12 posts categorized "★壊れゆく女系"

August 02, 2008

「屋敷女」

[劇場映画]★★★★☆

“この女凶暴につき”というコピーがぴったり。
とにかくベアトリス・ダル演じる謎の女が怖い怖い…
壊れゆく女を演じさせるとおフランスいち?
齢を重ね増々パワフルになったかも…
めずらしく妙にリアルなおフランスのユーロ・ホラー。
ちなみに主演のアリソン・パラディは
あのヴァネッサ・パラディの妹で何とコレがデビュー作!!!

____________________

「屋敷女」
原題:A l'interieur

製作国:フランス(2007)
監督:ジュリアン・モーリー/アレクサンドル・バスティロ
製作:ヴェラーヌ・フレディアニ/フランク・リビエール
脚本:アレクサンドル・バスティロ
撮影:ローラン・バレ
音楽:フランソワ・ウード

出演:
ベアトリス・ダル(見知らぬ女)
アリソン・パラディ(サラ)
ナタリー・ルーセル (サラの母親ルイーズ)
フランソワーズ=レジス・マルシャソン
ニコラ・デュヴォシェル
リュドヴィック・ベルティロ
エマン・サイディ
エマニュエル・レンツィ(警官)

____________________

クリスマス・イブの夜
4ヵ月前に事故で夫を亡くしたフォト・ジャーナリストのサラは
明日いよいよ出産という臨月の妊婦。
母や現在の恋人のジャン=ピエールには一人で過ごすと言い
愛していた夫、お腹の子の父である亡きマチューを想い
愛猫と共に静かに過ごしていたのだが…
見知らぬ女が電話を貸してほしいとやってきた…


予告編がインパクト有りすぎたのと、
ベアトリス・ダルにそそられて、つい観てしまったのですが…(汗)
予想を上回るエグさに思わず痛くて直視出来なかった所も…
うへぇ、真っ赤なタイトルバックどおりに
狂暴ダルちゃん登場してからは、血の海!
まぁ、画面が暗くてくっきりはっきり見えなかったのが幸いかも。

ストーリー的にはある程度想像はついたものの、
もう後味の悪いこと悪いこと(笑)
ただでさえ少ないお客がますますシーン…としていましたね。
やっぱりダルちゃんは強烈に恐かった…

主人公の出産を明日にひかえた臨月の妊婦サラ(アリソン・パラディ)
にはもちろん人生最悪な夜だけど、
巻き込まれた人達もとにかく悲惨極まりない…
理由の解らぬ者に殺されるかもしれない恐怖とともに、
この女の強さたるや!
その一途な想いで、目的を果たすべく、
ターミネーターかゾンビの如く躊躇いもなく襲いますから…
そう、悪気が無いだけにタチが悪いタイプの犯罪者。
こいつと戦うのにはまず精神力で勝らねば無理!
破水しながら最後まで闘いぬいたサラは
生まれて来る子を守ろうとするその気力で様々な激痛に耐えつつ、
敵を追い詰めるまで至ったのかも。

しかしながら、救いのないこの映画で
何より印象深かったのが胎児の表情の描き方。
胎児も悲鳴を上げるんです…(泣)
登場する優しい男達をためらいもなく排除する女。
母になりたい女の念は想像を絶するパワーをも産む…

このような事は起きてはいけない、起こしてもいけない。
生まれて来る子供に罪は無いんですから
ちゃんと母の胸に抱かせてあげて下さい。
彼らの幸せのために…ね。

→「屋敷女」オフィシャルサイト

B001FLUIQO屋敷女 アンレイテッド版
ベアトリス・ダル, アリソン・パラディ, ナタリー・ルーセル, ジュリアン・モーリー
キングレコード 2009-01-07

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May 28, 2008

「終わりのない物語〜アビバの場合」

[DVD映画]★★★★☆

1人のアビバという少女を
何人ものキャラクターが全く違った俳優が演じる事によって
この極端なエピソードの羅列から
実は普遍的な物語…という事をゴリゴリと強要してくる
ものすごくパワフルな作品だ!!!

