13 posts categorized "★泣ける映画系"

July 07, 2007

「私の頭の中の消しゴム」

[DVD映画]★★★☆☆

公開時の宣伝コピー『死より切ない別れがある。』
という言葉がとても印象的だった。
愛する人の記憶の中から自分の事が消えて行く悲しみ。
自分の記憶の中から愛する人の事が消えて行く悲しみと恐怖。
妻の病気の悲しい現実と、それを受け入れようと努力する
夫の献身的な愛情表現とやるせない感情がたまらない。

_______________

「私の頭の中の消しゴム」

製作国:韓国(2004)
監督・脚本:イ・ジェハン

出演:
チョルス(チョン・ウソン)
スジン(ソン・イェジン)

「私の頭の中の消しゴム」オフィシャルサイト

_______________

今更…ですが「明日の記憶」で観ていた事を思い出し
やっぱりレビュっておこうかと。

若年性アルツハイマーという言葉が一般に知られるようになり、
ストーリーの予想はついていたけれど、
病気によって消えてゆく彼女の記憶…
崩れてゆく日常をささえようとする二人の愛を
主にチョスルの目を通して
とにかく切なくドラマティックに美しく描いてゆく。

恋人時代、新婚時代の必要以上のアツアツぶりが、
お約束のように後で悲しさを誘う。
孤独で粗野だったチョスルがスジンと出会い、
唯一家族と思える存在になったのに、
妻のスジンが自分の事を忘れ
彼女の元恋人のヨンミンと勘違いして名前を呼ぶシーン。
スジンに“はじめまして”と挨拶するトコロなど、
チョルスの悲しみこらえ震える表情にはジーンときた。

作為的なシーンも多くて少々ベタで
特にラストのほうなどあざとい気もするが
これでもか、これでもか、とつきつけられる
悲しい現実と、それを受け入れようとする
チョルスの献身的な愛情表現とやるせなさ。
一瞬記憶が戻った時のスジンの切ない心遣い。
若すぎるスジンとチョルスにはあまりにも過酷。

彼ら夫婦のなれそめのトコロから、既に病気は進行していた。
この作品は“若年性アルツハイマー”を素材に描いた
とある夫婦の恋愛ドラマ。
画面のいたる所に暑苦しいほど愛が溢れているのが切ない。
“コンビニ”のシーンは…まるで天国。

今後自分が煩う可能性がゼロでは決して無いアルツハイマーという病。
少々健忘症気味のワタシにはちょっと怖いストーリーでもあったが
観ておいて良かったとも思う。
「明日の記憶」でも書いたのだが
こういった映画は“病気の存在を知る”事と
人とのつながりの大切さを教えてくれる。
特に身近な人への愛情は、病に伏した時に痛感するものだから…

B000E40TLW私の頭の中の消しゴム(字)
三木眞一郎 チャ・スンジェ 小林さやか
ジェネオン エンタテインメント 2006-03-10

by G-Tools

私の頭の中の消しゴム SPECIAL BOX (初回限定生産)
チョン・ウソン イ・ジェハン ソン・イェジン
B000AAER4U

私の頭の中の消しゴム
フレデリク・フランチシェク・ショパン パガニーニ
B000AU1JK0

私の頭の中の消しゴム
木村 元子
4094080481

私の頭の中の消しゴム
深田恭子/及川光博
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■映画「明日の記憶」レビュー

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September 15, 2006

「ぼくを葬る」

[劇場映画]★★★★☆

前作でオゾンさんどこへゆくの?と思ったが、今度はこっちだったのね…。
ある日突然宣告され決定しなければならない自己の死に様。

どうしても今回は劇場で観たかったのでG.W.に鑑賞した。
終了後、無言状態の劇場が映画のテーマの深さを物語っており新鮮だった。
前作の「ふたりの5つの分かれ路」で何かが起きた?オゾン節。
しかも「まぼろし」の“最愛の人の死”に続き、…今回は“自分の死”を描く。
この重いテーマをオゾンがどう描くのかはいへん興味深かった。
 
監督は気になっているフランスの若手監督フランソワ・オゾン
2005年フランスで制作されたぼくを葬(おく)る」。
原題は「LE TEMPS QUI RESTE」。
  
31歳の売れっ子ファッション・カメラマンのロマン(メルヴィル・プポー)は、
ある日撮影中に倒れてしまう。
医者にかかったところ、末期癌で余命が役3ケ月と宣告された。
まだ若いロマンに、医者は放射線や点滴での治療をすすめるのだが、
ロマンは治療を拒絶する。

同性愛者のロマンの恋人サシャ(クリスチャン・センゲワルト)に
冷たい言葉を浴びせ別れを決意し、
家族に告白しようとするが、どうしても言う事が出来ず、
父(ダニエル・デュヴァル)母(マリー・リヴィエール)には心配かけないよう
更に姉(ルイーズ=アン・ヒッポー)とは仲違い。
仕事を辞め、唯一祖母のローラ(ジャンヌ・モロー)にだけは病気の事を打ち明けた。
なぜなら…
“おばあちゃんは、僕に似ているから…”

