7 posts categorized "●ブラックコメディー系"

September 01, 2007

「アトミック・カフェ」

[TV放映映画]★★★★☆

原水爆のPRフィルムや軍用フィルム
当時のニュース、アニメーションなどを
淡々とつなぎ合わせたドキュメンタリー作品。

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「アトミック・カフェ」
原題:THE ATOMIC CAFE

製作国:アメリカ(1982年)
監督:ケヴィン・ラファティ/ジェーン・ローダー/ピアース・ラファティ
製作:ケヴィン・ラファティ/ジェーン・ローダー/ピアース・ラファティ
音楽:リチャード・バス/デヴィッド・ダナウェイ/リチャード・ウルフ

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この時期よく深夜放映していて何度も観たけれど
いやはやその無知さと身勝手さといったら…
こういった映像は日本も含めどの国も同じだと思いますが
1940〜1950年代のプロパガンダ映画達には呆れるばかり…

冷戦という言葉すら、懐かしかったりする最近
核の恐怖がゼロになったわけでもなく
逆にテロという流れになっただけですから。
核兵器はまだ存在しているのだし
核について正しい知識を言及してもらいたかったですね。
それにしても真面目に作られたフィルムだけに痛烈。
ピカッと光ったらさっと隠れる
それだけで回避できるわけ無いでしょうに…。

B00069LUL8アトミック・カフェ
ケヴィン・ラファティ; ジェーン・ローダー; ピアース・ラファティ
竹書房 2004-12-17

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September 07, 2006

「ショーン・オブ・ザ・デッド」

[DVD映画]★★★★☆

こんなゆるいゾンビ映画でいいのか???
ブラック・ユーモアたっぷりだけど、ちゃんとゾンビ映画なのだ!!!

や〜っと借りることが出来ました!
ゾンビファン&おバカ映画ファンの方々からことごとくおススメされていたのに、
ずっとレンタルされっぱなしだった、
ワタシにとってはまぼろしの作品といっても過言ではない?

監督はエドガー・ライト、脚本は主演のサイモン・ペグとエドガー・ライト。
タイトルどおり、ロメロのゾンビ作品のパロディ作品、
2004年のイギリス映画ショーン・オブ・ザ・デッド
もちろん日本未公開作品(笑)。
 
やる気のない電器屋の販売員、ダメダメ男のショーン(サイモン・ペグ)と
ゲームオタクで家でダラダラ…
更にダメ男のおデブの(ニック・フロスト)の仲良し二人組、
一方やる気マンマンの普通の男ピート(ピーター・セラフィノウィッツ)、
この幼なじみの3人はルームメイト。
ショーンはこの日………職場でも下っ端店員に馬鹿にされるわ、
彼女のリズ(ケイト・アシュフィールド)とのデートのブッキングもうまくゆかずフラれ、
義理の父フィリップ(ビル・ナイ)には説教され、
母バーバラ(ペネロープ・ウィルトン)へのプレゼントは渡せず、
よりによって最悪な一日だった。
今日は朝まで飲み明かすぞ!!とエドとパブから自宅でも大騒ぎ!
どうも病人やパトカーやフラフラ歩く酔っぱらいが多いな〜とも思いつつ、
自分の事で精一杯で周囲の事なんて目に入らない。
同居人のピートは頭が痛いといつにも増してイヤミなヤツ…(こちらがマトモな一般人)
さて、一夜明けて街中がなんか変!
人は少なくちらかり放題、あちこち血まみれ、おまけにフラフラ歩くヤツばかり。
でも、彼女にフラれ母親への花束もダメにした(しかも朝まで飲んでた)ショーンは
ぼ〜っとして何も気づかない。
とりあえず家に戻ると…庭に謎の女が???
何だ今日は酔っ払いばっかりだと思ったら…
これがショーンにとって(世間ではもっと前から)ゾンビ・デイの幕あけだったのだ!

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笑った笑った!このゆるさ!!
さすが皆さんのオススメ作品!!!