_______________

「終わりのない物語〜アビバの場合」
原題:PALINDROMES

製作国:アメリカ(2004)
監督:トッド・ソロンズ
製作:デリッック・ツェン/マイク・S・ライアン
脚本:トッド・ソロンズ
撮影:トム・リッチモンド
プロダクションデザイン: デイヴ・ドーンバーグ
衣装:ヴィクトリア・ファレル
音楽:ネイサン・ラーソン

出演:
エレン・バーキン(ジョイス・ヴィクター アビバの母)
スティーヴン・アドリー=ギアギス(ジョー/アール/ボブ)
リチャード・メイサー(スティーヴン・ヴィクター アビバの父)
ジェニファー・ジェイソン・リー(“マーク”アビバ)
デブラ・モンク(ママ・サンシャイン)
シャロン・ウィルキンス(“ママ・サンシャイン”アビバ)
マシュー・フェイバー(マーク・ウィーナー)
ウィル・デントン
ヒラリー・B・スミス
ダントン・ストーン
_______________

かなり前に観てレビュってなかったコレ。
細部にわたるこだわりといい…
可愛いテイストと毒満載。
記憶しておきたかったので、観て直ぐにメモっておいたのが下記。
自分用の覚書なのであしからず…

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ドーン・ウィーナーを偲んで
 ラビの葬式…

 ・ドーン 黒人の少女アビバ 死んだいとこのドーンのようになりたくないと懇願。
               妊娠しても子供は絶対殺さない。沢山欲しい。
               いつも誰かを愛することが出来ると…
 ・ジュダ ブルネットのアビバ 数年後 遊びに行ったウォレス家のジュダと初体験。
                数分で終了。
 ・ヘンリー 赤毛のアビバ 妊娠発覚!両親は激怒。
              でもアビバは子供が出来ご機嫌。
              親から産むなら出て行けと…ヘンリーという
              産まれなかった弟の話を聞かされ堕胎を強制されたが  
              そのため子供を産めない体になってしまう。
              おろした子供の名前をヘンリエッタと名付けるアビバ。             
 ・ヘンリーエッタ カーリーヘアのアビバ 家出し、ヒッチハイクで出会った男性
                     ボブと一夜を共にするが…
 ・ハックルベリー ショートボブでスレンダーなアビバ モーテルに置いてけぼりに…
                           田舎を放浪していて
                           森でボートに乗る。
 ・ママ・サンシャイン おデブな黒人のアビバ 森の中で眠る彼女にピーター・ポール
                       という少年と出会い、彼の居るという
                       サンシャイン・ホームに連れて行くと
                       優しく接してくれる。
                       経歴に嘘をついて迎え入れてもらうが
                       明るすぎる“事情”持ちの子供達と
                       クリスチャン達!
                       だがそこに現れたのは…あのボブ?
                       大人達の会話で衝撃的な事実が発覚!
 ・ボブ 黒髪のアビバ サンシャイン・ホームからこっそり抜け出しボブの所へ。
            フライシャー、あの医者の暗殺に参加する事に。
 ・マーク 金髪のアビバ 帰ってきたドーンのパーティが催される。
             葬式の…あのマーク!!!
 ・アビバ おデブのジュダと再会!
      今までのアビバがコロコロ変わって出てくる。
      もちろんラストは…!!!!最初のアビバちゃん!
      あの夢が本当だったら…不毛なんだけど、明るく終了。  

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

何か全てにわたって不愉快かつ悲惨な割には
あっけらかんと終わってしまったのが
かなり強烈に印象的。
どこぞやの田舎で街で…
有りそうで無さそうな物語。
ただ“子供が欲しかっただけなのに…”
興味の有る方限定で観て下さい。

おわらない物語~アビバの場合~
おわらない物語~アビバの場合~トッド・ソロンズ

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July 14, 2007

「ハード キャンディ」

[DVD映画]★★★★☆

童話の持つ残酷さをモチーフに
少女の持つピュアな残酷さと
好感度のある普通の中年男の持つ微妙なイヤラシさを
とことん極端に描いたもはやサスペンス・ホラー。
特に男性は観た後嫌な気分になる事うけあい。
でも…決して良い子と身に覚えのある方は観てはいけません…

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「ハード キャンディ」

製作国:アメリカ(2005)
監督:デヴィッド・スレイド
脚本:ブライアン・ネルソン
音楽:ハリー・エスコット/モリー・ナイマン

出演:
ジェフ(パトリック・ウィルソン)
ヘイリー(エレン・ペイジ)

「ハード キャンディ」オフィシャルサイト

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な…なんて事を!うへ〜いやだ…痛いって…!!
予告編から痛そうだったけど…
想像以上に精神的にも痛〜い物語。
あどけない表情のヘイリーちゃんが、
自分を変に正当化しつつ行う犯罪行為たるや…
何とも言えない嫌〜な雰囲気満点!!!