そんな時、たまたまカフェで出会った
ウエイトレスのジャニィ(ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ)夫婦から
持ちかけられたのは“代理父”の依頼。
運命に怒り、周りに心配をかけないように己を孤独に追いやって、
どんどん弱ってゆくロマンに、姉からの手紙で転機が訪れる。
“子供”を意識している事に気付いたロマン。
幼い自分の記憶と幻に出会った時に何かが起きた。
自分と向き合い、今出来る事を遂行し、自分を葬る準備を始める…。
美しいと思ったシーンを切り取るカメラ。
ニコンの一眼レフからコンパクトカメラに変わってからの彼の撮る写真は、
きっと彼の宝物で天国へ持ってゆきたい写真に違いない…。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

ある日突然つきつけられる、限りなく近い将来に起きる人生の終焉。
その当事者は病と死への恐怖の中で、
残された人生で行うべき事を短時間で決定せねばならない。

全ての人は孤独に生まれ、孤独に逝く運命を持っている。
その間の限られた人生を如何に生きるか、そして死ぬのか…それが人生。
ロマンを通して自己の人生観が感情と共にえぐり出される気分になった。
リアルで普通な何という事の無いシーンに込められたロマンの想い。
ロマンを演じるメルヴィル・プポーの繊細に揺れ動く感情と
遠くを見つめるかのような美しい瞳、
そして衰えてゆく肉体の変化に、胸をしめつけられる。
祖母を演じるジャンヌ・モローの孫への言葉
“今夜お前と死にたい”。
唯一信頼している肉親の愛情がこもったその言葉には、
ロマンと共に目頭が熱くなった。
余談だが、子供時代のロマン役の少年(ウゴ・スーザン・トラベルシ)の
くりくり巻き毛と瞳がメルヴィル・プポーと似ていてこれにまたグッとくる。

偶然に出あった人に自分の生きた証を委ね、
愛した人から愛されていると知る事が出来たロマン。
突然訪れたつらく悲しい物語を描くのではなく、
何かに立ち向かい得る夢や希望を描くのでもなく、
人間の本能と事実を受容し、自分の死に様を決めた一人の男の心の動きを
極めて間近から繊細に優しく描いた作品だと思う。

少ない余命で何を残せるか…

イザベル・コヘット監督の「死ぬまでにしたい10のこと」も同じようなテーマだったが、
あちらは若い母親だったので、女としてしておきたい事、
旦那や子供達に残しておきたい事、
娘として両親にしておきたい事を綴っていた。
こちらは独身で同性愛者、人生の成功者であった若い男性。
心の動きはおのずと違ってくる。
前者では限界まで母性を与え、後者では母性を求めている気がした。

ちなみに、治る可能性が5%以下と言われ治療を拒否したロマン流の生き様。
後悔しないよう治療する方法をとり、癌と戦う決意をするという生き方。
“健康で死にたい”というロマンの祖母の生き方が最も望まれるものだろうが、
病気…特に癌などの病の場合は、本人の悔いの無いようにするのが一番だと思う。
特に早期発見の場合完治出来る可能性が高いので、もちろん治療すべきだろう。

こんな仕掛けや謎の無い、
フランソワ・オゾン作品は初めて!

円熟したというか、人生の折り返し地点にきたからか…
ほぼオゾンと同じ年代の自分にとっては見事に心に響いた。
これまで常に死と生と性、その源の水=海、そして女の強さと怖さ、男の弱さ…。
表現方法は違っても、常に根源にあるものは同じなのかも。
ちなみに今後“子供の死”をテーマにした作品の予定もあり3部作にしたいそう。
次回作は英語で撮っているという噂だが、こちらはどんな内容なのか楽しみだ。

本作のオゾンの定番のラストシーン。
いつもと違い、悲しい場面なのになぜか優しい安心感がある。
 

「ぼくを葬る」オフィシャルサイト

ぼくを葬るぼくを葬る
フランソワ・オゾン メルヴィル・プポー ジャンヌ・モロー

ふたりの5つの分かれ路 スイミング・プール 無修正版 8人の女たち デラックス版 まぼろし<初回限定パッケージ仕様>
焼け石に水 ホームドラマ クリミナル・ラヴァーズ 海を見る

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September 12, 2006

「ナイロビの蜂」

[DVD映画]★★★★☆

蜂ってそういう事だったのだ…なかなか洒落た邦題だ。
アフリカ大陸でのエイズ問題の陰にある人権に関わる陰謀と夫婦愛。
サスペンスタッチで描かれているのでどんどん引き込まれた。

原題は「THE CONSTANT GARDENER」
残酷な現実と悲しい結末。
美しいアフリカの大地と人々と音楽、それと裏腹の極度の貧困。
強く深い夫婦愛。人間の命の尊さ。
これらがフラッシュバックが多用された映像となり、
サスペンスタッチで緊迫感をあおり、
心になだれのように流れ込んでくる期待以上の作品だった。

