「楽しい古事記」
[書籍]★★★★☆
『殺して歌って交って』…なんと古事記とはそんな書物だったのか!!
日本の神話や古代史をざっくり読むならコレ!
短編の奇才、古典の水先案内人である阿刀田 高著「楽しい古事記」。
学生時代、「古事記」の原書や訳書のさわりを読んだ…というか眺めたが、
なかなかこれを全て読破しようという気にならなかった。
ところがこんな、こ難しい古典も阿刀田氏に料理されると、
楽しい読み物であり手引書となる。
大和朝廷の都合の良いように編纂された「日本書紀」や「古事記」、
そういった部分も含め、
阿刀田氏独特の“脱線”エピソードも人気者の先生の講議を聞いているようで、
引用、解説も格別に上手でするっと入ってくる。
イザナギ・イザナミによる、“くにつくり”から始まり、
女帝、推古天皇までで終わる「古事記」の旅。
国内旅行、特に九州・山陰・関西への旅にのお供にも良いのでは。
阿刀田氏のように、
『このあたりかな…、あのあたりかな…』と、
気ままに伝説の土地に思いを馳せるのも、なかなか感慨深いもの。
以前住んでいたあの土地がまさか?? などという身近な興奮も味わえたりも!
・国の始まり—イザナギ・イザナミによる建国
・岩戸の舞—アマテラス大御神、岩戸に隠れる
・神々の恋—八俣の大蛇退治と因幡の白兎
・領土問題—オオクニヌシの治世
・海幸彦山幸彦—兄弟の争い
・まぼろしの船出—神武天皇の東征
・辛酉にご用心—崇神・垂仁天皇の治世
・悲劇の人—ヤマトタケル伝説
・皇后は戦う—仲哀・応神天皇の治世
・煙立つ見ゆ—仁徳天皇の権勢
・殺して歌って交わって—雄略天皇の君臨
・女帝で終わる旅—返り咲いた顕宗・仁賢天皇
こんな目次を読んでお解りのとおり、
ひたすら古代の神々や人間が『殺して歌って交って』
八百万の神が増えてゆき、もちろん人口も増えてゆくわけだ。
イザナギ・イザナミのエピソードによると、彼等によって
『千人死んだら、千五百人生まれる』事になったのだが。
ギリシャの神々も同じように度々姿を変えては人間と交り子を成す。
こうなっては、誰が神の子であるか解らないのだが…元は同じか。
古代のこういった考え方は何処も似ているのかな…と少し思う。
寓話あり、旅行記あり、ドラマあり、もちろんエロスあり…
そんな、文字どおり「楽しい古事記」であった。
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