しょっぱなからニュースでガンガン流れ、パトカーなんかが走り回っているのに
おバカさん達は気づかないったっらありゃしない。
ヨロヨロ歩くゾンビちゃんも酔っぱいやジャンキーと勘違いするし。
いざ、事態に気付いてもショーンとエドは全く危機感無し!
懐かしい80年代POPSのレコードの円盤投げでゾンビに対抗!
そのさい投げるLPレコードのアーティスト選別にも大笑い!
大量のゾンビと戦う時の爆音クィーンにも大爆笑!!
(しかも某飲料のCMで使われていたアノ曲♪)
英国らしいというか、何があってもとりあえずお茶を飲み、
何かあったらパブでまったり集おうとする。
ショーンのお母さんのすっとぼけたトコロはさすが親。
いや、彼女やショーンの対応こそ、意外とリアルなのかも。
それにしてもゾンビの中に逃げる時の苦肉の作がゾンビのまねとは(笑)
しかもエドはゾンビちゃん達の真ん中で携帯電話で友達と会話する始末…。
 
全編にこのユルさが溢れているのだが、そこはゾンビ映画!
どんどん街にはゾンビが溢れ、いまにも窓から侵入してきそうな勢いに…
物語は一気に加速し歴代のゾンビ映画に対するオマージも満載♪
ゾンビに噛まれ、最期に心を通わしたのもつかの間その後ゾンビ化…という、お約束。
窓からにゅ〜っとゾンビにつかまれて引きずり出される。
地下の倉庫に追いつめられ、ああ、これまで?????
そして笑撃的なラストシーンなどなど…

やる気の無〜い、ジャンキーの溢れる英国のとある街。
女性が強いこの国の、典型的な優しいダメ男ショーンが、
ここ一番で、家族や恋人や友人のために無茶しながら活躍?そして成長?してゆく
ショーンの勇気と愛情と楽観主義?に、別れた彼女の心も動くわけね。
なんとショーンの女友達イヴォンヌちゃん(ジェシカ・スティーヴンソン)も、
ポイントで出てきて大活躍するし、彼の人を大事にするトコロも好感持てる。
人は殺せないけれど、ゾンビちゃんなら何とかやっつける、心優しいショーンくん♪
強烈なブラック・ユーモアに溢れながらも、
いつまでも子供なダメ男達への愛がたっぷり。
妙に微笑ましいゾンビ映画だった! 

[特典映像]
 メニューが凝っていて見にくいけれど、なかなか充実!
 
※なんと¥861こんな激安価格になったとは!購入すればよかった(泣)

ショーン・オブ・ザ・デッドショーン・オブ・ザ・デッド
サイモン・ペグ エドガー・ライト ケイト・アシュフィールド

バス男 ランド・オブ・ザ・デッド ディレクターズ・カット 28日後...特別編 ボーン・スプレマシー ゾンビ 米国劇場公開版 GEORGE A ROMERO’S DAWN OF THE DEAD ZOMBIE

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■映画「ゾンビ 米国劇場公開版」レビュー
■映画「ドーン・オブ・ザ・デッド」レビュー
■映画「ランド・オブ・ザ・デッド」レビュー
■映画「28日後」レビュー   
■ ゾンビ系映画レビュー

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September 06, 2006

「グエムル —漢江の怪物—」

[劇場映画]★★★★☆

勢い満点!毒も満点!小市民満点!な怪獣映画!!
まさかこんな内容だとは思いもしなかった!!

うひょ〜!個人的にツボ!!
カンヌで驚愕されたという2006/9/2公開されたこの作品。
おバカなファミリーならではのブラックな笑いと
妙にがっちりアニマトリクスで作られた、
グロテスクな怪物とのからみがたまらない!!!
 
実は久しぶりに試写会で鑑賞だった♪
韓国の若手監督ポン・ジュノのファンでもありつつ、
エイリアンものも怪獣系のB級特撮なんかも大好きなワタシ。
このグエムル —漢江(ハンガン)の怪物—には
心躍る気分で開始前からワクワク…。
当日は満席では無かったのでゆったり観る事が出来た。
公開中なのでネタバレにならない程度に感想を!

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しょっぱなから悪意に満ちたシーンから。
全てはココから始まったわけだ。
そして…登場するのは韓国を代表する大きな川、
漢江の河川敷で売店を営むどこかマヌケな男達、
カンドゥとその父ヒボン。
のどかだった河川敷だが、突然現れた巨大な怪物の登場と共に、
一生忘れないだろう惨劇の現場に一転!
しかもカンドゥは娘のヒョンソを目の前で怪物にさらわれてしまった!!!
最愛のヒョンソが死んだものだと“激しく”悲しむ一家。
ところが事態は思わぬ方向に…
さて無事ヒョンソは救出されるのか?
謎の怪物はどうなる?
 