原作はジョン・ル・カレの同名ベスト・セラー「ナイロビの蜂」。
監督は「シティ・オブ・ゴッド」のフェルナンド・メイレレス
この作品でレイチェル・ワイズは2005年アカデミー助演女優賞を獲得した、
イギリス映画ナイロビの蜂
アルベルト・イグレシアスの紡ぎ出す民族的な音楽も非常に印象深い。

* * * * * * * * * * * * * * * *

エキゾチックな美しさのある奔放で激しい気性、生まれながらの革命娘であり
慈善活動をしているテッサ(レイチェル・ワイズ)、
常に平常心を忘れないジェントルマン、
庭いじりの好きな英国の外交官ジャスティン(レイフ・ファインズ)。
この夫婦は夫ジャスティンの転勤でナイロビへやってきたのだ。

「じゃ、二日後に」
 
彼らが軽く抱き合い別れ、次に出会ったのは…
なんと遠く離れた土地の死体置き場だった。
いわくの多い妻テッサの死を探るうちに明らかになったのは、
人間の尊厳に関わる恐ろしい事実。

妻の死、怪しい交友関係、“スリー・ビー”の謎。
じわじわと明らかになる惨い真実と
妻のどこまでも真っすぐな正義感と愛情。
冷静沈着なジャスティンだったが、
どんどん妻の意思を継ぐかのように、
身の危険を顧みず謎に立ち向かってゆく。
観ている者は、それに呼応するように
アフリカの過酷な現実におののきながら、
どんどんこの物語のエピソードの洪水に溺れ、
その流れに吸い込まれる…。

こんな惨く悲しい出来事が許されて良いはずではない。
憤りと共に、無力で無関心だった自分が悲しくなる。
そして、ジャスティンの
 
「テッサが家だった」
 
この一言にじ〜んときてしまった。
ジャスティンに信頼され愛された正直すぎるテッサ。
そのテッサもジャスティンを信頼し自分流に愛を貫き、
夫もその愛を受け入れ、妻と同化するかのように突き進む。
なんて夫婦愛なのだろうか!
劇的な二人の出会いから、あまりにもあっけない別れ。
短い間だったが二人は幸せなのかもしれない。
お互い帰る家を見つけたのだから…。


ちなみにこれを観に行ったのはメンズデー!
実はおじ様達に囲まれて観る事となった!!
エンドロールが流れると鼻水をすする音が…
男の方もじ〜んとされたのかしら?
しかしながらこのメンズデーっつ〜のもいいですね〜!!!
最近お小遣いの少ないお父さん達や給料の少ないヤング達の強い味方かも。
どんどん映画館もコレを採用してあげて欲しいなぁ。


B000HEZ4BYナイロビの蜂
ジョン・ル・カレ ジェフリー・ケイン フェルナンド・メイレレス
日活 2006-11-10

by G-Tools

「ナイロビの蜂」オリジナル・サウンドトラック
サントラ ロンドン・セッション・オーケストラ アユブ・オガダ
B000EZ87TM
ナイロビの蜂 オリジナル・サウンドトラック【送料無料】

ナイロビの蜂〈上〉
ジョン ル・カレ John Le Carr´e 加賀山 卓朗
4087604500

ナイロビの蜂〈下〉
ジョン ル・カレ John Le Carr´e 加賀山 卓朗
4087604519


「ナイロビの蜂」オフィシャル・サイト

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February 13, 2006

「きみに読む物語」

[DVD映画]★★★☆☆

カサベテス母子の描き出す運命的な愛の形。
最後の最後にグッときた!
こんな風に逝けたらどんなに幸せだったろう…
奇跡を起こし続け、初恋を貫き通したありふれた男の物語!
こんなにも超正統派の純愛ラブストーリーを久しぶりに観た!!

監督は故ジョン・カサヴェテスとこの作品にも出演している
女優ジーナ・ローランズの息子ニック・カサヴェテス
原作は若手作家の ニコラス・スパークス
アルツハイマーという重いテーマを扱いながら、
赤い糸で結ばれた“運命的な永遠の愛”を
美しい映像と共に、より劇的に描き出している。
2005年公開のアメリカ作品「きみに読む物語」。
 
 
療養生活を送る老婦人アリー(ジーナ・ローランズ)の所へ
毎日のようにやってくる老人男性デューク(ジェームズ・ガーナー)。
彼はいつも同じ、ある物語を彼女に読み聞かせるのだ。
彼女に起こる奇跡を信じて…。

1940年6月6日。アメリカ南部の小さな町。
休暇で都会からやって来た17歳の金髪ではつらつとした令嬢
アリー・ハミルトン(レイチェル・マクアダムス)に、
地元の材木置場で働く、自信家だがごく田舎の普通の青年
ノア・カルフーン(ライアン・ゴズリング)は一目惚れ!
観覧車にぶら下がってデートの約束をとりつけたり、
道路に二人寝転んで運試しをしてみたり、
かなり強引なアタックを重ねて遂に二人は恋におちる…。
身分は違うが、いつでも一緒、離れられない二人。
1772年に建てられたウインザー農園をいつか買い取り改築し、
共に暮らそうと結ばれた二人だったが、
アリーの両親に交際を反対され、
彼女は夏の終りを待たずしてニューヨークの学校へ連れて行かれてしまう。
1年間365日毎日アリーに手紙を書いたノアだったが、
彼女からの連絡が一度も無いまま第2次世界大戦が始まるのだった。

この自分自身の物語を興味深く聞く老女アリー。
そして先を知りたいとノアにせがむのだ。
果たしてアリーの記憶は戻るのだろうか???
 

