・ドレスの若い女性との
ほぼまる1日の出来事を描いた物語。

ホモカップルの少年の片割れが「Bang Bang」に合わせて、
妙な踊りをするのがオゾン節。
あの、お兄ちゃんの妙なカマっぽさが忘れられない。
「Bang Bang」もキル・ビルでユマが歌っていたのと
印象違いすぎ! インパクトありすぎ!!

そして、逆ナンされる少年の、
ちょっとした普通の恋も、妙に爽やかで何だかほほえましい。
借りたドレスを返しに行く彼の顔。
さて、彼は“どちら”の人になるんだろうか?
とあるバカンスの一夏の経験で終わるだろうか??
15分間でここまで充実させるとは。恐るべし。

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「ベッドタイム・ストーリーズ」[作品別評価]★★★★★

やっぱりすごいぞ、オゾンさん!!
短編映画の若き巨匠…とは言い過ぎか???
フランソワ・オゾン監督による1997年の26分の短編
「ベッドタイム・ストーリーズ」。
この26分間に更に7話の物語が入っている。

『黒い穴』
『ミスター・クリーン』
『年上の女(ひと)』
『互い違い』
『理想の人』
『闇の中の愛』
『二人の童貞』

タイトルどおりにベッド・インする直前の7組のカップルの状況を、
主に会話や表情を通して“切り取った”超短編集。
もちろんカップルといっても多彩である。
娼婦と客、男と女、若い男とそうではない女、女と女、男と男etc…

何気ない会話にオゾン独特のブラックユーモアがあり、
タイトルからは想像出来ない展開となったり、
あまりにも下らないほどのストレートな展開になったり、
間に入るエレベーターの音といい、
人の心をこちょこちょくすぐる。
『ミスター・クリーン』にはニヤニヤしどおし。
こういうのにちょいと弱い!

ブラックで変態チックで、どこか憎めず軽やかなタッチ。
これがこの監督の作品の特徴の一つなのだが、
それはこの作品にもあるように、
“人の数だけある人間っぽさが好き”なのではと思ってしまった。
色々な人々の“愛のかたち”。
一見グロテスクであっても、悲愴であっても、バカバカしくても
それを受け入れ、映像として再現し、シーンを“カット”する。
彼の切り取る画面には、どこか人間くさい、暖かみが感じられる。
そこがツボだったのかも…と、
この短編群を観て思った。

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1967年パリ生まれで、パリ第一大学映画コースで修士号を取得したという、
若くて(といっても中年だが)才能あふれる人だ。
スイミング・プール」もまだ観ていないので1月のDVD発売が楽しみ。
さらなる新作も「5x2 [Five Times Two] 」も楽しみ!
それにしても、海と水。彼のモチーフに多く登場するこのモチーフは、
彼にとって何なんだろうか???
またまたこれも気になるのであった…。

海をみる
フランソワ・オゾン 
海をみる
 
 
DVD BOX「海をみる」「クリミナル・ラヴァーズ」「ホームドラマ」「焼け石に水」
及び短編のオゾン監督の初期全9作品を収録。
フランソワ・オゾン DVD-BOX
フランソワ・オゾン


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