「お父さん、助けて!」
 
のキャッチコピーとTVスポットで
感動出来る怪獣映画かと思ってしまうが、
全編に渡って極めてブラックでシニカル。
非常に良く出来たB級映画の香りがぷんぷんする。
タブーにはあえて超ストレートに切り込みまくり、
極限状態での人間…主に普通の人々のおかしな行動を
ブラック・ユーモアを散りばめ描く独特の手法、
緊張と緩和を上手〜く使い分けるテンポの良さといい、
「ほえる犬は噛まない」「殺人の追憶」の
ポン・ジュノ監督ならではのエッセンスが一杯!!!
笑ってはいけない所で、ついつい吹き出したり突っこんだり…
大きな外的勢力に圧迫された小市民の底力を見せつける!!!

加えて、超個性的なキャラクターを演じる役者陣が抜群!
特に主人公であるおバカな一家、
家長ヒボンピョン・ヒボン)漢江の河川敷で売店を営む一家の長、ヒョンソの祖父。
長男カンドゥソン・ガンホ)父親と同居し家事手伝い中のダメ長男。ヒョンソの父親。
次男ナミルパク・ヘイル)大卒のフリーター。反政府攻撃運動の経験有。
長女ナムジュペ・ドゥナ)カンドゥとナミル妹。アーチェリーの銅メダリスト。
ヒョンソコ・アソン)怪物にさらわれるカンドゥの娘。笑顔の可愛い13歳の中学生。
ヒボン父ちゃんのダメ息子を含め、全員への絶対的な愛!!
そして、このダメ一家の期待の星、ヒョンソへのこの一家の熱〜い愛情で、
一致団結ヒョンソの救出に執念を燃やし、ここぞという時のマヌケっぷり!!!
怪物に挑むヒボンをはじめカンドゥ、ナミルの男性陣はもちろん、
ナムジュとヒョンソら女性陣のキリッとした表情も印象的だ。

そして、ハリウッドの技術を駆使した
スピーディーでいや〜な動きの怪物は、勢い良く登場し、
次々と食料である人間を襲い続ける…。

観る人は選び、後味は良いものでは無いけれど、
次々と迫り来る、先の読めない展開に
思わず引き込まれてしまった!!!
小市民の目線でのブラック・ユーモア、
ワタシはポン・ジュノ監督のココがツボみたい。

OST/グエムル(漢江の怪物)(送料無料)
オリジナルサウンドトラック/グエムル(漢江の怪物)

→「グエムル —漢江(ハンガン)の怪物—」オフィシャルサイト
→「グエムル —漢江(ハンガン)の怪物—」公式ブログ

ポン・ジュノ監督の作品。
■映画「ほえる犬は噛まない」レビュー
■映画「殺人の追憶」レビュー

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October 15, 2005

「ベルヴィル・ランデブー」

[DVD映画]★★★★☆

独特のシニカルなストーリーとキャラクターのデフォルメには脱帽!
レトロなテーマソング♪が耳に心地よく残り、そんな映像にぴったりな
非常にフランス的なアニメーション作品。

圧倒されるおばあちゃんパワー!
アニメーションと言えど、「ありえね〜!!」の連続!!
キャラクターやマシンの強烈なデフォルメ、
そして物語の思いもつかない展開にびっくり。
予告編にすっかり騙されてしまった。

フランスのアニメーター、シルヴァン・ショメ監督による、
とことんシュールな、そしてシニカルな長編フレンチ・アニメーション。
シルヴァン・ショメによるノスタルジックな映像と、
ブノワ・シャレストのレトロな音楽とリズムが素敵にマッチした2002年の作品。
アカデミー賞長編アニメ部門にノミネートされ、NYやLAの批評家協会賞を受賞など
2003年の映画賞で話題になった「ベルヴィル・ランデブー」!