以下ネタバレ有り。この作品を楽しむため、
これから観る方はこの先を読まない事をお勧めします

 
* * * * * * * * * * * * * * * *
 
最初と最後、しばしば現れる水辺で戯れる“渡り鳥”白鳥の群れと、
若い二人、白髪の二人の姿。
ちょっと美し過ぎるが、後になる程グッとくる。

老人になった現在の二人と若い頃の二人のエピソードが
交互に語られて少しずつ彼らの過去が明らかになってゆく。
観ているこちらがこっ恥ずかしくなる位に愛しあう恋人達…そして別れ。
離れている間のあまりにも違う彼らの生活…
アリーは戦時中ボランティアで看護をしていた時に知り合った、
富豪の息子ロン(ジェームズ・マースデン)とごく自然にまた新たな恋をする。
ロンのスマートな言葉は最初から最後までなかなか“男前”だ。
一方ノアは戦場から戻り、本格的に失恋した事を知る。
だがアリーの事が忘れられないノアは
彼女との約束のあの農園を買い取り、古い屋敷を狂ったように改築した。
そして寂しさをまぎらわせるマーサ・ショー未亡人とのつきあい。
こんな横恋慕なんかがそれぞれあったが、
結局運命的に再び巡りあう彼らはお互いに
どうしても忘れらず惹かれあう一度しかない“初恋”の相手なのだった。

アルツハイマーで記憶障害を持ち、日々の出来事や家族すらも忘れてしまう
入院中の妻へ、心臓病を患っている夫が彼ら自身の物語を読み続ける。
つかの間でも彼女の記憶が戻る事を願い毎日読み聞かせる…。
子供達に『お母さんが私の家だ』と語るノア。
書き記された『これを読んでくれたらあなたの元へ』というアリーの言葉。
彼女の最期の言葉は『私達一緒に死ねるかしら?』だなんて…。
 
アリーの記憶が一瞬だけ戻った時のノアの喜びよう!
そして彼女が不安になるやいなや、それが去ってしまった時のノアの落胆ぶり。
二人と家族のアルバムをめくるノアの顔…。
ノアにこんなにも愛されたアリー、
アリーもそんなノアをこぼれてゆく記憶の奥で常に愛し続けていたのだ。
それを忘れないよう書き記した物語。
アリーはどんなに不安だった事か!しかもそれすらも忘れてしまう病。
だが、最期にまた奇跡は訪れた!!!

ただありふれた普通の男ノアの、唯一誰にも負けない誇れる事。
『全身全霊をかたむけて愛する女性がいる。
 それは彼女が若くても年老いて病気になっても変わる事は無い…。』
初恋の相手と結ばれ老いるまで共に過ごす事が出来る…
つらい病があったにせよ、何て幸せな夫婦なのであろうか!
出来そうでなかなか出来ない愛の形だ。

前半のゆったりとした夢のような古き良き時代のエピソードや、
ここぞという時に訪れるちょっとした愛の奇跡など、
小説を上回る悪意の渦巻くこの時代に、もの足りなさを感じるかもしれないが、
この作品には病の過酷さ、リアリティを追求してはいけない。
あくまでも“あるありふれた夫婦”の一途な永遠の愛、
運命的な恋愛を描いたこの物語のページをめくりながら、
彼らに起きる奇跡を期待するようになる。
人々に一筋の希望を与える作品なのだと思った。
 
 
きみに読む物語 スタンダード・エディション
ライアン・ゴズリング ニコラス・スパークス ニック・カサヴェテス
B0009X59K4

きみに読む物語 プレミアム・エディション
ライアン・ゴズリング ニコラス・スパークス ニック・カサヴェテス
B0007D3NJ0

原作本
きみに読む物語
ニコラス スパークス Nicholas Sparks 雨沢 泰
4902088584

続編小説
きみに読む物語 ‐もうひとつの愛の奇跡‐
ニコラス・スパークス 雨沢 泰
4902088843


「きみに読む物語」オフィシャル・サイト

 
75歳を越えて増々円熟した演技が素晴しいジーナローランズの出演作品
■映画「フェイシズ」レビュー
■映画「こわれゆく女」レビュー
■映画「グロリア」レビュー
■映画「スケルトン・キー」レビュー