出会い系サイトで14歳の少女とお友達になろうと思って油断したら
どえらい目に合ってしまう可哀想なカメラマン中年男の物語。
ジェフは端正でインテリ風のカメラマン。
チャットで出会って3週間の女の子ヘイリーとカフェで待ち合わせ
ジェフの自宅へ行くことになるが…
まだまだ幼なさの残るヘイリーちゃんにスクリュードライバー飲まされて
目覚めた時には身体を縛られ身動き取れず自宅に監禁された。
彼の女性遍歴を尋問された挙句に…そう…去勢。

可愛い顔して淡々と“作業”を行うヘイリーちゃん。
これは彼女の好奇心的なお遊びなのか、はてまた復讐なのか
(最初からゲームの要素はないですけどね)
ジェフは犯罪を犯していたのか、はてまたただのロリコンなのか
どっちにしてもヘイリーちゃん…
ちょっとやり過ぎです…ってかできんでしょ…普通!!!
しかも初めて…医学書読みながら…というのがさらに痛いっ!!!

お隣の日本人の奥さん?のおマヌケなセリフや
実際小娘にあそこまで出来るのか???…とか
氷の麻酔やディスポーザーとかロープとか…
あちらこちらに突っ込みどころ満載だけど
とにかく感情移入を許さず、少女が中年男をグリグリと最も嫌な方法で
追いつめてゆくそのシチュエーションたるや!!!!!
泣いてもわめいても不利なのは中年男。
とことん精神的に追いつめてやる…的な
最後の最後まで少女のいや〜な残酷さにはゾッとします。

あの微妙〜なロープの長さ…きっと………
まぁ、悪いのは男も女もどっちもどっち…
ジェフも何のかんの少女との遊びは初めてでは無さそうでしたし。
危ういものには手を出すなという教訓にして欲しいですな。

ところで赤いパーカーを被った赤ずきんちゃん…
悪い狼を見事罠にはめ満足出来たんでしょうか?
あの友人との電話の軽いノリは
そもそも復讐とかではなく
単なる興味本位とかだったりする気も…
いずれにせよ末恐ろしい〜。

B000LPS3PSハードキャンディ デラックス版
パトリック・ウィルソン デイヴィッド・スレイド エレン・ペイジ
ジェネオン エンタテインメント 2007-02-23

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「ローズ・イン・タイドランド」

[DVD映画]★★★★☆

ギリアム節健在♪
病んだ大人達に囲まれたローズちゃん
可愛い瞳で見つめているのは過酷な現実からの現実逃避か妄想か…
夢見がちなお年頃の危うさ満点。

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「ローズ・イン・タイドランド」

製作国:イギリス/カナダ(2005)

監督:テリー・ギリアム
原作:ミッチ・カリン『タイドランド』(角川書店)
脚本:テリー・ギリアム/トニー・グリゾーニ
撮影:ニコラ・ペコリーニ
プロダクションデザイン:ヤスナ・ステファノヴィック
衣装デザイン:マリオ・ダヴィニョン/デルフィーヌ・ホワイト
音楽:マイケル・ダナ/ジェフ・ダナ

出演:
ジェライザ=ローズ(ジョデル・フェルランド)
パパ/ノア(ジェフ・ブリッジス)
ママ/グンヒルド王妃(ジェニファー・ティリー)
デル(ジャネット・マクティア)
ディケンズ(ブレンダン・フレッチャー)

「ローズ・イン・タイドランド」オフィシャルサイト(英語)
___________________

登場人物の怪しさと妄想世界もさながら
少女の危うい愛情と残酷さ、そして力強さが描かれている。
ローズちゃんを演じるジョデル・フェルランドの素晴らしい演技で
終始ハラハラしどおし。