両親のいない寂しいシャンピオンとおばあちゃん。
何にも興味を示さない…そんな孫が気に入ったのは、
おばあちゃんのプレゼント、犬のブルーノと三輪車。
これに目をつけたおばあちゃん!
生活用品をマッサージやトレーニングや計量に見事に利用し、
厳しくサラブレッドのごとく鍛え上げ、自転車レーサーへと成長したシャンピオンは、
ついにあの有名な自転車レースの最高峰“ツール・ド・フランス”へ出場した!!!
ところが、レースの最中にシャンピオンは謎のマフィアに誘拐されてしまう。
愛する孫を救うために、おばあちゃんとブルーノはシャンピオンを追って、
巨大都市"ベルヴィル"へ辿りついた…。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

『ベルヴィルでスィングしてランデヴ〜♪』
オープニングはモノクロ画面で三つ子が歌う、テーマソング。
極端に会話が少ないかわりに、濃密でどこかもの悲しくも美しい風景と音楽が語る。
まるでヨーロッパの…東欧などの絵本を見ているようだ。
そして、いちいちかなり毒のあるシニカルさ。
決して美しくはない、これも極端にデフォルメされたキャラクタ−達!
筋肉質だがガリガリに痩せ、人間とは思えない鼻を持ち、目は落ち窪み顔色が悪く、
黙々と自転車をこぎ続けるシャンピオン。
一方、体育会系でホイッスルを吹きまくり、鋼の右足を持のしのし歩く、
三波伸介(←古いなぁ)似のおばあちゃん!
ブクブク太って巨大になる大食いの愛犬ブルーノ、そしてブルーノのシュールな夢!
個人的には“ツール・ド・フランス”のかけひきがもっと観たかったけれど、
爆死させて食べるカエル料理や、丸々した自由の女神?
シャンピオンの田舎の力強いおばあちゃんと、
音楽好きの都会に住む三つ子のおばあちゃん姉妹との
友情と底知れぬパワーに苦笑い。
ジャック・タチなんかへのオマージュも含め、
映画好き、漫画好き、音楽好きな感じに好感が持て、
もう、目が離せない、耳が離れない!!

『ベルヴィル・ランデヴ〜でスィング♪』
カラーになってまた三つ子が歌う、テーマソングとリズミカルな踊り!
STOMPもびっくりでっせ。
海を超えた架空の大都市"ベルヴィル"(←というかアメリカ?)。
ここでまさかのとんでもない裏社会を描いた、
ハード・ボイルドな展開になるとは驚いた。
いわゆる弱者を愛してしまうお国柄…
非常にフランス的な、地味ながらも心に残る力強い作品。
最初から最後までシャンピオンは色んな意味で可哀想、
四角いマフィアも含め、男の人はどこかおマヌケ。
う〜ん、年をとってもやっぱり女は強いのだ〜!!!

ちなみにエンドロール終了後も、こそっとオチありなので、
映画の基本、最後まで観るべし。


[映像特典]
・高畑勲とシルヴァン・ショメの対談(約40分)
・完成披露試写会 監督舞台挨拶(約10分)
・劇場予告編(オリジナル版、日本版、TVスポット)

ベルヴィル・ランデブー
シルヴァン・ショメ
B0009ETCD8

ベルヴィル・ランデブー / エディシオン・コレクトール (初回限定生産)
シルヴァン・ショメ
B0009ETCDI

ベルヴィル・ランデブー オリジナル・サウンドトラック(CCCD)
サントラ M Beatrice Bonifassi
B00069BOMS

  
 
「ベルヴィル・ランデブー」オフィシャルサイト
 

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December 17, 2004

「ホームドラマ」

[DVD映画]★★★★☆

さて、気になって気になって仕方が無い!!
フランソワ・オゾン監督のかなり毒の効いたシュールな作品「ホームドラマ」。
少し「8人の女たち」を思わせる部分もありながら(どうもあの作品は苦手)、
とにかく下らなく毒々しいのにどこか可笑しくて、
断然こちらの作品のほうがハマれた!
カップリングは「小さな死」。
こちらはしょっぱなからかなりマイナス・オーラを出した
カメラマンの青年を追った意外にも微笑ましい短編。

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「ホームドラマ」[作品別評価]★★★★☆」

うひゃ〜!まさかあんな事になるなんて!想像出来なかった!!
また1本とられました。オゾンさん!!!
平凡なブルジョア家庭に一匹のネズミがやって来たことから、
どんどん崩壊してゆく様を描いたオゾン風のブラック・コメディ。

“短編のヒッチコック”フランソワ・オゾン監督の長編デビュー作。
1998年のフランス映画。
原題の「SITCOM」はシチュエーション・コメディの略だそう。
これは80分のかなりブラックなドタバタ“奇劇”。

いきなりである。
とある豪邸に父親ジャン(フランソワ・マルトゥレ)が帰宅し、
“ハッピー・バースディー”の歌声♪
と、突然銃声と悲鳴が!