■監督:カサベテスファミリー・カテゴリー

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November 22, 2004

「死ぬまでにしたい10のこと」

[DVD映画]★★★★★

悲しくは無いのに、涙が止まらない映画だった。
若くして死を宣告された若い女性が、残りの人生を悔いなく生きるために
リストを作って一つずつクリアしてゆくというヒューマン・ドラマ。
監督・脚本は「あなたに言えなかったこと」のイザベル・コヘット
製作総指揮はスペインの変態監督ペドロ・アルモドバル
2002年スペイン=カナダの作品「死ぬまでにしたい10のこと」。

23歳のアン(サラ・ポーリー)は、夫のドン(スコット・スピードマン)と、
二人の幼い娘と共に清掃の仕事をしながらトレーラーハウスで暮らしている。
ある日、突然の腹痛に倒れたアンは、癌で余命2〜3ヵ月と宣告された!
アンはドンと母(デボラ・ハリー)には貧血だと癌とは言わない。
彼女は、真夜中のカフェで『死ぬまでにしたいこと10項目』のリストを作り、
それを翌日から実行してゆく…。

若いアンならではのリストの内容。
誰がそれを責められようか。
家族には誰にも真実を伝えることなく、
ショックが少ないように自分が存在しなくなったあとの生活の
レールを少しずつしいてゆくアン。
家族と思い出を作るためにビーチへ。
刑務所にいる父(アルフレッド・モリーナ)と会い、
子供達に新しい母親を探し、
カセットテープに家族へのメッセージを吹き込む彼女。
それとは別に、
コーヒーショップにいた男リー(マーク・ラファロ)との横恋慕を望むアン。
“夫と別の男と寝てみる”のは、リーには悪いけれど、
唯一の彼女の不安心の逃げ道だったのではないか。

隣に引っ越してきた同じ名前のアン(レオノール・ワトリング)というのは
ちょっと出来すぎだが、自分にこんな行動が出来るとは思わない。
愛する家族を託す…少し安心かもしれないが、あまりにも寂しい決断だ。
“My Life Without Me”という原題が心に染みる。

癌という病気はこんな綺麗事で済まないと思う。
だが、彼女と同じように他人には知らせず若くして逝ってしまっう知人もいた。
毎年癌検査を必要としている身としては他人事と思えず涙が止まらない…。

毎日何気なく生かせてもらっているが、
たまには生や健康の有り難さを感じることが大事だと、
改めて教えてくれる映画であり、
日々、精一杯、大切に生きようと思った。

死ぬまでにしたい10のこと
死ぬまでにしたい10のこと
 
 
原作本


「原作」死ぬまでにしたい10のこと
 —初めて人生を愛することを知った女性の感動の物語

ナンシー キンケイド Nanci Kincaid 和田 まゆ子
 
ヴィレッジブック


死ぬまでにしたい10のこと
斎藤 薫 しまお まほ 酒井 順子 角田 光代 八塩 圭子 室井 佑月
 

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November 01, 2004

「マスク」

[DVD映画]★★★★☆

何度観てもさりげなく心が痛みラストシーンでほろりとくる映画「マスク」
同名のコメディではなく、頭蓋骨形成異常という2200万人に1人という奇病のため、
顔が肥大化し生命の危険にも晒される実在のロッキー・デニス少年の生涯を基に
アンナ・ハミルトン=フェランが脚本化した1984年アメリカの作品。
監督は数奇な経歴を持つピーター・ボグダノヴィッチ。
ボーカリストであり女優でもあるシェールが少年の母親を演じる。

15歳の少年ロッキー・デニス(エリック・ストルツ)は
精神面では普通の少年と変わらないが、頭蓋骨形成異常、俗にライオン病と呼ばれる
カルシウム分泌の異常が原因の病気で、
顔はマスクでもかぶっているかのように普通の人の2倍もある顔であった。
母のラスティ(シェール)は自由人のバイカー。
ロッキーの仲間はアウトサイダーであるバイカーたちとその家族。
だから彼の夢は親友のベン(ローレンス・モノソン)と
オートバイでヨーロッパ大陸を走ること。

学校の成績はいつもトップクラス。
明るく陽気なロッキーはバイカー達の人気者。
彼が嫌な目にあってもアウトローなバイカー達が助けてくれる。
過激な母親ラスティも独特の愛情でロッキーを愛し守る。
参加した盲人キャンプで、
盲目の美少女ダイアナ(ローラ・ダーン)と出会って恋をしたり、
病気が無ければ本当に普通の少年なのだが…、
時折襲う激しい頭痛。そして肥大していく頭と顔。
これに彼は犯されてゆく…

ヨーロッパの地図を広げ印をつけて夢を馳せるロッキーとベン…。
彼等の姿が印象的だ。

テレビの深夜枠でよく放映されており、
ついつい観ていて心を洗われる。
なんとDVDになっていたので改めて観ても、
偏見や病気を乗り越え、人生を楽しもうとした、ロッキー。
その彼を当たり前に守る、
どうみても世間的に『ワル』な母や周囲の仲間達が心に残る。
映画の中の登場人物達には偽善心は無く、
大切な『仲間』として、『家族』としてロッキーを愛する。
偏見や憐れみを持っているのは、実は自分なのだと気付くのだ。