タイドランド=干潟。
テリー・ギリアムの描くアメリカのど田舎のアリス。
ジャンキーな両親を持つローズちゃん。
かいがいしく両親の世話をしていたが夢見心地なお年頃。
お友達はバービー人形の頭部4体。
突然の母の死により、これまた夢見心地なハードロッカーな父と
彼の実家のテキサスへ長距離バスで旅立つのだが
祖母は既に他界しているのか家はボロボロ。
そして父親もいつもの短期休暇ではなく
永遠のトリップに旅立ってしまった…

そんな事を知ってか知らずか
ローズは新しい環境と不気味なお隣さん達
古い祖母の家、動物達の世界、に触れ合い
彼女のマイ・ワールドは広がり続ける…
いやはや久しぶりにギリアム巨匠の妄想世界が炸裂!!!
お隣さん姉弟、デルとディケンズの不気味な秘密や
お父さんの夢見心地な神秘主義???
両親の死や生活の不安、どえらい場面に遭遇しても
まるで物語の中の主人公のように
時には悲劇のヒロイン、時にはちょっとした小悪魔娘
時には純真無垢な少女、時には大人の女性のよう…と
目の前の現実からどんどん空想を膨らまし
全てを受け入れているのかいないのか…
それでも生きてゆくのだ。

最初から最後まで、一体彼女はどうなってしまうのだろう???
とヒヤヒヤする。
子供ゆえの空想=妄想世界と冷静さと残酷さ。
でも大人や他人に対する愛情や信頼感や神秘的な妄想癖は
ジャンキーながら彼女を愛した両親ゆえなのか…
しかしながらどんな状況にあっても生命力にあふれるローズは
力強く生きていくには違いない。

ちなみに死体系のドギツイ表現アリ。R-15指定です(汗)
それにしてもお隣さん達が強烈でした。
僻地に住むイッちゃっている人々って
ある意味ピュアでパワフルですなぁ…。

B000GQMJAWローズ・イン・タイドランド
ジョデル・フェルランド ミッチ・カリン テリー・ギリアム
東北新社 2007-01-26

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タイドランド
ミッチ カリン Mitch Cullin 金原 瑞人
4047914827

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July 07, 2007

「私の頭の中の消しゴム」

[DVD映画]★★★☆☆

公開時の宣伝コピー『死より切ない別れがある。』
という言葉がとても印象的だった。
愛する人の記憶の中から自分の事が消えて行く悲しみ。
自分の記憶の中から愛する人の事が消えて行く悲しみと恐怖。
妻の病気の悲しい現実と、それを受け入れようと努力する
夫の献身的な愛情表現とやるせない感情がたまらない。

_______________

「私の頭の中の消しゴム」

製作国:韓国(2004)
監督・脚本:イ・ジェハン

出演:
チョルス(チョン・ウソン)
スジン(ソン・イェジン)

「私の頭の中の消しゴム」オフィシャルサイト

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今更…ですが「明日の記憶」で観ていた事を思い出し
やっぱりレビュっておこうかと。

若年性アルツハイマーという言葉が一般に知られるようになり、
ストーリーの予想はついていたけれど、
病気によって消えてゆく彼女の記憶…
崩れてゆく日常をささえようとする二人の愛を
主にチョスルの目を通して
とにかく切なくドラマティックに美しく描いてゆく。

恋人時代、新婚時代の必要以上のアツアツぶりが、
お約束のように後で悲しさを誘う。
孤独で粗野だったチョスルがスジンと出会い、
唯一家族と思える存在になったのに、
妻のスジンが自分の事を忘れ
彼女の元恋人のヨンミンと勘違いして名前を呼ぶシーン。
スジンに“はじめまして”と挨拶するトコロなど、
チョルスの悲しみこらえ震える表情にはジーンときた。

作為的なシーンも多くて少々ベタで
特にラストのほうなどあざとい気もするが
これでもか、これでもか、とつきつけられる
悲しい現実と、それを受け入れようとする
チョルスの献身的な愛情表現とやるせなさ。
一瞬記憶が戻った時のスジンの切ない心遣い。
若すぎるスジンとチョルスにはあまりにも過酷。

彼ら夫婦のなれそめのトコロから、既に病気は進行していた。
この作品は“若年性アルツハイマー”を素材に描いた
とある夫婦の恋愛ドラマ。
画面のいたる所に暑苦しいほど愛が溢れているのが切ない。
“コンビニ”のシーンは…まるで天国。

