2 posts categorized "監督:ジャン・コクトー"

August 22, 2004

「美女と野獣」

[DVD映画]★★★★☆

これもジャン・コクトーの映画監督作品。原作はルプランス・ド・ ボーモン婦人。
ディズニーさんのアニメも良かったが、これは全く違った幻想的な美しさがある。
1946年フランスの作品で、戦後日本で公開されたフランス映画封切り第1作目!!
そんな時代の「美女と野獣」…。

船が沈んで破産した商家の美しい末娘ベルは父を思い、家のために働く。
意地悪な姉二人は未だに贅沢放題で働きもしない。
優しい兄もダメ男で借金を作るわ、使用人たちまでダメダメ…。
その兄の友の色男アヴナンに求婚されるが、父のそばにいてあげたいゆえに断るベル。
なんとか残った船の荷で乗り切ろうと港へむかった父親だったが
荷物は全て無くなっていた。失意のもと、家路を急ぐ父親は不思議な城へ迷い込む…。

誰もいないその城の中を進むと、
壁から生えた手が持つ燭台に、次々と明かりがつき、
その手は行くべき方向を指差してくれ、
テーブルから手が生えて、彼に給仕をしてくれる。
あちこちにいる胸像や銅像たちは眠りこんだ彼を見守る。
まるで生きているかのように…。
朝になり、獣の声で目覚めた父親は城の中でバラを見つける。
ベルにお土産に一輪のバラをたのまれていた父親は、思わず一輪折ってしまう。
そのバラは『野獣』が一番大切にしていたものだったのだ。
それを『醜い野獣の顔をした生き物』に見つかってしまい、
野獣は1輪のバラのかわりに娘を1人差し出すように迫る。
さもなければ、父親自身が命を失うと。

帰ってきた父のためにベルが城へ行くことに。
白馬マニフェックに乗って『野獣』の待つ城へ…
父が通ったあの回廊、壁から生えた手が持つ燭台、そして美しく揺れるカーテン…。
彼女の部屋へと導かれたベルに、彼女の家具達は話しかける。
どうやら彼女は歓迎されているらしい。

そして、醜い野獣は美しいベルに言う。
醜い姿をベルには見せない。毎日7時に夕食の時に表れて、質問をするだけだと。
「私の妻になってくれないか?」
最初は顔を見て気絶するくらい恐れていたベルだったが、
そのうち、親切な『野獣』に心が動き出す…

とにかく城の中の不思議で幻想的なシーンが美しい!!
特に、スローモーションの使い方が上手くて、これからどうなるのかドキドキ…。
手や像たちの表情はなるほど、まるで魔法をかけられた召し使い達のよう。
各所に出てくる『布』の使い方もステキ。

尚、主演のジャン・マレーが、「色男のアヴナン」「野獣」=「王子」の三役?
を演じてます。愛情ありすぎ…!!
最後の「王子」はぷっと笑ってしまえる程濃い顔の「王子」!
『野獣』の顔もどこかファニーでなんとなく笑えるユルさが好きですね〜。
ラストシーンのオチには、つっこみ入れたくなりますが
『おとぎばなし』として、この映画は楽しんだほうが良いかと。
「コクトー詩集」を読むとコクトーさんの自愛具合が理解出来ます…。

美女と野獣
美女と野獣
 

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August 21, 2004

「オルフェ」

[VIDEO映画]★★★★☆

詩人であり画家、そして監督でもある芸術家、ジャン・コクトーの「オルフェ」
1949年フランスのモノクロ作品。

また、オルフェかと思わないで下さい。
先日の「黒いオルフェ」と同じ『オルフェウス』神話を題材にしたものですが、
全く違った解釈。(ワシ的には不思議な昼メロとでもしておこう)
これは時代も古いし、コクトーさんだし、ちょいとユルくてワシは大好き!
映画の冒頭でコメントがあるようにこれは「伝説は時代と関係ない」題材なのである。

最近はちょっとダメ気味の詩人で有名人の伊達男、オルフェ(ジャン・マーレー)は
『詩人のカフェ』で黒づくめの美しい女(マリア・カザレス)と出会う。
店内でのちょっとした乱闘がはじまり、
彼女の連れで詩人セジュスト(エデュアール・デルミット)は
店の前で不審なオートバイにひかれて死ぬ。
そして彼女は死んだセジェストとオルフェを黒い車にのせ、
セジェストをひいたオートバイと共に
郊外の道をひたすら走らせるのだ…。

車の中でラジオが流れ続ける。
断片的な、詩のような…。
「沈黙は後退する…くり返す…沈黙は後退する…。
 コップ1杯の水が世界を明るくする…
 くり返す…コップ1杯の水が世界を明るくする…」
オルフェはそれが気になって仕方がない。

町はずれの家に着いたところで、彼女は『死神』だとオルフェに言う。
そして、死んだセジュストを下僕としてあやつり、鏡の中に姿を消してしまう。
どうやら『死神』は鏡を通してあの世とこの世の中間を行き来しているらしい。
この光景を目にしたオルフェは『死神』に心を奪われてしまうのだ。

オルフェの家では妊婦の妻ユリディス(マリー・デア)が、
気が狂わんばかりに待っていた。
女と一緒に消息不明だったので、警察や友人と共にずっと捜索していたのだ。
そこへ、オルフェが『死神』の運転手=ウルトビーズ(フランソワ・ペリエ)と共に
あの、黒い車でひょっこりと帰って来る。
しかし、彼の心は『死神』とあの意味不明なラジオの放送に釘付け。
それは、ユリディスが死に直面していても同じだったのだ…。

さすがにユリディスの死体を見てショック受け、
「妻に会いたい」とつぶやくオルフェ。
そんな彼にウルトビーズが尋ねる。
「会いたいのは『死神』?それとも奥さん??」
オルフェは答える
「両方だ」(←ええっ???)
ともかく、『死神』の運転手とオルフェは
ユリディスを取りかえしに行きつつ、『死神』に会いにも行く事になる…。

冥界との出入り口は鏡。
『死神』の手下は黒いオートバイに乗った冥界の警察??
『死神』は詩人好きのオルフェに恋をしてしまった美女。
という設定。
オルフェもどうやら『死神』に恋。でも妻も大切(←おいおい…)
この映画でのユリディスの立場の無さといったら…。(←セジュストの立場も…)
『死神』はオルフェを独り占めしたいがゆえにユリディスを死に追いやったのか?
そしてウルトビーズは不幸な人妻ユリディスに恋…。(←涙)
なんか昼メロみたい…でも忠実なウルトビーズには大変好感持てます。
そして、冥界の審判で、
『ユリディスは生き返るが、オルフェは決してその姿を見てはいけない事が条件』
と言われる。おっ!やっと「オルフェウス」神話っぽくなったと思いきや!!
なんと、冥界から帰った後も『一緒に生活しながら、見てはいけない』という判決。
なんじゃそりゃあ…!!

更に、ラストのいきなりの意外な展開はあっけにとられることうけあい…。

この映画の見所はモノクロ時代の特殊効果。
鏡に入ってゆくシーン、冥界での不思議な動き、フィルムの逆回転など、
知恵をこらして工夫して作ったのがわかるのだが、さすがジャン・コクトー!
ビミョーなタイミングでセンスよく仕上げてます。
あと、ジャン・マーレーの濃すぎる顔と存在感。
彼への愛情たっぷりです♪
ところで、俳優の渡辺裕之さんってジャン・マーレー似だと思うんですが、
ワタシだけ???

オルフェ
オルフェ
 

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