マスク
マスク

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October 28, 2004

「ドニー・ダーコ」

[DVD映画]★★★★★

ドニー・ダーコ16歳。
1988年10月1日。
彼は、『世界の終わりまで、あと28日6時間42分12秒』と
ある日、謎の声に起こされ告げられた。

リチャード・ケリーの脚本にプロデュースと出演のドリュー・バリモアが惚れこんで
映画化へ至った2001年アメリカの作品。
2001年サンダンス映画祭で大いにもりあがった…らしい。
SF、サイコサスペンス、青春ドラマ、犯罪映画、オカルト、ホラーなど、
あらゆるジャンルがつまった異色作品「ドニー・ダーコ」

1988年10月2日。
そしていつもの夢遊病状態でゴルフ場で寝ていたドニー(ジェイク・ギレンホール)の
腕には刻まれた[28:06:42:12]の文字が…。
家に帰ると飛行機のエンジンが家に落ちていて大騒ぎ。
丁度ドニーの部屋だという…。
“あの声”に救われた?
それから“あの声”の銀色のドクロウサギ男が現れて、
奇妙な出来事が起りはじめる…。

恩人である“銀色ウサギ男”は友達でもあり、
知識も豊富で、謎の言葉を発して色々命令をするのだ。

精神科医のサーマン先生(キャサリン・ロス)への告白。
口うるさいがドニーを愛している母ローズ(メアリ・マクドネル)。
すっとぼけているが、なかなか寛大な父エディ(ホームズ・オスボーン)。
美人教師カレン(ドリュー・バリモア)の英語の授業と
グレアム・グリーンの短編「破壊者」。
自己啓発セラピストのジム・カニングハム(パトリック・スウェイジ)。
ジムを心酔する体育教師キティ(ペス・グラント)の天然イカれぶり。
転校生の美少女グレッチェン(ジェナ・マローン)。
ホーキング博士。物理教師のモニトフ(ノア・ワイリィ)のタイム・トラベルの話。
死神オババ=ロバータ・スパロウ著「タイム・トラベルの哲学」。
二人で観る「死霊のはらわた」と初体験。
そして
地下室の扉…。

様々な出来事すべてが“銀色ウサギ男”の予言と関わる。
1988年10月30日。
“銀色ウサギ男”とは誰か?
世界の終わりで彼を待っているのは一体何なのか?

オープニングからエコー&ザ・バニーメンの『キリング・ムーン』!!
ティアーズ・フォー・フィアーズ『ヘッド・オーバー・ヒルズ』、
ジョイ・ディヴィジョンの『ラブ・ウィル・ティア・アス・アパート』
デュラン・デュラン『ノトーリアス』などなど
ザ・チャーチ『アンダー・ザ・ミルキィ・ウェイ』
時折挿入される80'sのUK ニュー・ウェーヴが懐かしい。
これがまた謎解きのキーにもなっているのだから心にくい。
そう、これは1988年の物語なのだ。
ラストに流れる『マッド・ワールド』という曲が痛くセツない。

すぐに何でも『精神病』としてカウンセリングと薬物投与で
片付けようとしあげくの果てに自己啓発セミナーを学校で行う教師達の教育問題や、
それを容認し助長する親や家庭の問題。
落ちたエンジンの飛行機が不明だったり、
死神オババ(ペイシェンス・クリーヴランド)とタイムトラベルの哲学の謎。
初々しいドニーとグレッチェンのラブ・ストーリー。
色んなエピソードですら実はキーになる。

そして「宇宙戦艦ヤマト」的な、シークェンスごとに入る
「世界の終りまであと○○日」というベタなテロップも
28日後、世界の終わりに何が起るのか?とドキドキさせてくれて効果的。

「観終わっても、何度も観たくなる映画にしたかった」という、
リチャード・ケリー監督の言葉どおりの作品であったが、
ラストでスカッとなるか、うなるか、打ちのめされるかは観た人次第。
ちなみに自分的には、ちょいとうなりつつ、どちらかというと大変セツなかった…。
一番好きなのがオープニング。ミステリアスで空が綺麗で…。
一度レビュー書いてからもう一度観ると、
ものすごく濃密な伏線いっぱいで驚きでした。
ジェイク・ギレンホールくんも観れば観る程魅力的♪

オフィシャルサイトはこちら
ややこしい、人間関係はここでクリアになるはず。

http://www.donnie.jp/

ドニー・ダーコ
ドニー・ダーコ


オリジナル・サウンドトラック盤“ドニー・ダーコ”
サントラ

関連音楽(このアルバムに紹介した曲が入ってます)
ダンシング・ホーシズ(ザ・シングルズ) Tears Roll Down (Greatest Hits 82-92) Substance Greatest
 
 
 
そして、この映画をノベライズ?というかD[di:]さんによって、
ノベル・コミック化された作品がこれ。
ドニー・ダーコ
D[di:](ソニー・マガジンズ)
ドニー・ダーコ
 