今後自分が煩う可能性がゼロでは決して無いアルツハイマーという病。
少々健忘症気味のワタシにはちょっと怖いストーリーでもあったが
観ておいて良かったとも思う。
「明日の記憶」でも書いたのだが
こういった映画は“病気の存在を知る”事と
人とのつながりの大切さを教えてくれる。
特に身近な人への愛情は、病に伏した時に痛感するものだから…

B000E40TLW私の頭の中の消しゴム(字)
三木眞一郎 チャ・スンジェ 小林さやか
ジェネオン エンタテインメント 2006-03-10

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私の頭の中の消しゴム SPECIAL BOX (初回限定生産)
チョン・ウソン イ・ジェハン ソン・イェジン
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私の頭の中の消しゴム
フレデリク・フランチシェク・ショパン パガニーニ
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私の頭の中の消しゴム
木村 元子
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私の頭の中の消しゴム
深田恭子/及川光博
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■映画「明日の記憶」レビュー

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November 26, 2004

「愛してる、愛してない・・・」

[DVD映画]★★☆☆☆

純愛行為とストーキング行為は極めて紙一重である。
現実と空想の境がなくなり、愛する男性の一家を不幸に陥れてしまう女性を、
視点を分けて描いたサスペンスストーリー。
監督は新進気鋭の若手レティシア・コロンバニ。
主人公は「アメリ」のオドレイ・トトゥがこれまた可愛く無気味に演じている。
共演は「トリコロール 赤の愛」のサミュエル・ビアン
「視線のエロス」のイザベル・カレ。
2002年フランスの作品「愛してる、愛してない…」。

美術学校に通う優秀な生徒アンジェリク(オドレイ・トトゥ)は、
心臓外科医のロイック(サミュエル・ビアン)が恋人。
ロイックには弁護士で妊娠中の妻ラシェル(イザベル・カレ)がいるが、
離婚は時間の問題だと思っている。
だって、彼はあの日、1本のバラをくれて、
パーティ会場のトイレで愛を語ってくれたのだから…。
だから毎日彼の診察室へバラを1本送るのだ。

アンジェリクはベビーシッター先の留守をまかされ、
ロイックの隣に住むことになった。
そして、妻と仲むつまじく寄り添うロイックを見て、ラシェルを憎み始める。
「どうして私達の邪魔をするの?あの女は?」
日に日に様子がおかしくなるアンジェリクを、
彼女に恋する若く美しい男友達のデイビッド(クレマン・シボニー)が心配するが、
アンジェリクの心は素敵なロイックへと一途に突き進むのだ。
「憎い邪魔ものは排除せねばならない」
そして、ついに事件は起きてしまった…。

この一連のストーリーを、今度は恋される側のロイックから描き直しているのが後半。
たしかにロイックは1本のバラをあげた。パーティ会場のトイレで5分間だけ話した。
だが、彼女に会ったのはその数回だけ。

純愛からストーキング、そして犯罪へと
自分を正当化し、行動をセーブ出来なくなるアンジェリク。
どんどんお仕置き?してゆく様は「シリアル・ママ」のようで恐ろしい。
しかも、本人には悪気が全くないだけに、始末に負えない。
デイビッドがいくら説得しても都合の良いようにしか解釈しない、
彼女はもはや妄想の住人なのだ。
アンジェリクの想いになかなか気付かないロイックの鈍さも
行動をエスカレートさせる原因となってはいるが、
ロイックとしてはごく普通に振舞っているだけなのである。

自分の行動を時々チェックしないと、
とんでもない人物に、とんでもない誤解を受けているかも…。
実際にこんな話、ありそうだから怖い。
誰にでも優しいモテモテくん、モテモテさんは注意しよう!