そしてこれまたいきなり数カ月前にさかのぼる。
家政婦のマリア(ルシア・サンチェス)がやってきたその日、
ジャンが“ネズミ”を持ち帰ったその日の夜、マリアと
夫のアブドゥ(ジュール=エマニュエル・ヨウム・デイド)を招いての夕食会で、
直前までネズミと遊んでいた息子ニコラ(アドリアン・ド・ヴァン)が
突然「ボクはゲイだ」と宣言する。
それがこの家庭の崩壊の始まりだった。

ニコラをなだめるために彼の部屋に行ったアブドゥは
“ネズミ”に噛まれて、あろうことかニコラに身をもって体験させてしまう。
“ネズミ”と戯れていた娘ソフィ(マリナ・ド・ヴァン)は窓から身を投げ
命は助かったものの半身不随に。
“ネズミ”を触ったマリアに誘惑された
ソフィの恋人ダヴィッド(ステファーヌ・リドー)は、
それをネタにされ愛するソフィのプレイの下僕に。
絵に描いたような心配性な良き母エレーヌ(エヴリーヌ・ダンドリイ)は
“ネズミ”に触れてしまってから息子のためにと男女の関係を持つように。
それらを全て知っていて、それを受け入れると言う家族に
自分は“まとも”だからと一人無関心な父親ジャン。
そして…誰も居ない家でジャンは“ネズミ”と戯れた…。

とにかく予期せぬ事態と災難が次々と起こる。
彼等は名前すらつけてもらえないこの“ネズミ”に触れる事をきっかけに、
愛情の飢えに気付き、心の奥の真の欲望を実行してしまうのか?
それをわざとグロテスクに、でも軽妙にコミカルに描くオゾン。
“我家は、自分だけは平凡で平和”だと信じている人達へ向けての
これはかなり強烈な皮肉である。
そして、酷い物語なのに妙なおかしさ。
あの“ネズミ”は…悪魔なのか天使なのか、一体何なのか?
まさか電子レンジで………!!!!!

ちなみに「海を見る」のマリナ・ド・ヴァン、とアドリアン・ド・ヴァン、
彼等は実の姉弟。マリナは制作のほうも携わっている。
「サマードレス」のルシア・サンチェスも舞台出身の演技派で、
自分で映画も撮っているそう。
どうやらこの妙なテイストは、オゾンさんの周りの
強烈な個性と感性の俳優やスタッフの影響があるのかもしれない。

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「小さな死」[作品別評価]★★★★☆

「ホームドラマ」に収録されている。
フランソワ・オゾン監督による1995年制作の26分間の短編作品である。

“生まれた時から自分は醜い。だから父親にも愛されず嫌われている。”

そう思っているゲイのカメラマンのポール(フランソワ・ドゥレーヴ)。
彼は“イク瞬間の男の顔”を撮るのが趣味で同じゲイの彼と同棲中。
突然美しい姉(カミーユ・ジャピィ)から
父親(マルシアル・ジャック)が危篤だと電話。
見舞いに行くのだが…父親からとんでもない言葉が!。
やはり醜い自分は愛されていないのだと嘆きつつも、
再び病室を訪れ父親の写真をこっそり撮るポール。
しかし、後に判明する事実で彼は救われるのだ…。
さすが親子だ。

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人には、親しい人や恋人や家族にだからこそ、
口に出して言わない、隠された色んな感情や欲望があるのだ。
自分だけは、自分はきっとこうに違い無い、
あの人だけは、あの人だけには有り得ない、
などと決めつけてはいけない。
いつ、どんな想像もつかない出来事が起こるかわからないのだ。
本人ですら気付いていない本性があるのだから…。

この「小さな死」と「ホームドラマ」には
そんなメッセージが込められている。

そういった人間達が、人間模様が興味深くてたまらないのだろう。
だからあえて人間の恥部や秘密にしておきたい部分を露出させて、
面白がりつつもそれを肯定しているのだ。
これががオゾンの監督の魅力の一つなのではないだろうか。
わかってやっているトコロがこれまたニクイ!!!