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September 30, 2004

「コールドマウンテン」

[DVD映画]★★★★★

『たった一度のキスで恋人を何年も待てるのか』

雑誌についていたプロモDVDを観て、こりゃどうかな〜と疑って
ミンゲラ監督ごめんなさい!
実際観て、これはありだと思ってしまった。妙なトコロで泣けた泣けた…。
チャールズ・フレイジャーの同名のベストセラー小説「コールドマウンテン」
(祖先の実話)を文芸ロマンの巨匠アンソニー・ミンゲラ監督が映像化。
2003年アメリカの作品「コールドマウンテン」

南北戦争末期の1864年。
南軍兵士としてヴァージニア州の戦場に出征したインマン(ジュード・ロウ)は、
一緒に戦場に向かった仲間も失い、瀕死の重傷を負い、病院に収容される。
回復を待つインマンの脳裏に浮かぶのは、故郷のコールドマウンテン…
出征前にただ一度だけキス交わした恋人エイダ(ニコール・キッドマン)。
看護婦に読んでもらったエイダの手紙と日々の戦闘=殺人に疑問を感じるインマンは
彼女に会うべく、脱走兵として死罪に問われるのを覚悟の上、
500キロにも及ぶ故郷、コールドマウンテンへをひたすら目指すのであった。

インマンの帰りを待つ間に父を亡くしてしまった浮き世離れしたエイダは、
生活力も無く、明日の食べ物にも事欠くほどの窮地に追い詰められていた。
そんな荒れ果てた彼女の家にに近所のサリーが、
流れ者のルビー(レニー・ゼルウィガー)を送り込み、
この地で生き抜く術=労働を教え、
ルビーはまたエイダから文学や音楽や恋愛について学んでゆくのであった。
街は義勇軍によって若い男がいないのをいい事に、すさんでゆく一方。
脱走兵による処罰もどんどんエスカレート。
そこへひょっこり、フィドル弾きのルビーの父親がやって来て、
事体は思わぬ方向へ…

とにかくその壮大さに圧倒される。制作期間4年ほど。
ルーマニアの1800年代そのままの山村地帯に農場や街を作ったらしい。
戦闘シーンの木々もイメージどおりにするために植えたそう。
チャールストンには種をまきとうもろこし畑までも。
ミンゲラ監督らしいこだわりで、
あるシーンはルーマニア、次のつながったシーンは実はアメリカ。
部屋の中だけ駅の一室などなど、
監督の頭の中のシーンをあらゆる手法を駆使して撮影したようだ。
撮影前に音楽も準備したらしい。だからしっくりハマるのか。
冒頭から伏線がたくさんひかれているので、
1度目はひたすら物語にひたり、2度目はコメンタリーを聞きながら、
伏線を発見しつつ撮影ウラ話しを聞くのが楽しい。

ジュード・ロウの素直な演技、
『ザ・女優』ニコール・キッドマンにもってこいの演技、
レニー・ゼルウィガーの『職人芸』的演技もいい。
登場人物全てのキャラクターがいきている。
個人的には義勇軍のティーグやポジーのキレキャラが気になった。

さて、インマンとエイダの『純愛』の行方は???。
途中、幾度も危機や誘惑がありながらも
お互いの『鉄版写真』を眺め思いを馳せながら、
ひたすら歩き続けるインマンと、たくましく生活しながら待ち続けるエイダ。
監督曰く、現代からは想像も出来ない事だ。
ただし、この時代を考えると大いにあり得ると。
ええ〜?現代でも意外とありそうですよ。
逆に熱烈なキスだけだったから、相手を美化して思い焦がれたのでは?
と思ってしまったわけである。
戦争&文通&写真。これが彼等の『純愛』にとって曲者だった。
だからこそ、燃え上がり信じあえたのだ。
それにしても、脱走兵って相当いたんですね…。

コールドマウンテン
コールドマウンテン

コールドマウンテン コレクターズ・エディション

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September 20, 2004

「ジェイコブス・ラダー」

[DVD映画]★★★★★

サスペンス・スリラー?なのに、なぜか涙がこぼれてしまう。
「フラシュダンス」「ナイン・ハーフ」「危険な情事」
などのエイドリアン・ライン監督による1990年の作品
「ジェイコブス・ラダー」
ベトナム戦争がもたらした悲惨さをサスペンス+ホラー的に描いている。
エイドリアン・ラインの作品で最も好きかも。

これを昔大阪ミナミのこ汚い映画館で一人でふらっと視た。
たしか時間が空いてたまたまそれしか上映していないとか、そんな感じ。
平日の昼間でお客さんは自分と暇そうなおっさん数名だけ。
と、なんで10年も前の事をこんなに覚えているかというと、
ホントにドキドキするわ、ゾクゾクするわ、涙ボロボロだわで、大変だったのだ。