「アメリ」はフリーの変態同志の純愛だったので、
本人も周囲も結果的にハッピーになれたが、
このアンジェリクは周りを巻き込みどんどん不幸にしてしまう。
でも、彼女の心の中の世界では、まだあの妄想の中で幸せなのだ。
この自閉的な感情をオドレイ・トトゥはキュートで純粋なあの目で演じる。
もう、キャスティング出来過ぎ!
オープニングのラブリーさが、最後には怖い。

愛してる、愛してない・・・
愛してる、愛してない…

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November 21, 2004

「ヴァージン・スーサイズ」

[DVD映画]★★★★☆

少女達の思春期特有の無垢なる輝きと危うさが、
ノスタルジックに描かれた青春ドラマ「ヴァージン・スーサイズ」
原作はジェフリー・ユージェニデスの「The Virgin Suicides」
(邦題「ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹」)。
巨匠フランシス・F・コッポラ監督の愛娘ソフィア・コッポラ
初監督、映画化した1999年の作品。

1970年代のとあるアメリカ郊外の町。
少年達の回想で始まる。
最初はセシリア(ハンナ・ハル)だった。
聖母マリアの写真を胸に抱きながらの自殺未遂。
わずか13歳の少女が下した決断に大人たちは困惑。
一命をとりとめた彼女に
「人生の辛さもまだ知らない年なのに」と医師が言うと、
本人曰く
「先生は13歳の女の子になったことはないでしょ。」
数学教師で父(ジェームズ・ウッズ)、
敬虔なクリスチャンの母(キャスリーン・ターナー)、
この厳格な家庭リスボン家の輝く5人姉妹、
ラックス(キルスティン・ダンスト)、ボニー、メアリー、テレーズ、セシリア。
少年達は皆、輝く彼女たちに憧れていたのだった…。 

空にヘビトンボが飛びかう美しい6月のある日、
リスボン家で催されたパーティの日、
ついに末娘のセシリアが自殺に成功してしまう…。
新学期に入り、四女のラックスが遊び人のトリップ(ジョシュ・ハートネット)と
過ちを犯し、リズボン夫妻は娘の不始末に激怒。
姉妹たちを文字どおり家に閉じ込めた。
学校にも通わせず、外界から隔離された少女たちと
何とかコンタクトしようとする少年達。
だが、そんな彼らの想いも伝わらず、姉妹たちは自らの命を…。
それから20年以上が過ぎ、少年達だけが大人になった。

最初に観た時は彼女達の行動が不可解であると共に、
監禁される恐怖もあって痛々しくて、悲しくなった。
4人力をあわせて家を出てしまえなかったのか?。
どうして?なぜ?
少年達にどうして合図をしたのか??

だが、次に観た時はこれはあくまでも、
元少年達のノスタルジックな回想なのだと思った。
姉妹達はセシリアの死に、閉鎖された空間=自分達の家で
同調せざるを得なかったのではないか。
セシリアの大切にしていたニレの木を取り囲んで守る姉妹達だもの。
すっかりオヤジになった少年達の心の中に、未だに眩しく少女のまま輝く5人姉妹…。
彼女達を神聖化して今も時々ふと想うオヤジ達。
そんな物語かも、と思った。
少年達の青春の1コマは、こんな悲しい出来事すら
遠い日の美化された記憶となるのか…。

もう一度時間をおいて、また観てみようと思う。
 

ヴァージン・スーサイズ
ヴァージン・スーサイズ


 
そして!
フランスのデュオAIR(エール)のサントラが、素晴らしくよく出来ていた。
懐かしい70年代のヒット曲と共に本編で優しく甘くメロウな感じで流れる。
サントラだけでも聴きごたえ有り。

コッポラファミリーの音楽センスってホントに良い!。
最近自分でレビューを書いていて、
コッポラファミリーものには必ず音楽にふれている事に気付いた次第であった。


ヴァージン・スーサイズ
エール


ヴァージン・スーサイズ
サントラ トッド・ラングレン スローン エール 10cc ハート

 
■ 映画「ロスト・イン・トランスレーション」のレビューはこちら
 

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November 03, 2004

「フェイシズ」

[DVD映画]★★★★★

顔、顔、顔。
魅力的な『表情』の氾濫するモノクロームの世界。

ジョン・カサベテスが、自宅を舞台にして撮り、編集も自宅ガレージで行った、
まさに、アンチ・ハリウッドのインディペンデント作品「フェイシズ」。1968年制作。
俳優業の収入を使い、ボランティアで参加したスタッフと制作したのだが、
オスカーで3部門にノミネートされ、ヴェネチア国際映画祭では
リチャード役のジョン・マーレイが男優賞を受賞。
登場人物たちの『表情』をカメラが追い、
36時間で崩壊していく夫婦を描いたヒューマン・ドラマである。

