5 posts categorized "★神話の世界"

January 04, 2005

「楽しい古事記」 

[書籍]★★★★☆   

殺して歌って交って』…なんと古事記とはそんな書物だったのか!!
日本の神話や古代史をざっくり読むならコレ!
短編の奇才、古典の水先案内人である阿刀田 高楽しい古事記
学生時代、「古事記」の原書や訳書のさわりを読んだ…というか眺めたが、
なかなかこれを全て読破しようという気にならなかった。
ところがこんな、こ難しい古典も阿刀田氏に料理されると、
楽しい読み物であり手引書となる。
大和朝廷の都合の良いように編纂された「日本書紀」や「古事記」、
そういった部分も含め、
阿刀田氏独特の“脱線”エピソードも人気者の先生の講議を聞いているようで、
引用、解説も格別に上手でするっと入ってくる。

イザナギ・イザナミによる、“くにつくり”から始まり、
女帝、推古天皇までで終わる「古事記」の旅。
国内旅行、特に九州・山陰・関西への旅にのお供にも良いのでは。
阿刀田氏のように、
このあたりかな…、あのあたりかな…』と、
気ままに伝説の土地に思いを馳せるのも、なかなか感慨深いもの。
以前住んでいたあの土地がまさか?? などという身近な興奮も味わえたりも!

・国の始まり—イザナギ・イザナミによる建国
・岩戸の舞—アマテラス大御神、岩戸に隠れる
・神々の恋—八俣の大蛇退治と因幡の白兎
・領土問題—オオクニヌシの治世
・海幸彦山幸彦—兄弟の争い
・まぼろしの船出—神武天皇の東征
・辛酉にご用心—崇神・垂仁天皇の治世
・悲劇の人—ヤマトタケル伝説
・皇后は戦う—仲哀・応神天皇の治世
・煙立つ見ゆ—仁徳天皇の権勢
・殺して歌って交わって—雄略天皇の君臨
・女帝で終わる旅—返り咲いた顕宗・仁賢天皇

こんな目次を読んでお解りのとおり、
ひたすら古代の神々や人間が『殺して歌って交って
八百万の神が増えてゆき、もちろん人口も増えてゆくわけだ。
イザナギ・イザナミのエピソードによると、彼等によって
千人死んだら、千五百人生まれる』事になったのだが。
ギリシャの神々も同じように度々姿を変えては人間と交り子を成す。
こうなっては、誰が神の子であるか解らないのだが…元は同じか。
古代のこういった考え方は何処も似ているのかな…と少し思う。
寓話あり、旅行記あり、ドラマあり、もちろんエロスあり…
そんな、文字どおり「楽しい古事記」であった。


楽しい古事記
阿刀田 高

この一冊で読める!「日本の古典50冊」 ものがたり風土記 アラビアンナイトを楽しむために シェイクスピアを楽しむために 続ものがたり風土記

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August 29, 2004

「私のギリシア神話」

[書籍]★★★☆☆

さて、ついにアテネオリンピックも最終日。
舞台になるギリシャ神話を名画と共に楽しめる1冊である。
阿刀田高著「私のギリシア神話」(集英社文庫)(2002年)
は前にも紹介した
阿刀田高著「ギリシア神話を知っていますか」(新潮文庫)(1981年)
の別バージョンといったところか。
こちらも『ギリシャ神話』入門編としてはかなり面白く楽しめる文庫本。
『プロメテウス』『大神ゼウス』『アフロディテ』『ヘレネ』『ハデス』『アポロン』
『ペルセウス』『アリアドネ』『メディア』『オイディプス』『イピゲネイア』
『シシュポス』『ミダス』『ピュグマリオン』『ナルキッソス』『オリオン』
のエピソードが書かれており、名画や美術品を挿し絵に楽しめる。
ビジュアル的にもわかりやすいか。
さらりと眺める感覚で読めるので、これも入門者へのおススメ本。
名画、例えばボッティチェリの『ビーナスの誕生』やベラスケス、ティツィアーノ
など巨匠の名画が使用され、もちろん全てカラー!。

私のギリシャ神話
私のギリシャ神話
阿刀田 高

私のギリシャ神話
私のギリシャ神話
阿刀田 高
 

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August 21, 2004

「オルフェ」

[VIDEO映画]★★★★☆

詩人であり画家、そして監督でもある芸術家、ジャン・コクトーの「オルフェ」
1949年フランスのモノクロ作品。

また、オルフェかと思わないで下さい。
先日の「黒いオルフェ」と同じ『オルフェウス』神話を題材にしたものですが、
全く違った解釈。(ワシ的には不思議な昼メロとでもしておこう)
これは時代も古いし、コクトーさんだし、ちょいとユルくてワシは大好き!
映画の冒頭でコメントがあるようにこれは「伝説は時代と関係ない」題材なのである。

最近はちょっとダメ気味の詩人で有名人の伊達男、オルフェ(ジャン・マーレー)は
『詩人のカフェ』で黒づくめの美しい女(マリア・カザレス)と出会う。
店内でのちょっとした乱闘がはじまり、
彼女の連れで詩人セジュスト(エデュアール・デルミット)は
店の前で不審なオートバイにひかれて死ぬ。
そして彼女は死んだセジェストとオルフェを黒い車にのせ、
セジェストをひいたオートバイと共に
郊外の道をひたすら走らせるのだ…。

車の中でラジオが流れ続ける。
断片的な、詩のような…。
「沈黙は後退する…くり返す…沈黙は後退する…。
 コップ1杯の水が世界を明るくする…
 くり返す…コップ1杯の水が世界を明るくする…」
オルフェはそれが気になって仕方がない。