旧約聖書のヤコブの話を背景に、ベトナム帰りの男の奇妙な体験の物語。
ニューヨークの郵便局員であるティム・ロビンス演ずるジェイコブは、
悪夢と現実の間で翻弄されていく。
目覚める度に何かが違う。
疾走する地下鉄に乗る人々。
掛かりつけの医者が死亡したり生きていたり、車に轢き殺されそうになったり、
別れた妻となぜかまた暮らしていたと思えば郵便局の女性とベットの上だし、
終わったはずのベトナムの悪夢。
そして、事故で死んでしまった息子…。
薬物による幻覚なのか?
このあたりのエピソードは洋書にもなっている
「BANANA FISH」(著者:吉田秋生)というコミックを彷佛させる。
ベトナムの戦場のシーンや病院のシーンは
デビッド・リンチの絵画のようにグロテスク。
掛かりつけの整体医師を演じるダニー・アイエロの笑顔、
あの、マコーレー・カルキン坊やが演じる最愛の息子の笑顔、
(この映画のカルキン坊やは純粋にかわいい!!!)
………彼らの笑顔に救われる。

ラスト・シーンはな〜んだ、と思うのだが、
しばらく涙が止まらなかった…。だって…。
観た方はわかりますよねぇ???

ちなみに、おっさん達は寝てはりました。(休憩かい?)
感動したのは自分だけかい…。
今でも、深夜テレビなどでたま〜に放映されていると、つい観ては泣いてます。
単細胞なもんで…。

ジェイコブス・ラダー
ジェイコブス・ラダー

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September 15, 2004

「まぼろし」

[DVD映画]★★★★★

こんなに泣いてしまった映画は初めてかも!!
最初から最後まで、切ない切ない…。ティッシュケースの1/3は無くなっ。
これは、フランソワ・オゾン監督がたまたま出会った、
「フランス南西部のランド海岸での夫の失踪事件」
のエピソードを膨らませて作られたという、2001年フランスの作品「まぼろし」

結婚して25年になる夫婦。
妻マリー(シャーロット・ランプリング)と夫ジャン(ブリュノ・クレメール)。
毎年ランド地方の別荘でヴァカンスを過ごしている。
今年も同じようにバカンスを楽しみに来た。

大きな体で無口で優しい夫、ジャン。少し淋しそうな表情が印象的。
会話は無いが、わかりあえている夫婦。
何気ない日常のシーンにマリーの幸福感が溢れている。
浜辺でマリーの背中に優しくオイルを塗るジャン。
そして、海へ泳ぎに行き—————
うたた寝したマリーが目覚めても、ジャンは戻って来なかった…。

失踪した夫ジャン、もしかすると水死したかもしれないとどこかで諦め一見冷静に、
マリーはひとりパリへと戻り、有人に紹介されたヴァンサンを愛人としながらも、
夫の幻影と共に生活をする。
マリーを優しく抱き締めるジャンのまぼろし?には優しさが溢れている。
今でも彼の大きな愛情に包まれた彼女に、ジャンを忘れることなど出来るだろうか?
愛人ヴァンサンに言う。「あなたでは軽すぎる…」と。

夫の異変に気付けなかったマリー。
初めてそこで、冒頭のジャンの行動が思い起こされる。
自分もマリーと同じようにジャンの異変には気付いていなかったのだ。
誰も居ない夫の書斎。大きなジャケットのかかった夫の椅子。
母と子の絆、妻と夫の絆。つらい現実。そしてと再起。

傍にいるべき人物が突然いなくなった時の感じ。
嘘だと思いたくて、実際そこにまだ居る気がしてしまう。幻となって見えてしまう。
でも居ない。ポッカリと虚しい空間を埋めるようと、心は揺れ動く…。
細かいエピソード、心理描写に…ホロリ。

シャーロット・ランプリングの年齢を越えた美しさ!
若作りではなく本当に可愛く魅力的。
映画デビューはなんと「ナック」(1965年)ですよ〜!
ブリュノ・クレメールの年を重ねた大きな存在感が好き。
シャーロットとブリュノは「蘭の肉体」以来25年ぶりの共演だそう。
ゆえにか本物の夫婦のように呼吸もぴったり。

いや〜オゾン監督「8人の女たち」
ではそんなに…でしたが、
この「まぼろし」で、やられました。

特典映像もいきおいで鑑賞。
さすが!オゾン監督!!

■フランソワ・オゾン監督コメンタリー
■シャーロット・ランプリング&ブリュノ・クレメール インタビュー映像収録
■フランソワ・オゾン監督の未発表短編作品(各約12分)
 “Mes parents un jour d'ete”
・スパでの夫婦の日常を撮っている
 “Les Doigts dans le ventre”
・過食性の女の子のハナシ
・殺した家族写真を撮る男の子のハナシ

コメンタリーも短編作品もかなり見応えあり。

まぼろし<初回限定パッケージ仕様>
まぼろし<初回限定パッケージ仕様>
 
 
DVD BOX「海をみる」「クリミナル・ラヴァーズ」「ホームドラマ」「焼け石に水」
及び短編のオゾン監督の初期全9作品を収録。
フランソワ・オゾン DVD-BOX
フランソワ・オゾン


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