オープニングがかなりシニカル。
この『フェイシズ』の映画上映会のシーンから始まる。

ある日のリチャード(ジョン・マーレイ)はバー『負け犬』で、
高級娼婦ジェニー(ジーナ・ローランズ)と出会い、大いに盛り上がる。
そして、帰宅して何気ない夫婦の会話の後、
リチャードは突然妻のマリア(リン・カーリン)に「離婚しよう」と告げ、
そのまま家を出て行ってしまうのだ。
呆然とした妻のマリアはディスコで知り合った青年、
チェット(シーモア・カッセル)と一夜を過ごしてしまうのだが…

酔っぱらい騒ぐ笑顔。
言葉遊びで大笑いする底抜けの笑顔。
機嫌をそこねて怒る男の顔。
恋した人との幸せな顔。
妻の作り笑顔。夫の作り笑顔。
妻の困った顔。夫のふっきれた無表情な顔。
どうして良いか解らぬ妻の顔。
自暴自棄の顔。
己を知る泣き顔。
若く興味本意の顔。
思いつめた顔。

次々と起こる出来事によってこれらの顔が生まれる。
時に激しく、時に静かに、そのメリハリたるや!!!
125分と長い作品なのだが、ドキュメントタッチな登場人物の世界に
どんどん引き込まれる。
ちょっと若いジーナ・ローランズがキュートに美しく魅力的。
ジョン・マーレイのしおれた?色気と言葉遊びも楽しい。
お金をかけなくてもこんな素晴らしい作品が生まれる、
カサベテスの才能と人徳を見せつけられた気がした傑作!

フェイシズ 【TBD-1057】 =>20%OFF!《発売日:02/05/24》
フェイシズ

■監督:カサベテスファミリー・カテゴリー

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September 15, 2004

「まぼろし」

[DVD映画]★★★★★

こんなに泣いてしまった映画は初めてかも!!
最初から最後まで、切ない切ない…。ティッシュケースの1/3は無くなっ。
これは、フランソワ・オゾン監督がたまたま出会った、
「フランス南西部のランド海岸での夫の失踪事件」
のエピソードを膨らませて作られたという、2001年フランスの作品「まぼろし」

結婚して25年になる夫婦。
妻マリー(シャーロット・ランプリング)と夫ジャン(ブリュノ・クレメール)。
毎年ランド地方の別荘でヴァカンスを過ごしている。
今年も同じようにバカンスを楽しみに来た。

大きな体で無口で優しい夫、ジャン。少し淋しそうな表情が印象的。
会話は無いが、わかりあえている夫婦。
何気ない日常のシーンにマリーの幸福感が溢れている。
浜辺でマリーの背中に優しくオイルを塗るジャン。
そして、海へ泳ぎに行き—————
うたた寝したマリーが目覚めても、ジャンは戻って来なかった…。

失踪した夫ジャン、もしかすると水死したかもしれないとどこかで諦め一見冷静に、
マリーはひとりパリへと戻り、有人に紹介されたヴァンサンを愛人としながらも、
夫の幻影と共に生活をする。
マリーを優しく抱き締めるジャンのまぼろし?には優しさが溢れている。
今でも彼の大きな愛情に包まれた彼女に、ジャンを忘れることなど出来るだろうか?
愛人ヴァンサンに言う。「あなたでは軽すぎる…」と。

夫の異変に気付けなかったマリー。
初めてそこで、冒頭のジャンの行動が思い起こされる。
自分もマリーと同じようにジャンの異変には気付いていなかったのだ。
誰も居ない夫の書斎。大きなジャケットのかかった夫の椅子。
母と子の絆、妻と夫の絆。つらい現実。そしてと再起。

傍にいるべき人物が突然いなくなった時の感じ。
嘘だと思いたくて、実際そこにまだ居る気がしてしまう。幻となって見えてしまう。
でも居ない。ポッカリと虚しい空間を埋めるようと、心は揺れ動く…。
細かいエピソード、心理描写に…ホロリ。

シャーロット・ランプリングの年齢を越えた美しさ!
若作りではなく本当に可愛く魅力的。
映画デビューはなんと「ナック」(1965年)ですよ〜!
ブリュノ・クレメールの年を重ねた大きな存在感が好き。
シャーロットとブリュノは「蘭の肉体」以来25年ぶりの共演だそう。
ゆえにか本物の夫婦のように呼吸もぴったり。

いや〜オゾン監督「8人の女たち」
ではそんなに…でしたが、
この「まぼろし」で、やられました。

特典映像もいきおいで鑑賞。
さすが!オゾン監督!!