ホームドラマ
フランソワ・オゾン
ホームドラマ
 
 
DVD BOX「海をみる」「クリミナル・ラヴァーズ」「ホームドラマ」「焼け石に水」
及び短編のオゾン監督の初期全9作品を収録。
フランソワ・オゾン DVD-BOX
フランソワ・オゾン


■ 映画「海をみる」のレビュー
■ 映画「クリミナル・ラヴァーズ」のレビュー
■ 映画「焼け石に水」のレビュー
■ 映画「まぼろし」のレビュー
■ 映画「8人の女たち」のレビュー
■ 映画「スイミングプール」のレビュー

フランソワ・オゾンの作品紹介とレビューの一覧
■ フランソワ・オゾン監督について・レビュ−の一覧はこちら
 
■ フランソワ・オゾン監督の作品紹介はこちら
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October 31, 2004

「散歩する惑星」

[DVD映画]★★★☆☆

こののほほんとしたタイトルとは大違い!
いいのか?こんなにブラックで!!

カンヌ国際広告祭で8度のグランプリに輝くCF界の巨匠、
ロイ・アンダーソン監督による、実に構想20年、撮影4年の歳月をかけて製作した
ブラックユーモア溢れすぎのコメディ映画??「散歩する惑星」
2000年スウェーデン・仏の作品。

とある惑星のと『ある国』の物語。
サラリーマンは長年勤めた会社にリストラされ文字通り上司にしがみつきズルズル…。
マジシャンは胴体切りのマジックに失敗。観ているだけで痛い痛い!!
家具屋は保険金欲しさに自分の会社に火を放つが、保険金が手に入らず、
詩人だった長男は精神病…。

大きな不幸や小さな不幸まで、この国の人々はすべてが悪い方へと向かって行く。
見切りをつけた人達はみな大荷物で国外逃亡を図り、
空港のロビーは人で溢れ、道路は大渋滞…歩いたほうが早い始末。

この不況に目をつけた宗教がらみのインチキ商売人や、
それにもすがる人。
生きていてもしょうがないと、
自分の命を犠牲にする人々。他人の命を犠牲にする人々。
どんどん顔色の悪い、人形のような白塗り(特におやじ)が増えて行く…。

最初はこのブラックさにかなり笑えるのだが、
どんどん悲劇てきに虚しくなってくるのだ。
かなり、『ある国』にむけての政治批判を含んだトコロがある。
官僚達は自分の事しか考えない馬鹿ばかり。こんな国に未来はあるのか???
あながち絵空事ではないトコロも含めて、
喜劇的でもあり悲劇的である作品であった。

これをCGを一切使用しないローテク撮影技法で長年かかって撮影し、
2000年のカンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞した。
やはりローテクは、ここへ来て人の心をつかむのか?
ABBAのキーボード奏者だったベニー・アンダーソンが音楽を担当。

ちなみに映像特典はメイキング、監督インタビュー、予告編など。
ま、フツーですね。

散歩する惑星 愛蔵版
散歩する惑星 愛蔵版

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September 05, 2004

「シリアル・ママ」

[VIDEO映画]★★★★★

この「シリアル・ママ」
昨今においては非常に不快な映画なってしまったので
苦手な方はすっとばして下さい。
アメリカの変態監督ジョン・ウォーターズによる1994年の作品。

キャスリーン・ターナー扮するママの家族は、
美人でキレている鳥好きのママ、すっとぼけたダンナ(歯医者)、
スプラッター映画好きの息子、ミーハーなハイティーンの娘の4人。
でも………
社会の規則、愛する家族の平和を乱す奴にはママのお仕置き=殺人が待っている!
という、基本的にコメディなのにとんでもない映画。

 シートベルトをしない!(ガツン)
 娘を振った!(グサッ)
 ムシャムシャ鳥を食った!(グサッ)
 レンタルビデオを巻き戻さない!(ゴン)
 秋に白いパンプスなんて!(ガン)

こんなコトで殺された日にはたまったもんではない。
しかも、裁判で弁護人をさしおいて、陪審員を味方につけて、
自分で無実にしてしまう頭の回転の良さ!
こんな母が無実になって帰って来ても家族は複雑…

キャスリーン・ターナーの表情がスゴイ。
にっこり笑ったと思えば彼女の機嫌をそこねるとみるみる怒りをあらわに。
かの『牡丹と薔薇』の香代さんなんて、目じゃないのだ…。

10年程前映画館で見た時は、かなりブラックだが笑えた映画だったのに、
本当に最近は笑えない!
監督の意図が現実とずれてきたかも。
もっとつまらないコトでも殺人事件は起こっている今の日本。
こんな事が明日、起こってもおかしくない社会なんてイヤですねぇ…。

サントラはこちら

シリアル・ママ
シリアル・ママ
サントラ, L7, バリー・マニロウ
 

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