町はずれの家に着いたところで、彼女は『死神』だとオルフェに言う。
そして、死んだセジュストを下僕としてあやつり、鏡の中に姿を消してしまう。
どうやら『死神』は鏡を通してあの世とこの世の中間を行き来しているらしい。
この光景を目にしたオルフェは『死神』に心を奪われてしまうのだ。

オルフェの家では妊婦の妻ユリディス(マリー・デア)が、
気が狂わんばかりに待っていた。
女と一緒に消息不明だったので、警察や友人と共にずっと捜索していたのだ。
そこへ、オルフェが『死神』の運転手=ウルトビーズ(フランソワ・ペリエ)と共に
あの、黒い車でひょっこりと帰って来る。
しかし、彼の心は『死神』とあの意味不明なラジオの放送に釘付け。
それは、ユリディスが死に直面していても同じだったのだ…。

さすがにユリディスの死体を見てショック受け、
「妻に会いたい」とつぶやくオルフェ。
そんな彼にウルトビーズが尋ねる。
「会いたいのは『死神』?それとも奥さん??」
オルフェは答える
「両方だ」(←ええっ???)
ともかく、『死神』の運転手とオルフェは
ユリディスを取りかえしに行きつつ、『死神』に会いにも行く事になる…。

冥界との出入り口は鏡。
『死神』の手下は黒いオートバイに乗った冥界の警察??
『死神』は詩人好きのオルフェに恋をしてしまった美女。
という設定。
オルフェもどうやら『死神』に恋。でも妻も大切(←おいおい…)
この映画でのユリディスの立場の無さといったら…。(←セジュストの立場も…)
『死神』はオルフェを独り占めしたいがゆえにユリディスを死に追いやったのか?
そしてウルトビーズは不幸な人妻ユリディスに恋…。(←涙)
なんか昼メロみたい…でも忠実なウルトビーズには大変好感持てます。
そして、冥界の審判で、
『ユリディスは生き返るが、オルフェは決してその姿を見てはいけない事が条件』
と言われる。おっ!やっと「オルフェウス」神話っぽくなったと思いきや!!
なんと、冥界から帰った後も『一緒に生活しながら、見てはいけない』という判決。
なんじゃそりゃあ…!!

更に、ラストのいきなりの意外な展開はあっけにとられることうけあい…。

この映画の見所はモノクロ時代の特殊効果。
鏡に入ってゆくシーン、冥界での不思議な動き、フィルムの逆回転など、
知恵をこらして工夫して作ったのがわかるのだが、さすがジャン・コクトー!
ビミョーなタイミングでセンスよく仕上げてます。
あと、ジャン・マーレーの濃すぎる顔と存在感。
彼への愛情たっぷりです♪
ところで、俳優の渡辺裕之さんってジャン・マーレー似だと思うんですが、
ワタシだけ???

オルフェ
オルフェ
 

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August 20, 2004

「黒いオルフェ」

[DVD映画]★★★★☆

最近リメイクされたらしい「黒いオルフェ」のオリジナル版。
しかも、ワタシが観たのはフランス語だったが、
検索してみるとポルトガル語バージョンが出ているらしい。
監督はマルセル・カミュ。1959年仏・ブラジル合作。
これから夏にかけてよく耳にするアントニオ・カルロス・ジョビン、ルイス・ボンファ
による主題歌、挿入歌が心に染みる…。

カーニバルの準備で騒がしいリオの街で、
市電の運転手でギターと歌の名手、オルフェと
田舎から出てきたばかりの美しい少女ユーリディスは出会い、
運命に導かれるがごとく恋に落ちてしまう。
だが、カーニバルの当日、オルフェの婚約者ミラがユーリディスに嫉妬し、
彼女を傷つけてしまい、ユーリディスは独りカーニバルの街をさまようことに…
そんな彼女には謎の"死の仮面"の男の影がつきまとっていたのであった…。

ギリシャ神話のオルフェ伝説を、リオのカーニバルを舞台にして
生と死、悲恋と永遠の愛を描いた傑作である。

褐色の肌に栄える鮮やかな色彩の衣裳とカーニバルの激しいサンバのリズム、
そして、静かにオルフェのつま弾くギターの音色、ボサノバの調べが印象的。
カーニバルの動と少し入った路地の静けさ、
明と暗、動と静、こういった対比や"死の仮面"の男の影によって、
生と死は背中合わせ、身近にいるものだと知るのである。
そして、悲恋は永遠の愛となる…。

市電の車庫が出て来たり、病院や警察が霊界に見立てられていたり、
設定が斬新でちょっとユルくてワシはけっこう楽しめた。
俳優さんはほとんどが現地オーディションの素人さんたち。
彼等の笑顔は最高!!。

ちなみにこの映画を知ったのは、
阿刀田高著「ギリシア神話を知っていますか」(新潮文庫)
で、紹介されていたから。
この本かなり優しく面白くギリシャ神話をかみくだいているので、
『ギリシャ神話』入門者にはおススメ。
上級者にはちょいと物足りないかも…。

黒いオルフェ(ポルトガル語版)
黒いオルフェ(ポルトガル語版)
 

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「ギリシア神話を知っていますか」

[書籍]★★★★★

「黒いオルフェ」は『オルフェ』のくだりで、多用している。
阿刀田高著「ギリシア神話を知っていますか」(新潮文庫)
『ギリシャ神話』入門編としてはかなり面白く楽しめる文庫本。
『トロイの木馬』などのエピソードはもちろん、『オイディプス』など、
オイディプス・コンプレックスなどを使って説明している。
にわか知識ならこれでもアリと思われます。

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