■フランソワ・オゾン監督コメンタリー
■シャーロット・ランプリング&ブリュノ・クレメール インタビュー映像収録
■フランソワ・オゾン監督の未発表短編作品(各約12分)
 “Mes parents un jour d'ete”
・スパでの夫婦の日常を撮っている
 “Les Doigts dans le ventre”
・過食性の女の子のハナシ
・殺した家族写真を撮る男の子のハナシ

コメンタリーも短編作品もかなり見応えあり。

まぼろし<初回限定パッケージ仕様>
まぼろし<初回限定パッケージ仕様>
 
 
DVD BOX「海をみる」「クリミナル・ラヴァーズ」「ホームドラマ」「焼け石に水」
及び短編のオゾン監督の初期全9作品を収録。
フランソワ・オゾン DVD-BOX
フランソワ・オゾン


■ 映画「海をみる」のレビュー
■ 映画「クリミナル・ラヴァーズ」のレビュー
■ 映画「ホームドラマ」のレビュー
■ 映画「焼け石に水」のレビュー
■ 映画「8人の女たち」のレビュー
■ 映画「スイミングプール」のレビュー

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September 08, 2004

「式日」

[DVD映画]★★★★☆

『キューティーハニー』(DVDが12/22発売予定)
アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』でおなじみ、
庵野秀明監督の実写2作目、2000年の作品「式日」。たしか映画祭で鑑賞。
丁度、精神的にツラかった時期だったので、かなり心に応えた。

藤谷文子(スティーブン・セガールの娘で女優・今作品出演)の
繊細な原作『逃避夢』を
庵野監督が岩井俊二(映画監督・今作品出演)に自分を投影し描いた、
美しく、悲しく、激しく、優しい映画。

映画監督として疑問を抱いている『カントク』は、
故郷の地方都市の線路で1人の少女と会う。
彼女は言う「明日は私の誕生日なの」
廃虚ビルに自分だけの居場所を築き、奇妙な「儀式」を行う彼女。
屋上で毎日『自分が今日、生きていて良いか』確認するのだ。
そして、次の日も彼女は言う「明日は私の誕生日なの」

肉親の死の悲しみ、置いてきぼりにした母への愛憎、姉への復讐という、
辛い現実から逃げ出したいがために『今日』を繰り返す狂気にとらわれた彼女。
そんな彼女を『カントク』は被写体として撮りはじめる。
眠ることさえ、怖い彼女に『カントク』とすごす中で、少しずつ変化をみせる。
そんな矢先ある雨の日から、彼女は自分の世界に閉じこもってしまう。
『カントク』さえ、見えていない…。「儀式」も激しさを増す。
『カントク』は彼女を何とか苦しみから解放しようと、色々努力をする。

そして、ついに『その日』が来た…。

庵野監督の救済は存在した。
Coccoのエンディング・テーマ『Raining』

庵野監督の美意識が詰まった画面に魅了される。
赤を基調とした美しい映像。ひとつひとつに意味があり、完璧なまでのトリミング…。
狂気にとらわれた彼女を表現した、数々のコスチューム。
ロケは庵野監督の故郷である山口県宇部市にて行われ、
すたれてしまった地方工業都市、人のいないシャッター街、廃屋、
工場などが各シーンの舞台。全てに愛情があふれている。
『彼女の母親』役を大竹しのぶ、『自転車の男』役を村上淳が演じ、
彼等が物語のカギとなる。

間をおいて、改めて観てみると、自分の中の変化が感じられた。
以前は『彼女』の中に入り込み同調し、今は『カントク』に感情移入…。
ホントに以前は彼女のように日々確認していた。
「空がキレイ。星がキレイ。月がキレイ。光がキレイ。
 私が存在しなければ、みんなキレイ。
 私がいないほうがいいのかな。」
存在して良い人になるべく自分を抑えて我慢して…。

ところ一度苦しむとたいていの事は、何でもなく思えるらしい。
生まれてきた事には必ず意味があるのだから、
『素直に極力、日々自然体』これが一番。
そう思うようになった。

式日
式日
 

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